| 【発明の名称】 |
被服保形用金属ワイヤのコーティング方法、コーティング構造及び被服保形用金属ワイヤのコーティング材 |
| 【発明者】 |
【氏名】本間 勲
【氏名】本間 ▲ふみ▼成
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| 【要約】 |
【課題】端部被覆層の変形等を防止できるとともに、十分な強度及び生産性を確保でき、さらに、焼却処分しても環境問題を引き起こすことのない被服保形用金属ワイヤのコーティング方法及びコーティング構造を提供する。
【解決手段】上記金属ワイヤ全体を加熱する全体加熱工程(S101)と、全体が加熱された上記金属ワイヤの表面全域に、粉体状熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂を主成分とする粉体状樹脂を溶融付着させる全体被覆工程(S102)と、ワイヤの端部を加熱する端部加熱工程(S103)と、加熱された上記端部に粉体状熱可塑性樹脂、粉体状熱硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を含む粉体状樹脂を溶融付着させる端部被覆工程(S104)と、上記全体被覆工程及び上記端部被覆工程を終えた上記ワイヤ全体を加熱する仕上加熱工程(S106)と、上記仕上加熱工程を終えた上記ワイヤを所定の温度から急冷する急冷工程(S107)とを含んで構成される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被服の形状を保持するために被服に挿入される被服保形用金属ワイヤのコーティング方法であって、上記金属ワイヤ全体を加熱する全体加熱工程と、全体が加熱された上記金属ワイヤの表面全域に、粉体状熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂を主成分とする粉体状樹脂を溶融付着させる全体被覆工程と、ワイヤの端部を加熱する端部加熱工程と、加熱された上記端部に粉体状熱可塑性樹脂、粉体状熱硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を含む粉体状樹脂を溶融付着させる端部被覆工程と、上記全体被覆工程及び上記端部被覆工程を終えた上記ワイヤ全体を加熱する仕上加熱工程と、上記仕上加熱工程を終えた上記ワイヤを所定の温度から急冷する急冷工程とを含む、被服保形用金属ワイヤのコーティング方法。 【請求項2】 上記全体加熱工程及び上記全体被覆工程の後に、上記端部加熱工程及び上記端部被覆工程が行われる、請求項1に記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング方法。 【請求項3】 上記端部加熱工程及び上記端部被覆工程の後に、上記全体加熱工程及び上記全体被覆工程が行われる、請求項1に記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング方法。 【請求項4】 上記全体被覆工程の後に、ワイヤ全体を加熱する中間仕上加熱工程を含む、請求項1から請求項3のいずれかに記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング方法。 【請求項5】 上記端部被覆工程の後に、ワイヤ端部を加熱する端部仕上加熱工程を含む、請求項1から請求項4のいずれかに記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング方法。 【請求項6】 上記熱可塑性樹脂を主成分とする粉体状樹脂は、粉体状熱硬化性樹脂を3〜25重量%配合して構成される、請求項1から請求項5のいずれかに記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング方法。 【請求項7】 上記熱硬化性樹脂を含む粉体状樹脂は、粉体状熱可塑性樹脂に粉体状熱硬化性樹脂を3重量%以上配合して構成される、請求項1から請求項6のいずれかに記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング方法。 【請求項8】 上記粉体状熱可塑性樹脂が熱可塑性ポリエステル樹脂である、請求項1から請求項7のいずれかに記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング方法。 【請求項9】 上記熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分とする粉体状樹脂、又はポリエチレンナフタレート樹脂を主成分とする粉体状樹脂である、請求項8に記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング方法。 【請求項10】 上記熱可塑性ポリエステル樹脂が再生樹脂である、請求項8又は請求項9のいずれかに記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング方法。 【請求項11】 上記粉体状熱硬化性樹脂が不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする粉体状樹脂である、請求項1から請求項10のいずれかに記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング方法。 【請求項12】 被服の形状を保持するために被服に挿入される被服保形用金属ワイヤのコーティング構造であって、上記金属ワイヤの表面全域に熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂を主成分とする粉体状樹脂を溶融付着させて形成された全体被覆層と、上記ワイヤの少なくとも一方の端部において、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を含む粉体状樹脂を溶融付着させて形成された端部被覆層とを備えて構成される、被服保形用金属ワイヤのコーティング構造。 