トップ :: A 生活必需品 :: A23 食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理




【発明の名称】 養魚用飼料
【発明者】 【氏名】高橋 隆行
【住所又は居所】静岡県浜松市坪井町718番地 日清飼料株式会社水産研究所内

【氏名】天野 高行
【住所又は居所】静岡県浜松市坪井町718番地 日清飼料株式会社水産研究所内

【要約】 【課題】澱粉質材料、ガム類などの粘結剤の使用を省略したり使用量を低減しても、保形性に優れていて崩壊などが生じず、魚介類による摂餌性に優れていて残餌量が少なく且つ排泄物量が低減されていて、飼育環境の水質悪化を防止することのできる養魚用飼料の提供。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 動植物性蛋白質を主体とする飼料原料にトランスグルタミナーゼを添加作用させたことを特徴とする養魚用飼料。
【請求項2】 飼料原料中の動植物性蛋白質原料に対してトランスグルタミナーゼを0.001〜1.0質量%の割合で添加作用させた請求項1に記載の養魚用飼料。
【請求項3】 魚介類用飼料の全質量に対して、粘結剤の含有量が5質量%以下である請求項1または2に記載の養魚用飼料。
【請求項4】 造粒物またはペースト状物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の養魚用飼料。
【請求項5】 冷凍されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の養魚用飼料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は養魚用飼料に関する。より詳細には、本発明は、養魚用飼料製造時の形成加工性に優れていて、穀粉や澱粉などの澱粉質材料、ガム類、その他の粘結剤の使用を省略したり使用量を低減してもソフトタイプのものから硬質タイプのものまで任意の形態の飼料を簡単に且つ円滑に製造することができ、しかもその飼料形態の経時変化が少なく当初の形態を長く保つことができ、且つ水中保形性に優れ、その上魚介類の排泄物量および残餌を低減して飼育環境の水質悪化を防止することができ、さらには魚介類による摂餌性の高い養魚用飼料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、養魚用飼料としては、魚粉、生魚、大豆粕、サナギ等が粉末状やねり餌にして使用されてきた。しかしながら、近年イワシなどの飼料用魚類の漁獲量の減少に伴ってこれら従来の養魚用飼料はコストの上昇を招いている。また、これら従来の養魚用飼料は取り扱い性の点でも劣っており、しかも各種栄養成分のバランスがとれておらず、また魚介類による摂餌性の点でも良好であるとは言えない。そこで、取り扱い性の向上、各種栄養成分のバランスの良さ、摂餌性の向上による飼料効率の改善、コストの低減などを目的として、魚粉、生魚、魚肉ミンチ、イカペースト、大豆粕、グルテンミールなどのような動植物性蛋白質原料に、油脂類、アミノ酸、糖類、ビタミン類、ミネラル類等の他の成分を配合し、これに小麦粉や澱粉などの澱粉質材料、ガム類、その他の粘結剤を添加して、ペースト状、マッシュ状、粒状などに形成加工した養魚用飼料が近年広く用いられるようになっている。
【0003】しかしながら、近年汎用されている上記した養魚用飼料は、小麦粉、澱粉、ガム類、その他の粘結剤をかなり多量に用いて形成されており、これら粘結剤の消化吸収率は高いとは言えず、それに伴って排泄物の量が多くなる。しかも、上記従来の養魚用飼料は、小麦粉、澱粉、ガム類などの粘結剤の含有量が多いことにより、魚介類による嗜好性や摂餌性の点でも十分に良好であるとは言えず、摂餌されないでそのまま水中に残留する飼料(残餌)が多くなり易い。魚介類の排泄物や残餌の量が多いと、水槽などの飼育環境の水質が短期間に悪化する。飼育環境の水質悪化は、魚介類の健全な発育の妨げになることから、飼育用水の交換、飼育槽の清掃、濾過槽の清掃などの作業を頻繁に行うことが必要になり、魚介類の飼育者に大きな負担を強いている。
【0004】また、上記した動植物性蛋白質原料に、油脂類、アミノ酸、糖類、ビタミン類、ミネラル類等の他の成分を配合し、それに小麦粉や澱粉などの澱粉質材料やガム類などの粘結剤を添加してペレットなどの粒状飼料を製造する場合は、崩壊しにくく且つ取り扱い性に優れる粒状飼料などを得るためには、高圧下で強力に加圧混練できるエクストルーダーのような大型の成形加工装置が必要であり、それに伴って養魚用飼料の製造コストの上昇、広いスペースの確保の必要などを招いていた。
