トップ :: A 生活必需品 :: A23 食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理




【発明の名称】 栄養補助食品及びその製造方法
【発明者】 【氏名】▲菊▼地 薫

【要約】 【課題】人体に必要な微量元素を強化し、かつ、食品として消化吸収されやすい形にした栄養補助食品及びその製造方法を提供する。

【解決手段】特定の微量元素を含有する培養液を用いた水耕条件下で牧草種の食用植物を栽培して、特定の微量元素の含有量を強化した特定元素強化植物を個別に作り、各特定元素強化植物をそれぞれ粉末化して特定の微量元素強化食材の原体とし、この特定の微量元素強化食材の原体の一種以上を原料として微量元素の含有量を強化して栄養補助食品とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 特定の微量元素を豊富に含有させた牧草種の食用植物を食品の原料に使用していることを特徴とする栄養補助食品。
【請求項2】 特定の一種類の微量元素を豊富に含有するように栽培された牧草種の食用植物を複数の微量元素について個別に栽培し、これらの複数の微量元素の食用植物の一つ以上を食品の原料として使用していることを特徴とする栄養補助食品。
【請求項3】 特定の一種類の微量元素を豊富に含有させた牧草種の食用植物を微細形状に加工し、調整することにより、該微量元素を所定の濃度で含有するようにした食材を複数種の微量元素について個別に作り、該食材の一つ以上を原料として使用していることを特徴とする栄養補助食品。
【請求項4】 特定の微量元素の含有量を強化した培養液を用いた水耕栽培で牧草種の食用植物を栽培して特定の微量元素の含有量を強化した特定元素強化植物を作る工程と、この特定元素強化植物を微細加工して特定の微量元素を多量に含有する特定微量元素強化食材を作る工程と、該特定微量元素強化食材を使用して一つ以上の微量元素の含有量をほぼ所定の値に調整した食品に加工する工程とを有する栄養補助食品の製造方法。
【請求項5】 牧草種の食用植物がアルファルファである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の栄養補助食品及び補助食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、錠剤、カプセル剤、液剤及び半固形剤などの形で供給される栄養補助食品、健康食品、経腸栄養剤(以下これらを総合して単に栄養補助食品という)及びこれらの栄養補助食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に健康を維持するために必要な栄養素、必須ミネラル及びその他の微量元素(以下これらを微量元素ともいう)は、日常的な食事によって摂取されるのが普通である。
【0003】微量元素は、例えば、鉄、コバルト、マンガン、クロム、ニッケル、バナジウム、銅、モリブデン、亜鉛、ヨウ素、セレン、ヒ素およびスズ等の元素をいわれ、栄養生理学的にみた1日の必要所要量として、表1のようなものが提示されている。
【0004】
【表1】

【0005】微量元素は、一般には、元素のうちで、生体の主要な成分となっている酸素、炭素、水素、窒素および常量元素を除いた元素として知られ、ビタミン等の高分子化合物の構成成分となったり、生理機能に関与し、適正量以下では欠乏(微量元素低下)症を生じ、過剰に摂取すれば過剰症を起こすことが知られている等、生理機能に重要な役割を果たしている。
【0006】しかし、微量元素は、表1の生理作用以外にも多くの他の身体構成要素や生理機能に直接間接に関与していて、個々に微量元素の所要量が策定し難いものがあったり、微量元素によっては、一方の微量元素の摂取量が他の微量元素の必要量に影響を与える場合もある。
【0007】このような背景から、微量元素の所要量を正確に策定して個々の微量元素の摂取量を厳密に管理するよりも、日常的に体外に排出される量を補うようにすれば、少なくとも、微量元素が不足することはない、という考えのもとで、日々失なわれる微量元素の量を補う形の平衡維持量を日常の所要量の指標とする考え方もある。
【0008】また、新鮮な野菜や果物はビタミンの含量は高いが、微量元素の含有量は低いともいわれ、調理の原材料となる野菜や魚介類、肉類等の成分は、その材料の栽培方法や育成方法によってかなりのばらつきが生じると考えられている。例えば、最近の食品は、品種や栽培方法の技術革新が進んだり輸送手段や流通機構の発達した結果、育成方法の異なる各種の種類の食品が世界の生産地から供給されるなど、同じ名前の食品でも栄養素の構成に多様な違いが生じたり、各食品に含まれる微量元素の含有量についても大きな開きを生じて、画一的に成分表示をすることが難しくなっている。