【請求項13】 上記全体被覆層を覆うように、上記端部被覆層が積層形成されている、請求項12に記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング構造。 【請求項14】 上記端部被覆層を覆うように、上記全体被覆層が積層形成されている、請求項12に記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング構造。 【請求項15】 上記熱可塑性樹脂を主成分とする粉体状樹脂は、粉体状熱可塑性樹脂に粉体状熱硬化性樹脂を3〜25重量%配合して構成される、請求項12から請求項14のいずれかに記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング構造。 【請求項16】 上記熱硬化性樹脂を含む粉体状樹脂は、粉体状熱可塑性樹脂に粉体状熱硬化性樹脂を3重量%以上配合して構成される、請求項12から請求項15のいずれかに記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング構造。 【請求項17】 上記熱可塑性樹脂が熱可塑性ポリエステル樹脂である、請求項12から請求項16のいずれかに記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング構造。 【請求項18】 上記熱可塑性ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分とする樹脂、又はポリエチンナフタレート樹脂を主成分とする樹脂である、請求項17に記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング構造。 【請求項19】 上記熱可塑性ポリエステル樹脂が再生樹脂である、請求項17又は請求項18のいずれかに記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング構造。 【請求項20】 上記熱硬化性樹脂が、不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂である、請求項12から請求項19のいずれかに記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング構造。 【請求項21】 被服の形状を保持するために被服に挿入される被服保形用金属ワイヤのコーティング材であって、粉体状熱可塑樹脂を主成分として、粉体状熱硬化性樹脂を3重量%以上配合した、被服保形用金属ワイヤのコーティング材。 【請求項22】 上記粉体状熱硬化性樹脂を3重量%〜25重量パーセント配合した請求項21に記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング材。 【請求項23】 上記粉体状熱硬化性樹脂の熱硬化促進温度が、上記粉体状熱可塑性樹脂のコーティング加工温度又は溶融温度より低い、請求項21又は請求項22のいずれかに記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング材。 【請求項24】 上記粉体状熱可塑性樹脂が粉体状熱可塑性ポリエステル樹脂であり、上記粉体状熱硬化性樹脂が粉体状熱硬化性ポリエステル樹脂である、請求項21から請求項23のいずれかに記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング材。 【請求項25】 上記粉体状熱可塑性樹脂が再生樹脂である、請求項21から請求項24のいずれかに記載の被服保形用金属ワイヤのコーティング材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本願発明は、被服保形用金属ワイヤのコーティング方法、コーティング構造及び被服保形用金属ワイヤのコーティング材に関する。詳しくは、ブラジャー等の被服内に挿入して縫着される被服保形用金属ワイヤのコーティング方法、コーティング構造及びこれに用いる粉体状コーティング材に関する。 【0002】 【従来の技術】たとえば、ブラジャーやボディスーツのカップ部の形態を維持するため、保形性のある線材を略円弧状に成形し、この線材を上記カップ部の縁部に挿入して縫着することが多い。 【0003】たとえば、実公平7−26323号公報に記載されているように、上記線材として鉄製線材を採用した場合、外観を向上させるとともに錆を防止するため、表面全域に樹脂をコーティングした全体被覆層が形成される。また、上記線材の先端部には、他の部分より皮膜を厚く設定し、先端部に丸みを持たせた端部被覆層が形成される。上記端部被覆層は、着用者に違和感を与えないようにするとともに先端部が被服を突き破るのを防止するために形成される。 【0004】上記端部被覆層を形成する手法として、全体被覆層を形成した後に溶融樹脂を端部に積層塗着する方法、別途成形した樹脂キャップを被着する方法、線材の端部を成形型に挿入して端部に端部被覆層を成形する方法等が知られている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】溶融樹脂を端部に積層塗着して端部被覆層を形成する方法では、均一な厚さの端部被覆層を形成するのが困難である。また、粉体樹脂を用いて端部被覆層を形成する場合もあるが、線材の端部を再加熱して粉体樹脂を付着させ、さらに、付着させた粉体樹脂の表面を平滑にするために仕上加熱を行う必要がある。このため、一部の被覆層が繰り返し加熱されて、表面が傷んだり変形するといった問題が生じやすい。また、被覆層の強度や耐洗濯性が低下するといった問題も生じやすい。 【0006】特に、上記端部被覆層と上記全体被覆層とを一体的に積層形成しなければばならないが、採用する樹脂によっては、これらの被覆層の間の接合強度を確保するのが困難な場合もあった。また、仕上加熱を行うには、被覆層を形成したワイヤを種々の手法によって支持、あるいは保持しながら全体を加熱する必要があるが、厚さの大きい上記端部被覆層が変形したり、傷つきやすいといった問題もあった。 【0007】別途成形した樹脂キャップを被着する方法では、上記樹脂キヤップを製造するための工程や部品の管理作業が増加する。