| 【発明の名称】 |
コーヒー豆の焙煎方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡田 明 【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区港島中町7丁目7番7 ユーシーシー上島珈琲株式会社グループ総合企画室内
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| 【要約】 |
【課題】高品位で良好な香気特性を有するアラビカ種のコーヒー豆の風味を損なうことなく、焙煎する方法を提供すること。
【解決手段】アラビカ種からなるコーヒー豆を、焙煎温度に所定時間加熱後、冷却水を用いることなく乾燥雰囲気中にて吸引ファンにより、少なくとも2.5℃/秒以下の冷却速度で冷却するコーヒー豆の焙煎方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アラビカ種からなるコーヒー豆を、焙煎温度に所定時間加熱後、冷却水を用いることなく乾燥雰囲気中にて吸引ファンにより、少なくとも2.5℃/秒以下の冷却速度で冷却するコーヒー豆の焙煎方法。 【請求項2】 前記冷却を35〜50℃まで1.0〜2.0℃/秒の冷却速度で冷却すると共に、焙煎されたコーヒー豆の冷却後の水分を3.0%以下にする請求項1のコーヒー豆の焙煎方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はコーヒー豆の焙煎方法に関し、詳しくは、アラビカ種からなるコーヒー豆を所定の冷却速度で冷却することにより香りの高いコーヒー豆の焙煎方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、商業的に行うコーヒー豆の焙煎は、コーヒー生豆(以下、単に「生豆」と称することがある)を回転式焙煎装置に入れ、別に設けた熱源から発生した熱風を焙煎装置に送り込むことによりなされる。加熱されることにより生豆は所定の焙煎色に変わると、冷却水によって急速冷却(クエンチング)される。クエンチングされたコーヒー豆は、所定の焙煎色(焙煎度ともいう)に固定されたまま、それ以上に焙煎色が黒ずむ方向に進行することなく、次工程に送られることになる。 【0003】しかしながら、クエンチングされることによって、コーヒー豆が保有する香気成分が飛散することは避けられず、しかも投入された冷却水が焙煎されたコーヒー豆と接触して熱水あるいは水蒸気となり、その一部は焙煎豆の内部に入り、これが香気成分を取り込むことによって結果的にコーヒー豆の香気成分を豆外に排出することになり、コーヒー豆のもつ風味を減殺することになっていた。 【0004】そこで、かかる香気成分を可能な限り外部に逃散させないように、種々の方法が開発されている。例えば、使用する水を少量にすると共にドライアイスや液体窒素を用いる方法(特開昭56−96664号公報)、ロブスタ種など低級豆を風味改善するため、高温高圧スチームを使用する方法(特開平3−160948号公報)、焙煎豆の水分を予め調整してから焙煎する方法(特開平2−177857号公報)等がある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ドライアイスや液体窒素を用いたとしても、少量とはいえ水を用いることは、コーヒー豆の有する香気成分を奪うことに変わりなく、高温高圧スチームを使用する方法や焙煎豆の水分を予め調整して焙煎する方法は、低品位のロブスタ種のコーヒー豆の有する「土臭い」風味を、改善する方法としては採用できても、高品位なアラビカ種のコーヒー豆に対しては、その良質な風味を損なうことになり、採用するに適した方法ではない。 【0006】そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、高品位で良好な香気特性を有するアラビカ種のコーヒー豆の風味を損なうことなく焙煎して、良好な焙煎豆を得る方法を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的は各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係るコーヒー豆の焙煎方法の特徴構成は、アラビカ種からなるコーヒー豆を、焙煎温度に所定時間加熱後、冷却水を用いることなく乾燥雰囲気中にて吸引ファンにより、少なくとも2.5℃/秒以下の冷却速度で冷却することにある。 【0008】この構成によれば、一切冷却水を用いることなく、焙煎完了後、取り出して吸引ファンにより冷却することになるので、冷却水中にアラビカ種コーヒー豆の優れた香気成分を水中に逃散させることがなく、それでいて焙煎度が著しく進行して商品価値を極度に低下させることがない。その結果、高品位で良好な香気特性を有するアラビカ種のコーヒー豆の風味を損なうことなく、焙煎する方法を提供することができた。 【0009】前記冷却を35〜50℃まで1.0〜2.0℃/秒の冷却速度で冷却すると共に、焙煎されたコーヒー豆の冷却後の水分を、3.0%以下にすることが好ましい。 【0010】焙煎完了後の冷却を常温である20℃前後までとすることなく、35〜50℃までとすることにより、冷却時間を大幅に短縮できて品質向上と共に生産性をも高めることができて都合がよい。これは、焙煎豆の温度が35〜50℃になれば、その後冷風を含む急速冷却をしても、実質的に香りは散逸しないとの知見が得られたことに基づく。更に、乾燥雰囲気で焙煎前後の豆を取り扱うことによって焙煎豆の水分を、3.0%以下の低い範囲とすることにより、香りの高い高品質な焙煎豆を得易い。もっとも、実生産上は焙煎豆の水分を1.5〜3.0%の範囲にできればよい。又、吸引ファンによる冷却速度は、1.0〜2.0℃/秒とすることにより、冷却速度が遅すぎることなく、従って生産性が低くならず、しかも冷却中に水分を吸湿する可能性を極力少なくできる。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、以下に詳細に説明する。まず、焙煎するコーヒー豆としては、アラビカ種からなるコーヒー豆を選択使用する。