【0009】また、同じ食物であっても、調理法や摂取時の体調などによっては、必要な量の栄養素や微量元素の摂取ができなかったり、所定の量を摂取をしている積りでも、偏った摂取になることがある等、現代食生活は微量元素の不足を誘因する要素が多く、このため微量元素の不足を栄養補助食品によって補うなど、栄養補助食品市場は活況を呈している。
【0010】例えば、栄養生理学的に必要とされる栄養素や微量元素に関しては、合成栄養強化剤や元素化合物或いは各種の有効成分を添加したマルチビタミンやサプリメント等(以下サプリメントという)といわれる医薬品や栄養補助食品が市販され、人は各自のライフスタイルその他の理由から、栄養補助食品により特定の栄養素の摂取を補うことを選択することがある等、これらの栄養補助食品を使うことにより、必要な微量元素の摂取が行なえるようになっている。
【0011】しかし、従来から市販されているサプリメントは、サプリメントが体内に摂取された後のバイオアビラビリティ(生物学的利用率)及び栄養として吸収される量が期待されている吸収効率かどうか、また、目的とする微量元素が、人に経口摂取された後、計算した通りにその人の体内にまで吸収できているかについては、定かではなかった。
【0012】また、各人が必要と考える個々の微量元素をそれぞれ任意に強化して摂取したり、組合わせて経口摂取したりしても、弊害が少ない手軽な補助食品も供給されていなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特定の微量元素を豊富に含有させ人体に必要な微量元素を強化した植物生体を製品の原料とした新たな栄養補助食品及びこのような栄養補助食品の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】また、本発明は、このような微量元素の摂取を、できる限り食品に近い形で経口摂取できるようにすることにより、人体に消化吸収され易く、かつ、日常の食品以外の形で特定の栄養素や微量元素を摂取し続けることによって生じるかもしれない不測の弊害や過剰摂取のおそれをできる限り減らすように工夫した栄養補助食品を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、特定の微量元素を豊富に含有させた牧草種の食用植物を食品の原料に使用していることを特徴とする栄養補助食品である。
【0016】請求項1に記載の発明によれば、牧草種の食用植物の中に人体に必要な特定の微量元素を豊富に含有させ、この牧草種の食用植物を、原料の全部または一部が栄養補助食品になっている。従って、各種の微量元素ごとに、当該微量元素を豊富に含有するように育成された牧草種の食用植物(以下特定元素強化植物という)を用いた栄養補助食品を供給すれば、特定の微量元素の摂取を希望する人は、その微量元素を豊富に含有する栄養補助食品を食べるという、実質的には食品を食べると同様な形で、随時、希望する微量元素を経口摂取することができる。
【0017】そのため、経口摂取後に、人体の消化吸収の機構が働き易く、かつ、日常の食品と同様な摂取であるために、過剰に摂取する可能性や習慣性を生じるおそれも少なく、この栄養補助食品を摂取し続けることによって生じるかもしれない不測の弊害のおそれをできる限り減らした栄養補助食品を提供することができる。
【0018】請求項2に記載の発明は、特定の一種類の微量元素を豊富に含有するように栽培された牧草種の食用植物を複数の微量元素について個別に栽培し、これらの複数の微量元素の食用植物の一つ以上を食品の原料として使用していることを特徴とする栄養補助食品である。
【0019】請求項2に記載の発明の栄養補助食品によれば、請求項1の発明と同様に、特定の微量元素の摂取を希望する人に対して、当該特定元素強化植物の生体を食品の原料とした栄養補助食品を提供したり、微量元素等の過剰摂取の可能性等を少なくすることができるのみならず、それぞれ、一種類の微量元素だけを豊富に含有するように特定の微量元素ごとに、分けて牧草種の食用植物を栽培し、複数の微量元素を含む栄養補助食品を作る際には、目的とする微量元素ごとに育成された複数の食用植物を原料に使って栄養補助食品にしているので、品質的に安定した微量元素の組成の食品を提供できるものである。
