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【発明の名称】 カップ付き女性用衣類
【発明者】 【氏名】湯浅 勝
【住所又は居所】京都府京都市南区吉祥院中島町29番地 株式会社ワコール内

【要約】 【課題】カップ部の保形性と造形性に優れ、着用感の良好なノンワイヤー型カップ付き女性用衣類を提供する。

【解決手段】ノンワイヤー型ブラジャーの補正機能を、二面構造を採用することで向上させる。カップ部1の脇側から、土台部2の脇側下部に向って補強部材6が伸びている。補強部材6にはプラスティック製のボーン部材が含ませてあり、着用に際して伸縮性の土台部2が左右に引かれると、土台部2を横方向に引く力で補強部材が脇側に引かれ、カップ部1を上方に持ち上げる力に変換できる。したがって、ノンワイヤー型でありながらカップ部1の保形性と造形性が向上される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凸型に湾曲した湾曲部を下縁に有し、カップ形状を成すように立体成型された左右一対のカップ部と、脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凹型に湾曲した湾曲部を上縁に有し、少なくとも左右方向に伸縮性を有する土台部と、を備え、前記カップ部と前記土台部の湾曲部同士が直接に縫着されてノンワイヤー型を成し、前記土台部の脇寄り部分の下部から前記湾曲部の縫着ラインを横切って前記カップ部の脇寄り部分にストライプ状に延びる補強部材が設けられていることを特徴とするカップ付き女性用衣類。
【請求項2】 前記補強部材がストライプ状に延びる方向は、前記土台部の脇寄り部分の下部から前中心の上方に向う方向であることを特徴とする請求項1記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項3】 前記補強部材は、可撓性を有するボーン部材を含むことを特徴とする請求項1または2記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項4】 前記カップ部は上カップと下カップを接ぎ線で縫着することにより形成され、前記ボーン部材は前記土台部の脇寄り部分の下部から前記下カップを通って前記接ぎ線の位置までの延びていることを特徴とする請求項3記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項5】 前記補強部材は、前記土台部と前記カップ部にテープ状の布材が縫着されることにより形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項6】 前記補強部材は、前記テープ状の布材を前記土台部と前記カップ部に縫着することにより形成された袋状の部分に、可撓性を有するボーン部材が摺動可能に収容されることにより形成されていることを特徴とする請求項5記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項7】 脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凸型に湾曲した湾曲部を下縁に有し、カップ形状を成すように立体成型された左右一対のカップ部と、前記カップ部の脇寄り部分の湾曲部に直接に縫着される凹型に湾曲した湾曲部を上縁に有し、少なくとも左右方向に伸縮性を有する脇下押え部と、前記カップ部の前中心寄り部分の湾曲部に直接に縫着される凹型に湾曲した湾曲部を左右の上縁に有する前中心部と、を備えることによりノンワイヤー型を成し、前記脇下押え部の下部から前記湾曲部の縫着ラインを横切って前記カップ部の脇寄り部分にストライプ状に延びる補強部材が設けられていることを特徴とするカップ付き女性用衣類。
