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【発明の名称】 衣料製品
【発明者】 【氏名】富岡 貞雄
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町二丁目2番1号 東レ株式会社東京事業場内

【氏名】加藤 一夫
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町二丁目2番1号 東レ株式会社東京事業場内

【氏名】永井 道之
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町二丁目2番1号 東レ株式会社東京事業場内

【要約】 【課題】不織布を用いて製造コストを大幅に低減することを可能にした衣料製品を提供する。

【解決手段】筒状の胴部6を備えた衣料製品において、胴部6を周方向の一部で分割してなる1枚の布地パーツ1を熱可塑性樹脂繊維の不織布から形成し、布地パーツ1の分割箇所を互いに重ね合わせて接合する。筒状の胴部16と該胴部の左右に連結された筒状の袖部17を備えた衣料製品において、胴部16及び袖部17を共通の分割面で分割してなる2枚の布地パーツ11a,11bを熱可塑性樹脂繊維の不織布から形成し、布地パーツ11a,11bの分割箇所を互いに重ね合わせて接合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 筒状の胴部を備えた衣料製品において、前記胴部を周方向の一部で分割してなる1枚の布地パーツを熱可塑性樹脂繊維の不織布から形成し、前記布地パーツの分割箇所を互いに重ね合わせて接合したことを特徴とする衣料製品。
【請求項2】 筒状の胴部と該胴部の左右に連結された筒状の袖部を備えた衣料製品において、前記胴部及び前記袖部を共通の分割面で分割してなる2枚の布地パーツを熱可塑性樹脂繊維の不織布から形成し、前記布地パーツの分割箇所を互いに重ね合わせて接合したことを特徴とする衣料製品。
【請求項3】 前記布地パーツの分割箇所を互いに重ね合わせて熱融着により接合した請求項1又は請求項2に記載の衣料製品。
【請求項4】 前記不織布に伸縮性の凹凸加工が施されている請求項1〜3のいずれかに記載の衣料製品。
【請求項5】 前記凹凸加工が、プリーツ加工、皺加工又はエンボス加工である請求項4に記載の衣料製品。
【請求項6】 前記不織布が、スパンボンド法により得られたものである請求項1〜5のいずれかに記載の衣料製品。
【請求項7】 肌着として使用される請求項1〜6のいずれかに記載の衣料製品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不織布を用いた衣料製品に関し、さらに詳しくは、大幅なコストダウンを可能にした衣料製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン繊維などの熱可塑性樹脂繊維の不織布は、織物や編み物に比べて安価であるため、これを例えば外観の良悪があまり問題にされない肌着などに利用すれば安価な衣料製品を得ることができる。しかも、上記不織布は、加工時に生じる屑や端材を溶融処理などで糸やフィルムに再生することが容易であり、その衣料製品を焼却しても有害物質を殆ど生じることがないため、環境に対する負担が少ないという利点もある。
【0003】しかしながら、衣料製品においては材料コストのみならず縫製コストが掛かるため、上記のような不織布を用いても十分なコストダウンを図ることができず、これが不織布からなる衣料製品の実用化を妨げる要因の一つになっていた。
【0004】例えば、男性用ブリーフの場合、前合わせを形成するように2枚の前布を縫合した後、その前布に対して後布を両脇で縫合し、更にはゴム入れ、端末処理、股下合わせ縫いなどの多数の工程が必要である。また、半袖アンダーシャツの場合、前身ごろと後ろ身ごろとを縫い合わせて胴部を形成する一方で、袖部を筒状に縫合した後、その袖部を胴部に縫い付け、更には端末処理などの多数の工程が必要である。そのため、不織布の使用によるコストメリットを十分に活かすことができないのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、不織布を用いて製造コストを大幅に低減することを可能にした衣料製品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明の衣料製品は、筒状の胴部を備えた衣料製品において、前記胴部を周方向の一部で分割してなる1枚の布地パーツを熱可塑性樹脂繊維の不織布から形成し、前記布地パーツの分割箇所を互いに重ね合わせて接合したことを特徴とするものである。
