| 【発明の名称】 |
生鮮食品の日持ち向上方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】合田 学剛
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| 【要約】 |
【課題】生鮮食品本来の好適な外観、臭い等を長期にわたって維持することができる生鮮食品の日持ち向上方法を提供すること。
【解決手段】酸化速度の異なる複数種の塩素酸化物溶液を酸化速度の速いものから順次用いて、生鮮食品を複数回殺菌処理する、生鮮食品の日持ち向上方法。この場合においては、第1処理液として、亜塩素酸ナトリウム溶液などが用いられる。第2処理液として、高度サラシ粉溶液、亜塩素酸またはその塩類の溶液、塩素酸またはその塩類の溶液、二酸化塩素溶液、安定化二酸化塩素溶液などが用いられる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】酸化速度の異なる複数種の塩素酸化物溶液を酸化速度の速いものから順次用いて、生鮮食品を複数回殺菌処理する、生鮮食品の日持ち向上方法。 【請求項2】次亜塩素酸ナトリウム溶液を第1処理液として用いて生鮮食品を殺菌処理した後、さらに、高度サラシ粉溶液、亜塩素酸またはその塩類の溶液、塩素酸またはその塩類の溶液、二酸化塩素溶液及び安定化二酸化塩素溶液のうちのいずれか1種を第2処理液として用いて前記生鮮食品を殺菌処理する、請求項1に記載の生鮮食品の日持ち向上方法。 【請求項3】浸漬処理により前記殺菌処理を行うとともに、第1回目の浸漬処理後に前記生鮮食品を水洗することを特徴とする請求項2に記載の生鮮食品の日持ち向上方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、生鮮食品、特に野菜類や果物類等のような農作物を原材料とする生鮮食品の日持ち向上方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年わが国における生鮮食品分野の成長は著しい。特にコンビニエンスストア等の発達により、野菜サラダやカットフルーツ等に代表される生食用生鮮食品の需要は年々増える傾向にある。ところが、野菜類や果物類等の農作物は、土壌由来の微生物類に汚染されていることが多い。それゆえ、これらを商品として広く流通させていくためには、原材料の初発菌数を低減する殺菌処理技術、さらには殺菌処理後の低い菌数を維持する技術の確立が必須課題となる。 【0003】従来、原材料の初発菌数を低減する技術としては、次亜塩素酸ナトリウム溶液に代表される塩素酸化物を用いた浸漬処理により原材料を殺菌する方法が広く知られている。次亜塩素酸及びその塩類は、有効性の高い殺菌剤として長い間利用されてきた実績があり、しかも比較的安価だからである。 【0004】しかしながら、この種の殺菌剤を用いて殺菌処理を行ってから日が経つと、たとえ農作物をチルドで保管したとしても菌数が急激に増加してしまい、結果として日持ちが悪くなる。従って、農作物を原材料とする生食用生鮮食品を商品として流通させていくためには、単純に1種類の殺菌剤のみにより殺菌処理を行うだけでは十分でなく、何らかの対策を打つ必要性があった。 【0005】そこで従来においては、日持ちを向上しうる方法として例えば下記に挙げるようなものが提案されている。 【0006】方法1:高濃度(300ppm以上)の次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いて殺菌処理を行う。 【0007】方法2:次亜塩素酸ナトリウム溶液による殺菌処理を2回行う。 【0008】方法3:殺菌処理を50℃以上の高温条件下にて行う。 【0009】方法4:殺菌処理の後、pH調整剤(有機酸やその塩類、無機酸やその塩類)、静菌剤、日持ち向上剤、抗菌剤等のように、静菌効果、抗菌効果、日持ち向上効果のある薬剤による処理をさらに行う。なお、一般的なpH調整剤としては、例えば食酢、有機酸(酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等)及びこれらの塩類、無機酸(リン酸)及びこれらの塩類がある。