| 【発明の名称】 |
下 着 |
| 【発明者】 |
【氏名】石川 恵美子 【住所又は居所】滋賀県大津市大江1丁目1番1号 東レ株式会社瀬田工場内
【氏名】松本 真吾 【住所又は居所】滋賀県大津市大江1丁目1番1号 東レ株式会社瀬田工場内
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| 【要約】 |
【課題】着用中の快適性を損なわない下着、特に高齢者用下着を提供する。
【解決手段】タテ方向またはヨコ方向いずれかの伸長率が50%以上、伸長回復率が60%以上、かつ、厚さが1.5mm以下、通気量が150cm3/cm2・s以上の編地を用いてなる下着。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】タテ方向またはヨコ方向のいずれかの伸長率が50%以上、伸長回復率が60%以上、かつ厚さが1.5mm以下、通気量が150cm3/cm2・s以上の編地を用いてなる下着。 【請求項2】前身頃および後身頃を有し、その内側に、前記の編地を前身頃のウエスト部分から後身頃のウエスト部分にかけ連続して縫着した請求項1記載の下着。 【請求項3】編地が、総繊度167デシテックス以下の、合成繊維および/または天然繊維の地糸を用い、目付250g/cm2以下となるように編成したものである請求項1または2記載の下着。 【請求項4】股部の前後中央にあたる前身頃と後身頃との股接ぎ部に、前身頃から後身頃にかけて長さが10〜30cm、面積が100〜300cm2の襠部を有する下着。 【請求項5】繊維表面に、アルキルシリケート系樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂と、光触媒剤を有する請求項1〜4のいずれかに記載の下着。 【請求項6】繊維表面にカルボン酸化合物、金属および多孔質物質を有する請求項1〜5のいずれかに記載の下着。 【請求項7】カルボン酸化合物が脂肪族ポリカルボン酸である請求項6に記載の下着。 【請求項8】吸湿ポリマーを練り込んだ合成繊維を少なくとも一部に用いた、請求項1〜7のいずれか記載の下着。 【請求項9】ポリビニルピロリドンを練り込んだナイロン繊維を少なくとも一部に用いた、請求項8記載の下着。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、下着、特に失禁用下着に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、少子高齢化が進む我が国では、2020年には4人に1人が高齢者になると予測されている。加齢とともに衰える身体機能の中でも、特に失禁、排泄に関する問題を抱える人は非常に多い。また、女性の場合、高齢者でなくとも加齢とともに尿失禁による悩みを抱える人が増加してくる傾向にある。従来、この解決策として、軽失禁の人(通常の生活をしているが、少量の尿漏れをしてしまう人)用には、厚手の生地に防水カバーをつけたような失禁パンツを、また尿漏れ量の多い人には紙オムツや紙パットをオムツカバーに付けて対応してきた。これらは一様に着用感が悪く、外衣の上からでも着用しているのがわかる、動く時にがさがさと音がする、蒸れやすい、かさばるため1サイズ上の外衣が必要となる、など着用快適性に劣るものであった。そのため、外出しなくなる、人と接するのを嫌がる、またオムツを付けることは人間の尊厳を失すると考える人もいて、この状態が継続すると、ついには寝たきり状態や痴呆の症状を引き起こすようになる。 【0003】一方、特許公報においては、特開平10−179624号公報に使い捨てパットを取り換えやすいように股部から尻部まで開閉できる失禁用パンツが提案されている。また、特開平10−314229号公報に流動便に対応できるようオムツカバーの中央部に突出部を設けた大人用オムツカバーが提案されている。また、使い捨てとしては特開平11−104180号公報に不織布を使ったパンツ型の使い捨てオムツが提案されている。しかし、いずれにおいてもその使用素材の厚さは厚くてフィット感が悪いため、上記と同様に着用快適性に劣るものであった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、着用中の快適性を損なわない失禁用下着、特に中高齢者のための失禁用下着を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。 【0006】すなわち本発明は、タテ方向またはヨコ方向のいずれかの伸長率が50%以上、伸長回復率が60%以上、かつ厚さが1.5mm以下、通気量が150cm3/cm2・s以上の編地を用いてなる下着である。 