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【発明の名称】 生分解性を有する抗菌性靴下
【発明者】 【氏名】本多 真理子
【住所又は居所】大阪市中央区備後町四丁目1番3号 ユニチカファイバー株式会社内

【氏名】松永 伸洋
【住所又は居所】大阪市中央区備後町四丁目1番3号 ユニチカファイバー株式会社内

【要約】 【課題】コストが高くなく、適度な吸水,吸湿性と、耐久性のある抗菌防臭性能を有し、かつ優れた生分解性を兼ね備えた靴下を提供する。

【解決手段】ポリ乳酸系繊維と吸湿性を有する生分解性繊維とからなる靴下でる。この靴下は、静菌活性値が2.2以上であり、かつ生分解性指数が70%以上である。ポリ乳酸系繊維は、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とL−乳酸のブレンドによるステレオコンプレックス、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドキシカルボン酸との共重合体、DL−乳酸とヒドキシルカルボン酸との共重合体から選ばれるいずれかの重合体、あるいはこれらのブレンド体で形成されていることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリ乳酸系繊維と吸湿性を有する生分解性繊維とからなる靴下であって、静菌活性値が2.2以上であり、かつ生分解性指数が70%以上であることを特徴とする生分解性を有する抗菌性靴下。
【請求項2】 ポリ乳酸系繊維が、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とL−乳酸のブレンドによるステレオコンプレックス、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドキシカルボン酸との共重合体、DL−乳酸とヒドキシルカルボン酸との共重合体から選ばれるいずれかの重合体、あるいはこれらのブレンド体であることを特徴とする請求項1記載の生分解性を有する抗菌性靴下。
【請求項3】 ポリ乳酸系繊維の単糸繊度が2デシテックス以下である請求項1又は2記載の生分解性を有する抗菌性靴下。
【請求項4】 ポリ乳酸系繊維が異型断面繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性を有する抗菌性靴下。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂肪族ポリエステルを主成分とする生分解性繊維を用い、生分解性に優れ、かつ抗菌性に優れた靴下に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自然環境保護の見地から生分解性の繊維が注目されている。天然繊維、再生繊維等はもちろん、合成繊維の中でも生分解性に優れた繊維が注目を浴びている。生分解性合成繊維は、天然繊維や、再生繊維等より強力が高く、熱可塑性であるため熱セット性があり、寸法安定性に優れており、天然繊維に代わる自然循環型繊維として注目されている。しかし、生分解性合成繊維として代表的なポリ乳酸系繊維は、吸水、吸湿性に乏しく、20℃、65%RHでの水分量は約0.4%にすぎない。そのため、ポリ乳酸系繊維は、吸水、吸湿性が要求される靴下用としては,不向きな繊維であった。
【0003】一方、靴下に抗菌性を付与することは、従来から種々の方法で行われている。特に靴下素材は、靴下の上から靴を履くことが多いため、皮脂や汗を吸収した繊維上に黄色ブドウ状球菌や大腸菌、肺炎細菌等が繁殖しやすく、それによる異臭発生を防ぐ性能、いわゆる抗菌防臭性能を望まれることが多く、またその性能は洗濯耐久性に優れたものが強く望まれている。
【0004】靴下に抗菌性を付与する方法としては、例えば繊維素材あるいは繊維布帛やシート等を塩化ベンザルコニウムやトリクロカルバン、N−ポリオキシアルキレン−N,N,N,−トリアルキレンアンモニウム、ポリヘキサメチレンビグアナイドハイドロクロライドのような抗菌性物質によって表面処理を行う方法がある。しかし、この方法では抗菌性能を付与できるものの、特にナイロンやポリエステル、アクリルのような合成繊維では抗菌性能の耐久性に劣るという問題がある。