【0005】さらに、小麦粉や澱粉などの澱粉質材料やガム類などを粘結剤として用いて製造した従来のソフトタイプの養魚用飼料は、時間の経過に伴ってソフトさが失われて硬くなる傾向があり、当初のソフトな形態を維持しにくいという欠点があった。ソフトさを失って硬くなった養魚用飼料は、一般に魚介類による嗜好性や摂餌性に劣ることが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、小麦粉などの澱粉質材料、ガム類、その他の粘結剤を使用しないかまたは粘結剤の使用量が少なくてすみ、それによって魚介類の排泄物量および残餌量が低減され、飼育環境の水質悪化を防止することのできる養魚用飼料を提供することである。さらに、本発明の目的は、ソフトなものから硬いものまで所望の形態にすることができ、且つ魚介類による摂餌性や嗜好性が高く、しかも保形性に優れていて崩壊しにくい養魚用飼料を提供することである。そして、本発明の目的は、エクストルーダーなどのような大型の成形加工装置ではなくて簡単な装置を用いた場合にも、所望の形状や形態のものに簡単に且つ円滑に形成加工できる養魚用飼料を提供することである。また、本発明の目的は、例えばソフトタイプのものでは、時間が経過しても硬くならずソフトな状態を長期間にわたって維持することができ、魚介類による嗜好性や摂餌性に優れる養魚用飼料を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく本発明者らは種々検討を重ねてきた。その結果、動植物性蛋白質を主体とする飼料原料を用いた養魚用飼料に、トランスグルタミナーゼを添加して作用させると、小麦粉や澱粉などの澱粉質材料、ガム類などの粘結剤の使用を省略したり又は前記粘結剤の使用量を低減しても、まとまりがあって崩壊しにくい、保形性に優れる養魚用飼料が簡単に得られることを見出した。しかも、トランスグルタミナーゼを添加作用させた前記養魚用飼料では、小麦粉、澱粉などの澱粉質材料、ガム類などの粘結剤の使用量が少ないか又は粘結剤を含有していないことによって、動植物性蛋白質や脂質などの栄養成分の含有量が相対的に高くなるため、従来よりも少ない給与量で従来と同等またはそれ以上の飼育成績をあげることができ、それに伴って排泄物や残餌の量が大幅に低減して、水槽などの飼育環境の水質の悪化を効果的に防げることを見出した。
【0008】さらに、本発明者らは、動植物性蛋白質を主体とする飼料原料にトランスグルタミナーゼを添加作用させて養魚用飼料を製造する場合は、エクストルーダーなどのような大型の成形装置を用いずに、押し出し造粒機やパレットなどのような小型の成形装置を使用した場合にも、ソフトなものから硬いものでまで所望の形態の保形性に優れる養魚用飼料を、簡単に且つ円滑に製造できることを見出した。また、本発明者らは、動植物性蛋白質を主体とする飼料原料にトランスグルタミナーゼを添加作用させて得られる養魚用飼料がソフトタイプのものである場合は、時間が経過してもそのソフトな形態を長期にわたって維持でき、魚介類による嗜好性や摂餌性が長期間良好に保たれることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、(1) 動植物性蛋白質を主体とする飼料原料にトランスグルタミナーゼを添加作用させたことを特徴とする養魚用飼料である。
【0010】そして、本発明は、(2) 飼料原料中の動植物性蛋白質原料に対してトランスグルタミナーゼを0.001〜1.0質量%の割合で添加作用させた前記(1)の養魚用飼料;
(3) 魚介類用飼料の全質量に対して、粘結剤の含有量が5質量%以下である前記(1)または(2)の養魚用飼料;
(4) 造粒物またはペースト状物である前記(1)〜(3)のいずれかの養魚用飼料;および、(5) 冷凍されている前記(1)〜(4)のいずれかの養魚用飼料;である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明する。まず、本発明の「養魚用飼料」は、魚介類の飼育に用いる飼料の総称を意味し、本発明の養魚用飼料には、食料、餌などとして用いることを目的して魚介類を養殖するための養殖用飼料、水族館、家庭、その他の場所で鑑賞や愛玩などの目的で魚介類を飼育するのに用いる飼料を包含する。
【0012】本発明の養魚用飼料の主体をなす動植物性蛋白質としては、魚介類の飼育に従来から用いられている動植物性蛋白質のいずれもが使用でき、具体例としては、魚粉、オキアミミール、イカミール、全卵粉、卵黄粉、卵白粉、脱脂粉乳、カゼイン、魚肉ペースト、イカペースト、エビペースト、貝類ペースト、魚卵、プランクトン、その他の動物性蛋白質原料;大豆粕、小麦粉、海藻粉末、小麦グルテン、コーングルテン、豆類などの植物性蛋白質原料などを挙げることができる。本発明の養魚用飼料は、給与する魚介類の種類などに応じて、前記した動植物性蛋白質の1種または2種以上を含有することができる。そのうちでも、本発明の養魚用飼料は、取り扱い性、魚介類による嗜好性や摂餌性、コスト、ソフト感などの点から、動植物性蛋白質として、魚粉、オキアミミール、イカミール、魚肉ペースト、イカペースト、エビペースト、貝類ペースト、魚卵、プランクトン、大豆粕および海藻粉末の1種又は2種以上が好ましく用いられ、特に魚粉、オキアミミール、イカミール、魚肉ペースト、イカペースト、エビペースト、貝類ペーストの1種または2種以上がより好ましく用いられる。
