トップ :: A 生活必需品 :: A41 衣類




【発明の名称】 バイアス半衿およびその製造方法
【発明者】 【氏名】櫻井 禎久
【住所又は居所】大阪市北区堂島1丁目6番20号 東レ株式会社大阪事業場内

【氏名】和田 芳典
【住所又は居所】大阪市北区堂島1丁目6番20号 東レ株式会社大阪事業場内

【氏名】鍋島 敬太郎
【住所又は居所】大阪市北区堂島1丁目6番20号 東レ株式会社大阪事業場内

【氏名】中西 勇
【住所又は居所】京都府京都市中京区六角通室町西入玉蔵町121番地 東レきもの販売株式会社内

【要約】 【課題】ポリエステル系繊維を含む綾織物、絹繊維を含む綾織物による溶断あるいは超音波切断して得られるバイアス半襟およびその製造方法を提供を提供すること。

【解決手段】綾織物を綾目の方向に溶断あるいは超音波により切断し得られてなるバイアス半衿であり、また、綾織物を綾目の方向に溶断あるいは超音波により切断して得ることを特徴とするバイアス半衿の製造方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】綾織物を綾目の方向に溶断あるいは超音波により切断し得られてなることを特徴とするバイアス半衿。
【請求項2】綾織物がポリエステル系繊維を含む織物であることを特徴とする請求項1記載のバイアス半衿。
【請求項3】綾織物が絹繊維100%からなる織物であることを特徴とする請求項1記載のバイアス半衿。
【請求項4】綾織物を綾目の方向に溶断あるいは超音波により切断して得ることを特徴とするバイアス半衿の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル系繊維や絹繊維からなる綾織物を用いたバイアス半衿に関するものである。
【0002】
【従来の技術】和装用途における長襦袢に使用される半衿は、主に絹繊維を耳付き小幅製織した塩瀬、縮緬、絽織物等からなるものである。また、ポリエステル系繊維による織物を機械装置により溶融カットしたものも使用されている。
【0003】従来から使用されている平組織による緯畝塩瀬等の織物半衿は、襦袢に縫いつけて使用するときに、襦袢の着用時に衿の首に沿った曲線が皺になり衿元の美しさに欠けるため、その改善として実開昭63−34102号公報でフィラメントの生糸(なまいと)で綾織物を作り、その綾目の方向を半衿の長さ方向と一致させる和装用の半衿について提案されている。しかし、当該半衿はポリエステル繊維の生糸を使用して得られる綾織物を45度バイアスに切断するものであるが、切断する方法により種々の問題があった。すなわち、はさみによる場合は、切断部分の糸ほつれが発生しやすいこと、溶融カットによる場合は、織物の長さ方向に切断する場合には連続して実施可能であるが、幅方向に斜めに切断するために連続して切断することが不可能であり、従来実施されている機械的溶断を適応できず生産性が低く、また、切り口が汚い、切り口が固くなる等の問題があり品質が安定しなかった。また、絹繊維を使用した織物を溶融カットする方法を適用すると絹は融着しないので温度が低いと切断部分がほつれてくること、温度を上げると黄変や黒化し、さらに温度を上げると発火することなどにより適応できない等の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリエステル系繊維を含む綾織物、絹繊維を含む綾織物による溶断あるいは超音波切断して得られるバイアス半襟およびその製造方法を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記した課題を解決するため本発明は、次の構成を採用する。
【0006】すなわち、綾織物を綾目方向に沿って溶断あるいは超音波により切断して得られてなるバイアス半衿である。
【0007】かかる本発明のバイアス半衿において、具体的態様として、好ましくは綾織物がポリエステル系繊維を含むものからなるものである。
【0008】あるいは、具体的態様として、好ましくは該綾織物が絹繊維100%からなるものである。
【0009】また、本発明のバイアス半衿の製造方法は、綾織物を綾目の方向に溶断あるいは超音波により切断し得ることを特徴とするバイアス半衿の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、更に詳しく本発明のバイアス半衿とその製造方法について説明をする。
【0011】まず、本発明のバイアス半衿に使用される織物の構成について説明する。織物のタテ糸、ヨコ糸に使用に使用する原糸品種は、ポリエステルフィラメント糸や絹糸(生糸)が最も好ましい。ポリエステルマルチフィラメント糸は、従来から一般的に生産されている品種であれば特に制限されることはないが、バイアス半衿を使用する着物素材は、通常絹織物かポリエステルを使用した絹様織物であるため絹織物の感覚を狙って開発されたいわゆるシルクライクタイプのものが好ましい。また絹糸(生糸)は、通常の和洋装織物に使用される生糸でよく、半練り生糸あるいは絹紡糸(紡績糸)であっても構わない。
