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【発明の名称】 コーヒー飲料の製造方法
【発明者】 【氏名】北島 義之
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区港島中町7丁目7番7 ユーシーシー上島珈琲株式会社グループ総合企画室内

【要約】 【課題】コーヒー飲料、特にブラックコーヒーを容器中に保存する場合などにおいて、容器表面に油分の分離・凝集が生じるのを防止可能なコーヒー飲料の製造方法を提供する。

【解決手段】コーヒー豆から抽出された抽出液を、遠心分離機を用いて多段処理することにより、コーヒー抽出液中に含まれる油分を分離除去する方法において、1段目の処理で分離可能な最小粒子径を20μm以下とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コーヒー豆から抽出された抽出液を、遠心分離機を用いて多段処理することにより、コーヒー抽出液中に含まれる油分を分離除去するコーヒー飲料の製造方法において、1段目の処理で分離可能な最小粒子径を20μm以下とすることを特徴とするコーヒー飲料の製造方法。
【請求項2】 前記遠心分離機による多段処理工程を2段処理とし、2段目の処理で分離可能な最小粒子径を30μm以下とする請求項1のコーヒー飲料の製造方法。
【請求項3】 コーヒー豆から抽出された抽出液を遠心分離機を用いて処理する工程において、分離可能な最小粒子径を5μm以下とするコーヒー飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコーヒー飲料の製造方法に関し、詳しくは、容器中に保存する場合などにおいて容器表面にコーヒーオイルの分離・凝集が生じ難いコーヒー飲料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ペットボトル等のような透明な容器に密封して流通されているコーヒー飲料は、コーヒーオイル(以下、単に「油分」ということがある)が表面に浮いた場合、分離したオイルがペットボトル内側に沿って付着しリング状になり、外観上の点から、著しく商品価値を損うものとなる。
【0003】このように、コーヒー抽出液は油分の分離・凝集がし易いことから、従来より保存中に油分が分離・凝集するのを防止するために、コーヒー抽出液から予め油分を除去する提案がなされている。
【0004】例えば、種子多糖類と発酵多糖類を添加して、濁り・沈殿・油分の分離・凝集を防止する方法(特開2001−120184号公報)、界面活性剤を添加して、油分の分離・凝集を防止する方法(特開昭58−111641号公報)などがある。
【0005】一方、乳飲料においても、糊料と乳化剤を添加して、リング現象・油滴の分離・沈殿物の発生を防止する試み(特開平4−353396号公報)、乳化安定剤を添加してオイルリングが生じるのを防止する方法(特開平6−125706号公報)、更には、乳飲料用乳化安定剤を使用して、乳脂肪の浮上および沈殿の発生を防止する方法(特開平6−253735号公報など)、乳化剤およびセルロースを添加して、フェザーリング(微細な針状物が集ったリング)やオイル分離を防止する方法(特開平8−38127号公報など)も知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のこれらの提案は、油分の分離・凝集の防止においては、未だ十分な効果があるとは言えず、より確実に油分を除去する方法の開発が望まれていた。
【0007】コーヒー豆より抽出された抽出液中の異物を除去する方法として、従来から遠心分離機を用いる方法か採用されているが、この方法では異物を除去できても、油分の分離・凝集を防止することはできない。又、ホモゲナイザーを併用して処理する方法では、粒子を細かくすることはできても、油分を十分除去することはできない。
【0008】そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、コーヒー飲料、特にブラックコーヒーを容器中に保存する場合などにおいて、容器表面に油分の分離・凝集が生じるのを防止可能なコーヒー飲料の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点を解決するために鋭意研究した結果、コーヒー抽出液を遠心分離機による処理条件の内、分離可能な最小粒子径をコントロールすることにより、保存中に油分の分離・凝集が生じることなく、安定なブラックコーヒー飲料を製造することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明に係るコーヒー飲料の製造方法の特徴構成は、コーヒー豆から抽出された抽出液を、遠心分離機を用いて多段処理することにより、コーヒー抽出液中に含まれる油分を分離除去する方法において、1段目の処理で分離可能な最小粒子径を20μm以下とすることにある。
【0011】遠心分離機を用いて多段処理することにより、例えば、1段目での遠心分離処理で残存した油分を、その後の遠心分離処理により分離することができるようになり、分離可能な最小粒子径をコントロールする工程を採用することによって、コーヒー抽出液から油分を確実に除去処理することができる。この場合、1段目での遠心処理で、分離可能な最小粒子径を20μm以下とすることにより、油分の分離・凝集を略確実に防止することができる。その結果、コーヒー、特にブラックコーヒーを容器中に保存する場合などにおいて、容器表面に油分の分離・凝集が生じるのを防止可能なコーヒー飲料の製造方法を提供することができた。
【0012】前記遠心分離機による多段処理工程を2段処理とし、2段目の処理で分離可能な最小粒子径を30μm以下とすることが好ましい。
【0013】この構成によれば、一層確実にコーヒー抽出液から油分を確実に除去処理することができると共に、処理工程全体を比較的短い時間で、処理できるようになり都合がよい。2段目の処理で分離可能な最小粒子径を、10〜25μmとなるようにすると、油分を一層確実に除去できると共に、より生産性を高めることができて好ましい。
【0014】更に、本発明に係るコーヒー飲料の製造方法の特徴構成を、コーヒー豆から抽出された抽出液を遠心分離機を用いて処理する工程において、分離可能な最小粒子径を5μm以下としてもよい。
【0015】この構成によっても、コーヒー豆から抽出された抽出液を多段処理したと同様に、油分の分離・凝集を略確実に防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、以下に詳細に説明する。この実施形態に係るコーヒー飲料の製造方法は、コーヒー豆から抽出された抽出液を、遠心分離機を用いて処理することにより、コーヒー抽出液中に含まれる油分を分離除去する。
【0017】多段処理する場合、少なくとも1段目の処理で分離可能な最小粒子径を20μm以下となるように、分離可能な最小粒子径をコントロールする。遠心分離機としては、スピンドラム式、その他種々の形式のものを採用することができる。その後、2段以降の遠心分離処理として、最小粒子径を30μm以下、好ましくは、10〜25μmで処理する。その後、PH調整剤などを添加し、規定の倍率まで希釈して調合して、殺菌後にポリエチレンテレフタレート製容器(以下、「ペットボトル」という)などの容器に充填する。もとより、遠心分離機にて多段処理する場合、数段にわたって繰り返し処理してもよく、その段数には特に限定されない。
【0018】このように処理することによって、長期間ペットボトルなどに保存したとしても、油分が容器内面に付着することを略確実に防止することができる。
【0019】又、コーヒー豆より抽出された抽出液を遠心分離する際、1段処理のみを行う場合は、最小粒子径を5μm以下、好ましくは0.1〜3μmで処理する。このようにしても、多段処理と同様な効果を得ることができ、生産性などを考慮していずれをも選択できるものである。
【0020】
【実施例】以下、具体的に実施した例について、説明する。
【0021】(実施例1)コーヒー豆450(kg)に、98℃の温水を6400(L)加水して、コーヒー抽出液を5500(L)得た。その後、80メッシュのフィルターにて濾過し、遠心分離機(ウエストファリアセパレーター社製 MSD 45−06−076。処理量20,000(L/h),回転数5,440(rpm))により1段処理条件として流量を変えて、2段処理し、不純物および油分を除去した。流量と分離可能な最小粒子径の関係は、流量(L/h)が4000、2000、1000、110である場合に、夫々最小粒子径(μm)は、30、20、15、5となり、最小粒子径を小さくするほど、時間を要することになる。
【0022】処理液に、PH調整剤(炭酸水素ナトリウム:コーヒー固形3重量%)を添加し規定倍率まで調合し、その後、液を殺菌(121℃で10分加熱)してペットボトルに充填した。
【0023】そして、25℃で14日間静置して、ペットボトル内面の油分の分離・凝集状態を目視観察した。その結果を表1に示す。表1の結果から、1段処理で最小粒子径を20μm以下にすれば、2段目の最小粒子径をそれほど小さくすることなく、油分の分離・凝集を防止することができる。
【0024】
【表1】

