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【発明の名称】 体型補整機能を有するブラジャー
【発明者】 【氏名】豊崎 純一
【住所又は居所】京都府京都市南区吉祥院中島町29番地 株式会社ワコール内

【要約】 【課題】緊迫力差のある部分の境界に段差がなく、段差がアウターウェアーに反映して着用者の外観を低下させる恐れのない小柄の密集体により体型補整機能を付与したブラジャーを提供する。

【解決手段】ジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、更に弾性糸が挿入されてなる経編地からなり、緊迫力の強弱の要求に応じて表側に現れる地編組織を切り替えて、比較的緊迫力の強い部分を小柄の密集体で全体形状を所定のパターン状にし、小柄部分(カップ部50の下辺部から脇側にかけての部分)51及び52の地編を各々2針の振りが入った割合がやや大きい、及び2針の振りが入った割合が更に大きいサテン調ネットにし、この小柄密集部を全体形状として見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンにしたブラジャー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、更に弾性糸が挿入されるか及び/又は弾性糸が編み込まれてなり、緊迫力の強弱の要求に応じて前記地編の表側に現れる編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設けた経編地からなる部分を含む体型補整機能を有するブラジャーであって、前記所定の比較的緊迫力の強い部分のパターンが、比較的緊迫力の強い地編組織からなる比較的小さな柄を前記柄と柄とが接触しないように所定のパターン状に多数密集させた小柄の一連の集合で形成されていて、且つ前記パターンの少なくとも一つが、前記小柄密集部を全体形状として見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンである体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項2】 ジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、挿入糸として弾性糸を用い、緊迫力の強弱の要求に応じて前記地編の表側に現れる編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設けた経編地からなる部分を含む体型補整機能を有するブラジャーであって、前記所定の比較的緊迫力の強い部分のパターンが、比較的緊迫力の強い地編組織からなる比較的小さな柄を前記柄と柄とが接触しないように所定のパターン状に多数密集させた小柄の一連の集合で形成されていて、且つ前記パターンの少なくとも一つが、前記小柄密集部を全体形状として見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンである体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項3】 緊迫力の強弱の要求に応じて、挿入する弾性糸及び/又は編み込む弾性糸の本数及び/または太さを変化させてなる請求項1または2のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項4】 ジャカード編からなる地編組織の表側に現れる地編組織が、サテン調ネット組織とメッシュ調ネット組織との組合わせからなる請求項1〜3のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項5】 ジャカード編からなる地編組織の表側に現れる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分がサテン調ネット組織からなり、比較的緊迫力の弱い部分がメッシュ調ネット組織からなる請求項1〜4のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項6】 ジャカード編からなる地編組織の表側に現れる地編組織が、サテン調トリコット組織とメッシュ調トリコット組織との組合わせからなる請求項1又は3のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項7】 ジャカード編からなる地編組織の表側に現れる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分がサテン調トリコット組織からなり、比較的緊迫力の弱い部分がメッシュ調トリコット組織からなる請求項1、3又は6のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項8】 ジャカード編からなる地編組織の表側に現れる地編組織が、サテン調ネット組織またはサテン調トリコット組織とメッシュ調経編レース組織との組合わせからなる請求項1又は3のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項9】 ジャカード編からなる地編組織の表側に現れる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分を、前者がサテン調ネット組織またはサテン調トリコット組織、後者がメッシュ調ネット組織またはメッシュ調トリコット組織の組合わせで構成し、前記組合わせ以外の部分の所望の部分を比較的緊迫力の弱い部分としてメッシュ調経編レース組織から構成してなる請求項1又は3のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項10】 比較的緊迫力の強い部分に挿入及び/又は編み込まれている弾性糸が、2本そろえて挿入及び/又は編み込まれている弾性糸であり、比較的緊迫力の弱い部分に挿入及び/又は編み込まれている弾性糸が、1本づつの弾性糸である請求項1〜9のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項11】 ジャカード編からなる地編組織の表側に現れる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分の内、より一層緊迫力の強い部分が、2針以上の振りが入った割合の大きいサテン調ネット組織である請求項1、2、3、4、5、8、9、10のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項12】 ジャカード編からなる地編組織の表側に現れる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分の内、より一層緊迫力の強い部分が、3針以上の振りが入った割合の大きいサテン調トリコット組織である請求項1、3、6、7、8、9、10のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項13】 ジャカード編からなる地編が20〜80デニールのナイロン糸からなる請求項1〜12のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項14】 挿入及び/又は編み込まれている弾性糸が、40〜560デニールのポリウレタン繊維糸である請求項1〜13のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項15】 ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンの比較的緊迫力の強い部分が、ブラジャーの乳房カップのカップ下辺部又は下辺部から脇にかけての部分である請求項1〜14のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項16】 ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンの比較的緊迫力の強い部分がブラジャーのバック布の少なくとも人体脇部に当接する部分に設けられている請求項1〜15のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項17】 小柄密集部を全体形状として見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンの部分の小柄と小柄の間の間隔が1cm以下である請求項1〜16のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【請求項18】 小柄密集部を全体形状として見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンの部分の小柄と小柄の間の間隔が0.5cm以下である請求項1〜16のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部分的に緊迫力の強い部分と弱い部分を有するジャカード編の経編地から構成された体型補整機能を有するブラジャーに関する。特に所定の比較的緊迫力の強い部分のパターンを比較的小さな柄を所定のパターン状に多数密集させた小柄の一連の集合で形成し、緊迫力の強い部分と弱い部分との境界に、実質的に大きな段差が生じないように、前記境界において地編の表側に現れる編組織を切り替えてなる経編地から構成された体型補整機能を有するブラジャーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ブラジャーなどにおいては、体型補整機能を付与するため、例えば贅肉部分を押え込んですっきりしたボディラインにしたい部分などの緊迫力を大きくしたい部分には、適宜の当て布をブラジャー本体生地の裏側または表側から当てがうことが最も一般的に行われている(例えば特許文献1参照)。