【0020】また、微量元素は、いずれも、各微量元素ごとに独立した牧草種の食用植物として栽培され、保存され、栄養補助食品の原料として加工され、経口摂取されるときまで、これらが混合されることもないので、牧草種の食用植物に含有させた状態の微量元素が変質したり、強化した微量元素が相互に化学的に反応するおそれは少なく、定量した特定の微量元素を比較的安定した状態に保った栄養補助食品を提供することができる。
【0021】請求項3に記載の発明は、特定の一種類の微量元素を豊富に含有させた牧草種の食用植物を微細形状に加工し、調合することにより、該微量元素を所定の濃度で含有するようにした食材を複数種の微量元素について個別に作り、該食材の一つ以上を原料として使用していることを特徴とする栄養補助食品である。
【0022】請求項3に記載の発明の栄養補助食品によれば、請求項1の発明と同様に、特定の微量元素の摂取を希望する人に対して、当該特定の微量元素を豊富に含有する植物生体を食品の原料にした栄養補助食品を簡便に提供したり、請求項2の発明のように複数の微量元素を含む栄養補助食品を作った後、経口摂取されるときまでは、できる限り変質を防ぐようにして栄養補助食品の食材として供給できるばかりでなく、特定の元素強化植物を微細に切り刻んだり粉体に加工し、各微量元素を含有する植物が、微量元素の種類ごとに、所定の濃度(予め定めた含有量またはそれ以上の含有量)を含むように調整した食材(以下これを特定微量元素強化食材ともいう)にしているので、希望する微量元素を強化した栄養補助食品を作るときは、特定微量元素強化食材の量によって必要とされる微量元素の含有量を決めることができ、極めて簡便に、微量元素含有量を強化した均質な栄養補助食品を提供することができるものである。
【0023】この場合に、特定の微量元素を豊富に含む特定微量元素強化食材は、例えば、それぞれの微量元素の種類ごとに栽培された植物の葉、茎、根の全体(全草)を粉末化する等、微細加工をして、特定の微量元素を含有する原料を作り、この粉体の微量元素の濃度が高いときは、同様に微細加工された濃度の低い同種の植物体の粉体を混入して該微量元素の食材については所定の濃度となるように調整する。
【0024】このように微量元素ごとに、所定の濃度の微量元素を含むようにした食材を作り、これを栄養補助食品の原料にしているので、微量元素の含有量が均質な栄養補助食品を簡便に作り提供することができる。
【0025】請求項4に記載の発明は、特定の微量元素の含有量を強化した培養液を用いた水耕栽培で牧草種の食用植物を栽培して特定の微量元素の含有量を強化した特定元素強化植物を作る工程と、この特定元素強化植物を微細加工して特定の微量元素を多量に含有する特定微量元素強化食材を作る工程と、該特定微量元素強化食材を使用して一つ以上の微量元素の含有量をほぼ所定の値に調整した食品に加工する工程とを有する栄養補助食品の製造方法である。
【0026】請求項4に記載の発明の栄養補助食品の製造方法によれば、特定の微量元素を含有する栄養補助食品を製造する場合に、まず、特定の微量元素の含有量を強化した培養液を用いた水耕栽培で牧草種の食用植物を栽培して特定の微量元素の含有量を強化した特定元素強化植物を作り、次に、この特定元素強化植物を微細加工して特定の微量元素を多量に含有する特定微量元素強化食材を作り、更に、このような特定微量元素強化食材を調合して該特定の微量元素の含有量を所定の値に強化された栄養補助食品を作るようにしたので、特定の一種または一種以上の微量元素が豊富に含まれた所定の品質の栄養補助食品を、品質にばらつきを少なくして簡易に製造することができる。
【0027】請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の栄養補助食品の原料又は栄養補助食品の製造方法に用いる牧草種の食用植物として、アルファルファを用いたものである。
【0028】請求項5に記載の発明の栄養補助食品及びその製造に使用される、アルファルファは、和名でムラサキウマゴヤシとも呼ばれる牧草であり、茎葉部が飼料として使われるが、芽生えたばかりのものはアルファルファもやしと称して食用にも使用される植物である。
【0029】このアルファルファは、本来は上記のような牧草であるが、既に、人の食用としても広く使用されている植物であり、本発明の栄養補助食品の原料に使用される牧草種の食用植物の代表ということができる。
