| 【発明の名称】 |
黒飴およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】立川 静子 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区神崎町4番12号 ユーハ味覚糖株式会社内
【氏名】藤尾 愛子 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区神崎町4番12号 ユーハ味覚糖株式会社内
【氏名】松居 雄毅 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区神崎町4番12号 ユーハ味覚糖株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】表面に凹凸がなく滑らかで光沢があり、見た目に綺麗であるだけでなく、食感も滑らかな黒飴を提供する。
【解決手段】黒糖、砂糖及び水飴を主成分とする黒飴生地を炊き、炊いた黒飴生地を成形し、成形した黒飴の表面を後処理工程により再溶融して表面処理層を形成することで得られる、再溶融により形成された表面から7μm以上の厚みの表面処理層を有し、表面に凹凸がなく滑らかで、表面を色彩色差計で測定して得られるL*a*b*表色系で定義される色の均等知覚空間におけるa*値が−1〜1、b*値が−3〜−2の範囲内である黒飴。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 黒糖、砂糖及び水飴を主成分とする黒飴であって、成形後の再溶融により形成された表面から7μm以上の厚みの表面処理層を有し、表面に凹凸がなく滑らかで、表面を色彩色差計で測定して得られるL*a*b*表色系で定義される色の均等知覚空間におけるa*値が−1〜1、b*値が−3〜−2の範囲内であることを特徴とする黒飴。 【請求項2】 黒糖、砂糖及び水飴を主成分とする黒飴生地を炊く工程、炊いた黒飴生地を成形する工程、成形した黒飴の表面を再溶融して表面処理層を形成する後処理工程を含むことを特徴とする黒飴の製造方法。 【請求項3】 後処理工程が、成形後の黒飴を回転させながら表面を加熱して再溶融し、引き続き回転させながら冷却するものである請求項2記載の黒飴の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は黒飴およびその製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】黒糖、砂糖及び水飴を主成分とする黒飴は、夏場にもそれほど消費量の下がらない飴として根強い支持を受けてきた。その理由は、黒糖のおいしさとその健康感にあると思われる。このような黒飴を製造する工程としては、例えば以下のような方法がある。第1の方法は、黒糖、砂糖及び水飴を主成分とする黒飴生地を炊く工程、それを型に流し込んで成型する工程からなる。第2の方法は、炊いた黒飴生地を釜から出した後、球断機で成形する工程からなる。更に、第3の方法として、球断機に変えてスタンピングにより成形する方法もある。 【0003】しかし、上記第1の方法では、炊いた生地を型に流し込んで成型し、冷却した後、型から離すため、飴の表面にへこみが生じ、凹凸のない平坦な形状の飴にするのは難しい。また、表面の滑らかさは上記3つの方法の中では良い方だが、滑らかさには限界がある。上記第2、3の方法では表面に帯状の凹凸が発生し、滑らかな表面の飴にするのは難しく、光沢が乏しい。更に、見た目だけでなく、いずれの方法で製造した黒飴も、食感の滑らかさという点でも難がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の方法により製造された黒飴は、表面の凹凸や滑らかさ、及び食感の滑らかさのいずれの点においても難があり、表面に凹凸がなく滑らかで見た目に綺麗であり、かつ食感も滑らかな黒飴が長い間要望されてきた。本発明はこの要望に応えることを目的とし、表面に凹凸がなく滑らかで光沢があり、見た目に綺麗であるだけでなく、食感も滑らかな黒飴を提供することを目的とするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、成形後の黒飴を、後処理によりその表面を再溶融させた後、冷却すると、表面が驚くほど滑らかになり、光沢があって見た目に綺麗で、しかも食感も極めて滑らかな黒飴を製造することができることを知見し、本発明を完成させるに至った。 