【0007】また本発明は、股部の前後中央にあたる前身頃と後身頃との股接ぎ部に、前身頃から後身頃にかけて長さが10〜30cm、面積が100〜300cm2の襠部を有する下着である。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり伸縮性に富み、薄くてフィット感に富み、特に失禁、尿漏れ対策を施す必要がある時に優れた着用快適性を発揮することのできる下着について、鋭意検討した結果、次の構成を有することにより解決することを究明したものである。 【0009】本発明の下着には、素材構成として、タテ方向またはヨコ方向のいずれかの伸長率が50%以上、伸長回復率が60%以上の編地を用いる。 【0010】かかる伸長率は、編地の伸びの程度を表すものであり、この数値が大きい程、下着にして着用した時、身体の動きに追従し易く、着脱も容易で、疲れ難い。かかる伸長率が50%未満であると、下着としてフィット感が悪く着脱しづらい。編地のタテまたはヨコ方向いずれかの伸長率は、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。 【0011】かかる伸長回復率は、伸長した編地が、素早く元の状態に戻ろうとする回復程度を表すものであり、この数値が大きい程、下着として着用した時、よりフィット性に富み、動き易い。かかる伸長回復率が60%未満であると、身体の動きにより伸長された編地が伸ばされた状態となり、身体へのフィット感に劣ることから、身体の動きに追従しにくくなる。 【0012】なお、タテ方向とヨコ方向で、編地伸長率と伸長回復率の数値大小がある場合は、伸長率の大きい方向を下着の胴周り方向に優先して使用することが好ましい。 【0013】かかる伸長率および伸長回復率は、JIS L 1018「メリヤス生地試験方法」の定速伸長法のグラブ法に基づいて測定される。 【0014】さらに、本発明の下着は、生地厚さが1.5mm以下の編地を用いる。編地の生地の厚さが1.5mmより厚くなると、着用時にかさばり、外衣の上から目立つ。また、着用時にはその上に身につける外衣のサイズを未着用時より大きくしないと入らなくなる可能性もある。 【0015】さらに、総繊度167デシテックス以下の、合成繊維および/または天然繊維を地糸に用い、目付250g/cm2以下となるように編成した編地を使用することが好ましい。編地を構成する繊維は、合成繊維、天然繊維、あるいは長繊維、単繊維の区別なく使用でき、特に限定されるものではないが、たとえば、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、アセテート、レーヨン等の半合性繊維、羊毛、絹、木綿、麻等天然繊維のいずれが含まれてもよい。また、挿入糸や芯糸に弾性糸を用いても良い。 【0016】かかる編地の目付や厚さは、JIS L 1018「メリヤス生地試験方法」に準じて測定される。 【0017】次に、本発明の下着の形状について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の下着の一態様前面図、図2は、本発明の他の態様を示す下着の前面図である。なお、図中、点線で描写している部分は下着で隠れている部分を示す。 【0018】本発明の下着の一態様は、図1のように前身頃1と後身頃2、襠部4から構成され、前身頃と後身頃との股接ぎ部3に、前身頃から後身頃にかけて長さが10〜30cm、面積が100〜300cm2の失禁用パット貼付け用の襠部4を有する。かかる構成により、パットを貼り付けた状態の美観や着用感を向上させることができる。一般的に市販されている下着にも股接ぎ部分に襠が縫着されているが、概ね股接ぎ縫目から後身頃にかけてのみ襠部を有することが多かった。また、襠部の大きさも、長さが10cm、面積が100cm2に満たない場合が多く、このような下着を着用してパットを貼りつけると、股部の前身頃側がカバーできないため、失禁したときには外へ尿漏れすることがあった。 【0019】一方、本発明の他の態様として、図2のように前身頃1および後身頃2からなる下着の内側に、タテ方向またはヨコ方向のいずれかの伸長率が50%以上、伸長回復率が60%以上、かつ厚さが1.5mm以下、通気量が150cm3/cm2・s以上の編地を失禁用パット固定布5として概ね矩形に裁断し、前身頃のウエスト部分6から後身頃のウエスト部分7にかけ連続して縫着する下着も提案することができる。