| 【発明の名称】 |
真空マイクロ波解凍機、及び真空マイクロ波解凍方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 信雄 【住所又は居所】東京都港区芝浦1丁目1番1号 株式会社東芝本社事務所内
【氏名】杉山 芳喜 【住所又は居所】静岡県田方郡大仁町神島字日之前244番地 東静電気株式会社内
【氏名】浅原 崇 【住所又は居所】静岡県田方郡大仁町神島字日之前244番地 東静電気株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】被解凍物の複数箇所の表面温度を検出して、被解凍物の局部加熱が生じないように加熱操作することができ、ドリップの発生しない良好な状態の解凍仕上がりを実現することができる真空マイクロ波解凍機、及びこれを使用して行う真空マイクロ波解凍方法を提供する。
【解決手段】減圧工程と復圧工程とを繰り返し行いながらマイクロ波を照射して被解凍物73を加熱し解凍を行う真空マイクロ波解凍機1であって、被解凍物73を収容するチャンバー10内に、被解凍物73の複数箇所の表面温度を検出し、各検出箇所の温度検出値a、b、c、d…をそれぞれ出力する非接触型温度センサー70を配している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被解凍物を収容するチャンバーと、該チャンバー内を減圧する真空ポンプと、上記チャンバー内を復圧する調圧弁と、上記チャンバー内へマイクロ波を照射するマイクロ波発生器と、上記真空ポンプ、調圧弁、及びマイクロ波発生器を制御する制御装置とを有し、該制御装置の制御の下で減圧工程と復圧工程とを繰り返し行いながらマイクロ波を照射して被解凍物を加熱し解凍を行う真空マイクロ波解凍機において、上記チャンバー内に、被解凍物の複数箇所の表面温度を検出し、各検出箇所の温度検出値をそれぞれ出力する非接触型温度センサーを設け、該非接触型温度センサーからの温度信号を制御装置に入力して被解凍物の温度を複数箇所で管理することを特徴とする真空マイクロ波解凍機。 【請求項2】 前記制御装置は、温度検出値の平均が基準値に到達するとマイクロ波発生器の出力を停止するとともに、減圧を停止してチャンバー内を大気開放する構成であることを特徴とする請求項1に記載の真空マイクロ波解凍機。 【請求項3】 前記制御装置は、温度検出値の平均が前記基準値よりも低い温度であって、かつ検出箇所間の温度差が、予め設定した所定温度以上であるときは、マイクロ波発生器の出力を低下および/または照射時間を短縮して解凍サイクルを継続し、前記温度検出値の平均が基準値に到達するとマイクロ波発生器の出力を停止するとともに、減圧を停止してチャンバー内を大気開放する構成であることを特徴とする請求項1に記載の真空マイクロ波解凍機。 【請求項4】 前記制御装置は、温度検出値の平均が前記基準値よりも低い温度であって、かつ検出箇所間の温度差が、予め設定した所定温度を超えると、マイクロ波の出力を停止して解凍作業を中断する構成であることを特徴とする請求項1に記載の真空マイクロ波解凍機。 【請求項5】 減圧工程と復圧工程とを繰り返し行いながらマイクロ波を照射して被解凍物を加熱し解凍を行う真空マイクロ波解凍方法において、被解凍物の複数箇所の表面温度を検出し、該温度検出値の平均が基準値に到達するとマイクロ波の出力を停止すると共に、減圧を停止して被解凍物を収容するチャンバー内を大気開放し、解凍作業を終了することを特徴とする真空マイクロ波解凍方法。 【請求項6】 前記温度検出値の平均が基準値よりも低い温度であり、かつ検出箇所間の温度差が所定温度以上であるときは、マイクロ波の出力を低下および/または照射時間を短縮して解凍サイクルを継続し、前記温度検出値の平均が基準値に到達すると解凍作業を終了することを特徴とする請求項5に記載の真空マイクロ波解凍方法。 