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【発明の名称】 果汁感向上剤、それを含有する果汁含有飲食品及び該果汁含有飲食品の製造方法
【発明者】 【氏名】藤本 佳則

【氏名】大石 真奈美

【氏名】住吉 秀幸

【氏名】渡邉 純未

【氏名】海野 剛裕

【氏名】山本 幹男

【要約】 【課題】果汁を含有する飲食品に添加することにより、飲食品の味や色を損うことなく、果汁のフルーツ感、フレッシュ感及びジューシーさを向上することのできる果汁感向上剤、及び果汁感に優れた果汁含有飲食品を提供する。

【解決手段】内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるグルカンを有効成分として含有させることにより、果汁感向上剤を得る。そして、果汁含有飲食品の原料中に、該果汁感向上剤を添加して、果汁含有飲食品を得る。前記果汁含有飲食品は、前記グルカンを0.01〜10質量%含有することが好ましい。また、前記果汁含有飲食品は、果汁、濃縮還元果汁及びそれらを含有する飲料類、菓子類、乳製品類、シラップ類から選ばれた1種であることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50以上であるグルカンを有効成分として含有することを特徴とする果汁含有飲食品の果汁感向上剤。
【請求項2】 内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50以上であるグルカンを含有することを特徴とする果汁含有飲食品。
【請求項3】 前記グルカンを0.01〜10質量%含有する、請求項2に記載の果汁含有飲食品。
【請求項4】 前記果汁含有飲食品は、果汁、濃縮還元果汁及びそれらを含有する飲料類、菓子類、乳製品類、シラップ類から選ばれた1種である、請求項3に記載の果汁含有飲食品。
【請求項5】 果汁含有飲食品の原料に、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50以上であるグルカンとを添加することを特徴とする果汁含有飲食品の製造方法。
【請求項6】 果汁含有飲食品の原料中に、前記グルカンを0.01〜10質量%添加する、請求項5に記載の果汁含有飲食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、果汁を含有する飲食品に添加することにより、果汁のフルーツ感、フレッシュ感及びジューシーさを向上することのできる果汁感向上剤、及び果汁感に優れた果汁含有飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、飲食品にはその嗜好性を高めるために様々な果汁が用いられている。また、近年の消費者の天然志向や本物志向のニーズに応えるため、果汁を含有する飲食品のフルーツ感、フレッシュ感及びジューシーさ等を増強させる様々な方法が提案されている。
【0003】例えば、特開平2000−135062号公報には、スクラロースを有効成分とするフルーツ感又はフレッシュ感の向上剤が開示されている。
【0004】特開平11−146766号公報には、紫さつまいも色素を含有することを特徴とする飲食品用香味増強・改善剤が開示されている。
【0005】特開平10−219272号公報には、2R,4S-トランス-(+)-カルベオールからなる香質改善剤が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公報に開示された方法は、果汁感の向上という点では充分満足できるものではなかった。また、スクラロースや紫さつまいも色素は、飲食品に過度の甘味や着色が生じてしまうという問題もあった。
【0007】したがって、本発明の目的は、果汁を含有する飲食品に添加することにより、飲食品の味や色を損うことなく、果汁のフルーツ感、フレッシュ感及びジューシーさを向上することのできる果汁感向上剤、及び果汁感に優れた果汁含有飲食品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、意外にも内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50以上であるグルカンを適量含有させることによって、果汁を含有する飲食品の味や色を損なうことなく、果汁感を向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】すなわち、本発明の第1は、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50以上であるグルカンを有効成分として含有することを特徴とする果汁含有飲食品の果汁感向上剤である。
【0010】上記第1の発明によれば、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50以上であるグルカンを有効成分として含有させることにより、飲食品の味や色を損なうことなく、果汁のフルーツ感、フレッシュ感及びジューシーさを向上することのできる果汁感向上剤を提供できる。
