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【発明の名称】 濡れ米菓及びその製造方法
【発明者】 【氏名】森川 初美
【住所又は居所】秋田県秋田市川尻町字大川反170 秋田いなふく米菓株式会社内

【要約】 【課題】従来、せんべいやおかき等の濡れ米菓は、しょうゆや味噌を含有した調味液に浸漬して味付けをしていたが、吸湿しやすく表面がべたつきやすい性質が有り、これを改良した製品にトリハロースを添加して保存性の高い濡れ米菓が市販されていたが、新規な味による新製品の開発が望まれていた。

【解決手段】本発明は、濡れ米菓としておかき製品に、餡を保持させ、或いは含浸させることによっておかきの味とあんの味とを一緒に味わえる新規な濡れ米菓とその製造方法を提供するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】焼成後の素焼き製品に餡を含浸させることを特徴とする濡れ米菓。
【請求項2】焼成後の素焼き製品に餡を保持させることを特徴とする濡れ米菓。
【請求項3】焼成後の素焼き製品に餡を含浸させ、かつ、餡を保持させることを特徴とする濡れ米菓。
【請求項4】米菓原料を加工した米菓生地を所定形状に成形する成形工程と、成形工程で成形された米菓生地を乾燥する乾燥工程と、乾燥工程で乾燥された米菓生地を焼成する焼成工程と、焼成工程で焼成された素焼き製品を焼成後速やかに調味液に浸漬する浸漬工程とを備えた濡れ米菓の製造方法において、上記浸漬工程に於ける調味液に餡を混合してあることを特徴とする濡れ米菓の製造方法。
【請求項5】前記成形工程において、成形後の米菓生地の質量を10g以下とすること、かつ、該米菓生地の厚さを3〜8mmとすることを特徴とする請求項4記載の濡れ米菓の製造方法。
【請求項6】前記焼成工程において、焼成後の素焼き製品の内相のキメを粗くし、且つ内部に空洞を形成することを特徴とする請求項4〜請求項5記載の濡れ米菓の製造方法。
【請求項7】前記調味液中の餡の原料豆の量を調味液中に質量比で5〜40%とすることを特徴とする請求項4〜請求項6記載の濡れ米菓の製造方法。
【請求項8】前記調味液中に含有される生餡成分の量を、調味液中の質量比で10〜50%とすることを特徴とする請求項4〜請求項7記載の濡れ米菓の製造方法。
【請求項9】前記浸漬工程において、前記焼成終了後に素焼き製品を調味液に浸漬するまでの時間を30秒以内とし、及び/又は該浸漬工程において該素焼き製品を調味液に浸漬している時間を1分以上とすることを特徴とする請求項4〜請求項8記載の濡れ米菓の製造方法。
【請求項10】前記浸漬工程において、調味液の温度を30℃以上とする請求項4〜請求項9記載の濡れ米菓の製造方法。
【請求項11】前記浸漬工程において、調味液の温度を40〜90℃、好ましくは60〜90℃とすることを特徴とする請求項4〜請求項10記載の濡れ米菓の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、“濡れせんべい”や“濡れおかき”などの濡れ米菓およびその製造方法に関し、更に詳しくは、内部に餡を保持し、及び/又は含浸させた濡れ米菓及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】濡れせんべいや濡れおかき等の濡れ米菓(半生米菓ともいう)を製造するものとして、特公平4−36659号「濡れせんべいの製法」が知られているが、この製法は、「精米した米を粉末にし、次いで餅状にした後、所定の形状に成形し且つ乾燥して生地を得、更に二次乾燥に供した後焼上げ、而る後に調味料の味付けを成し、その後乾燥してせんべいを製造する方法において;上記調味料の味付け工程は、焼き上げたせんべいを冷やす事なく、直ちにしょうゆ、液状みそ等の液状の調味料中に浸漬し、せんべいの組織中に調味料を浸み込ませて実施し、而もこの後の乾燥工程は調味料成分が含浸せるせんべいの表面のみを僅かに乾燥させる程度とし、含浸調味料によりせんべい全体に湿感を呈せしめ、軟らかい食感を与えるようにした事を特徴とする濡れせんべいの製法」とするもので、調味液としてしょうゆやみその液状物を用いている。
