| 【発明の名称】 |
容器入り焙煎飲料の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】五領田 俊雄
【氏名】水上 裕紀子
【氏名】野澤 英一
【氏名】長田 祐子
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| 【要約】 |
【課題】原料を焙煎した後抽出等により飲料液を得る型の飲料において、品質の良い飲料の製造方法を提供する。
【解決手段】焙煎飲料の原料を焙煎した後容器に充填密封するまでの工程を無菌雰囲気下で行い、焙煎した原料の抽出または焙煎した原料の懸濁液調製を無菌水で行うとともに、該工程の少なくとも一部において該無菌雰囲気として無菌不活性ガス雰囲気を使用する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】焙煎飲料の原料を焙煎した後、容器に充填密封するまでの工程を無菌雰囲気下で行い、焙煎した原料の抽出または焙煎した原料の懸濁液調製を無菌水で行うとともに、該工程の少なくとも一部において該無菌雰囲気として無菌不活性ガス雰囲気を使用することを特徴とする容器入り焙煎飲料の製造方法。 【請求項2】該焙煎原料の抽出または該焙煎した原料の懸濁液調製を脱酸素した無菌水で行うことを特徴とする請求項1記載の容器入り焙煎飲料の製造方法。 【請求項3】該焙煎飲料はコーヒー飲料であることを特徴とする請求項1または2記載の容器入り焙煎飲料の製造方法。 【請求項4】該焙煎飲料はココア飲料であることを特徴とする請求項1または2記載の容器入り焙煎飲料の製造方法。 【請求項5】該焙煎飲料は麦茶飲料であることを特徴とする請求項1または2記載の容器入り焙煎飲料の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、コーヒー飲料、ココア飲料、麦茶飲料等の原料を焙煎した後、抽出または加水により飲料液を得て充填、密封する容器入り焙煎飲料の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、容器入り飲料の酸化防止のため種々の方法が使用され、提案されている。焙煎飲料の酸化防止については、たとえば特開昭51−57863号公報において、コーヒー粉末の抽出、濾過、充填、密封の全工程を不活性ガスの加圧下で行うことが提案され、また特開平9−262055号公報において、空の容器の内部を実質的に酸素のない状態にしておき、これに不活性ガスの存在下ないし脱酸素状態で製造したコーヒーを充填するることにより、原料から充填密封までの全工程を脱酸素状態にした容器入りコーヒーの製造方法が開示されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】これら従来の容器入り焙煎飲料の酸化防止方法は、焙煎原料の抽出から容器への充填密封までの全工程を脱酸素状態で行うので酸化による飲料の品質劣化を防止する効果はあるが、いずれの方法においても飲料を容器に充填密封した後レトルト処理(120〜125℃、30〜40分)により加熱殺菌しなければならず、この加熱による飲料の品質劣化が生じ、煎りたてのコーヒーの香りと味が得られないという欠点を免れないことから、さらに品質の良い焙煎飲料の製造方法の開発が要望されている。 【0004】 【課題を解決する手段】本発明者等は、上記本発明の目的を達成するため研究と実験を重ねた結果、コーヒー飲料、ココア飲料、麦茶飲料等の製造においては、原料となるコーヒー豆、ココア豆、麦等の焙煎工程において200℃前後に加熱されるため、この時点でこれらの原料は無菌状態であることに着目し、焙煎後の工程を無菌雰囲気下で行い、焙煎した原料の抽出または焙煎した原料の懸濁液調整を無菌水で行うとともに、該工程の少なくとも一部(好ましくは全工程)において無菌雰囲気として無菌不活性ガス雰囲気を使用することにより、酸化による品質劣化が防止されるとともに、焙煎後容器入り焙煎飲料製品の完成に至る工程において内容物を殺菌するためのレトルト処理等の加熱処理を一切必要としないので、加熱による品質劣化も防止され、高品質の焙煎飲料を製造できることを見出して本発明に到達した。 