【0005】これを解決する方法として、ナイロンやポリエステルのような素材の製造工程中に酸化亜鉛のような活性のある抗菌物質を練り込む方法がある。しかし、この方法では抗菌性能を示すもののコスト高になる。また、一般に抗菌剤自体が殺菌活性を有するものが多く、生分解性を阻害するという観点からの問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題を解決し、コストが高くなく、適度な吸水,吸湿性と、耐久性のある抗菌防臭性能を有し、かつ優れた生分解性を兼ね備えた靴下を提供することを技術的な課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果,本発明に到達した。すなわち、本発明は、次の構成を要旨とするものである。
(1) ポリ乳酸系繊維と吸湿性を有する生分解性繊維とからなる靴下であって、静菌活性値が2.2以上であり、かつ生分解性指数が70%以上であることを特徴とする生分解性を有する抗菌性靴下。
(2) ポリ乳酸系繊維が、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とL−乳酸のブレンドによるステレオコンプレックス、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドキシカルボン酸との共重合体、DL−乳酸とヒドキシルカルボン酸との共重合体から選ばれるいずれかの重合体、あるいはこれらのブレンド体であることを特徴とする上記(1) 記載の生分解性を有する抗菌性靴下。
(3) ポリ乳酸系繊維の単糸繊度が2デシテックス以下である上記(1) 又は(2) 記載の生分解性を有する抗菌性靴下。
(4) ポリ乳酸系繊維が異型断面繊維である上記(1) 〜(3) のいずれかに記載の生分解性を有する抗菌性靴下。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明の抗菌性靴下は、ポリ乳酸系繊維と吸湿性を有する生分解性繊維を主成分として構成されている。
【0009】まず、本発明に用いるポリ乳酸系繊維を構成するポリ乳酸系重合体は、熱可塑性脂肪族ポリエステルであって、ポリ(α−ヒドロキシ酸)を主たる繰り返し単位とする重合体が挙げられる。具体的には、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とL−乳酸との好ましくはほぼ等量ブレンドによるステレオコンプレックス、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、DL−乳酸とヒドロキシカルボン酸等が挙げられ、これらの重合体のうち、融点が80℃以上である重合体が好ましい。中でもステレオコンプレックスは最高で220℃位の融点を示し、高温染色が可能であり、より好ましい。ここで、乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体である場合におけるヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシカプリル酸等が挙げられる。
【0010】このようなポリ乳酸系共重合体は、数平均分子量が約20,000以上、特に40,000以上のものが製糸性及び得られる糸条特性の点で好ましい。数平均分子量の上限については、溶融紡糸が行えるものであればよく、150,000程度であればよい。また、ポリ乳酸系重合体には、必要に応じて他の添加剤、例えば艶消し剤や顔料、結晶核剤等の各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
【0011】ポリ乳酸系繊維の単繊維横断面形状は、通常の丸断面の他、楕円形、菱形、三角形、四角形、多角形、T形、井形等の異形断面のもの等いずれも用いることができ、適宜選択すればよい。また、中空部を有する中空断面形状であってもよい。さらに、ポリ乳酸系繊維は、二種のポリ乳酸系重合体からなる複合形態のものであってもよい。複合形態としては、並列型複合形態、多層型複合形態、芯鞘型複合形態、分割型複合形態、分割型多葉複合形態等が挙げられ、用途等に応じて適宜選択すればよい。
【0012】本発明の抗菌性靴下を構成するポリ乳酸系繊維は、繊維表面積が大きい方が細菌との接触面積が増えるため、ポリ乳酸系繊維が本来有する静菌作用を有効に発揮でき、また、靴下を自然界において分解する生分解性能を要する用途に用いる場合にも繊維の表面積が大きいものが分解性に優れるので、中空断面、異形断面、分割型複合断面等の断面形状のものを用いることが好ましい。
