| 【発明の名称】 |
乳房用吸収パッドおよびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】エミリア カリ
【氏名】榎 通雄
【氏名】星川 光宏
|
| 【要約】 |
【課題】衣服からはみ出てしまうことを防ぐとともに、吸収能力特性が高い状態で用いることができる乳房用吸収パッドおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】吸収体と、一表面を覆う透水性の内側表面シートと、他表面を覆う不透水性の外側表面シートとによって、周縁部25が、仮想外接円Cの中心Oまわりに90度以上180度以下の角度範囲S1,S2にわたって、仮想外接円Cから半径方向内方に退避する退避周縁部分30,31を有する形状に形成する。この乳房用吸収パッド20は、帯状の吸収体素材をその長手方向に送りながら、2つの吸収体が退避周縁部分を相互に対向させて並ぶ配置部分を有する一列に並ぶ配置で、吸収体素材から複数の吸収体を連続的に型抜きする型抜き工程を経て形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 吸収体と、吸収体の一表面を覆う透水性の内側表面シートと、吸収体の他表面を覆う不透水性の外側表面シートとを含み、周縁部が、仮想外接円の中心まわりに90度以上180度以下の角度範囲にわたって、前記仮想外接円から半径方向内方に退避する退避周縁部分を有することを特徴とする乳房用吸収パッド。 【請求項2】 前記周縁部は、少なくとも仮想外接円を含む仮想一平面上で交差する2直線に沿って延びる領域を含む2つの退避周縁部分と、各退避周縁部分の前記2直線の交点とは反対側の各端部を結ぶ底縁部分とを有することを特徴とする請求項1記載の乳房用吸収パッド。 【請求項3】 吸収体と、吸収体の一表面を覆う透水性の内側表面シートと、吸収体の他表面を覆う不透水性の外側表面シートとを含み、周縁部が、仮想外接円の中心まわりに90度以上180度以下の角度範囲にわたって、前記仮想外接円から半径方向内方に退避する退避周縁部分を有する乳房用吸収パッドの製造方法であって、帯状の吸収体素材をその長手方向に送りながら、2つの吸収体が退避周縁部分を相互に対向させて並ぶ配置部分を有する一列に並ぶ配置で、吸収体素材から複数の吸収体を連続的に型抜きする型抜き工程を含むことを特徴とする乳房用吸収パッドの製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、出産前後の女性が用いる乳房用吸収パッドに関する。 【0002】 【従来の技術】図14は、従来の技術の乳房用吸収パッド1を示す図であって、図14(1)は、正面図であり、図14(2)は、断面図である。出産前後の婦人は、乳房から漏れる母乳が垂れて、衣服などに付着するのを防ぐために、タオルおよびハンカチなどを当てがい、漏れた母乳を吸収させていた。タオルおよびハンカチなどは、母乳を吸収させるためのものではなく、使い勝手が悪いので、紙を積層し同心円形に切り出した吸収体などを備える使い捨ての母乳専用の乳房用吸収パッドが用いられるようになっている。 【0003】使い捨ての乳房用吸収パッドの一例である図14に示す乳房用吸収パッド1は、粉砕パルプ吸収体を円形に切り出した吸収体2を、不透水性の外側表面シート3と透水性の内側表面シート4とによって封入して構成される。このように乳房用吸収パッド1は、母乳を専ら吸収することを目的として構成される。 【0004】図15は、他の従来の技術の乳房用吸収パッド1aを示す図であって、図15(1)は、正面図であり、図15(2)は、断面図である。図14の乳房用吸収パッド1と異なる点だけ説明すると、乳房用吸収パッド1aは、円錐状に形成され、乳房に当てがいやすくしている。 【0005】図16は、さらに他の従来の技術の乳房用吸収パッド1bを示す図であって、図16(1)は、正面図であり、図16(2)は、断面図である。乳房用吸収パッド1bは、ティシュの積層体を吸収体2とし、これを単に円形に切り出して構成される。 【0006】さらに他の従来の技術として、粉砕パルプに高分子吸収材を混合し、吸収体2として用いる乳房用吸収パッドも知られている。さらに他の従来の技術として、実開平6−33911に示される乳房用吸収パッドがあり、これも図14の乳房用吸収パッド1と同様に構成される。 