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【発明の名称】 芋類抽出物固着繊維構造体およびその製造方法
【発明者】 【氏名】名和 和恵
【住所又は居所】京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株式会社中央研究所内

【氏名】静間 和子
【住所又は居所】京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株式会社中央研究所内

【氏名】向井 克之
【住所又は居所】京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株式会社中央研究所内

【氏名】来島 由明
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区備後町4丁目1番3号 ユニチカファイバー株式会社内

【氏名】吉田 耕二
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区久太郎町3丁目5番13号 ユニチカテキスタイル株式会社内

【要約】 【課題】本発明は、皮膚の保湿効果を高め、乾燥肌、肌荒れ、皺、さらにはアトピー性皮膚炎の改善に効果を持つ芋類抽出物を固着した繊維構造物およびその製造方法、さらにはその衣類を提供することを目的としたものである。

【解決手段】(1)繊維表面に芋類から有機溶剤を用いて抽出した芋類抽出物が固着されてなる芋類抽出物固着繊維構造体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 繊維表面に芋類から有機溶剤を用いて抽出した芋類抽出物が固着されてなる芋類抽出物固着繊維構造体。
【請求項2】 芋類がこんにゃく芋であることを特徴とする請求項1に記載の芋類抽出物固着繊維構造体。
【請求項3】 芋類抽出物がサイクロデキストリンまたはマイクロカプセルに内包されていることを特徴とする請求項1または2に記載の芋類抽出物固着繊維構造体。
【請求項4】 芋類抽出物を含有する処理液に繊維構造体を浸漬し、乾燥することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の芋類抽出物固着繊維構造体の製造方法。
【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の繊維構造体を用いた衣類。
【発明の詳細な説明】【発明の属する技術分野】
【0001】本発明は、繊維表面に芋類から有機溶剤を用いて抽出した芋類抽出物が固着されている芋類抽出物固着繊維構造体およびその製造方法に関するものである。さらに、特に直接肌に接する衣服に好適に用いることができる芋類抽出物固着繊維構造体を用いた衣類に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、現代人の衣食住に対する価値観は多様化し、なかでも健康、衛生志向はますます高まりそのニーズは広がる一方である。衣類などに代表される繊維構造物においても例外ではなく、機能性、健康・快適、感性などといった高付加価値を付与することは一般的となりつつある。こうしたなかで、肌にやさしい加工として化粧品に使用される保湿効果の高い薬剤、例えば、スクワランやコラーゲンを繊維に付与した繊維構造体が開示されている。特開平6−322670号公報には、空洞内部にスクワランもしくはスクワレン等の脂溶性物質を包接したサイクロデキストリンを、天然繊維もしくは合成繊維へ固着することを特徴とする繊維の加工法が開示されている。特開平10−96169号公報には、セルロース繊維の水酸基を化学修飾により活性化し、その活性部位にアミノ基を有する天然高分子物質を固定化させたことを特徴とする風合いがやわらかく、洗濯耐久性を有するスキンケア繊維製品が開示されている。
【0003】また、人間の皮膚の角質層に多く存在し、体内から水分の蒸発を防ぐ働きをしているセラミドを用いたものとして、特開2001−146680号公報には、セラミドを必須成分として含有する繊維用仕上げ剤組成物が開示されている。該公報で用いられているセラミドは、酵母を利用して生成したセラミド、植物由来のセラミド、化学合成のセラミドが用いられている。