下着の内側に、上述した編地を前身頃のウエスト部分から後身頃のウエスト部分にかけ連続して縫着することにより、自分の好みに合った下着の形状、デザインを変化させずにパットを固定する部位を設けた下着を提供することができる。特に男性用下着のトランクス型に代表される布帛の下着の場合、失禁パットを使用することができなかった。また、使用しても身体との密着ができなかったので、尿が漏れることがあり、安心して生活することができなかった。また、本発明のパット固定布として使用する素材は、厚さが1.5mm以下、通気量が150cm3/cm2・s以上であるため、薄くて失禁パットを使用していることを他人に知られることなく、また、長時間の着用においても蒸れずに快適に着用することができる。 【0020】本発明の下着は、繊維表面に、アルキルシリケート系樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂と、光触媒剤を付着させた素材を用いることが好ましい。 【0021】本発明において、光触媒剤とは、紫外線により励起され、強い酸化力によって有機物を酸化分解する特性を有するものであり、具体的には、アナターゼ型、ルチル型と呼ばれる結晶型の構造をもつものが含まれる。かかる光触媒は、消臭性、着色物分解除去性(防汚性)、殺菌性(抗菌、防カビ)を有するものである。 【0022】かかる光触媒剤の作用は、皮膚下のエクリン腺、アポクリン腺から出た水分に皮膚の周囲にある常在菌により汗の臭い(主成分:アンモニアやイソ吉草酸)が発生し、この臭いに光触媒剤で励起された・OH基(水酸基ラジカル)が汗の主成分に触れ、これをCO2(炭酸ガス)とH20(水)に分解して消臭すると考えられている。また、加齢臭(中高年臭)では、主成分:ノネナールが、老人臭(中高年臭)では、主成分:インドール、スカトールが 、糞尿臭では、主成分:アンモニアが、他の体臭では、主成分:アセトアルデヒド、メチルメルカプタンが、タバコ臭では、主成分:ニコチンが、それぞれ同様に光触媒剤で分解することができるのである。 【0023】本発明において、光触媒剤の中でも、チタンとケイ素の複合酸化物を使用することが好ましく使用されるが、かかる複合酸化物は、例えば、田部浩三(触媒、第17巻、No.3、72頁、1975年、触媒学会発行)に記載されているように、固体酸として知られ、チタンとケイ素の割合は、酸化物に換算して酸化チタンが20〜95モル%、酸化ケイ素が5〜80モル%の範囲にあるものが好ましい結果を与える。 【0024】本発明においては、たとえばチタンとケイ素の複合酸化物の如き光触媒剤を繊維表面に付着させる場合、アルキルシリケート系樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂をバインダーとして用いるのが好ましい。かかるバインダーの存在により、有機系樹脂特有の光触媒剤の酸化による分解、着色、臭気の発生を防止することができる。 【0025】本発明に好ましく用いられるアルキルシリケートは、下記のように主にSi−Oの結合部分と直鎖または分岐のある飽和アルキルから成り、その両端にOH基をもつものである。 OH−(Si−O)n −R−OH式中、Rは、炭素数1〜10の直鎖または分岐のある飽和アルキル基であり、nは1以上の整数を意味し、無機性を高めるために、好ましくは1000〜10000の範囲である。 【0026】かかるアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等直鎖または分岐のある飽和アルキルである。 【0027】かかる樹脂の付着量は、風合いを良くする点から、塗布法では、繊維に対して0.05〜30重量%が好ましく、また、含浸法では、繊維に対して0.05〜10重量%が好ましい。 【0028】かかる樹脂の付着量は、風合いを良くする点から、塗布法では、繊維に対して0.05〜30重量%が好ましく、また、含浸法では、繊維に対して0.05〜10重量%が好ましい。 【0029】また、シリコーン系樹脂としては、シリコーンレジンもしくはシリコーンワニスという分類に属する縮合架橋型樹脂を使用することができ、かかる樹脂は、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシランなどの縮合架橋型樹脂を、単独または数種の配合物を縮合して得ることができるものが含まれる。これらは、3次元構造の樹脂を形成し、シリコーン樹脂の中でも、最も耐熱性や耐薬品性に優れたものである。かかる樹脂の付着量は、風合いを良くする観点から、塗布法では、繊維に対して0.05〜100重量%が好ましく、また、含浸法では、繊維に対して0.05〜30重量%が好ましい。 