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【発明の名称】 形態安定材
【発明者】 【氏名】横田 行弘

【氏名】安延 誠

【要約】 【課題】保形性や造形性に優れ、且つ装着感が良好で安価で耐久性に優れた形態安定材を提供することを目的とする。

【解決手段】中心軸となるマルチフィラメント状有機繊維2と螺旋状に特定の間隔で存在するマルチフィラメント状有機繊維3をマトリックス樹脂1を融点以上に加熱し回転ノズル5を回転させながら押し出してやることにより螺旋状物が得られ、再度加熱してマルチフィラメント状有機繊維2はテンションが掛けられた状態で必ず短弧側になるように、螺旋を解除しながらマルチフィラメント状有機繊維3は長弧側になるようにして金型9中で冷却することで無理なくマトリックス中に2本以上のテンションの掛かった高強力繊維の配列された、二次元に曲げ加工された形態安定材を形成することが出来る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】引張り強度が18cN/dtex以上、弾性率が500cN/dtex以上、破断伸度が5%以下で分解温度が摂氏250度以上の一方向のマルチフィラメント状有機繊維がマトリックス樹脂中で少なくとも2本以上、同一方向に任意の間隔で二次元の円弧状に曲げられていることを特徴とする形態安定材。
【請求項2】前記マルチフィラメント状有機繊維がマトリックス樹脂との密着性を高める為に表面処理が施されていることを特徴とする形態安定材。
【請求項3】前記マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする形態安定材。
【請求項4】形態安定材を二次元の円弧状に賦形する方法において、マトリックス樹脂と一緒に含浸され押し出される軸となるマルチフィラメント状有機繊維を中心にして任意の間隔で押し出されるもう一方の外側のマルチフィラメント状有機繊維を回転させることにより繊維長の違う螺旋状物が得られ、それをマトリックス樹脂の融点以上で螺旋を解除しながら加圧、冷却することで、中心にあった繊維が短弧に、外側にあった繊維が長弧に配列された形態安定材の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマルチフィラメント状有機繊維及び熱可塑性樹脂をマトリックスとする繊維強化複合材であり衣類に用いられる金属製の形態安定材の代替に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の形態安定材は、主に弾性力の高い金属製のワイヤーがブラジャーの下縁湾曲部や洋服の肩部に保形性や造形性を目的として取り付けられている。
【0003】ところが従来の金属製の形態安定材は形状を保持する力には満足するものであったが金属固有の問題点すなわち、ヤング率が樹脂や繊維に比較して非常に高いために装着時に違和感があったり、装着跡が残ったり、周囲の繊維を傷つけたり、縫製後に行われる針や折れた針が製品中に残っていないかの検針器を使用した検針作業が容易でなかったり、空港等で行われる金属探知器にも反応するために確認作業に掛かる時間や労力が増加してきたため、金属製以外で非磁性の形態安定材が強く求められている。
【0004】また非磁性の金属を使った形態安定材や金属以外の素材では、不飽和ポリエステル樹脂や熱可塑性樹脂中に一方向のガラス繊維や炭素繊維を配置し賦形したワイヤー状の形態安定材もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来の形態安定材はまだ満足出来るものではなかった。即ち例えば金属製や熱可塑性樹脂中に一方向の炭素繊維やガラス繊維を配置し賦形した形態安定材では、剛性が高い為に、人が活動するために体を動かすと、三次元の形状で筋肉等が衣類を介して形態安定材に加わるのであるが、必要な部分、つまり保形や造形が必要な部分以外に剛性が働き違和感となったりストレスの原因ともなりかねないという問題がある。
【0006】また炭素繊維やガラス繊維を使用したものは、剛性力は金属製のものと同等に発現しその働きは有るのであるが、力が加わる角度によっては脆さがあるため洗濯時に折れてしまい機能を果たさなくなってしまうことが多く発生している。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る形態安定材は、引張り強度が18cN/dtex以上、弾性率が500cN/dtex以上、破断伸度が5%以下で分解温度が摂氏250度以上の一方向のマルチフィラメント状有機繊維がマトリックス樹脂中で少なくとも2本以上、同一方向に任意の間隔で二次元の円弧状に曲げられていることを要旨とする。
【0008】例えばブラジャーの下縁湾曲部に形態安定材を取り付ける場合、下縁の湾曲部に沿って表地と裏地を利用した筒状の形態安定材を取り付けるためのスペースが有りその中に挿入する場合、薄い素材の方がブラジャーの生地に皺が発生しにくく、なるべく偏平で体に接触する面が線状よりも面で接触する方が好ましく、あまり剛性が強すぎると体にフィットしないでブラジャーの脇部が浮いた様な状態に陥りやすく、また湾曲部が簡単に開いてしまうと保形性や造形性が損なわれてしまうため、外的応力に十分耐え得るだけの機械的強度が要求される。