【0004】最近、植物原料からセラミドを抽出する検討が盛んに行われており、これまで植物由来のスフィンゴ糖脂質、特にその中でもグリコシルセラミドとしては、コメ(Agric. Biol. Chem., 49, 2753(1985))および米糠(特開昭62−187404号公報、特開平11−279586号公報)、小麦(Agric. Biol. Chem., 49, 3609(1985)、特表平6−507653号公報)、大豆(Chem. Pharm. Bull., 38(11), 2933(1990)、特開平7−2683号公報)などの穀物および豆類由来のものが知られている。植物由来のセラミドを得るための植物原料として、利用されているものは、現在までのところ穀類、豆類に限られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、繊維表面に芋類から有機溶剤を用いて抽出した芋類抽出物が固着されてなる芋類抽出物固着繊維構造体およびその製造方法、さらには、着用時に肌と接することにより、皮膚の保湿効果を向上させる効果を有する衣類を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するものであり、(1)繊維表面に芋類から有機溶剤を用いて抽出した芋類抽出物が固着されてなる芋類抽出物固着繊維構造体(2)芋類がこんにゃく芋であることを特徴とする芋類抽出物固着繊維構造体(3)芋類抽出物がサイクロデキストリンまたはマイクロカプセルに内包されていることを特徴とする芋類抽出物固着繊維構造体(4)芋類抽出物を含有する処理液に繊維構造体を浸漬し、乾燥することを特徴とする芋類抽出物固着繊維構造体の製造方法(5)芋類抽出物が固着された繊維構造体を用いた衣類を要旨とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明では繊維表面に芋類由来の芋類抽出物が固着されている。本発明で用いる芋類抽出物は、さつま芋、じゃが芋、里芋、山芋、こんにゃく芋、長芋などの芋類から抽出されたものである。これらの中で好ましい例としては、こんにゃく芋を挙げることができ、在来種、支那種をはじめ品種改良された新種や、インドネシアや中国などで野生に生えているこんにゃく芋などいかなるものでもよい。特に好ましい例としては、安価に入手できるこんにゃくトビ粉を挙げることができる。こんにゃくトビ粉はこんにゃく製造時の副産物として年間3000トン〜4000トン発生し、ほとんどが廃棄されているものである。その形態としては、そのままでも良いし、乾燥、すりつぶし、加熱などの操作によって加工されていてもよい。
【0008】本発明で抽出溶媒として使用する有機溶剤としては、原料中の成分と抽出中に反応し、本発明の効果を損なうものでなければいかなるものでも使用できる。また、一種類の溶剤を単独で用いても複数の溶剤を混合して用いても良い。かかる有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、石油エーテル等のエーテル類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン等の芳香族炭化水素類、ポリエチレングリコール等のポリエーテル類、ピリジン類などを挙げることができる。
【0009】これらの中で好ましい例としては、メタノール、エタノール、ヘキサン、アセトンが挙げられ、特に好ましい例としてはメタノール、エタノールを挙げることができる。また、これらの有機溶剤で抽出する際には抽出効率をあげるために例えば水、界面活性剤などの添加物を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
【0010】抽出に使用する有機溶剤の量は原料となる芋に対して、望ましくは1〜30倍量程度、さらに望ましくは1〜10倍量程度が良い。溶剤の使用量が1倍未満であれば、原料全体に溶剤が行き渡らず、抽出が不十分になる恐れがあり、30倍を超える量の溶剤を添加してももはや抽出量に影響はなく、後の濃縮工程での溶剤除去作業の負担が増えるのみである。
【0011】抽出温度は使用する有機溶剤の沸点にもよるが、好ましくは、0℃から80℃、さらに好ましくは室温程度から60℃の範囲がよい。抽出温度が0℃未満であれば、抽出効率が低下し、80℃を超える温度をかけても抽出効率に大きな影響はなく、いたずらにエネルギー使用量が増えるのみである。
【0012】抽出時間は、1〜48時間、好ましくは2〜20時間である。抽出時間がこの範囲より短いと、十分に抽出が行われず、この範囲を超えていたずらに長く時間をかけて抽出を行っても、もはや抽出量の増大は見込めない。