【0030】また、フッ素系樹脂としては、ビニルエーテルおよび/またはビニルエステルとフルオロオレフィン重合性化合物が、非常に優れた特性を持っていて好ましく使用される。例えば、ポリフッ化ビニルやポリ四フッ化エチレン、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエステルやビニルエステル−フルオロオレフィンなどが分解、劣化が少ないので好ましく使用される。かかる樹脂の付着量は、シリコーン系樹脂と同量の条件で好ましく使用される。かかる樹脂の付着量は、風合いを良くする観点から、塗布法では、繊維に対して0.05〜100重量%が好ましく、また、含浸法では、繊維に対して0.05〜30重量%が好ましい。 【0031】かかるシリコーン系樹脂及びフッ素系樹脂と、通常よく使用されるアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などとの違いは、熱や薬品の作用で分解されやすい炭化水素基をほとんど含まず、シリコーン系樹脂はSi−O結合、フッ素系樹脂はF−C結合を主体に構成されており、末端基や側鎖に少量のメチル基やフェニル期が炭化水素として含まれる程度であるところにある。 【0032】また、かかるバインダーに、ゼオライトをさらに添加すると、抗菌性能を更に高める効果があるので好ましい。すなわち、臭い成分の吸着力の向上と構造物中の無機系成分比を増加させ、光触媒剤による分解を抑制する作用がある。かかるゼオライトは、金、白金、銀、パラジウム等の貴金属を、好ましくは0.01〜5重量%の範囲で担持したものを用いると、更に抗菌効果が向上するという機能を発揮する。かかるゼオライトの付着量は、繊維に対して、塗布法では好ましくは0.01〜10重量%であり、また、含浸法では、風合いの点から、好ましくは0.01〜5重量%の範囲に制御するのがよい。 【0033】本発明においては、かかる光触媒剤を表面上に固定するために、特定の中間層を設けてもよい。 【0034】この中間層としては、過酸化チタン粒子層、ゼオライトの層、ゼオライトとシリコーン系もしくはフッ素系樹脂で固定した層、アルキルシリケートの層が好ましく用いられる。これらいずかの中間層を用いることにより、有機系樹脂特有の光触媒の酸化による分解、着色、臭気の発生をより効果的に防止することができる。 【0035】次に、上記光触媒剤を編物に付着させる方法について説明する。 【0036】その一例は、アルキルシリケート系樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれる少なくとも1種をバインダーとし、好ましくはゼオライト微粒子を添加する。次いでチタンとケイ素の複合酸化物の水溶液を混合し、これを加工液とする。次いで、この加工液に編物を含浸させた後、マングルロールで絞り、ドライキュアの工程を経るか、あるいはこの加工液を適当な粘度に調整して、ナイフコーターやグラビアロールコータ、捺染などで塗布した後、200℃以下の温度で固定する。 【0037】他の一例は、中間層として過酸化チタン粒子層を用いる場合の処理法として、ゾル状態からゲル状態に状態を変化させている途中の性状を示す過酸化チタンを含む処理液を、編物に含浸させた後、マングルロールで絞り、200℃以下の温度で固定する。あるいはこの処理液を適当な粘度に調整して、ナイフコーターやグラビアロールコーターなどで、塗布した後200℃以下の温度で固定することによって、過酸化チタン層(中間層)を有する編物が得られる。 【0038】また、中間層としてゼオライト微粒子の層を設ける場合は、ゼオライト微粒子をPVA法によって編物に気層皮膜を作り融着させる。 【0039】中間層としてシリコーン系もしくはフッ素系樹脂で固定されたゼオライト微粒子層を設ける場合は、ゼオライト微粒子と水溶解性のシリコーン系樹脂もしくはフッ素系樹脂を含む処理液中に編物を含浸させた後、マングルロールで絞り、200℃以下の温度で固定する。あるいはこの水溶液を適当な粘度に調整して、ナイフコーターやグラビアロールコーターなどで、塗布した後200℃以下の温度で固定する。 【0040】中間層としてアルキルシリケート層を設ける場合は、アルキルシリケートの水溶液に、反応をより安定的なものにするために、アルコールと塩酸、硫酸、酢酸等を加え、pHを2〜4にする。そしてこの溶液をよく攪拌する。編物をこの水溶液中に含浸させた後、マングルロールで絞り、200℃以下の温度で固定する。