また、上記被着作業を手作業で行う必要があるため、工程数が増加し、製造コストが増加するといった問題が生じる。 【0008】線材の端部を成形型に挿入して端部被覆層を成形する方法では、端部成形工程を行う設備や金型が必要となる。また、作業工程数も増加する。 【0009】また、保形用金属線材のコーティング材料として、機械的強度、耐薬品性、加工性等に優れるナイロン等のポリアミド樹脂が採用されることが多い。ところが、ポリアミド樹脂は窒素原子を含むため、焼却すると有毒ガスが発生する恐れがあり、環境上好ましくない。 【0010】一方、リサイクル樹脂として知られ、また焼却しても有毒ガスが発生しないため環境上やさしいとされるポリエチレンテレフタレート樹脂が、種々の分野で採用されている。ところが、ポリエチレンテレフタレート樹脂は結晶性が強く、加熱冷却を繰り返すと、結晶化が過度に進行してもろくなる。このため、全体被覆層と端部被覆層を重ねて形成しなければならない被服保形用金属ワイヤには、採用できなかった。 【0011】本願発明は、上述の事情のもとで考え出されたものであって、上記従来の問題を解決し、端部被覆層の変形等を防止できるとともに、十分な強度及び生産性を確保でき、さらに、焼却処分しても環境問題を引き起こすことのない被服保形用金属ワイヤのコーティング方法及びコーティング構造を提供するものである。 【0012】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本願発明では次の技術的手段を講じている。 【0013】本願の請求項1に記載した発明は、被服の形状を保持するために被服に挿入される被服保形用金属ワイヤのコーティング方法であって、上記金属ワイヤ全体を加熱する全体加熱工程と、全体が加熱された上記金属ワイヤの表面全域に、粉体状熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂を主成分とする粉体状樹脂を溶融付着させる全体被覆工程と、ワイヤの端部を加熱する端部加熱工程と、加熱された上記端部に粉体状熱可塑性樹脂、粉体状熱硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を含む粉体状樹脂を溶融付着させる端部被覆工程と、上記全体被覆工程及び上記端部被覆工程を終えた上記ワイヤ全体を加熱する仕上加熱工程と、上記仕上加熱工程を終えた上記ワイヤを所定の温度から急冷する急冷工程とを含んで構成される。 【0014】本願発明が適用される金属ワイヤの材質は特に限定されることはない。通常の構造用炭素鋼線のみならず、ステンレス鋼線や合金線等を採用できる。また、金属ワイヤの断面形状も特に限定されることはない。さらに、本願発明に係る保形用金属ワイヤが用いられる被服の種類も限定されることはなく、ブラジャー、ガードル等の種々の被服に適用できる。 【0015】上記全体加熱工程は、次に行われる全体被覆工程において粉体状樹脂をワイヤ表面に溶融付着させるために行われる。加熱温度は特に限定されることはなく、上記粉体状樹脂を所要の厚さで溶融付着させることができる温度であればよい。 【0016】上記全体被覆工程を行う手法して、静電塗装法、流動浸漬法等を採用できる。また、粉体状樹脂の粒度も特に限定されることはなく、金属線材の表面に所要の厚さの被覆層を形成できるものであればよい。 【0017】上記全体被覆工程においては、粉体状熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂を主成分とする粉体状樹脂が採用される。熱可塑性樹脂は、加熱することにより溶融流動して可塑性を呈する樹脂であり、本願発明では、常温で固化して機械的強度等を発揮するものが選択される。たとえば、ナイロンやポリエチレン樹脂、ポリエチンテレフタレート樹脂等がこれにあたる。熱可塑性樹脂は、加熱溶融、冷却硬化を繰り返し行うことができるとともに、温度が下がれば自然に硬化するため、取扱が容易である。 【0018】上記熱可塑性樹脂を主成分とする粉体状樹脂とは、充填剤や着色剤等を配合したもののみならず、熱硬化性樹脂を含んだものを含む。粉体状熱硬化性樹脂は、所定温度以上に加熱すると一旦は溶融状態となるが、時間が経過すると化学変化が生じて硬化する樹脂である。硬化した樹脂は、再度加熱しても流動状態にならない。熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等が知られており、接着剤や塗料として用いられることが多い。粉体状熱可塑性樹脂に粉体状熱硬化性樹脂を配合することにより、接着性能を大幅に高めることができる。 【0019】また、熱可塑性樹脂に熱硬化性樹脂を配合することにより、被覆層内の熱硬化性樹脂成分を硬化させ、被覆層の見掛け上の保形強度を高めることができる。これにより、繰り返し加熱する場合に、被覆層が変形したり、被覆層表面が傷つくのを有効に防止することが可能となる。 【0020】たとえば、請求項6に記載した発明のように、上記熱可塑性樹脂を主成分とする粉体状樹脂を、粉体状熱可塑性樹脂に粉体状熱硬化性樹脂を3〜25重量%添加して構成することができる。上記熱硬化性樹脂の配合量が3重量%以下であると、十分な接着強度及び/又は保形性を得ることができない。一方、熱硬化性樹脂を25重量%以上配合した樹脂を用いて全体被覆層を形成した場合、熱硬化性樹脂を硬化させるための加熱時間が長くなり、また、ワイヤ全体を均一に加熱する必要があるため温度管理等が複雑になる。なお、加熱時間を短くして作業性を高めるために、熱硬化性樹脂の配合割合を3〜15重量%に設定するのがより好ましい。 【0021】上記端部熱工程においては、金属ワイヤの端部を局所的に加熱する。加熱温度は、次に行われる端部被覆工程において採用される粉体樹脂を溶融付着できる温度に設定すればよい。上記端部被覆工程においても、上記全体被覆工程と同様に、静電塗装法や流動浸漬法等の手法を採用できる。 【0022】採用する樹脂によっては、積層形成された上記全体被覆層と上記端部被覆層の接合強度が得られず、これら被覆層が互いに剥離するといった問題も生じやすい。また、ワイヤ端部においては、被覆層が厚くなる。