【請求項8】 前記補強部材がストライプ状に延びる方向は、前記脇下押え部の下部から前中心の上方に向う方向であることを特徴とする請求項7記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項9】 前記補強部材は、可撓性を有するボーン部材を含むことを特徴とする請求項7または8記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項10】 前記カップ部は上カップと下カップを接ぎ線で縫着することにより形成され、前記ボーン部材は前記脇下押え部の下部から前記下カップを通って前記接ぎ線の位置までの延びていることを特徴とする請求項9記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項11】 前記補強部材は、前記脇下押え部と前記カップ部にテープ状の布材が縫着されることにより形成されていることを特徴とする請求項7〜10のいずれか記載のカップ付き女性用衣類。
【請求項12】 前記補強部材は、前記テープ状の布材を前記脇下押え部と前記カップ部に縫着することにより形成された袋状の部分に、可撓性を有するボーン部材が摺動可能に収容されることにより形成されていることを特徴とする請求項11記載のカップ付き女性用衣類。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カップワイヤーを有しないノンワイヤー型のカップ付き女性用衣類に関する。
【0002】
【従来の技術】カップ付き女性用衣類の代表例は、ファンデーション衣類としてのブラジャーである。このようなブラジャーでは、バストの「寄せ」機能と「上げ」機能が重視されるが、このような機能を好適に奏するものとしてワイヤー入りブラジャーが広く利用されている。
【0003】一方、成型カップ等からなるカップワイヤーを有しないノンワイヤー型も広く知られている。ノンワイヤー型は一般的にワイヤーフォーム型と比べるとバストの補整機能が劣るが、ワイヤーによる窮屈さがないため、既婚女性を中心に根強い人気がある。このようなノンワイヤー型ブラジャーはカップ(上カップ、下カップ)、肩ストラップ、土台(前中心を含む)、バックの各パーツから構成されており、土台はカップの底辺部をカバーし、カップの造形性や保形性、安定性を発揮する役割を持っている。そして、土台とカップは互いに縫着され、着用前の自然状態において着用者のバスト下部近傍(いわゆるバージスライン近傍)と類似の形状を成し、着用者のバストに優しくフィットし、着心地の良さをもたらしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のノンワイヤー型はワイヤーフォーム型に比べて保形性が劣る。具体的には、ノンワイヤー型ブラジャーを着用する時には、土台布が着用者の体幹(バージスを含む)に密着した状態から、カップ部がバック布によって横方向に引かれて潰れた状態に変化する。そのため、カップ部の上辺の押えが弱くなったり、トップから上カップの部分や下カップの部分に皺が生じたり、あるいはトップ領域で「くちばし現象」と呼ばれるものが生じたりする等、カップ部の造形性や保形性が低下する欠点があった。
【0005】本発明は、このような課題を解決したノンワイヤー型のカップ付き女性用衣類を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るカップ付き女性用衣類は、脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凸型に湾曲した湾曲部を下縁に有し、カップ形状をなすように立体成型された左右一対のカップ部と、脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凹型に湾曲した湾曲部を上縁に有し、かつ少なくとも左右方向に伸縮性を有する土台部と、を備え、カップ部と土台部の湾曲部同士が直接に縫着されてノンワイヤー型を成し、土台部の脇寄り部分の下部から湾曲部の縫着ラインを横切ってカップ部の脇寄り部分にストライプ状に延びる補強部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】本発明に係るカップ付き女性用衣類によれば、土台部は少なくとも左右方向に伸縮性を有し、かつ、土台部とカップ部の湾曲部同士が直接に縫着されてノンワイヤー型を成しているので、着用状態では土台部が左右方向に伸びて体幹にフィットし、カップ部はバストに好適にフィットする。