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【発明の名称】 油脂含有飲料
【発明者】 【氏名】山田 泰司
【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内

【氏名】松本 泰正
【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内

【氏名】高橋 善昭
【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内

【氏名】宮谷 司
【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内

【要約】 【課題】

【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C):(A)ジグリセリドを50重量%以上含有する油脂0.5〜5重量%、(B)乳化剤、(C)水を含有し、成分(A)と(B)の重量比(A)/(B)が0.2/1〜4.5/1であり、油滴の平均粒径が15〜50nmである油脂含有飲料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 次の成分(A)、(B)及び(C):(A)ジグリセリドを50重量%以上含有する油脂0.5〜5重量%、(B)乳化剤、(C)水を含有し、成分(A)と(B)の重量比(A)/(B)が0.2/1〜4.5/1であり、油滴の平均粒径が15〜50nmである油脂含有飲料。
【請求項2】 ジグリセリドを構成する脂肪酸の15〜90重量%がω3系不飽和脂肪酸である請求項1記載の飲料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はペットボトル、缶、紙パック、紙容器、密封型プラスチック等の保存容器に充填できる透明度の高い油脂含有飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】健康目的のためにいわゆる動物性油脂を植物性油脂に置き換えた飲料については以前より種々試みがなされている。更に植物性油脂として特にジグリセリドを用いた飲料としては、運動時の体内脂肪をエネルギー源として利用するための健康飲料(特開平8−23941号)や、コレステロール低下又は上昇抑制剤の経口投与組成物(特開昭63−104917号)等があり、その生理的な有益性が示されている。
【0003】ジグリセリドを食品中に配合し、中性脂肪の低下、上昇抑制等の生理効果をより効果的に発現させるためには、ジグリセリドの摂取量を増やすことが必要であり、多量のジグリセリドを容易に取り扱いやすい飲料形態が、嗜好性・市場性の面から望ましい。そして、油脂を含有するにもかかわらず、飲料の風味を損なわず、加熱殺菌時及び長期の保存期間を通して乳化物が不安定化しないようにするため、リン脂質やリポタンパク等の脂質を含有させて乳化する方法や、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤を用いて高圧ホモジナイザーで処理する方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこれらの油脂を飲料に用いる場合、乳化安定性は改善されるものの、油脂乳化物が白濁して外観が著しく低下してしまうため、利用できる飲料はミルクティー、コーヒー、ココア等に限られる。
【0005】従って、本発明は油脂を含有していても外観を損なわない飲料の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、油脂を含有しても外観が損なわれない飲料の研究を重ねた結果、飲料中にジグリセリド高含有油脂と乳化剤を特定の比率で配合することにより、油脂を0.5〜5重量%含有させても、高い透明感をもち、外観が好ましい飲料が得られることを見出した。
【0007】すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):(A)ジグリセリドを50重量%以上含有する油脂0.5〜5重量%、(B)乳化剤、(C)水を含有し、成分(A)と(B)の重量比(A)/(B)が0.2/1〜4.5/1であり、油滴の平均粒径が15〜50nmである油脂含有飲料を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で使用する油脂(成分(A))は、ジグリセリドを50重量%以上含有するが、乳化物の安定性の点で好ましくは60重量%以上、特に70重量%以上であるのが望ましい。
【0009】ジグリセリドの構成脂肪酸中にω3系不飽和脂肪酸を15〜90重量%含有するものが好ましく、更に40〜75重量%、特に40〜60重量%含有するものが好ましい。この範囲であるとジグリセリドの有する生理効果の発現に優れ、飲料の乳化安定性が良く、かつ風味も良い。ここで、ω3系不飽和脂肪酸とは、ω位から3番目の炭素原子に最初の不飽和脂肪酸が位置し、かつ不飽和結合を2つ以上有する不飽和脂肪酸をいい、α−リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等が挙げられる。ω3系不飽和脂肪酸としてはα−リノレン酸が特に望ましい。
【0010】ジグリセリドを含有する油脂は、油脂中からジグリセリドを分離精製して油脂に再添加して、ジグリセリド含有量を調整してもよいが、通常はジグリセリドを多量に含有する油脂を製造して使用するのがよい。
