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【発明の名称】 容器入りコーヒー飲料原料の抽出方法
【発明者】 【氏名】水上 裕紀子

【氏名】五領田 俊雄

【氏名】野澤 英一

【氏名】長田 祐子

【要約】 【課題】抽出率が高く、短時間で味と香りに優れた容器入りコーヒー飲料として適当なコーヒーが得られるコーヒー飲料原料の抽出方法を提供する。

【解決手段】焙煎粉砕コーヒーを入れたセルに抽出媒体を下方から上方へ通過させることにより抽出を行う容器入りコーヒー飲料原料抽出の方法において、コーヒー飲料原料として、粒度355μm以下の焙煎粉砕コーヒーを累積重量分布で2〜30%含有し、粒度1000μm以下の焙煎粉砕コーヒーを累積重量分布で50〜100%含有するコーヒー粉末を用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 焙煎粉砕コーヒーを入れたセルに抽出媒体を下方から上方へ通過させることにより抽出を行う容器入りコーヒー飲料原料の抽出方法において、コーヒー飲料原料として、粒度355μm以下の焙煎粉砕コーヒーを累積重量分布で2〜30%含有し、粒度1000μm以下の焙煎粉砕コーヒーを累積重量分布で50〜100%含有するコーヒー粉末を用いることを特徴とする容器入りコーヒー飲料原料の抽出方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、容器入りコーヒー飲料の製造工程における焙煎粉砕コーヒーの抽出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来容器入りコーヒー飲料の原料コーヒーの抽出方法としてはネルドリッパーにコーヒー粉末を入れてコーヒーベッドの上方から熱水をスプレーしてフイルターを介してドリップさせるネルドリップ方式や、タンクに熱水を張ってこれに浸漬させたコーヒー粉末を攪拌しながら煮出すことにより抽出する煮出し攪拌方式が知られている。また特公昭58−43055号公報には焙煎粉砕コーヒーを入れた複数のセルを連結して抽出媒体を向流で通過させるインスタントコーヒー用の向流式コーヒー抽出方法が開示されている。この方法はコーヒー粉末を入れたセルに抽出媒体を下方から上方へ通過させることにより抽出を行うもので、焙煎粉砕コーヒーを含有する多段に連結されたセルを備える抽出帯に水性媒体を向流で通過させてコーヒー抽出物を得、この抽出帯のセルを連続抽出サイクルの間に取り替え、この間に使用し尽くしたコーヒー含有末端セルを取り除き、その反対の端部に新しいコーヒーの入ったセルを加えて、抽出物の取り出しを行ない、さらに、新鮮なコーヒーの入ったセルを抽出帯に加える前にコーヒー水性浸出液をこのセルに充たし、それによってその抽出液は抽出帯から連続的に流れるようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の抽出方法のネルドリップ方式は、コーヒー粉末の粒度が小さいと抽出に時間を要し、その間に酸化により味が悪くなる上に目詰まりを生じるので、粗引きにしなければならず抽出率が悪いという欠点がある。
【0004】また、煮出し攪拌方式は、抽出率は高いが、抽出に長時間を要し、その間に酸化によりえぐ味と酸味が生じ味が悪くなる欠点がある。
【0005】また、インスタントコーヒー用の向流式抽出法は、43%〜47%の高い抽出率を得ることができるが、比較的に荒い粒度のコーヒー粉末を多段で連続的に抽出するために抽出に時間を要し、この向流式多段連続抽出方式を容器入りコーヒー飲料の抽出に適用すると、抽出されたコーヒーは容器入りコーヒー飲料としては苦味が強すぎて不適である。