この時、土台部の脇寄り部分の下部から湾曲部の縫着ラインを横切ってカップ部の脇寄り部分にストライプ状に延びる補強部材が設けられているので、土台部が左右に引かれて伸びてもバージスライン近傍で土台部とカップ部は滑らかな曲面形状に保持され、カップ部に皺が生じたり潰れたりすることが避けられる。また、土台部の伸びに応じて補強部材の下端側がそれぞれの脇側に引かれ、反作用として補強部材の上端側には前中心側に押されるので、バストを下側から前中心の方向に寄せる力が働く。よって、着用状態で土台部を横方向に引く力を、カップ部を上方に持ち上げる力に変換しているので、ノンワイヤー型に特有の快適な着用感を維持しながら、優れたバストの造形性と保形性を実現できる。
【0008】本発明に係るカップ付き女性用衣類において、補強部材がストライプ状に延びる方向は、土台部の脇寄り部分の下部から前中心の上方に向う方向であることが望ましく、好適には左右方向に対して40〜70度の傾斜角度である。
【0009】本発明に係るカップ付き女性用衣類において、補強部材は可撓性を有するボーン部材を含むことが望ましく、このようなボーン部材の材料としては樹脂、金属、芯地、テープ状部材等がある。
【0010】本発明に係るカップ付き女性用衣類において、カップ部は上カップと下カップを接ぎ線で縫着することにより形成され、ボーン部材は土台部の脇寄り部分の下部から下カップを通って接ぎ線の位置まで延びていることが望ましく、このようにすれば上カップの「浮き」を防止しながらバストの脇部分の押えを強化できる。なお、立体成型されたカップには、接ぎタイプの他にモールドタイプや丸編成型タイプ等がある。
【0011】本発明に係るカップ付き女性用衣類において、補強部材は土台部とカップ部にテープ状の布材が縫着されることにより形成されていることが望ましく、特に、このテープ状の布材を土台部とカップ部に縫着することにより形成された袋状の部分にボーン部材を摺動可能に収容すると、着心地の良さとバストの寄せ効果を同時に向上できる。
【0012】また、本発明に係るカップ付き女性用衣類は、脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凸型に湾曲した湾曲部を下縁に有し、カップ形状を成すように立体成型された左右一対のカップ部と、カップ部の脇寄り部分の湾曲部に直接に縫着される凹型に湾曲した湾曲部を上縁に有し、少なくとも左右方向に伸縮性を有する脇下押え部と、カップ部の前中心寄り部分の湾曲部に直接に縫着される凹型に湾曲した湾曲部を左右の上縁に有する前中心部と、を備えることによりノンワイヤー型を成し、脇下押え部の下部から湾曲部の縫着ラインを横切ってカップ部の脇寄り部分にストライプ状に延びる補強部材が設けられていることを特徴とする。
【0013】本発明に係るカップ付き女性用衣類によれば、脇下押え部は少なくとも左右方向に伸縮性を有し、かつ、脇下押え部はカップ部の湾曲部に直接に縫着されてノンワイヤー型を成しているので、着用状態では脇下押え部が左右方向に伸びて体幹にフィットし、カップ部はバストに好適にフィットする。この時、脇下押え部の下部から湾曲部の縫着ラインを横切ってカップ部の脇寄り部分にストライプ状に延びる補強部材が設けられているので、脇下押え部が左右に引かれて伸びてもバージスライン近傍で脇下押え部とカップ部は滑らかな曲面形状に保持され、カップ部に皺が生じたり潰れたりすることが避けられる。また、脇下押え部の伸びに応じて補強部材の下端側がそれぞれの脇側に引かれ、反作用として補強部材の上端側には前中心側に押されるので、バストを下側から前中心の方向に寄せる力が働く。よって、着用状態で脇下押え部を横方向に引く力を、カップ部を上方に持ち上げる力に変換しているので、ノンワイヤー型に特有の快適な着用感を維持しながら、優れたバストの造形性と保形性を実現できる。