このため、仕上加熱工程等において、端部被覆層が変形したり傷ついたりすることが多い。 【0023】本願発明では上記問題を解決するため、端部被覆層に、粉体状熱硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を含む粉体状樹脂を採用することができる。 【0024】粉体状熱硬化性樹脂は、所定温度以上に加熱していくと、一旦溶融するが、その後化学変化が生じて硬化し、再度加熱しても溶融しない。また、他の樹脂に対する接着強度が高い。したがって、端部被覆層に熱硬化性樹脂を採用することにより、上記問題を解決できる。なお、上記接合強度及び上記保形性を確保できる樹脂であれば、熱可塑性樹脂を採用することもできる。 【0025】上記端部被覆層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のみならず、他の樹脂に熱硬化性樹脂を配合した樹脂で形成することもできる。熱可塑性樹脂に熱硬化性樹脂を配合することにより、全体被覆層と端部被覆層の接合強度を改善できる。すなわち、請求項7に記載した発明のように、粉体状熱可塑性樹脂に粉体状熱硬化性樹脂を3重量%以上配合した粉体状樹脂を採用することにより、端部被覆層の接合強度及び保形性を高める効果を期待することができる。なお、十分な保形性を確保するには、粉体状熱硬化性樹脂を5重量%以上配合するのが好ましい。一方、熱硬化性樹脂の配合割合が大きくなると、硬化させるための時間も長くなる。また、温度及び時間管理を十分に行う必要も生じる。したがって、作業効率を高めるには、熱硬化性樹脂の配合割合を3重量%〜25重量%に設定するのが好ましい。なお、上記粉体状熱硬化性樹脂をある程度硬化させた後に上記仕上加熱工程を行うことにより、端部被覆層が変形したり傷むのを防止できる。また、ハンドリングも容易になる。さらに、上記熱硬化性樹脂として、硬化促進温度が熱可塑性樹脂のコーティング加工温度あるいは溶融温度より低いものを選定するのが好ましい。 【0026】上記仕上加熱工程は、ワイヤ表面に溶融付着した状態の粉体状樹脂を再度溶融させて表面を平滑化するとともに、上記熱硬化性樹脂の硬化を完成するためにも行われる。加熱温度は、全体被覆層の表面を平滑化できるとともに、熱硬化性樹脂の硬化度を高める温度に設定すればよい。一方、結晶化を阻止するためには、融点を越える温度で仕上加熱工程を行い、次に説明する急冷工程を行うのが好ましい。 【0027】本願発明では、全体被覆層と端部被覆層を形成するためにワイヤが繰り返し加熱される。このため、繰り返し加熱された被覆層に欠陥が生じることがある。特に、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の結晶性樹脂を採用した場合には、結晶化が過度に進行して被覆層の柔軟性が低下し、被覆層がワイヤ本体から剥離しやすくなるといった問題が生じやすい。本願発明は、上記問題を急冷工程を行うことにより、解消している。 【0028】上記急冷工程は、全体被覆層及び端部被覆層が形成されたワイヤを所定の温度から急冷するものである。結晶化を回避するには、少なくとも樹脂の結晶化温度領域より高い温度から急冷する必要があり、融点近傍から急冷するのが好ましい。 【0029】上記急冷工程は、仕上工程から連続して行うこともできるし、仕上工程を終えたワイヤを再加熱して結晶化を解消した後に行ってもよい。上記急冷工程を行うことにより、結晶化を阻止して非晶質の被覆層を形成することが可能となった。特に、ポリエチレンテレフタレート樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分とする樹脂を採用した場合には、大きな効果がある。 【0030】本願発明では、請求項2に記載した発明のように、上記全体加熱工程及び上記全体被覆工程の後に、上記端部加熱工程及び上記端部被覆工程を行うことができる。 【0031】また、請求項3に記載した発明のように、上記端部加熱工程及び上記端部被覆工程の後に、上記全体加熱工程及び上記全体被覆工程を行うことができる。すなわち、端部被覆工程を行ってから全体被覆を形成することができる。これにより、端部被覆と全体被覆との間に継ぎ目のない被覆層を形成することが可能となり、ワイヤの一体感が向上して外観見栄えも大幅に向上する。 【0032】本願の請求項4に記載した発明は、上記全体被覆工程の後に、ワイヤ全体を加熱する中間仕上加熱工程を含むものである。 【0033】本願発明では粉体樹脂を採用しているため、溶融付着後の被覆層の表面に凹凸が発生しやすい。これら凹凸が存在した状態で端部加熱工程を行って境界領域が不均一に加熱されると、仕上加熱工程において表面を平滑化できない恐れも生じる。上記中間仕上加熱工程を行うことにより、複雑な熱履歴が生じる前に、表面を平滑化することが可能となり、表面精度の高い見栄えのよい被覆層を形成できる。また、熱可塑性樹脂に熱硬化性樹脂を配合した粉体樹脂で全体被覆層を形成した場合、上記中間仕上加熱工程を行うことにより、全体被覆層の保形性が高まる。このため、後の加熱工程において被覆層が変形等するのを防止できる。 【0034】本願の請求項5に記載した発明は、上記端部被覆工程の後に、ワイヤ端部を加熱する端部仕上加熱工程を含むものである。 【0035】熱硬化性樹脂は、所定以上の温度に加熱保持することにより、溶融状態から次第に硬化する特性がある。したがって、上記中間仕上加熱工程と同様に、全体仕上加熱工程を行う前に、端部被覆層の表面を平滑化するとともに硬化させることにより、表面精度及び保形性の高い端部被覆層を形成できる。 【0036】上記粉体状熱可塑性樹脂として、熱可塑性ポリエステル樹脂を採用できる。熱可塑性ポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の再生可能な飽和ポリエステル樹脂を採用するのが好ましい。 【0037】本願の請求項9に記載した発明は、上記熱可塑性ポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分とする粉体状樹脂、又はポリエチレンナフタレート樹脂を主成分とする粉体状樹脂を採用したものである。ポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレンナフタレート樹脂は、機械的強度、耐熱性、耐水性に優れる。しかも、ナイロン樹脂のように窒素成分を含まないため、焼却しても有毒ガスが発生せず、環境を害することが少ない。特に、ポリエチレンテレフタレート樹脂は安価であり、採用しやすい。また、純粋成分の樹脂を採用することもできるが、これらの樹脂を主成分として、増量剤や着色剤、さらには他の樹脂を配合した樹脂も採用できる。たとえば、純粋なポリエチレンテレフタレート樹脂に接合強度を強化する強化成分を配合することができる。たとえば、ポリエチレンテレフタレート樹脂より融点の低い熱可塑性樹脂を配合することにより、接合強度高めることができる。また、保形性を高めるために、スチレン−グリシジルメタレート等のドローダウン改良剤を配合することもできる。 【0038】一方、ポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレンナフタレート樹脂は結晶性樹脂であり、熱履歴によって特性が大きく変化し、繰り返し加熱、徐冷すると結晶化が過度に進行して、柔軟性がなくなる。また、接合強度が低いため、二度塗りの用途に用いられることはなかった。特に、ワイヤの端部に端部被覆層を形成する本願発明では、全体加熱工程と端部加熱工程との少なくとも2度の加熱工程を含むため、従来の手法で端部被覆層を形成すると、被覆層に柔軟性がなくなり、金属ワイヤが変形すると被覆層がワイヤ本体から剥落し易くなる。 【0039】本願発明では、加熱状態から上記ワイヤを急冷する急冷工程を行うことにより、上記問題を解決した。ポリエチレンテレフタレート樹脂の結晶化は130℃〜170℃の間で大きく進行するため、この温度領域にある時間を短くするように、溶融温度近傍から常温まで急冷すればよい。たとえば、仕上加熱工程の終了と同時に冷却水中に投入したり、低温度の空気を吹き付ける等の手法を採用できる。 【0040】溶融状態から急冷することにより、結晶化が進んだ組織を非晶質化することが可能となり、被覆層を柔軟化することが可能となる。 【0041】請求項10に記載した発明のように、上記熱可塑性ポリエステル樹脂として再生樹脂を採用することができる。特に、上記ポリエチレンテレフタレート樹脂及び上記ポリエチレンナフタレート樹脂は、ペットボトルに多用されており、再生利用が可能な樹脂である。また、これら樹脂のリサイクル利用が望まれている。再生ポリエチレンテレフタレート樹脂あるいは再生ポリエチレンナフタレート樹脂は、ペットボトル等から得られた再生成分を主成分とし、これに結合剤等が配合されたものである。上記のような再生樹脂を利用しても、十分な強度を確保できる。また、再生品を使用することによって、樹脂のリサイクルに貢献することもできる。なお、上記ポリエチレンテレフタレート樹脂及び上記ポリエチレンナフタレート樹脂以外に配合される結合剤等にも、焼却した際に有毒ガスを発生しないものを採用するのが好ましい。 【0042】請求項11に記載した発明は、上記熱硬化性樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする粉体状樹脂を採用したものである。不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂に触媒、反応促進剤等を添加して構成される。不飽和ポリエステル樹脂も、焼却しても有毒ガスを発生しない。また、粉末状不飽和ポリエステル樹脂は、加熱初期においては、溶融してワイヤの端部に溶融付着させることができるとともに、表面を平滑化することができる。したがって、上記熱硬化性樹脂を採用する場合、表面を平滑化させる温度に所定時間保持して、その後温度を高めて硬化させ、保形強度高めるのが好ましい。 【0043】本願の請求項12に記載した発明は、被服の形状を保持するために被服に挿入される被服保形用金属ワイヤのコーティング構造であって、上記金属ワイヤの表面全域に熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂を主成分とする粉体状樹脂を溶融付着させて形成された全体被覆層と、上記ワイヤの少なくとも一方の端部において、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を含む粉体状樹脂を溶融付着させて形成された端部被覆層とを備えて構成されるものである。 【0044】本願の請求項13に記載した発明は、上記全体被覆層を覆うように、上記端部被覆層が積層形成されているものである。すなわち、上記端部被覆層は、上記全体被覆層を形成した後に形成される。 【0045】本願の請求項14に記載した発明は、上記端部被覆層を覆うように、上記全体被覆層が積層形成されているものである。すなわち、上記全体被覆層は、上記端部被覆層を形成した後に形成される。本請求項に係る発明によれば、全体被覆層と端部被覆層との境界がなくなり、見栄えのよいコーティングワイヤを形成できる。 【0046】本願の請求項15に記載した発明は、上記熱可塑性樹脂を主成分とする粉体状樹脂を、粉体状熱可塑性樹脂に粉体状熱硬化性樹脂を3〜25重量%配合して構成したものである。 【0047】本願の請求項16に記載した発明は、上記熱硬化性樹脂を含む粉体状樹脂を、粉体状熱可塑性樹脂に粉体状熱硬化性樹脂を3重量%以上配合して構成したものである。作業性を高めるには、粉体状熱硬化性樹脂の配合割合を3〜25重量%に設定するのが好ましい。 【0048】本願の請求項17に記載した発明は、上記熱可塑性樹脂として、熱可塑性ポリエステル樹脂を採用したものである。 【0049】上記熱可塑性ポリエステル樹脂として、請求項18に記載した発明のように、ポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分とする樹脂、又はポリエチンナフタレート樹脂を主成分とする樹脂を採用できる。 【0050】請求項19に記載した発明は、上記熱可塑性ポリエステル樹脂として、再生樹脂を採用したものである。 