| 【発明の名称】 |
冷凍骨抜き姿魚及びその加工方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】加藤 義和 【住所又は居所】香川県観音寺市観音寺町甲1490番地1 株式会社加ト吉内
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| 【要約】 |
【課題】骨抜きの姿魚では、除去した骨とともに若干の身(魚肉)が付着したまま除去されるので、開き身をそのまま合わせて元に復元した姿魚ではボリューム感がなく、又、両身の間に補充身を充填したものではボリュームは確保できるが、調理時や喫食時に補充身がバラける。
【解決手段】原形魚を頭部及び尾部を残したままで腹側から開いて骨等の不要物を除去する不要物除去工程21と、不要物を除去した主体魚身内に、同種魚の細切れ身にタンパク質架橋酵素を混合した補充身を充填する補充身充填工程23と、タンパク質架橋酵素を反応させて主体魚身と補充身とを結着させる酵素反応工程24と、酵素反応工程後にタンパク質架橋酵素を失活させる酵素失活工程25と、姿魚を凍結状態で保存する凍結保存工程27とを順次行うことにより、上記課題を解決できる冷凍骨抜き姿魚を提供できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原形魚(1)を頭部及び尾部を残したままで腹側から開いて鰓・内臓・中骨・腹骨等の不要物を除去し、該不要物を除去した主体魚身(4)内に、同種魚の骨無し細切れ身(5a)にトランスグルタミナーゼ単独あるいはトランスグルタミナーゼを含有する混合物からなるタンパク質架橋酵素を混合した補充身(5)を充填して、主体魚身(4)と補充身(5)とを前記タンパク質架橋酵素により結着させているとともに、主体魚身(4)内に補充身(5)を充填してなる姿魚(6)を加熱処理して前記タンパク質架橋酵素を失活させた状態で凍結している、ことを特徴とする冷凍骨抜き姿魚。 【請求項2】 請求項1において、姿魚(6)をその表面に焼色がつく程度まで焼成した状態で凍結している、ことを特徴とする冷凍骨抜き姿魚。 【請求項3】 原形魚(1)を頭部及び尾部を残したままで腹側から開いて鰓・内臓・中骨・腹骨等の不要物を除去する不要物除去工程(21)と、不要物を除去した主体魚身(4)内に、同種魚の骨無し細切れ身(5a)にトランスグルタミナーゼ単独あるいはトランスグルタミナーゼを含有する混合物からなるタンパク質架橋酵素を混合した補充身(5)を充填する補充身充填工程(23)と、前記タンパク質架橋酵素を所定時間だけ反応させて主体魚身(4)と補充身(5)とを結着させる酵素反応工程(24)と、酵素反応工程の終了直後に姿魚(6)を加熱処理してタンパク質架橋酵素を失活させる酵素失活工程(25)と、姿魚(6)を凍結状態で保存する凍結保存工程(27)、とを順次行うことを特徴とする冷凍骨抜き姿魚の加工方法。 【請求項4】 請求項3において、不要物除去工程(21)と補充身充填工程(23)の間に主体魚身(4)の内面に塩を付着させる塩付着工程(22)を行うことを特徴とする冷凍骨抜き姿魚の加工方法。 【請求項5】 請求項3又は4において、不要物除去工程(21)は、凍結させた原形魚(1)を半解凍させた状態で行うことを特徴とする冷凍骨抜き姿魚の加工方法。 【請求項6】 請求項3〜5のいずれか1項において、不要物除去工程(21)において中骨(13)は尾部(12)側を1cm程度だけ残して除去することを特徴とする冷凍骨抜き姿魚の加工方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本願発明は、原形魚から内臓・鰓・中骨・腹骨等の不要物を除去した後、元の姿魚の形状で凍結した冷凍骨抜き姿魚及びその加工方法に関するものである。尚、本願でいう姿魚とは、頭部及び尾部を有し且つ左右の開き身を結着させて元の形状(原形)に戻した魚のことである。 【0002】 【発明の背景及び発明が解決しようとする課題】例えばサンマやアジのような比較的小形魚は、原形の姿魚(頭部及び尾部つき)のままで商品化する方が見映えがよい。