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の方法には次のような欠点がある。 【0011】即ち、方法1や方法2の場合、初発菌数の低減や日持ち向上に関していくぶん効果がある反面、原材料である農作物の褐変化現象が著しく、外観の悪化が避けられない。また、臭いの悪化も起こりやすい。しかも、高濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液は、取扱性等の観点からも不利である。 【0012】ここで褐変化現象の起こるメカニズムについて簡単に触れておく。次亜塩素酸ナトリウム(HClO)分子はそもそも黄色を呈しており、これが生鮮食品の表面に付着していると生鮮食品が黄色に染まって見えてしまう。しかも、野菜類や果物類等の植物体には炭酸同化作用がある。このため、日数が経過してHClO分子が植物体の細胞内に取り込まれると、実際に植物体自体が褐色化してしまうのである。 【0013】方法3の場合、野菜類や果物類が熱によるダメージを受けることで煮え・透き通りが生じやすく、外観や食味等の悪化につながってしまう。 【0014】pH調整剤等を用いる方法4の場合、商業的に有効な日持ち向上効果を得るためには、一定量の濃度に調整した溶液に農作物を浸漬処理しなければならない。ところが、このような処理を行った場合、pHが酸性域に下げられることに起因して、農作物の褐変化現象がいっそう促進されてしまう。しかも、有効濃度にて処理した場合にはこれら薬剤自体の臭いや味が農産物に付着してしまい、農作物の臭い、味、食感の悪化という弊害が発生する。従って、現状ではpH調整剤等の薬剤を有効な添加量よりも少ない分量で使用すること場合が多く、結果として菌数増加による食中毒等のおそれが増大してしまう。 【0015】しかも、野菜類や果物類は本来pH緩衝作用を有しているため、これらの薬剤を処理したとしても安定した効果が得られない場合が多々ある。また、静菌剤、日持ち向上剤、抗菌剤等は、コスト的に問題があるばかりではなく、農産物のように大量の水を必要とする。よって、実際の作業環境中では、濃度を安定させながら使用していくことは難しい。即ち、これらの薬剤の使用時には分量をシビアに設定する必要があり、よってこの方法は簡便で広く普及可能な方法であるとは言いがたい。 【0016】そして上記のことからも判るように、簡便な方法によって日持ち向上ができしかも安価で高い効果が安定的に得られる日持ち向上方法は、現実には存在せず、その登場が市場において切望されている。 【0017】本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、生鮮食品本来の好適な外観、臭い等を長期にわたって維持することができる生鮮食品の日持ち向上方法を提供することにある。 【0018】本発明の第2の目的は、低コストであるにもかかわらず高い日持ち効果を安定的に得ることができる生鮮食品の日持ち向上方法を提供することにある。 【0019】 【課題を解決するための手段】本願発明者が上記課題を解決すべく鋭意研究を行ったところ、まず、各種塩素酸化物溶液の特性(即ち酸化速度、酸化力、酸化還元電位、化学的安定性など)の違いに着目し、その特性を上手く生かせないものかと考えた。次のステップにて本願発明者は、特性の異なる複数種の塩素酸化物溶液を用いて生鮮食品を順次処理をすることを想到し、数多くの試行錯誤の末に有効な知見を得るに至った。その知見とは、上記の処理によれば個々の塩素酸化物溶液を単独で同じ時間・回数だけ処理した場合に比べて格段に日持ちを向上できる場合がある、という内容である。本願発明者は、さらにこの知見を発展させ、最終的に以下のような本発明を完成させるに至ったのである。 【0020】即ち、請求項1に記載の発明は、酸化速度の異なる複数種の塩素酸化物溶液を酸化速度の速いものから順次用いて、生鮮食品を複数回殺菌処理する、生鮮食品の日持ち向上方法をその要旨とする。 【0021】なお、酸化力の異なる複数種の塩素酸化物溶液を酸化力の小さいものから順次用いて生鮮食品を複数回殺菌処理することや、酸化還元電位の異なる複数種の塩素酸化物溶液を酸化還元電位の大きいものから順次用いて生鮮食品を複数回殺菌処理することや、化学的安定性の異なる複数種の塩素酸化物溶液を化学的安定性の小さいものから順次用いて生鮮食品を複数回殺菌処理することも、同じく有効である。