一般には、アラビカ種に加えてロブスタ種のコーヒー豆を混在させて使用する場合が多いが、良好な香気特性を有するアラビカ種のみを用いてアラビカ種の有する優れた香気成分を損うことなく焙煎する。焙煎温度は、通常行われている210〜240℃程度でよく、所定時間加熱して適度な焙煎度になったところで焙煎したコーヒー豆を取り出し、これを湿度の高い雰囲気から遮断し、素早く吸引ファンを作用させて冷却する。この場合、焙煎後の冷却に水を一切使用しないことが必要であり、従来行われていたように焙煎後の焙煎豆に散水したり、焙煎豆を冷却水中に投入したりしない。又、吸引ファンを作用させる際には、焙煎後のコーヒー豆を十分に撹拌もしくは流動させることが好ましい。吸引ファンの能力あるいは容量は、焙煎豆の量に応じて変更することができる。 【0012】焙煎豆は、35〜50℃まで冷却すればよい。この程度の低温になれば、以後の工程に進行しても格別差し支えないからである。要は、焙煎後の冷却速度を少なくとも2.5℃/秒以下、好ましくは、1.0〜2.0℃/秒となるようにすればよい。 【0013】 【実施例】次に、本発明の実施例について詳しく説明する。 【0014】(実施例1〜3)生豆として、3種のアラビカ種(品種名:ガテマラSHB,コロンビアSUP,サントスNo2/18)の各100gを秤量し、焙煎機としてプロバット社サンプルロースター(タイプ:Br3P100)を用いて、200〜230℃(最終到達温度:230℃)に加熱して焙煎した。規定の焙煎色になれば焙煎室から焙煎豆を排出し、湿分を低く保持した乾燥雰囲気中で100秒間、吸引ファンによる吸引冷却のみを実施して40℃まで冷却した(40℃までの冷却速度:1.90℃/秒)。 【0015】焙煎終了後焙煎豆を粉砕し、コーヒー粉2gの香気量をガスクロマトグラフィで分析した。ガスクロマトグラフィによる測定は、低沸点、中沸点、高沸点の各香気量について行ったが、総香気量(得られた測定チャート上の総ピーク面積)により評価した。粉砕した粉30gを90℃の熱水450gで抽出(ペーパーフィルター法)し、官能試験を実施して評価した。 【0016】(比較例1〜3)実施例1〜3と同様なコーヒー生豆を焙煎後、冷却水(クエンチングウォーター)を10g噴霧した後、焙煎室から排出して同様に40℃まで冷却した。この場合、40℃まで冷却するのに要した時間は、70秒であった(40℃までの冷却速度:2.71℃/秒)。評価方法は、実施例1〜3と同様とした。 【0017】実施例1〜3、比較例1〜3についての評価結果を表1に示す。又、ロブスタ種のみ、及びアラビカ種とロブスタ種とを含むブレンド品についても、同様な試験を行った。その結果も併せて表1に示す。 【0018】尚、実施例1〜3、比較例1〜3については、官能評価に対する焙煎色の影響を除くため、同一生豆種どうしの焙煎色がほぼ同程度になるように加熱保持時間を設定した。 【0019】(比較例4)生豆として、ロブスタ種(品種名:インドネシアAP−1)を100gを秤量し、プロバット社サンプルロースター(Type:Br3P100)を使用して、実施例1と同様に焙煎した。 【0020】規定の焙煎色になれば焙煎室から焙煎豆を排出し、90秒の間、吸引冷却を実施し40℃まで冷却を実施しサンプルを得た(40℃までの冷却速度:2.11℃/秒)。 【0021】(比較例5)比較例4と同じ生豆を用いて同様に焙煎したが、冷却水を10g噴霧した後、焙煎室から排出して40℃まで冷却した。この場合、40℃まで冷却するのに要した時間は、60秒であった(40℃までの冷却速度:3.17℃/秒)。 【0022】(比較例6)アラビカ種とロブスタ種とを含むブレンド品として、アラビカ種(コロンビアSUP;20g、サントスNo2;30g)50g、ロブスタ種(インドネシアAP−1)50gの合計100gを秤量し、プロバット社サンプルロースター(Type:Br3P100)を用い、実施例1と同様な条件で焙煎した。 【0023】規定の焙煎色になれば焙煎室から焙煎豆を排出し、85秒の間、吸引冷却を実施し40℃まで冷却を実施しサンプルを得た(40℃までの冷却速度:2.24℃/秒)。 【0024】(比較例7)比較例6と同じ生豆を用いて同様に焙煎したが、冷却水を10g噴霧した後、焙煎室から排出して40℃まで冷却した。この場合、40℃まで冷却するのに要した時間は、65秒であった(40℃までの冷却速度:2.92℃/秒)。比較例4〜7の評価結果についても、表1に示す。 【0025】 【表1】
表1に示すように、同一生豆種どうしで評価した場合、冷却速度2℃/秒で吸引ファン冷却したものは、いずれも冷却水を用いて冷却したものに比べて優れた香りを保持していると共に、抽出液中の香り等の官能評価も良好であり、高級品種であるアラビカ種の有する優れた特質をそのままコーヒー飲料に反映できるものとなっている。 【0026】ロブスタ種のみを用いた比較例4は、香りは強いが、良質の香りと言えるものではなく、実施例1〜3とは明らかに劣るものであり、アラビカ種とロブスタ種とを含むブレンド品についても、良質な香りが得られる実施例1〜3に比べて劣るものであることが分かる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390006600 【氏名又は名称】ユーシーシー上島珈琲株式会社 【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区多聞通5丁目1番6号
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| 【出願日】 |
平成14年4月2日(2002.4.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092266 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 崇生 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−289805(P2003−289805A) |
| 【公開日】 |
平成15年10月14日(2003.10.14) |
| 【出願番号】 |
特願2002−99797(P2002−99797) |
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