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【発明の名称】 ジャガイモの処理方法及び該処理物を用いたポテトサラダの製造方法
【発明者】 【氏名】磯野 義和
【住所又は居所】東京都府中市住吉町5丁目13番地の1キユーピー株式会社研究所内

【氏名】繁原 真弓
【住所又は居所】東京都府中市住吉町5丁目13番地の1キユーピー株式会社研究所内

【氏名】岡藤 浩史
【住所又は居所】東京都府中市住吉町5丁目13番地の1キユーピー株式会社技術本部内

【氏名】山下 栄一
【住所又は居所】東京都府中市住吉町5丁目13番地の1キユーピー株式会社技術本部内

【氏名】勝野 雅人
【住所又は居所】東京都府中市住吉町5丁目13番地の1キユーピー株式会社技術本部内

【要約】 【課題】製造直後のジャガイモ処理物のホクホクした食感が長期に亘り維持されるジャガイモの処理方法及び該処理物を用いたポテトサラダの製造方法を提供する。

【解決手段】皮剥きし、0.5〜30cmの大きさにしたジャガイモを85〜100℃の熱水と90〜105℃の蒸気で連続的に加熱処理した後、冷却するジャガイモの処理方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 皮剥きし、0.5〜30cmの大きさにしたジャガイモを85〜100℃の熱水と90〜105℃の蒸気で連続的に加熱処理した後、冷却することを特徴とするジャガイモの処理方法。
【請求項2】 熱水での加熱処理が熱水シャワーで行なう請求項1記載のジャガイモの処理方法。
【請求項3】 加熱処理後の冷却が風冷で行なう請求項1又は2記載のジャガイモの処理方法。
【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の処理方法で得られたジャガイモ処理物を用いたポテトサラダの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジャガイモの新規な処理方法及び該処理物を用いたポテトサラダの製造方法に関し、詳しくは、蒸かしたジャガイモのホクホクした食感を生かした例えば、ポテトサラダ等の食材に好適な処理方法であり、製造直後のジャガイモのホクホクした食感が長期に亘り維持される。
【0002】
【従来の技術】ジャガイモは、ホクホクした食感から和食・洋食・中華等、色々な料理の食材として広く利用されている。特に、ポテトサラダは、蒸かしたジャガイモとマヨネーズ等の酸性調味料を和えたものであり、ポテトサラダの全体の食感は、その中に含まれる塊状の蒸かしたジャガイモの食感に左右され易い。
【0003】美味しいポテトサラダを製するためのジャガイモの処理方法は、種々の料理書を見ると一般的に、粒のそろったジャガイモを皮付きのまま柔らかくなるまで茹で、熱いうちに皮を剥いて、これをポテトサラダに用いる、と記載されている。しかし、この方法は、家庭で少量処理する場合は問題無いが、これを工業的規模で大量に処理するとなると、茹でた柔らかい状態にあるジャガイモから皮を剥くことは機械的に難しく、結局は人手により行なうしかなく、コストがかかるという問題がある。そこで、工業的規模でジャガイモを処理する方法としては、例えば、特開平7−23731号公報、特開平9−75030号公報には、皮剥きしたジャガイモを熱水あるいは蒸気で処理する方法、また、特開昭60−70044号公報、特開平2−35035号公報には、皮剥きしたジャガイモを温水と蒸気とを組合わせた処理方法等が開示されている。
【0004】しかしながら、上述の処理方法の内、熱水のみで処理する方法は、皮剥きしたジャガイモを用いるためか、工業的規模で製する場合、ほどよい柔らかさにコントロールすることが難しく、しばしば水っぽい食感となる。