【0014】なお、本発明のカップ付き女性用衣類において、補強部材がストライプ状に延びる方向は、脇下押え部の下部から前中心の上方に向う方向であることを特徴としても良く、補強部材は可撓性を有するボーン部材を含むことを特徴としても良く、カップ部は上カップと下カップを接ぎ線で縫着することにより形成され、ボーン部材は脇下押え部の下部から下カップを通って接ぎ線の位置までの延びていることを特徴としても良く、補強部材は脇下押え部とカップ部にテープ状の布材が縫着されることにより形成されていることを特徴としても良く、補強部材はテープ状の布材を脇下押え部とカップ部に縫着することにより形成された袋状の部分に、可撓性を有するボーン部材が摺動可能に収容されることにより形成されていることを特徴としても良い。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。なお、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】図1は実施形態のノンワイヤー型ブラジャー(フルカップ)を示す斜視図である。このブラジャーは、左右一対のカップ部1と、前中心部から脇布部までを含む土台部2と、土台部2の背側に続くバック部3と、カップ部1の上縁部とバック部3の間に掛け渡された肩ストラップ4と、を主要なパーツとして構成されている。なお、土台部2の左右に続くバック部3の背中の部分には、係脱自在のホック(図示せず)が取り付けられている。
【0017】ここで、カップ部1は上カップ11と下カップ12を左右方向に延びる接ぎ線で縫着することにより、丸みを帯びた円錐形に類似のカップ形状に立体成型されている。なお、上下のカップの接ぎ線が着用状態で乳頭近傍を通り、下カップは更に左右にわかれて合計で3枚の布地によりカップ部1が形成されている場合もある。立体成型されたカップ部1は、脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凸型に湾曲した下縁湾曲部(下カップ12の下縁部)を有しているが、いわゆるカップワイヤーは設けられていない。
【0018】土台部2は伸縮性(特にバック部3によって左右に引かれる方向の伸縮性)を有する織布や編布のような素材を含んで形成され、例えば前中心で左右のパーツが互いに縫着されて左右一体の土台部2を構成している。特に、この実施形態においては、伸縮性の土台部2は比較的幅広に成型されており、最も幅が狭くなる上縁湾曲部で2〜10cm、好適には3〜6cmである。
【0019】土台部2は着用者のバスト下部(いわゆるバージスラインの下部)にフィットするように、脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凹型に湾曲した上縁湾曲部を有している。そして、この土台部2の上縁湾曲部がカップ部1の下縁湾曲部と対向し、カップワイヤー部を介することなく直接に縫着されている。カップ部1と土台部2が共に伸縮性を有し、直接に縫着されているので、着用状態では左右に伸縮して体幹とバストに好適にフィットする。なお、土台部2の下縁に沿ってエキスパンドテープがアンダーテープ(図示せず)として設けられ、土台部2の伸縮性と復元性を高めていることが望ましい。
【0020】肩ストラップ4は織布のような布地を成形、縫製して形成され、カップ部1とバック部3の間に掛け渡されている。すなわち、肩ストラップ4の一端はカップ部1の上縁部に縫着等で取り付けられ、他端はバック部3に縫着等で取り付けられる(図示せず)。
【0021】この実施形態で特徴的なことは、土台部2の脇寄り部分の下部から湾曲部の縫着ラインを横切り、更にカップ部1の脇寄り部分に向って、ストライプ状に延びる補強部材6が設けられていることである。このカップ部1と土台部2の脇寄り部分に沿う補強部材6は、例えばテープ状の布材をカップ部1や土台部2の表側に縫着する(布材の両側に沿って糸で縫い付ける)ことで形成され、長尺の袋状の部分(図1において点線、一点鎖線、二点鎖線で描いたストライプ状の部分6A〜Cのいずれか)が形成される。
