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【発明の名称】 ガス吸着材及びガス吸着シート
【発明者】 【氏名】片桐 裕
【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティーディーケイ株式会社内

【氏名】渋江 明
【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティーディーケイ株式会社内

【要約】 【課題】野菜、果物、花などの鮮度保持や、変敗臭、悪臭の除去のための、複数種のガスや微粒子までも吸着することができるガス吸着材と、このガス吸着材を用いたガス吸着シートを提供する。

【解決手段】水溶性カチオン型ポリマーと、水溶性カチオン型ポリマーと塩を形成しうるアニオン型化合物との混合物を含み、水溶性カチオン型ポリマーの一部とアニオン型化合物の一部とは塩を形成しているガス吸着材。水溶性カチオン型ポリマーが有する塩基性官能基の混合物中の総数に対するアニオン型化合物が有する酸性官能基の混合物中の総数の比は、0.1〜10であることが好ましい。また、このガス吸着材を用いて、ガス吸着シートが形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水溶性カチオン型ポリマーと、前記水溶性カチオン型ポリマーと塩を形成しうるアニオン型化合物との混合物を含み、前記水溶性カチオン型ポリマーの少なくとも一部と前記アニオン型化合物の少なくとも一部とは塩を形成していることを特徴とするガス吸着材。
【請求項2】 前記水溶性カチオン型ポリマーが有する塩基性官能基の前記混合物中の総数に対する前記アニオン型化合物が有する酸性官能基の前記混合物中の総数の比が、0.1〜10であることを特徴とする請求項1に記載のガス吸着材。
【請求項3】 前記水溶性カチオン型ポリマーが有する塩基性官能基の前記混合物中の総数に対する前記アニオン型化合物が有する酸性官能基の前記混合物中の総数の比が、0.1〜0.5、または、2〜10であることを特徴とする請求項1に記載のガス吸着材。
【請求項4】 前記水溶性カチオン型ポリマーがキトサンであることを特徴とする請求項1に記載のガス吸着材。
【請求項5】 前記アニオン型化合物が水溶性アニオン型ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載のガス吸着材。
【請求項6】 請求項1に記載のガス吸着材を含むガス吸着シート。
【請求項7】 基材層の片面または両面に、請求項1に記載のガス吸着材を含む層を積層したガス吸着シート。
【請求項8】 前記基材層が不織布であることを特徴とする請求項7に記載のガス吸着シート。
【請求項9】 前記基材層が透明または半透明フィルムであることを特徴とする請求項7に記載のガス吸着シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数種のガスや微粒子を吸着することができるガス吸着材及びガス吸着シートにかかり、特に、野菜、果物、花などの鮮度保持や、悪臭除去に用いて好適なガス吸着材及びガス吸着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】野菜、果物、花などの植物製品が流通されるとき、これら植物製品自体から一種のホルモンであるエチレンガスが発散される。このエチレンガスは、これら植物製品の鮮度を劣化させる。また、これら植物製品は、変敗臭や、アンモニア、トリメチルアミン、エチルメルカプタンなどの異臭を放ったりする。
【0003】これを解決する手段として、エチレン酸化酵素であるエチレンモノオキシゲナーゼを含有する生竹の繊維又は竹酢液を配合し、放出されるエチレンガスを吸着除去する方法が知られている(特許第3250196号公報)。