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【発明の名称】 胃食道逆流抑制調製粉乳及びその製造方法
【発明者】 【氏名】田村 吉隆
【住所又は居所】神奈川県座間市東原5丁目1番83号 森永乳業株式会社栄養科学研究所内

【氏名】高津 善太
【住所又は居所】神奈川県座間市東原5丁目1番83号 森永乳業株式会社栄養科学研究所内

【氏名】加々良 重徳
【住所又は居所】神奈川県座間市東原5丁目1番83号 森永乳業株式会社栄養科学研究所内

【氏名】大川 禎一郎
【住所又は居所】神奈川県座間市東原5丁目1番83号 森永乳業株式会社栄養科学研究所内

【氏名】七野 俊和
【住所又は居所】神奈川県座間市東原5丁目1番83号 森永乳業株式会社栄養科学研究所内

【氏名】金原 彦克
【住所又は居所】神奈川県座間市東原5丁目1番83号 森永乳業株式会社栄養科学研究所内

【要約】 【課題】溶解時の粘度が低くて哺乳後に胃内で粘度が増加する、乳幼児胃食道逆流症の食事療法に適した胃食道逆流抑制調製粉乳を提供する。

【解決手段】調製粉乳ベースを主成分とし、澱粉と天然ガムを含む粉末糊料を含有することを特徴とする胃食道逆流抑制調製粉乳及びその製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 調製粉乳ベースを主成分とし、澱粉と天然ガムを含む粉末糊料を含有することを特徴とする胃食道逆流抑制調製粉乳。
【請求項2】 調製粉乳ベースの固形分100gに対して添加された前記粉末糊料に含まれている、前記澱粉の固形分をY(g)、前記天然ガムの固形分をX(g)とすると、両者が下記の関係式(1)、(2)、かつ(3)を満たす、請求項1に記載の胃食道逆流抑制調製粉乳。
Y≧2.64×log(X)+5.87 ……(1)
X+Y≦30 ……(2)
X≧0.11 ……(3)
ただし、logは自然対数を表す。
【請求項3】 調製粉乳ベースの固形分100gに対して、前記澱粉の固形分が7〜16g、前記天然ガムの固形分が0.3〜1.6gとなる比率で含まれている、請求項1又は2のいずれか一項に記載の胃食道逆流抑制調製粉乳。
【請求項4】前記胃食道逆流抑制調製粉乳を、調乳濃度が13〜17質量%となるように調乳した調乳液が、下記(a)および(b)の性質を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の胃食道逆流抑制調製粉乳。
(a)該調乳液の粘度が80mPa・s以下である。
(b)該調乳液を酸でpH5に調整したときの粘度が200mPa・s以上である。
【請求項5】 前記澱粉がタピオカ由来の澱粉、ワキシーコーン由来の澱粉、米由来の澱粉、およびもち米由来の澱粉からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の胃食道逆流抑制調製粉乳。
【請求項6】 前記天然ガムがローカストビーンガムである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の胃食道逆流抑制調製粉乳。
【請求項7】 請求項1〜6のいずれか一項に記載の胃食道逆流抑制調製粉乳を製造する方法であって、前記澱粉と前記天然ガムを水に溶解して液状糊料を調製する工程、調製した液状糊料を乾燥して粉末糊料を調製する工程、および調製した粉末糊料と前記調製粉乳ベースを混合する工程を有することを特徴とする胃食道逆流抑制調製粉乳の製造方法。
【請求項8】 前記液状糊料を乾燥して前記粉末糊料を調製する工程において、液状糊料にアルコールを添加して糊料を沈殿させ、沈殿させた糊料を乾燥して粉末糊料を調製することを特徴とする請求項7に記載の胃食道逆流抑制調製粉乳の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば乳幼児の胃食道逆流症に対する食事療法に好適な、胃食道逆流抑制調製粉乳に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】乳幼児の胃食道逆流症(gastroesophageal reflux:以下、GERと略記することがある。)の症状は、胃内容物が噴門を通って食道内に逆流する現象であり、健康な児でも時に生理的に認められる。GERの直接的な症状は嘔吐であるが、嘔吐による体重増加不良、胃酸などの逆流による逆流性食道炎、反復性肺疾患(嚥下性肺炎、気管支喘息)などの合併症が大きな問題となってくる。児の成長に伴い症状は軽快していくが、時としてGERの頻度が高く、成長によっても症状の改善が見られない場合がある。
【0003】GERが認められるとの診断がなされると、新生児、乳児では食事療法として濃厚乳の投与が開始されるが、濃厚乳を投与する目的は、乳の粘度を高めることによって胃から食道への逆流を抑制することにある。