【0013】なお、抽出操作は1回のみの回分操作に限定されるものではない。抽出後の残渣に再度新鮮な溶剤を添加し、抽出操作を施すこともできるし、抽出溶剤を複数回抽出原料に接触させることも可能である。すなわち、抽出操作としては、回分操作、半連続操作、向流多段接触操作のいずれの方式も使用可能である。また、ソックスレー抽出など公知の抽出方法を使用してもよい。
【0014】次に、抽出残渣を分離除去する。分離の方法は特に限定されず、例えば吸引ろ過、フィルタープレス、シリンダープレス、デカンター、遠心分離器、ろ過遠心機などの公知の方法を用いることができる。
【0015】このようにして得られた抽出液は濃縮工程に送られる。濃縮方法は特に限定されず、例えばエバポレーターのような減圧濃縮装置や加熱による溶媒除去などにより、濃縮することができる。
【0016】上記濃縮物はこのままでも使用できるが、引き続いて親水性の糖類などの不純物類を除去する目的で、常法による精製が可能である。例えば、水洗浄、再結晶法、カラムクロマトグラフィーなどを挙げることができる。
【0017】得られた芋類抽出物は、そのままの状態で用いてもよく、また、サイクロデキストリンあるいはマイクロカプセルに内包した状態で用いてもよい。さらに、本発明の保湿効果を促進するためにビタミン類、コラーゲン、スクワラン、大豆レシチン、ナイアシン、ナイアシンアミド、ヒアルロン酸、ソルビトール、キチン、キトサン、ヨモギエキス、ピクノジェノール、ヤシ油脂肪酸、ユーカリオイル、海草エキス、アロエエキスなど他の植物抽出物などを加えてもよい。これらの導入量については、本発明の効果を損なわない限り、限定されるものではない。
【0018】本発明で用いるサイクロデキストリン(cyclodextrin:以下、CDと略記する)とは、デンプンにパチルス・マセランス(Bacillus macerans)等の特殊な微生物が産生するCD合成酵素を作用させることにより得られる環状オリゴ糖に属するものであり、グルコース(プドウ糖)がその構成単位となっている。CDにはグルコース1が6個から8個ドーナツ状に結合したもの等があり、グルコース1が6個環状に結合したものをα−CD2、7個はβ−CD3、8個はγ−CD4と称している。CDは、環状構造となっているため内部には空洞が存在し、空洞開口部と外側は極性でかつ親水性、環の内側は比較的非極性で疎水性という性質を示し、疎水性の空洞内部に脂溶性物質等を包み込んで安定化するといった包接作用を有している。
【0019】本発明で用いるCDとしては、α−CD、β−CD、γ−CDのそれぞれ単品及びこれらの混合物、更にはこれらの混合物にデキストリン等が混ざったものやマルトシルCD、グルコシルCD、ジメチルCDのような分岐CD、修飾CDを挙げることができる。芋類抽出物をサイクロデキストリンに内包する方法は、公知の方法を用いればよい。
【0020】本発明で用いるマイクロカプセルは、芋類抽出物を安定に保持し、繊維構造物への加工時においては耐熱性とある程度の強度があり、加工後においては適宜の摩擦により破壊されて芋類抽出物を放出するか、徐放性のものであれば特に限定されない。マイクロカプセルの基材としては、有機ポリマーとして、ゼラチン、エチルセルロース、ポリウレタン等を挙げることができ、無機質または有機質の微多孔性粒子としては、例えば、シリカ活性炭、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸バリウム、珪酸ストロンチウムなどの微多孔性粒子、中空微多孔性メラミン樹脂粒子、アクリル酸エステル系樹脂粒子、ポリ尿素系樹脂粒子などを挙げることができる。
【0021】芋類抽出物を内包させたサイクロデキストリンあるいはマイクロカプセルの平均粒径は、好ましくは1〜100μm、より好ましくは1〜10μmの範囲が望ましい。
【0022】本発明においては、CDの特徴的な性質である包接作用とマイクロカプセルの内包作用に着目し、芋類抽出物を包接し、CD包接化合物またはマイクロカプセルを繊維構造物へ固着することにより、耐久性に優れ、且つ安定して保湿効果を奏する繊維を提供することができる。
【0023】本発明で用いる繊維構造体は、木綿、麻などのセルロース繊維、羊毛、絹などのタンパク繊維、ビスコースレーヨン繊維などの再生セルロース繊維、リヨセルなどの溶剤紡糸セルロース繊維、アセテート繊維などの半合成繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維などの合成繊維などの繊維を用いた繊維構造体で、特に好ましくは、木綿と溶剤紡糸セルロース繊維を用いたものである。また繊維構造物の形態は、綿、スライバー、糸、織物、編物、不織布、縫製品いずれの形態であってもよく、特に限定されない。