また、蒸気、あるいは温水と蒸気を組合わせた方法は、得られたジャガイモ処理物をポテトサラダに用いると、製造直後はホクホクした食感を有するが、冷蔵で長期間保存するとボソボソした食感となり、製造直後の好ましい食感を維持することが出来ないという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的は、製造直後のジャガイモ処理物のホクホクした食感が長期に亘り維持されるジャガイモの処理方法及び該処理物を用いたポテトサラダの製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目的を達成すべく皮剥きしたジャガイモの加熱処理方法の諸条件に付いて鋭意研究を重ねた結果、特定の大きさのジャガイモを特定温度範囲の熱水と蒸気で連続的に処理することにより、長期間に亘り製造直後のホクホクした食感が維持されることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)皮剥きし、0.5〜30cmの大きさにしたジャガイモを85〜100℃の熱水と90〜105℃の蒸気で連続的に加熱処理した後、冷却するジャガイモの処理方法、(2)熱水での加熱処理が熱水シャワーで行なう(1)のジャガイモの処理方法、(3)加熱処理後の冷却が風冷で行なう(1)又は(2)のジャガイモの処理方法、(4)(1)乃至(3)のいずれかの処理方法で得られたジャガイモ処理物を用いたポテトサラダの製造方法、を提供することである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明を説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味する。本発明の処理方法は、まず、ジャガイモの皮を剥き、そして、必要に応じ芽を取り除いた後、大きさが0.5〜30cm、好ましくは1〜20cmとなるようにカットする。ジャガイモの大きさが0.5cmより小さいと、短時間で加熱処理が可能であるが、処理中に塊状物が崩れたり、また程度な柔らかさの食感にコントロールすることが難しく、一方、30cmより大きいと、中心部までに熱がかかるのに時間を要し、得られた処理物で、例えば、ポテトサラダを製し冷蔵で長期間保存すると、ボソボソとした食感となり、製造直後のホクホクした食感を維持することが出来ず好ましくない。カット物の形状は、その殆どが塊状物であれば特に限定するものではないが、均一な食感を得られやすいことから略ダイス状にカットしたほうが好ましく、上記大きさの範囲となるように工業的に製するには、例えば、約0.8〜3cmの目開きのダイサーを用いてカットするよい。
【0008】皮剥きし、特定の大きさにカットしたジャガイモを次に、85〜100℃、好ましくは90〜100℃の熱水で処理する。85℃より低い温水で処理すると、その後、本発明に準じて処理したとしても、得られた処理物で、例えば、ポテトサラダを製し冷蔵で保存すると、ボソボソとした食感となり、製造直後のホクホクした食感を維持することが出来ず好ましくない。なお、熱水の水温の上限を100℃としているが、これは100℃より高い熱水を用いるとなると、処理を行なう雰囲気を加圧状態とする必要があり、そのため大規模な設備を要し、また連続的に処理を施すことが難しく生産性に劣り好ましくない。
【0009】ここで、熱水で処理するとは、熱水がジャガイモに直接、接触するように加熱処理することを意味し、具体的には、例えば、熱水中にジャガイモを浸漬する方法、ジャガイモに熱水をシャワーリングする方法等が挙げられる。特に、後者の熱水シャワーで行なう方法は、熱水の温度コントロールが容易で、一定温度の熱水を常時、ジャガイモにシャワーリングすることが出来ることから、ジャガイモの品温が素早く上昇し熱交換率に優れており、また、シャワーリング後の水をプレートヒーター等で所望の温度に再加熱して、再度、熱水シャワーとして使用することができるので、浸漬する方法に比べ少ない水の量で処理が可能であり、生産性に優れ好ましい。
【0010】熱水に用いる水は、清水ばかりでなく、例えば、食塩、塩化カリウム等の塩類、砂糖、グルコース、オリゴ糖、トレハロース、デキストリン、デキストリンアルコール等の糖類等の水溶液を用いてもよく、その濃度は、0.05〜1%が好ましく、0.1%以上0.5%未満がより好ましい。また、本発明は、カットしたジャガイモを85〜100℃の熱水で処理するが、その処理時間は、中心品温が80℃以上になる程度に行なえば良く、ジャガイモの大きさ及び熱水の液温にもよるが、具体的には、2〜20分間が好ましく、3〜15分間がより好ましい。
【0011】熱水で加熱処理したジャガイモを引き続き90〜105℃、好ましくは95〜105℃の蒸気で加熱処理を行なう。また、その処理時間は、全体がホクホクとなる程度まで行なうと良く、ジャガイモの大きさ及び蒸気の温度にもよるが、具体的には、15〜120分間が好ましい。90℃より低い温度の蒸気で加熱処理を行なうと、ホクホクした食感となるまでに時間を要するばかりか、得られたジャガイモ処理物で例えば、ポテトサラダを製し冷蔵で保存すると、ボソボソした食感となり好ましくない。一方、105℃より高い蒸気を用いるとなると、処理を行なう雰囲気を加圧状態とする必要があり、そのため大規模な設備を要し、また連続的に処理を施すことが難しく生産性に劣り好ましくない。