この方法によれば、人体に安全な手段によりエチレンガスが効果的に除去される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記方法では、吸着できるガスがエチレンガスのみであり、これをシート状にして野菜、果物などの包装に用いても、他のガスや、微粒子の除去はできず、植物の鮮度保存の効果は薄い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、エチレンガスのみならず、酸性ガスや塩基性ガス、そして微粒子まで、複数種の物質を吸着することができるガス吸着材と、このガス吸着材を包装材または梱包材として用いることで、野菜、果物、花などの鮮度保持や、変敗臭、悪臭の除去に用いて好適な、ガス吸着シートを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはガス吸着材について鋭意研究した結果、水溶性カチオン型ポリマーと、この水溶性カチオン型ポリマーと塩を形成しうるアニオン型化合物とを組み合わせることにより、エチレンガスのみならず、複数種の酸性ガスや塩基性ガス、そして微粒子までも吸着する能力が発揮されることを知り、本願発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、上記目的を達成するための本発明のガス吸着材は、水溶性カチオン型ポリマーと、水溶性カチオン型ポリマーと塩を形成しうるアニオン型化合物との混合物を含み、水溶性カチオン型ポリマーの少なくとも一部とアニオン型化合物の少なくとも一部とは塩を形成していることを特徴とする。
【0008】このような構成により、エチレンガスのみならず、酸性ガスや塩基性ガスの複数種のガスや微粒子までも吸着することができる。
【0009】水溶性カチオン型ポリマーが有する塩基性官能基の混合物中の総数に対する、アニオン型化合物が有する酸性官能基の混合物中の総数の比は、0.1〜10、より好ましくは、0.1〜0.5または2〜10、であると、一層高いガス吸着効果が発揮できる。
【0010】また、水溶性カチオン型ポリマーとしてはキトサンがより好ましく、アニオン型化合物としては水溶性アニオン型ポリマーがより好ましい。
【0011】このガス吸着材は、粒状、粉状、パイプ状、布状、繊維状などの所定形状を有する、ガラス、セラミクス、合成樹脂、紙、活性炭、多孔質材料などの所定の材料からなるキャリアに担持させて用いてもよい。
【0012】また、上記目的を達成するための本発明のガス吸着シートは、上記構成のガス吸着材を含むものである。このようなガス吸着シートを包装材または梱包材として用いることで、野菜、果物、花などの鮮度保持や、変敗臭、悪臭などの除去が可能である。
【0013】このガス吸着シートは、上記構成のガス吸着材を合成樹脂と混合してフィルム状に加工してもよく、また、ベースとなる基材層の片面または両面に、ガス吸着材を含む層を、塗布、張り合わせ、ディッピング(浸漬)など任意の方法で積層してもよい。基材層は特に限定されず、不織布や、透明または半透明フィルムなど、用途に合わせて適宜選択すればよい。また、別の構成のフィルタと組み合わせれば、多機能フィルタとしても利用できる。
【0014】本発明における、水溶性カチオン型ポリマーと水溶性アニオン型化合物との混合物では、ポリマー鎖が複雑に絡み合わさって、空洞構造が形成されている。このためこの空洞構造が活性炭やセラミクスの多数の孔と同様の働きをして、ガスや微粒子を、物理的(ファンデルワールス力など)あるいは化学的に吸着する。そして帯電していないエチレンガスでも吸着される。
【0015】本発明では、水溶性カチオン型ポリマーは酸性のガスを、水溶性アニオン型化合物は塩基性のガスをそれぞれ吸着する。酸性のガスには、二酸化硫黄、硫化水素、一酸化窒素、二酸化窒素、オゾン、塩素、塩化水素等がある。塩基性のガスには、アンモニア等がある。アニオン型化合物としてポリアクリル酸等の水溶性アニオン型ポリマーを用いれば、吸着材中で正電荷ポリマーと負電荷ポリマーとが共存するため、より多くの種類のガス及び微粒子を吸着保持することができる。
【0016】一般に空気中には水分が含まれるが、一旦水分と共に吸着されたガスや微粒子は混合物内に侵入し、その種類に応じて水溶性カチオン型ポリマー、または、水溶性アニオン型化合物に保持される。
【0017】ガス吸着材が、水溶性カチオン型ポリマーまたは水溶性アニオン型化合物の一方だけを含有した場合でも、ガスや微粒子を捕集することができる。特に、ポリマーと逆に帯電している微粒子の捕集効率は高い。しかし、水溶性ポリマーは空気中の水分を吸着し、ガス吸着材が構成する吸着膜は脆くなって崩れやすい。本発明では、水溶性カチオン型ポリマーとアニオン型化合物とを混合し、塩が形成されるので、水を吸着しにくく、従って、吸着膜が崩れることはない。