【0013】また、本発明の養魚用飼料は、動植物性蛋白質の外に、必要に応じて、糟糠類、油粕、飼料用酵母、その他の植物性原料;植物性油、動物性油脂などの油脂類;ビタミン、ミネラル、アミノ酸、糖類、酵素、核酸等の栄養成分;抗生物質、抗菌剤、生薬、ホルモン剤、成長促進剤等の薬剤;着色料、香料、嗜好性物質、抗酸化剤;小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、大麦粉などの穀粉;小麦澱粉、米澱粉、トウモロコシ澱粉、タピオカ澱粉などの澱粉類;カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、各種ガム類、ポリアクリル酸ナトリウムなどを含有することができる。
【0014】本発明の養魚用飼料は、動植物性蛋白質を主体とし、必要に応じて他の成分を配合してなる上記した飼料原料に、トランスグルタミナーゼを添加し作用させることにより得られる。本発明で用いるトランスグルタミナーゼは、タンパク質およびペプチドのペプチド鎖中のグルタミン残基のγ−カルボキシアミド基と、ε−アミノ基や種々の1級アミノとの間のアシル転換反応を触媒する酵素であり、従来から市販されており、本発明では従来既知のトランスグルタミナーゼのいずれもが使用できる。
【0015】本発明の養魚用飼料では、動植物性蛋白質を主体とする飼料原料にトランスグルタミナーゼを添加し、トランスグルタミナーゼをその活性温度(通常0〜60℃)で動植物性蛋白質に作用させることにより、動植物性蛋白質および/またはペプチドのペプチド鎖中のグルタミン残基のγ−カルボキシアミドとペプチド鎖中のε−アミノ基および/または種々の1級アミノとの間にアシル転換反応が生じて、動植物性蛋白質の架橋がなされる。その結果、本発明の養魚用飼料では、養魚用飼料において従来用いられてきた粘結剤、例えば、小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、大麦粉などの穀粉、小麦澱粉、米澱粉、トウモロコシ澱粉、タピオカ澱粉などの澱粉類のような澱粉質材料;各種ガム類;カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムなどが含まれなくても、または前記粘結剤の含有量が少なくても、トランスグルタミナーゼの前記架橋作用によって飼料原料に良好なまとまりが付与されて、押し出し成形やその他の方法により、保形性に優れる粒状、ペースト状、スマッシュ状などの養魚用飼料を簡単に製造することができる。
【0016】本発明の養魚用飼料における動植物性蛋白質の含有量は、目的とする養魚用飼料の形態(例えばソフトタイプであるか、ハードタイプであるかなど)、給与する魚介類の種類などに応じて調整し得るが、一般的には、養魚用飼料の全質量に対して、動植物性蛋白質の含有量が20〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましい。
【0017】また、本発明の養魚用飼料におけるトランスグルタミナーゼの使用量は、ベースをなす飼料原料の配合組成、養魚用飼料の種類、目的とする養魚用飼料の形態(例えばソフトタイプであるか、ハードタイプであるかなど)、給与する魚介類の種類などに応じて調整し得るが、一般的には、本発明の養魚用飼料の調製に用いる動植物性蛋白質原料に対して、0.001〜1質量%の割合で用いることが好ましく、0.002〜0.1質量%の割合で用いることがより好ましい。
【0018】さらに、本発明の養魚用飼料では、トランスグルタミナーゼによる上記した架橋作用によって動植物性蛋白質および/またはペプチド間の架橋・結合がなされることにより、小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、大麦粉などの穀粉、小麦澱粉、米澱粉、トウモロコシ澱粉、タピオカ澱粉などの澱粉類、ガム類、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムなどの粘結剤の使用量を低減するか、またはそれらの粘結剤を用いなくても、粒状、ペースト状などの所定の形態や形状に形成加工できる。かかる点から、本発明の養魚用飼料では、前記したような粘結剤の使用量を、養魚用飼料の全質量に対して5質量%以下、特に0〜2質量%とすることが好ましい。前記粘結剤の使用量を前記5質量%以下にすることによって、養魚用飼料中での動植物性蛋白質、脂質、その他の栄養成分の含有割合を相対的に高くすることができるため、従来よりも少ない養魚用飼料の給与量で従来と同等またはそれ以上の飼育成績を得ることができる。そして、魚介類への養魚用飼料の給与量の低減によって、排泄物量および残餌量を低減でき、飼育環境の水質悪化を防止することができる。その結果、魚介類の飼育用水の浄化や交換、飼育環境の清掃などの作業を従来よりも大幅に減らすことができる。
