| 【発明の名称】 |
コーヒー飲料の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】柏井 治 【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区港島中町7丁目7番7 ユーシーシー上島珈琲株式会社グループ総合企画室内
【氏名】久守 博 【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区港島中町7丁目7番7 ユーシーシー上島珈琲株式会社グループ総合企画室内
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| 【要約】 |
【課題】粉砕時に発生する香気ガス成分を満足行く形で利用し、風味、特に粉砕香に優れたコーヒー飲料を製造する方法を提供すること。
【解決手段】焙煎コーヒー豆からコーヒー成分を抽出するコーヒー飲料の製造方法において、(1)前記コーヒー豆を密閉された粉砕機で粉砕する工程、(2)工程(1)で放出したアロマ成分を含有するコーヒー粉砕ガスを溶媒中に導入する工程、(3)導入した前記粉砕ガスを前記溶媒で捕集してアロマ溶液を調製する工程、(4)前記粉砕ガスを捕集した後のコーヒー豆からコーヒー成分を抽出し、コーヒー抽出液を調製する工程、および(5)前記アロマ溶液を前記コーヒー抽出液に混合する工程を含むことを特徴とするコーヒー飲料の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 焙煎コーヒー豆からコーヒー成分を抽出するコーヒー飲料の製造方法において、(1)前記コーヒー豆を密閉された粉砕機で粉砕する工程、(2)工程(1)で放出したアロマ成分を含有するコーヒー粉砕ガスを溶媒中に導入する工程、(3)導入した前記粉砕ガスを前記溶媒で捕集してアロマ溶液を調製する工程、(4)前記粉砕ガスを捕集した後のコーヒー豆からコーヒー成分を抽出し、コーヒー抽出液を調製する工程、および(5)前記アロマ溶液を前記コーヒー抽出液に混合する工程を含むことを特徴とするコーヒー飲料の製造方法。 【請求項2】 前記工程(2)が不活性ガスによる搬送である請求項1に記載の製造方法。 【請求項3】 前記不活性ガスが窒素ガスまたは炭酸ガスである請求項2に記載の製造方法。 【請求項4】 前記工程(3)がガス分散型の気泡塔もしくは泡鐘塔、または液分散型のスクラバーもしくは多管式濡れ壁塔で行われる、請求項1〜3いずれかに記載の製造方法。 【請求項5】 前記導入工程(2)において、溶媒に導入した後のガスを再度粉砕機に搬送して粉砕コーヒー豆と溶媒との間を循環させる、請求項1〜4いずれかに記載の製造方法。 【請求項6】 前記工程(2)の溶媒が水、コーヒー、甘味水、乳成分液、乳化液、pH調整液、牛乳、またはコーヒーオイルである、請求項1〜5いずれかに記載の製造方法。 【請求項7】 前記工程(2)の溶媒の温度が1℃〜25℃である、請求項1〜6いずれかに記載の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、コーヒー飲料の製造方法に関する。詳しくは、風味、特にアロマに優れたコーヒー飲料を工業的に製造する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来のコーヒー飲料の製造は、焙煎したコーヒー豆を大気雰囲気下で粉砕し、粉砕したコーヒー豆を抽出器に搬送・充填し、熱水にて抽出し、コーヒー豆量の1〜18倍の抽出液を採取する。得られた抽出液は、必要に応じて、減圧濃縮、凍結濃縮などによって濃縮されたり、さらに噴霧乾燥機や凍結乾燥機によって乾燥コーヒーに加工される。製造されたコーヒー抽出液、濃縮コーヒー液または乾燥コーヒーは、調合用タンクに貯留し、計量し、調整水により規定濃度に希釈される。あるいは、コーヒー液は、粉乳、砂糖もしくは添加物の溶解液、牛乳、またはコーヒーオイル等が添加され、さらに調整水を使用して規定濃度に希釈される。 