これらの思想も請求項1に記載の発明の技術的思想と実質的に同一だからである。 【0022】従って、請求項1に記載の発明によると、相対的に酸化速度の速い塩素酸化物溶液による殺菌処理により、まず生鮮食品の初発菌数を激減させることができる。次いで、これよりも相対的に酸化速度の遅い塩素酸化物溶液による殺菌処理により、初発における少ない菌数の状態が長く維持される。つまり、後者の塩素酸化物溶液は、相対的に酸化速度が遅い反面、酸化力が大きく化学的にも安定しており、その分だけ酸化作用が長期にわたって持続し、微生物の増殖を長期にわたって抑制できるからである。さらに、前者の塩素酸化物溶液に褐変化現象をもたらす原因があったとしても、本発明によれば、後者の塩素酸化物溶液の処理によって前者の塩素酸化物溶液は置換されてしまい、生鮮食品の周囲に殆ど存在しなくなる。よって、生鮮食品の褐変化現象が有効に防止され、好適な外観が長期にわたり維持される結果、従来方法に比べて格段に日持ちが向上する。 【0023】さらに、本発明の日持ち向上方法は、基本的にpH調整剤等を用いる必要がないので、pH調整剤等を用いる従来方法では得られない、いくつかの利点を有する。 【0024】第1に、本発明ではコスト高の原因となるpH調整剤、日持ち向上剤、抗菌剤等を用いる必要がなく、一般的な塩素酸化物溶液のみを用いれば足りるので、コスト性に優れている。第2に、本発明ではpH調整剤等の薬剤自体の臭いや味が農産物に付着するということがないため、生鮮食品の臭い、味、食感の悪化が起こりにくい。第3に、本発明ではpHの大幅な低下を必須としていないため、pHが酸性域に下げられることに起因する褐変化現象の促進といった心配がない。第4に、本発明ではpHを特定範囲に調整することを必須としないので、処理剤の濃度設定が比較的楽になるほか、安定した処理効果を得ることができる。つまり、本発明は簡便で広く普及可能な方法であるといえる。 【0025】この場合、請求項2に記載の発明のように、第1処理液として、次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いることがよく、第2処理液として、高度サラシ粉溶液、亜塩素酸またはその塩類の溶液、塩素酸またはその塩類の溶液、二酸化塩素溶液及び安定化二酸化塩素溶液のうちのいずれか1種を用いることがよい。次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液は、酸化速度の速い塩素酸化物溶液の部類に属していて有効性の高い殺菌剤であるため、初発菌数の低減を目的とする第1処理液として極めて適している。また、次亜塩素酸ナトリウム溶液は比較的安価であるので、低コスト化にも向いている。高度サラシ粉溶液、亜塩素酸(HClO2)またはその塩類の溶液、塩素酸(HClO3)またはその塩類の溶液、二酸化塩素(ClO2)溶液及び安定化二酸化塩素(ClO2)溶液は、次亜塩素酸ナトリウム溶液よりも、相対的に酸化速度が遅い塩素酸化物溶液であるので、いずれも第2処理液としての使用に適している。勿論、これらの溶液も比較的安価であるので、低コスト化に向いている。 【0026】また本発明は、酸化速度の異なる2種の塩素酸化物溶液を酸化速度の速いものから順次用いて生鮮食品を2回殺菌処理する方法であるので、殺菌処理回数が多すぎるということもなく、実施したとしても何ら生産性の低下を伴わない。ここで、請求項3に記載の発明のように、浸漬処理により前記殺菌処理を行うとともに、第1回目の浸漬処理後に前記生鮮食品を水洗することが好ましい。 【0027】野菜類や果物類等のような植物体は、表層にクチクラ層を備えているため撥水作用が強く、液体を撥水してしまう。そこで浸漬処理を行えば、植物体の表面に十分量の塩素酸化物溶液を接触させることができ、それによる確実な処理効果を得ることができる。よって、あえて処理時間を長くしたり処理濃度を上げたりしなくても、有効な処理を行うことが可能となる。 【0028】また、第1回目の浸漬処理後に生鮮食品を水洗することにより、褐変化現象の発生原因である第1処理液(即ち次亜塩素酸ナトリウム溶液)が植物体表面から確実に除去され、第2処理液に置換される。よって、生鮮食品の褐変化現象を極めて有効に防止でき、好適な外観をより確実に長期にわたって維持することができる。