【0011】本発明の第2は、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50以上であるグルカンを含有することを特徴とする果汁含有飲食品である。
【0012】上記第2の発明においては、前記グルカンを0.01〜10質量%含有することが好ましい。
【0013】また、前記果汁含有飲食品は、果汁、濃縮還元果汁及びそれらを含有する飲料類、菓子類、乳製品類、シラップ類から選ばれた1種であることが好ましい。
【0014】上記第2の発明によれば、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50以上であるグルカンを含有させることにより、飲食品の味や色を損なうことなく、果汁のフルーツ感、フレッシュ感及びジューシーさを向上することができ、果汁感に優れた果汁含有飲食品を提供できる。
【0015】本発明の第3は、果汁含有飲食品の原料に、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50以上であるグルカンを添加することを特徴とする果汁含有飲食品の製造方法である。
【0016】上記第3の発明においては、果汁含有飲食品の原料中に、前記グルカンを0.01〜10質量%添加することが好ましい。
【0017】上記第3の発明によれば、果汁含有飲食品の原料中に、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50以上であるグルカンを添加することにより、飲食品の味や色を損なうことなく、果汁感に優れた果汁含有飲食品を得ることができる。
【0018】
【発明の実施形態】本発明の果汁含有飲食品の果汁感向上剤の有効成分であるグルカンは、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50以上であるものである(以下、このようなグルカンを高度分岐環状デキストリンという。)。なお、上記内分岐環状構造部分とは、複数個のグルコースがα−1,4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで形成される環状構造部分を意味し、上記外分岐構造部分とは、この内分岐環状構造部分に結合した複数個のグルコースからなる非環状構造部分を意味する。
【0019】すなわち、本発明で用いられる高度分岐環状デキストリンとは、少なくとも一つのα−1,6−グルコシド結合を有する環状グルカン(内分岐環状構造部分)に、枝状のグルカン(外分岐構造部分)が、α−1,4−又はα−1,6−グルコシド結合を介して連結したものであって、全体の重合度が50以上のものを意味する。このようなグルカンは、α−1,4−グルコシド結合及びα−1,6−グルコシド結合を有する糖質に、糖転移酵素を作用させることで得ることができ、還元末端がきわめて少なくDE値は1以下である(特開平8−134104号公報参照)。具体的には、例えば、澱粉にD酵素、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、枝作り酵素、枝切り酵素の1種以上の酵素を作用させることにより得ることができる。
【0020】高度分岐環状デキストリンは、従来からあるデキストリンと異なり、還元末端をほとんど持たないので冷蔵、保存中に老化するようなことがほとんどない。そのため、果汁含有飲食品に添加しても冷蔵・保存中に老化して沈殿することや浮遊物を生じることがないという利点を有している。
【0021】本発明の果汁感向上剤は、高度分岐環状デキストリンを0.01質量%以上含むことが好ましく、0.05質量%以上含むことがより好ましい。
【0022】また、本発明の果汁感向上剤は、高度分岐環状デキストリンの他に、各種(α、β、分岐)シクロデキストリン、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、マルトデキストリン、デキストリン、プルラン、デンプン、セルロース、ヘミセルロース、アラビノキシラン、ペクチン、アガロース、キトサン、ムコ多糖等を適宜含むことができる。これらの各成分は、高度分岐環状デキストリンの果汁感向上効果を妨害することなく、その効果を官能的に補助したり、味のバランスを整えるために有効である。例えば、果汁感向上剤におけるシクロデキストリンの配合量は0.001〜2質量%が好ましく、0.01〜0.7質量%がより好ましい。シクロデキストリンの配合量が多過ぎると、好ましい香気や風味までも低減してしまう場合がある。また、ゲンチオオリゴ糖又はニゲロオリゴ糖の配合量は0.001〜20質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。ゲンチオオリゴ糖又はニゲロオリゴ糖の配合量が多過ぎると、不要な甘味や苦味、ボディ感を与えるため好ましくない。