【0003】このような方法で使用される調整用水や溶解用水は、活性炭処理、濾過処理、膜処理、脱塩処理等をした処理水を使用するため、コーヒーの香りは含まれておらず、調合されたコーヒー液は、香りに乏しいものとなる。 【0004】一方、コーヒーは、独特な香りや風味を特徴とする嗜好性飲料である。コーヒーの特徴的な風味は飲用時のアロマとフレーバーで特徴付けられるが、一般家庭、喫茶店またはコーヒーショップ等の調理場に漂う香りもコーヒーの嗜好性を語る上で非常に重要である。この調理場に漂う香りは、ドリップ法、サイフォン法、エスプレッソ法等で抽出される抽出液そのものの香りに加え、焙煎コーヒー豆の粉砕時および粉砕後のコーヒー豆から発生する香りも関与している。 【0005】近年、特に容器入りコーヒーでも、香りに対する要望が強く、とくにコーヒー豆粉砕時のフレッシュな風味を持つ製品が求められている。 【0006】しかしながら、焙煎コーヒー豆が有する香気成分の多くは、粉砕中に大気中に放出され、粉砕後に残存する香気成分だけが熱水で抽出中に溶出される。しかも、抽出時においても、香気成分は大気中に放出される。 【0007】焙煎コーヒー豆が有する揮発性成分の一つに炭酸ガスが存在するが、Heiss とRadtkeは、焙煎コーヒー豆を細かい粒度に粉砕した場合、粉砕後5分以内に45%が揮散することを報告している(R.J.Clarke:COFFEE Volume2 「TECHNOLOGY」,P208,ELSEVIER APPLIED SCIENCE (1987))。このことは、焙煎コーヒー豆が有するその他の揮発性の香気成分もそれぞれ任意の飽和蒸気圧に基づき大気中に揮散することを意味する。 【0008】したがって、従来のコーヒー飲料の香り品質は粉砕後に残存する粉砕コーヒー豆中の香気成分の抽出液に対する溶解量によって決定され、嗜好的に不足する香気は、製造工程で香料などを添加することで補っている。 【0009】この課題を解決するため、粉砕コーヒー豆の香気ガスを捕集するための技術が開示されている。例えば、特開平4−252153では、粉砕したコーヒー豆にキャリアガスを送り、香気成分をグリセリン、エタノール等で捕集する方法が開示されているが、粉砕時に揮散する香気成分の捕集に関しては考慮されていない。 【0010】また、特開平6−276941では、エタノールを含む水溶液および不活性ガスを送給、接触させる方法を開示しているが、この方法も粉砕時に揮散する香気成分の捕集に関しては考慮されていない。さらに、粉砕コーヒー豆を80〜120℃に加温するため、良質な風味のコーヒー抽出液を得るためには別途新しいコーヒー豆を必要とし、コスト高になる。 【0011】また、特開平5−211840では、コーヒー加工中に発生するガスを液体窒素により凝縮しアロマフロストを収集する方法を開示しているが、この方法は設備装置が大掛かりになり、コスト高である。 【0012】加えて米国特許第5,323,623によれば、コーヒー粉砕ガスを低温凝縮させて得られるアロマフロストには硫黄臭、キャベツ臭を有するアロマがあり、望ましくない香気(アロマ)として、温度−18℃〜−34℃での分留アロマ成分を廃棄し、コーヒーへの再添加をしないことが開示されている。 【0013】また、このように得られた極低温の粉砕アロマフロストは安定性に欠け、米国特許第3,821,447にあるように、不活性ガス雰囲気下での低温保存でも香の劣化が認められ、水を除去した食品オイルと混合することで安定性を保つことが開示されている。 【0014】このことは、極低温で収集される香は極端に不安定であり、収集後の温度、水、酸素の存在により変質し悪臭になりかねない香成分が含まれるため、常温、5℃程度の冷蔵、−25℃程度の冷凍で流通・供給されるコーヒー飲料に添加して提供するには適さないといえる。 【0015】 【発明が解決しようとする課題】前記従来技術の多くは香料の製造に適した技術であり、アロマに富むコーヒー飲料を直接製造する技術が求められている。 