| 【発明の名称】 |
ワイヤ及びそれを用いたブラジャー |
| 【発明者】 |
【氏名】名合 聡 【住所又は居所】滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡績株式会社総合研究所内
【氏名】林原 幹也二 【住所又は居所】滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡績株式会社総合研究所内
【氏名】久後 武夫 【住所又は居所】滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡績株式会社総合研究所内
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| 【要約】 |
【課題】剛性と靱性、着用感に優れ、軽量でしかも安全なワイヤとこれを用いたブラジャーを提供する。
【解決手段】有機繊維からなる強化繊維と熱可塑性樹脂からなる樹脂との繊維強化樹脂ロッドを熱セットした後に所定の寸法に裁断して引張弾性率が300cN/dtex以上ワイヤとする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】熱セット性を有する繊維強化樹脂からなることを特徴とするワイヤ。 【請求項2】強化繊維が有機繊維であり、樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1記載のワイヤ。 【請求項3】強化繊維と樹脂の体積比率が繊維体積30%以上70%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のワイヤ。 【請求項4】引張弾性率が300cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のワイヤ。 【請求項5】ブラジャー用のワイヤであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のワイヤ。 【請求項6】請求項5記載のワイヤを用いてなることを特徴とするブラジャー。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、強化繊維と樹脂からなり、熱セット性を有することを特徴とするワイヤであって、特に女性用アンダーウェアーの一つであるブラジャーに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、ワイヤは金属材料からなるものが主体であった。例えば、特開平9−105003号公報には、バネ板を打ち抜いて馬蹄形状に賦形されたワイヤが開示されている。また、特開平11−286804号公報には、扁平な断面形状を有し、曲率が部位によって異なることを特徴とする金属製ワイヤが開示されている。更に近年では変形性、弾力性、耐腐食性などを改善する目的で、チタン合金からなるワイヤも提示されている。アンダーウェアーに用いるという本来の目的から、ワイヤ端面が布帛を突き破った場合、肌に傷を付けるおそれがあることから、例えば実用新案登録第3075543号公報には、ワイヤ端部に合成樹脂製のキャップをはめることが提案されている。特開2001−20107号公報にはワイヤ端部を丸め、更に樹脂で被覆したワイヤが開示されている。しかしながら、これらのいずれもが金属材料を用いているため、布地が傷み、ワイヤの端部が露出した場合、人体を傷つける恐れがある。また、ワイヤの断面形状により剛性を調整しているが、元々の弾性率が高いために人によっては痛みを受けることがある。これら金属の問題点を解消するために、樹脂製のワイヤも開示されている。例えば、特開昭63−56439号公報、特開平6−173102号公報、特開2000−314009号公報には、合成樹脂製のワイヤが開示されている。更に特開2001−131806号公報や特開2001−131807号公報には、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などのいわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックを成形したワイヤが開示されている。これらの樹脂は靱性があり、金属繊維と異なり折れることがないため安全である、断面形状の最適化により金属繊維のワイヤと同等の性能を得られるとしている。 【0003】確かにスーパーエンジニアリングプラスチックは靱性に優れ、折れにくいという性質を有する。しかし、ブラジャーに用いるという性質上、洗濯、乾燥を避けることが出来ず、加水分解や、耐熱老化、紫外線劣化などを避けることが出来ない。その結果、樹脂は劣化により脆化してもろくなり、洗濯時に割れたり裂けたりすることが避けられない。