【0012】次に、加熱処理したジャガイモを冷却する。冷却方法としては、例えば、送風機や吸引機による風冷、真空冷却機による真空冷却、冷蔵庫による冷却等、任意の方法を用いることが出来るが、得られたジャガイモ処理物のホクホクした食感が維持され易いことや生産効率等の点で風冷が好ましい。冷却後の品温としては、得られたジャガイモ処理物の用途により異なるが、0〜60℃程度に冷却すれば良く、例えば、ポテトサラダに用いる場合は、製造直後のホクホクした食感が長期間に亘り維持され易いことから20〜60℃が好ましく、25〜60℃がより好ましい。
【0013】以上、本発明の処理方法により得られたジャガイモ処理物は、色々な料理の食材として用いられ例えば、ポテトサラダのように冷蔵で保管したとしても、ジャガイモのホクホクした食感が長期に亘り維持される。また、本発明のジャガイモ処理物は、本発明の処理を施した後、引続き料理の食材として用いても良く、あるいはポリ袋やトレー容器等の容器に移し、一旦、冷蔵保管し、必要に応じ調理の際に用いても良い。本発明で得られたジャガイモ処理物を用いた料理としては、ホクホクした食感のジャガイモの塊状物を含有した料理であれば、何れの料理でも良く例えば、ポテトサラダ、肉じゃが、カレー、シチュー、グラタン等が挙げられる。特に、ジャガイモの食感が料理全体の食感を左右し易いポテトサラダに好適であり、その中でも0〜10℃の冷蔵下で一週間以上保存されるロングライフタイプのポテトサラダにより好適である。
【0014】本発明のポテトサラダは、ジャガイモの塊状物を含有したポテトサラダであり、その製造方法は、本発明の処理方法で得られたジャガイモ処理物を塊状物として用いる以外は、常法に則りその他の具材とマヨネーズを加えて混合すると良い。ここでマヨネーズとは、通常マヨネーズと称されるものは勿論のこと、サラダドレッシングと称されるものも含まれる。また、その他の具材とは、ポテトサラダに用いられているものであれば、特に制限はなく、例えば、にんじん、きゅうり、玉ねぎ、コーン、ハム、コンビーフ、ツナ肉、キクラゲ等が挙げられる。ポテトサラダの配合割合は、通常のポテトサラダと同様に、具体的には、40〜80部のジャガイモ、5〜30部のその他の具材、10〜30部のマヨネーズ、必要に応じ、砂糖、食塩、胡椒、グルタミン酸ナトリウム、各種蛋白質の分解物等の調味料、澱粉、化工澱粉、ガム類等の増粘材、グリシン、酢酸ナトリウム、リゾチーム、プロタミン、ポリリジン等の静菌剤等を配合する。
【0015】そして、常法に則り製されたポテトサラダは、ポリ袋やトレイ容器等の容器に充填し、業務用のポテトサラダとして供給される。また、容器に充填・密封したものを常法に準じて、例えば、60〜100℃の熱水等で約30〜90分間殺菌すれば長期保存が可能なロングライフタイプのポテトサラダが得られる。
【0016】次に、本発明を実施例及び試験例に基づき、さらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0017】
【実施例】[実施例1]皮を剥き芽取り済みのジャガイモをフードカッターで約2cmダイス(約5〜9cm)にカットした。そして、このカット物に90℃の熱水(0.2%食塩水)を5分間シャワーリングし、引続き100℃の蒸気で40分間蒸煮した。この加熱物を送風機で品温が25℃程度となるまで風冷にて冷却しジャガイモ処理物を得た。
【0018】[実施例2]実施例1において、熱水によるシャワーリングに代えて、熱水(0.2%食塩水)中に浸漬する方法を用いた以外は実施例1と同様な方法で処理しジャガイモ処理物を得た。
【0019】[実施例3]実施例1において、風冷による冷却方法を真空冷却機を用いた真空冷却で行なった以外は実施例1と同様な方法で処理しジャガイモ処理物を得た。