【0016】本発明の目的は、粉砕時に発生する香気ガス成分を満足行く形で利用し、風味、特に粉砕香に優れたコーヒー飲料を製造する方法を提供することにある。 【0017】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、コーヒー豆の粉砕時のアロマ成分を効率的に回収する方法を見出し、本発明を完成するに至った。 【0018】すなわち、本発明は、焙煎コーヒー豆からコーヒー成分を抽出するコーヒー飲料の製造方法において、(1)前記コーヒー豆を密閉された粉砕機で粉砕する工程、(2)工程(1)で放出したアロマ成分を含有するコーヒー粉砕ガスを溶媒中に導入する工程、(3)導入した前記粉砕ガスを前記溶媒で捕集してアロマ溶液を調製する工程、(4)前記粉砕ガスを捕集した後のコーヒー豆からコーヒー成分を抽出し、コーヒー抽出液を調製する工程、および(5)前記アロマ溶液を前記コーヒー抽出液に混合する工程を含むことを特徴とする。 【0019】前記工程(2)は、粉砕ガスに含まれるアロマ成分の品質を保持したまま粉砕ガスを短時間に溶媒中に導入するためには、不活性ガスによる搬送であることが好ましい。 【0020】また、前記不活性ガスは、扱いやすさや費用の点から窒素ガスまたは炭酸ガスであることが好ましい。 【0021】前記工程(3)は、搬送された粉砕ガスと溶媒との接触を効率的に行うためには、ガス分散型の気泡塔もしくは泡鐘塔、または液分散型のスクラバーもしくは多管式濡れ壁塔で行われることが好ましい。 【0022】前記導入工程(2)において、粉砕ガスからのアロマ成分の回収率を上げるためには、溶媒に導入した後のガスを再度粉砕機に搬送して粉砕コーヒー豆と溶媒との間を循環させることが好ましい。 【0023】前記工程(2)の溶媒は、コーヒー飲料に直接添加できる点から、水、コーヒー、甘味水、乳成分液、乳化液、pH調整液、牛乳、またはコーヒーオイルであることが好ましい。 【0024】前記工程(2)の溶媒の温度は、粉砕ガス成分の溶解量を増加させ、良好なアロマ成分を品質良く捕集するためには、1℃〜25℃であることが好ましく、1℃〜5℃がより好ましい。 【0025】[作用効果]本発明のコーヒー飲料の製造方法によると、粉砕時および粉砕直後に放出されるアロマ成分を積極的に捕集してコーヒー抽出液に還元することにより、簡便かつ低コストで、粉砕時のアロマに富むコーヒー飲料を製造することができる。 【0026】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図1を参照しながら説明する。 【0027】図1は、本発明の工程(1)〜(3)で使用される装置の一例を示す。密閉され外界と遮断された粉砕機1と、ガス捕集装置2と、送ガスポンプ3とからなり、その間はシリコン製、テフロン(登録商標)製またはステンレス製等の配管10で接続されている。粉砕機1にはガス入口4が設けてあり、三方コック5により不活性ガス6または送ガスポンプ3通過後の粉砕ガスを導入したり、循環させることができる。 【0028】密閉された粉砕機としては、粉砕中に発生するガスが装置外に放出されない構造を有するものであれば特に制限されるものではない。たとえば、金属製またはプラスチック製の密封容器の胴体下部に回転式のステンレス製等のカッター9を備え、胴体横にガス入口4、上部にガス出口8を設けたもの(大型機としてはスカニマ社製、混合粉砕装置ターボミキサSRB-50)、あるいは通常のロール型の粉砕機(ビュラー社製SKV1250 )等を外界と遮断されたハウジング内(ハウジングにはガス入口とガス出口を設けている)に設置したもの等が挙げられる。 【0029】粉砕機1にコーヒー豆7を充填し、所定の時間、所定の回転数で粉砕する(工程1)。 【0030】粉砕時ならびに粉砕後に発生するコーヒー粉砕ガスを、ガス出口8からガス捕集装置2に導入する(工程2)。 【0031】このとき、粉砕と同時または粉砕後に粉砕機1内にガス入口4から不活性ガス6を導入し、発生したコーヒー粉砕ガスを搬送させることが好ましい。 