【0004】欧米のGER治療ガイドラインでは、粘稠なミルク(濃厚乳)の使用が推奨されている(非特許文献1、非特許文献2)。現在、欧米諸国を中心に、乳児におけるGERの食事療法のミルクに関しては、ローカストビーンガム(以下、LBGと略記することがある。)のみ、澱粉のみ、又はペクチンのみを増粘剤として配合したミルク(Anti-regurgitation milk:以下、ARミルクと略記することがある。)が製造されている(前記非特許文献1)。
【0005】本邦では、現在ARミルクは販売されていない。そのため、従来、乳幼児GERの食事療法として、コーンスターチや、トロメリン(登録商標:三和化学研究所社製)、スルーソフト(登録商標:キッセイ薬品工業社製)、トロミアップ(商標:日清サイエンス社製)等の嚥下補助食品を、医療現場や家庭で独自に育児用ミルクに添加して調製し、粘度が高められた濃厚乳を使用することが一般的であった(非特許文献3)。
【0006】特許文献1には、澱粉と親水コロイドガムの混合物による乳化・粘稠化用食品添加物が開示されている。また、特許文献2には、澱粉と天然ガムが99:1〜90:10の比率で混合してなる複合組成物が開示されている。
【0007】しかしながら、前記ARミルク、及び澱粉や嚥下補助食品を添加した濃厚乳には、以下に示す問題点が残されていた。
【0008】前記非特許文献1に記載されているローカストビーンガムのみ、澱粉のみ、又はペクチンのみを増粘剤として使用したARミルクは、溶解当初より粘度が高く、このため乳幼児の哺乳時間が延長するという問題が生じていた(非特許文献4)。
【0009】また、前記非特許文献1に記載されている、澱粉のみを増粘剤として使用したARミルクの場合は、澱粉の添加量が高くないと効果が出にくいため、澱粉の添加量は高くならざるを得ない。この点に関しては、乳児ではアミラーゼ活性が低い事が知られており、澱粉を過剰に添加した濃厚乳を乳児に与えると、消化不良により下痢を生じ、成長不良を引き起こす事が問題となっていた(非特許文献5)。これを受け、欧州では乳児用ミルクへの澱粉の使用がミルク100ml当り2g以下であり、澱粉が全炭水化物含量の30%を超えてはならないと定められている(非特許文献6)。
【0010】前記非特許文献3に記載されている嚥下補助食品を使用した濃厚乳を調製する場合、僅かなさじ加減の違いによる粘度の変化が大きく粘度調節が難しい。そのため、濃厚乳の粘度が高くなってしまうと乳幼児の哺乳が困難となり、哺乳量が減少することが問題となっていた。また、濃厚乳の粘度が高いことで哺乳に時間がかかり、哺乳努力が増大するために疲労性誤嚥が起こる可能性がある。
【0011】前記特許文献1及び前記特許文献2では、澱粉と天然ガムを使用しているものの、GERの食事療法に適した胃食道逆流抑制調製粉乳への適応を想定したものではなく、本発明の課題を解決するには至らなかった。
【0012】このように、既存のARミルクや嚥下補助食品を添加した濃厚乳は、とろみをつけることに重点を置いていたため、哺乳のし易さという点が軽視されていた。
【0013】従って、吸啜力の弱い乳幼児に適し、哺乳時に粘度が低く、且つ哺乳後に胃内で粘度増加が伴う、GERの食事療法に好適な胃食道逆流抑制調製粉乳の開発が待望されていた。
【0014】本発明は、溶解時に粘度が低く、哺乳後に胃内で粘度増加が伴う効果を有し、GERの食事療法に好適なミルクを簡便に調製することが可能な、胃食道逆流抑制調製粉乳及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【非特許文献1】アクタ・ペディアトリカ(Acta Paediatrica)、第87巻、第462〜468頁、ノルウェー、1998年【非特許文献2】ジャーナル・オブ・ペディアトリック・ガストロエンテロロジー・アンド・ニュートリション、(Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition)、第32巻、増補第2号、米国、2001年【非特許文献3】小児内科、第26巻、第304〜310頁、1994年【非特許文献4】第7回アジアパンパシフィック・小児胃腸病学栄養学会議抄録、第48頁、2001年【非特許文献5】ジャーナル・オブ・ペディアトリックス(The Journal of Pediatrics)、第82巻、第279〜282頁、米国、1973年【非特許文献6】乳蛋白質をベースとした乳児用ミルク及びフォローアップミルクの基準に関する食品専門委員会の初回報告(First Report of the Scientific Committee for Food on the Essential Requirements of Infant Formulae and Follow-up Milks Based on Cows’ Milk Proteins)、欧州共同体委員会(Commission