ところで、原形のままの魚では、骨つきであるので食べにくく、一般家庭では原形の小形魚が敬遠されがちであった。尚、鮮魚では、魚屋の店頭で内臓や骨等の不要物を除去してもらえることがあるが、冷凍の原形魚では、購入時にその場(店頭)で不要物(内臓や骨等)を除去してもらうことができない。 【0003】ところで、冷凍の姿魚では、購入者が調理前に骨等を除去しようとすると、自分で解体処理(高度な技術を必要とする)しなければならないが、一般家庭で小形魚の骨抜き処理をするのは技術的に極めて困難であり、骨抜きの状態で調理するのはほとんど無理であった。そして、骨つきの冷凍姿魚では、内臓は除去できるものの骨つきのままで調理(例えば煮たり焼いたり)しているのが現状であり、従って喫食時に骨が邪魔になって食べにくいという難点があった。 【0004】又、冷凍魚でも、予め内臓・鰓・中骨・腹骨等の不要物を除去したものがあるが、その場合、開き身の状態が多く、原形の姿魚ではなくなる。又、原形魚を開き、内臓・鰓・中骨・腹骨等の不要物を除去した後、開き身を重ね合わせて元の姿魚に復元させた状態で凍結することも可能であるが、このように加工した冷凍骨抜き姿魚では、骨(中骨・腹骨等)を除去するときに該骨に若干の身(魚肉)が付着したまま除去され、且つ内臓も除去しているので、開き身(両身)をそのまま合わせて元に復元した姿魚にボリューム感がなくなって見映えが悪くなり(身が痩せて見える)、商品価値が低くなる。尚、このような骨抜き姿魚において、両身の間に補充身を充填すればボリュームを確保できるが、両身と補充身とがうまく結着せず、調理時や喫食時に補充身がバラけるという問題がある。 【0005】本願発明は、上記課題に鑑み、骨抜き姿魚にすることで調理後喫食時に骨の無い魚身を食することができ、又骨抜き姿魚であっても補充身を充填することで原形魚と同様なボリュームを確保でき、さらに補充身を充填してボリュームを確保した骨抜き姿魚であっても補充身を良好に結着させ得るようにした、冷凍骨抜き姿魚及びその加工方法を提供することを目的としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、原形魚から内臓や骨等の不要物を除去した冷凍骨抜き姿魚及びその加工方法を対象にしている。又、本願発明は、例えばサンマやアジ等の流線形状で比較的小形の魚を対象にしている。 【0007】本願請求項1の発明本願請求項1の発明は、冷凍骨抜き姿魚を対象にしている。そして、この請求項1の発明の冷凍骨抜き姿魚は、原形魚を頭部及び尾部を残したままで腹側から開いて鰓・内臓・中骨・腹骨等の不要物を除去し、該不要物を除去した主体魚身内に、同種魚の骨無し細切れ身にトランスグルタミナーゼ単独あるいはトランスグルタミナーゼを含有する混合物からなるタンパク質架橋酵素を混合した補充身を充填して、主体魚身と補充身とを結着させているとともに、主体魚身内に補充身を充填してなる姿魚を加熱処理して前記タンパク質架橋酵素を失活させた状態で凍結したことを特徴としている。 【0008】補充身となる細切れ身には、同種魚の落とし身を用い、適宜大きさ(限定するものではないが、1個当たり例えば5mm×5mm×10mm程度の大きさ)の細切れ状にしたものが使用される。 【0009】タンパク質架橋酵素としては、トランスグルタミナーゼ単独のものでも、あるいはトランスグルタミナーゼと例えばカゼイン類とを併用した混合物でもよい。このトランスグルタミナーゼは、タンパク質中にあるグルタミン残基のγ−カルボキシルアミド基をε−アミノ基に結合させる反応を起こさせる触媒となり、結果としてタンパク質を結着させる機能を有する酵素となるものである。トランスグルタミナーゼは、概ね室温から50℃の範囲で高い活性を示し、−18℃以下の低温では活性が停止し、75℃で5分以内に失活する性質がある。尚、本願では、タンパク質架橋酵素として、例えば味の素(株)社製の商品名「アクティバ」を使用できる。 【0010】そして、このように不要物を除去した主体魚身内にタンパク質架橋酵素を混合した補充身を充填すれば、該タンパク質架橋酵素が酵素反応して、各細切れ身及び主体魚身と細切れ身とのタンパク質同士を結着させるようになる。