【0005】すなわち、本発明の目的を達成する容器入り焙煎飲料の製造方法は、焙煎飲料の原料を焙煎した後、容器に充填密封するまでの工程を無菌雰囲気下で行い、焙煎した原料の抽出または焙煎した原料の懸濁液調製を無菌水で行うとともに、該工程の少なくとも一部において該無菌雰囲気として無菌不活性ガス雰囲気を使用することを特徴とするものである。 【0006】本発明の一側面においては、該焙煎原料の抽出または該焙煎した原料の懸濁液調製を脱酸素した無菌水で行うことを特徴とする。 【0007】 【作用】本発明によれば、原料は焙煎により無菌状態となり、その後の工程を無菌雰囲気下で行い、抽出または懸濁液調製を無菌水で行うとともに、該工程の少なくとも一部において無菌雰囲気として無菌不活性ガス雰囲気を使用することにより、酸化による品質劣化と加熱による品質劣化がともに防止され、高品質の焙煎飲料を製造することができる。 【0008】また、焙煎原料の抽出または焙煎した原料の懸濁液調製を脱酸素した無菌水で行うことにより、飲料の酸化を一層防止することができる。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明はコーヒー飲料、ココア飲料、麦茶飲料等の原料であるコーヒー豆、ココア豆、麦等を焙煎し、焙煎後の原料から飲料液を抽出しまたは焙煎後の原料から懸濁液を調製する型の容器入り飲料の製造に適用される。コーヒー飲料については、ブラックコーヒー飲料のほかミルク入りコーヒー飲料および加糖コーヒー飲料についても、UHT牛乳やロングライフ牛乳、濾過除菌等により無菌処理済みの糖液等の無菌化甘味料を用いることにより本発明を適用することができる。 【0010】焙煎の条件は使用する原料により異なるが、コーヒー豆の場合は200〜210℃で10分〜15分程度加熱されている。これは食品等に対する一般的な乾燥熱滅菌処理時の加熱条件を大きく上回っており、コーヒー豆は実質的に完全な無菌状態になっている。他の原料についても同様のことが言える。 【0011】焙煎後の原料は無菌状態を保持したまま無菌的に次工程に搬送される。場合によっては、無菌処理済みの容器に無菌的に包装した上で次工程に移り、次工程において無菌的に開封することも可能である。 【0012】原料の粉砕等、焙煎後の容器入り飲料製造の工程はすべて無菌的に行われる。すなわち、無菌的に処理できる粉砕機、無菌的に抽出できる抽出装置等を用いた各工程は、すべてクリーンルーム内等の無菌雰囲気下で行われる。焙煎後に原料を冷却する工程においては、冷却工程に使用する冷風は、例えば空気を二重のHEPAフィルターにより濾過する等の処理により無菌化したものを用いる。原料の粉砕、抽出等に使用する装置は加熱処理(湿熱、乾熱)またはガス滅菌等一般的に知られる手段を適用して、必要な初期滅菌が達成される条件で処理される。こうして初期滅菌を行った装置を使用して、無菌状態にある焙煎済み原料を無菌水で抽出して抽出液を調製し、または焙煎済み原料に加水して懸濁液を調製し、最終的に無菌状態の飲料液を得る。抽出または加水に用いる水は、熱交換機等による加熱殺菌、紫外線水殺菌装置による殺菌、濾過除菌等により無菌処理する。また、砂糖、ミルク、あるいは香料等の飲料に添加される副原料についても加熱処理や濾過除菌等により予め無菌化しておく。 【0013】無菌雰囲気下で原料を無菌水により抽出または加水して得た飲料液は、いずれも無菌化したペットボトル、金属缶、パウチ、紙パック、プラスチックカップ等の包装容器に無菌的に充填密封し製品とする。無菌的に充填密封するために使用される装置としては、一般的な包装容器用無菌充填装置を広く使用することができる。 【0014】焙煎後の工程において空気による原料および飲料液の酸化を防止するために、無菌雰囲気として、原料および飲料液が処理される各装置には無菌化した不活性ガスを導入し空気を置換して無菌不活性ガス雰囲気を形成する。不活性ガスとしては窒素ガスが代表的なものであり商業的にも容易に入手できるので、以下に述べる実施形態においては窒素ガスを使用するものとして説明する。 【0015】窒素ガスは、たとえば、蒸気滅菌したカートリッジ・フィルターを通して無菌化することができる。酸化防止のためには、焙煎後のすべての工程において無菌雰囲気として無菌窒素ガス雰囲気を形成することが好ましいが、焙煎原料の種類により完全な酸化防止が必ずしも必要でない場合は、焙煎後の工程の一部において無菌窒素ガスを使用することを省略して無菌空気により無菌雰囲気を形成するようにしてもよい。 