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【発明の名称】 靴 下
【発明者】 【氏名】國貞 秀明
【住所又は居所】愛知県名古屋市西区堀越1丁目1番1号 東レ株式会社愛知工場内

【氏名】高永 秀敏
【住所又は居所】愛知県名古屋市西区堀越1丁目1番1号 東レ株式会社愛知工場内

【氏名】小口 朝弘
【住所又は居所】静岡県三島市4845番地 東レ株式会社三島工場内

【氏名】鈴木 晃
【住所又は居所】愛知県名古屋市西区堀越1丁目1番1号 東レ株式会社愛知工場内

【要約】 【課題】ポリアミドマルチフィラメントが有する柔らかい風合いを有しながら、編成による柄と共に地糸と柄糸の色を変えることによりよりファッショナブルな靴下をスピーディーに市場に供給すること。

【解決手段】少なくとも2種以上のポリアミドマルチフィラメントを、またはポリアミドマルチフィラメントとカチオン可染ポリエステルを用いて、柄編組織に編成した後に、染色してなる靴下であって、前記マルチフィラメントのうち少なくとも1種のマルチフィラメントが、他のマルチフィラメントのいずれか1種と異色に染色することにより達成できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも2種以上のポリアミドマルチフィラメントを、柄編組織に編成した後に、染色してなる靴下であって、前記ポリアミドマルチフィラメントのうち少なくとも1種のポリアミドマルチフィラメントが、他のポリアミドマルチフィラメントのいずれか1種と異色に染色してなることを特徴とする靴下。
【請求項2】 前記少なくとも2種以上のポリアミドマルチフィラメントのうち、少なくとも1種のポリアミドマルチフィラメントを地糸に、他のポリアミドマルチフィラメントを柄糸に用いている靴下であって、アニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントと異染性ポリアミドマルチフィラメントを用いることによって柄糸の一部が、編成後に地糸に対して異色に染色してなることを特徴とする請求項1に記載の靴下。
【請求項3】 前記アニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントまたは/および異染性ポリアミドマルチフィラメントをそれぞれカバリングしたカバリング糸として用いていることを特徴とする請求項2に記載の靴下。
【請求項4】 少なくともアニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントと異染性ポリアミドマルチフィラメントを用いて、3色以上の異色に染色してなることを特徴とする請求項2または3に記載の靴下。
【請求項5】 異染性ポリアミドマルチフィラメントがカチオン可染ポリアミドマルチフィラメントであることを特徴とする請求項2〜4いずれかに記載の靴下。
【請求項6】 少なくともポリアミドマルチフィラメントと常圧カチオン可染ポリエステルマルチフィラメントを用いて、柄編組織に編成した後に、染色してなる靴下であって、前記ポリアミドマルチフィラメントと前記カチオン可染ポリエステルマルチフィラメントが、異色に染色してなることを特徴とする靴下。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ファッション性に優れた靴下に関するものであり、特に柄と共に色展開も自由な靴下に関するものである。
【0002】
【従来の技術】これまで柄編組織の靴下を多色で表現しようとすると綿・アクリル混やナイロンの先染め糸を予め用意する必要があり、クイックレスポンス性に乏しく、売れずに大量の在庫を抱えたり、商品が足らないために売り機会を逃すというようなことが多発していた。
【0003】例えばパンティーストッキングを例にして挙げると、春夏用は肌色に、秋冬用は黒または紺などの濃色に染色されることが多かったが、昨今のファッション化に伴い、カラフルな色に染色されることが多くなった。さらにプレーンな表面に加えて多彩な柄物が市場に出回っており、消費者の注目を集めるために目新しさが常に求められている。
【0004】しかしながら、パンティーストッキングは単色に染色されることが多く、異色にするためには、例えばポリエチレンテレフタレート(以下PETと表記)先染め仮撚糸を用いられているが、コストが高いこと、様々な色の糸を用意しておくことが必要であり、素早く市場に商品を投入することができない、さらにPET先染め糸は捲縮弱く、風合いが堅く、編み立て性がよくないなどの問題があった。また、例えば特許文献1に記載のごとく、ポリアミドマルチフィラメントと、酸性染料に染まらないPET糸を用い、ポリアミドマルチフィラメントだけを染めることによって異色染めとしている。この場合も同様に色のバリエーションが限定される、風合いや編み立て性に問題が残っていた。
