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【発明の名称】 球形焼菓子製造手法
【発明者】 【氏名】山本 ▲徳▼次

【要約】 【課題】球形焼菓子製造の経験がない者でも、手軽に製造することが可能な球形焼菓子製造手法を提案し、球形焼菓子の製造中にあっても、現場を離れることが可能とする。

【解決手段】金属板の表面に沢山の等径半球凹部が形成されて構成された加工型を使用する球形焼菓子製造手法にあって、加熱された前記加工型の等径半球凹部に予め可食加工された加工材料を入れ、前記加工型を加熱しながら震動し、前記加工材料を前記等径半球凹部内で表裏面が反転されるように回しながら内部まで加熱し、且つ球形に整形して表面を適度に焦がし、焼き上げる球形焼菓子の製造手法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属板の表面に沢山の等径半球凹部が形成されて構成された加工型を使用する球形焼菓子製造手法にあって、加熱された前記加工型の等径半球凹部に予め可食加工された加工材料を入れ、前記加工型を加熱しながら震動し、前記加工材料を前記等径半球凹部内で表裏面が反転されるように回しながら内部まで加熱し、且つ球形に整形して表面を適度に焦がし、焼き上げる球形焼菓子の製造手法。
【請求項2】 前記加工材料が具と、その具を包む皮とからなる請求項1記載の球形焼菓子の製造手法。
【請求項3】 前記加工材料が予め略球形に整形されている請求項1〜2記載のいずれか1項記載の球形焼菓子の製造手法。
【請求項4】 前記加工材料が予め蒸かし加工により、可食加工された後、冷凍されている請求項1〜3記載のいずれか1項記載の球形焼菓子の製造手法。
【請求項5】 前記加工型の震動方向が上下方向である請求項1記載の球形焼菓子の製造手法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、球形の焼菓子を製造する手法に関するが、特に、予め可食加工された加工材料を定位置で回しながら表面から内部まで加熱し、且つ球形に整形して表面を適度に焦がし、焼き上げる製造手法に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで、球形の焼菓子は、金属板の表面に沢山の等径半球凹部が凹設されて構成した加工型の前記等径半球凹部に製菓原材料を充填し、その原材料を手で回しながら、表面から内部まで加熱し、同時に表面を適度に焦がしながら、球形に整形して焼き上げている。
【0003】
【解決すべき課題】この従来の球形焼菓子の製造手法は、製造を人手に頼らざるを得ないため、沢山の均質な球形焼菓子を製造するには、経験豊富な人材を必要とする。しかし、熟練の人材確保がなかなか難しいという問題点がある。また、球形焼菓子の製造中は、熟練の者であったとしてもその場所を離れることができず、製造者が1人で他の仕事と同時進行することは無理があり、どうしても、このような同時進行を必要とする場合には、他の人に依頼せざるを得ないという問題点がある。
【0004】これらの事情を改善するため、製菓原材料の面で製菓業界とのつながりの深い農業分野を調査した処、球形の根菜類(たとえば、馬鈴薯、玉ねぎ、その他)を分級するとき、沢山の根菜類を、縦方向へ振動する分級ベルト上に供給して転がし、そのベルトに開穿された直径の異なる沢山の分級孔を通過させることによってサイズごとに分級しているという球形根菜類の分級技術を観察することにより球形焼菓子製造手法を見いだした。
【0005】本願発明は、上記した球形根菜類の分級技術及び前記した従来の球形焼菓子製造技術の両方を鋭意研究した結果開発したものであって、球形焼菓子製造の経験がない者でも、手軽に製造することが可能な球形焼菓子製造手法を提案することを目的とする。また、本願発明の他の目的は、球形焼菓子の製造中にあっても、現場を離れることが可能な球形焼菓子製造手法を提案することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明が提案する解決するための手段は、第1に、請求項1記載の通り、球形焼菓子の製造手法は、金属板の表面に沢山の等径半球凹部が形成されて構成された加工型を使用する球形焼菓子製造手法にあって、加熱された前記加工型の等径半球凹部に予め可食加工された加工材料を入れ、前記加工型を加熱しながら震動し、前記加工材料を前記等径半球凹部内で表裏面が反転されるように回しながら内部まで加熱し、且つ球形に整形して表面を適度に焦がし、焼き上げるということである。