【0006】本発明は、上記従来のコーヒー抽出方式の問題点に鑑みてなされたものであって、抽出率が高い上に短時間で味と香りに優れた容器入りコーヒー飲料として適当なコーヒーが得られるコーヒー飲料原料の抽出方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決する手段】本発明者等は、上記本発明の目的を達成するために研究と実験を重ねた結果、コーヒー粉末の粒度においてある粒度範囲を選択し、向流抽出法でコーヒー粉末を抽出すると、高い抽出率と所望の味と香りの双方を満足させることができることを発見し、本発明に到達した。
【0008】本発明にかかる容器入りコーヒー飲料原料の抽出方法は、焙煎粉砕コーヒーを入れたセルに抽出媒体を下方から上方へ通過させることにより抽出を行う容器入りコーヒー飲料原料の抽出方法において、コーヒー飲料原料として、粒度355μm以下の焙煎粉砕コーヒーを累積重量分布で2〜30%含有し、粒度1000μm以下の焙煎粉砕コーヒーを累積重量分布で50〜100%含有するコーヒー粉末を用いることを特徴とするものである。
【0009】
【作用】本発明によれば、粒度355μm以下の焙煎粉砕コーヒーを累積重量分布で2〜30%含有し、粒度1000μm以下の焙煎粉砕コーヒーを累積重量分布で50〜100%含有するコーヒー粉末を向流式抽出法により抽出することにより、15分〜30分程度の比較的に短い抽出時間で20%〜28%程度の比較的に高い抽出率が得られ、しかも抽出されたコーヒー飲料原料は、甘味と適度な苦味、こく、および強いコーヒー感を備えた容器入りコーヒー飲料の原料として最適なものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について説明する。本発明の向流式抽出法においては、コーヒーロースター等により焙煎してコーヒーミルで粉砕したコーヒー豆をセルの上下2枚のフイルター間に収容してコーヒーベッドとし、セルを密閉状態とした後コーヒーベッドの下方から上方に向けてイオン交換水の熱水等の抽出媒体を流して抽出を行ない、抽出液をセル上方の取出口から得る。
【0011】粉砕して得たコーヒー粉末は、粒度355μm以下のコーヒーを累積重量分布で2〜30%含有し、粒度1000μm以下のコーヒーを累積重量分布で50〜100%含有することが重要である。粒度355μm以下のコーヒーが累積重量分布で2%未満であると、抽出率が低くなり、30%を超えると抽出中にコーヒーベッドが割れて抽出が充分にできなくなる。また粒度1000μm以下のコーヒーが50%未満であると、抽出率が低下する上に味覚に刺々しい酸味が強くなり好ましくない。
【0012】本発明は、缶、ペットボトル、カップ、紙等の容器入りコーヒー飲料の原料抽出に広く適用することができる。
【0013】本発明によれば、セルとしては1段のセルで充分であり、20分程度の短い抽出時間で抽出を行うことができるが、多段式のセルを用いて抽出を行なうこともできる。しかし多段式セルを通すと抽出時間が長くなるので、得られたコーヒーの味覚は1段のセルから得たものよりも落ちる。
【0014】
【実施例】[実施例1]ブラジル産アラビカ種コーヒー豆をコーヒーロースターでL値21となるよう焙煎し、得られた焙煎豆を、コーヒーミルで355μm以下の粒子が2累積重量%、かつ1000μm以下の粒子が90累積重量%となるよう粉砕した。焙煎粉砕コーヒー約4.6kgを抽出セル内の2枚のフィルター間に収容し、抽出セルを密閉状態とした後、コーヒーベッドの下方から上方にイオン交換水を供給して抽出を行い、コーヒー粉の5倍重量の抽出液を得た。イオン交換水の温度は93℃、抽出時コーヒーベッドにかかる圧力は0.06MPaとした。抽出液をプレートクーラーで25℃に急冷し、Brix1.5となるよう25℃のイオン交換水で希釈した。続いて熱交換機で145℃5秒間殺菌した後、内容積240ccのポリエステル製カップに200mlずつ充填し密封した。
【0015】[実施例2]実施例1と同様に焙煎して得られた焙煎豆を、コーヒーミルで355μm以下の粒子が2累積重量%、かつ1000μm以下の粒子が50累積重量%となるよう粉砕した以外は、実施例1と同様に抽出、冷却、希釈、充填密封を行った。