【0005】一方、特許文献2に記載のごとく、見る方向により色調が変化するような視覚効果を狙って後染めで異色に染め分けられる2本のカバー糸を弾性糸に被覆した二重被覆弾性糸が提案されている。しかし、遠くから見れば単色にしか見えず、柄と共に色の組み合わせによってファッション性を高めようとするものではない。
【0006】
【特許文献1】特開昭48−16735号公報(第2頁 第4〜21行目)
【特許文献2】特開平5−163626号公報([0017]〜[0025]段落)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、市場のニーズに合わせて柄組織の色組み合わせが自由に素早くできるように、後染めにより異色に染め分けることが可能な靴下を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するために、本発明の靴下は次のいずれかの構成を有する。すなわち、(1)少なくとも2種以上のポリアミドマルチフィラメントを柄編組織に編成した後に、染色してなる靴下であって、前記ポリアミドマルチフィラメントのうち少なくとも1種のポリアミドマルチフィラメントが、他のポリアミドマルチフィラメントのいずれか1種と異色に染色してなることを特徴とする靴下。
【0009】(2)前記少なくとも2種以上のポリアミドマルチフィラメントのうち、少なくとも1種のポリアミドマルチフィラメントを地糸に、他のポリアミドマルチフィラメントを柄糸に用いている靴下であって、アニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントと異染性ポリアミドマルチフィラメントを用いることによって柄糸の一部が編成後に、地糸に対して異色に染色してなることを特徴とする(1)記載の靴下。
【0010】(3)前記アニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントまたは/および異染性ポリアミドマルチフィラメントをそれぞれカバリングしたカバリング糸として用いていることを特徴とする(2)記載の靴下。
【0011】(4)少なくともアニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントと異染性ポリアミドマルチフィラメントを用いて、3色以上の異色に染色されていることを特徴とする(2)または(3)記載の靴下。
【0012】(5)異染性ポリアミドマルチフィラメントがカチオン可染ポリアミドマルチフィラメントであることを特徴とする(2)〜(4)いずれかに記載の靴下、(6)少なくともポリアミドマルチフィラメントとカチオン可染ポリエステルマルチフィラメントを用いて、柄編組織に編成した後に、染色してなる靴下であって、前記ポリアミドマルチフィラメントと前記カチオン可染ポリエステルマルチフィラメントが、異色に染色してなることを特徴とする靴下。である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の靴下は少なくとも2種以上のポリアミドマルチフィラメントを柄編組織に編成した後、染色してなる靴下であって、前記マルチフィラメントのうち少なくとも1種のマルチフィラメントが他のマルチフィラメントのいずれか1種と異色に染色することにより構成されている。すなわち、柄の入った靴下であると共に編成された後にポリアミドマルチフィラメントが異色に染め分けられている。そのため、糸の配置や柄、色の組み合わせによって、これまでになくファッション性に富んだ靴下とすることができる。また、編成後、異色に染め分けられるため、編成後ストックしておき、色の組み合わせは市場のニーズに合わせて染色した後、素早く商品を店頭に並べることが可能となる。
【0014】または、少なくともポリアミドマルチフィラメントとカチオン可染ポリエステルマルチフィラメントを用いて、柄編組織に編成した後に、染色してなる靴下であって、前記ポリアミドマルチフィラメントと前記カチオン可染ポリエステルマルチフィラメントが、異色に染色することにより構成されている。すなわち柄の入った靴下であると共に編成された後にポリアミドマルチフィラメントとポリエステルマルチフィラメントが異色に染め分けられているものである。
【0015】染め分ける方法としては少なくとも1種のマルチフィラメントをアニオン可染性ポリアミドマルチフィラメント、他のマルチフィラメントを異染性ポリアミドマルチフィラメントまたはカチオン可染ポリエステルとし、編成後に1種またはすべてのポリアミドマルチフィラメントまたはカチオン可染ポリエステルを染色することにより、染め分けることが可能となる。