【0018】本発明のガス吸着材は、水に対する溶解度の高い酸性ガス、具体的には塩化水素や二酸化硫黄などに対する除去能も高い。特に、高湿度下において優れた除去能を示す。これら以外にも、果物、野菜、花などの植物の変敗臭、アンモニア、トリメチルアミン、エチルメルカプタンなどの異臭成分も除去することができる。
【0019】本発明のガス吸着材に、エチレンガス分解能を有する過マンガン酸カリウムを更に加えれば、エチレンガスの吸着効率をより高めることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明における水溶性カチオン型ポリマーとしては、例えば、ポリアミン類や、アイオネンポリマーを用いることが望ましい。特に、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、キトサン、ポリビニルアミン、ポリ(アミドアミン)、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン(+)、ポリパラフェニレンビニレンが好適である。これらのうち特に、アミノ基を有する化合物が好ましい。特にキトサンは、その分子中にアミノ基を2個有し、しかも無害であるので好ましい。水溶性カチオン型ポリマーは、上記の内の1種だけ用いてもよく、また、2種以上用いてもよい。
【0021】本発明におけるアニオン型化合物には、例えば、水溶性アニオン型ポリマーや、低分子量の酸が挙げられる。水溶性アニオン型ポリマーとしては更に、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリリン酸、ポリチオフェン−3−アセティックアシド、ポリアミック酸、ポリパラフェニレン(−)が好ましい。また、低分子量の酸としては、無機酸及び有機酸のいずれであってもよく、例えば、炭酸、硼酸、リン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。これらのうちでは特に、水溶性アニオン型ポリマーが好ましい。ポリマーは吸着膜から揮発しないため、ガス吸着材の耐水性を長期間にわたって維持できるからである。
【0022】また、アニオン型化合物が有する酸性官能基は、ポリアルキレンアミン等の水溶性カチオン型ポリマーが有するアミノ基とのイオン結合力が弱いもの、例えば、カルボキシ基などが好ましい。例えば酸性ガスとしてSO2が吸着膜に到達し、空気中などの水分により吸着膜表面においてSO42-となったとき、アミノ基との相互作用はカルボキシ基よりSO42-の方が強いため、イオン交換が容易に生じる。このため、カルボキシ基を有するアニオン型化合物を用いれば、SO2の化学吸着力に優れたガス吸着材が得られる。
【0023】本発明のガス吸着材における、混合物中の水溶性カチオン型ポリマーが有する塩基性官能基の総数に対するアニオン型化合物の酸性官能基の総数の比は、以下の理由により、前述した0.1〜10とする。この比が0.1未満、すなわち塩基性官能基が過剰であると、塩を形成しない水溶性カチオン型ポリマーの比率が高くなって、ガス吸着材の耐水性が不十分になりやすい。一方、この比が10を超えると、すなわち酸性官能基が過剰であると、アニオン型化合物が水溶性アニオン型ポリマーである場合には、塩を形成しない水溶性アニオン型ポリマーの比率が高くなってガス吸着材の耐水性が不十分となりやすい。また、酸性官能基が過剰であると、混合物中のアニオン型化合物の濃度を比較的高くした場合に凝集が生じ、ディッピングや塗布法によるガス吸着材膜の形成が困難になる。
【0024】なお、ここでの「官能基の総数」とは、混合物中に含まれる全ての官能基の数をいい、一分子中の官能基の数をいうものではない。
【0025】酸性ガスは、塩形成していない塩基性官能基の数が多いほど吸着されやすい。一方、塩基性ガスは、塩形成していない酸性官能基の数が多いほど吸着されやすい。この比が1であっても、塩基性官能基と酸性官能基とがすべて塩を形成するわけではないので酸性ガスや塩基性ガスは吸着されるが、より高い吸着能を得るためには、この比は1付近でない方がよい。従って、本発明のガス吸着材における、混合物中の水溶性カチオン型ポリマーが有する塩基性官能基の総数に対するアニオン型化合物の酸性官能基の総数の比は、より好ましくは、0.1〜0.5または2〜10とする。この範囲とすることにより。塩形成していない塩基性官能基または酸性官能基が十分に存在することになり、優れた吸着能が得られ、かつ、塩形成しているものによって十分な耐水性が得られる。