【0007】また、上記目的を達成するための本発明の衣料製品は、筒状の胴部と該胴部の左右に連結された筒状の袖部を備えた衣料製品において、前記胴部及び前記袖部を共通の分割面で分割してなる2枚の布地パーツを熱可塑性樹脂繊維の不織布から形成し、前記布地パーツの分割箇所を互いに重ね合わせて接合したことを特徴とするものである。
【0008】このように熱可塑性樹脂繊維の不織布から布地パーツを形成すると共に、衣料製品における布地パーツの分割形状を工夫して接合すべき箇所を可及的に少なくすることにより、衣料製品の製造コストを大幅に低減することができる。
【0009】また、熱可塑性樹脂繊維の不織布は、加工時に生じる屑や端材を溶融処理などで糸やフィルムに再生することが容易であり、その繊維材質を適切に選択すれば衣料製品を焼却しても有害物質を殆ど生じることがないため、環境に対する負担を低減することができる。
【0010】本発明において、布地パーツの分割箇所は互いに重ね合わせて熱融着により接合することが好ましい。布地パーツの分割箇所を熱融着により接合することにより、従来の縫製工程を必要とする衣料製品に比べて製造コストを大幅に低減することができる。
【0011】また、布地パーツを構成する不織布には伸縮性の凹凸加工が施されていることが好ましい。不織布に伸縮性の凹凸加工を施すことにより、一般に伸縮性を持たない不織布の欠点を克服し、所望の衣料製品を構成することが可能になる。特に肌着を構成した場合には着心地を改善することができ、しかも凹凸加工を施した不織布が肌に点接触するため、感触を柔らかくし、発汗による肌へのべとつきを無くすことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において、衣料製品は特に限定されるものではないが、主としてブリーフ、パンティ、シャツ、キャミソールなどの肌着への適用が好適である。これら衣料製品は熱可塑性樹脂繊維の不織布からなる少なくとも1枚の布地パーツ(型片)を適宜接合して構成されるものである。
【0013】不織布の形成方法は、特に限定されるものではなく、スパンボンド法、メルトブロー法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法などから選択することができる。特に、スパンボンド法は衣料用に適した薄地の不織布を形成しやすく、かつコスト面で有利である。
【0014】熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどを使用することができる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはこれらにアジピン酸、イソフタル酸、イソフタル酸スルホネートおよびポリエチレングリコールなどの第三成分を共重合した共重合ポリエステルなどを挙げることができる。ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12およびこれら各ナイロン構成成分の組み合わせからなる共重合ポリアミドなどを挙げることができる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。
【0015】これらの熱可塑性樹脂には、もちろん必要により耐熱剤、耐候剤、耐光剤、酸化防止剤、帯電防止剤、平滑剤、染料および顔料などの通常の添加剤成分を任意に含有させることができる。
【0016】上述した繊維材料であれば、不織布の加工時に生じる屑や端材の再利用が容易であり、その衣料製品を焼却しても有害物質を殆ど生じることがないため、環境に対する負担を低減することができる。
【0017】本発明では、熱可塑性樹脂の繊維からなる不織布を裁断などにより所定の形状に加工し、衣料製品を構成するための布地パーツを形成する。ランニングシャツやブリーフのように筒状の胴部を備えた衣料製品の場合、胴部を周方向の一部で分割してなる1枚の布地パーツとする。半袖アンダーシャツのように筒状の胴部と該胴部の左右に連結された筒状の袖部を備えた衣料製品の場合、胴部及び袖部を共通の分割面で分割してなる2枚の布地パーツとする。
【0018】伸縮性の凹凸加工としては、プリーツ加工、皺加工、エンボス加工などの凹凸加工があり、特にプリーツ加工が好ましい。凹凸加工は裁断前の不織布に施しても良く、或いは裁断後の布地パーツに施しても良い。この凹凸加工により、通常の織物や編み物と同様に伸縮自在な衣料製品を提供することが可能になる。