【0003】また特許第3047173号「半生米菓の製造方法」は、「米菓原料を製餅等加工した米菓生地を所定形状に成形する成形工程と、成形工程で成形された米菓生地を乾燥する乾燥工程と、乾燥工程で乾燥された米菓生地を焼成する焼成工程と、焼成工程で焼成された素焼き製品を調味液に浸漬して半生状にする浸漬工程とを備えた半生米菓の製造方法であって、最終製品の内部が餅のような弾力感のあるものとなるよう、上記焼成工程において、焼成後の素焼き製品の表面の水分含量が1〜3%となるようにし、かつ、その内部の水分含量が表面の2倍以上となるように調整して焼成することを特徴とする半生米菓の製造方法」を開示し、調味液の浸透を損なうことなく柔らかくすることができると共に、多量の調味液のしみ込みを防止して味の調整を行い易くし、更には、製品の固さや味のばらつきをできるだけ生じないようにした製造法を提供している。
【0004】さらに特開2001−8630号「半生米菓の製造方法」は、「米菓原料を加工した米菓生地を所定形状に成形する成形工程と、成形工程で成形された米菓生地を乾燥する乾燥工程と、乾燥工程で焼成された素焼き製品を調味液に浸漬する浸漬工程とを備えた半生米菓の製造方法であって、上記浸漬工程における調味液にトレハロースを添加することを特徴とする半生米菓の製造方法」を開示するが、この発明は、トレハロースの加え方を工夫して半生米菓の保存性を向上させることを目的としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、濡れ米菓は、その製造法を品質向上等のために改良されてきておりまた、市場において米菓の一つのジャンルとして定着してきているが、製品としての目新しさはなくなってきているという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は斯かる課題を解決するために鋭意研究したところ、以下のような全く新しいタイプの濡れ米菓を開発することが出来た。
【0007】本発明は、焼成後の素焼き製品に餡を含浸させることを特徴とする濡れ米菓である。また、本発明は、焼成後の素焼き製品に餡を含浸させることを特徴とする濡れ米菓でもある。また、本発明は、焼成後の素焼き製品に餡を含浸させ、かつ、餡を保持させることを特徴とする濡れ米菓でもある。
【0008】また、本発明は、米菓原料を加工した米菓生地を所定形状に成形する成形工程と、成形工程で成形された米菓生地を乾燥する乾燥工程と、乾燥工程で乾燥された米菓生地を焼成する焼成工程と、焼成工程で焼成された素焼き製品を焼成後速やかに調味液に浸漬工程とを備えた濡れ米菓の製造方法において、上記浸漬工程に於ける調味液に餡を入れてあることを特徴とする濡れ米菓の製造方法である。
【0009】また、本発明は、前記成形工程において、成形後の米菓生地の質量を10g以下とすること、かつ、該米菓生地の厚さを3〜8mmとすることを特徴とする濡れ米菓の製造方法でもある。
【0010】また、本発明は、前記焼成工程において、焼成後の素焼き製品の内相のキメを粗くし、且つ内部に空洞を形成することを特徴とする濡れ米菓の製造方法でもある。
【0011】また、本発明は、前記調味液中の餡の原料豆の量を調味液中に質量比で5〜40%であることを特徴とする濡れ米菓の製造方法でもある。
【0012】そしてまた、本発明は、前記調味液中に含有される生餡成分の量を、調味液中の質量比で10〜50%とすることを特徴とする濡れ米菓の製造方法でもある。
【0013】さらに、本発明は、前記浸漬工程において、前記焼成終了後に素焼き製品を調味液に浸漬するまでの時間を30秒以内とし、及び/又は該浸漬工程において該素焼き製品を調味液に浸漬している時間を1分以上とすることを特徴とする濡れ米菓の製造方法でもある。