【0022】袋状の部分(ストライプ状部分6A〜Cのいずれか)には、平板状で可撓性を有するプラスチック製のボーン部材(図示せず)がストライプの長手方向に摺動可能に収容される。ボーン部材は幅が2〜20mm(好適には4〜10mm)で、厚さは0.1〜10mm(好適には0.5〜2mm)で、金属、芯地、その他のテープ状部材で形成できる。このボーン部材の上端は上カップ11と下カップ12の接ぎの部分に届き、下端は土台部2の下縁(アンダーテープの部分)に届いている。なお、補強部材6は複数本が平行に並ぶように設けられていても良いし、カップ側(特に先端側)で弾力性が低くなる(可撓性が多額なる)ように構成されていても良い。
【0023】補強部材6がストライプ状に延びる方向については、点線6Aや一点鎖線6Bで示すように傾斜(好適には着用状態での水平方向に対して40〜70度の角度で傾斜)しているのが好ましいが、二点鎖線6Cのように垂直に近い程度でも良い。また、土台部2の脇部分を縦方向に横断するように、別のボーン部材(図示せず)が設けられていても良い。これら補強部材6(6A〜C)は着用状態において脇寄せ機能を好適に発揮するが、特にボーン部材は、着用していない(非着用)状態においてカップ部1の脇寄り部分から土台部2の脇下部分が滑らかに連続するのをサポートしている。
【0024】図2に斜視図で示される実施形態のブラジャーは、いわゆる3/4カップのタイプである。この場合にも、カップワイヤーを有しないノンワイヤー型であり、土台部2は幅広に成型されて左右方向に伸縮性を有する。そして、ボーン部材(図示せず)を内在させた補強部材6A、6B、6Cのいずれかが、カップ部1の上端から土台部2の下端に向ってストライプ状に設けられている。
【0025】図3はハーフカップのノンワイヤー型ブラジャーに適用した場合の斜視図であり、この場合にも土台部2は幅広であって、ボーン部材(図示せず)を内在させた補強部材6A、6B、6Cのいずれかがストライプ状に設けられる。なお、カップ形状を成すように立体成型された左右一対のカップ部1は、その上端において肩ストラップ4の一端に接続されているが、肩ストラップ4を有しないストラップレスとなる場合もある。
【0026】図4は、土台部のないタイプ(アンダーレス)の実施形態を示す斜視図である。この実施形態が図1〜3と大きく異なる特徴的構成は、カップ部1の前中心側には伸縮性を有する前中心布20が縫着され、脇側には伸縮性を有する脇下押え布地21が縫着されている。すなわち、前中心から左右の脇部へと続く土台部が存在せず、前中心布20と左右の脇下押え布地21に別れている。
【0027】全体の構成を説明すると、上カップ11と下カップ12からなる左右一対のカップ部1は、脇寄り部分から中間部分を経て前中心寄り部分にかけて凸型に湾曲した湾曲部を下縁に有し、カップ形状を成すように立体成型されている。脇下押え布地21はカップ部1の脇寄り部分の湾曲部に直接に縫着される凹型に湾曲した湾曲部を上縁に有し、左右方向に伸縮性を有した素材で形成されている。前中心布20はカップ部1の前中心寄り部分の湾曲部に直接に縫着される凹型に湾曲した湾曲部を左右の上縁に有しており、いわゆるノンワイヤー型を成している。そして、脇下押え布地21の下部から湾曲部の縫着ラインを横切ってカップ部1の脇寄り部分にストライプ状に延びる補強部材6A、6B、6Cが設けられ、これは例えば可撓性を有するボーン部材等で構成されている。
【0028】図4のブラジャーによれば、脇下押え布地21は左右方向に伸縮性を有し、かつ、脇下押え布地21はカップ部1(下カップ12)の湾曲部に直接に縫着されてノンワイヤー型を成しているので、着用状態では脇下押え布地21が左右方向に伸びて体幹にフィットし、カップ部1はバストに好適にフィットする。この時、脇下押え布地21の下部から湾曲部の縫着ラインを横切ってカップ部1の脇寄り部分にストライプ状に延びる補強部材6A〜Cが設けられているので、脇下押え布地21が左右に引かれて伸びてもバージスライン近傍で脇下押え布地21とカップ部1は滑らかな曲面形状に保持され、カップ部1に皺が生じたり潰れたりすることが避けられる。また、脇下押え布地21の伸びに応じて補強部材6A〜Cの下端側がそれぞれの脇側に引かれ、反作用として補強部材6A〜Cの上端側には前中心側に押されるので、バストを下側から前中心の方向に寄せる力が働く。よって、着用状態で脇下押え21を横方向に引く力を、カップ部1を脇側より上方に持ち上げる力に変換しているので、ノンワイヤー型に特有の快適な着用感(脇寄せ感)を維持しながら、優れたバストの造形性と保形性を実現できる。