【0032】前記不活性ガスは特に制限されるものではないが、扱いやすさや費用の点から窒素ガスまたは炭酸ガスであることが好ましく、窒素ガスがより好ましい。 【0033】粉砕機1のガス出口8は、ガス捕集装置2の配管10と接続しており、配管10は、ガス捕集装置2内の下方部で開口している。粉砕ガスは、ガス出口8から配管10を通って配管10の先端の開口部からガス捕集装置2内の溶媒中に導入される。 【0034】ガス捕集装置2は、ガラスまたはステンレス製の密封容器で、内部に溶媒を充填でき、溶媒充填後に埋没される位置に小孔径の開口部を有する配管10を配置する。必要に応じて、ガス捕集装置2は複数個連結することができる。 【0035】ガス捕集装置2内の溶媒に導入された粉砕ガスは、溶媒との接触中にガスに含まれるアロマ成分が溶媒に捕集される(工程3)。 【0036】アロマ成分が捕集された粉砕ガスは、溶媒を通過し、当該装置上部に設けられたガス捕集装置出口11から送ガスポンプ3により搬出され、三方コック12により装置外に排出されるか、または粉砕機のガス入口4に再度導入され、粉砕コーヒー豆を通過して再度溶媒に導入される。 【0037】また、ガス捕集装置2は、所定の温度に設定された恒温槽13中に設置することにより、捕集溶媒の温度を一定範囲内に調節することができる。 【0038】ここで得られた捕集溶媒は、本発明のアロマ溶液となる。 【0039】次に、本発明の工程(1)〜(5)について説明する。 【0040】工程(1)についてコーヒー豆の粉砕サイズは、粉砕時に溶媒に吸収・捕集される香気成分の量とその後の抽出操作の容易性を考慮して、予め実験的に最適の範囲を決めるのが好ましい。例えば、後述の実施例に示すように、粒度の細かい場合、単位時間当たりの水に対する香気成分の捕集量は多くなる。しかしながら、あまりに細かい粒度では通常のドリップ型、カラム型の抽出器を用いて抽出した場合、粉砕コーヒー豆が抽出液の通過を閉塞させて抽出品質に問題を発生させることがあり、粉砕ガスの発生量と抽出操作を考慮し、最適な条件を決めることが好ましい。一般的な工業用ドリップ抽出機を用いた場合、粉砕コーヒー豆の粒度は、1.7mm(10mesh)以上が4〜60%、好ましくは5〜50%、より好ましくは5〜15%が適している。コーヒー豆の粒度は、実施例に記載の方法で測定された値である。 【0041】粉砕時の温度は、アロマ成分を含むコーヒー粉砕ガスの発生量に影響を与える。一般的には、雰囲気温度の上昇により気体の拡散速度は増加するため、粉砕ガス発生量は増加し、短時間で捕集量を稼げるが、80℃以上の温度で行うと当該コーヒー豆から抽出されるコーヒー液の品質を劣化させる可能性があり、80℃未満の温度で最適な条件を決めることが好ましい。 【0042】工程(2)について放出されたコーヒー粉砕ガスは、ガス捕集装置内の溶媒に導入・接触させる。溶媒の種類は特に制限されず、水、水性溶媒、油脂、アルコール等が挙げられるが、コーヒー飲料に直接添加できる点から、水、コーヒー、甘味水、乳成分液、乳化液、pH調整液、牛乳、またはコーヒーオイルであることが好ましい。 【0043】アロマ成分の溶媒に対する溶解量は、一般に溶媒を低温にすることにより増加するが、低温下での溶媒の物性と捕集されるアロマ成分の量と質を考慮し、1℃〜50℃、好ましくは1℃〜25℃、より好ましくは1℃〜5℃に調整する。 【0044】粉砕コーヒー豆への不活性ガスの流速ならびに循環される粉砕ガスの流速は、コーヒー粒子の内部からのコーヒー表面へのアロマ成分の拡散速度を促す目的で適宜設定することができる。通常、粉砕コーヒー豆100g当たり0.1〜0.4L/分程度であれば、粉砕ガスの発生効率に影響を与えず、実際的な範囲である。 【0045】また、粉砕コーヒー豆への不活性ガスおよび循環される粉砕ガスの流量または送風期間の増加は、粉砕コーヒー豆から新たな粉砕ガスの放散を増大させるが、一定の流量または送風期間を超えると次第に減少し、効果は低くなる。 