【0003】また、当て布を使用せずに、これらの当て布を当てがうべき部分に、弾力性のある合成樹脂液を塗布してこれらの部分の緊迫力を向上させ、同様に体型補整機能を持たせる試みも提案されている。
【0004】更に近年は、ブラジャーではないが丸編機を用い、当て布を使用せずに、これらの当て布を当てがうべき部分の緊迫力が大きくなる様に、丸編組織を変化させて、同様に体型補整機能を持たせる試みも提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−246205号公報【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、当て布によって緊迫力の大きい部分を形成した衣類は、当て布の存在する部分と当て布の存在しない部分との境界に厚みの相違による段差があるため、その段差がアウターウェアーに反映し、アウターウェアーの外側からも段差が見えてしまい、着用者の外観を著しく低下させると言う問題がある。更に当て布は衣類本体に縫合されるので、縫合部分の厚みの増大により、肌触りが低下したり、皮膚病(皮膚傷害)の原因となったりすると言う問題がある。
【0007】弾力性のある合成樹脂液を塗布して緊迫力を向上させる手法の場合には、合成樹脂が、布の編目をふさいでしまうため、通気性が大幅に低下し、蒸れやすいと言う問題がある。また、合成樹脂塗膜が肌に直接触れるので、着用感が低下すると言う問題がある。
【0008】また、丸編機を用い、当て布を使用せずに、これらの当て布を当てがうべき部分の緊迫力が大きくなる様に、丸編組織を変化させて、体型補整機能を持たせた衣類は、この様な緊迫力の変化を持たせると、丸編組織の安定性が悪いため、同じ丸編機を使用し、同じ繊維素材を用いて、同じ寸法に設計しても、仕上がり寸法のバラツキがかなり大きくなると言う問題がある。更に丸編品はいわゆる“伝染”が生じやすく、耐久性に問題があるとともに、大量に生産する場合に、生産性が悪いと言う問題がある。また、丸編みの場合には、経編ほど編み密度が高くできないと言う問題もある。
【0009】本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、緊迫力の大きな部分と小さな部分との境界に実質上段差がなく、したがって段差がアウターウェアーに反映し、アウターウェアーの外側からも段差が見えてしまうと言う問題がなく、着用感もよく、着用者の外観を美しく保って、かつ必要な体型補整機能を付与したブラジャーを提供することを目的とするものである。特に体型補整機能を付与するため、所定の比較的緊迫力の強い部分のパターンを、比較的緊迫力の強い地編組織からなる比較的小さな柄を前記柄と柄とが接触しないように所定のパターン状に多数密集させた小柄の一連の集合で形成し、且つ前記パターンの少なくとも一つが、前記小柄密集部を全体形状として見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンであり、それによって体型補整機能を付与すると同時にブラジャーに美観を付与した体型補整機能を有するブラジャーを提供することを目的とする。また、更に合成樹脂液を塗布して緊迫力を付与したブラジャーに比べて通気性の低下がなく、蒸れなどが生じにくく、肌触りの低下もない体型補整機能を付与したブラジャーを提供することを目的とするものである。更には、丸編品に比べて、仕上がり寸法の安定性が良好で、同じ仕上がり寸法のものを容易に大量に生産でき、耐久性も良好で、編み密度を大きくすることもでき、生産性にも優れた、体型補整機能を有するブラジャーを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明は、次の様な体型補整機能を有するブラジャーを提供するものである。
【0011】(1)ジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、更に弾性糸が挿入されるか及び/又は弾性糸が編み込まれてなり、緊迫力の強弱の要求に応じて前記地編の表側に現れる編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設けた経編地からなる部分を含む体型補整機能を有するブラジャーであって、前記所定の比較的緊迫力の強い部分のパターンが、比較的緊迫力の強い地編組織からなる比較的小さな柄を前記柄と柄とが接触しないように所定のパターン状に多数密集させた小柄の一連の集合で形成されていて、且つ前記パターンの少なくとも一つが、前記小柄密集部を全体形状として見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンである体型補整機能を有するブラジャー。
【0012】(2)ジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、挿入糸として弾性糸を用い、緊迫力の強弱の要求に応じて前記地編の表側に現れる編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設けた経編地からなる部分を含む体型補整機能を有するブラジャーであって、前記所定の比較的緊迫力の強い部分のパターンが、比較的緊迫力の強い地編組織からなる比較的小さな柄を前記柄と柄とが接触しないように所定のパターン状に多数密集させた小柄の一連の集合で形成されていて、且つ前記パターンの少なくとも一つが、前記小柄密集部を全体形状として見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンである体型補整機能を有するブラジャー。
【0013】(3)緊迫力の強弱の要求に応じて、挿入する弾性糸及び/又は編み込む弾性糸の本数及び/または太さを変化させてなる前記(1)項または(2)項のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【0014】(4)ジャカード編からなる地編組織の表側に現れる地編組織が、サテン調ネット組織とメッシュ調ネット組織との組合わせからなる前記(1)〜(3)項のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【0015】(5)ジャカード編からなる地編組織の表側に現れる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分がサテン調ネット組織からなり、比較的緊迫力の弱い部分がメッシュ調ネット組織からなる前記(1)〜(4)項のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【0016】(6)ジャカード編からなる地編組織の表側に現れる地編組織が、サテン調トリコット組織とメッシュ調トリコット組織との組合わせからなる前記(1)又は(3)項のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【0017】(7)ジャカード編からなる地編組織の表側に現れる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分がサテン調トリコット組織からなり、比較的緊迫力の弱い部分がメッシュ調トリコット組織からなる前記(1)、(3)又は(6)項のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【0018】(8)ジャカード編からなる地編組織の表側に現れる地編組織が、サテン調ネット組織またはサテン調トリコット組織とメッシュ調経編レース組織との組合わせからなる前記(1)又は(3)項のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【0019】(9)ジャカード編からなる地編組織の表側に現れる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分を、前者がサテン調ネット組織またはサテン調トリコット組織、後者がメッシュ調ネット組織またはメッシュ調トリコット組織の組合わせで構成し、前記組合わせ以外の部分の所望の部分を比較的緊迫力の弱い部分としてメッシュ調経編レース組織から構成してなる前記(1)又は(3)項のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【0020】(10)比較的緊迫力の強い部分に挿入及び/又は編み込まれている弾性糸が、2本そろえて挿入及び/又は編み込まれている弾性糸であり、比較的緊迫力の弱い部分に挿入及び/又は編み込まれている弾性糸が、1本づつの弾性糸である前記(1)〜(9)項のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【0021】(11)ジャカード編からなる地編組織の表側に現れる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分の内、より一層緊迫力の強い部分が、2針以上の振りが入った割合の大きいサテン調ネット組織である前記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(8)、(9)、(10)項のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【0022】(12)ジャカード編からなる地編組織の表側に現れる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分の内、より一層緊迫力の強い部分が、3針以上の振りが入った割合の大きいサテン調トリコット組織である前記(1)、(3)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