【請求項7】 減圧工程と復圧工程とを繰り返し行いながらマイクロ波を照射して被解凍物を加熱し解凍を行う真空マイクロ波解凍方法において、被解凍物の複数箇所の表面温度を検出し、該温度検出値の検出箇所間の温度差が予め設定した所定温度を超えるときは、マイクロ波の出力を停止して解凍作業を中断することを特徴とする真空マイクロ波解凍方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、減圧状態でマイクロ波を照射して被解凍物の加熱解凍を行う真空マイクロ波解凍機、及び該解凍機により実施する真空マイクロ波解凍方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の真空マイクロ波解凍機は、減圧工程と復圧工程とを繰り返し行いながら、減圧工程においてマイクロ波を照射して被解凍物を加熱し解凍を行う装置であり、この種の真空マイクロ波解凍機には、被解凍物を収容するチャンバーと、該チャンバー内を減圧する真空ポンプと、該真空ポンプにより減圧したチャンバー内を復圧する復圧手段と、上記減圧工程においてチャンバー内へマイクロ波を照射するマイクロ波発生器とが備えられている。 【0003】この種の真空マイクロ波解凍機では、真空ポンプにより一定の吸引力を与えて、この時の単位時間当たりの減圧変化を真空センサーにより検出し、減圧変化が少なくなって平衡状態になったとみなせるときの圧力から被解凍物の温度を推測し、この推測温度が解凍終了温度に到達すると解凍作業を終了していた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の真空マイクロ波解凍機では、被解凍物の温度を直接検出していないので、加熱むらにより被解凍物が局部的に加熱されていても、被解凍物の平均温度として推測しているため、解凍作業の終了時には、例えば被解凍物の一部分が0℃以上となり、ドリップの発生する状態の悪い解凍仕上がりとなる可能性があった。 【0005】この様に、従来の真空マイクロ波解凍機では、被解凍物の部位による温度のばらつきに対して対処することができなかった。 【0006】そこで、本発明は、被解凍物の複数箇所の表面温度を検出して、被解凍物の局部加熱が生じないように加熱操作することができ、ドリップの発生しない良好な状態の解凍仕上がりを実現することができる真空マイクロ波解凍機、及びこれを使用して行う真空マイクロ波解凍方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記に鑑み提案されたもので、請求項1に記載のものは、被解凍物を収容するチャンバーと、該チャンバー内を減圧する真空ポンプと、上記チャンバー内を復圧する調圧弁と、上記チャンバー内へマイクロ波を照射するマイクロ波発生器と、上記真空ポンプ、調圧弁、及びマイクロ波発生器を制御する制御装置とを有し、該制御装置の制御の下で減圧工程と復圧工程とを繰り返し行いながらマイクロ波を照射して被解凍物を加熱し解凍を行う真空マイクロ波解凍機において、上記チャンバー内に、被解凍物の複数箇所の表面温度を検出し、各検出箇所の温度検出値をそれぞれ出力する非接触型温度センサーを設け、該非接触型温度センサーからの温度信号を制御装置に入力して被解凍物の温度を複数箇所で管理することを特徴とする真空マイクロ波解凍機である。 【0008】請求項2に記載のものは、前記制御装置が、温度検出値の平均が基準値に到達するとマイクロ波発生器の出力を停止するとともに、減圧を停止してチャンバー内を大気開放する構成であることを特徴とする請求項1に記載の真空マイクロ波解凍機である。 【0009】請求項3に記載のものは、前記制御装置が、温度検出値の平均が前記基準値よりも低い温度であって、かつ検出箇所間の温度差が、予め設定した所定温度以上であるときは、マイクロ波発生器の出力を低下および/または照射時間を短縮して解凍サイクルを継続し、前記温度検出値の平均が基準値に到達するとマイクロ波発生器の出力を停止するとともに、減圧を停止してチャンバー内を大気開放する構成であることを特徴とする請求項1に記載の真空マイクロ波解凍機である。 【0010】請求項4に記載のものは、前記制御装置が、温度検出値の平均が前記基準値よりも低い温度であって、かつ検出箇所間の温度差が、予め設定した所定温度を超えると、マイクロ波の出力を停止して解凍作業を中断する構成であることを特徴とする請求項1に記載の真空マイクロ波解凍機である。 