【0020】[実施例4]下記に示すポテトサラダの配合割合に記載の食材を準備した。これらの食材をミキサーに投入後、実施例1で得られたジャガイモ処理物の塊状物が残るようにゆっくり撹拌させながら全体が均一となるまで混合した。得られたポテトサラダをポリ袋に4kgずつ充填・密封し、70℃の温水で60分間殺菌した後、約10℃の品温となるまで冷水で冷却しロングライフタイプのポテトサラダを得た。得られたポテトサラダは、ジャガイモの塊状物のホクホクした食感が長期に亘り維持され、ポテトサラダとして好ましいものであった。なお、下記の配合割合において、ジャガイモ(2cmダイス)は、実施例1で得られたジャガイモ処理物であり、ジャガイモ(クラッシュ)は、実施例1で得られたジャガイモ処理物を更に潰したものであり、玉ねぎ(1cmダイス)は、可食部をフードカッターで約1cmダイスにカットとした後、約90℃の熱水で5分間加熱処理したものであり、にんじん(0.5cmダイス)は、外皮を除いた後、フードカッターで約0.5cmダイスにカットし、その後、約95℃の熱水で5分間加熱処理したものを用いた。
【0021】
<ポテトサラダの配合割合>・ジャガイモ(2cmダイス) 45部・ジャガイモ(クラッシュ) 20部・玉ねぎ(1cmダイス) 5部・にんじん(0.5cmダイス) 5部・マヨネーズ 20部 (業務用の耐熱性マヨネーズ:キユーピー(株)製)
・酢酸ナトリウム 0.5部・グリシン 0.5部・グルタミン酸ナトリウム 0.5部・清水 3.5部【0022】[比較例1]皮を剥き芽取り済みのジャガイモをフードカッターで約2cmダイス(約5〜9cm)にカットした。そして、このカット物を100℃の蒸気で50分間蒸煮した。この加熱物を真空冷却機で品温が25℃程度となるまで冷却しジャガイモ処理物を得た。
【0023】[比較例2]皮を剥き芽取り済みのジャガイモをフードカッターで約2cmダイス(約5〜9cm)にカットした。そして、このカット物に70℃の温水(0.2%食塩水)に5分間浸漬し、引続き100℃の蒸気で40分間蒸煮した。この加熱物を真空冷却機で品温が25℃程度となるまで冷却しジャガイモ処理物を得た。
【0024】[比較例3]皮を剥き芽取り済みのジャガイモ(約60〜100cm)をそのまま90℃の熱水(0.2%食塩水)で3分間シャワーリングし、引続き100℃の蒸気で60分間蒸煮した。この加熱物を送風機で品温が25℃程度となるまで冷却しジャガイモ処理物を得た。
【0025】[比較例4]皮を剥き芽取り済みのジャガイモをフードカッターで約2cmダイス(約5〜9cm)にカットした。そして、このカット物に85℃の熱水(0.2%食塩水)を3分間シャワーリングし、引続き80℃の蒸気で90分間蒸煮した。この加熱物を送風機で品温が25℃程度となるまで冷却しジャガイモ処理物を得た。
【0026】
【試験例】[試験例1]実施例1乃至3、及び比較例1乃至4で得られたジャガイモ処理物を用いて実施例4に準じ、ポテトサラダを製した。得られたポテトサラダを冷蔵庫(約4℃)で保存し、各保存後におけるジャガイモの塊状物のホクホク感に付いて評価した。
【0027】
【表1】

【0028】表中の記号は下記のとおりである。
◎:ホクホクした食感を有する。
○:若干、ホクホクした食感が劣るが問題とならない程度である。
△:ややボソボソした食感を有する。
×:ボソボソした食感を有する。
【0029】表1より、本発明の処理方法で得られたジャガイモ処理物を用いたポテトサラダは、ジャガイモの塊状物のホクホクした食感が長期に亘り維持されていることが理解される。特に、本発明の処理方法において、風冷を用いた実施例1及び2は、更にホクホクした食感が維持される。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のジャガイモ処理方法は、得られたジャガイモ処理物を用い例えば、ポテトサラダを製し冷蔵で保存したとしても、製造直後のホクホクした食感が長期に亘り維持され、ポテトサラダとして好ましい食感を有する。特に、本発明の処理方法において、風冷による冷却方法を用いると、その食感が更に維持されて好ましい。また、本発明の処理方法において、熱水をシャワーリングする方法は、生産性に優れ工業的規模での生産に適している。
【出願人】 【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
【住所又は居所】東京都渋谷区渋谷1丁目4番13号
【出願日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−180287(P2003−180287A)
【公開日】 平成15年7月2日(2003.7.2)
【出願番号】 特願2001−388776(P2001−388776)