【0016】なかでも柄編組織における柄糸と地糸をそれぞれ少なくともアニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントと異染性ポリアミドマルチフィラメント、または、異染性ポリアミドマルチフィラメントとアニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントを用いて編成した後、異色に染色することによって、柄の一部が地糸と色が異なるため、柄がより一層浮き立ち、柄を効果的に演出することが可能となり好ましい。また、アニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントと異染性ポリアミドマルチフィラメントは、地糸または柄糸にそれぞれ表糸、裏糸としてそれぞれ用いることにより異色に染め分けることも可能であり、本発明の範囲である。さらに地糸と柄糸としてアニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントと異染性ポリアミドマルチフィラメントをそれぞれ用い、途中で切り替えることも好ましく行われる。またアニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントとカチオン可染ポリエステルを用いた場合も同様の組み合わせとすることができる。
【0017】ここで柄編組織とは「靴下工学」(日本靴下工業組合連合会編、日本靴下協会刊 1979年発行)P47 II−1 ソックスの柄分類に示す中の平編ソックス−柄−色柄に属する組織およびリブ編みソックス−柄−色柄に属する組織を指し、前記刊行物に記載の混合柄も含んでいる。本発明において、柄を構成する部分の表地に現れている糸を柄糸と呼び、柄以外の部分に用いられている糸を地糸と呼ぶ。例えば、水玉模様の水玉を構成している糸を柄糸、その他の部分を地糸と呼ぶ。ネット柄のように柄のみで構成されている場合でも、例えばアニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントと異染性ポリアミドマルチフィラメントを用いて、ストライプのような柄が表現されていれば本発明の範囲であり、また、プレーティングのように表糸と裏糸で柄が表現されて入れもよい。
【0018】ここで、少なくとも異色に染め分ける糸としては、耐久性、堅牢性、保温性、肌触りの柔らかさ、発色性などからポリアミドマルチフィラメントであることが好ましい。また、本発明に言うポリアミドは、いわゆる炭化水素基が主鎖にアミド結合を介して連結された高分子量体であって、その種類は特に制限されないが、好ましくは、染色性、洗濯堅牢性、機械特性に優れる点から主としてポリカプラミドまたはポリヘキサメチレンアジパミドからなるポリアミドであることが好ましい。ここで言う主としてとは、カプラミド単位、またはヘキサメチレンアジパミド単位として80モル%以上であることを言い、さらに好ましくは90モル%以上であることが好ましい。その他の成分としては、特に制限はないが、例えば、ポリドデカノアミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアゼラミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカノアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド、ポリヘキサメチレンイソフタラミド等を構成するモノマーである、アミノカルボン酸、ジカルボン酸、ジアミンなどの単位が挙げられる。さらに必要に応じて光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、末端基調節剤、染色性向上剤等が添加されていてもよい。また、酸化チタンなどの艶消し剤を機械特性を阻害しない程度に添加することは好ましく行われる。
【0019】また、アニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントとはアミノ末端基を有するいわゆる一般的なポリアミドからなるマルチフィラメントである。アニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントは酸性染料、反応染料、含金染料等により染色が可能である。一方、異染性ポリアミドマルチフィラメントとはアニオン染料以外の染料(分散染料、スレン染料は除く)、に染まるポリアミドマルチフィラメントを指し、例えばスルホン基を導入してカチオン染料に染まるポリアミドマルチフィラメント、いわゆるカチオン可染性ポリアミドマルチフィラメントは好ましく用いられる。ここで、スルホン基を導入する方法としてはポリアミドを重合する際、5−ナトイウムスルホイソフタル酸、そのジエステル、3−カルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、またはこれらのリチウム塩などを添加して共重合することで実現できる。また、カチオン可染性ポリアミドマルチフィラメントはカチオン染料により染色可能である。