あるいはこの水溶液を適当な粘度に調整して、ナイフコーターやグラビアロールコーターなどで、塗布した後200℃以下の温度で固定する。 【0041】上記の方法により得られた編物を、チタンとケイ素の複合酸化物の水分散液に含浸させ、パッド−ドライ−キュアの工程を経ると、光触媒を繊維に固着させることができる。また、チタンとケイ素の複合酸化物の水分散液にシリコーン系もしくはフッ素系樹脂を混合させても固着させることができる。 【0042】また、この中でも特に糞尿臭に対する消臭加工をより発揮するために、カルボン酸化合物、金属および多孔質物質を含んでなるものは好ましい。カルボン酸化合物を用いる理由としては、アンモニア、トリメチルアミンなどの塩基性悪臭の消臭効果が非常に優れていることが挙げられる。 【0043】カルボン酸化合物については、カルボキシル基を含有している化合物であるならば特に限定しないが、なかでも上記の式で示される脂肪族ポリカルボン酸化合物が、消臭機能、コストおよび安全性の面で優れていることから、好ましく使用される。また、水酸基を有する水酸化合物や、スルホン基を有するスルホン酸化合物などを用いる場合にも同様の消臭効果が期待できるが、これらに比してカルボン酸化合物は抗菌性、皮膚刺激性などの安全性が優れているという利点もある。 【0044】また、本発明では、糞便臭の中に含まれるメチルメルカプタン臭、ジメチルジサルファイド臭およびジメチルトリサルファイド臭などの硫黄系の悪臭を消臭するためには、上記脂肪族ポリカルボン酸化合物に対し金属を添加することが好ましい。この金属としては、銀、銅および亜鉛から選ばれた少なくとも一種が好ましく、これらの金属は、イオンの状態で脂肪族ポリカルボン酸化合物中に存在することがさらに好ましい。 【0045】さらに、本発明の下着に使用する編地は、インドール臭およびスカトール臭の消臭を可能にするために、上記脂肪族ポリカルボン酸化合物および金属に対し、さらに多孔質物質を添加することが好ましい。 【0046】また、脂肪族ポリカルボン酸化合物、多孔質物質および金属を併用した系に、さらに酸化チタン系光触媒などの酸化分解性を有する触媒を添加した場合には、一端中和および吸着した悪臭を光触媒作用により酸化分解し、その後再び消臭剤としての機能を回復するという消臭機能の半永久的サイクルが実現する可能性があるため好ましい。 【0047】次に、本発明で使用の編地に上記の添加加工をする方法の一例について説明する。 【0048】まず、脂肪族ポリカルボン酸化合物、多孔質物質および銀などの金属を、所望の割合で水溶液にしたものを加工液とする。 【0049】次いで、この加工液に編地物を含浸させた後、マングルロールで絞り、ドライ−キュアの工程を経るか、あるいは、この加工液を適当な粘度に調整して、ナイフコーターやグラビアロールコーター、捺染などで繊維に塗布した後、200℃以下の温度で固定する。 【0050】 【実施例】以下、本発明の下着について実施例ならびに比較例をあげてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中での品質評価は次の方法を用いた。 【0051】(測定方法) (1)編地伸長率JIS L 1018「メリヤス生地試験方法」の定速伸長法のグラブ法に準じて行った。すなわち、10cm×約15cmの試験片をタテ、ヨコ方向にそれぞれ3枚ずつ採取した。自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、上下つかみとも表側は2.54cm×2.54cm、裏側は2.54cm×5.08cmのものを取り付け、つかみ間隔を7.6cmとして試験片のたるみや、張力を除いてつかみに固定した。これを引張速度10cm/minで17.7N(1.8kg)荷重まで引伸ばし、その時のつかみ間隔を測った。次に即、荷重を取り除く方向へ元のつかみ間隔である7.6cmまで戻した。この荷重−除重による挙動を自記記録計に荷重−伸長−回復曲線として描いた。 【0052】これを基に、次の式により伸長率LA(%)を求め、編地のタテ方向、ヨコ方向の各々について3枚の平均値で表した。 伸長率LA(%)=[(L1−L0)/L0]×100L0:初期つかみ間隔(cm)(=7.6cm) L1:17.7Nまで伸ばした時のつかみ間隔(cm)。 【0053】(2)編地伸長回復率前記自記記録計で描いた荷重−伸長−回復曲線を基に、回復曲線がゼロ荷重になった時点から残留伸び(cm)を求め、次の式により伸長回復率LB(%)を算出し、編地のタテ方向、ヨコ方向の各々について3枚の平均値で表した。 