)項のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【0023】(13)ジャカード編からなる地編が20〜80デニールのナイロン糸からなる前記(1)〜(12)項のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【0024】(14)挿入及び/又は編み込まれている弾性糸が、40〜560デニールのポリウレタン繊維糸である前記(1)〜(13)項のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【0025】(15)ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンの比較的緊迫力の強い部分が、ブラジャーの乳房カップのカップ下辺部又は下辺部から脇にかけての部分である前記(1)〜(14)項のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【0026】(16)ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンの比較的緊迫力の強い部分がブラジャーのバック布の少なくとも人体脇部に当接する部分に設けられている前記(1)〜(15)項のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【0027】(17)小柄密集部を全体形状として見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンの部分の小柄と小柄の間の間隔が1cm以下である前記(1)〜(16)項のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【0028】(18)小柄密集部を全体形状として見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンの部分の小柄と小柄の間の間隔が0.5cm以下である前記(1)〜(16)項のいずれかに記載の体型補整機能を有するブラジャー。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の衣類であるブラジャーに用いる生地は、表側に現れる糸から構成される比較的小さな柄の一連の集合のパターン模様を形成する表側に現れる地編組織も、また、その裏側に現れる地編組織も、ジャカード編からなる経編で編まれており、更に弾性糸が挿入されるか及び/又は弾性糸が編み込まれてなる経編地からなるものであり、特に限定するものではないが、一般的には、編方向、即ち、糸が供給される方向が、完成したブラジャーのほぼ横方向になる様に設計される。しかし、適用されるブラジャーの種類や適用される部位によっては斜めになることもある。
【0030】本発明で用いる経編生地は、実際にはジャカード制御装置を有する経編機(例えば特開平6−166934号など参照)などを用いて、これらの経編機に地編用の非弾性糸と挿入糸用及び/又は編み込み用の弾性糸とを供給して同時に編まれるのであるが、理解を容易にするために、地編の部分をまず説明する。
【0031】本発明において、地編は、緊迫力の強弱の要求に応じて地編の表側に現れる編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分(小柄の部分)と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に形成する。そして前記所定の比較的緊迫力の強い部分は、比較的緊迫力の強い地編組織からなる比較的小さな柄を前記柄と柄とが接触しないように所定のパターン状に多数密集させた小柄の一連の集合で形成されていて、且つ前記パターンの少なくとも一つが、前記小柄密集部を全体形状として見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンを有している。例えば、かかる生地を形成する場合に、小柄の一連の集合から形成されている比較的緊迫力の強い部分が、前記小柄密集部を全体形状として見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンになっており、その他の部分は比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に形成するごくシンプルなケースを例にとって説明する。
【0032】図1に上述した様な生地1の平面図を示した。ここで仮に2で示される小柄部分が比較的緊迫力の強い部分、3が比較的緊迫力の弱い部分、4も比較的緊迫力の弱い部分、と言う様な強緊迫力と弱緊迫力のパターンを有する生地を製造するとする。この経編生地を形成するための糸の供給方向は矢印Sの方向である。すなわち、ジャカード編の経編機によって編まれて経編機から排出される生地の排出方向が矢印Sの方向である。
【0033】ここで仮に比較的緊迫力の強い部分2の表側に現れる地編組織をサテン調ネット組織、比較的緊迫力の弱い部分3と4をメッシュ調ネット組織と仮定すると、この地編生地は例えば次の様な方法で製造される。すなわちジャカード制御装置を有する経編機(例えば特開平6−166934号など参照、あるいは具体的には糸ガイドバーに曲げ変換器が取り付けられているカールマイヤーテキスタイルマシーンファブリックGmbH社製(日本マイヤー株式会社発売)の高速ジャカードラッシェル機“RSJ 4/1”)などを用いて、図1のWn番目のウェールを編む場合は、m0番目のコースからm1番目のコースまでは、メッシュ調ネット組織で編み、m1番目のコースとm2番目のコースの間はサテン調ネット組織で編み、m2番目のコースからm3番目のコースはメッシュ調ネット組織で編み、続いてm3番目のコースからm4番目のコースまでは、サテン調ネット組織で編み、m4番目のコースからm5番目のコースはメッシュ調ネット組織で編むことになる。同様に図1のWn+x番目のウェールを編む場合は、m0番目のコースからq1番目のコースまでは、メッシュ調ネット組織で編み、q1番目のコースとq2番目のコースの間はサテン調ネット組織で編み、q2番目のコースからq3番目のコースはメッシュ調ネット組織で編み、q3番目のコースからq4番目のコースはサテン調ネット組織で編み、q4番目のコースからm5番目までのコースはメッシュ調ネット組織で編むことになる。かかる編み方は、前述の様なジャカード制御装置を有する経編機のコンピーターに各ウェールと各コースについて上述の様な指令を入力することにより実現できる。
【0034】また、例えば、比較的緊迫力の強い部分の緊迫力のグレードを2つ以上のグレードとしたい場合、表側に現れる地編組織を変化させることによってこれを実現するには、例えば次の様な手法で実現できる。
【0035】図2に図1に示した図と類似している生地1の平面図を示した。ここで2が比較的緊迫力の強い部分、3が比較的緊迫力の弱い部分、4も比較的緊迫力の弱い部分であり、図1の場合と異なるのは、比較的緊迫力の強い部分2が比較的緊迫力の強い部分2aと、2aに比べ、より一層緊迫力が強い部分2bとからなる点である。
【0036】この様な弱緊迫力部分と2つのグレードの強緊迫力部分とのパターンを有する経編生地を形成するための糸の供給方向は矢印Sの方向である。すなわち、ジャカード経編機によって編まれて経編機から排出される生地の排出方向が矢印Sの方向である。
【0037】ここで仮に比較的緊迫力の強い部分2(2a及び2b)の表側に現れる地編組織をサテン調ネット組織、比較的緊迫力の弱い部分3と4をメッシュ調ネット組織と仮定すると、この地編生地は例えば次の様な方法で製造される。尚、使用する編機は前述した編機と同様のジャカード制御装置を有する経編機(例えば特開平6−166934号など参照、あるいは具体的にはガイドバーに曲げ変換器が取り付けられているカールマイヤーテキスタイルマシーンファブリックGmbH社製の高速ジャカードラッシェル機“RSJ 4/1”)などを用いることができる。そして、比較的緊迫力の弱い部分3と4の部分の形成方法は、図1で説明した場合と同様なので、重複を避ける為、説明を省略する。従って図2では主として比較的緊迫力の強い部分2aと、それより一層緊迫力が強い部分2bとを所望のパターン状に形成する手法の一例について、3、4の部分の説明は省略して2aと2bの部分のみ注目して説明する。
【0038】図2のWn番目のウェールを編む場合は、m11番目のコースからm12番目のコースまでは、2針以上の振りが入った割合の比較的少ないサテン調ネット組織で編み、m13番目のコースとm14番目のコースの間は2針以上の振りが入った割合の大きいサテン調ネット組織で編む。同様に図2のWn+x 番目のウェールを編む場合は、q11番目のコースからq12番目のコースまでは、2針以上の振りが入った割合の比較的少ないサテン調ネット組織で編み、q13番目のコースとq14番目のコースの間は2針以上の振りが入った割合の大きいサテン調ネット組織で編む。かかる編み方は、前述の様なジャカード制御装置を有する経編機のコンピーターに各ウェールと各コースについて上述の様な指令を入力することにより実現できる。
【0039】例えば上述した様な前記比較的緊迫力の強い部分のパターンが、多数密集させた小柄の一連の集合からなり、前記小柄密集部を全体形状として見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンに経編によって編むことは、従来の古い経編機を用いた場合には、実質上困難であったが、上記説明から明らかな様に、上記の様な手法を用いれば、幅方向、長さ方向に制限なく地編組織の組織変化を容易に実現でき、また、緊迫力の変化も幅方向、長さ方向に制限なく比較的自由に実現できる。従来の古い経編機を用いたのでは、前述したような小柄の密集部分を全体形状として巨視的に見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンなどを実現することは困難で実質上実現できなかったものである。