【0024】本発明の芋類抽出物固着繊維構造体は、芋類由来の芋類抽出物を含有する処理液を繊維構造体に付与し、乾燥することにより得ることができる。本発明では、まず、芋類由来の芋類抽出物を含有する処理液を繊維構造体に付与する。付与の方法は、浸漬法、スプレー法、パッディング法、浴中処理法などの公知の方法を用いることができるが、加工過程での損失を最小限に抑えるためにできるだけ最終工程付近で行うことが望ましい。
【0025】繊維構造物に対する芋類抽出物の固着量は、10mg/m2以上であることが必要であり、好ましくは50mg/m2以上である。また、処理液には保湿効果を促進するために他の植物抽出物などを加えてもよい。
【0026】さらに、芋類抽出物の固着の洗濯耐久性を高めるために、バインダーを用いてもよい。バインダーとしては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、アミノプラスト系樹脂、エポキシ系樹脂、グリオキサール系樹脂およびエチレン尿素系樹脂などを挙げることができ、好ましくは肌への安全性の面からアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂を用いるのがよい。
【0027】バインダーの使用量は芋類抽出物の量または芋類抽出物を内包させたマイクロカプセル等に対して、質量比で1〜10倍が好ましい。バインダーの使用量が10倍を超えると繊維構造物の風合いが悪くなり、1倍未満であると接着効果が低下して、耐久性が不十分になる。
【0028】次いで、芋類抽出物を含有する処理液を付与した後、乾燥を行う。乾燥方法は公知の方法で行えばよく、バインダーを併用した場合はさらに熱処理を行う。例えば、90〜110℃で0.5〜2分間乾燥し、150〜180℃で0.5〜3分間熱処理を行えばよい。
【0029】本発明の芋類抽出物を繊維表面に固着した繊維構造体を用いた衣類とは、直接肌に触れるものが好ましく、具体的には、肌着、下着、Tシャツ、タイツ、靴下、ストッキング、手袋、サポーター等を挙げることができる。本発明で用いる芋類抽出物は、グルコシルセラミドや植物性ステロール類と未同定成分との相乗効果により、皮膚の保湿効果、美白効果、皺、しみ、そばかす、吹き出物、肌荒れの改善、養毛、育毛、枝毛予防、乾皮症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎等に効果があるものである。このような芋類抽出物固着繊維構造体を用いた衣類を着用すると、肌と接することにより、肌に対して非常に高い保湿効果を示し、健康な人はもちろんのこと、皮膚疾患、特にアトピー性皮膚炎の人の衣類として好適に用いることができる。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】製造例こんにゃくトビ粉1kgを攪拌槽に仕込み、そこにエタノール2リットルを加え、常温で2時間攪拌した。その後、ろ過により抽出液と残渣を分離した。得られた淡黄色透明抽出液に活性炭(粒状白鷺DC、武田薬品)を添加し1時間撹拌後、ろ過により活性炭を除去し、脱色抽出液を得た。この脱色液をエバポレーターにより濃縮し、淡黄色の濃縮液を得た。得られた濃縮液の乾固物重量は0.1g/ミリリットルであった。
【0032】実施例1製造例で得られた芋類抽出物の濃縮液50ミリリットルとライトエポックAX45(アクリル系バインダー、共栄社化学株式会社製)50gを水に分散して1リットルとし、処理液を作製した。この処理液を綿100%からなる肌着用編地にピックアップ率90%にてパッディング処理し、110℃にて2分間乾燥し、次いで150℃にて3分間熱処理し、芋類抽出物固着編地を得た。この編地で肌着(長そでシャツ)を縫製し、本発明の芋類抽出物固着繊維構造体の肌着を得た。
【0033】実施例2製造例で得られた芋類抽出物の濃縮液を包接するCD包接物化合物50gを上記アクリル系バインダー50gに混合分散し、さらに水に分散して1リットルとし、処理液を作製した。この処理液を綿100%からなる肌着用編地にピックアップ率90%にてパッディング処理し、110℃にて2分間乾燥し、次いで150℃にて3分間熱処理し、芋類抽出物固着編地を得た。この編地で肌着(長そでシャツ)を縫製し、本発明の芋類抽出物固着繊維構造体の肌着を得た。