伸長回復率LB(%)={(L1−L2)/L1}×100L1:17.7Nまで伸ばした時のつかみ間隔(cm) L2:ゼロ荷重における残留伸び(cm)。 【0054】(3)目付、厚さ測定目付、厚さの測定はJIS L 1018「メリヤス生地試験方法」に準じて、目付は標準状態における単位面積あたりの質量を算出し、厚さは0.7kPa時の厚さを異なる5ヶ所について測定し平均値を求めた。 【0055】(4)通気量の測定通気量の測定はJIS L 1018「メリヤス生地試験方法」に準じて行った。すなわち、20cm×20cmの試験片を採取し、フラジール形試験機を用い、円筒の一端に試験片を取り付け、加減抵抗器により一定の圧力(125Pa)で吸引し、試験片を通過するときの空気量(cm3/cm2・s)を求め通気量とした。測定は5回とし、平均値で示した。 【0056】(5)パット着用時の安定性、フィット感、審美性評価市販されている幅20cm×長さ40cmの失禁用パットを下着に貼り付け、実着用による官能評価とした。その評価基準を表1に示す。 【0057】 【表1】
【0058】(6)アンモニア、メチルメルカプタンの消臭性評価試料を3g入れた500mlの容器に初期濃度が200ppmになるようにアンモニアガスをいれて密閉し、1時間放置後、ガス検知管で残留アンモニア濃度を測定した。そして下記の式に従い消臭率(%)として算出した。 【0059】消臭率(%)=(1−(ガス検知管測定濃度)/(初期濃度))×100同様な方法でメチルメルカプタン(MMP)40ppm、2時間後の残留ガス濃度を測定し、各気体の消臭率を算出した。 【0060】(7)スカトール、インドールの消臭官能評価0.01重量%スカトール溶液、0.1重量%インドール溶液をそれぞれ調整し、これを悪臭溶液とする。衛生剤組成物を加工した繊維を10cm角にカットし、内容積500mlのすり合わせ活栓付きの三角フラスコに、各悪臭溶液をマイクロシリンジにて25μl注入して、悪臭溶液と接触しないよう、繊維をフラスコ内の上部に懸垂する。 【0061】次に、室温で放置し、30分毎に官能試験を行い、臭気の強さを次に示す6段階で評価した。 0:無臭1:やっと感知できる臭い2:何の臭いか分かる弱い臭い3:楽に感知できる臭い4:強い臭い5:強烈な臭い。 【0062】(8)抗菌評価抗菌性能の評価については、繊維製品新機能評価協議会(SEK)が制定した統一試験方法に準じて行った。 【0063】対象菌種としては、黄色ブドウ状球菌(MSSA)、メチシリン耐性黄色ブドウ状球菌(MRSA)を用いた。 【0064】(実施例1)ナイロンに吸湿ポリマーであるポリビニルピロリドンを5重量%練り込んだ155デシテックス48フィラメント糸を用い、22Gの両面丸編機にて、裏面側ハニカムリバーシブル編組織となる上記繊維100%の丸編地を編成した。 【0065】この編地を通常の丸編地の染色法に準じ、リラックス・精練、染色、乾燥、仕上げセットを行った。さらに、脂肪族ポリカルボン酸(帝国化学産業株式会社SZ−2B(商品名) 未中和品):3.0重量%、銀:0.5重量%、多孔質物質(富士シリシア(株)サイリシア#550、比表面積500m2 /g、平均1次粒子径2.7μm)1.0重量%および水:96.5重量%からなる加工液に含浸させた。含浸後、マングルロールで絞り、ドライ−キュアの工程を経て目的の編地を得た。 【0066】この編地を用いて女性用下着を縫製し、該下着の股接ぎ部に長さ22cm、面積200cm2の襠部を前身頃から後身頃にかけて縫合した。このようにして得られた下着について、生地物性、パットの安定性、着用感、着用した状態の審美性、消臭性、抗菌性、などの評価を行い、結果を表3に示した。 【0067】(実施例2)地糸に44デシテックス38フィラメントのナイロン糸を用い、挿入糸に130デシテックス、芯糸に395デシテックスの弾性糸を用いラッセル編機を使い全幅133cmの6コースサテンを編成した。この編地を通常の染色法に準じ、リラックス・精練と染色および乾燥を行った。 【0068】ついで、次のように調製をした。四塩化チタンTiCl4 の30重量%溶液に、水酸化ナトリウムNaOHの5重量%溶液を加え、しばらく放置したのち、水酸化チタンTi(OH)4 を得た。これを25重量%の過酸化水素水で処理し、非結晶質過酸化チタンゾルを得た。 【0069】これに、前記編地を浸し、マングルロールでピックアップ80重量%で絞り、120℃で2分乾燥した後、170℃で1分間熱処理し、繊維表面に非結晶質過酸化チタン粒子層を有する編物を得た。 