【0046】実際的には、粉砕コーヒー豆の粒子が1.70mm(10mesh)以上の粒径を12%〜60%程度含む場合、粉砕コーヒー豆100g当たり3.5〜30L送風することが好ましく、10〜25Lがより好ましい。 【0047】工程(3)について粉砕ガスの捕集に要する溶媒の量は、粉砕時に発生するアロマ量およびアロマ成分の溶解度等に応じて適宜設定されるものであり、特に限定されるものでない。 【0048】アロマ成分と溶媒との接触は、ガス分散型の気泡塔もしくは泡鐘塔等または液分散型のスクラバーもしくは多管式濡れ壁塔等を用いることが好ましいが、効率的な接触を可能にする装置であれば、特に限定されるものではない。 【0049】コーヒー粉砕ガスを搬送させて溶媒と接触させた後、接触後のコーヒー粉砕ガスを再度粉砕機に導入し、粉砕コーヒー豆と溶媒との間を循環させることが好ましい。循環させることにより、粉砕ガスの溶媒に対する接触効率やアロマ成分の捕集効率を高めると同時に、溶媒に吸収されなかった粉砕ガス中のアロマ成分は、再度粉砕コーヒー豆に吸着されるため、その後に行う抽出において抽出液の品質の向上に効果的である。 【0050】このようにして粉砕ガスを捕集した溶媒は、本発明のアロマ溶液となり、下記工程(5)で使用される。 【0051】工程(4)について粉砕ガスを捕集した後のコーヒー豆は、コーヒー抽出用に汎用されている抽出機に充填する。ここで、別途粉砕したコーヒー豆を前記コーヒー豆に補充してもよい。コーヒーの抽出は、常法により行う。 【0052】抽出方法の一例として、コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、90℃を超え100℃以下に加温された水を1〜18部ピストンフローで送液して抽出する。 【0053】得られたコーヒー抽出液は、そのまま下記工程(5)で使用することができる。 【0054】あるいは、前記コーヒー抽出液は、必要に応じて、減圧濃縮または凍結濃縮などによって濃縮コーヒー液に加工されたり、さらに噴霧乾燥機または凍結乾燥機によって乾燥コーヒーに加工される。 【0055】工程(5)について工程(4)で調製されたコーヒー抽出液、濃縮コーヒー液または乾燥コーヒーは、調合用タンクに貯留、計量され、工程(3)で調製されたアロマ溶液を混合することにより規定濃度に希釈され、コーヒー飲料が製造される。 【0056】ここで混合されるアロマ溶液は、アロマ溶液単独でもよく、またはアロマ溶液にさらに粉乳、砂糖もしくは添加物等を溶解させたものでもよい。 【0057】 【実施例】以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。 【0058】[評価試験] 1)官能評価実施例および比較例で得られた試料は、65℃で官能評価を行った。評価方法は、5名の専門パネラーによる香りについて、強い:5、やや強い:4、普通:3、やや弱い:2、弱い:1として数値評価し、その平均値を算出して官能評価とした。 【0059】2)ガスクロマトグラフィー試料の香気成分をガスクロマトグラフィーにより以下の条件で分析して、総ピーク面積を算出して、香り量とした。 【0060】a)試料の調製実施例および比較例で得られた試料の10mlを22mlのバイアル瓶に採取し、密栓した。密栓したバイアル瓶を、Tekmar社製ガスクロマトグラフィー用オートサンプラにて80℃で20分間加温した後サンプリングし、ガスクロマトグラフィーで分析した。 【0061】b)測定条件測定装置:日立製ガスクロマトグラフィーG−3000カラム:ジーエルサイエンス(株)製TC−WAX 0.53mm×30mキャリヤーガス:ヘリウムキャリヤーガス流量:1ml/分カラム温度:40℃(5分)→220℃(5℃/分で昇温) 検出器:FID(検出器温度230℃)。 【0062】3)粉砕コーヒー豆の粒度粉砕したコーヒー豆100gを直径20cmの標準ふるいに採取し、ロータップふるい振盪器で5分間振盪し、粒度別に分画した。分画した豆の重量を測定し、粒度分布を求めた。