【0029】なお、図4に示す実施形態の変形例として、補強部材6A〜cがストライプ状に延びる方向が、脇下押え布地21の下部から前中心の上方に向う方向であって、補強部材6Aを成すボーン部材の上端が下カップ12を通って上カップ11との接ぎ線の位置までの延びていても良い。また、補強部材6Aは、テープ状の布材を脇下押え布地21とカップ部1に縫着することにより形成された袋状の部分に、可撓性を有するボーン部材が摺動可能に収容されることにより形成されていても良い。
【0030】図5(a)〜(c)は、ボーン部材の種々の形態を示す斜視図である。同図(a)のブラジャーでは、ボーン部材6は下側に向って幅広の縦長の略台形状(上辺が3mm程度で下辺が5mm程度)を成している。同図(b)のブラジャーでは、ボーン部材6は上側に向って尖り、中央部で幅広で、下側に向って幅狭の縦長形状を成しており、その両端辺は外側に凸の曲線を成している。同図(c)のブラジャーでは、ボーン部材6は中央部で幅狭となって、上側と下側にそれぞれ略三角形状に広がりを有する縦長形状を成している。いずれの場合も、ボーン部材6は着用状態で傾斜するように設けられている。
【0031】図6〜図8は、種々の態様のブラジャーへの本発明の適用例を示している。図6は、カップ部1の接ぎ線が図1〜3とは異なるタイプの例であり、図7は、成型カップの場合を示している。この場合は、カップ部1には接ぎ線は存在しない。図8は、カップくりの接ぎ線が存在しないタイプを示している。左右のカップ部1は、前中心で直接に連結されている。
【0032】次に、これら実施形態に示すブラジャーの各部の機能と作用効果を、図9,10を参照して説明する。図9は、実施形態に係るブラジャーのバスト補整機能を説明する概念図、図10は、従来のノンワイヤー型ブラジャーの問題点を説明する概念図である。なお、実施形態(図9)のブラジャーは下カップを右下カップと左下カップで構成している点で図1〜3と異なるが、本質的な差異はない。
【0033】実施形態のブラジャーでは、二面構造パターンを採用することにより、カップワイヤーを使用しないで高い安定性と造型効果を実現している。これを図9で説明すると、第1に、土台部2の脇側下部からカップ部1の脇側部分を芯素材(ボーン部材)を含む補強部材6Aで固定し、面でパワーをかける(エリアE1から前中心に向うパワーP1をかける)構造により高い脇寄せ、すなわち「脇スッキリ効果」を実現している。第2に、土台部2を幅広で伸縮性のある素材で構成し、身体(体幹)に密着してカップ部1を面で支える(エリアE2からパワーP2を作用させる)構造とすることにより、アンダーを安定させてカップ部1のズレあがりを防止している。この二面からのパワーP1,P2により、着用状態では土台部2が伸びて補強部材6Aがバストを押さえる力P3を生じさせる。
【0034】これに対し、図10に示す従来のブラジャーでは、着用時に土台部2が左右に引かれるとバスト付近でカップ部1を上下に押さえるパワーP4,P5が働き、脇側で土台部2を上下に押さえるパワーP6,P7が働く。このため、図10に点線で示すように皺が生じたり、トップ領域E3でカップ布が余ってアヒルの嘴のように飛び出す「くちばし現象」が生じたりして、保形性や造型性は損われる。なお、図9,10に示すように、土台部2には脇方向にパワーP8が着用状態において働いている。
【0035】ここで、脇の部分にプラスティック等のボーンを設けたブラジャーとして、例えば実用新案登録第2504152号(実開平7−38111)や特許第3205524号(特開平10−292208)が知られている。