【0011】請求項5に記載のものは、減圧工程と復圧工程とを繰り返し行いながらマイクロ波を照射して被解凍物を加熱し解凍を行う真空マイクロ波解凍方法において、被解凍物の複数箇所の表面温度を検出し、該温度検出値の平均が基準値に到達するとマイクロ波の出力を停止すると共に、減圧を停止して被解凍物を収容するチャンバー内を大気開放し、解凍作業を終了することを特徴とする真空マイクロ波解凍方法である。 【0012】請求項6に記載のものは、前記温度検出値の平均が基準値よりも低い温度であり、かつ検出箇所間の温度差が所定温度以上であるときは、マイクロ波の出力を低下および/または照射時間を短縮して解凍サイクルを継続し、前記温度検出値の平均が基準値に到達すると解凍作業を終了することを特徴とする請求項5に記載の真空マイクロ波解凍方法である。 【0013】請求項7に記載のものは、減圧工程と復圧工程とを繰り返し行いながらマイクロ波を照射して被解凍物を加熱し解凍を行う真空マイクロ波解凍方法において、被解凍物の複数箇所の表面温度を検出し、該温度検出値の検出箇所間の温度差が予め設定した所定温度を超えるときは、マイクロ波の出力を停止して解凍作業を中断することを特徴とする真空マイクロ波解凍方法である。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の真空マイクロ波解凍機の外観を示す正面図である。図2は、本実施形態の真空マイクロ波解凍機の右側面における内部構造を示す概略図である。 【0015】図1に示すように、本実施形態の真空マイクロ波解凍機1は、筐体2上部に、冷凍食品等の被解凍物を収容する食品収容部3が配設され、下部には後述する駆動モータや真空ポンプ等を収納する機械収納部4が配設され、最上部には制御装置を収納する制御部5が備えられており、この制御部5の前面パネルには、被解凍物の重量や解凍時間等を表示する表示部6と、電源のオン/オフや各種の設定値等を入力する操作部7とが設けられている。また、真空マイクロ波解凍機1の筐体2の下面には、本解凍機1の移動を容易にするためのキャスター8が設けられている。 【0016】図1及び図2に示すように、本実施形態の真空マイクロ波解凍機1における食品収容部3の本体は前面に開口部を有する中空箱体状のチャンバー10によって構成され、該チャンバー10は電磁波を遮断しうる内壁構造を有する金属製耐圧気密容器として形成されている。このチャンバー10の前面開口部には、チャンバー10内を密閉状態で閉成しうるドア11が正面右側端部のヒンジ部を介して開閉自在に取り付けられており、該ドア11の開放側となる前面左側にはその開閉操作の際に把持する把手12が取り付けられ、該ドア11とチャンバー10との間には電磁波が外部へ洩れるのを防止するための金属網紐製の電磁波シール材とチャンバー10内の気密性を維持する気密シール材とが装着されている。 【0017】チャンバー10内の底部には、回転軸13が軸受14に支承されて起立した状態で回転自在に設けられており、この回転軸13の上端部には上記チャンバー10内で被解凍物を載置して回転するターンテーブル15が着脱自在に取り付けられ、この回転軸13の基端部には減速機構を介してテーブル駆動モータ16が接続されている。 【0018】チャンバー10の背面中央部には、該チャンバー10内に連通した直状導波管20及びレジューサ導波管21を介して、該チャンバー10内へマイクロ波を照射して上記ターンテーブル15上に載置された被解凍物を加熱するためのマイクロ波発生器22が接続されている。本実施形態では、マイクロ波発生器22としてマグネトロンが採用されており、直状導波管20とレジューサ導波管21とのフランジ接続部23にはマイクロ波を透過し易いガラス板製の圧力隔壁が介設されている。 【0019】チャンバー10の背面上部には、マイクロ波の照射によりチャンバー10内で放電が生じた場合に、これを検出する放電検出センサー30が設けられており、この放電検出センサー30としては放電現象の有無を紫外線(UV)の検出により判定するUVセンサーが採用されている。また、チャンバー10の上部前方には、チャンバー10内の圧力を検出する真空圧力センサー31が設けられている。 