ふるいは、上から孔径1.70mm(10mesh)、0.50mm(32mesh)、受け皿の三段を1セットとし、最上段に粉砕コーヒーを採取した。 【0063】(実施例1)図1に示されるように、ポリスチレンの胴体の下部に回転式のステンレス製カッター9を備え、胴体横にガス入口4、上部にガス出口8を設けた300ml容量の密閉型粉砕機1を使用した。粉砕機1には、焙煎コーヒー豆70gを充填した。 【0064】ガス捕集装置2は、予め沸騰冷却した5℃の純水500gを充填したガラス製の1200ml容量捕集管を2本連結したものを用い、5 ℃の冷水で満たした恒温槽13内に設置した。 【0065】粉砕は、カッター9を13600rpmで20秒間回転させ、密閉状態で行った。 【0066】粉砕と同時に、250ml/分の速度でガス入口4から窒素ガスを2分間送り、コーヒー粉砕ガスを窒素ガスで搬送し、第1ガス捕集装置内の水に導入した。前記粉砕ガスは、小孔径の開口部を有する配管10から水中に導入され、水と接触した後、第1ガス捕集装置出口から排出された。排出された粉砕ガスは、第2ガス捕集装置内の水に導入され、前記第1ガス捕集装置内と同様の挙動をとった。その後、三方コック5を切り替え、窒素ガスの送風を停止した。第2ガス捕集装置出口から排出されたガスは、送ガスポンプ3により粉砕機1のガス入口4から再び粉砕機1に導入され、粉砕機とガス捕集装置との間の循環系で送ガス量4.48L循環し、アロマ成分を水に吸収・捕集させた。 【0067】(比較例1)開放された粉砕機を用いること以外は実施例1と同様にして、70gの焙煎コーヒー豆の粉砕を行った。粉砕後1時間45分、20℃の室温で粉砕コーヒー豆を放置した。次いで、実施例1と同様の密閉系の粉砕装置にコーヒー豆を投入し、実施例1と同様にコーヒー粉砕ガス中のアロマ成分の吸収・捕集を行った。 【0068】(評価結果)実施例1および比較例1のそれぞれについて、2 本の捕集管内の水を混合し、捕集水を得た。捕集水10g当たりのガスクロマトグラフィーのピーク面積値と官能試験の結果を表1に示す。 【0069】 【表1】
表1より、比較例1に比べ、実施例1はピーク面積値が大きく、官能的にも香が強かった。粉砕コーヒー豆からのアロマ成分の捕集は、粉砕時及び粉砕直後での捕集が重要であることが示唆された。 【0070】(実施例2)実施例1と同様の装置を使用し、粉砕条件がカッターを11400rpmで20秒間回転させて密閉状態で行ったこと以外は実施例1と同様にしてコーヒー粉砕ガスの吸収・捕集を行った。 【0071】(実施例3)実施例1と同様の装置を使用し、粉砕条件がカッターを15700rpmで20秒間回転させて密閉状態で行ったこと以外は実施例1と同様にしてコーヒー粉砕ガスの吸収・捕集を行った。 【0072】(評価結果)実施例1〜3のそれぞれについて、2 本の捕集管内の水を混合し、捕集水を得た。捕集水10g当たりのガスクロマトグラフィーのピーク面積値と官能試験の結果を表2に示す。また、実施例1〜3で粉砕した後のコーヒー豆の粒度分布も表2に示す。 【0073】 【表2】
表2より、実施例3で得られた捕集水が最もピーク面積値が大きく、官能試験でも香を強く感じた。コーヒー豆の粒度分布と捕集水の香の強度との関連性をみると、粉砕コーヒー豆の粒度が細かいほど捕集水の香が強い。このことから、粉砕コーヒー豆の粒度が細かいほど単位時間当たりに発生するアロマ成分が多いことがわかる。 【0074】(実施例4)図1に示されるように、ポリスチレンの胴体の下部に回転式のステンレス製カッター9を備え、胴体横にガス入口4、上部にガス出口8を設けた300ml容量の密閉型粉砕機1を使用した。粉砕機1には、焙煎コーヒー豆70gを充填した。 【0075】ガス捕集装置2は、予め沸騰冷却した5℃の純水500gを充填したガラス製の1200ml容量捕集管を2本連結したものを用い、5 ℃の冷水で満たした恒温槽13内に設置した。 【0076】粉砕は、カッター9を13600rpmで20秒間回転させ、密閉状態で行った。 