【0007】図17は、乳房用吸収パッド1の製造装置10を簡略化して示す斜視図である。製造装置10は、吸収体2より少し大きい幅の帯状の吸収体素材11から、ロータリカッタ12で、吸収体2を1つずつずつ型抜きする作業を、連続的に実行し、型抜きした各吸収体2を、この吸収体2より少し大きい幅の帯状の外側表面シート素材13および内側表面シート素材14で両側から挟み、円形にかつ周縁部を閉じた状態に、型抜き手段を用いて型抜きして形成される。 【0008】図18は、乳房用吸収パッド1の他の製造装置10aを簡略化して示す斜視図である。図16の製造装置10と異なる点だけ説明すると、製造装置10aは、吸収体2より十分に大きい幅の帯状の吸収体素材11から、型抜き手段12aによって、複数の吸収体2を一度に型抜きする作業を、断続的に実行し、型抜きした吸収体2を、案内手段15によって外側表面シート素材13および内側表面シート素材14間に案内し、以下同様して形成される。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】近年の生活様式の変化によって、出産後の授乳期に授乳婦用の衣服ではなく、出産前後でない時期と同様の普通の衣服を身に付けるようになっており、この場合、各乳房用吸収パッド1,1a,1bは、正面形状が円形状であるので、一部が衣服からはみ出てしまう欠点があった。また各乳房用吸収パッド1,1a,1bにおける母乳の吸収量分布は、重力によって、下部が多くなる分布を示すが、各乳房用吸収パッド1,1a,1bは、正面形状が円形状であるので、上部と下部の吸収能力が同等であり、結果として、上部の吸収能力が過剰となって、吸収能力特性上に無駄があった。 【0010】各乳房用吸収パッド1,1a,1bを、製造装置10によって製造する場合、吸収体2を連続的に型抜きするので、生産速度は高いけれども、帯状の素材11から、素材の流れ方向(延在方向)に並べて円形に型抜きをするので、トリムロス、したがって型抜きされた素材の残り部分が大きくなる。また吸収体2を各シート素材13,14で覆った後の型抜きにおいても、同様の無駄が生じる。このように製品部分と、型抜きされた残り部分との比、すなわち歩留まりとトリムロスの比が1対1程度となり、素材全体の1/2程度が無駄となって、極めて歩留まりが悪い。 【0011】これに対して、各乳房用吸収パッド1,1a,1bを、製造装置10aによって製造する場合、吸収体2を素材の流れ方向および幅方向に複数個、一度に型抜きをするので、トリムロスが小さくなり、歩留まりとトリムロスの比が、7対3程度となり、歩留まりは向上されるが、型抜きした吸収体2を一列に整列させなければならず、生産速度が製造装置10の場合の1/2程度に低下してしまう。 【0012】このように従来の技術の製造方法では、トリムロスを小さく抑えかつ生産性を高くすることができない。 【0013】本発明の目的は、衣服からはみ出てしまうことを防ぐとともに、吸収能力特性が高い状態で用いることができる乳房用吸収パッドを提供することである。 【0014】また本発明の目的は、衣服からはみ出てしまうことを防ぐとともに、吸収能力特性が高い状態で用いることができる乳房用吸収パッドを、トリムロスを小さく抑えかつ生産性を高くして製造することができる乳房用吸収パッドの製造方法を提供することである。 【0015】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明は、吸収体と、吸収体の一表面を覆う透水性の内側表面シートと、吸収体の他表面を覆う不透水性の外側表面シートとを含み、周縁部が、仮想外接円の中心まわりに90度以上180度以下の角度範囲にわたって、前記仮想外接円から半径方向内方に退避する退避周縁部分を有することを特徴とする乳房用吸収パッドである。 【0016】本発明に従えば、内側表面シートを肌に接触させるようにして、乳房用吸収パッドを乳房に装着して、漏れ出る母乳を吸収することができる。この乳房用吸収パッドは、周縁部が、仮想外接円の中心まわりに90度以上180度以下の角度範囲にわたって、前記仮想外接円から半径方向内方に退避する退避周縁部分を有する。