【0040】前記小柄密集部を全体形状として見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンの部分の小柄と小柄の間の間隔は、本発明の目的とする機能が発揮できればよく、特に限定するものではないが、好ましくは1cm以下、より好ましくは0.5cm以下である。そして、小柄と小柄の間の間隔は狭い程好ましい。小柄と小柄の間の間隔とは、隣接する小柄同士の外縁間の距離のうち最も短い部分の距離を意味している。小柄と小柄の間の間隔を上記範囲とすることにより、比較的緊迫力の強い部分に要求される緊迫力を十分に発揮でき、好ましい。小柄密集部を全体形状として見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターン以外のパターンを有する比較的緊迫力の強い部分、例えば、後述する腹部押さえ用小柄部などが、更に存在する場合、特に限定するものではないが、この部分の小柄と小柄の間の間隔も、上記した範囲内であることが好適である。
【0041】本発明で用いるサテン調ネット組織の表側の代表的な組織図を図3〜図5に示した。この組織図は、編業界において慣用されている規定に従って描いた組織図である。従って、実際の編組織の糸の状態を忠実に写実したものではないが、当業者に於いては、通常使用されている組織図である。
【0042】いずれの図においても矢印Sの方向が図2の矢印Sの方向を示している。すなわちサテン調ネット組織(経編生地)を形成するための糸の供給方向は矢印Sの方向である。図3〜図5に示したサテン調ネット組織は、一例であって、本発明においてはこれ以外のサテン調ネット組織を用いることもできる。
【0043】図3に示したサテン調ネット組織は、ジャカード運動の矢印X1、X2、X3で示したコースが図3の左方向にそれぞれの矢印で示した様に2針の振りが入ったサテン調ネット組織である。図3に於いてその左端に点線で示した部分は、参考のため、もし2針の振りをいれなかったと仮定した場合の組織を示している。尚、図3中一点鎖線AとBの間が1繰り返し単位であり、理解し易くするために1繰り返し単位として最低6コースを記載したものである。
【0044】2針の振りが入った部分は、糸がより緊張した状態になる。従って、1繰り返し単位中、2針の振りが入った割合が多い程、より緊迫力が強くなるのである。図3に示したサテン調ネット組織に於いては、1繰り返し単位中、2針以上の振りが入ったコースがX1、X2、X3の3箇所存在し、後述する図4や図5に示すサテン調ネット組織に比べて、最も緊迫力が強いサテン調ネット組織である。
【0045】次に図4に示したサテン調ネット組織は、ジャカード運動の矢印X1、X2で示したコースが図4の左方向にそれぞれの矢印で示した様に2針の振りが入ったサテン調ネット組織である。尚、図4中一点鎖線AとBの間が1繰り返し単位である。図4に示したサテン調ネット組織に於いては、1繰り返し単位中、2針以上の振りが入ったコースがX1、X2の2箇所存在し、前述した図3に示すサテン調ネット組織に比べて、緊迫力が弱くなっているが、後述する図5に示すサテン調ネット組織に比べて、より緊迫力が強いサテン調ネット組織である。
【0046】次に図5に示したサテン調ネット組織は、ジャカード運動の矢印X1で示したコースが図5の左方向に矢印で示した様に2針の振りが入ったサテン調ネット組織である。尚、図5中一点鎖線AとBの間が1繰り返し単位である。図5に示したサテン調ネット組織に於いては、1繰り返し単位中、2針以上の振りが入ったコースがX1の1箇所のみ存在し、前述した図3や図4に示すサテン調ネット組織に比べて、緊迫力が弱くなっているが、後述する図6に示すメッシュ調ネット組織に比べて、より緊迫力が強いサテン調ネット組織である。
【0047】次に本発明で用いるメッシュ調ネット組織の表側の代表的な組織図の一例を図6に示した。
【0048】図6においても矢印Sの方向が図2の矢印Sの方向を示している。すなわちメッシュ調ネット組織(経編生地)を形成するための糸の供給方向は矢印Sの方向である。図6に示したメッシュ調ネット組織は、一例であって、本発明においてはこれ以外のメッシュ調ネット組織を用いることもできる。
【0049】メッシュ調ネット組織は、図6からも明らかな様にサテン調ネット組織に比べて、空間部分が大きく、単位面積あたりの糸の密度が小さく、従って、上述した図3〜図5のサテン調ネット組織に比べて、緊迫力が弱くなる。尚、図6中一点鎖線AとBならびにBとCの間がそれぞれ1繰り返し単位である。すなわちAとBの間の組織とBとCの間の組織とは同じ組織の繰り返しである。
【0050】以上、説明した様な態様によって、表側に現れる地編組織をコントロールすることにより、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分を模様状に設けることができる。一般に、比較的緊迫力の強い部分はサテン調ネット組織が用いられ、比較的緊迫力の弱い部分は、メッシュ調ネット組織が用いられる。
【0051】また、図2に例示した様な比較的緊迫力の強い部分を緊迫力の異なる2つのグレードの部分に分けて形成する場合には、例えば図3〜図5に示したサテン調ネット組織のいずれか2つを組み合わせればよい。また、3つ以上のグレードの強緊迫力部分を形成する場合は、例えば図3、図4または図5に示した様な編み方を組み合わせて実現することもできる。また、図1に示したような同じ大きさの小柄でも、例えば右側の列の小柄をメッシュ調ネット組織のうち例えば図5又は図4で示したような組織で編み、左側の列の小柄をメッシュ調ネット組織のうち、右側の小柄を編んだ組織よりもより一層緊迫力の強い組織、例えば図4又は図3で示したような組織で編むと言うような方法によっても実現できる。図3〜図5に示した態様は、代表例であって、これらのみに限定されるものではない。
【0052】また、比較的緊迫力の強い部分を緊迫力の異なる更に2つ以上のグレードの部分に分けてパターン状に形成する場合には、前述したように比較的緊迫力の強い部分のサテン調ネット組織、例えば図3〜図5に示したサテン調ネット組織のいずれか2つを組み合わせによる組織の異なるものの組合わせでもよいが、同じ種類のサテン調ネット組織を用いて、小柄の大きさや密集密度を変えて実現してもよい。
【0053】また、上記図3〜5などで説明した様な2針振りなどの振りが入った編組織は、ジャカード制御装置を有する経編機に設けられている、ピエゾ素子などが用いられた曲げ変換器が取り付けられている糸ガイドバーを電気的に制御することにより、2針振りなどの編組織を達成することができる。これらの詳細は例えば前述した様に特開平6−166934号などに説明されているし、具体的にはカールマイヤーテキスタイルマシーンファブリックGmbH社製の高速ジャカードラッシェル機“RSJ 4/1”)などを用いることができる。
【0054】以上は、地編として、ジャカード編(経編)によるネット組織を採用する場合の編み組織について説明したが、次に地編として、ジャカード編(経編)によるトリコット組織を採用する場合の編み組織について説明する。
【0055】トリコットの場合も、図1や図2で説明した生地1の平面図を例にとって、説明する。このジャカード編みによるトリコット経編生地を形成するための糸の供給方向も矢印Sの方向である。すなわち、ジャカード経編機によって編まれて経編機から排出される生地の排出方向が矢印Sの方向である。
【0056】ここで仮に比較的緊迫力の強い部分2の表側に現れる地編組織をサテン調トリコット組織、比較的緊迫力の弱い部分3と4をメッシュ調トリコット組織と仮定すると、この地編生地は例えば次の様な方法で製造される。すなわちジャカード制御装置を有する経編機(例えば特開平6−166934号など参照、あるいは具体的には糸ガイドバーに曲げ変換器が取り付けられているカールマイヤーテキスタイルマシーンファブリックGmbH社製(日本マイヤー株式会社発売)の高速ジャカードラッシェル機“RSJ 4/1”)などを用いて、図1のWn番目のウェールを編む場合は、m0番目のコースからm1番目のコースまでは、メッシュ調トリコット組織で編み、m1番目のコースとm2番目のコースの間はサテン調トリコット組織で編み、m2番目のコースからm3番目のコースはメッシュ調トリコット組織で編み、続いてm3番目のコースからm4番目のコースまでは、サテン調トリコット組織で編み、m4番目のコースからm5番目のコースはメッシュ調トリコット組織で編むことになる。同様に図1のWn+x番目のウェールを編む場合は、m0番目のコースからq1番目のコースまでは、メッシュ調トリコット組織で編み、q1番目のコースとq2番目のコースの間はサテン調トリコット組織で編み、q2番目のコースからq3番目のコースはメッシュ調トリコット組織で編み、q3番目のコースからq4番目のコースはサテン調トリコット組織で編み、q4番目のコースからm5番目までのコースはメッシュ調トリコット組織で編むことになる。かかる編み方は、前述の様なジャカード制御装置を有する経編機のコンピーターに各ウェールと各コースについて上述の様な指令を入力することにより実現できる。
【0057】また、例えば、比較的緊迫力の強い部分の緊迫力のグレードを2つ以上のグレードとしたい場合、地編トリコット組織によってこれを実現するには、次の様な手法で実現できる。
【0058】前述した図2を参照して説明する。図2において、2が比較的緊迫力の強い部分、3が比較的緊迫力の弱い部分、4も比較的緊迫力の弱い部分であり、図1の場合と異なるのは、比較的緊迫力の強い部分2が比較的緊迫力の強い部分2aと、2aに比べ、より一層緊迫力が強い部分2bとからなる点である。