なお、このような水洗を行っておくと、第1処理液が第2処理液に持ち込まれることがなくなり、成分変化による第2処理液の劣化を極力回避することができる。 【0029】 【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施形態を詳細に説明する。 【0030】本実施形態において生鮮食品とは、農作物を原材料とする生鮮食品を主として意味している。ここでいう「農産物」とは、例えば野菜類や果物類がある。野菜類の例としては、葉菜(レタス、キャベツ、セロリ、ホウレンソウ、シュンギク、サラダナ、ニラ、パセリ等)や、根菜(ダイコン、ニンジン、ネギ、タマネギ、ゴボウ、カブ、ジャガイモ、サツマイモ等)や、実菜(キュウリ、トマト、ナス、ピーマン等)が挙げられる。これらの中でも、レタス、キャベツ、ダイコン、ニンジン、セロリ、ニラ、ネギ、タマネギ、キュウリ、トマト等は、野菜サラダ等といった生食用生鮮食品の原材料となるものであって、日持ち向上に対する要求が特に大きい。果物類の例としては、メロン、スイカ、バナナ、モモ、オレンジ、ナシ、リンゴ、ブドウ、パイナップル等が挙げられる。これらはカットフルーツ等といった生食用生鮮食品の原材料となるものであって、やはり日持ち向上に対する要求が大きい。 【0031】本実施形態では、これらの野菜類や果物類を、相対的に酸化速度の速い塩素酸化物溶液を第1処理液として用いて殺菌処理した後、さらに相対的に酸化速度の遅い塩素酸化物溶液を第2処理液として用いて殺菌処理することを特徴としている。 【0032】塩素酸化物溶液としては、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)溶液、高度サラシ粉溶液、亜塩素酸(HClO2)またはその塩類の溶液、塩素酸(HClO3)またはその塩類の溶液、二酸化塩素(ClO2)溶液及び安定化二酸化塩素(ClO2)溶液などがある。ここに列挙した塩素酸化物以外のものであって溶液が塩素の活性を示すものであれば、勿論使用することが可能である。 【0033】亜塩素酸の塩類としては、例えば、亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸カリウムなどのアルカリ金属塩や、亜塩素酸カルシウムや亜塩素酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩がある。塩素酸の塩類としては、例えば、塩素酸ナトリウムや塩素酸カリウムなどのアルカリ金属塩や、塩素酸カルシウムや塩素酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩がある。なお、溶解しやすいという観点からすると、ナトリウム塩を選択することがよい。 【0034】ここで、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩及び塩素酸塩を相互に比較した場合、塩の種類が同じであるならば、酸化速度についてはこの順序で次第に遅くなり、酸化還元電位についてはこの順序で次第に小さくなる。逆に、酸化力及び化学的安定性については、この順序で次第に大きくなる。このような差が生じるのは、主として1分子中に含まれる酸素数が違うことに起因している。 【0035】また、次亜塩素酸及びその塩類と二酸化塩素とを相互に比較した場合、酸化速度については次亜塩素酸塩のほうが速く、酸化還元電位については次亜塩素酸塩のほうが大きい。その反面、酸化力及び化学的安定性については、二酸化塩素のほうが大きい。 【0036】さらに、次亜塩素酸塩類同士について比較した場合、概してアルカリ金属塩のほうがアルカリ土類金属塩に比べて酸化速度が速く、酸化還元電位が大きい。その反面、酸化力及び化学的安定性についてはアルカリ土類金属塩のほうが大きい。 【0037】従って、以上の事情を踏まえると、第1処理液及び第2処理液の組み合わせとしては例えば下記のようなものが考えられる。