【0013】ポリ乳酸系繊維の結晶化度は、10〜40%の範囲にあることが好ましい。繊維の結晶化度を上記範囲とすることによって、繊維の熱収縮が低く抑えられ、実用的な機械的強度を有するものとなる。上記範囲の結晶化度は、熱処理を行うことや延伸を行うことにより、また、ポリ乳酸系重合体に対して、例えば、タルク、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン等の結晶核剤を添加することにより達成される。結晶核剤を添加すると繊維の結晶化が促進され、得られる繊維の機械的強度や耐熱性を向上させることができ、しかも製造時の溶融紡出・冷却工程での紡出糸条間の融着(ブロッキング)を防止しうる点で好ましい。このような結晶核剤の添加量は0.1〜3.0質量%、特に0.2〜2.0質量%であることが好ましい。
【0014】ポリ乳酸系繊維の単糸繊度は、適宜選択すればよいが、単一成分繊維の場合、0.3デシテックス以上であることが好ましい。単糸繊度が0.3デシテックス未満になると生産量が低下する傾向にあり、また生産を向上させるために紡糸口金の数を増加させると、紡糸工程が不安定になる。また、単糸繊度の上限についても特に限定されるものではないが、抗菌性を考慮すると、2デシテックス以下とすることが好ましい。
【0015】このようにして製造されるポリ乳酸系繊維は、生分解性指数が70%以上である。ここでいう生分解性指数とは、生分解性プラスチック研究会識別表示委員会が指定する生分解性試験(JIS K 6953)において単一成分からなるPL対象物質の最高分解率(%)を示すものである。
【0016】また、上記のポリ乳酸系繊維は、JIS−L1902の統一試験法(定量法)による静菌活性値が、抗菌防臭に効果があるといわれる2.2以上である。静菌活性値とは、一定の菌数の検定菌を標準試料および対象試料に植菌し、一定時間培養後の標準試料の生菌数をB(cells/ml)、一定時間培養後の対象試料の生菌数をC(cells/ml)とした場合に(logB−logC)で表される。静菌活性値が2.2未満であると、菌の繁殖を抑えることができ難くなる。
【0017】ポリ乳酸系繊維は長繊維でも紡績糸でもよく、長繊維はなま糸、加工糸のいずれの状態でもよい。また、紡績糸の場合は、ポリ乳酸系繊維100%でも、後述の吸湿性を有する生分解性繊維との混紡でもよい。
【0018】次に、ポリ乳酸系繊維とともに本発明の抗菌性靴下を構成する吸湿性を有する生分解性繊維とは、生分解性を有する吸湿性が2%以上、好ましくは5%以上の繊維であり、具体的にはセルロース系繊維(木綿や麻、また、再生繊維としてパルプより得られるビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、溶剤紡糸されたレーヨンであるリヨセル等)、天然ゴム、タンパク質繊維(羊毛、絹)、脂肪族ポリエステルや、脂紡族/芳香族共重合ポリエステルに親水性のポリアルキレングリコールを配合したもの、アセテート等が代表として挙げられるが、これ以外であっても生分解性指数が70%以上の繊維であればよい。また、これらの生分解性繊維として、前述したものの2種類以上から構成されたものでもよい。これらの繊維は生分解度が優れており、ポリ乳酸繊維と任意の混率で混繊や混紡しても、靴下の生分解性指数は70%以上、好ましくは90%以上に達する。
【0019】しかし、本発明の抗菌性靴下は、静菌活性値が2.2以上、好ましくは3.0以上であることが必要であり、そのためには、ポリ乳酸系繊維と、前記吸湿性生分解性繊維との混合割合(質量比)を90/10〜30/70、特に60/40〜40/60とすることが好ましい。ポリ乳酸系繊維の割合が30質量%未満になると、本発明の目的とする抗菌効果が得られ難くなる。また、本発明の抗菌性靴下は、吸湿性が5%以上であることが好ましいが、吸湿性の生分解性繊維が10質量%未満になると、吸湿性がこの値より低下しやすいので好ましくない。
【0020】本発明の抗菌性靴下は、上記したポリ乳酸系繊維と吸湿性の生分解性繊維を混紡糸,別々の紡績糸、別々の長繊維糸、混繊した複合糸等とし,これらの糸条を用いて常法で編成して得られるものである。また、靴下の静菌活性値が2.2以上で生分解性指数が70%以上の物性を保持する範囲内であれば、ポリ乳酸系繊維と吸湿性の生分解性繊維以外の繊維を混用して靴下を形成してもよい。