従って、本願請求項1の冷凍骨抜き姿魚では、主体魚身内に細切れ身からなる補充身を充填したものであっても、各細切れ身同士及び補充身と主体魚身とがタンパク質架橋酵素による結着作用により一体化されている。 【0011】又、この請求項1の冷凍骨抜き姿魚では、主体魚身と補充身とをタンパク質架橋酵素により結着させた後、その姿魚を加熱処理することにより該タンパク質架橋酵素を失活させているが、このようにタンパク質架橋酵素(トランスグルタミナーゼ)は一旦失活させると再活性化することはない。尚、この酵素失活のための加熱処理は、姿魚を完全に調理する必要はなく、例えば95℃程度の蒸気で中心部の品温が酵素失活に必要な75℃よりやや高くなる程度まで加熱するだけでよい。 【0012】そして、この請求項1の冷凍骨抜き姿魚は、上記のようにタンパク質架橋酵素を失活させた状態で凍結保存(例えば−18℃以下)しており、喫食時に目的に応じた加熱調理(例えば「煮る」「フライにする」「焼く」等)をすることができる。 【0013】本願請求項2の発明本願請求項2の発明は、上記請求項1の冷凍骨抜き姿魚において、姿魚の表面に焼色がつく程度まで焼成した状態で凍結している。尚、この焼成は、上記請求項1における酵素失活のための加熱処理に代用させることができる。 【0014】この請求項2の発明では、サンマやアジ等の通常焼き魚として調理される姿魚を対象にしており、このように姿魚を焼成した状態で凍結保存したものでは、喫食時に電子レンジで温めるだけで焼き魚として食べられる。 【0015】本願請求項3の発明本願請求項3の発明は、冷凍骨抜き姿魚の加工方法を対象にしている。そして、本願請求項3の冷凍骨抜き姿魚の加工方法は、次の(1)〜(5)の各工程を順次行うことを特徴としている。 【0016】(1) 不要物除去工程この不要物除去工程は、原形魚を頭部及び尾部を残したままで腹側から開いて鰓・内臓・中骨・腹骨等の不要物を除去するものである。この不要物除去工程において、鰓及び内臓は、腹側を切り裂いた状態で(身を2枚に開く前に)除去してもよい。このとき食塩水で内部の血を洗い流すとよい。又、鱗のある魚では、身を2枚に開く前に該鱗を除去する。尚、中骨及び腹骨を切除すると、該中骨及び腹骨に若干の身(魚肉)がついたまま除去されて、その分、主体魚身のボリュームが減少する。 【0017】(2) 補充身充填工程この補充身充填工程は、不要物を除去した主体魚身内に、同種魚の骨無し細切れ身にタンパク質架橋酵素を混合した補充身を充填するものである。尚、細切れ身及びタンパク質架橋酵素は、それぞれ請求項1に記載したものを使用する。 【0018】補充身の製作、即ち細切れ身とタンパク質架橋酵素との混合作業は、上記不要物除去作業と並行して行う。細切れ身に対するタンパク質架橋酵素の混合割合は、該タンパク質架橋酵素を活性させる環境(例えば反応させる雰囲気温度、反応させる時間等)や目的とする結着強度等によって、適当な範囲に設定できる。 【0019】この補充身充填工程では、タンパク質架橋酵素と細切れ身とを混合してなる補充身を上記主体魚身内に充填するが、この補充身充填作業の前に、若干量のタンパク質架橋酵素を開き身の内面に付着させておいてもよい。そして、この補充身充填作業は、主体魚身の両身を開いた状態でその片身の上に補充身を所定厚さだけ均して載せた後(腹部分は身が薄いので他の部分よりやや厚く盛り上げる)、他方の片身をその上に被せることで行える。このとき、全体が姿魚に復元されるが、主体魚身の外周面を適度に締め付けて、主体魚身内面と補充身とを密着させておく。又、この補充身充填後に、全体をラップで包んで型崩れしないようにしておくとよい。 【0020】(3) 酵素反応工程この酵素反応工程は、補充身を充填した姿魚中のタンパク質架橋酵素を所定時間だけ反応させて主体魚身と補充身とを結着させるものである。タンパク質架橋酵素が酵素反応を起こすと、該タンパク質架橋酵素に接する各細切れ身あるいは細切れ身と主体魚身とのタンパク質同士を結合させ、時間の経過とともに該細切れ身同士あるいは細切れ身と主体魚身とが順次結着されていくが、反応時間が長くなるほど、魚身同士の結着度合いが強くなる。