【0059】この様な弱緊迫力部分と2つのグレードの強緊迫力部分とのパターンを有する経編生地を形成するための糸の供給方向は矢印Sの方向である。すなわち、経編機によって編まれて経編機から排出される生地の排出方向が矢印Sの方向である。
【0060】ここで仮に比較的緊迫力の強い部分2(2a及び2b)の表側に現れる地編組織をサテン調トリコット組織、比較的緊迫力の弱い部分3と4をメッシュ調トリコット組織と仮定すると、この地編生地は例えば次の様な方法で製造される。尚、使用する編機は前述した編機と同様のジャカード制御装置を有する経編機(例えば特開平6−166934号など参照、あるいは具体的にはガイドバーに曲げ変換器が取り付けられているカールマイヤーテキスタイルマシーンファブリックGmbH社製の高速ジャカードラッシェル機“RSJ 4/1”)などを用いることができる。そして、比較的緊迫力の弱い部分3と4の部分の形成方法は、図1でトリコット組織について説明した場合と同様なので、重複を避ける為、説明を省略する。従って図2では主として比較的緊迫力の強い部分2aと、それより一層緊迫力が強い部分2bとを所望のパターン状に形成する手法の一例について、3、4の部分の説明は省略して2aと2bの部分のみ注目して説明する。
【0061】図2のWn 番目のウェールを編む場合は、m11番目のコースからm12番目のコースまでは、3針以上または2針の振りが入った割合の比較的少ないサテン調トリコット組織で編み、m13番目のコースとm14番目のコースの間は3針以上または2針の振りが入った割合の大きいサテン調トリコット組織で編む。同様に図2のWn+x番目のウェールを編む場合は、q11番目のコースからq12番目のコースまでは、3針以上または2針の振りが入った割合の比較的少ないサテン調トリコット組織で編み、q13番目のコースとq14番目のコースの間は3針以上または2針の振りが入った割合の大きいサテン調トリコット組織で編む。かかる編み方は、前述の様なジャカード制御装置を有する経編機のコンピーターに各ウェールと各コースについて上述の様な指令を入力することにより実現できる。
【0062】本発明で用いるサテン調トリコット組織の表側の代表的な組織図を図7〜図9に示した。この組織図は、編業界において慣用されている規定に従って描いた組織図である。従って、実際の編組織の糸の状態を忠実に写実したものではないが、当業者に於いては、通常使用されている組織図である。
【0063】いずれの図においても矢印Sの方向が図2の矢印Sの方向を示している。すなわちサテン調トリコット組織(経編生地)を形成するための糸の供給方向は矢印Sの方向である。図7〜図9に示したサテン調トリコット組織は、一例であって、本発明においてはこれ以外のサテン調トリコット組織を用いることもできる。
【0064】図7に示したサテン調トリコット組織は、ジャカード運動の矢印X1、X2、X3で示したコースが図7の左方向にそれぞれの矢印で示した様に3針の振りが入ったサテン調トリコット組織である。図7に於いてその左端に点線で示した部分は、参考のため、ジャカード制御をしない場合の組織を示している。尚、図7中一点鎖線AとBの間が1繰り返し単位である。
【0065】3針の振りが入った部分は、糸がより緊張した状態になる。従って、1繰り返し単位中、3針の振りが入った割合が多い程、より緊迫力が強くなるのである。図7に示したサテン調トリコット組織に於いては、1繰り返し単位中、3針以上の振りが入ったコースがX1、X2、X3の3箇所存在し、後述する図8や図9に示すサテン調トリコット組織に比べて、最も緊迫力が強いサテン調トリコット組織である。
【0066】次に図8に示したサテン調トリコット組織は、ジャカード運動の矢印X1で示したコースが図8の左方向に3針の振りが入ったサテン調トリコット組織である。尚、図8中一点鎖線AとBの間が1繰り返し単位である。図8に示したサテン調トリコット組織に於いては、1繰り返し単位中、3針以上の振りが入ったコースがX1の1箇所しか存在しないので、前述した図7に示すサテン調トリコット組織に比べて、緊迫力が弱くなっているが、後述する図9に示すサテン調トリコット組織に比べて、より緊迫力が強いサテン調トリコット組織である。
【0067】次に図9に示したサテン調トリコット組織は、ジャカード運動の矢印X7で示したコースが図9の左方向に1針の振りが入ったサテン調トリコット組織である。尚、図9中一点鎖線AとBの間が1繰り返し単位である。図9に示したサテン調トリコット組織に於いては、1繰り返し単位中、1針の振りしか入っていないコースがX7の1箇所存在し、前述した図7や図8に示すサテン調トリコット組織に比べて、緊迫力が弱くなっているが、後述する図10に示すメッシュ調トリコット組織に比べて、より緊迫力が強いサテン調トリコット組織である。
【0068】次に本発明で用いるメッシュ調トリコット組織の表側の代表的な組織図の一例を図10に示した。
【0069】図10においても矢印Sの方向が図2の矢印Sの方向を示している。すなわちメッシュ調トリコット組織(経編生地)を形成するための糸の供給方向は矢印Sの方向である。図10に示したメッシュ調トリコット組織は、一例であって、本発明においてはこれ以外のメッシュ調トリコット組織を用いることもできる。
【0070】メッシュ調トリコット組織は、図10からも明らかな様にサテン調トリコット組織に比べて、空間部分が大きく、単位面積あたりの糸の密度が小さく、従って、上述した図7〜図9のサテン調トリコット組織に比べて、緊迫力が弱くなる。尚、図10中一点鎖線AとBならびにBとCの間がそれぞれ1繰り返し単位である。すなわちAとBの間の組織とBとCの間の組織とは同じ組織の繰り返しである。
【0071】以上、説明した様な態様によって、表側に現れる地編トリコット組織をコントロールすることにより、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分を模様状に設けることができる。一般に、比較的緊迫力の強い部分はサテン調トリコット組織が用いられ、比較的緊迫力の弱い部分は、メッシュ調トリコット組織が用いられる。
【0072】また、図2に例示した様な比較的緊迫力の強い部分を緊迫力の異なる2つのグレードの部分に分けてパターン状に形成する場合には、例えば図7〜図9に示したサテン調トリコット組織のいずれか2つを組み合わせればよい。また、3つ以上のグレードの強緊迫力部分を模様状に形成する場合は、例えば図7、図8または図9に示した様な編み方を組み合わせて実現することもできる。また、図1に示したような同じ大きさの小柄でも、例えば右側の列の小柄をメッシュ調トリコット組織のうち例えば図9又は図8で示したような組織で編み、左側の列の小柄をメッシュ調トリコット組織のうち、右側の小柄を編んだ組織よりもより一層緊迫力の強い組織、例えば図8又は図7で示したような組織で編むと言うような方法によっても実現できる。尚、図7〜図9に示したサテン調トリコット組織の態様は、代表例であって、これらのみに限定されるものではない。
【0073】また、比較的緊迫力の強い部分を緊迫力の異なる更に2つ以上のグレードの部分に分けて形成する場合には、前述したように比較的緊迫力の強い部分のサテン調トリコット組織を、例えば図7〜図9に示したサテン調トリコット組織のいずれか2つを組み合わせによる組織の異なるものの組合わせでもよいが、同じ種類のサテン調トリコット組織を用いて、小柄の大きさや密集密度を変えて実現してもよい。
【0074】また、上記で説明した様なサテン調ならびにメッシュ調トリコット組織は、ジャカード制御装置を有する経編機に設けられている、ピエゾ素子などが用いられた曲げ変換器が取り付けられている糸ガイドバーを電気的に制御することにより、3針や2針などの振りを達成することができる。これらの詳細は例えば前述した様に特開平6−166934号などに説明されているし、具体的にはカールマイヤーテキスタイルマシーンファブリックGmbH社製の高速ジャカードラッシェル機“RSJ 4/1”)などを用いることができる。
【0075】尚、本発明における上述した様な各トリコット組織は、ラッシェル編機の1種であるジャカードラッシェル編機によって編まれたトリコットである。また、前記トリコット組織はジャカードトリコット編機によって編むこともできる。
【0076】以上、ジャカード編からなる地編組織が、サテン調ネット組織とメッシュ調ネット組織との組合わせからなる場合や、サテン調トリコット組織とメッシュ調トリコット組織との組合わせからなる場合について詳細に説明したが、同様にジャカード編からなる表側に現れる地編組織のうち比較的緊迫力の弱い部分をメッシュ調経編レース組織からなるストレッチレースで構成することも出来る。かかるストレッチレースの経編組織も、前述したジャカードラッシェル編機によって編まれたストレッチレースである。この場合特に限定するものではないが、メッシュ調経編レースとしては、メッシュ調経編トリコットレースとしてもよいし、メッシュ調経編ネットレースとしてもよいが、通常は美しいレースの外観が出しやすい点からはメッシュ調経編トリコットレースが好ましく採用される。
【0077】なお、ブラジャーの一部が前記ストレッチレースであり、他の部分が前述したようなサテン調又はメッシュ調ネットあるいはサテン調又はメッシュ調トリコットであるような組合わせでもよい。
【0078】また、ジャカード編からなる表側に現れる地編組織の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分を、前者がサテン調ネット組織またはサテン調トリコット組織、後者がメッシュ調ネット組織またはメッシュ調トリコット組織の組合わせで構成し、前記組合わせ以外の部分の所望の部分を比較的緊迫力の弱い部分としてメッシュ調経編レース組織から構成してもよい。この場合に、メッシュ調経編レース組織の部分に柄が形成されていても、メッシュ調経編レース組織の部分の全体の緊迫力が前記比較的緊迫力の強い部分の緊迫力に比べて弱いものであれば何ら差し支えない。