(実施例2)実施例1と同様な条件で行ったが、遠心分離機により1段処理のみを実施して、不純物および油分を除去した。その後、実施例1と同様に、遠心分離処理した液に、PH調整剤を添加し規定倍率まで調合し、液を殺菌して、ペットボトルに充填した。
【0025】その後、25℃で14日間静置して、ペットボトル内面の油分の分離・凝集状態を目視観察した。その結果を表2に示す。表2から、1段処理の場合、最小粒子径を5μm程度にすれば、油分の分離防止効果を発揮できることが分かる。
【0026】
【表2】

(比較例1)比較のため、遠心分離処理をすると共に、安定剤を添加して、同様な試験を試みた。すなわち、コーヒー豆450(kg)に、98℃の温水を6400(L)加水して、コーヒー抽出液を5500(L)を得た。その後、80メッシュのフィルターにて濾過し、遠心分離機により最小粒子径を30μmとして、不純物を除去した。この処理液に、PH調整剤および安定剤(商品名:シュガーエステルA。三菱化学フーズ(株)製)を添加し、規定倍率まで希釈調合する。その後、液を均質化して殺菌後、ペットボトルに充填し、25℃で14日間静置した。その結果を、表3に示す。遠心分離処理条件として、最小粒子径を30μmとし、安定剤を4重量%まで添加しても、油分の分離・凝集を除去する効果は全く認められないことが分かる。
【0027】
【表3】

(比較例2)次に、油分の分離・凝集の防止に効果があるとされる酵素(セルラーゼ)を添加し、同様な試験を実施した。すなわち、コーヒー豆450(kg)に、98℃の温水を6400(L)加水して、コーヒー抽出液を5500(L)得た。その後、80メッシュのフィルターにて濾過し、遠心分離機により、不純物を除去した。この処理液に、PH調整剤、酵素、安定剤を添加し規定倍率まで希釈調合する。その後、液を均質化して殺菌後、ペットボトルに充填して、25℃で14日間静置した。その結果を、表4に示す。遠心分離処理条件として、最小粒子径を30μmとし、酵素を添加しても、油分の分離・凝集を除去する効果は認められず、更に安定剤を加えても、油分の分離・凝集を除去する効果は全く認められないことが分かる。
【0028】
【表4】

【出願人】 【識別番号】390006600
【氏名又は名称】ユーシーシー上島珈琲株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区多聞通5丁目1番6号
【出願日】 平成14年4月5日(2002.4.5)
【代理人】 【識別番号】100092266
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇生 (外3名)
【公開番号】 特開2003−289806(P2003−289806A)
【公開日】 平成15年10月14日(2003.10.14)
【出願番号】 特願2002−103999(P2002−103999)