特許第3192312号公報には、金属繊維や合成樹脂製ワイヤの細くて剛性が大きいことによる着用時の不快感や折れなどを解決するために、共重合系エラストマーに非晶性エンジニアリングプラスチックまたは繊維強化プラスチックを埋設一体化してなるワイヤが提案されている。この構成は、人体にふれる側に共重合系エラストマーを配置して肌への当たりを柔らかくするとともに、靱性が大きいエンジニアリングプラスチックまたは繊維強化プラスチックで共重合系エラストマーを補強することによって、剛性と靱性、さらには着用感という相反する課題を解決できるとしている。しかしながら、この様な構成は、共重合系エラストマーとエンジニアリングプラスチックまたは繊維強化プラスチックの層に分かれるため、ワイヤが大きく変形したときにその層間に剪断ひずみが生じ、剥離しやすいという欠点があった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、剛性と靱性、着用感に優れ、しかも軽量であることを特徴とするワイヤとこれを用いたブラジャーを提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】即ち、本発明のワイヤ及びそれを用いたブラジャーは次の構成からなる。 1.熱セット性を有する繊維強化樹脂からなることを特徴とするワイヤ。 2.強化繊維が有機繊維であり、樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする上記第1記載のワイヤ。 3.強化繊維と樹脂の体積比率が繊維体積30%以上70%以下であることを特徴とする上記第1又は2記載のワイヤ。 4.引張弾性率が300cN/dtex以上であることを特徴とする上記第1〜3のいずれかに記載のワイヤ。 5.ブラジャー用のワイヤであることを特徴とする上記第1〜4のいずれかに記載のワイヤ。 6.上記第5記載のワイヤを用いてなることを特徴とするブラジャー。 【0006】以下に本発明を詳述する。まず、本発明のワイヤは強化繊維と樹脂からなり、熱セット性を有することが望ましい。ここでいう熱セット性とは、強化繊維に樹脂を被覆含浸して得られた任意形状のロッド状物を任意形状の型に巻き付けた後に、樹脂の融点または軟化点以下の温度で処理して賦形する事をいう。熱セット性を有するということは、連続的に作製した繊維強化樹脂ロッドを任意形状の型に巻き付け一度に賦形した後に所定の長さに切断することが可能なことを示し、大量生産を可能にする。更に繊維強化樹脂ロッドが形状を記憶して、一種の形状記憶材料として機能するために、洗濯などによって型崩れしたとしても、熱セット温度以下の領域で温度を掛けることによって元の形状に復元できることを示す。 【0007】次に強化繊維が有機繊維であり、樹脂が熱可塑性樹脂であることが好ましい。本発明でいう有機繊維とは、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの汎用繊維や、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維などのスーパー繊維を指す。また熱可塑性樹脂とは、ポリオレフィン形のポリエチレン樹脂や、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂またはこれらの共重合体が望ましい。 【0008】強化繊維に要求されるのは、その引張弾性率、引張強度を活かして、乳房を支えることであり、樹脂に要求されるのは、強化繊維にかかるひずみを均一化することと、柔軟性を有し、当たりを柔らかにして着用感を向上させることである。これを満足するためには、強化繊維は軽量で強く、樹脂は柔軟で強化繊維への接着性が良好なものが好ましい。つまり、強化繊維は重さ当たりの強度/弾性率が高い高強度ポリエチレン繊維やポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維がより好ましい。また樹脂は熱可塑性エラストマーが好ましく、熱セット性を有し、耐候性に優れるエチレン−ビニルアルコール共重合鹸化体が更に好ましい。 【0009】そして、強化繊維と樹脂の体積比率が繊維体積30%以上70%以下であることが好ましい。強化繊維と樹脂の体積比率は繊維強化樹脂ロッドの剛性、強度を決定する上で非常に重要なパラメータであり、この体積比率が30%未満であると、肌への当たりは柔らかくなるが、剛性が不足し、本来の目的を達成することが出来ない。また70%を越えると強化繊維が繊維強化樹脂ロッドの表面に浮くことがあり、肌を刺激するなどして着用感が悪くなる。乳房を支える十分な剛性を有し、着用感を満足するには、繊維体積が40%から50%であることがより好ましい。 【0010】更に繊維強化樹脂ロッドの引張弾性率が300cN/dtex以上であることが好ましい。引張弾性率が300cN/dtex未満であると剛性が不足し、本来の目的である乳房を保持するという機能を十分に果たすことが出来ない。