このような外形形状に形成することによって、退避周縁部分を正中矢状面に近づく方向かつ上方に向けて、乳房用吸収パッドを乳房に装着すれば、乳房用吸収パッドが下着からはみ出すことを防ぎ、下着を覆うことができる限界程度に胸元が開いた衣服を装着しても、乳房用吸収パッドが衣服からはみ出てしまうことを防ぐことができる。 【0017】また乳房用吸収パッドを上述のように装着することによって、その装着状態において、上部に配置される吸収体体積に比べて、下部に配置される吸収体体積を大きくし、下部における母乳の吸収容量を、上部における母乳の吸収容量よりも大きくすることができる。これによって上述のような装着状態における乳房用吸収パッドの吸収能力特性が、必要とされる吸収能力特性と一致し、無駄のない優れた高い吸収能力特性を示す状態で用いることができる。 【0018】請求項2記載の本発明は、前記周縁部は、少なくとも仮想外接円を含む仮想一平面上で交差する2直線に沿って延びる領域を含む2つの退避周縁部分と、各退避周縁部分の前記2直線の交点とは反対側の各端部を結ぶ底縁部分とを有することをことを特徴とする。 【0019】本発明に従えば、周縁部が、2つの退避周縁部分を有し、各退避周縁部分のいずれか一方を、正中矢状面に近づく方向かつ上方に向けて、乳房用吸収パッドを乳房に装着すれば、上述のように乳房用吸収パッドが下着からはみ出すことを防ぐことができる。このように衣服からのはみ出し防止および高い吸収能力特性を示す状態での装着が可能な乳房用吸収パッドを実現することができる。さらに2つの退避周縁部分を有しているので、左右両方の乳房に対して、上述のような効果が得られる状態で、それぞれ容易に装着することができ、高い利便性を有する。 【0020】請求項3記載の本発明は、吸収体と、吸収体の一表面を覆う透水性の内側表面シートと、吸収体の他表面を覆う不透水性の外側表面シートとを含み、周縁部が、仮想外接円の中心まわりに90度以上180度以下の角度範囲にわたって、前記仮想外接円から半径方向内方に退避する退避周縁部分を有する乳房用吸収パッドの製造方法であって、帯状の吸収体素材をその長手方向に送りながら、2つの吸収体が退避周縁部分を相互に対向させて並ぶ配置部分を有する一列に並ぶ配置で、吸収体素材から複数の吸収体を連続的に型抜きする型抜き工程を含むことを特徴とする乳房用吸収パッドの製造方法である。 【0021】本発明に従えば、吸収体を型抜きする型抜き工程で、帯状の吸収体素材から、その長手方向に並ぶ配置で複数の吸収体が連続的に型抜きされ、乳房用吸収パッドの連続的な製造が達成され、生産速度を高し、生産性を高くすることができる。このように吸収体を連続的に型抜きするにあたって、2つの吸収体が退避周縁部分を相互に対向させて並ぶ配置部分を有するように、各吸収体が一列に並ぶ配置で型抜きをする。これによって、各吸収体を可及的に密に並べて型抜きすることができ、型抜きされた残りの部分であるトリムを小さく、したがってトリムロスを小さく抑え、歩留まりを高くすることができる。 【0022】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の乳房用吸収パッド20を示す正面図であり、図2は、乳房用吸収パッド20を示す平面図であり、図3は、乳房用吸収パッド20を示す左側面図であり、図4は、乳房用吸収パッド20を示す平面図である。底面図は、平面図と上下対称に現れ、右側面図は、左側面図と左右対称に現れる。乳房用吸収パッド20は、出産前後の女性が乳房に装着して、漏れ出る母乳を吸収するために用いられる。 【0023】乳房用吸収パッド20は、吸収体21と、吸収体21の一表面を覆う透水性の内側表面シート22と、吸収体21の他表面を覆う透水性の内側表面シート23とを含んで構成される。この乳房用吸収パッド20は、大略的に三角形状であって、さらに詳細に述べると略扇形状に形成され、周縁部25が、仮想外接円Cの中心Oまわりに90度以上180度以下の角度θ1,θ2の各角度範囲S1,S2にわたって、仮想外接円Cから半径方向内方に退避する退避周縁部分30,31を有する。 【0024】詳細に説明すると、乳房用吸収パッド20は、平坦状のパッドであって、この乳房用パッド20の厚み方向中央を通り、この厚み方向に垂直である仮想一平面を想定し、この仮想一平面上で乳房用吸収パッド20に外接する仮想外接円Cを想定する。