【0030】牧草種の植物を栄養補助食品の原料に使用する理由は次のようなものである。まず、アルファルファは、世界的に普及している豆科の多年草の牧草であって、生育が早く収穫量が多い上に、寒冷地に多い黄花種(Medicago falcata L.)、暖かい地方に多い紫花種(Medicago sativaL.)、黄花種と紫花種との雑種で寒冷地と温暖地域の中間に多い種類(Medicago media Pers.)等、生育環境の幅が広いので、栽培の施設や育成の温度管理等の設備にコストがかかる水耕栽培を用いて特定の微量元素の含有量を強化するための特定元素強化植物の対象として好適なことである。
【0031】第二に、アルファルファは、既にまめもやしの一種として、既に食用に供されていることである。日常の食品のように多量に摂取しないことが前提となる栄養補助食品であっても、人体への弊害が予想されるような原料は補助食品の原料としては、極力、回避すべきだからである。
【0032】このように、アルファルファは、水耕栽培による育成やこれを利用した栄養補助食品の製造に最も好適な植物の一種であり、アルファルファを使用した請求項1ないし4の発明によれば、簡易に本発明の栄養補助食品を製造し、簡便に本発明の栄養補助食品を提供することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明は、牧草種の食用植物の栽培時に、微量元素の選択吸収環境を作り、特定の微量元素の含有量を強化した食用植物を育成し、この食用植物の生体成分を原料にして栄養補助食品を提供するようにしたものである。
【0034】特定の微量元素の含有量を強化した特定元素強化植物の栽培は、植物が、栽培条件によって特定の元素を選択的に吸収する性質をもっている点に着目して生まれたものであり、この栽培環境や条件は、水耕栽培によって実現される。
【0035】図1は、このような水耕栽培装置の一例である。
【0036】図1において、1は栽培植物2を植付け、人工的な環境で培養液を与えて植物を育成する栽培ベッド、3は、栽培ベッド1の環境を整え、培養液を供給する生育環境調節装置である。
【0037】栽培ベッド1は、上側に広い開口面を有した器状の栽培槽4と、この栽培槽4の開口面に水耕栽培する植物2を定置する定植パネル5及び栽培槽4に培養液を循環させる給液管6と排液管7等から構成されている。
【0038】定植パネル5は、水耕栽培する植物を栽培槽4の培養液面に支える板状の支持機構であり、植物2は、例えば、スポンジ状の軟質ウレタン製の保持具8を介して、定植パネル5に支持されている。
【0039】栽培槽4には、給液管6から送られてきた培養液の肥料栄養分を、栽培植物2に偏り無く分配するための分配管9及び培養液の液面の高さを所定の範囲に維持する排液調整器10が設けられている。
【0040】栽培ベッド1には、更に、植物2に与えられる照明の照度や培養液の温度や濃度、更には、液の成分濃度を図るEC測定器(図示省略)やpH濃度を監視するpH測定器(図示省略)が設けられており、栽培植物2への栄養分の供給を終わった培養液は、排液管7を介して、生育環境調節装置3に戻される。
【0041】生育環境調節装置3は、培養液のpHを調整するpH自動調整装置11、培養液の肥料の栄養分を調整する培養液自動追肥装置12及び培養液の循環ポンプ13や照明、温度調節のための機器(図示省略)並びに、これらの機器の自動制御装置14などから構成されている。
【0042】pH自動調節装置11は、培養液のpHが規定の範囲に調節する装置であり、水酸化ナトリウム溶液や薄めた硝酸の入った調整タンク15を有して、pHを上げるときは水酸化ナトリウム溶液を培養液に供給し、pHを下げるときは薄めた硝酸を培養液に供給するようにしてpHを調整する装置である。
【0043】培養液自動追肥装置12は、二つの原液タンク16と17とを有し、培養液の肥料濃度が規定の範囲に維持されるように、電気伝導度(EC)測定器で溶液を分析しつつ原液タンク16から培養液を供給して不足する肥料栄養分を補っている。
【0044】原液タンク16には、植物2が通常の生育に必要な肥料栄養分を栽培槽4に補給するための培養液を貯える。
【0045】水耕栽培の肥料栄養分となる培養液組成としては、例えば、窒素、燐酸、カリウム、カルシウム、マグネシュウム、硫黄等の多量要素のほかに、鉄、亜鉛、ホウ素、マンガン、銅等の微量要素分である。
【0046】これらの栄養分は、例えば、硝酸石灰、硫酸マグネシュウム、ホウ酸、キレート亜鉛、硫酸銅等を溶解した培養液によって供給するようにしても良いが、簡便には、市販の葉菜用の水耕栽培専用肥料を所定の濃度に水で薄めて原液タンク16に貯えても良い。