of the European Communities)、食品専門委員会報告(Reports of the Scientific Committee for Food)第14版、ルクセンブルク、1983年【特許文献1】特開2001−245613号公報【特許文献2】特表平8−505170号公報【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の問題点を解決するため鋭意研究開発を重ねた結果、澱粉と天然ガムの両者を混合した糊料を調製粉乳ベースに添加して胃食道逆流抑制調製粉乳を製造し、これを用いてミルクを調製したところ、哺乳時(調製時)において粘度が低く、哺乳後の胃内環境を想定したpH5の条件で粘度増加が起きることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】前記課題を解決するために本発明の胃食道逆流抑制調製粉乳は、調製粉乳ベースを主成分とし、澱粉と天然ガムを含む粉末糊料を含有することを特徴とする。
【0018】前記調製粉乳ベースの固形分100gに対して添加された前記粉末糊料に含まれている、前記澱粉の固形分をY(g)、前記天然ガムの固形分をX(g)とすると、両者が下記の関係式(1)、(2)、かつ(3)を満たすことが好ましい。Y≧2.64×log(X)+5.87 …(1)、X+Y≦30 …(2)、 X≧0.11 …(3)。 ただし、logは自然対数を表す。調製粉乳ベースの固形分100gに対して、前記澱粉の固形分が7〜16g、前記天然ガムの固形分が0.3〜1.6gとなる比率で含まれていることが好ましい。前記胃食道逆流抑制調製粉乳を、調乳濃度が13〜17質量%となるように調乳した調乳液が、下記(a)および(b)の性質を有することが好ましい。
(a)該調乳液の粘度が80mPa・s以下である。
(b)該調乳液を酸でpH5に調整したときの粘度が200mPa・s以上である。
【0019】前記澱粉がタピオカ由来の澱粉、ワキシーコーン由来の澱粉、米由来の澱粉、およびもち米由来の澱粉からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。前記天然ガムがローカストビーンガムであることが好ましい。
【0020】また本発明は、本発明の胃食道逆流抑制調製粉乳を製造する方法であって、前記澱粉と前記天然ガムを水に溶解して液状糊料を調製する工程、調製した液状糊料を乾燥して粉末糊料を調製する工程、および調製した粉末糊料と前記調製粉乳ベースを混合する工程を有することを特徴とするの胃食道逆流抑制調製粉乳の製造方法を提供する。前記液状糊料を乾燥して前記粉末糊料を調製する工程において、液状糊料にアルコールを添加して糊料を沈殿させ、沈殿させた糊料を乾燥して粉末糊料を調製することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳記するが、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
【0022】本発明の胃食道逆流抑制調製粉乳は、調製粉乳ベースを主成分とし、澱粉と天然ガムを含む粉末糊料が添加されている。本発明で使用する調製粉乳ベースとしては市販の調製粉乳を使用することができ、育児用粉乳、フォローアップミルクなどを例示することができる。または常法により調製した調製粉乳も使用できる。
【0023】本発明における粉末糊料は、澱粉と天然ガムを含むものであり、澱粉からなる粉粒と天然ガムからなる粉粒を粉体混合して調製された粉末糊料であってもよい。また、一旦、澱粉からなる粉粒と天然ガムからなる粉粒との混合物を水に溶解して、または澱粉からなる粉粒と天然ガムからなる粉粒を別々に水に溶解させた溶液を混合して、液状糊料を調製し、該液体糊料を乾燥して得られる粉末糊料が好ましい。このように一旦液体糊料を調製し、これを乾燥して粉末糊料を調製すると、粉体混合により得られる粉末糊料に比して、より均一で、水に溶解したときにより高粘度となる粉末糊料が得られる。
【0024】本発明で使用する澱粉は、一般の食品に使用される澱粉類であって、タピオカ、小麦、馬鈴薯、コーン、ワキシーコーン、うるち米、もち米等をそれぞれ由来とする澱粉の中から1種又は2種以上を組合せて用いることができる。特にタピオカ由来の澱粉を使用することが好ましい。
【0025】本発明で使用する天然ガムは、一般に食品に使用される天然ガム類であって、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガム、キサンタンガム、およびアラビアガム等から1種又は2種以上を組合せて用いることができる。特にローカストビーンガムを使用することが好ましい。