【0016】なお、焙煎工程では窒素ガス置換を行わないが、その理由は、窒素ガス雰囲気下で焙煎を行うと、空気中の焙煎とは異質な味と香りに変化し好ましくないからである。また、前記のように冷却工程においては、無菌化窒素を使用せず、無菌化した空気の冷風を使用しているが、これはコーヒー豆等原料の表面積が少なく、窒素置換による有意な酸化防止効果が認められないからである。 【0017】原料の抽出、懸濁液調製および飲料液の希釈に使用する水は上記のとおり使用前に無菌化されるが、無菌化の前に酸化防止のために脱酸素水製造装置により溶存酸素を低減させておくことが望ましい。また、使用水の通過する配管や希釈、混合が行われるタンクのヘッドスペースにはすべて無菌化窒素を満たしておくことが望ましい。 【0018】飲料液の容器への充填の際には、充填ノズルから容器の間の空間と容器の内部を無菌化窒素ガスで満たしておくことが望ましい。 【0019】容器入りコーヒー飲料の製造工程は、コーヒー豆の焙煎、チャフ(薄皮)除去、冷却、粉砕、粉からの抽出、抽出後の希釈、容器への充填、密封を主幹とする。これらの工程中、焙煎とチャフ除去および冷却を除く全工程を無菌窒素ガス雰囲気下で行うことが好ましい。 【0020】容器入りココア飲料の場合は、焙煎したココア豆は粉砕後抽出せずに加水して懸濁液を調製する点でコーヒー飲料と異なり、抽出工程の代りに懸濁液調製工程が入るが、焙煎、チャフ除去、冷却を除く全工程を無菌窒素ガス雰囲気下で行うことが望ましいことはコーヒー飲料と同様である。 【0021】容器入り麦茶飲料の場合は、焙煎した麦は粉砕せずに抽出する点でコーヒー飲料と異なるが、同様に焙煎、冷却を除く全工程を無菌窒素ガス雰囲気下で行うことが望ましい。 【0022】 【実施例】焙煎飲料の代表的なものとして、容器入りコーヒーの製造方法の1実施例につき説明する。 【0023】〔工程の概略〕容器入りコーヒーの製造工程は第1図に示すように、グリーン豆の焙煎、チャフ除去、冷却、粉砕、粉からの抽出、抽出液の希釈、充填、密封を主幹にする。抽出工程と希釈工程に用いる温水は、上水のイオン交換工程と滅菌工程を経て、無菌にしたものを用いた。また、冷却工程に使用する冷風は空気を二重のHEPAフィルターにより濾過して無菌にしたものを用いた。また、粉砕、抽出から密封工程までの全工程を無菌窒素ガス雰囲気下で行ない、これに使用する窒素ガスは予め水蒸気滅菌されたカートリッジ・フィルターを通して無菌化したものを用いた。 【0024】〔無菌低酸素濃度環境の形成〕粉砕装置には、蒸気滅菌したカートリッジ・フィルターを通して無菌にした窒素ガスを導入し、粉砕中の豆または粉の酸化を防止した。焙煎し、チャフ除去したコーヒー豆は粉砕工程から、無菌窒素ガス置換による低酸素濃度環境下で処理した。抽出機に導入されたコーヒー粉はその空隙を既に、無菌窒素ガスにより置換されているが、粉が投入される前に、抽出カラムが空の時に、無菌窒素で空気を追い出す工程を挿入した。一方、抽出に用いる水は、熱交換機や紫外線水殺菌装置により無菌化されていたが、無菌維持のために、密閉環境で殺菌処理した。このため、130℃を越える温度で加熱殺菌されたが溶存酸素は除去されない。そこで抽出水は殺菌される前に、脱酸素水製造装置により、溶存酸素を低下させたものを用いることにより、抽出液の低酸素濃度を実現した。抽出液の通る配管や希釈・混合が行われるタンクのヘッドスペースの全ては無菌窒素により満たした。また、本実施例においては、プラスチック製のカップ形状容器に充填したが、そのノズルからカップの間の空間とカップの内部も予め無菌窒素ガス置換を行った。 【0025】〔初期滅菌〕容器入りコーヒーの製造を始める前に、焙煎から容器充填までの各処理装置と処理装置間の移送装置の初期滅菌を行った。初期滅菌の方法はガス火による乾熱滅菌の場合(チャフ除去・冷却)は、200℃で15分、蒸気滅菌の場合(粉砕・抽出・希釈)は、125℃で10分とした。また、薬剤滅菌(充填・密封)は次亜塩素酸ソーダと70%エタノールを逐次散布もしくは、逐次拭き取りの方法によった。このようにして、焙煎機出口から、充填シール機に至るまで、初期無菌状態を確保した。運転中は、焙煎後の冷却工程で、二重のHEPAフィルターを通した冷却空気を送り込み、滅菌したフィルターを通して、無菌窒素ガスと、別に熱交換機により滅菌した温水が豆及びその抽出液の通過経路に入るのみで、他ものは一切入れなかった。 