【0051】請求項20に記載した発明は、上記熱硬化性樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂を採用したものである。 【0052】本願の請求項21に記載した発明は、被服の形状を保持するために被服に挿入される被服保形用金属ワイヤのコーティング材であって、粉体状熱可塑樹脂を主成分として、粉体状熱硬化性樹脂を3重量%以上配合したものである。 【0053】粉体状熱可塑性樹脂に粉体状熱硬化性樹脂を配合することにより、ワイヤ表面及び他の被覆層に対する接合強度が大幅に高まる。したがって、積層被覆した場合の被覆層間の接合強度も高まる。また、熱硬化性樹脂が硬化させられるため、仕上加熱工程等の作業途中における保形性も高まり、変形が生じたり表面に傷等が生じるのを有効に防止できる。 【0054】なお、粉体状熱硬化性樹脂の配合割合が高くなると、硬化時間が長くなり、温度及び時間管理を行わねばならない。したがって、請求項22に記載した発明のように、上記粉体状熱硬化性樹脂を3重量%〜25重量パーセント配合するのが好ましい。 【0055】また、請求項23に記載した発明のように、上記粉体状熱硬化性樹脂の熱硬化促進温度が、上記粉体状熱硬化性樹脂のコーティング加工温度又は溶融温度より低いものを採用するのが好ましい。熱可塑性樹脂が保形性を保持している間に熱硬化性樹脂を硬化させて、後の加熱工程における被覆層の保形性を高めることができる。 【0056】本願の請求項24に記載した発明は、上記粉体状熱可塑性樹脂として粉体状熱可塑性ポリエステル樹脂を採用するとともに、上記粉体状熱硬化性樹脂として粉体状熱硬化性ポリエステル樹脂を採用したものである。 【0057】本願の請求項25に記載した発明は、上記粉体状熱可塑性樹脂として再生樹脂を採用したものである。 【0058】 【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態を具体的に説明する。 【0059】図1に示すように、ブラジャー1のカップ部2の下縁に沿って、保形ワイヤ3が挿入されている。なお、本実施の形態は、図1及び図2に示すように、ブラジャー1の保形ワイヤ3に本願発明を適用したものであるが、ガードル等他の被服の保形ワイヤに本願発明を適用することもできる。 【0060】上記保形ワイヤ3は、図2及び図7に示すように、断面矩形状の構造用炭素鋼線を略円弧状に成形したワイヤ本体4と、このワイヤ本体4の表面全域に形成された全体被覆層5と、上記ワイヤ本体4の両端部において上記全体被覆層5に重ねて被覆形成された端部被覆層6とを備えて構成される。 【0061】上記全体被覆層5は、リサイクルによって再生されたポリエチレンテレフタレート樹脂を用いて形成されている。また、上記端部被覆層6にも、熱硬化性の不飽和ポリエステル樹脂を配合した再生ポリエチレンタレフタレート樹脂を採用している。 【0062】上記再生ポリエチレンテレフタレート樹脂は、使用済ペットボトル等を粉砕して不純物を除去するとともに、結合剤として変成ポリエステル樹脂や無水マレイン酸変成ポリオレフィン樹脂等を加えて溶融混練してペレットを形成し、このペレットを粉砕して粉体状にしたものである。実施の形態では、上記再生ポリエチレンテレフタレート樹脂のペレットを100〜250μmの粒度に粉砕して形成されたものを使用した。 【0063】上記再生ポリエチレンテレフタレート樹脂は、リサイクル樹脂100重量部に対して、上記結合剤を3〜40重量部添加して形成することができる。なお、採用できる再生ポリエチレンテレフタレート樹脂は上記のものに限定されることはなく、種々の手法で再生された再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を採用することができる。 【0064】本実施の形態において結合剤として配合される上記変成ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂40重量%と、ポリブチレンテレフタレート樹脂40重量%と、低分子量オレフィンワックス20重量%とを混合して形成することができる。一方、上記無水マレイン酸変成ポリオレフィン樹脂は、低分子オレフィン樹脂100重量部に無水マレイン酸を10〜40重量部混練して形成することができる。 【0065】本実施の形態では、上記のようにして形成された粉体状再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を、流動浸漬法によって上記保形ワイヤの表面にコーティングする。 【0066】なお、全体被覆層に用いる樹脂は、上記の再生ポリエチレンテレフタレート樹脂に限定されることはなく、バージンのポリエチレンテレフタレート樹脂を粉砕して形成した粉体状樹脂も採用できる。 【0067】ポリエチレンテレフタレート樹脂は、強靱で、耐熱性、耐候性が優れ、吸水性も低い。また、焼却しても窒素ガス等の有毒ガスが生じることもない。また、再生可能な樹脂であり、再生樹脂の用途開発が望まれている。 【0068】一方、ポリエチレンテレフタレート樹脂は結晶性が高く、過度に結晶化が進行すると柔軟性が低下して、ワイヤが撓んだ際に被覆層がワイヤ表面から剥離する恐れがある。上記結晶化は、自然冷却させた場合のように、冷却速度が遅いと生じやすい。特に、130〜170℃の温度領域にある時間が長いと結晶化が過度に進行して柔軟性が大きく低下する。また、本実施の形態では、全体被覆層と端部被覆層とを形成するために2度以上の加熱冷却を行うため、先に形成した被覆層の熱履歴が不均一になり、部分的な結晶化が進行しやすい。このため、これまで、ポリエチレンテレフタレート系樹脂の積層被覆は、行われていなかった。 【0069】しかも、上記端部被覆層6は、全体被覆層5の上に積層形成した構造であるため、従来の熱可塑性樹脂を採用した場合には、異物に接触して変形しやすく、加工中に形態を保持するのが困難であった。 【0070】本願発明は、上記問題を解決して、環境に優しい再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いて全体被覆層5の上に端部被覆層6を積層形成したものである。 【0071】以下、本願発明に係るコーティング構造の形成方法をフローチャートに基づいて説明する。 