【0014】また、本発明は、前記浸漬工程において、調味液の温度を30℃以上とすること特徴とする濡れ米菓の製造方法でもある。
【0015】さらにまた、本発明は、前記浸漬工程において、調味液の温度を40〜90℃、好ましくは60〜90℃とすることを特徴とする濡れ米菓の製造方法でもある。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、米菓原料を加工した米菓生地を所定形状に成形する成形工程と、成形工程で成形された米菓生地を乾燥する乾燥工程と、乾燥工程で乾燥された米菓生地を焼成する焼成工程と、焼成工程で焼成された素焼き製品を焼成後速やかに餡を混合した調味液に浸漬する浸漬工程とを経て濡れ米菓を製造する。
【0017】この場合、成形工程においては、常法の範囲内で適宜、任意の形に成形すればよいが、やや小さく、薄く成形することが望ましい。これにより焼成後の素焼き製品の内相のキメを粗くし、又、空洞を形成しやすくすることができ、餡入り調味液が十分にしみ込み、また、餡を製品内部に入り込ませて、保存させることが容易になる。
【0018】と言うのも、生地が大きく、厚いと生地の内部中心付近まで火が通るまでに、表皮が硬化してしまうおそれがあり、表皮が硬化すると本発明で用いる餡入り調味液がしみ込みにくくなる。従って、米菓生地の質量を10g以下とし、かつ、生地の厚さを3mm〜8mmとすることが望ましい。生地の質量は、7gがより望ましく、5g以下が最も望ましい。生地の厚さが薄すぎると、焼成により割れてしまうおそれが生じる。
【0019】焼成工程では、焼成後の素焼き製品の内部のキメを粗くし、かつ、内部に空洞を形成するように焼成することが望ましい。そのためには高温で短時間の焼成条件とすることが望ましい。これにより、生地が急激に膨化して“ウキ上がり”がよく、内相のキメが大きくなり、製品内部に空洞を形成しやすい。したがって、餡入りの調味液がしみ込みやすくなり、内部に餡が入り込みやすく、また、製品内部に形成された空洞に餡を保持させることができる。
【0020】浸漬工程では、餡を入れた調味液を用いる。調味液は、餡と糖類と水とその他の添加物をほぼ均一になるまで混合する。この場合、調味液中の餡の原料豆の量が質量比で調味液を全体として5%〜40%となるようにすることが望ましく、また、調味液中の生餡成分が10%〜50%となるようにすることが望ましい。
【0021】前記生餡とは、小豆等の原料豆を水煮してすりつぶしや水にさらししたものを言い、生餡中の原料豆の割合は全体の約50〜80質量%となる。また、生餡に砂糖や水などを加えて加熱しながら練り上げたものが練り餡と言い、練り餡中の生餡の割合は用途によって異なるが、通常全体の10質量%〜60質量%にわたる。
【0022】煮た豆を篩(ふるい)でこしわけて皮を除いたものがこしあんで、こさないでそのまま皮を残したものがつぶあんというが、本発明では、焼成後の素焼き製品にしみ込みやすいものが望ましいため、つぶあんではなく、こしあんが望ましくこしあんであれば、生餡でも練り餡でもよい。
【0023】糖類は、任意のものでよい。例えば、砂糖、転化糖ふどう糖、水飴、蜂蜜、麦芽糖、果糖、乳糖、糖アルコール、トレハロースなど、あるいは、これらの2種以上の組み合わせでもよい。
【0024】その他の添加物は、調味、着色、品質保持のために本発明の目的の範囲内のものを使用することができる。
【0025】本発明において、調味液への浸漬は、焼成後30秒以内が望ましいが、これは30秒を越えると、調味液を吸い込みにくくなるためである。また、調味液に浸漬する時間は1分以上が望ましい。何時間浸漬しても不都合はないが10分程度で十分であり、通常は5〜6分で行う。