【0034】実施例3製造例で得られた芋類抽出物の濃縮液を内包するマイクロカプセル50gを上記アクリル系バインダー50gに混合分散し、さらに水に分散して1リットルとし、処理液を作製した。この処理液を綿100%からなる肌着用編地にピックアップ率90%にてパッディング処理し、110℃にて2分間乾燥し、次いで150℃にて3分間熱処理し、芋類抽出物固着編地を得た。この編地で肌着(長そでシャツ)を縫製し、本発明の芋類抽出物固着繊維構造体の肌着を得た。
【0035】比較例1製造例で得られた芋類抽出物の濃縮液を用いない以外は、実施例1と同一の方法で作製した肌着用編地で肌着を縫製し、比較例1の肌着を得た。
【0036】比較例2製造例においてこんにゃくトビ粉の代わりに小麦胚芽を用いる以外は、製造例と同一の方法で小麦胚芽抽出液の濃縮液を得た。この小麦胚芽抽出液の濃縮液を用いて実施例1と同一の方法で作製した肌着用編地で肌着を縫製し、比較例2の肌着を得た。
【0037】比較例3製造例においてこんにゃくトビ粉の代わりに米糠を用いる以外は、製造例と同一の方法で米糠抽出液の濃縮液を得た。この米糠胚芽抽出液の濃縮液を用いて実施例1と同一の方法で作製した肌着用編地で肌着を縫製し、比較例3の肌着を得た。
【0038】比較例4製造例で得られた濃縮液の代わりにセラミド3(合成セラミド、Cosmoferm社製)を用いる以外は、実施例1と同一の方法で作製した肌着用編地で肌着を縫製し、比較例4の肌着を得た。
【0039】試験例1本発明の実施例1〜3および比較例1で得られた肌着を、20〜50歳の健康な男女各10人に着用してもらい、Courage+Khazaka社製Corneometer CM825を用いて、着用前、着用10日後、20日後、30日後の左側上腕部内側の皮膚の角質水分量を測定した。測定は1人あたり10回行った平均をその人のデータとし、被験者全員の平均値で表わし、その結果を表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】表1から明らかなごとく、本発明の芋類抽出物固着繊維構造体の肌着を着用すると、皮膚の角質水分量の向上に優れた効果があることがわかる。
【0042】試験例2アトピー性皮膚炎の症状があり、ステロイド剤の塗布による治療を受けていて、症状が快方に向かったことからステロイド剤の塗布を止めてから1週間経過した20歳代の男女各20人に協力してもらった。患部の経表皮水分損失量(TEWL値)を測定して、平均値がほぼ同じになるように男女各5人ずつのグループを4つ作り、それぞれ本発明の実施例1および比較例2〜4で得られた肌着を着用してもらい、1週間後、2週間後に皮膚の状態と痒みについて、「よくなった」を2点、「変わらない」を1点、「悪くなった」を0点とし評価してもらった。1グループ男女10人の合計値で表し、その結果を表2に示す。
【0043】なお、ここで用いた経表皮水分損失量(TEWL値)とは、皮膚のバリア能の改善状態や皮膚の水分量の増加をいい、TEWLの測定にはTewameter(Courage+Khazaka社 ドイツ)を用いた。
【0044】
【表2】

【0045】表2から明らかなごとく、本発明の芋類抽出物固着線維の肌着を着用したグループは、小麦胚芽(比較例2)、米糠(比較例3)、合成セラミド(比較例4)の肌着を着用したグループに比べ明らかな改善が見られた。
【0046】
【発明の効果】本発明の芋類抽出物中の機能成分は明らかではないが、芋類抽出物中にはグルコシルセラミドや植物性ステロール類などが多く含まれており、それらと未同定成分との相乗効果により、肌に対して非常に高い保湿効果を示すものと考えられる。さらに食用されている芋類からの抽出物であるため、非常に安全性が高く、生体親和性も優れていると考えられる。本発明では芋類抽出物が繊維に固着されており、この芋類抽出物固着繊維構造体を用いた衣類を着用すると、芋類抽出物が肌に接し、皮膚の角質水分量が向上し、肌荒れの改善などにおいて優れた効果を有するものである。
【出願人】 【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
【住所又は居所】兵庫県尼崎市東本町1丁目50番地
【出願日】 平成13年12月5日(2001.12.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−171808(P2003−171808A)
【公開日】 平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願番号】 特願2001−371200(P2001−371200)