【0021】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、抗菌性の評価、すなわち静菌活性値は、前述の方法により求めた。
(1) 融点(℃)
パーキンエルマ社製の示差走査熱量計DSC−7型を使用し、昇温速度を20℃/分として測定して得た融解吸熱曲線の極値を与える温度を融点(℃)とした。
(2) メルトフローレート(以下、MFRという。)(g/10分)
ASTMD1238に記載の方法に準じて、210℃、荷重2160gにおける溶融吐出量を測定した。
(3) 抗菌性能抗菌性能は、統一試験法(繊維製品衛生加工協議会認定の抗菌効果試験方法)により静菌活性値を測定し、抗菌性能を評価した。評価にあたっては、使用菌株として、Staphylococcus aureus ATCC 6538P(黄色葡萄状球菌)を用いた。すなわち、バイアル瓶に入れた減菌済試料0.4gに生菌数を1± 0.3×105 に調整した菌液0.2mlをできるだけ均一に接種し、37℃で18時間培養する。ツイン80を0.2%添加した生理食塩水20mlを加えて攪拌し、菌を洗い出す。10倍希釈系列を作成してニュートリエント寒天培地と混釈し、37℃で24時間以上培養してコロニー数を数え、生菌数を求めた。生菌活性値の計算としては、標準試料及び試験試料について、上記試験をそれぞれ行い、下式から生菌活性値を求めた。なお、標準試料としては、ナイロン標準白布を用いた。
静菌活性値=log B−log Cただし、B:標準試料の18時間培養後、回収した菌数C:試験試料の18時間培養後、回収した菌数。
(4) 生分解指数(JIS K 6953)
生分解指数は、次のようにして求めた。
■好気的コンポスト過程での生分解を二酸化炭素発生量で測定する。
■植種源:安定・熟成コンポスト■試験体:フイルム、成型品、粉体等。100g/600g−コンポスト■試験期間:プラトーに達するまで。最大6ヵ月。
■試験温度:58±2℃。
■分解度評価:二酸化炭素発生量■下記計算式を使用して、試験材料の生分解指数(生分解度百分率Dt)を、積算された二酸化炭素発生量から計算する。
Dt=〔(CO2) T − (CO2)B 〕×100 /ThCO2ただし、(CO2) T :それぞれのコンポスト容器から放出された積算二酸化炭素の総量(g/容量)
(CO2) B :空容器によって放出された平均積算した二酸化炭素量(g/容器)
ThCO2 :試験容器中の試験材料の理論上の二酸化炭素総量(g/容器)
(5) 比較用の物性値として、破裂強力(JIS−L−1018,1096)、平面摩耗強力(JIS−L−1018,1096ユニバーサル形法)と、ラローズ法(JIS−L−1907 5.3)による吸湿性の測定を実施した。ラローズ法は温度25℃、相対湿度60%の条件下で2時間調湿した吸水前のサンプルの重量をW1 を秤量した後、JIS−L−1907 5.3で規定された吸水率測定法によって1分後の吸水サンプルの重量W2 を測定し、下記式により吸水率Rを求める。
R(%)=〔(W2 −W1 )/W1 〕×100吸湿性については、最終品の絶乾重量(S0 )から、温度30℃、相対湿度90%の環境下で48時間放置した後の重量(S1 )への重量増加量により、下記式で吸湿率Mを求める。
M(%)=(S1 −S0 )×100/S0【0022】実施例1ポリ乳酸繊維を製造するために、光学純度が98.8%で融点が170℃、MFRが25g/10分のポリL−乳酸樹脂を溶融し、紡糸温度220℃、単孔吐出量0.31g/分の条件下で紡糸口金より溶融紡糸した。次に、紡出糸条を冷却装置にて冷却し、紡糸油剤を付与した後、引き取り速度800m/分で巻き取った。
【0023】次いで、得られた未延伸糸を、延伸トウ繊度が33万デシテックスとなるように合糸してトウとなし、周速の異なる公知の延伸機を用いて延伸温度120℃、延伸倍率2.51倍で延伸を行った後、クリンパーにて捲縮を付与し、分子量600のポリエチレングリコールモノオレートを20質量%含有した仕上げ油剤0.3質量%を付与した。その後、このトウを乾燥し、引き続き、51mmの長さに切断して、1.7デシテックスのポリ乳酸系短繊維を得た。得られたポリ乳酸系短繊維の単繊維強度は3.4CN/dtex、120℃×15分の雰囲気下における乾熱収縮率は4.2%であった。