【0019】本発明の養魚用飼料の形態は特に制限されず、ペースト状、ソフトタイプの固形飼料、セミソフトタイプの固形飼料、ハードタイプの固形飼料などのいずれであってもよい。本発明の養魚用飼料の硬さは、養魚用飼料中の水分、油分などの液体含量の多少によって調整することができる。一般的には、水や油分が70質量%以上である場合はペースト状飼料となり、30〜70質量%程度であるとソフトタイプ固形飼料になり、15〜30質量%であるとセミソフトタイプの固形飼料となり、15質量%以下であるとハードタイプの固形飼料となる。さらに、本発明の養魚用飼料は、ウエットタイプであっても、乾燥したものであってもよく、ウエットタイプのものは、常温で保存・流通するタイプ、冷蔵温度で保存・流通するタイプ、冷凍して保存・流通するタイプなどのいずれであってもよい。
【0020】本発明の養魚用飼料の形状は特に制限されず、任意の形状にすることができ、例えば、ペレット、球状、楕円状、立方体、直方体、錐状、フレーク状などの粒状、不定形の小塊状、上記したようなペースト状などのいずれであってもよい。
【0021】本発明の養魚用飼料の製造方法は特に制限されず、動植物性蛋白質を主体とする飼料原料にトランスグルタミナーゼを添加し、トランスグルタミナーゼを動植物性蛋白質に作用させて架橋させ得る方法であればいずれでもよい。何ら限定されるものではないが、本発明の養魚用飼料は、例えば、飼料原料を混合し、必要に応じて水分を添加した後、押し出し造粒機、パレットなどの成形機を使用して簡単に製造することができる。また、本発明の養魚用飼料の製造に当たって、トランスグルタミナーゼを動植物性蛋白質に作用させる温度としては、トランスグルタミナーゼの活性温度である0〜60℃の範囲内の温度を採用でき、特に5〜55℃の温度が好ましく採用される。さらに、本発明の養魚用飼料を製造後に、養魚用飼料を一定温度以上(一般に75℃以上)に加熱することによって、トランスグルタミナーゼを失活させることができる。
【0022】本発明の養魚用飼料は、ブリ、マダイ、ウナギ、コイ、アユ、サケ、マス類、ヒラメ、カレイ、トラフグ、マグロ、カンパチ、ハタ、サバ等の魚類、エビ、カニ等の甲殻類、イカ、タコなどの魚介類またはそれらの幼魚用の養魚用飼料、水族館などにおける各種魚介類の飼育用飼料、家庭やその他の場所で鑑賞や愛玩などのために飼育する各種魚介類の飼育用飼料などとして有効に使用することができる。本発明の養魚用飼料の魚介類への給与(投与)方法は特に制限されず、例えば、人手で投与してもよいし、自動給餌装置を用いて投与してもよいし、その他の方法で投与してもよい。
【0023】
【実施例】以下に、例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されない。以下の例において、養魚用飼料の保形性の評価、飼育水槽における排泄物量の測定、および飼育成績の評価は次のようにして行った。
【0024】(1)養魚用飼料の保形性:1リットルのビーカーに蒸留水を所定量(800ml)入れ、水中内に配合飼料が抜けない目合いの籠を設置する。籠内に養魚用飼料を50g秤入れ、30分間マグネチックスターラーにて撹拌する。終了後、籠を取り出し、ビーカ内の液を目視により観察して濁り具合を判定した。白濁の状況に応じて、全く濁らなかった場合をマイナス(−)、若干濁った場合をプラス1(+1)、かなり濁った場合をプラス2(+2)、ひどく濁った場合をプラス3(+3)と評価した。
【0025】(2)排泄物量:アース式FRP角形水槽(水槽容量200リットル)に、平均魚体重約40gのマダイ稚魚を30尾収容し、グラスウールによる上面濾過槽を設置した循環飼育を1週間行い、試験終了後に濾過槽のグラスウールを取り出し、試験前後のグラスウールの乾燥重量差を測定して排泄物量とした。
【0026】(3)飼育成績:アース式FRP円形水槽(水槽容量1100リットル)に、平均体重約70gのカンパチ稚魚を50尾収容し、飼育水温23℃にて、24回転/日の流水にて14日間飼育を行った。給餌は、4回/日の飽食給餌で実施した。試験終了後、飼育期間における増体重、飼料効率および増重倍の結果により飼育成績の評価を行った。