即ち、【0038】第1処理液:次亜塩素酸ナトリウム溶液、第2処理液:高度サラシ粉溶液(高度サラシ粉溶解濾過液)、【0039】第1処理液:次亜塩素酸ナトリウム溶液、第2処理液:亜塩素酸またはその塩類の溶液、【0040】第1処理液:次亜塩素酸ナトリウム溶液、第2処理液:塩素酸またはその塩類の溶液、【0041】第1処理液:次亜塩素酸ナトリウム溶液、第2処理液:二酸化塩素溶液、【0042】第1処理液:次亜塩素酸ナトリウム溶液、第2処理液:安定化二酸化塩素溶液、【0043】第1処理液:高度サラシ粉溶解濾過液、第2処理液:亜塩素酸またはその塩類の溶液、【0044】第1処理液:高度サラシ粉溶解濾過液、第2処理液:塩素酸またはその塩類の溶液、【0045】第1処理液:高度サラシ粉溶解濾過液、第2処理液:二酸化塩素溶液、【0046】第1処理液:高度サラシ粉溶解濾過液、第2処理液:安定化二酸化塩素溶液、【0047】第1処理液:亜塩素酸またはその塩類の溶液、第2処理液:塩素酸またはその塩類の溶液、などの組み合わせである。 【0048】本実施形態においては、殺菌のための処理剤として塩素酸化物を用いる必要がある。塩素酸化物は、他のハロゲン酸化物とは異なり、食品添加物として認可されているものが多いからである。また、仮に塩素以外のハロゲンの酸化物を用いた場合、菌数を低減する作用(即ち静菌作用)はある程度期待できたとしても、日持ち向上作用を期待できるとは限らないからである。しかも、塩素以外のハロゲン酸化物を使用した場合、塩素酸化物を使用した場合よりも通常食味が低下するからである。 【0049】第1処理液の濃度及び第2処理液の濃度は1ppm以上であればよく、この濃度以上に設定しておけば、従来法では得られない静菌作用及び日持ち向上作用を得ることが可能である。第1処理液の濃度は1ppm〜360000ppmがよく、1ppm〜36000ppmがよりよく、1ppm〜3600ppmが最もよい。また、第2処理液の濃度は1ppm〜120000ppmがよく、1ppm〜12000ppmがよりよく、1ppm〜1200ppmが最もよい。 【0050】第1処理液及び第2処理液の濃度が低すぎると、仮に長時間の処理を行ったとしても、十分な静菌作用及び日持ち向上作用が得られにくいからである。逆に、第1処理液及び第2処理液の濃度を必要以上に高く設定したとしても、それによる静菌作用及び日持ち向上作用の改善は期待できず、かえってコスト高や取扱性低下等の不利益を招くおそれがあるからである。なお、第1処理液として次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いた場合にはその濃度を1ppm〜300ppm、さらには10ppm〜300ppm、特には50ppm〜250ppmに設定することがよい。高濃度次亜塩素酸ナトリウム溶液になると、取扱性が悪くなるからである。 【0051】もっとも、第1処理液及び第2処理液は、必ずしも完全に塩素酸化物のみからなる純粋な溶液でなくてもよく、若干別の物質が混在した溶液であっても構わない。例えば、有機酸や糖類のような物質が若干混在していたとしても、主成分が塩素酸化物であって有効塩素力価が1ppm以上の溶液であれば、本実施形態における殺菌処理剤として特に問題はない。 【0052】第1処理液及び第2処理液の処理方法は特に限定されず、生鮮食品の表面に溶液を付着させることが可能な方法であれば任意の方法であってよい。処理方法の具体例としては浸漬処理、塗布処理、噴霧処理などがあるが、そのなかでも本実施形態では浸漬処理を採用している。その理由は、浸漬処理を行えば植物体の表面に十分量の塩素酸化物溶液を接触させることができ、それによる確実な処理効果を得ることができるからである。よって、あえて処理時間を長くしたり処理濃度を上げたりしなくても、有効な処理を行うことが可能となるからである。 【0053】浸漬処理による殺菌処理を行う場合、第1回目の浸漬処理後に生鮮食品を水洗することが望ましい。水洗を行えば、褐変化現象の発生原因である第1処理液(即ち次亜塩素酸ナトリウム溶液)が植物体表面から確実に除去され、第2処理液に置換されるからである。よって、生鮮食品の褐変化現象を極めて有効に防止でき、好適な外観をより確実に長期にわたって維持することができる。なお、このような水洗を行っておくと、第1処理液が第2処理液に持ち込まれることがなくなり、成分変化による第2処理液の劣化を極力回避することができる。 【0054】第1処理液及び第2処理液の処理時間は特に限定されないが、1分間以上であることがよく、さらには1分間〜60分間であることがよく、特には3分間〜15分間であることがよい。