【0072】図3に本願発明に係るコーティング方法の第1の実施の形態に係るフローチャートを示す。 【0073】まず、図5に示すように、構造用炭素鋼線を円弧状に成形し、焼き入れ加工を行ったワイヤ本体4の全体を加熱する全体加熱工程を行う(S101)。加熱温度は、粉体状樹脂を上記ワイヤ本体4の表面に溶融付着させる温度に設定すればよい。本実施の形態では、430〜480℃に加熱する。 【0074】上記加熱したワイヤ本体4を上記粉体樹脂を満たした流動浸漬槽に投入して全体被覆工程を行う(S102)。上記流動浸漬槽は、下方から空気を吹き込んで粉体樹脂を流動させるものであり、既知の装置を用いることができる。上記流動浸漬槽内で、上記ワイヤ本体4に接触する粉体状樹脂が溶融させられワイヤ本体4の表面全域を被覆する全体被覆層5が形成される。また、上記全体被覆工程を行う間に、上記ワイヤ本体4及び全体被覆層5は、室温程度まで冷却される。これにより、図6に示すように、ワイヤ本体4の表面全域に全体被覆層5が形成された保形ワイヤが形成される。この状態では、全体被覆層5の表面には、粉体状樹脂によって形成された凹凸が存在する。 【0075】次に、上記全体被覆層5を形成したワイヤの両端部を再加熱する端部加熱工程を行う(S103)。上記ワイヤ本体4及び全体被覆層5は冷却されているため、ワイヤの中間部を保持して端部のみを容易に加熱することができる。加熱温度は、次に行う端部被覆層の粉体状樹脂を溶融付着させることのできる温度に設定される。本実施の形態では、上記全体被覆工程と同様に430〜480℃に加熱する。 【0076】次に全体被覆層5が形成された上記ワイヤ本体4の両端部を流動浸漬槽に挿入し、端部に粉末状樹脂を溶着させて端部被覆層6を形成する端部被覆工程を行う(S104)。 【0077】本実施の形態では、端部被覆工程(S104)において、粉体状熱硬化性ポリエステル樹脂を含む粉体状樹脂を採用する。粉体状熱硬化性ポリエステル樹脂は、常温では固体であり、加熱により軟化あるいは溶融するが、所定温度を越えた状態では硬化が促進されるものである。実施の形態では、上記全体被覆層5を構成する粉体状再生ポリエチンテレフタレート樹脂に、粉体状不飽和ポリエステル樹脂を7重量%配合したものを採用した。上記粉体状不飽和ポリエステル樹脂を配合することにより、全体被覆層5に対する接合強度を大幅に高めることが可能となった。 【0078】上記端部被覆層6を形成した後、少なくとも、上記熱硬化性ポリエステル樹脂の硬化温度以上に所定時間保持する端部仕上加熱工程を行う(S105)。本実施の形態では、ワイヤ端部を320〜450℃に加熱した状態で30〜120秒保持する。上記端部仕上加熱工程において、上記粉末状不飽和ポリエステル樹脂の表面が平滑化されるとともに硬化させられる。なお、上記端部仕上工程におていは、端部被覆層6内の熱硬化性樹脂成分を完全に硬化させる必要はない。次に行う全体被覆工程あるいは仕上加熱工程において、変形等が生じにくい程度に硬化させれば足りる。 【0079】上記端部仕上加熱工程が終了した後、ワイヤ全体を加熱する仕上加熱工程を行う(S106)。上記仕上加熱工程は、上記全体被覆層5の凹凸をなくして表面精度を高めるとともに、端部被覆層6の硬化を完成させるために行われる。本実施の形態では、ワイヤ全体を260〜300℃に加熱して40秒〜80秒保持することにより行われる。 【0080】本実施の形態では、端部被覆層6内の不飽和ポリエステル樹脂成分がある程度硬化しているため、変形しにくく、また傷つきにくい。このため、ベルト等の上に上記ワイヤを載置して仕上加熱工程を行っても端部被覆層6が変形しにくい。また、上記端部被覆層6を保持して仕上加熱工程を行うことも可能となる。 【0081】次に、上記仕上加熱工程を終えたワイヤを急冷する急冷工程が行われる(S107)。本実施の形態における急冷工程は、上記仕上加熱工程に引き続いて、ワイヤの温度が低下しないうちに、水中に投入して常温まで急冷することにより行われる。本実施の形態では、ポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分とする被覆層を形成しているため、耐水性が高く、水冷しても被覆層に水分が吸収されることはほとんどない。なお、上記急冷工程は、仕上げ加熱と別途に加熱した後に行うこともできる。また、水冷できない樹脂では、冷却した空気を吹き付けることによって急冷工程を行うこともできる。 【0082】ポリエチレンテレフタレート樹脂の結晶化は、130〜170℃の温度領域で進行する。このため、上記温度領域を素早く通過させて冷却させるのが好ましい。なお、他の樹脂を採用した場合には、上記結晶化が促進される温度領域が異なり、採用した樹脂によって急冷開始温度は異なる。 【0083】急冷すると、結晶化が促進されず柔軟な被覆層が形成される。このため、ワイヤ本体が撓んでも、被覆層がワイヤから剥離する恐れはなくなる。 【0084】上記急冷工程の後、ワイヤを乾燥させる乾燥工程が行われる(S108)。本実施の形態では、常温の乾燥空気を吹き付けることにより行われる。 【0085】図8及び図9に示すように、上記方法によって形成されるコーティング構造は、ワイヤ本体4の全表面に全体被覆層5が形成されるとともに、上記ワイヤ本体4の両端部において端部被覆層6が上記全体被覆層5の上に積層して形成されている。 【0086】図4に、本願発明の第2の実施の形態を示す。なお、本実施の形態におけるワイヤのコーティング構造は、第1の実施の形態と同様であるので説明は省略する。 【0087】本実施の形態では、全体被覆工程(S202)の後に、中間仕上加熱工程(S203)を行うものである。上記中間仕上加熱工程を行うことにより、全体被覆層5の凹凸を平滑化して表面精度を高めることができる。本実施の形態では、260〜320℃に約30〜60秒保持する。 【0088】ポリエチレンテレフタレート樹脂は結晶性樹脂であるため、結晶化が進むと融点が上昇し、あるいは溶融するまでの時間が延びる。このため、中間仕上加熱工程を行うことにより、表面精度を高めるとともに全体被覆層の保形性を向上させ、端部加熱工程及び仕上加熱工程における全体被覆の変形等を防止することが可能となる。 