【0026】本発明における調乳濃度とは、胃食道逆流抑制調製粉乳を水、好ましくは温水に溶解させて調乳液を調製する際の、該調乳液における胃食道逆流抑制調製粉乳の濃度(質量%)を表す。本発明の胃食道逆流抑制調製粉乳の調乳濃度は、乳幼児の哺乳に負担をかけない濃度で、かつ本発明の胃食道逆流抑制調製粉乳に含まれている調製粉乳ベースの濃度が、通常の育児用調製粉乳や母乳中における相当成分濃度とほぼ等しくなるように設定することが好ましい。具体的には、該調乳液における胃食道逆流抑制調製粉乳の濃度(調乳濃度)を13〜17質量%の範囲内とすることが好ましい。
【0027】一般的に、吸啜力の弱い乳幼児にとって飲みやすいとされる液体の粘度は80mPa・s以下であると考えられており、GERの食事療法に好適な調製乳の調製時(調製時および哺乳時)の粘度はこの範囲であることが好ましい。
【0028】一方、コーンスターチを添加した濃厚乳による逆流抑制能の検討(日本小児外科学会誌、第28巻、第6号、第1153〜1155頁)において、コーンスターチを添加した濃厚乳の粘度が236mPa・sのとき、逆流抑制効果を示す逆流抑制率が33.9%であることが報告されている。このことから、逆流抑制率が30%以上となる程度に、哺乳後に逆流を起こし難くするには、哺乳後の粘度が200mPa・s以上であることが好ましい。
【0029】従って、本発明の胃食道逆流抑制調製粉乳は、調乳濃度が13〜17%となるように調乳して得られる調乳液の粘度が、哺乳時を想定した状態、すなわち調製後において80mPa・s以下であり、かつ該調乳液を哺乳後の胃内環境を想定した状態において200mPa・s以上であることが好ましい。ここで、調製乳の調製後のpHは、通常の育児用調製粉乳や母乳のpHとほぼ等しいことが好ましく、具体的には6.5〜7.4が好ましい。より好ましくは6.8〜7.0である。一方、胃内環境を想定したpHは好適には4.5〜5.4であり、より好適には4.8〜5.2である。本発明では、哺乳後の好ましい粘度を得るために、調製乳のpHを5としたときの粘度を200mPa・s以上とする。胃内環境を想定するために調製乳のpHを調整するには、該調製乳に、例えば塩酸、酢酸、クエン酸等の酸を適量添加すればよい。
【0030】本発明において、調乳液の粘度の測定は、B型粘度計を使用し、測定する調乳液の粘度に応じてそれぞれ、0〜100mPa・sの場合はローターNo.1、100〜500mPa・sの場合はローターNo.2、500〜2000mPa・sの場合はローターNo.3のローターを使用して、測定温度36℃において、回転数60rpmの条件で測定を行うものとする。
【0031】本発明の胃食道逆流抑制調製粉乳において、澱粉の添加量が多すぎても少なすぎても、また天然ガムの添加量が多すぎても少なすぎても調乳液として好適な粘度が得られない。調製粉乳ベースの固形分100gに対して添加される澱粉と天然ガムの合計量は30g以下とすることが好ましく、この範囲であれば、本発明の胃食道逆流抑制調製粉乳の上述した好ましい調乳濃度範囲内で、該胃食道逆流抑制調製粉乳を構成している調製粉乳ベースの濃度を、通常の育児用調製粉乳の調乳濃度(一般的には13質量%)と同程度に調製することができる。より好ましくは、澱粉の使用量は、調製粉乳ベースの固形分100g当たり、固形分で7〜16gであり、天然ガムの使用量は、調製粉乳ベースの固形分100g当たり、固形分で0.3〜1.6gである。
【0032】また、後述の試験例1に示されるように、胃食道逆流抑制調製粉乳を構成する粉末糊料における澱粉の含有量と天然ガムの含有量との関係、すなわち調製粉乳ベースの固形分100gに対して添加された前記粉末糊料に含まれている澱粉の含有量と天然ガムの含有量との関係は、該澱粉の含有量をY(g)、該天然ガムの含有量をX(g)とするとき、上記の関係式(1)、(2)、かつ(3)を満たすことが好ましい。澱粉の含有量Yが天然ガムの含有量Xに対して、上記関係式(1)で表される範囲よりも少ないと、調乳液における乳化安定性が悪くなり、クリーム層の分離・浮上が生じやすくなる。また、Xが0.11(g)未満の範囲では関係式(1)を満たすYが負の値となる場合が生じる。
【0033】かかる胃食道逆流抑制調製粉乳は、溶解させたときの粘度が低く、哺乳後の胃内環境において増粘するので、乳幼児の哺乳時間が長くなったり哺乳努力が増大するのを防止することができる。また澱粉と天然ガムの両方を添加するので、澱粉のみを添加して粘度を上げる場合に比べて澱粉の添加量を低減させることができる。したがって、アミラーゼ活性が低い乳児における消化不良を防止するうえで有効である。また、本発明の胃食道逆流抑制調製粉乳は、予め調乳粉乳ベースに粉末糊料が添加されているので、これを溶解させるだけで簡単に調乳することができ、調乳液の粘度の変動が少ない。
【0034】本発明の胃食道逆流抑制調製粉乳は、例えば以下の製造方法で好適に製造することができる。