【0020】チャンバー10の上部には、チャンバー10内の圧力を大気開放する大気開放弁40、及びチャンバー10内の圧力を調整する調圧弁41が備えられている。また、チャンバー10の背面には、チャンバー10内を減圧する減圧系43が接続され、この減圧系43には逆止弁44を介してポンプ駆動モータ45により駆動される真空ポンプ46が接続されている。上記大気開放弁40及び調圧弁41は、上記制御部5に収納された制御装置による開閉制御を可能とするため、例えば電磁弁によって構成されている。 【0021】また、チャンバー10内の天井面部には、ターンテーブル15上に載置された被解凍物の複数箇所の表面温度を検出する非接触型温度センサー70が設けられており、この温度センサー70には、例えば温度検出素子71として赤外線素子を備えた赤外線式温度センサー等が好適である。本実施形態では、非接触型温度センサー70として、図2及び図3に示すように、複数の温度検出素子71を内包してワンユニット化した非接触型温度センサーを採用しているが、これに限るものではない。例えば、単一の温度検出素子を備えた非接触型温度センサーを個別に複数配設してもよい。なお、各温度検出素子71が検出する箇所の温度検出値(温度信号)を後述する制御装置50により演算処理して解凍操作の制御を行うため、例えば、図3においてa、b、c、d…に示すように、温度検出値をそれぞれ出力することが望ましい。 【0022】なお、図2及び図3では、便宜上から、単一の非接触型温度センサー70に4個の温度検出素子71を配したように図示しているが、その数は温度検出素子71の指向性や検出能力等に応じて適宜設定されるものであり、また非接触型温度センサー70を取り付ける位置も本実施形態のようにチャンバー10内の天井面部に限るものではなく、被解凍物の温度を検出し得る位置であればよい。例えば、チャンバー10内の背面部、側面部などでもよい。 【0023】図4は、本実施形態の真空マイクロ波解凍機1における制御系を示すブロック図である。この制御装置50は前記した制御部5に収納され、例えばROM51に記録した制御プログラムを実行するマイクロコンピュータ等により構成されている。そして、この制御装置50には、ターンテーブル15を回転駆動するテーブル駆動モータ16の電源制御系52と、上記真空ポンプ46を駆動するポンプ駆動モータ45の電源制御系53と、上記大気開放弁40の開閉制御系54と、上記調圧弁41の開閉制御系55と、上記マイクロ波発生器22の電源制御系56と、上記放電検出センサー30の検出値入力系57と、上記真空圧力センサー31の検出値入力系58と、上記非接触型温度センサー70の検出値入力系72と、上記操作部7の設定値等の入力系59と、上記表示部6の表示出力系60とが接続されており、前記した操作部7の設定値や、上記放電検出センサー30、真空圧力センサー31、及び非接触型温度センサー70の各検出値等に基づいて、ROMに記録された制御プログラムに従って上記ポンプ駆動モータ45やマイクロ波発生器22等の各機器を駆動制御する。 【0024】次に、以上のような真空マイクロ波解凍機1を用いて実施する本実施形態の真空マイクロ波解凍方法について説明する。図5は、本実施形態の真空マイクロ波解凍機1における解凍サイクルを示す説明図である。 【0025】図5に示すように、本実施形態の真空マイクロ波解凍機1は、制御装置50の制御の下で減圧工程G、G′、G″…と復圧工程F、F′…とを繰り返し行いながらマイクロ波を照射M、M′…して被解凍物を加熱し解凍を行う装置である。なお、真空ポンプ46は減圧工程は勿論のこと復圧工程中も作動し続ける。 【0026】解凍の準備段階として、まず、正面のドア11を開放してターンテーブル15上に冷凍食品等の被解凍物を載置し、再びドア11を閉成して密閉状態とし、チャンバー10内に被解凍物を収容する。なお、大気開放弁40及び調圧弁41は閉成状態とする。 【0027】次に、ポンプ駆動モータ45を駆動して真空ポンプ46を作動させ、減圧系43を介してチャンバー10内の減圧を開始する。すると、大気圧の101.3kPa(760Torr)からA点を経て徐々に減圧度が減少し、減圧平衡域Bまで減圧工程Gが行われ、この減圧工程Gにおいて被解凍物の予備乾燥がなされる。 