【0019】布地パーツの分割箇所を互いに重ね合わせて接合するに際し、接合すべき箇所は任意の手段で接合すれば良い。例えば、布地パーツの接合すべき箇所を熱融着によって接合しても良く、或いは縫合しても良い。特に、熱可塑性樹脂繊維の不織布からなる布地パーツの接合すべき箇所を熱融着し、無縫合の衣料製品を構成した場合、従来の縫製工程を必要とする衣料製品に比べて製造コストを大幅に低減することができる。その結果、安価で使い捨て可能な衣料製品を提供することも可能になる。
【0020】熱融着の方法は、特に限定されるものではなく、ヒートプレスを用いた熱融着のほか、超音波や高周波を利用した熱融着などが可能である。いずれの場合も、熱可塑性樹脂の融着により布地パーツを接合するものであれば良い。
【0021】図1(a),(b)は本発明の衣料製品であるランニングシャツの製造工程を例示するものである。このランニングシャツは、図1(a)に示す1枚の布地パーツ1(前身ごろと後身ごろに相当)を折り重ね、その側部2及び左右の肩部3,3を図1(b)に示す斜線部の位置で熱融着し、それを反転させたものである。つまり、筒状の胴部6を備えたランニングシャツにおいて、胴部6を周方向の一部で分割してなる1枚の布地パーツ1を用い、その布地パーツ1の分割箇所を互いに重ね合わせて熱融着するのである。この場合、斜線部で示す3箇所を同時に熱融着することができる。
【0022】図2及び図3に示すように、布地パーツ1にはプリーツ加工が施されている。このプリーツ加工は、布地を波状に変形させ、その波紋4(プリーツ)と交差する方向に延長する多数の熱加工部5を形成することで、その形状を維持するようにしたものである。これにより、衣服の幅方向への伸縮を可能にしている。
【0023】図4(a),(b)は本発明の衣料製品である半袖アンダーシャツの製造工程を例示するものである。この半袖アンダーシャツは、図4(a)に示す2枚の布地パーツ11a(前身ごろに相当),11b(後身ごろに相当)を重ね合わせ、その左右の側部12,12及び左右の肩部13,13を図4(b)に示す斜線部の位置で熱融着し、それを反転させたものである。つまり、筒状の胴部16と該胴部16の左右に連結された筒状の袖部17,17を備えた半袖アンダーシャツにおいて、胴部16及び袖部17,17を共通の分割面で分割してなる2枚の布地パーツ11a,11bを用い、これら布地パーツ11a,11bの分割箇所を互いに重ね合わせて熱融着するのである。この場合、斜線部で示す4箇所を同時に熱融着することができる。なお、布地パーツ11a,11bは上記と同様のプリーツ加工(不図示)を施したものである。
【0024】図5(a)〜(c)は本発明の衣料製品である男性用ブリーフの製造工程を例示するものである。この男性用ブリーフは、図5(a)に示す1枚の布地パーツ21(前布と後布に相当)を前合わせを形成するように重ね合わせ、その前合わせ28を図5(b)に示す斜線部の位置で熱融着し、次いで股下29を図5(c)に示す斜線部の位置で熱融着し、更にゴムを巻き込んだウェスト30を斜線部の位置で熱融着したものである。つまり、筒状の胴部26を備えた男性用ブリーフにおいて、胴部26を周方向の一部で分割してなる1枚の布地パーツ21を用い、その布地パーツ21の分割箇所を互いに重ね合わせて熱融着するのである。なお、布地パーツ21は上記と同様のプリーツ加工(不図示)を施したものである。
【0025】上述した各種衣料製品は、材料として不織布を用いると共に、布地パーツの分割形状を工夫することで接合すべき箇所を可及的に少なくし、更には縫合工程を経ずに熱融着で接合すべき箇所を接合しているため、大幅なコストダウンが可能である。また、衣服の幅方向に伸縮するため着脱が容易であり、しかも着衣した状態では身体に対して良好にフィットする。更に、プリーツ加工を施した不織布は肌に点接触するため肌触りが良く、肌着としての着心地が改善されるという利点もある。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、熱可塑性樹脂繊維の不織布から布地パーツを形成すると共に、衣料製品における布地パーツの分割形状を工夫して接合すべき箇所を可及的に少なくするから、衣料製品の製造コストを大幅に低減することができる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
【出願日】 平成13年11月13日(2001.11.13)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開2003−147606(P2003−147606A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−347072(P2001−347072)