【0047】また、原液タンク17には、水耕栽培する植物に強制的に吸収させ、植物の生体内に微量元素を豊富に含むように、含有量の強化を望む特定の一種類の微量元素を加えるための原液が入っている。
【0048】栽培ベッド1と生育環境調節装置3との間をつなぐ給液管6及び排液管7に循環ポンプ13及びポンプ18が設けられ、培養液の供給と循環が行われる。
【0049】循環ポンプ13の吸込口19は栽培槽4の排液管7に接続され、吐出口20は栽培槽4の給液管6に接続され、培養液が生育環境調節装置3の栽培槽4との間を常に循環して酸素を供給し、培養液の成分濃度やpHが所定の範囲に維持されるようにしている。
【0050】一方、生育環境調節装置3には、培養液を一時的に蓄える連通槽21が設けられ、連通槽21は、パイプ22、パイプ23を介して循環ポンプ13の吸込口19側と吐出口20側とに接続され、かつ、ポンプ18によって濃度を制御された培養液が連通槽21からパイプ22、吸込口19、循環ポンプ13を経由して栽培槽4に供給されるようになっている。
【0051】自動制御装置14は、上述した循環ポンプ13の制御の他に、測定器から得られるデータを基に、ポンプ18の制御をして、培養液の肥料分の濃度やpHを制御したり、栽培ベッド1の温度や照明(照度)等の環境制御や植物2育成のための培養液の濃度の制御を自動的に行う機構を有している。
【0052】また、後述するように、自動制御装置14は、水耕栽培する植物2の生育状況に応じて、培養液自動追肥装置12の肥料の栄養分を制御して、栽培している植物2に、特定の微量元素が豊富に含まれるように育成する機構も有している。なお、24は、培養液に酸素を供給するための空気混入装置である。
【0053】このような栽培装置によって、牧草種の食用植物を用いて水耕栽培される。上述した栽培環境のもとで、定植した牧草種の食用植物に根を張らせ、相応の葉を茂らせる期間(栄養相期)として通常の水耕栽培をする。
【0054】この栄養相期に、牧草種の食用植物は本葉が発育して、順次、葉及び茎を形成し、根を伸張する。緑葉が展開して光合成を営み、また、根が伸張して導管が形成されると養水分を良く吸収するようになり、植物本来の無機栄養の方式に従って、茎や葉が成長するばかりでなく、個々の葉腋からは側枝が発育して、固有の茎葉構造が成立する。根は、主根が分岐を繰り返すとともに、不定根が形成され、全体として、広くまた密に根を張る根系が形成される。
【0055】栄養相期は、温度や照度、肥料の養分濃度等の栽培条件によっても異なるが、栄養相期の次は、元素吸収期として植物の栽培をする。
【0056】植物はその植物の必要とする肥料栄養素と比較して栄養素が不足気味の条件下では、水に溶解されているものを良く吸収する性質がある。
【0057】この性質を利用して元素吸収期の栽培の培養液は、栄養相期の培養液と比較して通常の肥料の栄養分の濃度を減らし、植物に強制的に吸収させたい特定の一種類の微量元素の栄養分濃度を増やした培養液を栽培植物に供給する。このような特殊な培養液で元素吸収期を育成された植物は、特定の一種類の微量元素を豊富に含有した特定元素強化植物に成長する。
【0058】特定元素強化植物を栽培するために培養液に加える微量元素には、鉄、コバルト、マンガン、クロム、ニッケル、バナジュウム、銅、モリブデン、亜鉛、ヨウ素、セレン、砒素、及び、錫等がある。
【0059】これらの微量元素は、通常に使用される植物の肥料の濃度を減らした培養液に、微量元素の塩や水酸化物等、水に溶け易い元素化合物の形で添加されて、個別の元素濃度を強化した培養液として調合される。
【0060】培養液に添加される微量元素化合物には、例えば、表2のような化合物が用いられる。
【0061】
【表2】

【0062】水溶液に添加する微量元素化合物は水に容易に溶解する物質でれば、表2以外の化合物も、特定微量元素強化植物の水耕栽培の培養液に用いることができる。
【0063】このようにして植物に強制的に吸収させたい特定の一種類の元素を加えた培養液を用いて図1の装置で引き続き植物を育成すると、その植物は、培養液に加えられた特定の微量元素を生体内に吸収し細胞組織に組み込み、その植物は、個別に添加された元素だけを特に高い濃度で含有する特定元素強化植物となる。
【0064】例えば、この特定元素強化植物は、鉄分を強化した鉄分強化植物とか亜鉛成分を強化した亜鉛成分強化植物として個別に収穫することができる。