【0079】以上の様な地編を構成する非弾性糸としては、ナイロン糸、ポリエステル糸などの合成繊維糸、レーヨン糸、アセテート糸、キュプラ糸などの再生繊維糸、木綿糸、絹糸、麻糸、ウール糸などの天然繊維などを用いることができるが、ナイロン糸が特に好ましく、太さとしてはナイロン糸で20〜80デニールに相当する太さの糸が好ましく用いられる。
【0080】以上、ジャカード編みからなる地編について、ネット組織の場合とトリコット組織の場合などについて理解を容易にするために区別して説明したが、地編組織自体には、特に厳密な区別がある訳ではなく、共通する地編組織もある。ネット組織やトリコット組織などの区別は、通常、弾性糸を挿入するのかそれとも弾性糸をルーピングと称される方式で編み込むのかによって区別されているのが一般的な分類と言える。
【0081】一方、前述したメッシュ調レースからなるストレッチレースの場合には、弾性糸を挿入する場合とルーピングと称される方式で編み込む方式で前者をメッシュ調ネットレース組織、後者をメッシュ調トリコットレース組織と言う区分はされていない。メッシュ調ネットレース組織にもメッシュ調トリコットレース組織にも、弾性糸を挿入する場合と弾性糸をルーピングと称される方式で編み込む場合のいずれの方式も可能であるが、一般的に、好ましい組合わせとしては、メッシュ調トリコットレースの地編組織に弾性糸を挿入する組み合わせがレースとしての柄がきれいに出るので好ましい。
【0082】以上、地編について説明したが、本発明で用いる生地は、かかる地編が非弾性糸で編まれ、更に生地のウェール方向に挿入糸として弾性糸が挿入されているか、及び/又は弾性糸が編み込まれている(ルーピングされている。)。挿入される弾性糸及び/又は編み込まれる弾性糸は、均等に挿入及び/又は編み込まれていてもよいが、緊迫力の強弱の要求に応じて、挿入及び/又は編み込む弾性糸の本数及び/または太さを変化させてもよい。
【0083】図11〜図13にジャカード編からなる地編ネット組織に弾性糸からなる挿入糸が挿入されている状態を説明する為の組織図を示した。弾性糸が挿入されていると言えば、通常当業者であれば、十分理解できるが、念の為その代表的な例を取り上げて説明する。図11〜図13に示した弾性糸からなる挿入糸が挿入されている態様は、一例であって、本発明においては、本発明の目的を阻害しない限り、弾性糸からなる挿入糸が挿入されているこれ以外の態様を用いることもできる。
【0084】図11〜図13においては、いずれも図3で示したサテン調ネット組織を例にとって、この組織に挿入糸が挿入されている状態を示した。尚、図3で示したサテン調ネット組織は、表側の組織のみを示したが、図11〜図13においては、いずれもサテン調ネット組織の裏側の組織も重ねて示してある。そして、図11〜図13においては、いずれも図11(b)、図12(b)、図13(b)が、前記サテン調ネット組織に弾性糸からなる挿入糸が挿入されている状態を示した組織図であり、図11(a)、図12(a)、図13(a)が、それらを構成するそれぞれの糸1本づつを取り上げて別々に組織図に記載したものである。
【0085】いずれの図においても矢印Sの方向が糸の供給方向である。
【0086】図11に示した態様は、地編としてのサテン調ネット組織に1本づつの挿入糸が挿入されている状態を示した組織図である。
【0087】図11(a)、(b)において、5が地編としてのサテン調ネット組織の表側に現れる非弾性糸であり、6が地編としてのサテン調ネット組織の裏側に現れる非弾性糸であり、7が弾性糸からなる挿入糸である。図11に示した態様では、各ウェールB1 、B2 、B3 、B4 、B5 の間にそれぞれ1本づつの挿入糸7が挿入されている状態を示している。地編として図3に示したサテン調ネット組織を例にとって説明したが、他のサテン調ネット組織やメッシュ調ネットその他の組織の場合にも、「1本づつの挿入糸が挿入される」とは、地編の組織が異なっても、概念的には同じであり、各ウェールの間にそれぞれ1本づつの挿入糸が挿入されている状態を言う。
【0088】図12に示した態様は、地編としてのサテン調ネット組織に2本づつの挿入糸が挿入されている状態を示した組織図である。
【0089】図12(a)、(b)において、5が地編としてのサテン調ネット組織の表側に現れる非弾性糸であり、6が地編としてのサテン調ネット組織の裏側に現れる非弾性糸であり、8が弾性糸からなる挿入糸である。図12に示した態様では、各ウェールB1、B2、B3、B4、B5の間にそれぞれ2本づつの挿入糸8が挿入されている状態を示している。地編として図3に示したサテン調ネット組織を例にとって説明したが、他のサテン調ネット組織やメッシュ調ネットその他の組織の場合にも、「挿入糸が2本そろえて挿入されている」とは、地編の組織が異なっても、概念的には同じであり、各ウェールの間にそれぞれ2本づつの挿入糸が挿入されている状態を言う。
【0090】次に図13に示した態様は、地編としてのサテン調ネット組織に2本づつの挿入糸と1本づづの挿入糸が交互に挿入されている状態を示した組織図である。
【0091】図13(a)、(b)において、5が地編としてのサテン調ネット組織の表側に現れる非弾性糸であり、6が地編としてのサテン調ネット組織の裏側に現れる非弾性糸であり、7と9が弾性糸からなる挿入糸である。図13に示した態様では、ウェールB1とB2の間には1本の挿入糸7が挿入されており、ウェールB2とB3の間には2本揃えた挿入糸9が挿入されており、次いで、ウェールB3とB4の間には1本の挿入糸7が挿入されており、更に、ウェールB4とB5の間には2本揃えた挿入糸9が挿入されている。地編として図3に示したサテン調ネット組織を例にとって説明したが、他のサテン調ネット組織やメッシュ調ネットその他の組織の場合にも、「2本づつの挿入糸と1本づづの挿入糸が交互に挿入されている」とは、地編の組織が異なっても、概念的には同じであり、各ウェールの間に交互にそれぞれ2本づつと1本づつの挿入糸が挿入されている状態を言う。
【0092】以上説明したのは、挿入糸の本数が1本あるいは2本づつの場合を例にとって説明したが、3本づつ以上揃えて挿入したり、3本づつ以上揃えて挿入した部分とそれより挿入本数が少なくなる部分とを交互に設けるなど、必要に応じて他の態様にしてもよい。一般的には、比較的緊迫力を強くしたい場合には、挿入糸は2本そろえて挿入され、比較的緊迫力を弱くしたい場合には、挿入糸は1本づつ挿入される。
【0093】以上に説明した様な、地編組織と挿入糸との組み合わせ、例えば図11〜図13に示した様な挿入糸の挿入態様と、図1〜図6で説明した様な地編組織による緊迫力の強弱の態様とを組み合わせること、更には挿入する弾性糸の太さを挿入する部分に応じて変えることなどの組み合わせにより、種々の強さのグレードの緊迫力を有する部分を1つの経編生地の上に実現できる。
【0094】前述した様な、弾性糸が挿入されたサテン調ネット組織やメッシュ調ネット組織の代表的な組織の例としては、これらを総称するものとしてパワーネットが挙げられる。図3〜図6、図11〜図13を用いて説明した組織はパワーネットの一例である。
【0095】図14にジャカード編からなる地編組織に弾性糸が編み込まれている(ルーピングされている)トリコット組織の状態を説明する為の組織図を示した。図14に示した弾性糸が編み込まれている態様は、代表的な一例であって、本発明においては、本発明の目的を阻害しない限り、弾性糸が編み込まれているこれ以外の態様を用いることもできる。
【0096】図14においては、図7で示したサテン調トリコット組織を例にとって、この地編組織に弾性糸が編み込まれている状態を示した。尚、図7においては、サテン調トリコット組織は、表側の組織のみを示したが、図14においては、サテン調トリコット組織の裏側の組織も重ねて示してある。そして、図14においては、図14(b)が、前記サテン調トリコット組織に弾性糸が編み込まれている状態を示した組織図であり、図14(a)が、それらを構成するそれぞれの糸1本づつを取り上げて別々に組織図に記載したものである。尚、矢印Sの方向が糸の供給方向である。
【0097】図14に示した態様は、地編としてのサテン調トリコット組織の各ウェールごとに1本づつの弾性糸が編み込まれている状態を示した組織図である。
【0098】図14(a)、(b)において、10が地編としてのサテン調トリコット組織の表側に現れる非弾性糸であり、11が地編としてのサテン調トリコット組織の裏側に現れる非弾性糸であり、12が編み込まれた弾性糸である。図14に示した態様では、各ウェールB1、B2、B3、B4、B5についてそれぞれ1本づつの弾性糸12があるウェールと隣りのウェールとを交互に往復する様に編み込まれている。地編として図7に示したサテン調トリコット組織を例にとって説明したが、他のサテン調トリコット組織やメッシュ調トリコットその他の組織の場合にも、「1本づつの弾性糸が編み込まれている」とは、地編の組織が異なっても、概念的には同じであり、あるウェールに1本の弾性糸が編み込まれている状態を言う。
【0099】そして図示していないが、図12や図13で説明したと同様に地編としてのサテン調トリコット組織に2本づつの弾性糸が編み込まれていてもよいし、各ウェールごとに交互に2本づつの弾性糸と1本づづの弾性糸が編み込まれていてもよいし、弾性糸3本づつ以上揃えて編み込んだり、3本づつ以上揃えて編み込んだ部分とそれより弾性糸の本数が少なくなる部分とを交互に設けるなど、必要に応じて他の態様にしてもよい。一般的には、比較的緊迫力を強くしたい場合には、弾性糸は2本そろえて編み込まれ、比較的緊迫力を弱くしたい場合には、弾性糸は1本づつ編み込まれる。