【0020】また、カチオン可染ポリエステルとしては、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分をポリエステル中の全酸成分に対して2.4〜5モル%共重合し、かつグリコール成分を2〜7重量%共重合したポリエステルマルチフィラメントとすることが好ましい。これは、通常用いられているカチオン可染ポリエステルは、100℃を上回る温度(105〜130℃)で染色しないと染料吸尽量が十分でない。一方、靴下のフィット性を向上させるために弾性繊維を混用する場合が多く、そのような染色温度とした場合、強度劣化するため、好ましくない。また、常圧で染められるために高価な加圧式の染色機を用意する必要がない。
【0021】金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分は、特に2.5〜4.0モル%共重合していることが好ましい。金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分の共重合量が2.4モル%より少ないと、グリコール成分の共重合量を増大させても満足できるカチオン染色性を得ることはできない。金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分の共重合量が4モル%を超えると、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分の増粘作用によりポリマの溶融粘度が著しく上昇し通常の製糸条件では製糸することが不可能となる。
【0022】本発明でいう金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分とは、具体的には5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジエチルエステルなどの金属スルホネート基を含有するベンゼンジカルボン酸、もしくは4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
【0023】また、本発明ではグリコール成分が、全ポリエステルに対し2〜7重量%共重合されていることが必要である。易染性および耐光堅牢度の面から、共重合するグリコール成分の平均分子量は90〜6000であることが好ましい。本発明でいうグリコール成分としては、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、4,4−ジヒドロキシビスフェノール、これらのグリコールにエチレンオキサイドが付加したグリコールおよびポリエチレングリコールなどが挙げられるが、減粘効果の大きいポリエチレングリコールがより好ましい。本発明におけるグリコール成分の共重合量は、得られた全ポリエステルに対して2〜7重量%であることが肝要である。グリコール成分の共重合量が2重量%より少ないとポリエステルの溶融粘度が大きくなりすぎて製糸が困難になるとともに得られたポリエステル繊維の易染性が著しく低下する。共重合量が7重量%を超えるとポリエステルの耐熱性が低下してしまう。3〜6重量%の共重合量がより好ましい。
【0024】なお、本発明においては実施例記載のカチオン可染ポリエステル染色性評価により、染料吸尽率が60%以上あるものを常圧カチオン可染ポリエステルとした。
【0025】これらアニオン可染ポリアミドマルチフィラメントや異染性ポリアミドマルチフィラメント、およびカチオン可染ポリエステルは、伸縮性を付与するために仮撚加工を施したり、さらに高い伸縮性を付与するために弾性糸を芯糸にして側糸としてカバリングしたカバリング糸として用いていることも好ましく行われる。これにより、ファッション性だけでなく、肌触りや伸縮性など着心地の快適性を付与することが可能となるためである。
【0026】ここで、そのカバリング弾性繊維の芯糸をなす弾性繊維としては、ポリウレタン系弾性繊維、ポリアミド系エラストマ弾性繊維、ポリエステル系エラストマ弾性繊維、天然ゴム系繊維、合成ゴム系繊維、ブタジエン系繊維等が用いられるが、靴下用としてその弾性特性、熱特性、耐久性等から好ましいのは、ポリウレタン系弾性繊維及びポリアミド系エラストマ弾性繊維である。
【0027】その弾性繊維の太さは、靴下の用途、締め付け圧の設定により異なるが、一般に9〜80デシテックス程度であればよい。好ましいのは11〜44デシテックスである。9デシテックスデニール未満では、糸強力が不足するのでカバリング時及び編立て時に芯糸切れ等のトラブルを生じ易く、靴下としての伸縮性、耐久性が不十分となり易いので好ましくない。逆に、80デシテックスを越えると締付け力が強くなり過ぎて圧迫感が強くなり、粗硬感が増加し易く好ましくない。
【0028】耐久性や風合いからこれらアニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントや異染性ポリアミドマルチフィラメント、およびカチオン可染ポリエステルは、糸条繊度が6〜150デシテックス、フィラメント数が1〜144のマルチフィラメントの範囲で選択することが好ましい。