【0027】《実施例1》
(1) 下記の表1に示した養魚用飼料用の基本配合を準備した。
【0028】
【表1】

【0029】(2) 上記の表1に示した基本配合の原料に、味の素株式会社製「アクティバTG−B」(トランスグルタミナーゼ含有製品;製品中のトランスグルタミナーゼ含量=0.5〜0.6質量%)を2質量%および水を30質量%の割合で添加して混合機で混合した後、押し出し造粒機(平賀製作所製)に供給し、直径5mmの孔を有するダイから棒状に押出し、カッターで長さ7.5mmに切断して、ペレット状養魚用飼料を製造した。このペレット状養魚用飼料の保形性を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(3) 上記(2)で得られた養魚用飼料を給餌してその排泄物量を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(4) 上記(2)で得られた養魚用飼料を給餌してその飼育成績を上記した方法で評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0030】《比較例1》
(1) 市販のマダイ用スチームペレットの保形性を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(2) 市販のマダイ用スチームペレットを給餌してその排泄物量を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(3) 市販のブリ用EP飼料を給餌してその飼育成績を上記した方法で評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】上記の表2および表3の結果にみるように、実施例1では、動植物性蛋白質を主体とする飼料原料にトランスグルタミナーゼを添加作用させて養魚用飼料を製造したことによって、馬鈴薯澱粉や小麦粉などの粘結剤を用いていないにも拘わらず、保形性に優れていて崩壊のない養魚用飼料を簡単に得ることができた。しかも、実施例1で得られた養魚用飼料は、魚による摂餌性に優れていて、残餌量が低く、馬鈴薯澱粉や小麦粉などの粘結剤を使用していないことにより排泄物量も少なく、水質の悪化を生じない。また、市販の分子量用EP飼料と比較して、飼育成績では遜色がないことが示された。
【0034】一方、市販の飼料は、比較例1の結果にみるように、水中での保形性に劣り、水はひどく濁った状態となった。しかも、上記した方法(循環水槽による飼育試験)で排泄物量を測定したところ、澱粉質などの不消化物などに起因して排泄物量が多く、飼育水質を悪化させた。
【0035】
【発明の効果】本発明による場合は、動植物性蛋白質を主体とする飼料原料にトランスグルタミナーゼを添加作用させているために、小麦粉などの澱粉質材料、ガム類、その他の粘結剤を使用しないか、または粘結剤の使用量を低減したときにも、保形性に優れる養魚用飼料を円滑に得ることができる。本発明の養魚用飼料を魚介類に給与した際には、残餌量がおよび排泄物量を低減でき、そのため飼育環境の水質悪化を防止することができる。本発明の養魚用飼料は、魚介類による摂餌性および嗜好性に優れていて魚介類を良好に飼育することができる。本発明による場合は、養魚用飼料の主体をなす動植物性蛋白質にトランスグルタミナーゼを作用させて蛋白質および/またはペプチド中のペプチド鎖を架橋することによって、ペースト状、ソフトな固形状、ハードな固形状まで所望の形態の養魚用飼料を簡単に且つ円滑に得ることができる。本発明の養魚用飼料は、エクストルーダーなどのような大型の成形加工装置を用いなくても、押し出し造粒機、パレットなどのような簡単な装置を用いて、簡単に低コストで製造することができる。本発明の養魚用飼料がソフトタイプのものである場合には、時間が経過しても硬くならずソフトな状態を長期間にわたって維持することができ、魚介類による嗜好性や摂餌性を長期間良好に保つことができる。
【出願人】 【識別番号】591059571
【氏名又は名称】日清飼料株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋本町一丁目10番5号 日産江戸橋ビル5階
【出願日】 平成14年2月20日(2002.2.20)
【代理人】 【識別番号】100093377
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 良子 (外1名)
【公開番号】 特開2003−235470(P2003−235470A)
【公開日】 平成15年8月26日(2003.8.26)
【出願番号】 特願2002−43589(P2002−43589)