【0026】また調味液の温度は、30℃以上が望ましく、60℃〜90℃がより望ましい。これにより安定的に製品内部に十分かつ均一に、餡を保持し、かつ、餡を含浸させることができる。一方、温度が低すぎると、餡入り調味液の粘度が高くなり、焼成後の素焼き製品にしみ込みにくくなる。
【0027】逆に温度が高すぎる場合には、焼成後の素焼き製品との温度差が小さくなり、調味液がしみ込みにくくなるため、温度管理は必要である。
【0028】以下実施例を参照に本発明の詳細を説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0029】
【実施例1】図1のフロー図に示す手順で餡含有の濡れ米菓を製造した。先ずもち仕込み工程としてもち米100%を精米し、水洗い、水漬けした後に蒸米しておこわにし、このおこわを用いて製餅にするが、この場合、もち水分を45%前後にするとよい。次いで、得られた製餅を容器に入れ、冷蔵庫にて48時間保存し、成形可能な固さに保持する。
【0030】前記製餅を商品の形状に成形して裁断を行うが、本実施例としては生地寸法の一例を24mm×18mm、厚み6.8mmで1個当たりの質量を約4gとした(成形工程)。
【0031】得られた成形物を次いで乾燥するが、第一次乾燥として50℃で2時間30分間乾燥して水分を約37%にした後、常温下で24時間エージング(ねかし)を行った後、さらに第二次乾燥として50℃で2時間30分間乾燥して水分を約30%にした後、常温下で24時間エージング(ねかし)を行った(乾燥工程)。
【0032】得られた乾燥後の生地を、LPGガスで釜の温度を290℃まで温度を上げて、1回当たり10kgの焼成量を、8分間焼成して通常の製品同様に中心まで焼き上げる。この場合、焼成時間を長くしすぎると生地表皮が硬化しすぎてしまうので、注意が必要である(焼成工程)。
【0033】そして、焼成後の素焼き製品を熱い内にかごに入れ、かごに入れたまま焼成後の5〜25秒内に調味液中に5〜6分間ドブ漬けする。調味液に漬ける直前の製品温度は約120℃、調味液に漬けた直後の製品温度は約70℃であった(味付工程)。
【0034】上記調味液の成分としては、こしあん32%、液糖33%、トレハロース20%、水13%、その他(着色料、香料、食塩など)2%とから成る調味液を調整し、味付け前の調味液温度を約60℃に保持した。尚、こしあんの成分は、生あん55%、糖類44%、食塩0.2%、その他0.8%である。
【0035】次いでドブ漬けした、遠心分離機で毎分33回転の速度で5秒間回転させ、おかきの外部に付着した調味液を振り切った後、約80〜90℃の温度下で約30分乾燥し、さらに2〜3時間保管して製品温度が20℃前後になってから包装を行った。完成製品は内部に十分かつ均一に餡を保持し、かつ餡を含浸したものとすることができた。
【0036】
【発明の効果】本件発明により、従来の濡れせんべいのようにしょうゆ味やみそ味と異なり、内部に餡を保持し、及び/又は餡を含浸した甘味がある全く新しいタイプの濡れ米菓(おかき)を新規に提供できる事になった。
【0037】また、本発明の製造方法により、製品内部に十分かつ均一に餡を保持し、及び/又は餡が含浸している濡れ米菓を安定的に製造しうる。
【出願人】 【識別番号】000178594
【氏名又は名称】山崎製パン株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区岩本町三丁目10番1号
【識別番号】397064612
【氏名又は名称】秋田いなふく米菓株式会社
【住所又は居所】秋田市川尻町字大川反170
【出願日】 平成13年12月20日(2001.12.20)
【代理人】 【識別番号】100087550
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 莞爾
【公開番号】 特開2003−180255(P2003−180255A)
【公開日】 平成15年7月2日(2003.7.2)
【出願番号】 特願2001−387777(P2001−387777)