【0006】即ち、本発明に係る黒飴は、黒糖、砂糖及び水飴を主成分とする黒飴であって、成形後の再溶融により形成された表面から7μm以上の厚みの表面処理層を有し、表面に凹凸がなく滑らかで、表面を色彩色差計で測定して得られるL*a*b*表色系で定義される色の均等知覚空間におけるa*値が−1〜1、b*値が−3〜−2の範囲内であることを特徴とする。 【0007】又、本発明に係る黒飴の製造方法は、黒糖、砂糖及び水飴を主成分とする黒飴生地を炊く工程、炊いた黒飴生地を成形する工程、成形した黒飴の表面を再溶融して表面処理層を形成する後処理工程を含むことを特徴とする。前記後処理工程としては、成形後の黒飴を回転させながら表面を加熱して再溶融し、引き続き回転させながら冷却するものであることが好ましい。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明の黒飴は黒糖、砂糖及び水飴を主成分としてなる。通常の黒飴は、生地中での水飴の比率(重量比、以下同じ)が3割程度で、残りが黒糖と砂糖である。本発明では、生地中に黒糖を2割〜9割までの比率で使用できるが、好ましくは3割〜7割、より好ましくは4割〜6割程度の黒糖が含まれている態様である。生地中の黒糖の比率が3割以下になると色が茶色を帯び、7割を越えると黒糖の甘さが極端に出ていくつも食することができなくなる。本発明の黒飴には、上記黒糖、砂糖及び水飴の他、消泡剤、香料、色素などを添加することも可能である。又、センターに果汁や果実等を入れることも可能である。 【0009】本発明の黒飴を製造する方法は、黒糖、砂糖及び水飴を主成分とする黒飴生地を炊く工程、炊いた黒飴生地を成形する工程、成形した黒飴の表面を再溶融して表面処理層を形成する後処理工程を含む。 【0010】即ち、まず最初は、上記した黒糖比率の黒飴生地を炊きあげることから始まる。一般に、この炊きあげ温度は135℃前後を適当とする。ついで成形工程に入るが、成形方法としては、例えば型への流し込み、球断機にかける、またスタンピングといった普通に行われている成形法を使用することができる。本発明では、成形後、冷却した後の黒飴を更に後処理工程にかける。 【0011】本発明の後処理工程は、成形後、冷却した黒飴の表面を再溶融させた後、冷却することにより、黒飴の表面に所定の厚みの表面処理層を形成するものである。成形後の黒飴の表面を溶融する方法としては、表面を加熱して溶融する方法、摩擦熱により表面を溶融する方法、加熱と摩擦熱の両方を組み合わせて溶融する方法がある。表面処理層を形成する好ましい方法としては、成形後、冷却した黒飴を回転させながら加熱してその表面を所定の厚みで再溶融し、その後、引き続き回転させながら冷却する。これにより、形が美しく、表面に凹凸がなく滑らかで、黒光りした極めて光沢のある黒飴を製造することができる。本発明において、黒飴の表面に凹凸がなく滑らかであるという意味は、黒飴の表面に肉眼で確認できるほどの巨視的な凹凸がなく、また微視的にも極めて平滑であることを意味する。 【0012】好ましい後処理工程の実施態様としては、成形後、冷却した黒飴を、回転するレボリングパンに所定量入れ、所定の回転数のもと回転させながら加熱することにより、飴の表面から所定の厚みで再溶融させる。これにより、加熱とパンの回転による摩擦熱の両方がパンに入れた黒飴の表面を溶かし、後処理層を形成することになる。加熱方法としては、送風機でレボリングパンに熱風を吹き込む方法、あるいはレボリングパンの下にガスコンロや電気コンロ等の加熱手段を設置してパン自体を加熱するなどの方法を採用することができる。また、パンに黒飴を入れる前に、予めパンを加熱しておいてもよい。このようにして回転するレボリングパン中で飴表面を再溶融した後、引き続きレボリングパン中で回転させながら冷却する。これにより、表面に凹凸がなく滑らかな本発明の黒飴を作ることが出来る。この後処理時のパンの回転数は10〜1000rpm、好ましくは30〜300rpmであるが、パンの大きさ、パンに入れる黒飴の量によって適宜調整することが好ましい。加熱は80℃前後の温度が適当であるが、加熱時間はパンの大きさとパンに入れる黒飴の量によって調整する。この場合、加熱温度を過度に高くしたり回転の時間が長すぎたりすると黒飴が互いにくっついたり形が変形したりするので注意を要する。また、加熱温度、加熱時間を調整することにより、飴表面が再溶融して形成される表面処理層の厚みを調整することができる。