以上述べたような繊維強化ロッドをワイヤとすれば、軽量で着用感に優れ、安全なブラジャーを得ることが出来る。 【0011】 【実施例】以下に実施例を示す。なお、特に断らない限り繊維強化ロッドは下記のようにして作製した。強化繊維を横取り強制解舒して、φ100mmのステンレス製円柱5本に交互に接触させて開繊させた後に、半径50mmの1/4円を有する曲面状のダイに接触させ、強化繊維の進行方向に対して、下面から10#の位置に設けたスリットから樹脂を吐出して強化繊維に樹脂を含浸した。その後、樹脂浴を通過した後に、導入角30#、ノズル径φ0.6mm、平行部長さ0.5mmのダイスを通して溶融含浸を行った。賦形は、繊維強化樹脂ロッドをφ100mmの丸棒に巻き付けた後、所定の温度で熱セットを行い、これを所定の長さに切り取り、ブラジャー用ワイヤを得た。 【0012】(実施例1)株式会社クラレ製エチレンビニルアルコール共重合体「エバール」(105B)を、東洋紡株式会社製ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維「ザイロン」(AS)に被覆含浸した後に100℃雰囲気下で熱セットを行って繊維体積比率40%のワイヤを得た。このワイヤは密度1.30ton/m3、引張弾性率450cN/dtexであり、曲率半径50mmを保持し、着用感に優れるものであった。 【0013】(実施例2)繊維体積比率が50%であることだけが実施例1と異なるワイヤを作製した。このワイヤは密度1.34ton/m3、引張弾性率570cN/dtexであり、曲率半径50mmを保持し、着用感に優れるものであった。 【0014】(実施例3)繊維体積比率が60%であることだけが実施例1と異なるワイヤを作製した。このワイヤは密度1.39ton/m3、引張弾性率690cN/dtexであり、曲率半径50mmを保持し、多少の強化繊維の浮きが認められるものの、着用感に優れるものであった。 【0015】(実施例4)株式会社三井・デュポンポリケミカル社製エチレン・エチルアクリラレート共重合物「エバフレックス−EEA」(A−701)を、東洋紡株式会社製ポリエチレン繊維「ダイニーマ」(SK60)に被覆含浸した後に50℃雰囲気下で熱セットを行って繊維体積比率40%のワイヤを得た。このワイヤは密度1.00ton/m3、引張弾性率400cN/dtexであり、曲率半径50mmを保持し、着用感に優れるものであった。 【0016】(比較例1)繊維体積比率が80%であることだけが実施例1と異なるワイヤを作製した。このワイヤは密度1.46ton/m3、引張弾性率900cN/dtexであるが、ワイヤが座屈してφ100mmに巻き返すことが出来なかった。 【0017】(比較例2)繊維体積比率が20%であることだけが実施例1と異なるワイヤを作製した。このワイヤは密度1.22ton/m3、引張弾性率230cN/dtexであり、曲率半径50mmを保持できたが、簡単にワイヤが開いてしまい、着用感に優れるものではなかった。 【0018】(比較例3)熱セットを行わないことだけが実施例1と異なるワイヤを作製した。本ワイヤは弾発が強く、曲率半径50mmに形状を保つことが出来なかった。 【0019】(比較例4)株式会社三井・デュポンポリケミカル社製エチレン・エチルアクリラレート共重合物「エバフレックス−EEA」(A−701)を、東洋紡株式会社製ポリエステル繊維「東洋紡ポリエステル」に被覆含浸した後に50℃雰囲気下で熱セットを行って繊維体積比率40%のワイヤを得た。このワイヤは密度1.00ton/m3、引張弾性率80cN/dtexであり、曲率半径50mmを保持できたが、剛性がなく、着用感に優れるものではなかった。 【0020】 【発明の効果】本発明によると、剛性と靱性、着用感に優れ、しかも軽量であるワイヤとこれを用いたブラジャーを得ることが出来る。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003160 【氏名又は名称】東洋紡績株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜2丁目2番8号
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| 【出願日】 |
平成14年5月9日(2002.5.9) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−328211(P2003−328211A) |
| 【公開日】 |
平成15年11月19日(2003.11.19) |
| 【出願番号】 |
特願2002−134515(P2002−134515) |
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