(1)まず、粉末糊料を製造する。すなわち、澱粉と天然ガムを水に懸濁し、攪拌しながら80〜150℃の温度で加温して完全に溶解させて液状糊料を調製する。得られた液状糊料を、ドラムドライヤー、噴霧乾燥機、凍結乾燥機、エクストルーダー等の乾燥手段を用いて乾燥させ、必要に応じて粉砕して粉末糊料を調製する。尚、ドラムドライヤーを使用して乾燥させる場合、澱粉と天然ガムの懸濁液を直接ドラムドライヤーに投入して溶解し、引き続き乾燥して粉体糊料を調製することが可能である。前記液状糊料から粉末糊料を調製する工程では、まず液体糊料に、最終濃度が40〜80%、好ましくは50〜60%となるようにアルコールを添加して固体の糊料を沈殿させ、沈殿した糊料を回収して乾燥し、粉砕して粉末糊料を調製することも可能である。この時、使用するアルコールはエチルアルコール、イソプロピルアルコール等を例示することができる。また、沈澱した糊料を乾燥する方法としては、50〜80℃の温風により乾燥することが可能である。このように、固体の糊料を沈殿させてから、回収、乾燥、粉砕を行なう方法は、沈殿を形成しない方法に比して、焦げが生じず、均一で溶解性が良好な粉末糊料を調製することができるという利点を有する。
【0035】(2)次いで、(1)で調製した粉末糊料を用いて胃食道逆流抑制調製粉乳を調製する。すなわち、前記粉末糊料と調製粉乳ベースとを、V型混合機等を使用して乾式混合した後、常法により造粒を行って胃食道逆流抑制調製粉乳を得る。
【0036】このように、調乳粉乳ベースとは別に、糊料を粉体化し、両者を乾式混合して胃食道逆流抑制調製粉乳を調製する方法は、予め調乳粉乳ベースと糊料をそれぞれ液状としたものを、液体混合し、得られた混合液を噴霧乾燥し粉乳を調製する方法と比べると、溶解性に優れた胃食道逆流抑制調製粉乳が得られる。また、液状の糊料と調乳粉乳ベースを混合した前記混合液は粘度が高いために乾燥方法が限定されてしまい、歩留まりやコストの面で、本発明に係る乾式混合による製造方法の方が有利である。
【0037】次に試験例を示して本発明を詳細に説明する。
試験例1本試験は、調製粉乳ベースに添加する澱粉と天然ガムの添加比率の、乳化安定性への影響を検討するために行った。
(1)試料の調製澱粉としてタピオカ澱粉(松谷化学工業社製)、天然ガムとしてローカストビーンガム(太陽化学社製:以下LBGと略記することがある。)を使用し、澱粉:天然ガムの混合比率がそれぞれ2.5:1、5:1、10:1、20:1となるように混合して、4種類のタピオカ澱粉−ローカストビーンガム混合物をそれぞれ50g調製した。各混合物をそれぞれ5質量%の濃度になるように精製水を加えて懸濁し、90℃で10分間加熱して溶解した。得られた溶液をそれぞれ凍結乾燥し、乾燥物をミルで粉砕して4種類の粉末糊料を調製した。次いで各粉末糊料を5g、7.5g、10g、15gずつ分取し、それぞれに調製粉乳ベース(森永乳業社製)を100gずつ粉体混合して、タピオカ澱粉およびローカストビーンガムの添加量が異なる16種の粉乳試料を調製した。
【0038】(2)試験方法各粉乳試料を温水で溶解して試料溶液を得た。試料溶液における各粉乳試料の濃度は、試料溶液中の調製粉乳ベースの濃度が13質量%になるようにそれぞれ設定した。溶解後の試料溶液を室温で静置し、3時間後に試料溶液の状態を、目視により観察した。観察の結果を、乳化安定性に問題なし(評価A)、クリーム等による凝集粒が確認される(評価B)、クリーム層が完全に分離・浮上する(評価C)の3段階で評価した。
【0039】(3)試験結果本試験の結果を、図1に示す。図中、横軸は粉体試料調製時に調製粉乳ベース100gに対して添加した粉体糊料中に含まれるローカストビーンガム量を示し、縦軸は粉体試料調製時に調製粉乳ベース100gに対して添加した粉体糊料中に含まれるタピオカ澱粉量を示している。また、評価Aは●、評価Bは△、評価Cは×でそれぞれ表している。この図から明らかなとおり、粉末糊料中の澱粉の比率が低下するにともない、乳化安定性は低下する傾向が確認された。ここで、評価Aと評価Bの境界を定義するために、図中、評価A(●)のアスタリスク(*)をつけた3点と、評価B(△)3点について、対数近似式によりローカストビーンガム量(X:単位g)とタピオカ澱粉量(Y:単位g)の関係式を求めた結果、評価Aが得られる範囲を表す式として下記の関係式(1)が得られた。
Y≧2.64×log(X)+5.87 ……(1)
logは自然対数である。なお、図1のグラフにおいて破線は、X+Y=30で表されるグラフと、X=0.11で表されるグラフである。
【0040】試験例2本試験は、調乳液における好ましい粘度条件を得るのに好適な、澱粉および天然ガムの添加量範囲を検討するために行った。