【0023】本発明の果汁感向上剤の製品形態は特に制限はなく、使用する飲食品に合わせて、粉末、顆粒、シロップ等の任意の形態が採用できる。
【0024】本発明において、果汁含有飲食品としては、果汁、濃縮還元果汁及びそれらを含有する飲料類、菓子類、乳製品類、シラップ類、漬物類、その他加工食品類やインスタント食品類等が挙げられる。なお、本発明において、果汁とは、果実を搾汁して得られるいわゆる天然果汁(ストレート果汁)をいい、濃縮還元果汁とは、果実の搾汁を一旦濃縮したものに水等を加えて元の状態に戻したものをいう。例えば、果汁又は濃縮還元果汁としては、いよかん、うんしゅうみかん、きんかん、くねんぼ、すだち、だいだい、さんぼうかん、なつみかん、はっさく、ひゅうがなつみかん、ぶんたん、ぽんかん、ゆず、かぼす、オレンジ、ライム、レモン、グレープフルーツ、シィークァーサー、タンゴール、タンゼロ、すもも、杏、桃、梅、ソルダム、プルーン、梨、さくらんぼ、りんご、かりん、びわ、ぶどう、まくわうり、ぐみ、柿、ざくろ、いちじく、すいか、洋ナシ、アボガド、オリーブ、アセロラ、キウィーフルーツ、グァバ、ココナッツ、なつめやし、パイナップル、パッションフルーツ、マンゴー、バナナ、パパイア、ドリアン、ライチ、メロン、りゅうがん、マロン、いちご、ブルーベリー、ラズベリー、グズベリー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】また、果汁又は濃縮還元果汁を含有する飲食品としては、果汁入り清涼飲料、果汁入り炭酸飲料、果汁入り乳飲料、果汁入り混合飲料、果汁入りアルコール飲料等の飲料類、フルーツケーキ、ゼリー、ムース、キャンディー、グミ、キャラメル、ガム、クッキー、和菓子等の菓子類、ヨーグルト、アイスクリーム等の乳製品類、ジャム、フルーツシラップ等のシラップ類等が例示できる。
【0026】本発明の果汁感向上剤は、上記のような果汁含有飲食品に適量配合することにより、飲食品の好ましい味や色を損なうことなく、果汁の香気及び味質、すなわち、果汁のフルーツ感、フレッシュ感及びジューシーさを向上することができる。
【0027】果汁含有飲食品における本発明の果汁感向上剤の添加量は、飲食品の種類や果汁の含有量等によって変わるため、一概に決定することはできないが、例えば、果汁や濃縮還元果汁に添加する場合は、通常、高度分岐環状デキストリン換算で0.05〜20質量%となるように添加することが好ましく、0.1〜10質量%となるように添加することがより好ましい。
【0028】また、上記果汁又は濃縮還元果汁を含有する飲料類に添加する場合は、通常、高度分岐環状デキストリン換算で0.01〜10質量%となるように添加することが好ましく、0.05〜5質量%となるように添加することがより好ましい。
【0029】また、上記果汁や濃縮還元果汁を含有する菓子類、乳製品類、シラップ類に添加する場合は、上記果汁や濃縮還元果汁における果汁感向上剤の添加量に基いて適宜添加量を調整すればよい。
【0030】なお、シクロデキストリンを併用する場合は、果汁含有飲食品中に、好ましくは0.001〜2質量%、より好ましくは0.01〜0.7質量%となるように添加することが好ましい。また、ゲンチオオリゴ糖又はニゲロオリゴ糖を併用する場合は、果汁含有飲食品中に、0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜5質量%となるように添加することが好ましい。
【0031】本発明の果汁感向上剤の飲食品への添加方法は、各飲食品の製造工程の実状に適した添加方法を採用することができ、特に限定されるものではなく、例えば、果汁感向上剤を、飲食品の原料と一緒に最初から添加してもよく、飲食品の製造工程中、あるいは飲食品の加工終了時に添加してもよい。また、果汁を含有する原料に予め所定量の果汁感向上剤を添加しておき、これを用いてもよい。
【0032】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例の内容により技術的範囲が限定されるものではない。なお、以下の例において、高度分岐環状デキストリンとしては、商品名「クラスター デキストリン」(日本食品化工(株)製)、果糖ぶどう糖液糖としては、商品名「フジフラクトH−100」(日本食品化工(株)製)、異性化糖としては、商品名「F−100」(日本食品化工(株)製)、環状デキストリンとしては、商品名「セルデックスB−100」(日本食品化工(株)製)を用いた。
【0033】実施例1、比較例1、2市販の100%果汁飲料(オレンジ、グレープ、グレープフルーツ、アップル)に、高度分岐環状デキストリン(実施例1)、果糖ぶどう糖液糖(比較例1)、砂糖(比較例2)を1質量部添加してサンプルを調製し、無添加のサンプルを対照とした。
【0034】そして、各サンプルを用いて10名のパネラーによる果汁感の強さについて官能評価を行った。その結果を表1に示す。なお、表1中、++:対照に比べて果汁感が非常に強い、+:対照に比べて果汁感が強い、−:対照に比べて果汁感が弱い、を表す。
【0035】
【表1】