【0089】また、本実施の形態では、上記全体被覆層5を構成する樹脂として、第1の実施の形態の再生ポリエチレンテレフタレート樹脂に粉体状不飽和ポリエステル樹脂を約5重量%配合している。上記粉体状不飽和ポリエステル樹脂を配合することにより、ワイヤ本体4に対する全体被覆層5の接合強度を大幅に高めることが可能となる。また、上記中間加仕上工程を行うことにより、熱硬化性樹脂である上記粉体状不飽和ポリエステル樹脂が、熱可塑性樹脂である上記再生ポリエチレンテレフタレート樹脂内で硬化させられる。これにより、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂が軟化しても、全体被覆層5の保形性が大幅に高められる。 【0090】上記端部被覆層6内の熱硬化性樹脂成分は、端部仕上加熱工程において完全に硬化させる必要はなく、仕上げ加熱工程において保持するに足る保形性を確保すればよく、仕上加熱工程(S207)において完全に硬化できればよい。 【0091】図10から図14に、本願発明の第3の実施の形態を示す。 【0092】図11及び図12に示すように、本実施の形態は、ワイヤ本体14に端部被覆層16をまず形成し、その後に、全体被覆層15を形成するものである。 【0093】図10に本実施の形態に係る保形ワイヤのコーティング方法のフローチャートを示す。 【0094】この図に示すように、先ずワイヤ本体14の端部を加熱する端部加熱工程を行う(S301)。上記端部加熱工程における加熱温度は、上記第1の実施の形態と同様に430〜480℃に設定される。なお、端部のみ加熱するため、均一な温度に加熱するのは困難であり、ワイヤ全体を加熱する場合に比べて若干高い温度に設定するのが好ましい。 【0095】上記端部加熱工程で加熱されたワイヤ本体14の端部を、粉体状樹脂が満たされた流動浸漬槽に浸漬する端部被覆工程が行われる(S302)。上記端部被覆工程における樹脂も、上述した実施の形態と同様に、不飽和ポリエステル樹脂、又は再生ポリエチレンテレフタレート樹脂に不飽和ポリエステル樹脂を3重量%以上配合したものを採用できる。また、端部被覆工程が終了した後に、端部仕上加熱工程を設定し、端部被覆層の保形性を高めてから全体加熱工程を行うこともできる。 【0096】上記端部被覆工程を終えた後、全体加熱工程が行われる(S303)。上記全体加熱工程において、上記端部被覆層を硬化させ保形性を向上させることができる。 【0097】次に、上記全体加熱工程において加熱されたワイヤを流動浸漬槽に投入する全体被覆工程が行われる(S304)。上記全体被覆工程において粉体状の樹脂がワイヤの表面全域に溶融付着される。 【0098】次に、上記ワイヤの全体を加熱する全体仕上加熱工程を行う(S305)。本実施の形態においても、端部被覆層の保形性が向上しているため、全体仕上加熱工程において、端部被覆層が変形等するのを防止できる。上記全体加熱工程を行うことにより、上述した実施の形態と同様に、上記全体被覆層15の表面の凹凸を除去し、表面精度を高めることができる。 【0099】その後、上述した実施の形態と同様に、急冷工程(S306)及び乾燥工程(S307)が行われる。 【0100】図13及び図14に示すように、第3の実施の形態に係る方法によって製造された保形ワイヤ13は、端部被覆層16の外側に全体被覆層15が形成されている。このため、第1の実施の形態のように、端部被覆層16と全体被覆15の境界がなく見栄えがよい。 【0101】本願発明は上述した実施の形態に限定されることはない。実施の形態では、全体被覆層に、熱硬化性樹脂を配合した再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を採用したが、バージンの粉体状ポリエチレンテレフタレート樹脂を採用することができる。また、樹脂に着色剤や抗菌剤等を配合することもできる。 【0102】また、本実施の形態では、ブラジャーの保形ワイヤに本願発明を適用したが、ガードル等の他の被服に用いられる保形ワイヤに本願発明を適用することもできる。 【0103】また、実施の形態では、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂に不飽和ポリエステル樹脂を配合した樹脂で端部被覆層を形成したが、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂のみで、全体被覆層及び端部被覆層を形成することもできる。 【0104】また、本実施の形態では、接合強度及び保形性を改善するため、粉体状ポリエチレンテレフタレート樹脂に粉体状不飽和ポリエステル樹脂を配合したが、他の樹脂を改良剤として配合することもできる。 【0105】ポリエチレンテレフタレート樹脂より融点が低い樹脂、たとえば、粉体状ポリエチレン樹脂、粉体状ポリプロピレン樹脂、粉体状ビニル系樹脂等を改良剤として配合することにより、接合性能を高めることができる。一方、保形性を高めるため、スチレン−グリシジルメタレート等のドローダウン改良剤や保形性を高めるための種々の強化剤を配合することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】595133057 【氏名又は名称】本間 勲
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| 【出願日】 |
平成14年4月10日(2002.4.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100101605 【弁理士】 【氏名又は名称】盛田 昌宏
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| 【公開番号】 |
特開2003−306805(P2003−306805A) |
| 【公開日】 |
平成15年10月31日(2003.10.31) |
| 【出願番号】 |
特願2002−107638(P2002−107638) |
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