(1)試料の調製澱粉としてタピオカ澱粉(松谷化学工業社製)を、それぞれ3.8g、7.7g、11.5g、15.4g、19.2gの5種類に分取し、天然ガムとしてLBG(太陽化学社製)を、それぞれ0.08g、0.38g、0.77g、1.15g、1.54g、1.92gの6種類に分取し、分取したタピオカ澱粉とローカストビーンガムをそれぞれ分取量ごとに組み合わせて混合し、計30種類のタピオカ澱粉−ローカストビーンガム混合物を調製した。該混合物をそれぞれ5%程度の濃度になるように精製水を加えて溶解し、60℃に加温して攪拌し、懸濁液中の澱粉が糊化したら、攪拌を停止して、さらに90℃で10分間加熱溶解した。得られた溶液をそれぞれ凍結乾燥し、乾燥物をミルで粉砕して粉末糊料を調製した。次いで得られた粉末糊料全量に、調製粉乳ベースとして用いる市販の乳児用調製粉乳(森永乳業社製)をそれぞれ100gずつ粉体混合して、タピオカ澱粉およびローカストビーンガムの添加量がそれぞれ異なる30種の粉乳試料を調製した。
【0041】(2)試験方法粉乳試料の調乳濃度を、調乳液中における調製粉乳ベースの濃度が13質量%になるようにそれぞれ設定して、各粉乳試料を温水で溶解し、36℃で20分間保持した後、B型粘度計(東京計器社製)を用いて、ローターNo.1及びNo.2を使用し、36℃、回転数60rpmの条件で各試料の粘度を測定した。尚、各試料のpHは測定の結果7であった。
【0042】これとは別に、前記(1)と同様にして各粉乳試料を調製し、それを温水で溶解した後、塩酸を添加してpHを5に調整し、36℃で20分間保持した後、B型粘度計(東京計器社製)を用いて、ローターNo.1〜No.3を使用し、36℃、回転数60rpmの条件で各試料の粘度を測定した。
【0043】(3)試験結果本試験の結果を下記表1及び表2に示す。表1は調乳後20分のpH7における粘度を表し、表2はpH5における試料の粘度を表している。表1及び表2から明らかなとおり、pH7の場合とpH5の場合とを比べると、タピオカ澱粉およびローカストビーンガムの添加量が同じ試料について、pH7の場合とpH5の場合とで粘度を比較すると、pH7の場合の方がpH5の条件よりも粘度が低かった。このことから、胃内環境を想定したpH5の条件で粘度が増加することが確認された。また、澱粉及びLBGの添加量の増加に伴い調乳液の粘度は上昇する傾向が確認された。
【0044】表1,2より、pH7の粘度が80mPa・s以下であって、pH5の粘度が200mPa・s以上である条件を満足する澱粉及び天然ガムの添加量は、調製粉乳ベースの固形分100gあたり、澱粉添加量7.7〜11.5gかつLBG添加量0.38〜1.54gの範囲、及び澱粉添加量15.4gのときLBG添加量が0.38〜0.77gの範囲であることが判明した。本試験の結果、調製粉乳ベースの固形分100gに対して澱粉の固形分が7〜16g、天然ガムの固形分が0.3〜1.6gとなる範囲で混合することにより、調乳液の好ましい粘度が得られることが認められた。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】試験例3本試験は、本発明の胃食道逆流抑制調製粉乳の調乳液、市販の粉乳に嚥下補助食品を添加した調乳液、及び市販のARミルクの調乳液について、pH変化に伴う粘度変化を検討するために行った。
(1)試料の調製市販の乳児用調製粉乳(森永乳業社製)13gに、澱粉1g及びLBG0.15gからなる粉末糊料を添加して調製した本発明に係る胃食道逆流抑制調製粉乳を、調乳濃度が14.2%となるように温水で溶解し、その調乳液100mlを試験試料とした。また、温水100mlに、澱粉1g及びLBG0.15gからなる粉末糊料を添加して混合した溶液を陰性試料1とした。
【0048】市販の乳児用調製粉乳(森永乳業社製)を、調乳濃度が13%となるように温水で溶解し、その調乳液100mlを陰性試料2とした。この陰性試料2の100mlに対して、市販の嚥下補助食品であるトロメリン顆粒(三和化学研究所社製)を3g添加した調乳液を対照試料1とした。同様に陰性試料2の100mlに対して、スルーソフトS(キッセイ薬品工業社製)を1g添加した調乳液を対照試料2、トロミアップA(日清サイエンス社製)を1g添加した調乳液を対照試料3とした。さらに、市販のARミルク(ブレジナ社製、商品名:BledilaitA.R.1)を調乳濃度が15質量%となるように温水で溶解した調乳液100mlを対照試料4とした。
【0049】(2)試験方法調製後の各試料を36℃で20分間保持した後、B型粘度計(東京計器社製)を用いて、ローターNo.1及びNo.2を使用し、36℃、回転数60rpmの条件で各試料の粘度を測定した。尚、調製後の各試料のpHは測定の結果7であった。
【0050】これとは別に、同様に調製した各試料に、それぞれ塩酸を添加してpHを5に調整し、36℃で20分間保持した後、B型粘度計(東京計器社製)を用いて、ローターNo.1〜No.3を使用し、36℃、回転数60rpmの条件で各試料の粘度を測定した。