本発明の黒飴の好適な態様は、生地を丸型(球形)に成形し、レボリングパン中での回転によって、限りなく丸くなった光沢のある態様であるが、丸型に限らず四角等も可能である。いずれの形であっても、形が美しくかつ黒光りする、これまでになかった黒飴を提供することができる。 【0013】なお、例えば、成形後、冷却した黒飴を、新たな型にはめ込み、熱を一定時間かけて放置することでも、飴表面を再溶融して表面処理層を形成することはできる。しかし、この方法は、上記した飴を回転させながら、その表面を再溶融させる方法に比べて生産効率が低く、また表面の凹凸や滑らかさといった点でも回転させる方法のほうが有利である。 【0014】上記のように、本発明の黒飴の特徴は表面に凹凸がなく極めて平滑で黒光りする光沢を有する点である。この特徴は、飴の表面を色彩色差計で測定して得られる、L*a*b*表色系で定義される色の均等知覚空間におけるa*及びb*の値に表れる。即ち、本発明の黒飴は、色彩色差計を用いた測定値によって得られる上記a*値及びb*値によって、従来の黒飴と明確に区別することができる。 【0015】上記色彩色差計で測定したときのL*a*b*表色系で定義される色の均等知覚空間におけるa*値及びb*値について説明する。色彩色差計は、物の色を判定し制御する分野において、人間の眼に代わる色彩管理機である。この計器は試料に光源からの光を照射し、その反射光を受光して測定し、数値化するものである。色という人間の感覚量を数値化したものがL*a*b*値である。 【0016】即ち、CIE(国際照明委員会)は、人間の眼は3つの波長での刺激量(X、Y、Z)を持つと定義し、この刺激量をもとにして、色は次式(1)、(2)で定義される色度座標(x、y)で表現した。 【0017】 【数1】
【0018】上記(x、y)を図にプロットしたものをCIE標準色度図と呼び、すべての色はこの図の馬蹄型の内側に位置する。このように人間の眼の感度、及び色度座標を定義したが、この色度図では色差、つまり肉眼で2つの色を見て感じる2つの色の違いの量と、色度座標(x、y)上での距離とは一致していない。そこで人間が感じる色差と、座標空間の距離のほぼ等しい均等知覚空間が考え出された。CIEは、これを次式(3)、(4)、(5)で表されるL*a*b*表色系で定義した。一般的に言われている明度はL*の関数であり、彩度と色相はa*とb*の関数である。 【0019】 【数2】
ここに、X0,Y0,Z0は照明光源の3刺激値である。 【0020】色彩色差計は、3つの波長での刺激量(X、Y、Z)値を測定し、上記式(3)〜(5)により、L*、a*、b*を算出する。本発明の黒飴は、その表面が、上記色彩色差計による測定により求められるL*a*b*表色系でa*、b*がそれぞれ−1〜1、−3〜−2の範囲の値を有する。これに対し、従来の製造方法により製造され、現在市場に出回っている黒飴表面のa*、b*の値は、本発明の黒飴のそれより大きい。 【0021】なお、黒飴の表面光沢を数字で表す場合、光沢度計により測定することも考えられる。しかし、市販の光沢度計はビーム径が大きく、市販されているもののうちでもっとも小さいビーム径を有する光沢度計で測定しても、本発明の好ましい実施態様である丸い黒飴の場合、実際の光沢に比べて低い値しか得られず、飴表面の光沢を正しく評価することが困難であった。 【0022】上記したa*、b*の値を有する本発明の黒飴は、その表面から7μm以上の表面処理層を有している。この表面処理層は、飴を切断するか破砕し、その断面を電子顕微鏡により、例えば1,000倍程度の倍率で観察することにより確認することができる。即ち、電子顕微鏡により観察した場合、成形後の再溶融により形成される表面処理層は溶けたように流れて見え、それ以外の部分は平坦でなにも見えない。これにより、表面処理層とそれ以外の部分とに明確に区別することができ、表面処理層の厚みを測定することができる。なお、表面処理層の厚みは、電子顕微鏡による観察結果をコンピュータで画像処理することにより容易に測定することができる。そして、表面から7μm以上の表面処理層を有する黒飴は、上記の範囲のa*値及びb*値を有する。表面処理層の厚みが7μm未満の場合には、a*値およびb*値が上記の適性な範囲からはずれ、表面の平滑性が失われる。この表面処理層が厚ければ厚いほど表面の平滑性は良いことになるが、良い形を保つため、又、製造時間の制限から、おのずと厚みの上限が決まる。このような観点から、表面処理層の好ましい厚みの上限値は100μm、より好ましくは40μmである。 