乳房用吸収パッド20は、略三角形の3つの頂点に相当する外接点33,34,35において、仮想外接円Cに接する。 【0025】第1外接点33および中心Oを通る第1仮想直線37と第2外接点34および中心Oを通る第2仮想直線38との成す角度θ1が、90度以上180度以下、本実施の形態では、約110度である。第1および第2外接点33,34間の内角側である角度θ1の第1角度範囲S1における周縁部分が第1退避周縁部分30である。 【0026】また第1外接点33および中心Oを通る第1仮想直線37と第3外接点35および中心Oを通る第3仮想直線39との成す角度θ2が、90度以上180度以下、本実施の形態では、約110度である。第1および第3外接点33,35間の内角側である角度θ2の第2角度範囲S2における周縁部分が第2退避周縁部分31である。 【0027】これら第1および第2退避周縁部分30,31は、少なくとも、仮想外接円Cを含む仮想一平面上で交差する2つの、したがって第3および第4仮想直線40,41に沿って延びる領域を含んでいる。第1退避周縁分30は、第3仮想直線40に沿って延びる略直線状に形成され、第1および第2外接点33,34から、その中央に向かうにつれて仮想外接円Cから半径方向内方に向かう退避距離が大きくなるように形成される。第2退避周縁分31は、第4仮想直線41に沿って延びる略直線状に形成され、第1および第3外接点33,35から、その中央に向かうにつれて仮想外接円Cから半径方向内方に向かう退避距離が大きくなるように形成される。また第1および第2退避周縁部分30,31は、第1仮想直線37に関して対称に形成される。 【0028】乳房用吸収パッド20の周縁部25は、上述のような第1および第2退避周縁部分30,31に加えて、さらに底縁部分32を有する。第2仮想直線38と第3仮想直線39との間の第3角度範囲S3であって、第2および第3外接点34,35間の内角側である角度θ3の第3角度範囲S3における周縁部分が底縁部分である。第2仮想直線38と第3仮想直線39との成す角度θ3は、360度から角度θ1および角度θ2を減算した約140度である。 【0029】この底縁部分32は、第1および第2退避周縁部分30,31の第4および第5仮想直線40,41の交点42とは反対側の各端部を結ぶ。また底縁部分33は、半径方向外方に凸の円弧状であって、第2および第3外接点34,35から、その中央に向かうにつれて仮想外接円Cから半径方向内方に向かう退避距離が大きくなるように形成される。 【0030】このような外形形状に形成される乳房用吸収パッド20は、さらに、乳房への装着時に、乳房に対する位置ずれを防止する目的で、下着に着脱自在に貼着するための貼着手段45を含む。貼着手段45は、貼着可能であれば、その形状などの構成は限定されないが、一例を述べると、外側表面シート23に、第1仮想直線33に沿って設けられており、粘着剤である粘着テープ、本実施の形態では2つの粘着テープ47と、各粘着テープ47に剥離可能に、かつ共通に貼着されて各粘着テープ47を保護するための離型シート48とを有する。 【0031】図5は、乳房用吸収パッド20を簡略化して示す断面図である。図5には、各層の配置を示すための図であり、吸収層50を除く部材の厚みを省略し、相互の間隔をあけて示す。各層は、相互に接触していてもよいし、間隔をあけていてもよい。吸収体21は、吸収層50と、吸収紙51と、パルプシート52とを有し、これらが積層されて構成される。 【0032】吸収層50は、たとえば綿状粉砕された粉砕パルプと母乳を吸収する特性を有する吸収ポリマとが混合された材料から成り、シート状に形成される。吸収紙51は、たとえばパルプなどを抄紙したいわゆる紙から成り、母乳を吸収する特性を有する。パルプシート52は、パルプによってシート状に形成され、母乳を吸収する特性を有する。 【0033】吸収層50、吸収紙51およびパルプシート52は、大略的に三角形状であって、さらに詳細に述べると略扇形状に、相互の同一の形状に形成される。これら吸収層50、吸収紙51およびパルプシート52は、吸収紙51が吸収層50の厚み方向一方に配置され、パルプシート52が吸収層50の厚み方向他方に配置される状態で、厚み方向と交差する方向に相互にずれないように、厚み方向に一致する配置で積層される。 