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【発明の名称】 パッド及びカップ部を有する衣類
【発明者】 【氏名】湯浅 勝
【住所又は居所】京都府京都市南区吉祥院中島町29番地 株式会社ワコール内

【要約】 【課題】本発明は、ブラジャー等のカップ部を有する衣類において用いられるパッド、特にバストへのフィット性及びバストの補整機能、造形性に優れ、圧迫感や痛みのない構造を有するパッドを提供する。

【解決手段】カップ部を有する衣類のカップ部に装着して使用するパッドであって、バージスラインから乳房に沿って湾曲した面状に成形されてなり、かつ、弾性を有する樹脂又は弾性を有する金属からなる芯材と、1以上のクッション材とからなることを特徴とするパッド。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カップ部を有する衣類のカップ部に装着して使用するパッドであって、バージスラインから乳房に沿って湾曲した面状に成形されてなり、かつ、弾性を有する樹脂又は弾性を有する金属からなる芯材と、1以上のクッション材とからなることを特徴とするパッド。
【請求項2】 前記芯材が、エンジニアリングプラスチック又はエラストマーから成形されてなることを特徴とする請求項1記載のパッド。
【請求項3】 前記芯材が、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂又はポリフェニレンサルファイドから成形されてなることを特徴とする請求項2記載のパッド。
【請求項4】 前記芯材が、オレフィン系、ポリエステル系、スチレン系、ポリアミド系エラストマーから成形されてなることを特徴とする請求項2記載のパッド。
【請求項5】 前記芯材が、スチール、ステンレス又は合金から成形されてなることを特徴とする請求項1記載のパッド。
【請求項6】 前記芯材を、1つのクッション材の片面に配置してなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパッド。
【請求項7】 前記芯材を、2以上のクッション材の間に配置してなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパッド。
【請求項8】 請求項1乃至7のいずれか一項に記載のパッドをカップ部に装着してなることを特徴とするカップ部を有する衣類。
【請求項9】 前記カップ部を有する衣類のカップ部において、前記パッドがカップ部に着脱自在に装着されることを特徴とする請求項8記載のカップ部を有する衣類。
【請求項10】 ブラジャー、水着、スポーツ用ブラジャー、レオタード、トップス、ブラスリップ、ブラキャミソール、ボディスーツから選ばれることを特徴とする請求項8又は9記載のカップ部を有する衣類。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラジャー等のカップ部を有する衣類において用いられるパッド、特にバストへのフィット性及びバストの造形性に優れるパッドに関する。
【0002】
【従来の技術】ブラジャー等のカップ部を有する衣類には、バストの造形性を高めるための補整部材として、カップ部に取付ける、あるいはカップ部そのものを形成するパッドを用いることが多い。パッドとしては、一定の厚みを持つ弾性体を成形したものが多く用いられるが、このようなパッドを装着した衣類を着用していると、時間の経過や身体の動作等によって、カップのずれやずり下がり等による違和感が生じるようになる。
【0003】そこで、バストの補整とともに、カップの保持、保形を目的として、乳房の周辺部に沿う略U字状の形状を有するワイヤーを配設したものが多い。このようなワイヤーは剛性が高いので補整性が高く、カップを安定させ、振動することなく身体にブラジャーを密着させるために使用されている。
【0004】ブラジャー等のカップ部は、直接肌に装着するので乳房に優しく当たることが要求されるが、上記のような剛性の高いワイヤーを挿入したものは、ブラジャーを数時間装着していると、細いワイヤーが身体に局部的に感じられるようになり、また、身体の動作等によってワイヤーがバージスラインよりずれることによっても、不快感を生じ、圧迫感や痛みを覚えるようになってくる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点を解決し、バストの補整機能及び優れた造形性を有しつつ、ワイヤーによる圧迫感や痛みのない構造を有するパッド及びそれを用いたカップ部を有する衣類を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、カップ部を有する衣類のカップ部に装着して使用するパッドであって、バージスラインから乳房に沿って湾曲した面状に成形されてなる、弾性を有する樹脂又は弾性を有する金属からなる芯材と1以上のクッション材とからなることを特徴とするパッドを提供する。
【0007】本発明のカップ部を構成するパッドは、バージスラインから乳房に沿って湾曲した面状に成形されてなる弾性を有する樹脂又は弾性を有する金属からなる芯材と、1以上のクッション材とからなり、バージスラインから乳房に沿って湾曲した面状の弾性を有する芯材によって左右横方向(水平方向)及び下方から乳房を保持し持ち上げるのに加え、クッション材によっても下方から乳房を保持し持ち上げるので、バストの補整機能及び造形性に優れたものとなる。