【0011】ジグリセリドを含有する油脂は、ω3系不飽和アシル基等を含有するアマニ油、エゴマ油、シソ油、大豆油、ナタネ油等の加水分解反応、これら各種油脂とグリセリンとのエステル交換反応、かかる油脂由来の脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応等任意の方法により得ることが出来る。反応方法は、アルカリ触媒等を用いた化学反応、リパーゼ等の酵素を用いた生化学反応法のいずれでもよい。また得られたジグリセリドを含有する油脂組成物は、更に大豆油、ナタネ、米油、コーン油等の植物油、牛脂、魚油等の動物油、あるいはそれらの硬化油、分別油、ランダムエステル交換油等を添加してジグリセリドの含有量を調整し、モノグリセリド、トリグリセリド、遊離脂肪酸の含有量を調整してもよい。
【0012】成分(A)の全構成脂肪酸のうち、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、特に70重量%以上が不飽和脂肪酸であることが、乳化物の安定性の点で好ましい。
【0013】成分(A)の含有量は、本発明飲料中0.5〜5重量%であるが、好ましくは0.5〜4重量%、更に好ましくは0.5〜3重量%である。成分(A)が0.5重量%未満だと生理的有用性を得るために摂取する飲料の量が増えて不快感を伴う。また、成分(A)が5重量%を超えると飲料の透明度が落ち、外観上好ましくない。
【0014】本発明で使用される乳化剤(成分(B))としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、1種又は数種類を使用してもよい。脂肪酸の炭素数としては12〜18が、風味、乳化力の点から好ましい。また、HLBについては8以上、好ましくは12以上、特に14以上であることが乳化力の点で好ましい。なお、HLBはGriffin法(W.C. Griffin, J. Soc. Cosmetic Chemists, 1, 311(1949))に基づいた値を用いる。
【0015】本発明の飲料における成分(A)は、成分(B)に対し、重量比で(A)/(B)=0.2/1〜4.5/1であるが、0.3/1〜4.0/1、特に0.4/1〜3.0/1であるのが好ましい。重量比が4.5を超えると透明度が低下し、0.2より小さいと乳化剤由来の風味が顕著になってしまう。本発明飲料中の成分(B)は1〜12重量%、更に2〜10重量%、特に2〜8重量%が好ましい。
【0016】本発明の飲料における油滴の平均粒径は15〜50nmであるが、特に15〜40nmであるのが好ましい。油滴の平均粒径を15nm未満にするには機械的負荷が過大になりすぎ、50nmを超える場合は光の透過率が低く、透明性が低下する。ここで平均粒径は、動的光散乱法〔粒度分布測定機LB−500(堀場製作所(株))〕で測定された値をいう。本発明飲料は透明度が高く、波長700nmの光の透過率が70%以上、特に72%以上が好ましい。
【0017】本発明の飲料には、さらに(C)水を含有する。水の含有量は80〜98.5重量%、さらに85〜98.5重量%、特に90〜98.5重量%が好ましい。また本発明の飲料は、これら成分(A)、(B)及び(C)の他に、リン脂質又はリポ蛋白を加えると、乳化安定性と風味の点で好ましい。例えばリン脂質としては、ジグリセリド−3−リン酸(ホスファチジン酸)及びその誘導体、モノグリセリドジグリセリド−3−リン酸(リゾホスファチジン酸)及びその誘導体、セラミド−1−リン酸(セラミドリン酸)及びその誘導体が挙げられ、またリポ蛋白としては、レシチンやリゾレシチン等のリン脂質混合物と蛋白質、糖類といった食品成分との混合物等が挙げられる。例えば、リポ蛋白はリン脂質と蛋白質との混合複合物であり、大豆レシチン、卵黄レシチン等のリン脂質と乳蛋白質、大豆蛋白質等の蛋白質を混合した後、練り合わせたり凍結乾燥させたりすることで得られるものである。このリン脂質又はリポ蛋白は、併用してもよい。リン脂質又はリポ蛋白は、本発明の飲料中に0.01〜0.6重量%、更に0.02〜0.6重量%、特に0.05〜0.5重量%含有するのが好ましい。
【0018】本発明の飲料には上記成分の他に水、甘味料、酸味料、無機酸(塩)類、有機酸(塩)類等を含有してもよい。また、アスコルビン酸ナトリウムなどのビタミン、カラギーナン、デキストリン、シクロデキストリン、酸化防止剤、香料、色素類、保存料、調味料、果汁エキス、野菜エキス、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を適宜配合してもよい。
【0019】甘味料としては、砂糖、ショ糖、ぶどう糖、果糖、異性化液糖、グリチルリチン、ステビア、アスパルテーム、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、水飴、エリスリトール、スクラロース、マルチトール、ソルビトール、サッカリンナトリウム等が挙げられる。これらは飲料中に0〜60重量%、特に0〜20重量%含有させるのが良い。
【0020】酸味料としては、天然成分から抽出した果汁類の他に、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、グルコン酸等が挙げられる。酸味料は飲料中に0〜10重量%、特に0〜5重量%含有させるのが良い。
【0021】無機酸(塩)類としてはリン酸、リン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等が、有機酸(塩)類としてはクエン酸、コハク酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸ナトリウム、グルコン酸等が挙げられる。これらは飲料中に0〜10重量%、特に0〜5重量%含有させるのが良い。