【0034】内側表面シート22は、透水性であって、母乳を透過する特性を有する不職布から成り、大略的に三角形状であって、さらに詳細に述べると略扇形状に、吸収体20よりも少し大きく形成される。外側表面シート23は、不透水性であって、母乳の透過を阻止するポリエチレンなどの合成樹脂シートから成り、大略的に三角形状であって、さらに詳細に述べると略扇形状に、吸収体20よりも少し大きく、内側表面シート22と同一形状に形成される。 【0035】内側表面シート22は、吸収体21の厚み方向一方側となる吸収紙51側から吸収体21を覆い、外側表面シート23は、吸収体21の厚み方向他方側となるパルプシート52側から吸収体21を覆う。吸収体21、内側表面シート22および外側表面シート23は、内側表面シート22と外側表面シート23とが、厚み方向と交差する方向に相互にずれないように、厚み方向に一致するように配置されるとともに、吸収体21に対して、周縁部が周方向全周にわたってほぼ均一な幅で外方に突出するように、積層される。 【0036】このように収体21、内側表面シート22および外側表面シート23が積層された状態で、内側表面シート22および外側表面シート23の吸収体21から外方に突出した周縁部が、全周にわたって、たとえば熱溶着やホットメルトなどによって相互に固着され、吸収体21を各シート22,23によって内包して、乳房用吸収パッド20が形成される。この場合、内側表面シート22および外側表面シート23の突出した、相互に対向する領域を全領域にわたって固着し、これによって吸収体21が内部で移動して不所望な位置に偏在してしまうことを防ぐようにしてもよい。 【0037】図6は、乳房用吸収パッド20の装着状態を示す正面図である。乳房用吸収パッド20は、各退避周縁部分30,31のいずれか一方を、正中矢状面55に近づく方向かつ上方に向け、この状態で乳房用吸収パッド20の上下方向(正中矢状面に沿う方向)の中央位置が乳首56に対向するように、内側表面シート22を内側にして肌に接触させて、乳房に装着される。 【0038】乳房用吸収パッド20は、上述のように第1仮想直線37に関して対称に、上述の形状に形成されるので、この第1仮想直線37を正中矢状面55に平行に配置すれば、左右のいずれの乳房に装着しても、上述のような好適な状態に左右同様に装着することができる。言い換えると、同一形状のパッドで、左右兼用することができる。また内側表面シート22は、不職布であり、肌触りが良好である。 【0039】このように装着された状態で、乳房用吸収パッド20は、乳房から漏れ出る母乳を、内側表面シート22を通して内部に透過させることができる。内部に透過した母乳は、吸収紙51で厚み方向と交差する方向に拡散され、この吸収紙51から吸収層50に導かれ、この吸収層50でゼリー状に凝固され、逆戻りしないように吸収される。このようにして乳房用吸収パッド20は、母乳を吸収することができる。 【0040】パルプシート52は、吸収層50が散乱しないように機能し、外側表面シート23は、吸収した母乳の外部への漏れを防止する。また貼着手段45の粘着テープ47によって乳房用吸収パッド20を下着57に貼着することができ、乳房用吸収パッド20が上述の装着状態からずれることを防止することができる。 【0041】この乳房用吸収パッド20は、図6に示す上述の装着状態に装着すれば、乳房用吸収パッド20の上から胸部を覆うための下着57を装着した場合に、その下着57が、V字状に形成されて胸元の開いた下着57であっても、その下着57の胸元側の端縁部に、各退避周縁部分30,31いずれか一方を沿わせることができる。これによって、図7に示すように従来の技術の円形状の乳房用吸収パッド1,1a,1bでは、一部がはみ出す形状の下着57に対しても、乳房用吸収パッド20は、下着57からはみ出さないように装着することができる。 【0042】したがって下着57を覆うことができる限界程度に胸元が開いた衣服を装着しても、乳房用吸収パッド20が衣服からはみ出てしまうことを防ぐことができる。このように乳房用吸収パッド20のはみ出しを防止できるので、衣服の選択の自由度を高くすることができ、出産前後においてもおしゃれを楽しむことができ、極めて利便性が高くなる。