【0051】(3)試験結果本試験の結果を表3に示す。表3には各試料の調製時(pH7)の粘度及びpHを5に調整した時の粘度を表す。表3から明らかなとおり、陰性試料1は粘度が変化しなかったことから、pH変化に伴う粘度増加には、単に澱粉やLBGに基づく効果だけではなく、調製粉乳が共存することによって発揮されるものと推測される。
【0052】また、本発明に係る試験試料は調製時のpH7において粘度が低く、胃内環境を想定したpH5の条件で十分に粘度が増大しており、逆流抑制効果が確認された。一方、対照試料1〜4の結果から明らかなとおり、従来の市販の嚥下補助食品を添加した調乳液(対照試料1〜3)やARミルクの調乳液(対照試料4)では、哺乳後の胃内環境を想定したpH5の条件で十分に粘度が大きく保持され、逆流抑制効果は確認されるものの、溶解時のpH7での粘度が、吸啜力の弱い乳幼児にとって飲みやすい液体の粘度である80mPa.sを超えていた。
【0053】従って、本発明に係る胃食道逆流抑制調製粉乳の調乳液は、従来の市販の嚥下補助食品を添加した調乳液やARミルクの調乳液に比して、哺乳時に粘度が低く、且つ哺乳後に胃内で粘度が増加するので、本発明に係る胃食道逆流抑制調製粉乳が吸啜力の弱い乳幼児におけるGERの食事療法に好適であることが認められた。
【0054】
【表3】

【0055】試験例4本試験は、粉末糊料の調製方法を変更して製造した胃食道逆流抑制調製粉乳の粘度を検討するために行った。
(1)試料の調製澱粉としてタピオカ澱粉(松谷化学工業社製)、天然ガムとして精製ローカストビーンガム(太陽化学社製)をそれぞれ用い、澱粉:ローカストビーンガムの混合比率が10:1となるよう混合し、得られた混合物を5質量%となるように精製水を加えて懸濁し、90℃で10分間加熱溶解して液状糊料を調製した。得られた液状糊料を凍結乾燥し、乾燥物をミルで粉砕して粉末糊料1を調製した。前記と同様に液状糊料を調製し、調製した液状糊料をドラムドライヤーにより乾燥し、引き続き粉体化を行って、粉末糊料2を調製した。また、前記と同様に液状糊料を調製し、該液状糊料に最終濃度が50%となるようにエタノールを添加して、糊料を沈殿させ、濾過を行って沈殿物を回収し、回収された沈澱物を乾燥し、次いで粉砕して粉末糊料3を調製した。粉末糊料1〜3それぞれの1.2gに調製粉乳ベース(森永乳業社製)を13g添加して粉体混合し、それぞれ試験試料1〜3を調製した。
【0056】(2)試験方法試験試料1〜3について、前記試験例3と同様の方法で、各試料の調製時(pH7)及びpHを5に調整した時の粘度をそれぞれ測定した。
(3)試験結果本試験の結果を表4に示す。表4は粉末糊料の調製方法が異なる3種の胃食道逆流抑制調製粉乳の粘度を表している。その結果、何れの方法で調製した粉末糊料を用いて胃食道逆流抑制調製粉乳を製造しても、調乳時の粘度は吸啜力の弱い乳幼児にとって飲みやすい粘度を保ち、哺乳後の胃内環境を想定した条件で逆流を防止するのに十分な粘度が確保されていることが判明した。
【0057】
【表4】

【0058】次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0059】
【実施例】実施例1タピオカ澱粉(松谷化学工業社製)60g、精製ローカストビーンガム(太陽化学社製)9gを、精製水1リットルに溶解し、60℃に加温して攪拌した。懸濁液中の澱粉が糊化したら、攪拌を停止し、90℃で10分間加熱溶解した。得られた溶液を凍結乾燥し、ミルを用いて乾燥物を粉砕して粉末糊料を調製した。更に、前記粉末糊料50gと市販の乳児用調製粉乳(森永乳業社製)565gを粉体混合して乳児用の胃食道逆流抑制調製粉乳を製造した。
【0060】該胃食道逆流抑制調製粉乳14.2gを約90mlの温水に溶解して胃食道逆流抑制調製乳100ml(調乳濃度は14.2質量%)を調乳した。得られた調乳液の粘度は31mPa、該調乳液を酸でpH5に調整したときの粘度は376mPaであり、胃食道逆流抑制効果を有していた。
【0061】実施例2脱塩牛乳乳清蛋白質粉末(ニュージーランド・デーリーボード社製)10kg、牛乳カゼイン粉末(ニュージーランド・デーリーボード社製)6kg、乳糖(ミライ社製)48kg、ミネラル混合物(富田製薬社製)920g、及びビタミン混合物(田辺製薬社製)32gを温水300kgに溶解し、さらに90℃で10分間加熱溶解し、調製脂肪(太陽油脂社製)28kgを添加して均質化した。その後、殺菌、濃縮の工程を行って噴霧乾燥し、調製粉乳約93kgを調製した。
【0062】これとは別に、タピオカ澱粉(松谷化学工業社製)8kgと精製ローカストビーンガム(太陽化学社製)800gを水に懸濁し、ドラムドライヤーによりタピオカ澱粉とローカストビーンガムを溶解し、引き続き乾燥、粉体化を行って、粉末糊料約8kgを調製した。得られた粉末糊料8kgと前記調製粉乳93kgをV型混合機にて粉体混合し、胃食道逆流抑制調製粉乳約100kgを製造した。