【0007】第2に、請求項2記載の通り、加熱された加工型の等径半球凹部に予め可食加工された加工材料が、具と、その具を包む皮とからなるということである。
【0008】第3に、請求項3記載の通り、加熱された加工型の等径半球凹部に予め可食加工された加工材料が、予め略球形に整形されているということである。
【0009】第4に、請求項4記載の通り、加熱された加工型の等径半球凹部に入れる加工材料が、予め蒸かし加工により、可食加工された後、冷凍されているということである。
【0010】第5に、請求項5記載の通り、加熱された前記加工型の震動方向が上下方向であるということである。
【0011】
【作用】本発明の球形焼菓子製造手法によれば、第1には、前記加工型の等径半球凹部に入れた加工材料が、前記加工型の加熱されながらの震動により自動的に回しながら加工され、焼上げられる。第2には、加工材料が、具とこの具を包む皮とからなる球形焼菓子が球形に整形されながら焼き上げられ、製造される。第3には、加工材料が予め略球形に整形されているので、前記加工型の震動により、該加工型の等径半球凹部内で略球形の加工材料が円滑に回る。第4には、前記加工材料が可食加工された後、冷凍され、その後前記加工型で焼上げられることは、前記加工材料に含有されている澱粉が、β澱粉(可食加工前)からα澱粉に変化(可食加工)し、さらに冷凍でβ澱粉へと戻るものの、再びα澱粉(焼上げ加工)に変わる。第5には、前記加工型の震動方向が上下方向であることにより、略球形に成形されている前記加工材料を確実に表裏面が反転されるように回わせると共に、これが一層円滑に回せる。
【0012】
【発明の実施の態様】本発明の実施の態様を加工材料の原材料、及び製造工程の順について説明する。
原材料 配合量米粉 6000g糯粉 1000g小麦粉 1000g砂糖(上白糖) 1700g白湯 5000g具(粒餡) 11500gなお、焼菓子の皮となる生地の上り目方(蒸すために水分が1000g増量される)は、15700gである。上記の配合量による生地では焼菓子の個数にすると830個位を製造できる量である。
【0013】米粉と糯粉との配合量に言及すると、上記した配合量が最も好ましい配合量であり、この配合量だと製造作業を失敗する憂いが少なく、食感(サクサク感)にすぐれた高品質の焼菓子を得ることができる。しかしながら、米粉の配合量が5700〜6300gの範囲で、糯粉の配合量が700〜1300gの範囲であれば、敢えず良質な焼菓子を製造することができる。ここで肝要なことは、米粉の配合量が多過ぎると、団子に近い生地になリ、食感(サクサク感)に劣る焼菓子になるので、米粉5700〜6300g(好ましくは6000g)の配合量にすることであり、また、逆に糯粉の配合量が多過ぎると、餅勝りの生地になり、製造工程のうちの焼上げ工程を円滑に終えることがなかなか難しくなるので、糯粉700〜1300g(好ましくは1000g)の配合量にすることである。即ち、以上より、米粉と糯粉との配合比率を6対1とすることが、最も良好で好ましいものである。
【0014】小麦粉は、糯粉の配合量と同量程度とし、糯粉の配合量が700〜1300gの範囲に対して同じく700〜1300gの範囲である。そして蒸して可食加工した加工材料(生地)が冷えても硬くならないように配合する。
【0015】次に製造工程を説明する。第1工程 米粉と糯粉と小麦粉とを混合したものに適量の白湯及び砂糖を添加し、これを蒸練機にて約6分撹拌しながら蒸して可食加工を行う。可食加工された加工材料(通称、餅生地)の表面温度は70〜73℃位である。第2工程 前記加工材料を搗機で搗く。本工程で使用する搗機は胴搗機である。第3工程 前記加工材料の表面温度が60℃位まで降下した頃、砂糖(100〜150g位)及び少量の老化防止剤を混合したものを前記加工材料に加え、前記搗機の臼部を回転しながら、手で均一になるように混ぜ合わす。第4工程 混合した後、胴搗きを行う。前記第2工程から、この第4工程までの所要時分は、およそ2〜3分位である。第5工程 混合した後、胴搗きを行う。この胴搗き工程を3〜4分位行う。第6工程 第5工程を終了した加工材料(餅生地)を包餡機にて、皮(具を包む皮)16〜17g位/個、具(粒餡)14〜15g位/個として、1個当りの目方30〜31g位にし、そして1個当りの直径2.8〜3.0cm位となるように皮で具を包み、略球形に形成する。第7工程 略球形の加工材料(餅生地)を冷凍し、餅生地をなじませる。もし、この冷凍工程を経ず、低温もしくは冷蔵の状態で上記加工材料を焼くと、皮が膨張して均等に焼上がらない弊害、もしくは具が膨張して皮を突き破って飛び出す弊害、といった事態が惹起される場合がある。これらの問題点を惹起させないようにするには、この冷凍工程が必要不可欠である。この冷凍工程は、前記球形の加工材料を冷凍庫に保存し、完全に冷凍する。(それは、冷凍することにより冷凍乾燥され、餅生地がなじむことになる。)