また乳房用吸収パッド20が下着からはみ出ることを防ぐことができるので、乳房用吸収パッド20が衣服と接触し、装着者の動作に伴なって衣服が変位するときに、乳房用吸収パッド20が引っかかって一緒にずれてしまう不具合を防ぐことができるうえ、この乳房用吸収パッド20のずれに起因するかぶれも防ぐことができる。 【0043】また乳房用吸収パッド20は、上述の装着状態において、正中矢状面55に垂直であり、乳房用吸収パッド20の上端、本実施の形態では第1外接点33に接する仮想上端直線60と、正中矢状面55に垂直であり、乳房用吸収パッド20の下端、本実施の形態では底縁部の中央位置であって、第1仮想直線37上の位置で接する仮想下端直線61と、正中矢状面55に垂直であり、仮想上端直線60および仮想下端直線61から等距離Lの仮想中央直線62を想定すると、乳首56に対向する部分を通る仮想中央直線62よりも下部が上部よりも大きくなる。 【0044】つまり、図6において右側に示される乳房用吸収パッド20を例に挙げて説明すると、左下方に傾斜する斜線のハッチングで示される上部に配置される乳房用吸収パッドの体積に比べて、右下方に傾斜する斜線のハッチングで示される下部に配置される乳房用吸収パッドの体積が大きくなる。当然、上部に配置される吸収体21の体積に比べて、下部に配置される吸収体21の体積が大きくなり、下部における母乳の吸収容量を、上部における母乳の吸収容量よりも大きくなる吸収容量分にすることができる。 【0045】図8は、母乳の吸収量分布を示すための図あって、図8(1)は、従来の乳房用吸収パッド1,1a,1bの分布を正面側から見て示し、図8(2)は、本実施の形態の乳房用吸収パッド20の分布を正面側から見て示し、図8(3)は、本実施の形態の乳房用吸収パッド20の分布を側面側から見て示す。図8から明らかなように、漏れ出た母乳は、重力と毛細管現象とによって、上部における吸収量に比べて、下部における吸収量が多くなる吸収量分布を示す。 【0046】上述ように、本実施の形態の乳房用吸収パッド20は、上記装着状態における吸収容量分布が実際の吸収量分布と一致し、吸収能力特性が、必要とされる吸収能力特性と一致し、無駄のない優れた高い吸収能力特性を示す状態で用いることができる。したがって乳房用吸収パッド20を小さくすることができ、不必要に大きな乳房用吸収パッド20を装着する必要がないので、装着時における違和感を可及的に小さく抑えることができる。また退避周縁部分を設けるとともに左右兼用を容易にするために対称形状とするにあたって、単に三角形状にするのではなく、扇形状にして、底縁部32が外方に膨出するように形成することによって、このように下部における吸収容量を大きくすることができる。 【0047】図9は、乳房用吸収パッド20の製造装置70を簡略化して示す斜視図であり、図10は、乳房用吸収パッド20の製造手順を説明するための斜視図である。製造装置70は、基本的に、吸収体21の素材71を供給する吸収体素材供給手段72と、吸収体21を型抜きする吸収体型抜き手段73と、内側表面シート22の素材74を供給する内側素材供給手段75と、外側表面シート23の素材76を供給する外側素材供給手段77と、乳房用吸収パッド20を型抜きするパッド型抜き手段78とを有する。 【0048】吸収体素材供給手段72は、吸収紙51の素材とパルプ−シート52の素材とて吸収層50の素材を挟むように積層して、吸収体21よりも少し大きい幅の帯状の素材71とし、吸収体型抜き手段73に供給される。吸収体型抜き手段73は、たとえばロータリカッタであり、この吸収体の素材71から吸収体21を型抜きする。 【0049】この吸収体型抜き手段73による吸収体型抜き工程では、帯状の吸収体素材をその長手方向に送りながら、2つの吸収体21が退避周縁部分30,31を、実際には退避周縁部分30,31に対応する部分を相互に対向させて並ぶ配置部分を有する一列に並ぶ配置で、吸収体素材71から複数の吸収体21を連続的に型抜きする。詳細に述べると、上述の第1仮想直線37が素材71の送り方向に垂直になり、かつ隣接する吸収体同士が相互に逆向きになる配置で、型抜きされる。型抜きされた吸収体21は、そのままの配置で、搬送経路に沿って下流側に搬送される。 【0050】内側素材供給手段75は、型抜きされて搬送されてくる吸収体21を下側から覆うように、吸収体21よりも少し大きい幅の帯状の内側表面シート22の素材74を供給する。