【0029】アニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントと異染性ポリアミドマルチフィラメントを組み合わせる理由としては、ストッキングにとって大切な耐久性、肌触り、洗濯堅牢性を高いレベルで満足する素材であるためであり、例えばポリエステルを用いた場合、従来技術で述べたようにポリエステルを分散染料で染色した場合には洗濯堅牢性の問題から先染めまたは原着糸でしか色が付けられず、カラーバリエーションが限定されることさらに耐久性や肌触りからもポリアミドマルチフィラメントに劣るためである。しかしながら、ファッション性を追求するために少なくともアニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントと異染性ポリアミドマルチフィラメントを用いた上でさらに3色以上の異色に染色することも好ましく行われる。そのためには、先に挙げたアニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントと異染性ポリアミドマルチフィラメントの他に後染めで染色されない他素材の先染め糸を組み合わせたり、例えばPETマルチフィラメントを染色しないで用いたり、ウールのように染色されるが、ナイロンとは色が異なることを利用することも可能である。また、アニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントでもアミノ末端基量の異なる2種以上を組み合わせることによって、濃淡差、さらに若干の色目差を付与することが可能となる。
【0030】また、アニオン可染性ポリアミドに対して異染性を有するマルチフィラメントとしてアニオン可染ポリエステルがある。アニオン可染ポリエステルはアニオン可染ポリアミドと比べて洗濯堅牢性に優れている。また、先染めポリエステルでは仮撚した後、チーズにソフトワインディングし直し、チーズ染色するため、コスト高となるとともに、捲縮が甘くなり、風合いとして堅くなるのに対して、カチオン可染ポリエステルを仮撚糸として用いた場合、捲縮性が向上し、風合いに優れている。したがって、アニオン可染性ポリアミドとカチオン可染ポリエステルを組み合わせることによっても本発明が狙いとするファッション性に優れた靴下を良好な風合いで提供することが可能となる。
【0031】さらに、用いるポリアミドマルチフィラメントの断面形状としては、丸に限定されず扁平断面や凸レンズ型、四角型、さらに多様断面や中空断面であっても問題なく、また、紡糸した後、仮撚加工によって断面が変形していても問題ない。
【0032】ここで本発明の対象とする靴下とは、足部のみからなるフットカバー類、口ゴム、身部、足部の3部位からなるソックス類、身部がストッキングよりも著しく長いストッキング類、上部にパンティー部がついたタイツ、パンティーストッキング類が挙げられる。
【0033】また、編機として、柄を表現できれば制限はなく、経編、緯編を問わない。
【0034】染色方法としては、沈殿防止剤を用いることにより、一浴で一度に染色しても、二浴で染色しても、さらに例えばカチオン染料で染色した後、ソーピングし、その後アニオン染料で染色してもよい。ソーピングとしては界面活性剤による洗浄の他に、炭酸ナトリウム水溶液等のアルカリを用いてもよい。もちろん色の組み合わせに制限はなく、色展開が自由である点が本特許の特徴でもある。また、染色後、静電防止剤や柔軟剤による後加工も好ましく行われる。さらにアニオン可染性ポリアミドとカチオン可染ポリエステルを組み合わせる場合、染色温度の違いを利用して、60℃付近においてポリアミドをアニオン染料で染色した後、温度を上げてポリエステル側をカチオン染料で染色してもよい。
【0035】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。
【0036】なお、実施例および比較例における各測定値は、次の方法で得たものである。
【0037】A.98%硫酸相対粘度(a)試料を秤量し、98重量%濃硫酸に試料濃度(C)が1g/100mlとなるように溶解する。
(b)(a)項の溶液をオストワルド粘度計にて25℃での落下秒数(T1)を測定する。
(c)試料を溶解していない98重量%濃硫酸の25℃での落下秒数(T2)を(2)項と同様に測定する。
(d)試料の98%硫酸相対粘度(ηr)を下式により算出する。測定温度は25℃とする。
(ηr)=(T1/T2)+{1.891×(1.000−C)}。