【0070】次に、この編物を、チタン、ケイ素複合酸化物水分散液(粒子径12nm、比表面積150m2 /g、日本触媒株式会社製:処理液A)に含浸し、マングルロールで絞り、100℃で1分乾燥した後、170℃で30秒の加熱処理をして、光触媒剤を有する編地を得た。この編地を用いて女性用下着を縫製し、該下着の股接ぎ部に長さ17cm、面積166cm2の襠部を前身頃から後身頃にかけて縫合した。このようにして得られた下着について、生地物性、パットの安定性、着用感、着用した状態の審美性、消臭性、抗菌性、などの評価を行い、結果を表3に示した。 【0071】(実施例3)経糸および緯糸に83デシテックス−36フィラメントのポリエチレンテレフタレート糸を用い、織物組織が平織物、経密度が140本/2.54cm、緯密度が70本/2.54cmの生機を作製した。この生機をリラックス精練(98℃×10分)、中間セット(190℃×1分)を行った後、高圧染色機を用いて染色した。 【0072】この織物を、チタン、ケイ素複合酸化物水分散液(粒子径12nm、比表面積150m2 /g、日本触媒株式会社製:処理液A)に含浸し、マングルロールで絞り、100℃で1分乾燥した後、170℃で30秒の加熱処理をして、光触媒を有する織物を得た。この織物を用いて男性用トランクス型の下着に縫製し、該下着の内側に、実施例2で使用したのと同様の、光触媒剤の付与まで施した編地を幅25cm、長さ42cmの概ね矩形に裁断し、パット固定布として前後のウエスト部で縫着し得た下着について、生地物性、パットの安定性、着用感、着用した状態の審美性、消臭性、抗菌性、などの評価を行い、結果を表3に示した。 【0073】尚、表3中の実施例3の伸長率、伸長回復率、目付、厚さは、パット固定布の値である。 【0074】(比較例1)ポリエチレンテレフタレートフィラメント糸155デシテックス48フィラメント糸を用い、22Gの両面丸編機にてポリエチレンテレフタレート糸100%からなるダブルフェース編地を編成した。この編地を通常の染色法に準じ、リラックス・精練と染色および乾燥、仕上げセットを行った。この編地を用いて女性用下着を縫製し、該下着の股接ぎ部に長さ8cm、面積64cm2の襠部を縫合した。 【0075】このようにして得られた下着について、生地物性、パットの安定性、着用感、着用した状態の審美性、消臭性、抗菌性、などの評価を行い、結果を表3に示した。 【0076】(比較例2)比較例1で使用したものと同様の編地を用いて女性用下着を縫製し、該下着の股接ぎ部に350cm2の面積の開孔部を作成した。別に400cm2の面積を持つ襠部を作り、襠部の一端を下着本体の後身頃側に縫着した。パット交換時に該襠部を開閉して使用できるようパットの他端と該当する下着本体に係止具を取り付け、女性用下着を得た。このように得られた下着について、生地物性、パットの安定性、着用感、着用した状態の審美性、消臭性、抗菌性、などの評価を行い、結果を表3に示した。 【0077】(比較例3)経糸および緯糸に83デシテックス−36フィラメントのポリエチレンテレフタレート糸を用い、織物組織が平織物、経密度が140本/2.54cm、緯密度が70本/2.54cmの生機を作製した。この生機をリラックス精練(98℃×10分)、中間セット(190℃×1分)を行った後、通常の染色、乾燥、仕上を行った。 【0078】この織物を用いて男性用トランクス型の下着に縫製し、生地物性、パットの安定性、着用感、着用した状態の審美性、消臭性、抗菌性、などの評価を行い、結果を表3に示した。 【0079】 【表2】
【0080】 【表3】
【0081】 【発明の効果】本発明によれば、着用快適性に優れた失禁用下着を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003159 【氏名又は名称】東レ株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
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| 【出願日】 |
平成14年1月22日(2002.1.22) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−221701(P2003−221701A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月8日(2003.8.8) |
| 【出願番号】 |
特願2002−12584(P2002−12584) |
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