また外側素材供給手段77は、型抜きされて搬送されてくる吸収体21を上側から覆うように、吸収体21よりも少し大きい幅の帯状の外側表面シート23の素材76を供給する。 【0051】これら各素材74,76が、積層手段80によって、上述の積層状態に積層され、この積層体を、パッド型抜き手段78によって、吸収体21の周囲において、各素材74,76を、したがって内側および外側表面シート22,23を溶着しながら、吸収体21の外側で型抜きし、貼着手段45を除くパッド本体を型抜きする。パッド型抜き手段78は、たとえばロータリカッタである。 【0052】このパッド型抜き手段78によるパッド型抜き工程では、帯状の積層体をその長手方向に送りながら、2つのパッド本体が退避周縁部分30,31を相互に対向させて並ぶ配置部分を有する一列に並ぶ配置で、積層体から複数のパッド本体を連続的に型抜きする。詳細に述べると、上述の第1仮想直線37が積層体の送り方向に垂直になり、かつ隣接する吸収体同士が相互に逆向きになる配置で、型抜きされる。型抜きされたパッド本体には、貼着手段45が設けられ、乳房用吸収パッド20が形成される。 【0053】形成された乳房用吸収パッド20は、後続の包装手段80に供給される。包装手段80は、包装フィルム供給部81と、包装カット部82と、2台の積載部83,84と、2台のコンベア85,86とを有する。包装フィルム供給部81からは、ポリエチレンフィルムなどの包装フィルム90が供給され、複数の乳房用吸収パッド20が包装フィル90に共通に包まれ、包装カット部82で、包装フィルム90を切断するとともに溶着し、各乳房用吸収パッド20を1つづつシールしながら包装する。 【0054】包装された乳房用吸収パッド20は、交互に向きが逆になっているので、各積載部83,84が交互につかみ取り、したがって各積載部83,84に割り当てられた向きの乳房用吸収パッド20を、対応するコンベア85,86上に積載し、所定の個数の乳房用吸収パッド20が積載されると、コンベアで所定の場所に搬送される。 【0055】このような製造装置70を用いて製造すれば、吸収体21を型抜きする吸収体型抜き工程で、帯状の吸収体素材から、その長手方向に並ぶ配置で複数の吸収体21が連続的に型抜きされ、乳房用吸収パッド20の連続的な製造が達成され、生産速度を高し、生産性を高くすることができる。このように吸収体21を連続的に型抜きするにあたって、2つの吸収体21が退避周縁部分30,31を相互に対向させて並ぶ配置部分を有するように、各吸収体21が一列に並ぶ配置で型抜きをする。これによって、各吸収体21を可及的に密に並べて型抜きすることができ、型抜きされた残りの部分であるトリムを小さく、したがってトリムロスを小さく抑え、歩留まりを高くすることができる。 【0056】図11は、本発明の実施の他の形態の乳房用吸収パッド20Aを簡略化して示す正面図である。本実施の形態の乳房用吸収パッド20Aは、図1〜図10に示す上述の実施の形態の乳房用吸収パッド20と類似しており、異なる点についてだけ説明し、同様の構成は同一の符号を付して説明を省略する。本実施の形態の乳房用吸収パッド20Aは、仮想外接円Cから半径方向内方に退避する1箇所の退避周縁部分90が形成される。この退避周縁部分90は、半径方向外方に凸の円弧状である。残余の周縁部分は、仮想外接円に沿って形成される。 【0057】このような形状の房用吸収パッド20Aもまた、上述と同様に、退避周縁部分90を、正中矢状面55に近づく方向かつ上方に向け、この状態で乳房用吸収パッド20Aの上下方向(正中矢状面に沿う方向)の中央位置が乳首56に対向するように、内側表面シート22を内側にして肌に接触させて、乳房に装着される。これによって、房用吸収パッド20と同様に、下着からのはみ出しおよび高い吸収能力特性で装着できる効果を達成することができる。また乳房用吸収パッド20Aは、仮想外接円Cの中心および退避周縁部分90を通る直線に関して対称に形成されており、左右兼用することができる。 【0058】図12は、本発明の実施のさらに他の形態の乳房用吸収パッド20Bを簡略化して示す正面図である。本実施の形態の乳房用吸収パッド20Bは、図1〜図10に示す上述の実施の形態の乳房用吸収パッド20と類似しており、異なる点についてだけ説明し、同様の構成は同一の符号を付して説明を省略する。