【0100】以上に説明した様な、地編組織と編み込まれる弾性糸との組み合わせ、例えば上述した様な弾性糸の編み込み態様と、図7〜図10で説明した様な地編トリコット組織による緊迫力の強弱の態様とを組み合わせること、更には弾性糸の太さを編み込まれる部分に応じて変えることなどの組み合わせにより、種々の強さのグレードの緊迫力を有する部分を1つの経編トリコット生地の上に実現できる。
【0101】前述した様な、弾性糸が編み込まれている(ルーピングされている)サテン調トリコット組織やメッシュ調トリコット組織の代表的な組織の例としては、これらを総称するものとしてツーウェイトリコットが挙げられる。図7〜図10と図14を用いて説明した組織はツーウェイトリコットの一例である。
【0102】前述したメッシュ調経編レースを地編組織とするストレッチレースについての弾性糸の挿入や編み込みについても、説明は省略するがほぼ同様の趣旨である。
【0103】挿入糸に用いる弾性糸または編み込まれる弾性糸としては、特に限定されるものではないが、ポリウレタン繊維糸が好ましい。
【0104】弾性糸の太さは、用いるブラジャーの種類、地編組織の種類、同じブラジャーでもどの部位に用いるかによって、それぞれ適宜の太さのものを用いればよい。特に、緊迫力の変化を弾性糸の太さを変えて実現する場合には、比較的細い糸から比較的太い糸まで用いることになる。通常は、弾性糸としては、40〜560デニールの範囲から、それぞれの製品の種類や弾性糸の使用目的に応じて好適な範囲のものを用いればよい。
【0105】以下、図面を参照しながら、具体的衣類であるブラジャーについて説明するが、本発明は、これらのもののみに限定されるものではない。
【0106】図15に本発明の衣類であるブラジャーの前側から見た斜視図を示した。このブラシャーの例においては、比較的緊迫力の強い部分となる小柄51と52をブラジャーのカップ50に設けた態様のブラジャーである。50がブラジャーのカップ、54が土台布、55がバック布、56がストラップである。
【0107】このブラジャーにおいてはカップ50のカップ下辺部から脇にかけての部分にやや大きさの大きい小柄52とそれより小さ目の小柄51とが2列に配置されており、これらの小柄51と52の密集部を巨視的に見た場合の全体形状はほぼ円弧状にそれぞれカーブした帯状となっている。カップ50の小柄51の部分の地編組織は図4で説明したような2針の振りが入った割合がやや大きいサテン調ネットで、小柄52の部分の地編組織は図3で説明した様な2針の振りが入った割合の更に大きいサテン調ネットからなり、カップ50のその他の部分53はメッシュ調ネットからなっている。
【0108】次に図15に示したと同様の態様でカップ50の小柄51の部分の地編組織を図8で説明したような3針の振りが入った割合がやや大きいサテン調トリコットにし、小柄52の部分の地編組織は図7で説明した様な3針の振りが入った割合の更に大きいサテン調トリコットとし、カップ50のその他の部分53はメッシュ調トリコットとして、いずれも地編は30デニールのナイロン糸からなリ、また、カップ50のいずれの部分にも弾性糸として120デニールのポリウレタン糸が1本づつ図14で説明したような態様で編み込まれているブラジャーも作成した。
【0109】上記いずれの態様のブラジャーも、小柄51の密集部分の緊迫力が柄のない部分53の緊迫力よりも大きく、更にやや大き目の小柄52の密集部分の緊迫力は、小柄51の緊迫力よりも更に大きくなり、柄のない部分53、小柄51、小柄52の順で次第に緊迫力が大きくなるグラデーション作用が発揮されるので、急激に乳房の形を変形することなく、乳房をアップさせ、かつ前中心方向に寄せて美しい乳房の形に整える機能を有するブラジャーを提供できる。
【0110】そして緊迫力に差がある部分の境界部分には、実質上段差がなく、したがって段差がアウターウェアーに反映し、アウターウェアーの外側からも段差が見えてしまうと言う問題がなく、着用者の外観を美しく保って、かつ必要な体型補整機能を付与した衣類を提供できるのである。しかも柄が編み込まれているので衣類の意匠的な美観を一層向上し得る。また、合成樹脂液を塗布した衣類に比べて通気性の低下がなく、蒸れなどが生じにくく、肌触りの低下もないブラジャーを提供できる。
【0111】次に、図16に本発明の衣類である別の態様のブラジャーの前側から見た斜視図を示した。このブラシャーは、カップ50が上カップ部50aと下カップ部50bとが接ぎライン58で接ぎ合わされている2枚接ぎタイプのカップからなるブラジャーであり、この例においては、比較的緊迫力の強い部分となる小柄51と52を図のようにブラジャーのカップ50に設けた態様のブラジャーである。54が土台布、55がバック布、56がストラップである。
【0112】このブラジャーにおいては下カップ部50bのカップ下辺部の部分にやや大きさの大きい小柄52とそれより小さ目の小柄51とが2列に配置されており、これらの小柄51と52の密集部を巨視的に見た場合の全体形状はほぼ上に凸の円弧状にそれぞれカーブした帯状となっている。カップ50の小柄51の部分の地編組織は図4で説明したような2針の振りが入った割合がやや大きいサテン調ネットで、小柄52の部分の地編組織は図3で説明した様な2針の振りが入った割合の更に大きいサテン調ネットからなり、カップ50のその他の部分53はメッシュ調ネットからなっている。いずれも地編は40デニールのナイロン糸からなリ、また、カップ50のいずれの部分にも挿入糸として140デニールのポリウレタン糸が1本づつ挿入されている。
【0113】次に図16に示したと同様の態様でカップ50の小柄51の部分の地編組織を図8で説明したような3針の振りが入った割合がやや大きいサテン調トリコットにし、小柄52の部分の地編組織は図7で説明した様な3針の振りが入った割合の更に大きいサテン調トリコットとし、カップ50のその他の部分53はメッシュ調トリコットとして、いずれも地編は30デニールのナイロン糸からなリ、また、カップ50のいずれの部分にも弾性糸として120デニールのポリウレタン糸が1本づつ図14で説明したような態様で編み込まれているブラジャーも作成した。
【0114】上記いずれの態様のブラジャーも、小柄51の密集部分の緊迫力が柄のない部分53の緊迫力よりも大きく、更にやや大き目の小柄52の密集部分の緊迫力は、小柄51の緊迫力よりも更に大きくなり、柄のない部分53、小柄51、小柄52の順で次第に緊迫力が大きくなるグラデーション作用が発揮されるので、急激に乳房の形を変形することなく、特に乳房をアップさせて美しい乳房の形に整える機能を有するブラジャーを提供できる。
【0115】そして緊迫力に差がある部分の境界部分には、実質上段差がなく、したがって段差がアウターウェアーに反映し、アウターウェアーの外側からも段差が見えてしまうと言う問題がなく、着用者の外観を美しく保って、かつ必要な体型補整機能を付与した衣類を提供できるのである。しかも柄が編み込まれているので衣類の意匠的な美観を一層向上し得る。また、合成樹脂液を塗布した衣類に比べて通気性の低下がなく、蒸れなどが生じにくく、肌触りの低下もないブラジャーを提供できる。
【0116】次に、図17に本発明の衣類である更に別の態様のブラジャーの前側から見た斜視図を示した。このブラシャーも、カップ50が上カップ部50aと下カップ部50bとが接ぎライン58で接ぎ合わされている2枚接ぎタイプのカップからなるブラジャーであり、この例においては、比較的緊迫力の強い部分となる小柄60の部分が図のようにブラジャーのバック布55に設けられた態様のブラジャーである。54が土台布、56がストラップである。
【0117】このブラジャーにおいてはバック布55において土台布54の端に近いところから斜め下に下がるように小柄60の集合体が4列形成されている。小柄60の部分の地編組織は図3で説明した様な2針の振りが入った割合の大きいサテン調ネットからなり、バック布55のその他の部分61はメッシュ調ネットからなっている。いずれもバック布の地編は40デニールのナイロン糸からなリ、また、バック布には挿入糸として280デニールのポリウレタン糸が2本づつ挿入されている。かかるバック布を有するブラジャーとすることにより、小柄60の存在密度が比較的土台布側に近いところが大きくなっているので、この緊締力により、胸脇部の贅肉の膨出を抑えてすっきりしたスリムな胸脇部シルエットを実現できる。そして緊迫力に差がある部分の境界部分には、実質上段差がなく、したがって段差がアウターウェアーに反映し、アウターウェアーの外側からも段差が見えてしまうと言う問題がなく、着用者の外観を美しく保って、かつ必要な体型補整機能を付与した衣類を提供できるのである。しかも柄が編み込まれているので衣類の意匠的な美観を一層向上し得る。また、合成樹脂液を塗布した衣類に比べて通気性の低下がなく、蒸れなどが生じにくく、肌触りの低下もないブラジャーを提供できる。
【0118】なお、必要に応じてカップを例えば図15や図16で説明したようなカップに置き換えることが出来ることは勿論である。
【0119】次に図17に示したと同様の態様で小柄60の部分の地編組織を図7で説明したような3針の振りが入った割合が大きいサテン調トリコットにし、バック布55のその他の部分61はメッシュ調トリコットとして、地編はバック布55はいずれの部分も30デニールのナイロン糸からなリ、また、バック布55のいずれの部分にも弾性糸として240デニールのポリウレタン糸が1本づつ図14で説明したような態様で編み込まれているブラジャーも作成したところ、前記ブラジャーとほぼ同様に、胸脇部の贅肉の膨出を抑えてすっきりしたスリムな胸脇部シルエットを実現でき、その他の前述した作用・効果もほぼ同様に達成できるブラジャーが得られた。なお、必要に応じてカップを例えば図15や図16で説明したようなカップに置き換えることが出来ることは勿論である。