【0028】ここで、減圧平衡域とは、一定時間に対する減圧度が極めて低下する領域であり、例えば30秒間(Δt)における減圧度(ΔP)がΔP/Δt<13.3Pa(0.1Torr)となったときに減圧平衡域に達したと把握するが、該減圧平衡域における平衡圧力はチャンバー10内の飽和蒸気圧により上下する。なお、この減圧平衡域に到達したか否かは、真空圧力センサー31からの圧力信号に基づいて制御装置50が演算して判断する。 【0029】上記減圧平衡域Bまで減圧工程Gを行った後、上記調圧弁41を後述する所定の開度で開放して復圧工程Fへと移行し、復圧工程Fの減圧度が真空放電を起こさない下限値P1〔本実施形態では多少余裕を見て1.33kPa(10Torr)に設定〕を超えた後のC点のときに、上記マグネトロン22によるマイクロ波の照射Mを開始し、予め設定した復圧上限値Dまで復圧したときに真空圧力センサー31からの圧力信号に基づいて制御装置50が上記調圧弁41を閉成し、その後再度減圧工程G′へ移行する。そして、その減圧度が真空放電を起こさない下限値P1に達する手前のA′点まで上記マグネトロン22によるマイクロ波の照射Mを継続して被解凍物を加熱し、このA′点においてマイクロ波の照射を停止する。 【0030】また本実施形態では、上記真空放電を起こさない減圧度の下限値P1は、上述したように、1.33kPa(10Torr)に設定されている。即ち、復圧工程Fにおける減圧度が1.33kPa(10Torr)を超えた後のC点のときに、上記マグネトロン22によるマイクロ波の照射Mを開始し、予め設定した復圧上限値Dまで復圧した後に再度減圧工程G′へ移行すると共に、その減圧度が1.33kPa(10Torr)に達する手前のA′点まで上記マグネトロンによるマイクロ波の照射Mを継続して被解凍物を加熱する。このように復圧工程Fの途中から減圧工程G′にわたってマイクロ波の照射Mを行っているため、減圧工程でのみ照射する従来に比較して、復圧工程と減圧工程とからなる1解凍サイクルにおける照射時間を充分に確保することができる。 【0031】上記復圧上限値Dは、マイクロ波を照射するマグネトロン22の出力と真空ポンプ46の減圧能力とチャンバー10の容積によって設定される可変な圧力値であり、本実施形態では、調圧弁41の絞り弁41´の絞りを調整することにより、6.66kPa(50Torr)に設定されている。したがって、6.66kPa(50Torr)まで復圧すると、調圧弁41からのリークと真空ポンプ46の吸引能力がバランスして、調圧弁41を閉じない限り6.66kPa(50Torr)を維持して圧力上昇はしない。 【0032】本実施形態では、このように復圧上限値Dの圧力値が、マイクロ波を照射するマグネトロン22の出力と真空ポンプ46の減圧能力とチャンバー10の容積に応じて適宜設定されるので、真空放電発生域に入るまでに過不足のないマイクロ波の照射時間を採ることができ、しかも効率良く減圧できる。 【0033】なお、復圧上限値Dに到達したことを検知する手段として、本実施形態では真空圧力センサー31からの信号により検知し、これにより制御装置50が調圧弁43を閉じて減圧工程に移行するように構成したが、本発明はこれに限らず、タイマー制御により停止してもよい。 【0034】マイクロ波照射の停止後、A′点から減圧平衡域B′までの減圧過程において、被解凍物を昇華冷却する。このように減圧工程G′におけるA′点までマイクロ波を照射して被解凍物を加熱した後、A′点から減圧平衡域B′までの減圧過程において被解凍物を昇華冷却するのは、マイクロ波を照射して被解凍物を加熱すると、被解凍物の表面部分の温度が中心部分の温度よりも高くなり、そのまま加熱を継続すると表面部分にドリップが発生するなどの不都合が生じるからであり、昇華により表面部分を冷却して内外の温度差を縮めるためである。 【0035】すなわち、昇華が始まると気化潜熱が奪われて表面部分の温度が低下していくとともに、表面部分の熱が中心部分に移動(熱伝導)して中心部分を昇温する。これにより被解凍物の温度が均一化されて、全体として被解凍物の温度が上昇し解凍が促進されることになる。