【0008】また、従来のワイヤーの入ったブラジャーにおいて、ワイヤーはバージスラインに沿った形でカップ部と土台の境界線状に固定されており、ワイヤーと土台部、カップ部、バックが一体構造になっている。そのため、身体にひねりを生じる動きや、手を挙げる動作、胸を張る動作をした場合、ワイヤーは土台部やバック布と連動して動くため、脇部にねじれが生じたり、中央下端部にひずみが生じたりして、着用者が痛みを感じることになる。一方、従来のワイヤーの機能を有する本発明の芯材は、1以上のクッション材とからなり、カップ部の中に可動な状態で収めることが可能である。そのため、身体を動かした際も、ワイヤーが土台部やバック布の動きと連動することなく、ワイヤー部にねじれやひずみを生じることが少なく、着用者は痛みを感じることもない。
【0009】また、本発明の芯材は、従来の細いワイヤーと異なり、一定の面積を有する面状であるため、身体に局部的な圧迫感を与えることなく、カップ部自体の保形や保持ができる。
【0010】本発明の芯材を形成する素材としては、弾性を有する樹脂又は弾性を有する金属を用いる。樹脂としては、エンジニアリングプラスチックやエラストマーが用いられる。本発明で用いられるエンジニアリングプラスチックとしては、ポリアセタール、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエールクトン、ポリアミドイミド等が挙げられ、この中で、強靭性、耐疲労性、耐摩耗性、耐水性等の点から、ポリアセタールを用いるのが好ましい。また、エラストマーとしては、オレフィン系、ポリエステル系、スチレン系、ポリアミド系エラストマー等が挙げられる。金属としては、スチール、ステンレス、合金等が好ましく、具体的には、スチールの炭素鋼、ばね鋼、オースティナイト系ステンレス鋼、Ni−Ti合金等の形状記憶合金、チタン合金、アモルファス金属等の弾性を有するものが挙げられる。
【0011】本発明の芯材は、バージスラインから乳房に沿って湾曲した、3次元面形状のものが用いられる。芯材を3次元面形状に成形する方法は特に限定されず、樹脂を用いる場合、例えば射出成形等が挙げられ、金属を用いる場合、公知の型抜きプレス成形等の金属加工法によって成形される。本発明の芯材の厚さは、樹脂や金属の硬度に応じて適宜設定することが可能であり、特に限定されるものではないが、着用時の快適さ等の点から、樹脂を用いる場合は1.0mm〜3.0mmの範囲が好ましく、金属を用いる場合は0.3mm〜1.0mmの範囲が好ましい。また、本発明の芯材の大きさは、後述するクッション材に合わせて、適宜設定することができ、特に限定されるものではない。
【0012】本発明のクッション材を形成する素材としては、肌ざわりのよい素材であれば特に限定されるものではないが、ウレタンフォーム、不織布、ダブルニット、ダブルラッセル等を用いるのが好ましい。
【0013】本発明のクッション材の厚さは、パッド本体の形状がバストにフィットする形状に維持される範囲であればよく、特に限定されるものではないが、3.0mm〜10.0mmの範囲が好ましい。また、本発明のクッション材の形状は、バストアップが図れる形状であれば特に制限されるものではないが、バストを自然に美しく見せるため乳房及びカップ部にフィットする形状であることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に図面を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。図1に、本発明の実施形態の一例であるパッドの成形概要を示す。図1(a)はパッドの構成要素を模式的に示す図、図1(b)はパッドの正面図、図1(c)はパッドのa−a断面図である。ポリアセタール樹脂を、射出成形によってバージスラインから乳房に沿う形状に成形し、芯材2とし、2つのクッション材3a,3bの間に挟んでクッション材の外周を縫合し、パッド1を形成する。このようなパッド1は、芯材2がバージスラインから乳房に沿って湾曲した面状であるため、乳房にフィットし、着用感に優れる。また、バージスラインから乳房に沿って湾曲した面状の弾性を有する芯材2によって左右横方向(水平方向)及び下方から乳房を保持し持ち上げるためバストの補整機能及び造形性に優れるとともに、クッション材3によっても下方から乳房を保持し持ち上げるので、さらに補整機能及び造形効果が高まる。
【0015】また、上記のような複数のクッション材ではなく、1つの芯材と1つのクッション材からなるパッドとすることもできる。図2に、本発明の実施形態の他の例であるパッドの成形概要を示す。図2(a)はパッドの構成要素を模式的に示す図、図2(b)はパッドの正面図、図2(c)はパッドのb−b断面図である。芯材2は、例えば、射出成形や、ヒートシール、接着剤による接合などによってクッション材3aの片面に取付けることができる。このようなパッド1は、芯材2がバージスラインから乳房に沿って湾曲した面状であるため、乳房にフィットし、着用感に優れる。また、バージスラインから乳房に沿って湾曲した面状の弾性を有する芯材2によって左右横方向(水平方向)及び下方から乳房を保持し持ち上げるためバストの補整機能及び造形性に優れるとともに、クッション材3によっても下方から乳房を保持し持ち上げるので、さらに補整機能及び造形効果が高まる。