【0036】表1から、高度分岐環状デキストリンを添加した実施例1の果汁飲料が最も果汁感が強いことが分かる。
【0037】実施例2表2に示す処方により、常法に従って各原料を均一に混合、溶解した後、缶に充填して95℃で2分間加熱殺菌を行ない、急冷してレモン果汁入り飲料を作った。なお、高度分岐環状デキストリン無添加のものを同様にして調製して対照サンプルとした。
【0038】
【表2】

【0039】各サンプルを用いて10名のパネラーによる果汁感の強さについて官能評価を行い、果汁感の強い方を選択してもらったところ、7名のパネラーが高度分岐環状デキストリンを添加した実施例2の方が果汁感が強いと評価した。
【0040】実施例3表3に示す処方により、常法に従って各原料を均一に混合、溶解した後、型に入れて冷してグレープフルーツゼリーを作った。なお、高度分岐環状デキストリン無添加のものを同様にして調製して対照サンプルとした。
【0041】
【表3】

【0042】各サンプルを用いて10名のパネラーによる果汁感の強さについて官能評価を行い、果汁感の強い方を選択してもらったところ、8名のパネラーが高度分岐環状デキストリンを添加した実施例3の方が果汁感が強いと評価した。
【0043】実施例4バナナ100質量部、卵黄30質量部、牛乳120質量部、蜂蜜5質量部、異性化糖8質量部、高度分岐環状デキストリン2質量部を加え、ジューサーミキサーにて均一になるまで撹拌してバナナセーキを作った。また、高度分岐環状デキストリン無添加のものを同様にして調製して対照サンプルとした。
【0044】各サンプルを用いて10名のパネラーによるバナナの果汁感の強さについて官能評価を行なったところ、8名のパネラーが高度分岐環状デキストリンを添加した実施例4の方がバナナの果汁感が強いと評価した。
【0045】実施例5ライチ30質量部、ライム20質量部、果糖ぶどう糖液糖10質量部、高度分岐環状デキストリン0.5質量部、酸味料1質量部をジューサーミキサーにて均一になるまで撹拌し、ウォッカ25質量部、炭酸水50質量部を加えてカクテルを作った。このカクテルは果汁感が強く、非常に美味しいものであった。
【0046】実施例6イチゴ100質量部、ライム30質量部、豆乳180質量部、砂糖8質量部、高度分岐環状デキストリン1.5質量部を加え、ジューサーミキサーにて均一になるまで撹拌してフルーツ豆乳を作った。このフルーツ豆乳は、果汁感が強く、非常に美味しいものであった。
【0047】実施例7無調整牛乳200質量部に環状デキストリン1.5質量部を加え、ホモミキサー6000rpmにて5分間撹拌し均一に溶解した後、市販のプレーンヨーグルト5質量部を加えて、均一に撹拌してから37℃にて乳酸発酵を行なった。得られたプレーンヨーグルトに、すりおろしたリンゴ30質量部、蜂蜜20質量部、クエン酸0.5質量部、アスコルビン酸0.5質量部を加え、良く撹拌してヨーグルトを作った。このヨーグルトは、リンゴの果汁感に優れ、また、ミルク、蜂蜜の風味が豊かで、クリーミーな食感を有していた。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、高度分岐環状デキストリンを有効成分として含有させることにより、飲食品の好ましい味や色を損なうことなく、果汁感を向上することのできる果汁含有飲食品の果汁感向上剤を提供できる。そして、この果汁感向上剤を果汁含有飲食品に所定量添加することにより、果汁感に優れた美味しい飲食品を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000231453
【氏名又は名称】日本食品化工株式会社
【出願日】 平成14年4月3日(2002.4.3)
【代理人】 【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
【公開番号】 特開2003−289836(P2003−289836A)
【公開日】 平成15年10月14日(2003.10.14)
【出願番号】 特願2002−101152(P2002−101152)