本実施の形態の乳房用吸収パッド20Bは、仮想外接円Cから半径方向内方に退避する1箇所の退避周縁部分90Bが形成される。この退避周縁部分90Bは、ほぼ直線状に形成される。この乳房用吸収パッド20Bもまた3角形状であり、残余の周縁部分においても、仮想外接円から退避して形成されるが、仮想外接円Cの中心を通る全ての直線のうち、形状が対称となる直線は存在しない。 【0059】このような形状の房用吸収パッド20Bもまた、上述と同様に、退避周縁部分90を、正中矢状面55に近づく方向かつ上方に向け、この状態で乳房用吸収パッド20Bの上下方向(正中矢状面に沿う方向)の中央位置が乳首56に対向するように、内側表面シート22を内側にして肌に接触させて、乳房に装着される。これによって、房用吸収パッド20と同様に、下着からのはみ出しおよび高い吸収能力特性で装着できる効果を達成することができる。に形成されており、左右兼用することができる。 【0060】図13は、本発明の実施のさらに他の形態の乳房用吸収パッド20Cを簡略化して示す断面図である。本実施の形態の乳房用吸収パッド20Cは、図1〜図10に示す上述の実施の形態の乳房用吸収パッド20と類似しており、異なる点についてだけ説明し、同様の構成は同一の符号を付して説明を省略する。本実施の形態の乳房用吸収パッド20Cは、吸収体21を構成する吸収紙51が複数枚、具体的には、2枚設けられる。このような層構成であっても、房用吸収パッド20と同様の効果を達成することができる。 【0061】上述の各実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内で変更することができる。たとえば具体的な形状、層構成、材質などは、適宜変更することができる。 【0062】 【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、乳房用吸収パッドが下着からはみ出すことを防ぎ、下着を覆うことができる限界程度に胸元が開いた衣服を装着しても、乳房用吸収パッドが衣服からはみ出てしまうことを防ぐことができる。したがって衣服の選択の自由度を高くすることができ、おしゃれをしたい場合などに適し、極めて利便性が高くなる。また乳房用吸収パッドが下着からはみ出ることを防ぐことができるので、乳房用吸収パッドが衣服と接触し、装着者の動作に伴なって衣服が変位するときに、乳房用吸収パッドが引っかかって一緒にずれてしまう不具合を防ぐことができるうえ、この乳房用吸収パッドのずれに起因するかぶれも防ぐことができる。 【0063】また上述のような装着状態における乳房用吸収パッドの吸収能力特性が、必要とされる吸収能力特性と一致し、無駄のない優れた高い吸収能力特性を示す状態で用いることができる。したがって不必要に大きな乳房用吸収パッドを装着する必要がないので、装着時における違和感を可及的に小さく抑えることができる。 【0064】請求項2記載の本発明によれば、上述の衣服からのはみ出し防止および高い吸収能力特性を示す状態での装着を可能な乳房用吸収パッドを実現することができる。 【0065】請求項3記載の本発明によれば、衣服からはみ出てしまうことを防ぐとともに、吸収能力特性を高い状態で用いることができる乳房用吸収パッドを、トリムロスを小さく抑えかつ生産性を高くして製造することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】501414401 【氏名又は名称】イーブンフロー カンパニー インコーポレイテッド 【識別番号】592068749 【氏名又は名称】三洋薬品工業株式会社 【識別番号】000208628 【氏名又は名称】第一衛材株式会社
|
| 【出願日】 |
平成13年10月24日(2001.10.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075557 【弁理士】 【氏名又は名称】西教 圭一郎
|
| 【公開番号】 |
特開2003−138404(P2003−138404A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月14日(2003.5.14) |
| 【出願番号】 |
特願2001−326890(P2001−326890) |
|