【0026】本発明のガス吸着材の膜を形成するには、まず、水溶性カチオン型ポリマーとアニオン型化合物とを混合して溶液を調製する。このとき、溶液中に塩基性官能基が高濃度で存在すると、塩形成により強固で大きな凝集が生じやすい。そのため溶液を調製する際には、塩基性官能基の濃度が、好ましくは0.5M以下、より好ましくは0.3M以下となるように、水溶性カチオン型ポリマーの濃度を設定することが好ましい。
【0027】カチオン型及びアニオン型の水溶性ポリマーの重量平均分子量は、1万〜100万、特に1万〜50万が好ましい。重量平均分子量が大きすぎると水に対する溶解度が低くなるため、膜の形成が困難となるからである。一方、重量平均分子量が小さすぎると、高湿度環境下で吸着膜から流出しやすくなるからである。
【0028】水溶性ポリマーは、共重合体であってもよい。その場合、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
【0029】また、前述した好ましい水溶性ポリマー(ポリエチレンイミン等)の共重合体中における比率は、モノマー成分のモル比に換算して50〜100%であることが好ましい。
【0030】水溶性ポリマー中に含有されていてもよい他のモノマー成分としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等が挙げられる。
【0031】また、水溶性ポリマーには、三次元架橋構造を導入してもよい。架橋は、共有結合によるものであっても分子間結合によるものであってもよいが、分子間結合によるものは可逆的で不安定であるため、共有結合によるものが望ましい。共有結合は、ポリマーを架橋することにより形成される。予めポリマーに官能基を導入しておき、熱、光、放射線、プラズマ等によって架橋すればよい。なお、架橋密度が大きくなるにつれて、ポリマーの吸水力は低下してくるので、架橋度は10%以下、より好ましくは5%以下とする。また、架橋による効果を十分に実現するためには、架橋度を1%以上とすることが好ましい。
【0032】なお、ガス吸着材には、水溶性カチオン型ポリマー及びアニオン型化合物に加え、アエロジル、タルク、クレー等を10質量%以下含有させてもよい。
【0033】本発明のガス吸着材で吸着膜を形成する手順を、水溶性カチオン型ポリマーとしてポリアルキレンイミンを、アニオン型化合物としてポリアクリル酸をそれぞれ用いた場合について、以下に例示説明する。
【0034】まず、ポリアルキレンイミン溶液を調製する。このとき、湿度センサの応答時間を考慮に入れた濃度設定を行うことが好ましい。具体的には、濃度を0.1〜10質量%とすることが好ましい。
【0035】次に、ポリアクリル酸溶液を調製し、これをポリアルキレンイミン溶液に適量加えて、液状であるが部分的に塩形成している白濁した溶液とする。ポリアルキレンイミンは弱塩基であるものが望ましい。ポリアクリル酸と塩形成させる際に、添加するポリアクリル酸の濃度を抑えることができるからである。
【0036】次に、上記溶液を用いて吸着膜を形成する。吸着膜を形成するに際しては、まず、化学処理により基材に初期電荷を与える。この化学処理には、アルカリ水溶液による洗浄などが利用できる。先に調製した溶液に、初期電荷を与えた基材を、例えばディッピングすることにより、自発的な吸着によりポリマー膜が形成される。ディッピングする回数は、目標とする厚さとなるように溶液濃度に応じて適宜決定すればよく、特に限定されない。
【0037】ディッピングによる塗布の後は乾燥させる。なお、乾燥時または乾燥後に、吸着膜中の化合物が分解しない程度の温度で加温処理を施してもよい。白濁した溶液は、通常、塩の凝集物が分散した状態である。これを塗布すると、完全に均質な膜とはなりにくいが、加温することにより膜のむらを軽減できる。また、溶液塗布後に、必要に応じて純水でリンスしてもよい。純水でリンスすることにより、吸着膜の耐水性をさらに向上させることができる。このリンスは、乾燥後に行うことが好ましい。