尚、この酵素反応工程は、例えば室温(例えば18℃程度)にて40〜45分間程度行うとよい。 【0021】(4) 酵素失活工程この酵素失活工程は、酵素反応工程の終了直後に姿魚を加熱してタンパク質架橋酵素を失活させるものである。具体的には、姿魚の中心温度が75℃以上まで達した状態で所定時間だけ、適宜の方法で加熱する。この酵素失活工程としては、例えば95℃程度の蒸気で、姿魚の中心温度が75℃よりやや高くなる程度まで蒸す方法(蒸し工程)を採用できる。このように、酵素反応工程後の姿魚を加熱する(酵素失活工程)とタンパク質架橋酵素(トランスグルタミナーゼ)が失活し、それ以降は姿魚を酵素活性温度域に放置しておいても、該タンパク質架橋酵素が再活性化することはない。 【0022】(5) 凍結保存工程この凍結保存工程は、上記酵素失活工程に続いて、姿魚を急速凍結して低温(例えば−18℃以下)で保存するものである。 【0023】本願請求項3の加工方法(上記(1)〜(5)の各工程)を行えば、内部に補充身を充填した冷凍骨抜き姿魚に加工できる。 【0024】本願請求項4の発明本願請求項4の発明は、上記請求項3の冷凍骨抜き姿魚の加工方法において、不要物除去工程と補充身充填工程の間に主体魚身の内面に塩を付着させる塩付着工程を行うようにしている。 【0025】この塩付着工程は、内臓や骨等の不要物を除去し、2枚に開いた開き身の状態でその主体魚身の内面側に適量の塩を付着させる。 【0026】本願請求項5の発明本願請求項5の発明は、上記請求項3又は4の冷凍骨抜き姿魚の加工方法において、不要物除去工程は、凍結させた原形魚を半解凍させた状態で行うようにしている。 【0027】不要物除去工程において、不要物(鰓・内臓・中骨・腹骨等)を除去するのに、凍結状態では魚身が固過ぎて包丁が入れにくく、逆に全解凍状態では魚身が柔らか過ぎて不要物除去作業がしにくいが、半解凍状態では魚身に適度の固さ(保形性)があって包丁作業が容易に行える。又、このように半解凍状態で不要物を除去した後、補充身充填工程を行う際に、開き身が半解凍状態を維持していると、該開き身に固さ(保形性)があるので、補充身充填作業も容易に行える。 【0028】本願請求項6の発明本願請求項6の発明は、上記請求項3〜5のいずれか1項の冷凍骨抜き姿魚の加工方法において、不要物除去工程において中骨は尾部側を1cm程度だけ残して除去するようにしている。 【0029】魚の尾部の付け根部分は、他の部分より非常に細くなっており、中骨を尾部まで完全に除去すると、尾部が細く柔らかい魚身だけで連続するので尾部の姿勢が不安定になるが、中骨の尾部側を1cm程度だけ残すと尾部を安定した状態で連続させることができる。 【0030】 【発明の効果】本願各発明は、それぞれ次のような効果がある。 【0031】本願請求項1の発明の効果本願請求項1の発明の冷凍骨抜き姿魚は、原形魚から鰓・内臓・中骨・腹骨等の不要物を除去し、その主体魚身内に、細切れ身にタンパク質架橋酵素(トランスグルタミナーゼ)を混合した補充身を充填して、主体魚身と補充身とを結着させているとともに、その姿魚を加熱処理してタンパク質架橋酵素を失活させた状態で凍結している。 【0032】従って、この請求項1の冷凍骨抜き姿魚は、骨抜きであっても原形魚と同じ形状の姿魚に維持でき(見映えがよい)、且つ内臓や骨等の不要物を除去したものであっても元の原形魚のボリュームを維持でき、さらに補充身を充填したものであってもタンパク質架橋酵素により補充身の細切れ身同士及び該細切れ身と主体魚身とがそれぞれ適度に結着されているので、調理時や喫食時に補充身(各細切れ身)がバラつかない、等の効果がある。又、主体魚身と補充身とを結着させた状態の姿魚を加熱してタンパク質架橋酵素を失活させているので、該タンパク質架橋酵素による再結着作用が起こらず、それ以上、魚身が固化することがない(高品質に維持できる)という効果もある。 【0033】本願請求項2の発明の効果本願請求項2の発明は、上記請求項1の冷凍骨抜き姿魚において、姿魚の表面に焼色がつく程度まで焼成した状態で凍結しているので、喫食時に電子レンジで温めるだけで焼き魚として食べられ、上記請求項1の効果に加えて、「焼く」という調理作業が不要になるという効果がある。 