【0120】次に、図18に本発明の衣類である更に別の態様のブラジャーの前側から見た斜視図を示した。このブラシャーも、カップ50が上カップ部50aと下カップ部50bとが接ぎライン58で接ぎ合わされている2枚接ぎタイプのカップからなるブラジャーであり、この例においては、比較的緊迫力の強い部分となる小柄60が図のようにブラジャーのバック布55に設けられた態様のブラジャーである。54が土台布、56がストラップである。
【0121】このブラジャーにおいてはバック布55において土台布54の端に近いところから斜め下に下がるように小柄60の集合体が4列と斜め上に上がるように小柄60の集合体が4列形成され、小柄60の列が交叉しているような態様となっている。小柄60の部分の地編組織は図3で説明した様な2針の振りが入った割合の大きいサテン調ネットからなり、バック布55のその他の部分61はメッシュ調ネットからなっている。いずれもバック布の地編は40デニールのナイロン糸からなリ、また、バック布には挿入糸として280デニールのポリウレタン糸が2本づつ挿入されている。かかるバック布を有するブラジャーとすることにより、小柄60の存在密度が比較的土台布側に近いところが大きくなっていて、しかも小柄60の集合体からなる列が斜め下下がりと斜め上上がりで交叉しているので、この部分の緊締力が図17で説明したブラジャーに比べて一層強くなっているので、よりしっかりした締め付け感を好む着用者や胸脇の贅肉がかなりついている人の着用にも対応でき、胸脇部の贅肉の膨出を抑えてすっきりしたスリムな胸脇部シルエットを実現できる。そして緊迫力に差がある部分の境界部分には、実質上段差がなく、したがって段差がアウターウェアーに反映し、アウターウェアーの外側からも段差が見えてしまうと言う問題がなく、着用者の外観を美しく保って、かつ必要な体型補整機能を付与した衣類を提供できるのである。しかも柄が編み込まれているので衣類の意匠的な美観を一層向上し得る。また、合成樹脂液を塗布した衣類に比べて通気性の低下がなく、蒸れなどが生じにくく、肌触りの低下もないブラジャーを提供できる。
【0122】なお、必要に応じてカップを例えば図15や図16で説明したようなカップに置き換えることが出来ることは勿論である。
【0123】次に図18に示したと同様の態様で小柄60の部分の地編組織を図7で説明したような3針の振りが入った割合が大きいサテン調トリコットにし、バック布55のその他の部分61はメッシュ調トリコットとして、地編はバック布55はいずれの部分も30デニールのナイロン糸からなリ、また、バック布55のいずれの部分にも弾性糸として240デニールのポリウレタン糸が1本づつ図14で説明したような態様で編み込まれているブラジャーも作成したところ、前記ブラジャーとほぼ同様に、胸脇部の贅肉の膨出を抑えてすっきりしたスリムな胸脇部シルエットを実現でき、その他の前述した作用・効果もほぼ同様に達成できるブラジャーが得られた。なお、必要に応じてカップを例えば図15や図16で説明したようなカップに置き換えることが出来ることは勿論である。
【0124】尚、以上の様な比較的緊迫力の強い小柄模様のブラジャーにおける存在位置は、ブラジャーの種類やどの部分の体型補整機能を付与するか等によって適宜の位置に設ければよく、具体的に図示した前述の実施の態様に限定されるものではない。また、小柄の柄模様も図示した態様のものに限定されるものではなく、適宜他の形状の小柄を用いても良い。また、緊迫力の比較的弱い部分は前記実施例では柄模様が存在しない態様(無地)としたが、緊迫力が比較的弱いという条件を満たす限り、無地である必要はなく、柄が形成されていても良いことは何ら制限されるものではない。
【0125】なお、本発明においては、比較的緊迫力の強い部分のパターンが、比較的緊迫力の強い地編組織からなる比較的小さな柄を前記柄と柄とが接触しないように所定のパターン状に多数密集させた小柄の一連の集合で形成されていることが必要であるが、これはすでに本出願人が、ある所定の比較的緊迫力の強い部分を隙間のない一連の連なった比較的緊迫力の強い地編組織から構成した経編地からなる体型補整機能を有する衣類について別途特許出願しており、それとの重複を避けるために、比較的緊迫力の強い部分を比較的小さな柄で構成し、この小柄が、緊締力を比較的強くしたい部分の所望のパターンとなるごとく多数密集させた小柄の一連の集合で形成し、「前記柄と柄とが接触しないように」との要件を付加したものである。この部分の小柄と小柄とが全部連なっている場合は前記特許出願に含まれることになるからである。そして本発明において「小柄と小柄とが接触しないように」とは、例えば図1に示したと同様な態様のガードルの左側用の後ろから脇にかけての身頃生地1の平面図で柄の模様が若干異なる図である図19の様な場合も「柄と柄とが接触しないように」の要件を満足しているものであることに注意しなければならない。図19の例では、小柄200aと小柄200bとは接触している。同様に小柄201aと小柄201b、並びに、小柄202aと小柄202bとは接触している。しかし、小柄200aと小柄200bをまとめて一つの小柄200、同じく小柄201aと小柄201bをまとめて一つの小柄201、小柄202aと小柄202bをまとめて一つの小柄202とすると、小柄200、201、202同士は接触していない。このように小柄が部分的に接触して合体しているものがあっても、全体的に見て小柄と小柄とが接触していないものと解釈できるものであれば、小柄と小柄とが接触しないとの本発明の要件を満足しているのである。
【0126】尚、本発明では、比較的緊迫力の強い部分の小柄の集合体からなる小柄密集部分を巨視的に全体形状で見た場合に、ジャカード経編では従来見られなかった、例えば図1で示した様なウェール方向に平行ではない、帯状であり且つカーブしたパターンについても実現できる点が特徴の1つである。よって緊迫力の強弱の要求に応じて所定部分に比較的緊迫力の強い部分を小柄の集合体として所定のパターン状に設けることができる。
【0127】上述した様な地編の表側に現れる編組織を切り替えて、比較的緊迫力の強い部分を小柄の集合体からなる小柄密集部分を巨視的に全体形状で見た場合に帯状であり且つカーブしたパターンに経編によって編むことは、従来の古い経編機を用いた場合には、実質上困難であったが、例えば図1や図2を用いて説明した様な方法を用いれば、幅方向、長さ方向に制限なく地編組織の組織変化を容易に実現でき、また、緊迫力の変化も幅方向、長さ方向に制限なく比較的自由に実現できる。従来の古い経編機を用いたのでは、小柄の密集体としてカーブした帯状パターンなどを実現することは困難であり、実質上実現できなかったものである。
【0128】
【発明の効果】本発明では、ジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、更に弾性糸が挿入されるか及び/又は弾性糸が編み込まれてなり、緊迫力の強弱の要求に応じて前記地編の表側に現れる編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設けた経編地から構成され、前記所定の比較的緊迫力の強い部分のパターンが、比較的緊迫力の強い地編組織からなる比較的小さな柄を前記柄と柄とが接触しないように所定のパターン状に多数密集させた小柄の一連の集合で形成されていて、且つ前記パターンの少なくとも一つが、前記小柄密集部を全体形状として見た場合に、ほぼ帯状であり且つカーブしたパターンであるので、緊迫力の大きな部分と小さな部分との境界に実質上段差がなく、したがって段差がアウターウェアーに反映し、アウターウェアーの外側からも段差が見えてしまうと言う問題がなく、着用感もよく、着用者の外観を美しく保って、かつ必要な体型補整機能を付与したブラジャーを提供できる。しかも適宜の小柄が採用されているので、前記小柄により、体型補整機能を発揮できるとともにブラジャーの意匠的な美観を向上させることができる。また、小柄の大きさや密集の割合、地編組織の種類の選定、挿入及び/又は編み込まれる弾性糸の太さ、本数、存在密度、存在位置などを適宜組み合わせることによって、ブラジャーに微妙な緊迫力の変化を付与することもできる。
【0129】小柄の一連の集合体(小柄密集部分)で形成された比較的緊迫力の強い部分のパターンは、地編の編組織を切り替えるなど、発明の実施の形態で詳細に説明した様に所定部分に小柄の一連の集合体として比較的任意に所望のパターンを形成することができる。従って、小柄の一連の集合体として小柄密集部分を巨視的に全体形状として見た場合、従来経編では見られなかった、例えばウェール方向に平行ではない、帯状であり且つカーブした比較的大きなパターンについても実現できる。よって緊迫力の強弱の要求に応じて所定部分に比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分を所定のパターン状に設けることができる。
【0130】また、更に緊迫力を付与するために合成樹脂液を塗布したブラジャーその他の衣類に比べて通気性の低下がなく、蒸れなどが生じにくく、肌触りの低下もない体型補整機能を付与したブラジャーを提供できる。更には、丸編品に比べて、仕上がり寸法の安定性が良好で、同じ仕上がり寸法のものを容易に大量に生産でき、耐久性も良好で伝染などのほつれの問題いもなく、生産性にも優れた、体型補整機能を有するブラジャーを提供できる。しかも丸編品に比べて、編み密度をより高密度にすることもできるので、比較的緊迫力の強い部分の緊迫力のより一層大きいものも容易に製造できる。
【出願人】 【識別番号】000139399
【氏名又は名称】株式会社ワコール
【住所又は居所】京都府京都市南区吉祥院中島町29番地
【出願日】 平成12年1月6日(2000.1.6)
【代理人】 【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
【公開番号】 特開2003−301306(P2003−301306A)
【公開日】 平成15年10月24日(2003.10.24)
【出願番号】 特願2003−141809(P2003−141809)