【0022】本発明の飲料は、成分(A)を成分(B)により乳化させて得られるが、その乳化方法は、例えば予め油脂、水と乳化剤をホモミキサー等で予備乳化し、その後少なくとも50MPa以上の高圧ホモジナイザーで処理し、その後適宜抽出液や糖類、添加物を混合し、容器詰め飲料としてもよく、また飲料中に乳化剤と油脂を所定量配合した後に、乳化工程により飲料の透明化を行ってもよい。
【0023】本発明の飲料は透明度が高いので、種々の容器に充填した容器詰飲料とするのが好ましい。容器詰飲料に使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の形態で提供することができる。
【0024】容器詰飲料は例えば金属缶のように容器に充填後、食品衛生法に定められた殺菌条件で製造される。PETボトル、紙容器、密封型プラスチックカップの様にレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器等で高温短時間殺菌後、一定の温度まで冷却して容器に充填する等の方法が用いられる。また無菌下で充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。
【0025】
【実施例】以下の実施例において、油脂のメジアン径測定は堀場製作所製LB−500を用いて動的光散乱法によって行った。透過率は島津製作所製UV−160Aを用いて光路長1cmの石英セルで波長700nmの光の透過率を測定した。
【0026】油脂の製造例油脂A:アマニ脂肪酸650重量部とグリセリン107重量部の混合物にリポザイムIM(ノボ・ノルディスクバイオインダストリー社製)を加えて、40℃、5時間、0.07hPaでエステル化反応を行った後、分子蒸留(215℃、0.07hPa)を行った。次いで脱色、水洗し、215℃で2時間脱臭し、油脂を得た。以下の使用した油脂の組成を表1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】実施例1ポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学サンソフトA−121E、HLB=14.0)30gを水455gに溶解し、65℃に昇温した後、油脂Aを15g混合し、ホモミキサー(特殊機化製TKロボミックス)にて均一に分散させ、予備乳化物を作成した。この予備乳化物を高圧式均質圧バルブ型乳化機(APV社製LAB2000)にて150MPaで乳化処理した。メジアン径と波長700nmの光の透過率を表2に示す。
【0029】実施例2ポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学サンソフトA−121E)21.4gを水463.6gに溶解し、65℃に昇温した後、油脂Aを15g混合し、ホモミキサー(特殊機化製TKロボミックス)にて均一に分散させ、予備乳化物を作成した。この予備乳化物を高圧式均質圧バルブ型乳化機(APV社製LAB2000)にて150MPaで乳化処理した。メジアン径と波長700nmの光の透過率を表2に示す。
【0030】実施例3ポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学サンソフトA−121E)15gを水470gに溶解し、65℃に昇温した後、油脂Aを15g混合し、ホモミキサー(特殊機化製TKロボミックス)にて均一に分散させ、予備乳化物を作成した。この予備乳化物を高圧噴射式ホモジナイザー(BEE INTERNATIONAL社製De Bee2000)にて280MPaで乳化処理した。メジアン径と波長700nmの光の透過率を表2に示す。
【0031】比較例1ポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学サンソフトA−121E)3gを水482gに溶解し、65℃に昇温した後、油脂Aを15g混合し、ホモミキサー(特殊機化製TKロボミックス)にて均一に分散させ、予備乳化物を作成した。この予備乳化物を高圧式均質圧バルブ型乳化機(APV製LAB2000)にて150MPaで乳化処理した。メジアン径と波長700nmの光の透過率を表2に示す。
【0032】
【表2】

【0033】表2より本発明の飲料は透明度が高く、かつ乳化安定性も良好であった。これに対し、油脂/乳化剤比が本発明の範囲外である比較例は油滴も大きく、透明度が極めて低かった。
【0034】実施例4〜5透明な飲料であるフルーツジュースと烏龍茶についての実施例を表3に示す。
【0035】
【表3】

【0036】本発明品はいずれも比較例に比べ、油脂を含有しつつも透明性を保つことを示している。
【0037】
【発明の効果】本発明の飲料は油脂を含有していても透明度が高く、外観を損なわない。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
【出願日】 平成13年12月17日(2001.12.17)
【代理人】 【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸 (外6名)
【公開番号】 特開2003−180312(P2003−180312A)
【公開日】 平成15年7月2日(2003.7.2)
【出願番号】 特願2001−382775(P2001−382775)