【0034】本願請求項3の発明の効果本願請求項3の発明の冷凍骨抜き姿魚の加工方法は、原形魚から鰓・内臓・中骨・腹骨等の不要物を除去し(不要物除去工程)、その主体魚身内に細切れ状の切り身にタンパク質架橋酵素(トランスグルタミナーゼ)を混合した補充身を充填し(補充身充填工程)、タンパク質架橋酵素を所定時間だけ反応させて主体魚身と補充身とを結着させ(酵素反応工程)、その直後に姿魚を加熱処理してタンパク質架橋酵素を失活させ(酵素失活工程)、凍結させた姿魚のままで保存する(凍結保存工程)、という各工程を行うことで、冷凍骨抜き姿魚に加工するようにしている。 【0035】従って、この請求項3の発明では、骨抜きであっても原形魚と同じ形状で、且つ内臓や骨等の不要物を除去したものであっても元の原形魚のボリュームを維持でき、さらに補充身を充填したものであっても調理時や喫食時に該補充身がバラつかない性状の冷凍骨抜き姿魚に加工できるという効果がある。 【0036】又、この請求項3では、酵素反応工程の終了直後に加熱によりタンパク質架橋酵素を失活させるようにしている(酵素失活工程)ので、タンパク質架橋酵素を用いて加工した骨抜き姿魚であっても、酵素失活工程後はタンパク質架橋酵素による再結着作用が起こらず、それ以上、魚身が固化することがない(高品質に維持できる)という効果もある。 【0037】本願請求項4の発明の効果本願請求項4の発明は、上記請求項3の冷凍骨抜き姿魚の加工方法において、不要物除去工程と補充身充填工程の間に主体魚身の内面に塩を付着させる塩付着工程を行うようにしているので、そのまま調理(例えば焼成)するだけで塩味のついた姿魚を提供できる。 【0038】従って、この請求項4の発明で加工した冷凍骨抜き姿魚は、上記各請求項の効果に加えて、調味料(塩や醤油等)が無くてもおいしく食べられるという効果がある。 【0039】本願請求項5の発明の効果本願請求項5の発明は、上記請求項3又は4の冷凍骨抜き姿魚の加工方法において、不要物除去工程は、凍結させた原形魚を半解凍させた状態で行うようにしているが、このように原形魚が半解凍状態であると魚身に適度の固さ(保形性)がある。 【0040】従って、この請求項5の発明では、上記各請求項の効果に加えて、不要物除去作業時に魚身が崩れにくくなって包丁作業がし易くなり、しかも次の補充身充填作業やその後の補充身充填姿魚の成型作業が容易に行えるという効果がある。 【0041】本願請求項6の発明の効果本願請求項6の発明は、上記請求項3〜5のいずれか1項の冷凍骨抜き姿魚の加工方法において、不要物除去工程において中骨は尾部側を1cm程度だけ残して除去するようにしているので、その中骨残部によって尾部の形状を正常に維持できる。 【0042】従って、この請求項6の発明では、上記各請求項の効果に加えて、骨抜きの姿魚であっても尾部の形状を安定させることができ、外観のきれいな(見映えのある)骨抜き姿魚を提供できるという効果がある。 【0043】 【発明の実施の形態】図1〜図3を参照して本願実施形態を説明すると、図1は本願実施形態の冷凍骨抜き姿魚の加工方法の工程図を示し、図2は対象魚としてサンマを採用した場合の加工工程図を示し、図3は図2(E)に示す骨抜き姿魚の拡大断面図を示している。 【0044】図1に示す実施形態は、最終の加工形態として、焼き魚の状態の冷凍骨抜き姿魚7に加工するものであり、この実施形態の加工方法では、生の原形魚1に対して、不要物除去工程21、塩付着工程22、補充身充填工程23、酵素反応工程24、酵素失活工程25、焼成工程26、凍結保存工程27を順次行うものである。以下、上記各工程21〜27について図2及び図3を併用しながら説明する。尚、原形魚1は、大量購入して冷凍保存しておき、サンマの場合、1尾当たり89〜103gの範囲のものを製品に使用する。又、規格重量外のもの、皮が剥げているもの、折れているもの等は、後述する補充身5の細切れ身5aとして利用する。 