また、被解凍物の温度が均一化されながら、全体として被解凍物の解凍が促進されるので、部分的に解凍が進行してドリップが発生したり、このドリップにマイクロ波が集中する不都合を防止することができる。 【0036】本実施形態は、復圧工程Fへ移行し、復圧工程Fの減圧度が真空放電を起こさない下限値P1である1.33kPa(10Torr)を超えた後のC点のときにマイクロ波の照射Mを開始し、予め設定した復圧上限値Dである6.66kPa(50Torr)まで復圧した後に再度減圧工程G′へ移行すると共に、その減圧度が真空放電を起こさない下限値P1であるA′の1.33kPa(10Torr)に達する手前までマイクロ波の照射Mを継続して加熱し、マイクロ波の照射Mの停止後に、減圧平衡域B′までの減圧過程において昇華冷却する解凍サイクルを1サイクルとして、この解凍サイクルを繰り返し行う。 【0037】即ち、図5において、減圧平衡域B′まで減圧工程G′を行った後復圧工程F′へ移行し、復圧工程F′の減圧度が真空放電を起こさない下限値P1である1.33kPa(10Torr)を超えた後のC′点のときにマイクロ波の照射M′を再び開始し、予め設定した復圧上限値D′である6.66kPa(50Torr)まで復圧した後に再度減圧工程G″へ移行すると共に、その減圧度が真空放電を起こさない下限値P1であるA″の1.33kPa(10Torr)に達する手前までマイクロ波の照射M′を継続して加熱し、マイクロ波照射を再度停止した後、減圧平衡域B″までの減圧過程において昇華冷却する解凍サイクルを2サイクル目として行う。各復圧工程F、F′…における復圧特性は、復圧弁41の絞り弁41′の設定に依存しているので、各解凍サイクルにおいて一定、即ち、復圧曲線のカーブが各解凍サイクルにおいて一定であり、これにより安定した解凍を行うことができる。 【0038】このような解凍サイクルを繰り返して解凍操作を行うが、図3に示したように、上記チャンバー10内の天井面部に配設された非接触型温度センサー70が、常時、被解凍物73の複数箇所の表面温度を検出している。この温度センサー70の各温度検出素子71の各検出箇所における温度検出値の出力a、b、c、d…は、それぞれ検出値入力系72を介して制御装置50へと入力され、演算処理される。そして、温度検出値の平均が基準値(例えば、約−3℃)に到達すると、解凍作業の終了を決定する。 【0039】一方、温度検出値の平均が基準値(例えば、約−3℃)よりも低い温度であり、かつ検出箇所間の温度差(例えば、図3におけるa、b、c、d間の温度差)が所定温度以上(例えば、1℃以上)であるときは、制御装置50がマグネトロン22のマイクロ波出力を低下し、および/またはマイクロ波の照射時間を短縮して解凍サイクルをそのまま継続し、その後、温度検出値の平均が基準値(例えば、約−3℃)に到達すると、上述したように解凍作業の終了を決定する。 【0040】この様に、被解凍物の部位によって所定温度以上の温度差があった場合にマイクロ波の出力を低下したり、照射時間を短縮すると、緩やかな加熱に移行できるので、その間に被解凍物内においては、高温部分から低温部分に熱伝導が行われて温度の均一化が図られる。したがって、被解凍物に局部的な温度上昇を回避でき、これにより全体が均等に解凍されることとなり、ドリップの発生も防止できる。 【0041】また、温度検出値の検出箇所間の温度差(例えば、図3におけるa、b、c、d間の温度差)が所定温度範囲(例えば、2℃以内)を超えるときは、マグネトロン22のマイクロ波出力を停止して解凍作業を中断するようにしてもよい。この場合、真空ポンプ46による減圧を停止して、被解凍物73を収容するチャンバー10内を大気開放し、ターンテーブル15上における被解凍物73の位置を変更するなどすることにより、被解凍物73の局部加熱が進行しないうちに解凍操作を調整することができる。 【0042】制御装置50において解凍サイクルの終了が決定されると、大気開放弁40が開放されると共に、ポンプ駆動モータ45の電源を遮断して真空ポンプ46が停止され、収納室9内が大気圧に戻るとドア11の開放が可能となり、チャンバー10内から基準値である約−3℃に解凍された被解凍物73を取り出すことができる。 