【0023】上記のような飴表面の平滑性は、見た目のうえだけでなく、飴をなめたときの極めて滑らかな食感として感じることができる。即ち、上記範囲の厚みの表面処理層が形成された黒飴は、驚くべきことに、舐め始めから終わりまで、いつまでも極めて滑らかな食感が楽しめるものになる。即ち、上記のような表面処理層を有する本発明の黒飴は、食感上でもこれまでになかった滑らかさを有する。 【0024】 【実施例】次に実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。 【0025】[実施例1〜4]黒糖、砂糖及び水飴の比率を、水飴が30重量%、黒糖が30〜60重量%の範囲の4種類、残りを砂糖とした4種類の黒飴生地に消泡剤としてグリセリン脂肪酸エステル1.6重量%を加え、これを133℃、0.056MPaの真空釜で炊きあげた。次いで釜から出して丸型(球形)にスタンピングして、単重5gの黒飴を成形した。成形された黒飴の表面には帯状の凹凸が見られた。直径30cmのレボリングパンに黒飴50個を入れ、次いでレボリングパンの回転数を30rpmから80rpmに上げつつ80℃の熱風を吹き込んだ。1分後、レボリングパンを回転させたまま冷却したところ、ほぼ球形で、帯状の凹凸が消失して表面が平滑で黒光りする黒飴が出来た。色彩色差計により、得られた黒飴の表面のL*a*b*を測定した。なお、L*a*b*の測定は、日本電色(株)の色差計SZにより行った。更に、黒飴を金槌で粉砕し、その断面を電子顕微鏡により1,000倍の倍率で観察し、表面処理層の厚みをコンピュータ画像処理により求めた。なお、表面処理層の厚みとL*a*b*は、黒糖比率の異なる実施例1〜4の飴について、それぞれ20個ずつ測定した。上記のようにして測定したa*値、b*値の平均値及び表面処理層の厚み幅を表1に示した。 【0026】[比較例1、2]上記実施例1において、レボリングパンによる後処理工程を行わない以外は同様にして黒飴を製造し、比較例1とした。また、市販の黒飴を比較例2とした。これら比較例1及び2について、実施例1〜4と同様にしてa*値及びb*値を測定し、結果を表1に併せて示した。なお、比較例2の市販の黒飴についての黒糖比率は不明である。 【0027】 【表1】
【0028】表1に示す結果から明らかなように、成形後の再溶融による後処理により形成された7μm以上の表面処理層を有する本発明の黒飴は、後処理を行わない比較例1の黒飴や市販の黒飴に比べてa*値、b*値が小さく、その表面は凹凸がない滑らかな球面状で黒光りしており、また舐め始めから終わりまでツルツルとした滑らかな食感であった。一方、後処理を行わない比較例1の黒飴は表面に帯状の凹凸があり、また舐めたときの食感も凹凸を感じるものであった。また市販の黒飴は、その表面が滑らかさに欠け、舐めたときの食感もざらつきを感じるものであった。 【0029】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、成形後の再溶融により形成される表面処理層を有する本発明の黒飴は、形も綺麗で表面に凹凸がなく黒光りしており、見た目に綺麗で、かつ極めて食感の滑らかな黒飴である。また、本発明の黒飴の製造方法によれば、上記のような見た目に綺麗でかつ極めて食感も滑らかな黒飴を製造することができる。更に、前記黒飴の製造方法において、後処理工程が、成形後の黒飴を回転させながら表面を再溶融し、引き続き回転させながら冷却するものである場合には、上記の黒飴を効率よく量産することが可能である。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】390020178 【氏名又は名称】味覚糖株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区神崎町4番12号
|
| 【出願日】 |
平成14年1月28日(2002.1.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074561 【弁理士】 【氏名又は名称】柳野 隆生
|
| 【公開番号】 |
特開2003−219802(P2003−219802A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月5日(2003.8.5) |
| 【出願番号】 |
特願2002−18124(P2002−18124) |
|