【0024】一方、吸湿性を有する生分解性繊維として、平均繊度1.7デシテックス、平均繊維長24mm、吸湿率が8.5%の木綿の晒し綿を用意した。
【0025】次いで、上述のポリ乳酸系短繊維80質量%、木綿繊維20質量%となるように計量混綿し、通常の紡績工程にて精紡し、撚り数17.5回/インチ、30番手の紡績糸を得た。得られた30番手紡績糸を使用し、ダブルシリンダー靴下編機により靴下を作成した。
【0026】実施例2ポリ乳酸系繊維と木綿との混綿比率を50/50(質量%)に変更した以外は実施例1と同様にして混紡糸を得て、靴下を作成した。
【0027】実施例3ポリ乳酸系繊維と木綿との混綿比率を30/70(質量%)に変更した以外は実施例1と同様にして混紡糸を得て、靴下を作成した。
【0028】比較例1木綿の晒し綿のみで紡績糸とした以外は実施例1と同様にして混紡糸を得て、靴下を作成した。
【0029】比較例2比較例1と同様にして靴下を作成した。次に、下記処方1に示す処理液を用い、この靴下に抗菌防臭剤をピックアップ90%で浸漬、脱水を施し、70℃、15分で乾燥し、その後120℃、15分の熱処理を施し、抗菌防臭靴下を得た。
処方1 プロキセルIB(抗菌防臭剤) 40g/リットル (ゼネカ製)
スミテックスレジンM−3 30g/リットル (住友化学製)
スミテックスアクセラレーターACX 3g/リットル ( 〃 )
【0030】比較例3ポリエチレンテレフタレート(PET)紡糸時に、リン酸ジルコニウム酸化銀のノバロンAG1100(東亜合成社製)をPETに対して2質量%で練り込む以外は常法に従って1.5デシテックスに紡糸し、その後51mmにカットして抗菌防臭エステル綿を作成した。この綿を使用し、常法に従って紡績し、綿番手60’SのPET100%の抗菌防臭紡績糸を得て、実施例1と同様に靴下を作成した。
【0031】比較例4ポリ乳酸系繊維のみを用いて紡績糸にした以外は、実施例1と同様にして靴下を作成した。実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた靴下を用い、抗菌性能、生分解指数、各種強力、吸水、吸湿性の評価を行い、その結果を表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】表1から明らかなように、実施例1〜3の靴下は、いずれも静菌・抗菌性能に優れ、また生分解指数も70%以上であり、吸水、吸湿性や強力も問題がないレベルであった。
【0034】一方、木綿の晒し綿のみからなる比較例1の靴下は静菌・抗菌性能が悪く、比較例1の靴下に抗菌防臭剤を付与した比較例2の靴下は、静菌・抗菌性能は向上したものの、生分解性が低下した。また、PETに抗菌剤を練り混んだ繊維を使用した比較例3の靴下は、生分解性や吸水、吸湿性が悪く、ポリ乳酸系繊維のみからなる比較例4の靴下は、綿混糸を使用した実施例1〜3の靴下より吸水性、吸湿性が劣っていた。
【0035】
【発明の効果】本発明の靴下は、ポリ乳酸系繊維と吸湿性を有する生分解性繊維で構成されているため、ポリ乳酸系繊維に起因して人体に対して安全性が極めて高く、洗濯耐久性にも優れた静菌活性値が2.2以上の抗菌性があり、また、両成分とも生分解性であるため、生分解性指数も70%以上と優れており、さらに、吸湿性を有する生分解性繊維が存在するため、ポリ乳酸系繊維のみで構成された靴下より吸水性、吸湿性も格段に向上したものである。そして、本発明の靴下は、抗菌性を付与するための特別な加工が不要なので、抗菌剤で生分解性が低下したり、コストが高くなることもない。
【出願人】 【識別番号】399065497
【氏名又は名称】ユニチカファイバー株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区備後町四丁目1番3号
【出願日】 平成13年12月6日(2001.12.6)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−171807(P2003−171807A)
【公開日】 平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願番号】 特願2001−372906(P2001−372906)