【0038】B.アミノ末端基定量方法ポリアミド系ポリマーを粉末化し、必要により低分子量成分および水分の除去を行った後、ポリアミド系ポリマー1gをフェノール/エタノールの混合溶媒(エタノール20ml/フェノール80gの混合割合)40〜50mlに常温で振とう溶解させて溶液とし、この溶液を0.02Nの塩酸で中和滴定し要した0.02N塩酸量を求める。また、上記フェノール/エタノール混合溶媒(上記と同量)のみを0.02N塩酸で中和滴定し要した0.02N塩酸の量を求める。そしてその差からポリアミド系ポリマー1kgあたりのアミノ末端基量を求める。
【0039】C.スルホン酸基定量方法絶乾試料0.3gを10N硫酸溶液25mlに加え、105℃で18時間、加水分解させる。これを室温まで冷却した後、10mm石英セルを用い、自記分光光度計で波長283nmの吸光度を測定する。283nmはCBS分子中に含まれるベンゼン環の吸光波長である。この吸光度を用いて、あらかじめ作成しておいた検量線からスルホン酸基量を計算する。
【0040】D.カチオン可染ポリエステル染色性評価ポリエステル繊維を筒編みとした後、該編地をマラカイトグリーン(商標名関東化学製)5%owf、酢酸0.5g/l、酢酸ソーダ0.2g/l、浴比1:100、温度98℃の条件で染色し、染料の吸尽率により評価した。染料吸尽率の測定は分光光度計(日立製作所製、607型)を使用し、染料溶液の染色による吸光度の差を測定し次式により求めた。
染料吸尽率(%)={(B−A)×100}/BA:染料溶液の染色後の最大吸収波長における吸光度B:染料溶液の染色前の最大吸収波長における吸光度なお、染料吸尽率が60%以上あるものを常圧可染性があるとした。
【0041】E.洗濯堅牢性評価サンプル糸を1口編み機にて筒編みし、カチオン染料(Cathilon Red GTLH(保土ヶ谷化学(株)製):カチオン可染性ポリアミド重量に対して1%owf、染液をpH5.5に調整の上、浴比1:20にて1℃/minにて昇温し、98℃×60minの染色を行った。その後、湯洗、水洗後、JIS0844−1986 A−2法にしたがい、変褪色を評価した。
【0042】実施例198%硫酸相対粘度2.8で酸化チタンを含まないナイロン6(アミノ末端基5.9×10-5mol/g、スルホン酸基は含まない)チップを270℃で溶融し、丸型の吐出孔を有する紡糸口金から吐出し、冷却、給油、引取りを行い、引き続き、伸度が45%になるように延伸した後、150℃で熱処理してから4000m/分で巻き取り、13デシテックス7フィラメントのアニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントを得た。このマルチフィラメントをカバリング用糸に用い、東レデュポン社製“ライクラ”((登録商標)、T−178C)、糸条繊度20デシテックスを芯糸とし、カバリングドラフト2.9倍に設定し、それぞれの糸条でS撚およびZ撚方向に撚数1800t/mでシングルカバリングして、シングルカバリグ弾性糸(SCY)を製造した。
【0043】また同じチップを用いて丸型の吐出孔を有する紡糸口金から吐出し、冷却、給油、引取りを行い、引き続き、伸度が45%になるように延伸した後、150℃で熱処理してから4000m/分で巻き取り、17デシテックス3フィラメントのアニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントを得た。
【0044】また、98%硫酸相対粘度2.7で平均粒子径0.6μmの酸化チタンを0.3重量%含み、ナイロン6重合時に5−ナトリウムスルホイソフタル酸を添加して、スルホン酸基を4.6×10-5mol/g有する共重合ナイロン(アミノ末端基1.0×10-5mol/g)チップを270℃で溶融し、丸型の吐出孔を有する紡糸口金から吐出し、冷却、給油し、引取り、引き続き、伸度が62%になるように延伸した後、4000m/分で巻き取り、41デシテックス10フィラメントのカチオン可染性ポリアミドマルチフィラメントを得た。これを延伸仮撚機としてIVF805(石川製作所社製)を用いて、加工速度600m/min、延伸倍率1.24倍、ヒーター温度180℃、D/Y比1.8に設定して仮撚加工を行い、33デシテックス10フィラメントの仮撚糸を得た。
【0045】上記仮撚加工糸の洗濯堅牢性を評価したところ、4級と良好であった。
【0046】永田精機(株)製 MODEL P−482(針数400本)にトウ部からレッグ部が地糸としてアニオン可染性ポリアミドSCY(S撚、Z撚)とアニオン可染性ポリアミド生糸2本を仕掛けて交編となるようにし、柄糸としてカチオン可染性ポリアミド仮撚糸4本を仕掛けた。カットアンドボスによりアーガイル柄が表現できるように設定して、パンティーストッキングを編成した。