【0045】不要物除去工程21この不要物除去工程21では、図2(A)に示す原形魚(サンマ)1を図2(B)に示すように頭部11及び尾部12を残したままで腹側から開いて開き身2とし、続いて図2(C)に示すように内臓・鰓・中骨13・腹骨14等の不要物を除去する。尚、鱗のある魚では、身を2枚に開く前に該鱗を除去する。又鰓及び内臓は、腹側を切り裂いた状態で(身を2枚に開く前に)除去してもよい。 【0046】この不要物除去工程21では、原形魚1を半解凍した状態(内臓がまだ凍っている状態が好ましい)で用いる。このように、原形魚1を半解凍したものでは、魚身に適度の固さ(保形性)があり、不要物除去作業時に魚身が崩れにくくなって包丁作業がし易くなり、さらに後述する補充身充填工程23において主体魚身4が安定化して補充身充填作業がし易くなる。 【0047】この不要物除去工程21において、中骨13や腹骨14は包丁で切除するが、魚身に残った小さい骨は毛抜きで引き抜くとよい。中骨13は、尾部側13aを1cm程度だけ残して除去する。このように中骨13の尾部側13aを1cm程度だけ残しておくと、尾部12の形状を安定させることができる。又、鰓及び内臓を除去した時点で食塩水で内部の血を洗い流し、又骨を除去した時点で外面(皮面)も食塩水で洗浄しておく。尚、不要物除去工程21は、通常の室温下(例えば18℃程度)で行い、元の原形魚1が半解凍状態であったものでも、外気温度や水洗い等によって主体魚身4が徐々に昇温していく。又、この不要物除去工程21において、中骨13及び腹骨14を切除すると、該中骨及び腹骨に若干の身(魚肉)がついたまま除去されて、その分、主体魚身4のボリュームが減少するようになる。 【0048】塩付着工程22この塩付着工程22は、図2(C)に示すように骨等の不要物を除去した主体魚身4の内面に適量(例えばサンマ1尾につき0.7g程度)の塩を均一に付着させる。この塩付着部分は、主体魚身4の片面(4a又は4b)だけでも両面(4a,4b)でもよい。尚、塩分は、次に説明するタンパク質架橋酵素の活性に影響を及ぼすものではない。 【0049】補充身充填工程23この補充身充填工程23では、図2(C)〜図2(D)に示すように、不要物を除去した主体魚身4内に、同種魚の骨無し細切れ身5aにタンパク質架橋酵素を混合した補充身5を充填する。 【0050】補充身5となる細切れ身5aには、同種魚の落とし身を用い、適宜大きさ(1個当たり例えば5mm×5mm×10mm程度の大きさ)の細切れ状にしたものが使用される。タンパク質架橋酵素としては、例えば味の素(株)社製の商品名「アクティバ」(粉末状である)を使用できる。尚、この「アクティバ」は、概ね室温から50℃の範囲で高い活性を示し、−18℃以下の低温では活性が停止し、75℃で5分以内に失活する性質がある。 【0051】補充身5は、細切れ身5aに対してタンパク質架橋酵素(上記「アクティバ」)を重量比で0.4%程度均一に混合したものを使用する。尚、本願実施形態で用いた「アクティバ」は、0.2gで酵素量にして10ユニット程度に相当する。この細切れ身5aに対するタンパク質架橋酵素の混合時期は、上記不要物除去工程21と並行して行う。即ち、タンパク質架橋酵素は細切れ身5aに混合させた時点から、タンパク質結着作用が始まり、早くから補充身5(細切れ身とタンパク質架橋酵素との混合物)を作り置きしておくと、酵素による結着作用が進行して細切れ身5a同士のみが固く結着してしまうので、細切れ身5aに対するタンパク質架橋酵素の混合時期は、補充身5を主体魚身4に充填する直前(例えば数分程度前)に行うのが好ましい。 【0052】又、この補充身充填工程23では、タンパク質架橋酵素を補充身5に混合したものとは別に主体魚身4の内面に微量(例えばサンマ1尾あたり0.2g程度)だけ付着させておいてもよい。 【0053】この補充身充填工程23では、補充身5をサンマ1尾当たり9〜10g程度使用し、図2(D)に示すように主体魚身4の両身を開いた状態でその片身4aの上面に均一に載せる。尚、主体魚身4の腹部分への充填は、内臓を除去している分、他の部分よりやや厚く盛り上げるとよい。そして、他方の片身4bを補充身5の充填部分の上に被せ、図2(E)に示すように全体が姿魚(元の原形魚)の形状になるように成形する。