【0012】タテ糸、ヨコ糸にそれぞれポリエステルマルチフィラメント糸を使用したもの、あるいは絹フィラメント糸単独で構成されるもの、またタテ糸、あるいはヨコ糸にポリエステルマルチフィラメント糸あるいは絹フィラメント糸を使用した、いわゆる交織織物であっても良い。ポリエステルは、タテ糸がポリエステルマルチフィラメント糸あるいは絹フィラメント糸を使用するときヨコ糸はポリエステル紡績糸、絹紡糸、レーヨンフィラメント糸や紡績糸、レーヨンには近年製造されるようになった竹を原料とするもの、あるいは「テンセル」等に代表される精製セルロース繊維糸であっても差し支えない。
【0013】当該ポリエステル繊維と絹繊維の組み合わせにおいては、繊維の特性上、有彩色の染色性の点で同色が得られにくい傾向にあるが、半襟の場合はほとんどが白で使用されるので問題ない。織物の組織は綾織りを基本とし、密度は織物をバイアス方向にカットしたときに正バイヤスになることを基本とすればよい。織物の表面として畝立ちがはっきりする方が見栄え、着用感に優れ、タテ糸とヨコ糸の太さのバランスが重要であり、タテ糸とヨコ糸との繊度比はタテ糸:ヨコ糸=1:2〜6が好ましい。織物の種類としては塩瀬、縮緬、絽等の表面が平坦でないものの方がよい。
【0014】バイアス半衿用の綾織物は、通常、ポリエステル100%の場合にはウオータージェット織機あるいはレピア織機で製織し、絹繊維を使用する場合レピア織機が適しているが、製織される生機は、バイアスカットしたときの半衿の長さとロスを計算した幅で染色時に仕上がるように設計することが重要である。
【0015】染色加工は、通常の和装用途に適した方法で実施することができる。ただ、バイアス半衿として必要な綾目が正バイアスであることを生産管理することが重要である。
【0016】バイアス半衿の製造について生産性、品質面から検討した結果、ポリエステル100%の場合は、溶断方式が生産性の面で有効であり、絹100%および絹とポリエステルの混用品は超音波によるカットが適している。ポリエステル100%の場合には超音波でのカットも可能であるが、絹の場合より切断面のほつれにくさが劣る傾向にある。ポリエステル100%の溶断方法として検討した結果、染色加工上がりのローラ状に巻き上げた綾織物を織物の幅に相当する幅で、長さが1〜2mのガラス板を延反台上に敷き、織物の端の両端を手で把持し、織物の両端をガラス版の端に揃えるようにして延反する。
【0017】次に、バイアス半衿のカット幅に正確に溶断するため、ジュラルミン製の金枠に正バイアスの寸法幅の溝を付け、ガラス上の織物の上から砲金を材料とする円形回転式電熱包丁の歯型ローラを上記溝に沿って手動で移動させてカットする。金枠には、一度の延反で6〜8本のカットができるように溝を付けることによって、カット作業の手順として効率的に生産性良く溶断できる。
【0018】バイアス半衿のカット断面は、融着により温度が高すぎると固くなり着用感が悪くなり、低いとカットしたところのほつれが発生するので、溶断カット温度の管理が重要であり、電熱包丁の温度はスライダックにより電圧を管理し温度を一定にする必要がある。
【0019】また、絹繊維を含む綾織物をバイアス半衿としてカットするには、種々検討した結果、効率性、品質面から超音波装置によるカットが適していることがわかった。超音波でカットするための刃は、材質、刃の角度が最も重要であり、さらに超音波の周波数範囲の設定が重要であるが、種々検討の結果、刃物の材質、形状、大きさ等によるが、絹100%、ポリエステル100%の半衿に使用する織物では、超音波の周波数は30Kヘルツ程度が適している。カット方法は、延反した綾織物の綾目に合わせて定規を当てて正バイアスに超音波カット鏝をずらして切断する。
【0020】本発明によれば、従来、小幅織機で耳付き製織のため生産性に問題があったが、フライシャットルの生産性に比較し、レピア織機であるために生産性、品質の良さで優り、またカット部分もほつれがなくソフトな風合いが可能になる。
【0021】
【実施例】実施例1タテ糸にポリエチレンテレフタレート単独ポリマーおよびポリエチレテレフタレートにイソフタール酸を10モル共重合したコポリマーの2成分を同一の三角断面形状の口金から50/50の割合で紡糸し、延伸機で延伸熱処理し異収縮混繊型シルキータイプのポリエステルマルチフィラメント糸84dtex−36フィラメントを得た。当該マルチフィラメント糸に下撚りとしてZ方向に500T/mを施し、引続いてこれを2本合糸し、上撚りとしてS方向に400T/mのトルクバランスのとれた合撚糸を作り、タテ糸として整経した。ヨコ糸として酸化チタンを2.3%添加したポリエチレンテレフタレートポリマーを紡糸、延伸し110dtex−48フィラメントを作り、これに下撚りZ方向400T/m追撚し、これを4本引き揃えて300T/mの合撚糸とし織物のヨコ糸とした。このタテ糸とヨコ糸の繊度比は168dtex:440dtex=1:2.6で、織物の組織を3/1の右綾組織で生機密度(それぞれ本/2.5cm)タテ×ヨコ=72×66、織り上げ幅111.5cmで石川製作所製レピア織機で製織した。この生機を染色加工工程に通し、リラックス、プレセット、アルカリ減量、染色機でホワイトに加工した。仕上げ幅を95cmとし、仕上げの縦ヨコ密度を84×84とし正バイアスのヨコ畝の塩瀬調綾織物とした。