【0047】このパンティーストッキングを定法のごとく蒸気により80℃で10分プリセット、界面活性剤での精練工程の後、以下の染料及び染色助剤を用いて染色した。■酸性染料(Kayanol Yellow N5G(日本化薬(株)製)):アニオン可染性ポリアミド重量に対して1%owf、■沈殿防止剤(ネオテックス CA−5(日華化学(株)製))、酢酸1g/l、■カチオン染料(Cathilon Red GTLH(保土ヶ谷化学(株)製):カチオン可染性ポリアミド重量に対して1%owf、■柔軟剤(ニッカシリコンAM−202(日華化学(株)):パンティーストッキング重量に対して4%owfを準備し、ドラム染色機を用いて(浴比1:20)浴温を40℃とした後、■→■→■を順に入れていき、1.5℃/分にて90℃まで昇温していき、60分間一定温度に保った後、クーリング、水洗の後、同じく浴比1:20にて浴温30℃とした。その後、浴温40℃にて■を用いて柔軟処理した後、靴下セッターにより110℃、30秒のファイナルセットを行った。
【0048】得られたパンティーストッキングは地糸が黄色に、アーガイルの柄が赤色に染色され、柄と共に柄糸を地糸と異色にすることによって柄を効果的に浮かび上がらせることができ、ファッショナブルになった。また、表面がポリアミドで編成されていることから柄糸、地糸とも肌触りがソフトで着用感が優れていた。また、柄糸、地糸とも発色性にも優れていた。結果を表1に記載する。
【0049】実施例298%硫酸相対粘度2.7で平均粒子径0.6μmの酸化チタンを0.3重量%含むナイロン6(アミノ末端基5.9×10-5mol/g、スルホン酸塩基は含まない)チップを270℃で溶融し、丸形の吐出孔を有する紡糸口金から吐出し、冷却、給油、引取りを行い、引き続き、伸度が62%になるように1.05倍で延伸した後、4000m/分で巻き取り、64デシテックス17フィラメントのアニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントを得た。これを実施例1と同様な条件で仮撚加工し、隣り合う錘で加工したS撚仮撚糸、Z撚仮撚糸をワインダー上流で合糸・交絡して巻き取った110デシテックス34フィラメントのアニオン可染性SZ双糸仮撚糸を得た。
【0050】さらに、98%硫酸相対粘度2.5で酸化チタンを0.3%含み、ナイロン6重合時にε−カプロラクタムを添加して、アミノ末端基を9.4×10-5mol/g有する(スルホン酸基はなし)チップを270℃で溶融し、円形の吐出孔を有する紡糸口金から吐出し、冷却、給油、引取りを行い、引き続き、伸度が62%になるように1.05倍で延伸した後、4000m/分で巻き取り、41デシテックス10フィラメントのアニオン可染性ポリアミドマルチフィラメントを得た。これも上記SZ双糸仮撚糸と同様な条件で仮撚加工し、66デシテックス20フィラメントのアニオン可染性SZ双糸仮撚糸を得た。また、実施例1で用いた41デシテックス10フィラメントのカチオン可染性ポリアミドマルチフィラメントも同様に仮撚加工し、66デシテックス20フィラメントのカチオン可染性SZ双糸仮撚糸を得た。
【0051】上記SZ双糸仮撚糸の洗濯堅牢性評価を行ったところ、4級と良好であった。
【0052】永田精機(株)製 K−17 SINGLE K式(針本数240本)に地糸(表糸、裏糸)としてに110デシテックス34フィラメントのアニオン可染性SZ双糸仮撚糸を2本用意し、さらに柄糸として66デシテックス20フィラメントのアニオン可染性SZ双糸仮撚糸と66デシテックス20フィラメントのカチオン可染性SZ双糸仮撚糸を各2本用意してカットアンドボスにより水玉のモーレ柄となるようにコンピューターを設定してストッキングを編成した。
【0053】このストッキングを実施例1と同様の染色・仕上げ加工を行った。ただし、染色加工は、別々に染め上げるいわゆる2浴法にて行い、ドラム染色機を用いて(浴比1:20)浴温を40℃とした後、■を入れて1.5℃/分にて90℃まで昇温していき、60分間一定温度に保った後、クーリング、水洗の後、グランアップUS20(三洋化成(株)製)を0.2g/lにてソーピング、さらに水洗を行った。その後、同じく浴比1:20にて浴温40℃とし、■と■を入れて1.5℃/分にて90℃まで昇温し、60分間一定温度に保ち、その後クーリング、水洗を行った。その後のFIX処理以降は実施例1と同様に行った。
【0054】得られたストッキングは地糸が黄色に、モーレ柄として濃色の黄色と赤色の水玉が現われ、黄色の濃淡色差も含めて3色の異色とすることができた。また、すべてポリアミドマルチフィラメントで編成されていることから柄糸、地糸とも肌触りがソフトで着用感が優れていた。また、柄糸、地糸とも発色性にも優れていた。
【0055】実施例3テレフタル酸ジメチル(以下DMTと略記する)94kg、エチレングリコール60kg、反応触媒として酢酸リチウム(対DMT0.2重量%)および酸化アンチモン(対DMT0.04重量%)の混合物に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸メチルエステル3.7kgおよび平均分子量1000のポリエチレングリコール4.0kgを添加し、窒素雰囲気下で150℃から250℃に徐々に加熱し、生成するメタノールを連続的に系外へ留出しつつ、エステル交換反応を行い、反応開始後3時間で反応を終了した。次いでリン酸トリメチルを41g、二酸化チタン16重量%エチレングリコールスラリー500gを添加した。