【0077】粉砕と同時に、250ml/分の速度でガス入口4から窒素ガスを2分間送り、コーヒー粉砕ガスを窒素ガスで搬送し、第1ガス捕集装置内の水に導入した。前記粉砕ガスは、小孔径の開口部を有する配管10から水中に導入され、水と接触した後、第1ガス捕集装置出口から排出された。排出された粉砕ガスは、第2ガス捕集装置内の水に導入され、前記第1ガス捕集装置内と同様の挙動をとった。その後、三方コック5を切り替え、窒素ガスの送風を停止した。第2ガス捕集装置出口から排出されたガスは、送ガスポンプ3により粉砕機1のガス入口4から再び粉砕機1に導入され、粉砕機とガス捕集装置との間の循環系で送ガス量4.48L循環し、アロマ成分を水に吸収・捕集させた。 【0078】(実施例5)実施例4において、粉砕と同時に70ml/分の速度で窒素ガスを7 分10秒間送り、送ガス量4.48L循環したこと以外は実施例4と同様にして、アロマ成分を水に吸収・捕集させた。 【0079】(実施例6)実施例4において、粉砕と同時に250ml/分の速度で窒素ガスを2分間送り、送ガス量2.5L循環したこと以外は実施例4と同様にして、アロマ成分を水に吸収・捕集させた。 【0080】(実施例7)実施例4において、粉砕と同時に250ml/分の速度で窒素ガスを2分間送り、送ガス量16L循環したこと以外は実施例4と同様にして、アロマ成分を水に吸収・捕集させた。 【0081】(実施例8)実施例4において、粉砕と同時に250ml/分の速度で窒素ガスを2分間送り、送ガス量20L循環したこと以外は実施例4と同様にして、アロマ成分を水に吸収・捕集させた。 【0082】(評価結果)実施例4〜8のそれぞれについて、2 本の捕集管内の水を混合し、捕集水を得た。捕集水10g当たりのガスクロマトグラフィーのピーク面積値と官能試験の結果を表3に示す。 【0083】 【表3】
実施例4と実施例5とを比較すると、循環送ガス速度は捕集効率に影響を与えないことがわかる。実施例4、6、7を比較すると、循環送ガス量の増加に伴い捕集量が増加することがわかる、しかし、実施例7と8とでは捕集量がほぼ横ばいであった。このことは、捕集する水のアロマ成分溶解度が飽和に達したことを示唆する。 【0084】(実施例9) 1)アロマ溶液の調製図1に示されるように、ポリスチレンの胴体の下部に回転式のステンレス製カッター9を備え、胴体横にガス入口4、上部にガス出口8を設けた300ml容量の密閉型粉砕機1を使用した。粉砕機1には、焙煎コーヒー豆70gを充填した。 【0085】ガス捕集装置2として、予め沸騰冷却した5℃の純水707gを充填したガラス製の1200ml容量捕集管を1台用い、5 ℃の冷水で満たした恒温槽13内に設置した。 【0086】粉砕は、カッター9を13600rpmで20秒間回転させ、密閉状態で行った。 【0087】粉砕と同時に、250ml/分の速度でガス入口4から窒素ガスを2分間送り、コーヒー粉砕ガスを窒素ガスで搬送し、ガス捕集装置内の水に導入した。前記粉砕ガスは、小孔径の開口部を有する配管10から水中に導入され、水と接触した後、ガス捕集装置出口から排出された。その後、三方コック5を切り替え、窒素ガスの送風を停止した。ガス捕集装置出口から排出されたガスは、送ガスポンプ3により粉砕機1のガス入口4から再び粉砕機1に導入され、粉砕機とガス捕集装置との間の循環系で送ガス量2.1L循環し、アロマ成分を水に吸収・捕集させた。 【0088】2)コーヒー抽出液の調製前記1)で粉砕ガスを採取した後の粉砕コーヒー豆を抽出機に移し、16倍量の沸騰水を加水し、14倍量のコーヒー抽出液を得た。得られた抽出液を、デジタル屈折計((株)アタゴ製RX−5000型)により測定したところ、BRIX濃度1.37であった。この抽出液に前記1)で得られたアロマ溶液511gを加え、所定のBRIX濃度0.9に調整した。BRIX濃度調整後、密封容器に詰め、121℃で10分間殺菌して、コーヒー飲料を製造した。 