【0038】ガス吸着シートに用いる基材は、フィルム状、シート状、粒状、塊状のいずれの形態でもよい。基材に用いる材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、木材パルプ、セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セロハン、ダンボール箱材などが挙げられる。これらは発泡体や多孔質であっても良い。この他、ハニカム形状に成形された不織布、金属等からなる板状体にパンチングにより円形または多角形の貫通孔を形成したもの(例えば、ハニカム状のもの)、金属やガラスなどからなる繊維を使用したメッシュなども好ましい。
【0039】
【実施例】以下に、本発明の具体的実施例を比較例とともに示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0040】厚さ20μm、気孔率50%、気孔径10μmのポリエチレンテレフタレート(PET)不織布を基材として用いた。この基材に、0.1MのNaOH水溶液に超音波下で30分間浸漬して基材表面に初期電荷を与えることにより、親水処理を行った。また、ポリアリルアミン水溶液にポリアクリル酸溶液を添加して、ポリアリルアミンとポリアクリル酸との塩を形成することにより、白濁した混合溶液を調製した。この混合溶液中において、ポリアリルアミンの単位ユニットの濃度は100mM、ポリアクリル酸の単位ユニットの濃度は20mMである。従って、ポリアリルアミンのアミノ基の総数に対するポリアクリル酸のカルボキシ基の総数の比は、5であり、塩基性官能基の濃度は100mMである。次いで、親水処理したPET不織布に上記混合溶液をディッピング法により塗布し、乾燥させた後、60℃のオーブン中で30分間放置することにより、ガス吸着材を得た。
【0041】得られたガス吸着材を、鮮度低下が速いといわれるブロッコリーの鮮度を保持するために用いた実施例を示す。輸送梱包箱を2個用意し、中にブロッコリーを入れた。一方にはブロッコリー周辺に、先に得たガス吸着材30×20cmを配置し(実施例1)、他方には何も配置しなかった(比較例1)。これらを常温貯蔵し、8日間の鮮度保持実験を行った。ブロッコリーの鮮度は、野菜のしおれ具合や黄ばみ、雑菌の増殖などが原因で発生する異臭などの官能的な品質を調べた。結果を表1に示す。表1中、「比」は、ポリアリルアミンのアミノ基の総数に対するポリアクリル酸のカルボキシ基の総数の比を表す。また、「○」は実験開始した日またはこれと同程度の状態、「△」は実験開始した日より劣化は進んだが、生鮮野菜として許容できる程度の状態、「×」は許容できない程度の状態にそれぞれあることを示す。
【0042】
【表1】

【0043】表1に示すように、比較例1では生鮮野菜として許容できるのが2日であるのに対し、ガス吸着材を配置した実施例1では7日であった。
【0044】また、実施例1と同様に、比を0.3(実施例2)、3(実施例3)、11(比較例2)、0.01(比較例3)として、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0045】以上、本発明のガス吸着材及びガス吸着シートの好適な実施例について説明したが、本発明はこの例に限定されない。いわゆる当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0046】また、本明細書では、野菜、果物、花などの植物製品についての適用のみを例示して本発明を説明したが、本発明の適用の対象は、これらに限定されるものではない。
【0047】
【発明の効果】本発明により、エチレンガスのみならず、複数種の酸性ガスや塩基性ガス、そして微粒子までも吸着することができるガス吸着材と、このガス吸着材を包装材または梱包材として用いることで、野菜、果物、花などの鮮度保持や、変敗臭、悪臭の除去に用いて好適なガス吸着シートが提供できた。
【出願人】 【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋1丁目13番1号
【出願日】 平成14年4月5日(2002.4.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−289795(P2003−289795A)
【公開日】 平成15年10月14日(2003.10.14)
【出願番号】 特願2002−104352(P2002−104352)