【0065】強制的に特定の一種類の元素を吸収させた特定元素強化植物は、栄養補助食品に製造する前に、予め、元素の含有量を分析し、微量元素を所定の割合(予め定められた濃度以上の濃度)で含有する食品原料である特定微量元素強化食材に加工される。
【0066】もっとも、植物に含まれている微量元素は、葉と茎と根の部分では異なるために、分析をする前に、食品として利用する部分の全体、例えば、特定元素強化植物の葉と茎を根の全草を食品の材料に使うときは、その全草を粉末化し均一化した後に成分分析が行われる。
【0067】食品として利用する部分が葉と茎のときは、その葉と茎の部分を粉末化したものの分析をする。
【0068】元素の定量方法は、プラズマ分光分析法が再現性にも優れ最適である。各微量元素ごとに個別に育成された特定元素強化植物の分析値は、特定微量元素強化食材を製造する時の各個別の微量元素の含有量を決めるデータとされる。
【0069】
【表3】

【0070】特定微量元素強化食材は、例えば、表3に示すような値の微量元素の含有量に調整して製造され、この特定微量元素強化食材は、補助栄養食品を製造する時の主剤として使用される。
【0071】
【実施例】牧草種の食用植物の例として、アルファルファ(Medicago sativa L.)を用いた実施例について説明をする。
【0072】まず、アルファルファの種をまき、この実生苗の本葉が3〜4枚になったとき図1の水耕装置に定植する。
【0073】水耕栽培の栽培条件は、(7月の東京近辺の気象条件を考慮して)日照時間は14時間、人工照明下では、平均照度量を10万Lux以上/時間、平均気温を28℃、培養液温を26℃に、非日照時の夜間の平均気温を21℃、培養液温を20℃に設定する。
【0074】培養液の水素イオン濃度はpH6.0に調整することにより、良い生育結果が得られた。
【0075】上述した栽培条件のもとで、定植したアルファルファに根を張らせ、約5〜7週間の間を、栄養相期として栽培した。
【0076】この間に、アルファルファは本葉が発育して、順次、葉及び茎を形成し、茎や葉が成長するばかりでなく、個々の葉腋からは側枝が発育して、固有の茎葉構造が成立する。
【0077】また、根は、主根が分岐を繰り返すとともに、不定根が形成され、全体として、広くまた密に根を張る根系が形成される。
【0078】次にアルファルファを、元素吸収期として約2〜3週間(微量元素の種類によって期間が異なる)栽培をする。元素吸収期には、元素溶液と肥料液との混合された培養液で栽培する。栽培の環境条件は、栄養相期と同一とする。
【0079】元素吸収期の肥料は、上述した葉菜用の水耕栽培専用肥料を2乃至3倍に希釈し肥料液の濃度を減らし、自動追肥装置の原液タンク16に用意する。
【0080】一方、各個別の微量元素を含有する原液は、育成された特定微量元素強化食材における微量元素の含有量(表3)を考慮して0.1〜0.5モル濃度に調整しつつ、各個別の元素保存原液を培養液自動追肥装置の原液タンク17にそれぞれ別個に用意する。
【0081】アルファルファに強制的に吸収させたい特定の一種類の元素を加えた原液タンク17の元素化合物の水溶液は原液タンク16の希釈肥料液と混合され、特定の微量元素を強化した培養液として栽培槽4に供給される。
【0082】栽培槽4に送られた培養液中の微量元素は、アルファルファの根毛より吸収され根幹部に蓄積され、さらに、茎及び葉部に移行する。
【0083】個別の元素含量は植物当り、5〜500mg前後となることが予想される。
【0084】本栽培では、アルファルファを使用しているので、生育環境や培養液条件によって元素含有量幅が著しく変動することとなり、これを防いでアルファルファの品質のばらつきを少なくするために、予め栽培条件等を綿密にバリデートしておかなければならない。
【0085】このようにしてアルファルファに強制的に吸収させたい特定の一種類の元素を加えた培養液を用いて図1の装置で引き続きアルファルファを育成すると、アルファルファは、培養液に加えられた特定の微量元素を生体内に吸収し細胞組織に組み込み、個別に添加された元素だけを特に高い濃度で含有するアルファルファとなる。
【0086】水耕栽培によってアルファルファに強制的に吸収させ、含有量を豊富にした微量元素は、鉄、コバルト、マンガン、クロム、ニッケル、バナジウム、銅、モリブデン、亜鉛、ヨウ素、セレン、ヒ素およびスズ等の元素であり、例えば、鉄分を強化したアルファルファとかコバルトを強化したアルファルファ等として収穫される。
【0087】上記のような微量元素を所定の値以上の含有量となるように個別に強化したアルファルファ(特定元素強化植物)の葉、茎、根の全体(全草)を粉末化して、栄養補助食品を製造するための原料(特定微量元素強化食材)とする。