又、このとき、主体魚身の外周面を適度に締め付けて、主体魚身内面と補充身とを密着させておく。尚、この補充身充填後に、姿魚6をラップで包んで型崩れしないようにしておくとよい。 【0054】酵素反応工程24この酵素反応工程24は、タンパク質架橋酵素を所定時間だけ反応させて主体魚身4と補充身5とを結着させるものである。この酵素反応工程24は、例えば室温(例えば18℃程度)にて40〜45分間程度行うとよい。この酵素反応工程24では、姿魚6の品温が酵素高活性温度域(例えば室温に近い温度)まで上昇していることが望ましいが、品温が低い場合は反応時間を延長するなどの調整をする。そして、姿魚6内で酵素反応が起こると、タンパク質架橋酵素に接する各細切れ身5aあるいは細切れ身5aと主体魚身4とのタンパク質同士を結着し、時間の経過とともに該細切れ身同士あるいは細切れ身と主体魚身とが順次結着されていくが、反応時間が長くなるほど、魚身同士の結着度合いが強くなる。 【0055】酵素失活工程25この酵素失活工程25は、酵素反応工程24の終了直後に姿魚6を加熱してタンパク質架橋酵素を失活させるものである。この実施形態では、酵素失活工程25として蒸し工程を採用している。この蒸し工程25は、95℃程度の高温蒸気で約6分間蒸す。すると、この蒸し工程の途中で姿魚6の中心温度が75℃以上に達し、且つその温度で蒸し時間終了まで維持させる。 【0056】このように、酵素反応工程後の姿魚6を加熱する(酵素失活工程25)とタンパク質架橋酵素(トランスグルタミナーゼ)が失活し、それ以降は姿魚6を酵素活性温度域に放置しておいても、該タンパク質架橋酵素が再活性化することはない。 【0057】焼成工程26この焼成工程26は、酵素失活工程25を終了させた姿魚6を、その表面に焼き色がつく程度まで焼成するものである。尚、この時点で焼き魚が完成する。 【0058】凍結保存工程27この凍結保存工程27は、焼成工程26を終了した姿魚(焼き魚)を手で触れる程度まで自然冷却させた後、急速凍結して低温(例えば−18℃以下)で保存し、冷凍骨抜き姿魚7に加工するものである。尚、この凍結保存工程27では、姿魚(焼き魚)を1袋に5尾程度重ならないように収容し、且つ真空包装した状態で凍結保存するとよい。 【0059】図1に示す実施形態の加工方法で加工された冷凍骨抜き姿魚7は、焼成済みであり、購入者が電子レンジで加熱するだけで焼き魚として食することができる。又、この冷凍骨抜き姿魚7は、内臓や骨等の不要物を除去したものであっても、補充身5を充填していることにより、原形魚と同じ形状の姿魚に維持でき(見映えがよい)、且つ元の原形魚のボリュームを確保できる。さらに補充身5を充填したものであっても、タンパク質架橋酵素により補充身5の細切れ身5a同士及び該細切れ身5aと主体魚身4とがそれぞれ適度に結着されているので、調理時や喫食時に補充身(各細切れ身5a)がバラつかない、等の機能を有する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000140650 【氏名又は名称】株式会社加ト吉 【住所又は居所】香川県観音寺市坂本町5丁目18番37号
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| 【出願日】 |
平成14年1月30日(2002.1.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075731 【弁理士】 【氏名又は名称】大浜 博
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| 【公開番号】 |
特開2003−219838(P2003−219838A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月5日(2003.8.5) |
| 【出願番号】 |
特願2002−21663(P2002−21663) |
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