【0036】前者(実開平7−38111)のブラジャーは、カップ布と脇布の間に押え布を別途に設けているから、仮に土台布に伸縮性を持たせても本願のような「二面構造」によるカップ寄せ効果は生じない。また、この押え布には複数本のボーンを並べて面状のサポータにしており、着用者には違和感を与えてしまう。なお、ボーンの伸びる方向としては脇下から前中心の上方に向う(方向は本願と同じ)ものと、脇上から前中心の下方に向う(方向が本願と異なる)ものが示されている。前者の従来タイプでは着用状態でアンダーが引かれると押え布の上縁が浮き上ってしまい、後者の従来タイプでは上縁の浮き上りは生じないがバストの寄せ上げは極めて不充分である。
【0037】後者(特開平10−292208)のブラジャーは、脇側バージスラインを支えてバストが脇側へ流れるのを防止できる優れたものであるが、ボーンはカップ部には伸びていない点でバストの寄せ上げを奏するものではない。また、この従来例はワイヤーフォーム型の場合に最も好適であって、ノンワイヤーに特有の着心地の良さを維持しながらカップの造型性向上を狙うものでもない。
【0038】実施形態のブラジャーによれば、「楽な」ブラジャーを着けながら、バストをしっかり整えたい、という女性の願望を満たすことも可能になる。出願人の長年の調査に依れば、ブラフクレームには多くの「カップワイヤーに関するクレーム」が含まれており、ブラジャーは「楽なものを着けたい」というニーズが根強い。このため、ノンワイヤー型が注目されることとなるが、カップが潰れたり皺が寄ったりすることが多かった。つまり、ワイヤーの苦しさや違和感を生じること無く、バストをしっかり整えるノンワイヤー型ブラジャーが要望されていたのである。
【0039】特に、加齢と共にボディステージが進むと、乳房は柔らかくなって下垂気味となり、下カップが撓んでくる。そのため、ヌード状態での脇バージスラインがワイヤー通り位置より外側になってしまい、若い頃の理想体型では苦しさを感じなかったカップワイヤーが、加齢と共に違和感をもたらすものとなってしまう。本実施形態によれば、カップワイヤー自体をなくしているので、このような不具合は全く生じない。
【0040】本出願人は、図1に示すタイプのブラジャーを試作し、商品パフォーマンスを調べた。モニターはC70とし、BSI(ボディステージI)が19〜24歳の2名、BSIIが27〜36歳の7名、BSIIIが37〜49歳の4名として、試作品と従来品の着用試験を行った。着用状態で写真撮影し、モアレ干渉縞により立体的な造型性を比較したところ、従来品と比較して顕著な寄せ上げ効果が確認された。
【0041】また、モニターに着用感のコメントを求めたところ、13名の共通のコメントとして、■カップ脇にしまり感、寄せ感がある、■土台が柔らかいわりに安定感がある、■見た目の抵抗感がない、が得られた。また、ボディステージが上がるほど効果は顕著であったが、20歳前後の若い女性でも充分な効果が認められた。
【0042】本発明は、上記の実施形態や変形例に限らず、種々の態様が可能である。例えば、ファンデーション衣類としてのブラジャー以外にも、カップ部と土台部を備えるカップ付き女性用衣類であれば適用できる。また、前中心を係脱自在のホックで連結するフロントホック型ブラジャーにも適用できる。ボーン部材は、カップ部1および土台部2の表側に接着、溶着して設けても良い。
【0043】
【発明の効果】本発明のカップ付き女性用衣類によれば、土台部を横方向に引く力を、脇側の補強部材によりカップ部を上方に持ち上げる力に変換できるので、美麗なバストラインを創造しつつ、ノンワイヤー型に特有の優れた着用感を実現することができる。
【出願人】 【識別番号】000139399
【氏名又は名称】株式会社ワコール
【住所又は居所】京都府京都市南区吉祥院中島町29番地
【出願日】 平成13年12月7日(2001.12.7)
【代理人】 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外2名)
【公開番号】 特開2003−171809(P2003−171809A)
【公開日】 平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願番号】 特願2001−374679(P2001−374679)