【0043】このように本実施形態では、被解凍物73の複数箇所の温度を検出し、該温度検出値の平均が基準値である約−3℃に到達すると、マイクロ波の出力を停止すると共に、減圧を停止して被解凍物73を収容するチャンバー10内を大気開放し、解凍作業を終了するので、被解凍物73の加熱むらがなく、ドリップの発生しない良好な状態の解凍仕上がりを実現することができる。 【0044】さらに、温度検出値の平均が基準値である約−3℃よりも低い温度であり、かつ検出箇所間の温度差が所定温度以上(例えば、1℃以上)であるときは、マイクロ波の出力を低下し、および/またはマイクロ波の照射時間を短縮して解凍サイクルを継続し、その後、温度検出値の平均が基準値である約−3℃に到達すると解凍作業を終了するので、被加熱物(被解凍物)の加熱むら生じている場合でも、最終的にはドリップの発生しない良好な状態の解凍仕上がりを実現することができるものである。 【0045】なお、前記実施形態においては、赤外線式温度センサーを例に挙げて説明したが、本発明の非接触型温度センサーは、非解凍物に接触することなく温度を検出することができればどのような構成の温度センサーでもよい。そして、マイクロ波照射を緩めたり、或いは停止させる前記温度差は、前記実施形態では1℃、2℃として説明したが、この設定は適宜設定値を設計変更することができる。しかしながら、冷凍食品にあっては−3℃が解凍適温であり、ドリップの発生を防止するためには、前記設定温度は3℃以内、望ましくは1℃以内である。 【0046】また、前記実施形態では、被解凍物を冷凍食品として説明したが、本発明で解凍する被解凍物は食品に限定されるものではなく、血液、血清、精液、薬品などでもよい。 【0047】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の真空マイクロ波解凍機によれば、以下のような優れた効果を奏する。即ち、非接触型温度センサーにより被解凍物の複数箇所の温度を検出すると、平衡状態から被解凍物の温度を推測するよりも温度管理を高い精度で行うことができる。そして、解凍終了となる基準値よりも低い温度であって、且つ検出箇所の温度差が所定温度以上であるときは、マイクロ波加熱を弱くして解凍を継続すると、被解凍物の局部加熱が生じないように加熱操作することができ、ドリップの発生しない良好な状態の解凍仕上がりを実現することができ、しかも効率良く行うことができる。 【0048】また、被解凍物の複数箇所の温度を検出し、該温度検出値の検出箇所間の温度差が所定温度範囲を超えるときは、マイクロ波の出力を停止して解凍作業を中断するように構成すると、ターンテーブル上における被解凍物の配置を変更するなどして、被解凍物の局部加熱が進行しないうちに解凍操作を調整することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝 【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号 【識別番号】000221454 【氏名又は名称】東静電気株式会社 【住所又は居所】静岡県田方郡大仁町神島字日之前244番地
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| 【出願日】 |
平成13年12月6日(2001.12.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100098073 【弁理士】 【氏名又は名称】津久井 照保
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| 【公開番号】 |
特開2003−169646(P2003−169646A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月17日(2003.6.17) |
| 【出願番号】 |
特願2001−372928(P2001−372928) |
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