【0026】〔コーヒー液の製造〕上記のように初期滅菌された無菌低酸素濃度環境を形成した上で、コーヒーのグリーン豆を約18kg用意し、1分間あたり300gの割合で、連続焙煎機に投入した。豆の焙煎ゾーン平均滞留時間は約10分で、その間焙煎温度は165℃から210℃に変化させた。これによりグリーン豆は褐色に変化した。焙煎後の豆の生残菌数を測定したところ、1kgに1個未満であり、実質的に検出することができなかったので、焙煎豆は無菌になったと判断した。この豆をロールミルの間隔を0.2mmに設定した粉砕機により粉末にした。抽出機は合計6本の抽出カラムから構成されているが、そのうちの、4本を使用して、1本につき約3.7kgの粉を収容し、約12分で抽出した。抽出作業を4回繰り返し、合計250リッターの抽出液を得た。このときの抽出効率は24%であった。これを充填機のバッファー・タンクに移送し、内容積240ccのポリエステルから成るプラスチックカップに200mlずつ充填し、密封した。このときのヘッドスペース酸素濃度は1.4%であった。 【0027】〔保存後の試飲〕このようにして製造したプラスチックカップ入りコーヒーを室温で2週間保存し、開封後、飲用したが、コーヒーの煎り立て直後の香りと味が保たれていた。 【0028】 【比較例】(1)一般製造法により製造したサンプル窒素ガス置換を行わないでコーヒー飲料の一般的製造工程に従いコーヒー抽出液を製造した。抽出は無菌ではないので、抽出設備の初期滅菌も省略した。プラスチック・カップ入りコーヒーの場合、充填する液を無菌にする手段は、熱交換機であるので、抽出後、カップに充填する前に、熱交換機で145℃で5秒の加熱殺菌を行って無菌とした。これとは別に過酸化水素で無菌にしたカップと蓋材を容器として用いた。ここでは、工業的には広く使われている重炭酸ナトリウム等のpH調整剤は使用していない。 【0029】(2)低酸素濃度法によるサンプル一般製造法と異なるのは、抽出水に無酸素水を使用し、抽出液を蓄える充填タンクのヘッドスペースを窒素ガス置換し、さらに、密封直前に、プラスチックカップのヘッドスペースを窒素ガス置換したことである。密封直後の酸素濃度は1.4%であった。 【0030】(3)無菌法によるサンプル無菌法は、焙煎から密封までの工程を、無菌環境下で行ったが、無菌にするための気体はフィルターで除菌した空気を用いた。従って、熱交換機による殺菌工程は省略されている。また、窒素ガス置換は、密封直前のヘッドスペース置換のみである。 【0031】〔官能検査結果〕以上本実施例および比較例3種、計4種のサンプルを25℃で15日間保存した。それらの試料をコーヒーの評価に熟達したパネル3名で5段階法により評価した結果を次の表1に示す。この表からも明らかなように、本発明の方法は従来の方法の欠点を全て解消するものである。 【0032】 【表1】
【0033】 【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、焙煎飲料の原料は焙煎により無菌状態となり、その後の工程を無菌雰囲気下で行い、抽出または懸濁液調製を無菌水で行うとともに、該工程の少なくとも一部において無菌雰囲気として無菌不活性ガス雰囲気を使用したので、焙煎後にレトルト処理等の加熱殺菌を一切必要とせず、酸化による品質劣化と加熱による品質劣化をともに防止することができ、高品質の焙煎飲料を製造することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003768 【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年1月31日(2002.1.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100070747 【弁理士】 【氏名又は名称】坂本 徹 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−219848(P2003−219848A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月5日(2003.8.5) |
| 【出願番号】 |
特願2002−23109(P2002−23109) |
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