【0088】収穫され、微量元素の含有量を分析されたアルファルファは、特定微量元素ごとに、根、茎、葉の全草を脱イオン水で洗浄し、凍結乾燥法により乾燥し、必要に応じて例えば、70℃オーブン中で約1時間乾燥される。
【0089】次に、乾燥した全草は、ボールミルを用いて粉末化し、18メッシュのステンレス篩により篩化されることにより、栄養補助食品を製造するための原体が特定微量元素ごとに得られる。
【0090】栄養補助食品の原料として作られたアルファルファによる特定微量元素強化食材は、育成された個体ごとに、微量元素の含有量が異なるために、成分調整をするのが好ましい。
【0091】また、従来知られている微量元素の必要量との関係からも、微量元素含有量の分析値は、微量元素毎の個別の食材原体中の微量元素の含有量を所定の値(例えば表3のような値)に調整するときのデータとしたり、品質の安定した栄養補助食品を製造する時のデータともできるものである。
【0092】この場合に、特定の微量元素を豊富に含むアルファルファは、例えば、それぞれの微量元素の種類ごとに栽培されたアルファルファの全草を微細加工して、全体がほぼ均質に微量元素を含有するようにした特定微量元素強化食材又はアルファルファの全草を粉末に加工して全体を均質化した特定微量元素強化食材の原体(以下これらをまとめて単に食材原体ともいう)にする。
【0093】微細加工されたアルファルファに含まれる微量元素の量が、予め定められた微量元素の含有量と比較して著しく高いときは、同様に微細加工された濃度の低い同種の微量元素のアルファルファの粉体を混入する等して、微量元素ごとの食材原体(特定微量元素強化食材)が、所定の値(例えば、表3の値またはそれ以上の値)の微量元素の含有濃度となるように成分調整をする。
【0094】また、食材原体には、必要に応じて篩過された結晶セルロース、デキストリン、しょ糖脂肪酸エステル等の添加剤(ふ型剤)を混合した後、例えば、直接粉末圧縮法によって打錠して、各微量元素ごとに所定の微量元素を含有する粒状体や錠剤に加工する。
【0095】このように所定の濃度の微量元素を含むように成分調整し、形状を整えられた食材原体を各微量元素ごとに作り、この食材原体を随時組合わせて経口摂取できるように包装して供給すれば、品質的に均質で、かつ、所望の微量元素を必要量だけ摂取できるようにした栄養補助食品としてそのまま、食用に供することができる。
【0096】また、このように成分調整し、形状が整えられた食材原体を原料にして栄養補助食品を製造するときは、微量元素ごとに必要とする量の食材原体を簡単な計量器で計って原料にするだけで、随時、所望の微量元素を強化し所定量含有するような栄養補助食品を簡便に製造し、供給することもできる。
【0097】この食材原体や栄養補助食品は、剤型変更により、カプセル剤、ソフトジェル剤等の半固形剤および液状剤等の製品の形に製造して供給することも可能である。この場合に、上述の経口摂取できるような包装とは、例えば、錠剤やカプセル剤のときは、表1に示す13種の微量元素ごとに、一回分の摂取量の食材原体が紙またはポリプロピレンの包装材による袋やカプセル状の容器に入れられ、錠剤に直接の表示或いは袋やカプセルを形成する包装材に錠剤の色や形の区分でもって各微量元素の区別を印刷したものである。
【0098】また、食材原体が液剤や半固形剤に加工されたときの包装は、表1の13種の微量元素の食材原体を酸化防止剤、懸濁化剤、安定化剤、増量剤(増粘多糖類)等の添加剤とともに混合して容器に入れ、この液剤や半固形剤を計量して一定量用いれば、一日当りの所要量等、必要な量の微量元素が適宜、摂取できるようにしたものである。
【0099】また、本発明による栄養補助食品は、上記のように、人々が古くから人が摂取してきた食品と同じような食材を用いつつ、その食材に含有される元素含有量を個別に強化し、栄養補助食品としたり、強化した栄養補助食品を組合わせて摂取するようにできるので、現在市販されているピコリン酸塩をも含む微量元素化合物や酵母を主体とした栄養補助食品よりも、日常の食品の形態に近くなり、消化吸収され易くなる。
【0100】使用者が望む特定の微量元素を、強化した補助食品を通常の食品乃至は通常の食品の材量と同様にして摂取させることができるので、食事の嗜好やライフスタイルその他の理由から、栄養補助食品によって特定の微量元素の摂取を補う人のみでなく、例えば、虚弱体質者および老人等の栄養補助食品としても期待できるものである。