【0063】実施例3a)粉末糊料の調製タピオカ澱粉(松谷化学工業社製)14kgと精製ローカストビーンガム(太陽化学社製)1.4kgを混合し、澱粉−ローカストビーンガム混合物を調製し、この混合物15kgを5質量%の濃度となるように水に懸濁し、次いで80℃で完全に溶解して液状糊料375リットルを得た。この液状糊料に最終濃度が50%となるようエタノールを添加し、糊料を沈殿させた。沈殿した糊料は濾過することにより回収し、次いで乾燥し、粉砕して粉末糊料約15kgを調製した。
b)乳清蛋白質分解物の調製脱塩牛乳乳清蛋白質粉末(ニュージーランド・デーリーボード社製)5kgを50リットルの温水に溶解し、殺菌した後、pHを8に調製し、トリプシン(ノボノルディック・バイオインダストリー社製)18gを添加し、37℃で12時間分解し、酵素を失活し、冷却し、濃縮、噴霧乾燥し乳清蛋白質分解物約4.2kgを調製した。
【0064】c)胃食道逆流抑制調製粉乳の製造脱塩牛乳乳清蛋白質粉末(ニュージーランド・デーリーボード社製)9.0kg、牛乳カゼイン粉末(ニュージーランド・デーリーボード社製)5.2kg、前記b)で調製した乳清蛋白質分解物3.7kg、乳糖46kg、ミネラル混合物1.8kg、ビタミン混合物900gを温水300リットルに溶解し、調製脂肪30kgを添加して均質化した。その後、殺菌、濃縮の工程を行って、噴霧乾燥により調製粉乳約90kgを調製した。次に該調製粉乳90kgと前記a)で調製した粉末糊料10kgをV型混合機にて粉体混合し、胃食道逆流抑制調製粉乳100kgを製造した。
【0065】実施例4実施例2において粉末糊料を製造する際に使用したタピオカ澱粉をワキシーコーンスターチ(三和澱粉工業社製)に変更して、同様の方法で胃食道逆流抑制調製粉乳100kgを製造した。製造した胃食道逆流抑制調製粉乳を用い、調乳濃度を、調乳液中における調製粉乳ベースの濃度が13質量%となるように設定して、温水に溶解し、36℃で20分間保持した後、B型粘度計(東京計器社製)を用いて、ローターNo.1〜No.3を使用し、36℃、回転数60rpmの条件で各試料の粘度を測定したところ、粘度は47mPa・sであることが確認された。これとは別に、前記と同様の濃度で胃食道逆流抑制調製粉乳を温水で溶解し、塩酸を添加してpHを5に調製し、同様の方法で粘度を測定したところ395mPa・sであることが確認された。
【0066】実施例5実施例2において粉末糊料を製造する際に使用したタピオカ澱粉を米澱粉(松谷化学工業社製)に変更して、同様の方法で胃食道逆流抑制調製粉乳100kgを製造した。製造した胃食道逆流抑制調製粉乳を用い、調乳濃度を、調乳液中における調製粉乳ベースの濃度が13質量%となるように設定して、温水に溶解し、36℃で20分間保持した後、B型粘度計(東京計器社製)を用いて、ローターNo.1〜No.3を使用し、36℃、回転数60rpmの条件で各試料の粘度を測定したところ、粘度は43mPa・sであることが確認された。これとは別に、前記と同様の濃度で胃食道逆流抑制調製粉乳を温水で溶解し、塩酸を添加してpHを5に調製し、同様の方法で粘度を測定したところ392mPa・sであることが確認された。
【0067】実施例6実施例2において粉末糊料を製造する際に使用したタピオカ澱粉をもち米澱粉(松谷化学工業社製)に変更して、同様の方法で胃食道逆流抑制調製粉乳100kgを製造した。製造した胃食道逆流抑制調製粉乳を用い、調乳濃度を、調乳液中における調製粉乳ベースの濃度が13質量%となるように設定して、温水に溶解し、36℃で20分間保持した後、B型粘度計(東京計器社製)を用いて、ローターNo.1〜No.3を使用し、36℃、回転数60rpmの条件で各試料の粘度を測定したところ、粘度は65mPa・sであることが確認された。これとは別に、前記と同様の濃度で胃食道逆流抑制調製粉乳を温水で溶解し、塩酸を添加してpHを5に調製し、同様の方法で粘度を測定したところ358mPa・sであることが確認された。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、哺乳時に飲みやすい粘度を有し、哺乳後に十分な増粘効果を有する胃食道逆流抑制調製粉乳が得られる。かかる胃食道逆流抑制調製粉乳は、乳幼児における胃食道逆流症の食事療法に好適であり、簡便に調乳して哺乳させることができるという利点も有する。
【出願人】 【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝5丁目33番1号
【出願日】 平成14年12月20日(2002.12.20)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外6名)
【公開番号】 特開2003−245039(P2003−245039A)
【公開日】 平成15年9月2日(2003.9.2)
【出願番号】 特願2002−370615(P2002−370615)