【0009】この点において本発明の形態安定材は、弧を描く2本の間隔を持った高強力繊維がテンションが掛かった状態で偏平な熱可塑性樹脂中に存在するため、弧の部分に応力が掛かった場合には弧の内側もしくは外側の繊維に引張りが発生し変形を防ぐ働きをし、マトリックス樹脂も弾性率が高く、且つ脆性の小さい樹脂を選定すれば洗濯時に折れたりする危険性も減少する。
【0010】本発明に用いられる一方向のマルチフィラメント状有機繊維としては、ポリアリレート繊維、アラミド繊維、共重合アラミド繊維、PBO繊維等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよく、また樹脂との接着性を向上させるために、コロナ放電処理、酸化処理やカップリング剤、プライマーによる表面処理を行ったものでも良い。
【0011】また、本発明においてマルチフィラメント状有機繊維にマトリックス樹脂の含浸性を高めるために予め同一の樹脂を含浸しておいたものを用いても構わない。
【0012】さらに、マトリックスとして用いられる熱可塑性樹脂はポリカーボネイトやナイロン系のものが挙げられるが特にこれに限定されるわけではではない。
【0013】
【発明の実施の形態及び実施例】以下、本発明に係る形態安定材を図面と実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はもとより図面や実施例に限定される訳ではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更し実施することも可能であり、それらは本発明の技術的範囲に包含される。
【0014】図1は本発明における形態安定材が回転ノズル5から押し出された状態を表した断面の略図でマトリックス樹脂1中を中心となるマルチフィラメント状有機繊維2の部分と外側のマルチフィラメント状有機繊維3を保持し、ノズルを回転させながら引き出し冷却させたものである。
【0015】図2は本発明における形態安定材を再加熱してやり二次元に曲げ加工したものの代表例の略図で、マトリックス樹脂1を融点以上で加熱してやることにより、マルチフィラメント状有機繊維2はテンションが掛けられた状態で必ず短弧側に存在し、長弧側に有るマルチフィラメント状有機繊維3には回転を解除しながら長弧の部分を無理なく形成することが出来、金型9中で冷却することにより、二次元に曲げ加工された形態安定材を得ることが出来る。
【0016】<実施例1>図3は本発明の実施例1に係る形態安定材製造方法を示す断面図である。繊度1670dtexのPBO繊維2を送りロール4により繊維を開かせ、糸道6から回転ノズル5の軸中心部に挿入する。また同じく繊度1670dtexのPBO繊維を送りロール7により繊維を開かせ糸道8より回転ノズル5に挿入し、マトリックス樹脂1であるナイロン66融点が摂氏258度を回転ノズル温度摂氏300度で溶融し毎分5mの速度でPBO繊維2、3を把持させながら回転ノズル5を毎分20回転させながら引き出し、冷却させた。
【0017】次に乾燥炉で摂氏275度に再加熱した上記素材を図2の加熱、加圧プレスの金型9にセットして全体にテンションを掛けながら螺旋を解除しながら曲げてやりプレスしたままの状態で、金型中で冷却を行なった。
【0018】これにより、厚み1.5mm、幅3mm、60Rの曲げの形態安定材が得られ、適合するブラジャーに装着し、5人の女性に8時間使用してもらった結果、乳房の下部周囲に残った装着跡は軽微で保形性や装着感も満足するものであった。
【0019】<比較例1>次に、通常使用している下縁湾曲部に金属性の形態安定材が入ったブラジャーを同じ5人の女性に装着してもらい8時間使用してもらった結果、乳房の下部周囲に残った装着跡は本発明の形態安定材のものよりきつく、装着感にも違和感を感じる者が2人いた。
【0020】<実施例2>さらに本発明の形態安定材の装着されたブラジャーを30枚,水温23度で洗濯ネットを使用せずに全自動洗濯機で洗濯を30回繰り返したが折れたり変形したものは見られなかったが金属性のホックに引っ掛かり生地が傷んだ物が多く見られた。
【0021】<比較例2>市販のNiTi系形状記憶合金線の形態安定材が装着されたブラジャーを同条件でテストした結果金属が折れたものが1つ有ったのと、少し変形(曲げ癖)の付いたものが3個見つかった。
【0022】本発明品は上記実施例及び比較例からもわかる様に、装着感や保形性、洗濯性に優れている。
【0023】
【発明の効果】本発明に係る形態安定材は、その単純な構造及び形状により、保形性、造形性、洗濯性に優れており、加えて装着感においても非常に高い評価を得ることが出来るものである。また、本発明に係る形態安定材は金属探知器や検針器にも反応せず、その製造方法が簡便で安価である。
【出願人】 【識別番号】390007641
【氏名又は名称】渡辺化成株式会社
【識別番号】594189176
【氏名又は名称】有限会社高尾商事
【出願日】 平成13年11月16日(2001.11.16)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−155605(P2003−155605A)
【公開日】 平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願番号】 特願2001−390661(P2001−390661)