【0022】さらに、当該織物に帯電防止加工を施し仕上げた。次に、染色仕上げ加工をした綾織物をバイアス半襟切断工程に供した。綾織物を両手で把持しガラス板を敷いた延反台のガラス版に沿って綾目が真っ直ぐに皺が入らないような状態で拡げた。その織物の上に、バイアス半襟の採寸で6枚綾目に沿って切断できるように溝を付けたジュラルミン製金枠においた。
【0023】その溝に砲金製円形包丁歯形を回転し電熱でカットできる柄を付けた手動刃物を金枠の溝に設定し、溝に沿って電熱と刃物の自重で織物の綾目に沿って切断した。
【0024】切断は、切断したときの切断面の切り口が見た目に美しく、融着による風合いが固くない温度条件になるようにスライダックの電圧を設定し、電動刃物の速度を一定に保ち圧着切断した。切断した織物片の綾目に沿って切断した側をバイアス半襟の長さ方向として、それの直角方向を採寸しカットしてバイアス半衿の最終製品とした。これを実際に、襦袢に装着して着用した結果、首に沿って曲線にした状態で皺発生のない美しいものであった。また、切断方法とし、本綾織物を切断するために設計開発した超音波切断装置でバイアス半衿様にカットしたところ、ポリエステル100%でも溶断と同様に切り口が美しく、溶断よりややほつれやすいが実用上問題がなく、溶断に比べて切り口の風合いがソフトであるものが得られることがわかった。
【0025】実施例2タテ糸に生糸21中を合糸機で3本揃えて巻き取り、イタリー撚糸機でS撚り方向に撚り数600T/m加えたものをさらに合糸機で2本引き揃えて巻き取り、再度イタリー撚糸機でZ撚り方向に450T/mの撚糸を行い、駒糸とした。これをタテ糸用に整経し実施例1と同様レピア織機に仕掛けた。ヨコ糸としてタテ糸と同じ生糸21中3本を合糸し、S撚り600T/mで撚糸した糸を4本引き揃え合糸し撚り数Z撚り400T/mを追撚した駒糸および実施例1でタテ糸に使用したものを準備した。
【0026】織物の組織を3/1綾とし、織り上げ密度をタテ糸・ヨコ糸ともに生糸100%使用品は155本/2.5cm×77本/2.5cm、タテ生糸・ヨコ糸にポリエステルマルチフィラメント糸使い品は155本/2.5cm×86本/2.5cmで製織し染色仕上げを行った。
【0027】加工工程は、絹織物の工程で行い仕上げ密度をそれぞれ160本/2.5cm×80本/2.5cm、160本/2.5cm×89本/2.5cmで綾織物にした。この織物を延反台に拡げ、絹織物や絹とポリエステル組み合わせた織物の切断に材質や刃物の角度などを設計、開発した超音波切断装置を使用し、30Kヘルツの周波数の領域に設定した超音波で綾織物の綾目に沿って切断した。切断面は、色の変色がなく糸ほつれのないソフトな風合いを有するバイアス半衿を得ることができた。
【0028】比較例実施例2で得た生糸を使用した綾織物を実施例1の切断工程で延反し、切断する条件を種々変更して切断したが、切断面の黄変、黒化やほつれの発生等により満足される品質のバイアス半衿が得られなかった。
【0029】
【発明の効果】本発明のポリエステル系繊維や絹繊維を使用した綾織物を綾目の方向に切断するに当たり溶断あるいは超音波切断装置を使用することによって切断面の切り口が美しく、風合いがソフトなほつれにくいバイアス半衿を得ることができるものである。
【0030】本発明によれば、従来、小幅織機で耳付き製織のため生産性に問題があったが、フライシャットルの生産性に比較し、レピア織機であるため生産性、品質の良さで優り、またカット部分もほつれがなくソフトな風合いが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
【識別番号】300028573
【氏名又は名称】東レきもの販売株式会社
【住所又は居所】京都府京都市中京区六角通室町西入玉蔵町121番地 (美濃利ビル4F)
【出願日】 平成14年4月9日(2002.4.9)
【代理人】 【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
【公開番号】 特開2003−301301(P2003−301301A)
【公開日】 平成15年10月24日(2003.10.24)
【出願番号】 特願2002−106268(P2002−106268)