【0016】ここまでが、焼き上げ加工前の加工工程であり、次工程から焼上げ加工工程になる。第8工程 第7工程で完全冷凍した加工材料を自然解凍しながら焼上げ加工工程にすすむ。この工程は、加工材料の冷凍状態が非常に深いかかわりを有しているので、その冷凍状態と焼上りとの関係に言及する。完全冷凍状態の加工材料を焼上げ加工すると、焼き時間が長くなり、かつ焼きムラが発生しやすくなるので、好ましいことではない。逆に、完全解凍された加工材料を焼上げ加工すると、皮が膨張して均等に焼上がらない、或いは具が膨張して皮を突き破って飛び出すといった問題点が発生する場合があって好ましいことではない。これらの知見に基づいて得られた結論は、半解凍状態まで自然解凍した加工材料を焼上げ加工することである。実験によれば、この加工材料を使用した場合、最良の焼上り状態になった。
【0017】この焼上げ加工工程で使用する加工型は、金属板の表面に沢山の等径半球凹部が形成配列されて構成された成形型であり、200〜230℃位の焼上げ温度に設定する。この設定温度は、加工材料の含有水分量、大きさ、皮及び具の種類などによって適正な温度を決定する。前記加工型は、裏側に震動モーターが取付けられ、上下方向に震動する。この上下方向は、斜方向、回転方向など、加工材料を等径半球凹部内で円滑に表裏面を反転させるように回転震動させられる方向であれば、どの上下方向であっても構わない。前記加工型が所定の設定温度(たとえば、230℃位)に達したら、震動モーターを駆動し、加工型を上下方向に震動する。そして、略球形に形成されている半解凍状態の前記加工材料を等径半球凹部に入れる。これらの加工材料は、加工型の震動によって前記等径半球凹部内で表裏面を反転させるようにスムースに回り球形に整形されながら、表面が適度(たとえば、狐色)にムラなく焦がされて焼上がる。加工材料を等径半球凹部に入れてから、焼上がりまでの所要時分は、7〜8分位である。焼上げられた焼菓子は、内部まで加熱され、β澱粉がα澱粉に変わった温かくて、サクサクした食感のよい加工食品になると共に、おいしくて、消化のよい食品になる。
【0018】
【発明の効果】本発明は、叙上のように構成したから、下記の効果を発揮する。第1に、請求項1に記載した如く、加熱された加工型の等径半球凹部に入れた略球形の加工材料が、前記加工型の震動により、自動的に表裏面が反転されるよう加熱加工され、焼上げられる。従って、焼菓子の製造を自動化し、複数人の人手に頼らずにすみ、且つ誰でも手軽に製造することが可能になると共に、焼菓子製造者は、短時分ならば、製造中に現場を離れる事が可能になる。第2に、請求項2に記載したように、具とその具を包んだ皮とからなる球形焼菓子が容易にして、かつ簡単に球形が整形されながら焼き上げ加工することができる。第3に、請求項3に記載した如く、前記加工材料が予め略球形に成形されていることにより、前記加工型の震動で、前記等径半球凹部内で円滑に回る。従って、前記の略球形が一層なめらかな真円形に整形されると共に、表面が適度にムラなく焦がされて焼上げることができる。第4に、請求項4に記載された如く、前記加工材料が可食加工された後、冷凍され、その後に焼上げられることにより、前記加工材料に含有されている澱粉が、可食加工前のβ澱粉から同加工後のα澱粉に変わり、さらに冷凍加工でβ澱粉に戻るものの、焼上げ加工によって再びα澱粉に変わるので、消化のよい焼菓子をおいしく食する事ができると共に、サクサクとしたすぐれた食感を楽しみながら食することができる。第5に、請求項5に記載したように、前記加工型の震動方向が上下方向であることにより、略球形に形成されている前記加工材料が表裏面が反転されるように確実にかつ一層円滑に回り、更なる加工材料の整形が能率よく行われると共に、表面の焦がし加工もムラなく能率よく行われる。
【出願人】 【識別番号】591107229
【氏名又は名称】株式会社たねや
【出願日】 平成14年2月19日(2002.2.19)
【代理人】 【識別番号】100109955
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 貞行 (外2名)
【公開番号】 特開2003−235456(P2003−235456A)
【公開日】 平成15年8月26日(2003.8.26)
【出願番号】 特願2002−41615(P2002−41615)