【0101】さらにまた、本発明による栄養補助食品は、栽培工学ともいうべき観点から、食用植物の生体成分と結合した微量元素によって不足する微量元素を与えるという手段で微量元素摂取の課題を解決したものであり、これにより、微量元素を含む化合物を添加した製品等よりも、体内への吸収効率も高く有効な微量元素の補給が可能になるものである。
【0102】また、本発明の栄養補助食品においては、強化した食品の成分が、実際に摂取されるまでの間は、経口摂取時に、栄養補助食品の原体を組合わせて摂取するようにしているので、必要とされる栄養や元素どうしが反応して成分が変化したり、消化吸収され難い化合物に変質することを極力、防ぐことができ、かつ、必要な微量元素を、適宜に強化した栄養補助食品として提供することができるものである。
【0103】また、本発明の栄養補助食品は、個別に微量元素を豊富に含有させた植物を栄養補助食品に加工し、かつ、その含有量を均質化して経口摂取するようにしているので過剰摂取となり難い上に、本発明の栄養補助食品は、従来の技術に基づく微量元素の摂取に比べて、生体成分に近く、植物生体内の微量元素は生体成分と錯体もしくは強固ではない結合をしているので、例えば、「微量元素を過度に体内に取り入れた場合、ヒトに対して毒性を有するが、植物生体成分と結合した元素では、経口毒性は認められないという研究報告」にも合致するものである。
【0104】また、本発明は、弊害が少ない牧草種の食用植物の実施例として、アルファルファを選択することにより、ヒトに対して優れた吸収能が期待できかつ有効であることを検証した。
【0105】栽培植物の中で、牧草種の植物を本発明に用いるのは、牧草種の植物が、元素の吸収能に特に優れているからである。また、実施例として示すアルファルファは、本来牧草であるが、近年の健康食ブームの中で、もやしとして、実際に人の食事に供され食用となっている植物だからであり、発明者は水耕栽培により緑葉のアルファルファを利用して、栄養補助食品を提供するものである。
【0106】また、牧草種の食用植物としては、アルファルファに限定されるものではなく、これ以外に、イタリアンライグラス(Lolium multiflorumLam.)、オーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)及びクローバー(Trifolium)等のマメ科植物も同様な効果を期すことができ、これらの植物もアルファルファに準じた特性と機能を有した牧草種の食用植物とみなして、本発明の範囲に包含されるものである。
【0107】補助食品は主食等のように大量に使用されるものではなく、かつ、特定微量元素強化食材はその補助食品の原料として限定使用されるものであるので、食用として広く知られていない牧草種の植物であっても、経口摂取をして特に有害でない限り多くの牧草種の植物が相当の許容幅をもって本発明の特定元素強化植物に使用し、特定微量元素強化食材に加工して経口摂取の可能性があるものである。
【0108】上述の意味では、牧草種の植物の中で食用に可能な植物はすべて牧草種の食用植物として、本発明の範囲に包含される。
【0109】
【発明の効果】本発明による栄養補助食品は、牧草種の食用植物を水耕栽培して、個別に特定の微量元素を豊富に含有する強化植物を作り、この特定元素強化植物を微細化した特定の微量元素強化食材の一つ以上を原料として栄養補助食品にしているので、現在市販されているピコリン酸塩をも含む微量元素化合物や酵母を主体とした栄養補助食品と比較して、ヒトにとって吸収し易く有効な栄養補助食品を提供できるものである。
【0110】また、本発明の栄養補助食品は、その製造や使用が簡便且つ効果的であり、使用者が望む特定の微量元素を適宜、強化した補助食品を、通常の食品乃至は通常の食品の材量と同様にして摂取させることができるという効果がある。また、各特定の微量元素を含有する食品材料としてその量の加減が容易なので多様な要求に自然食品で対応できるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】502031902
【氏名又は名称】▲菊▼地 薫
【出願日】 平成14年1月28日(2002.1.28)
【代理人】 【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
【公開番号】 特開2003−219835(P2003−219835A)
【公開日】 平成15年8月5日(2003.8.5)
【出願番号】 特願2002−18633(P2002−18633)