【0089】得られたコーヒー飲料は、ガスクロマトグラフィーにより香り量を測定すると共に、香りの官能試験を行った。 【0090】(比較例2)実施例9と同様の粉砕機を使用し、焙煎コーヒー豆70gを実施例9と同様の密閉条件下で粉砕を行った。粉砕したコーヒー豆を開放状態で室温に1時間30分放置した後、実施例9と同様の条件下で抽出を行い、コーヒー抽出液を得た。この抽出液を純水で所定のBRIX濃度0.9に調整した。BRIX濃度調整後、密封容器に詰め、121℃で10分間殺菌して、コーヒー飲料を製造した。 【0091】得られたコーヒー飲料は、ガスクロマトグラフィーにより香り量を測定すると共に、香りの官能試験を行った。 【0092】(実施例10) 1)アロマ溶液の調製実施例9において、焙煎コーヒー豆の粉砕を11400rpmで20秒間行い、70ml/分の速度で窒素ガスを7分10秒間送り、粉砕ガスは、ガス捕集装置内の水と接触した後、捕集装置出口を通って三方コック12から排出され、循環しなかったこと以外は実施例9と同様にしてアロマ成分を水に吸収・捕集させた。 【0093】2)コーヒー抽出液の調製前記1)で粉砕ガスを採取した後の粉砕コーヒー豆を抽出機に移し、16倍量の沸騰水を加水し、13.5倍量のコーヒー抽出液を得た。得られた抽出液を実施例9と同様に測定したところ、BRIX濃度1.23であった。この抽出液に前記アロマ溶液406gを加え、所定のBRIX濃度0.86に調整した。BRIX濃度調整後、密封容器に詰め、121℃で10分間殺菌して、コーヒー飲料を製造した。 【0094】得られたコーヒー飲料は、ガスクロマトグラフィーにより香り量を測定すると共に、香りの官能試験を行った。 【0095】(比較例3)比較例2において、カッターを1 1,400rpmで20秒間回転させて粉砕を行った後、その粉砕コーヒー豆を開放状態で室温に30分放置したこと以外は比較例2と同様に抽出を行い、コーヒー抽出液を純水で所定のBRIX濃度0.86に調整した。BRIX濃度調整後、密封容器に詰め、121℃で10分間殺菌して、コーヒー飲料を製造した。 【0096】得られたコーヒー飲料は、ガスクロマトグラフィーにより香り量を測定すると共に、香りの官能試験を行った。 【0097】(評価結果)実施例9、10および比較例2、3において、それぞれ、コーヒー抽出液およびコーヒー飲料の10g当たりのガスクロマトグラフィーのピーク面積値と官能試験の結果を表4に示す。 【0098】 【表4】
表4より、コーヒー豆粉砕時に放出されるアロマ成分を捕集したアロマ溶液をコーヒー抽出液の濃度調整水に使用することにより、従来の製法に比較し、香量に優れ、飲用時に新鮮な香と良質なコクが増加するコーヒー飲料を製造することが示された。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390006600 【氏名又は名称】ユーシーシー上島珈琲株式会社 【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区多聞通5丁目1番6号
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| 【出願日】 |
平成14年3月5日(2002.3.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092266 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 崇生 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−250447(P2003−250447A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月9日(2003.9.9) |
| 【出願番号】 |
特願2002−58561(P2002−58561) |
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