【0056】ついで重合反応系を1時間30分かけて徐々に13.3Paまで減圧し、280℃まで昇温した。13.3Paの減圧下、重合温度280℃でさらに2時間重合し、固有粘度0.74のポリエステルチップを84kg得た。得られた共重合ポリエステルを、紡糸温度290℃、紡糸速度3000m/分で紡糸し、繊度48デシテックス、10フィラメント、複屈折率25×10-3、伸度155%の高配向未延伸糸を得た。
【0057】該高配向未延伸糸を実施例1記載の延伸仮撚機を用い、加工速度400m/min、延伸倍率1.45倍、ヒーター温度160℃、D/Y比1.8に設定して仮撚加工を行い、33デシテックス10フィラメントの仮撚糸を得た。
【0058】該延伸糸をFAX編機にて製編し、98℃の熱水で精練後、カチオン可染ポリエステル染色性評価を行ったところ、染料吸尽率97.3%となり、極めて優れた常圧染色性を示した。また、洗濯堅牢度を評価したところ4−5級と良好であった。
【0059】永田精機(株)製 MODEL P−482(針数400本)にトウ部からレッグ部が地糸として実施例1で用いたアニオン可染性ポリアミドSCY(S撚、Z撚)とアニオン可染性ポリアミド生糸2本を仕掛けて交編となるようにし、柄糸として常圧カチオン可染ポリエステル仮撚糸4本を仕掛けた。カットアンドボスによりアーガイル柄が表現できるように設定して、パンティーストッキングを編成した。
【0060】このパンティーストッキングを定法のごとく蒸気により80℃で10分プリセット、界面活性剤での精練工程の後、以下の染料及び染色助剤を用いて染色した。■酸性染料(Kayanol Yellow N5G(日本化薬(株)製)):アニオン可染性ポリアミド重量に対して1%owf、■沈殿防止剤(ネオテックス CA−5(日華化学(株)製))、酢酸1g/l、■カチオン染料(Cathilon Red GTLH(保土ヶ谷化学(株)製):カチオン可染性ポリアミド重量に対して1%owf、■柔軟剤(ニッカシリコンAM−202(日華化学(株)):パンティーストッキング重量に対して4%owfを準備し、ドラム染色機を用いて(浴比1:20)浴温を40℃とした後、■→■→■を順に入れていき、1.5℃/分にて98℃まで昇温していき、60分間一定温度に保った後、クーリング、水洗の後、界面活性剤(ラッコールPSK、2g/l、明成化学社製)およびソーダ灰1g/lにてソーピング(60℃×30min)した。その後、浴温40℃にて■を用いて柔軟処理した後、靴下セッターにより110℃、30秒のファイナルセットを行った。
【0061】得られたパンティーストッキングは地糸が黄色に、アーガイルの柄が赤色に染色され、柄と共に柄糸を地糸と異色にすることによって柄を効果的に浮かび上がらせることができ、ファッショナブルになった。また、柄糸に用いている常圧カチオン可染ポリエステルは仮撚糸として嵩高であるため、風合いもソフトであった。結果を表1に記載する。
【0062】比較例1実施例1のカチオン可染性ポリアミド仮撚糸の代わりに柄糸として33デシテックス10フィラメントのPET仮撚糸をソフト巻きした後、赤色にチーズ染めしたPET先染糸を用いただけで、編機、編み条件は変えずにパンティーストッキングを編成した。編成の際、カチオン可染性ポリアミド仮撚糸では問題なかったのに対して、PET先染糸を用いたときには糸が堅く、集束性も悪いため編みたて前に追油する必要があった。
【0063】上記パンティーストッキングを実施例1のカチオン染料と沈殿防止剤を用いないという他は同様な染色条件で染色・仕上げ加工を行った。得られたパンティーストッキングは、実施例と同様柄糸を異色に染め分けることで、柄を効果的に浮かび上がらせることができているが、柄糸の風合いが堅く着用したとき、肌には柄糸部分に違和感が感じられ快適ではなかった。また、柄糸がPET先染糸でナイロンマルチフィラメントに比べて屈折率が高く、分散染料による染色のため、実施例1に比べて鮮明性で劣っていた。
【0064】
【表1】

【0065】
【発明の効果】本発明のストッキングでは、柄編組織を多色に染色することによりファッション性を高めると共に、製品染めにより異色展開可能とすることで市場ニーズに合わせてスピーディーに商品を供給することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
【出願日】 平成14年11月27日(2002.11.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−227006(P2003−227006A)
【公開日】 平成15年8月15日(2003.8.15)
【出願番号】 特願2002−343119(P2002−343119)