【0016】さらには、図2に示したクッション材に別のクッション材を着脱可能に成形したパッドとすることもできる。図3に、本発明の実施形態の他の例であるパッドの成形概要を示す。着脱自在な2つのクッション材3a’,3b’は、例えば、片方のクッション材にマジックテープ(登録商標)が結合する素材を使って、マジックテープ(登録商標)を用いて接着することが可能である。このようなパッドは、芯材2がバージスラインから乳房に沿って湾曲した面状であるため、乳房にフィットし、着用感に優れる。また、バージスラインから乳房に沿って湾曲した面状の弾性を有する芯材2によって左右横方向(水平方向)及び下方から乳房を保持し持ち上げるためバストの補整機能及び造形性に優れるとともに、クッション材3によっても下方から乳房を保持し持ち上げるので、さらに補整機能及び造形効果が高まる。さらに、2つのクッション材3a’,3b’を着脱可能にすることにより、任意にパッド1の厚みを調節することが可能となる。
【0017】クッション材3の形状の例としては、例えば図4(イ)〜(ト)に示すものが挙げられる。併せて使用する芯材2は、クッション材3と同形状でもよいし、異なっていてもよい。芯材2及びクッション材3の形状は、例えば図4(ホ)に示すように身体の中央部側にあたる部分M(図7)より、脇部にあたる部分S(図7)の面積を大きくすることによって、よりバストのボリュームアップを図れる。
【0018】図5は、本発明の実施形態の一例であるパッド1を装着したブラジャー4を裏側(着用時の肌側)から見た概略平面図及びc−c断面を概略的に示した図である。また、図9は、従来のブラジャーの例としてワイヤーWを使用したブラジャー4’の概略平面図及びc’−c’断面を概略的に示した図である。図5(a)に示すように、本発明のパッド1を装着したブラジャー4は、ワイヤーを使用する必要がないため、カップ部5とブラジャーの土台6とを同じ傾斜に作製することができ、図9に示されるカップ部と土台との局面Kをなくすことができる。このようにカップ部と土台との局面Kをなくすことより、カップ部のバージスライン7が、よりしなやかにバストにフィットする。
【0019】本発明のパッド1のカップ部への装着方法としては、図示しないが、例えばカップ部を有する衣類のカップ部に袋状のパッド収容部を設け、該パッド収容部に本発明のパッドを挿入する方法が、所望のパッドを使用でき、洗濯時の取り扱い性などに優れる。また、マジックテープ(登録商標)等による装着も同様に、所望のパッドを使用でき、洗濯時の取り扱い性などに優れる。また、パッド外周やパッドの下辺部のみをカップ部に縫い付ける装着方法も可能である。尚、作業行程を省くために、図6に示すように、本発明の芯材2とクッション材3を一体化させずに、芯材2をクッション材3で覆うようにして、カップ部5に縫い付けることも可能である。
【0020】図7に、本発明のパッド1をブラジャー4に使用し、着用した状態図を示す。図7において、本発明のパッドによるバストアップ効果を矢印X,Y,Zで示す。バージスラインから乳房に沿って湾曲した面状の弾性を有する芯材によって、Y方向に乳房を保持し持ち上げ、ブラジャーの着用によって広げられた芯材の復元力によりX方向及びZ方向に乳房を保持し持ち上げる。
【0021】上記のようにして作製されたブラジャーを着用した状態で、バージスライン7に沿って図8に示すA〜E点にかかる圧力を測定したところ、バージスライン7両端のA点及びE点において、共に圧力が低く、中央付近のB,C,D点では圧力が高いという結果が得られた。また、パッド部全体では、圧力はほぼ均一に分布していた。上記の結果から、本発明のパッドは、圧力の存在を感じにくく、不快感のないパッドであることがわかる。
【0022】本発明において、カップ布やストラップ部、繋止部などの本発明のパッド以外の部分の構成は特に限定されず、その素材、形状、製造方法等は本発明の作用を阻害しない範囲で通常一般のものが使用できる。
【0023】本発明のパッドのサイズは、特に限定されない。また、カップ部はフルカップやハーフカップなど通常一般のカップと同様の形状であっても、カップ部の一部を構成するものであっても良い。
【0024】具体的に、本発明のパッドを使用できるカップ部を有する衣類としては、ブラジャー、水着、スポーツ用ブラジャー、レオタード、トップス、ブラスリップ、ブラキャミソール、ボディスーツ等が挙げられる。
【0025】
【発明の効果】本発明のカップ部に装着して使用するパッドは、バージスラインから乳房に沿って湾曲した面状に立体成形されてなる弾性を有する樹脂又は金属からなる芯材と1以上のクッション材とを組み合わせることにより、バストの補整機能及び優れた造形性を有しつつ、圧迫感や痛みのない構造を有するパッドを得ることができる。
【0026】また、本発明のカップ部に装着して使用するパッドは、バージスラインから乳房に沿って湾曲した面状の弾性を有する芯材によって左右横方向(水平方向)及び下方から乳房を保持し持ち上げるのに加え、クッション材によっても下方から乳房を保持し持ち上げるので、バストの補整機能及び造形性に優れ、身体に局部的な圧迫感を与えることなく、カップ部自体の保形や保持ができ、身体へのフィット性及び着用感に優れる。
【出願人】 【識別番号】000139399
【氏名又は名称】株式会社ワコール
【住所又は居所】京都府京都市南区吉祥院中島町29番地
【出願日】 平成14年4月15日(2002.4.15)
【代理人】 【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
【公開番号】 特開2003−306803(P2003−306803A)
【公開日】 平成15年10月31日(2003.10.31)
【出願番号】 特願2002−112541(P2002−112541)