【0016】[実施例3]実施例1と同様に焙煎して得られた焙煎豆を、コーヒーミルで355μm以下の粒子が30累積重量%、かつ1000μm以下の粒子が100累積重量%となるよう粉砕した以外は、実施例1と同様に抽出、冷却、希釈、充填密封を行った。
【0017】[実施例4]実施例1と同様に焙煎して得られた焙煎豆を、コーヒーミルで355μm以下の粒子が30累積重量%、かつ1000μm以下の粒子が80累積重量%となるよう粉砕した以外は、実施例1と同様に抽出、冷却、希釈、充填密封を行った。
【0018】
【比較例】[比較例1]実施例1と同様に焙煎して得られた焙煎豆を、コーヒーミルで355μm以下の粒子が1累積重量%、かつ1000μm以下の粒子が50累積重量%となるよう粉砕した以外は、実施例と同様に抽出、冷却、希釈、充填密封を行った。
【0019】[比較例2]実施例1と同様に焙煎して得られた焙煎豆を、コーヒーミルで355μm以下の粒子が35累積重量%となるよう粉砕した。続いて実施例と同様に抽出を行ったところコーヒーベッドが崩壊し、その結果イオン交換水とコーヒーベッドとの接触時間が減少したが、抽出を続けた。抽出以降は実施例と同様に冷却、希釈、充填密封した。
【0020】[比較例3]実施例1と同様に焙煎して得られた焙煎豆を、コーヒーミルで1000μm以下の粒子が45累積重量%となるよう粉砕した以外は、実施例と同様に抽出、冷却、希釈、充填密封を行った。
【0021】[比較例4] ネルドリッパー方式実施例1と同様に焙煎、粉砕して得られた焙煎粉砕コーヒー約4.6kgを、ネルドリッパーに収容しコーヒーベッドの上方から95℃のイオン交換水をスプレーして抽出を行い、コーヒー粉の5倍重量の抽出液を得た。抽出以降は実施例と同様に冷却、希釈、充填密封した。
【0022】[比較例5] 煮出し攪拌方式実施例1と同様に焙煎、粉砕して得られた焙煎粉砕コーヒー約4.6kgを、55.2Lの90℃イオン交換水に浸漬し攪拌しながら抽出を行った。浸漬液のBrixが2.6となった時点でコーヒー粉をろ過して抽出液とした。抽出以降は実施例と同様に冷却、希釈、充填密封した。
【0023】以上、実施例および比較例により得られた容器入りコーヒー飲料を抽出時間、抽出率、官能評価について比較した結果を表1に示す。なお、官能評価はコーヒー評価に熟達した5名のパネラーで5段階評価により行った。評価の基準は5点(特に優れている)、4点(優れている)、3点(普通)、2点(劣っている)、1点(特に劣っている)とした。
【0024】
【表1】

*コーヒーベッド崩壊後も抽出を続け、得られた抽出液。
【0025】表1より、実施例により得られた飲料は比較例により得られた飲料と比較して、香り、味ともに優位であった。特に甘味、適度な苦味、こく、強いコーヒー感があり、えぐ味、雑味、刺々しい酸味が抑えられ、味と香りのバランスがとれていた。
【0026】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、15分〜30分程度の比較的に短い抽出時間で20%〜28%程度の比較的に高い抽出率が得られ、しかも抽出されたコーヒー飲料原料は、甘味と適度な苦味、こく、および強いコーヒー感を備えた容器入りコーヒー飲料の原料として最適なものである。
【出願人】 【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
【出願日】 平成14年4月1日(2002.4.1)
【代理人】 【識別番号】100070747
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 徹 (外1名)
【公開番号】 特開2003−289807(P2003−289807A)
【公開日】 平成15年10月14日(2003.10.14)
【出願番号】 特願2002−98356(P2002−98356)