処理時間が1分間未満であると、撥水性の高い農作物を用いた場合には、農作物の表面に溶液を十分に接触させることができず、殺菌処理が不十分になるおそれがあるからである。一方、処理時間が60分間を超えたとしても、それによる効果は殆ど期待できず、かえって生産性の低下を招く結果となるからである。 【0055】第1処理液及び第2処理液の処理温度は特に限定されないが、処理対象物が農作物であることを考慮すると、0℃〜36℃の常温域に設定されることが望ましい。処理温度が0℃未満であると、溶液が液体の性状を保てなくなり固体化するからである。処理温度が36℃を超えると、農作物が熱によるダメージを受けることで煮え・透き通りが生じやすくなり、外観や食味等の悪化につながるからである。また、熱によるダメージを受けないにしても、炭酸同化作用が促進されることに起因して褐変化現象が進行しやすくなるからである。なお、このような事情を考慮して、本実施形態では第1処理液及び第2処理液の処理温度を5℃〜20℃に、特には5℃〜15℃に設定するようにしている。 【0056】以下、本実施形態の日持ち向上方法をより具体化した実施例及びその比較例を紹介する。 【0057】 【実施例及び比較例】ここでは、試験対象となる農産物(原菜)として、葉菜に属するレタス、実菜に属するキュウリ、根菜に属するネギの3つを選択した。これらはいずれも生食用生鮮食品の原材料としてよく用いられるものであって、しかも可食部位に多くの微生物を有するという点で試験対象として好適だからである。 【0058】そして、試験対象となる前記原菜をあらかじめ流水にてよく洗浄した後(予備水洗した後)、芯、へた、外葉等の不可食部位を取り除いた。次に、前記原菜を可食に適する形状にカットし、これを重さ約100gに調整した。このような下処理を3種の野菜についてそれぞれ行った後、処理時間を表1、表2のごとく4段階(5,10,15,30分間)に設定して第1処理液による浸漬処理及び第2処理液による浸漬処理を行った。上記処理液の温度はいずれも10℃に設定した。浸漬処理においては、下処理後の原菜:処理液=1:10となるように処理液の分量を設定した。また、第1処理液による浸漬処理の後、塩素臭が消えるまで原菜を流水にて洗浄してから、第2処理液による浸漬処理を行うようにした。 【0059】また、ここでは、次亜塩素酸ナトリウム溶液(和光純薬工業株式会社製の次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度120000ppm))と、高度サラシ粉溶液(三慶株式会社製の高度サラシ粉製剤溶解濾過液(有効塩素濃度120000ppm))とを用いた。そして、これらの溶液を100ppmまたは200ppmの濃度になるように水道水で希釈し、それらを適宜組み合わせて殺菌処理を行った。その組み合わせを表1、表2に示す。ちなみに、これらの表においてDまたはHが付されている試験区は、本発明の範囲に属する態様(実施例)である。一方、それ以外のアルファベットが付されている試験区は、本発明の範囲に属しない態様(比較例)である。 【0060】 【表1】
【表2】
【0061】次いで、2回の浸漬処理を経た原菜を遠心分離機にて脱水し、これを10gずつ取り分けて、一般的な発泡スチロール製のトレイに載置した。そして、トレイ上に載置された原菜を10℃に調節された冷蔵庫内にて保管した。 【0062】本実施例では、上記殺菌処理後の原菜における微生物の増殖具合を、従来公知の手法により経時的に調査した。より詳細にいうと、ここでは一般生菌数(/g)及び大腸菌群数(/g)を、初発(0時間後)、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後の時点でそれぞれ測定した。一般生菌数(/g)の調査では、標準寒天培地「ニッスイ」(日水製薬株式会社製)を使用して、微生物の培養を行った。大腸菌群数(/g)の調査では、デゾキシコレート培地「ニッスイ」(日水製薬株式会社製)を使用して、微生物の培養を行った。 【0063】また、従来公知の手法により複数のパネリストによる官能検査を行い、上記殺菌処理後の原菜における外観及び臭いの変化を経時的に評価した。ここでは5段階評価とし、数値が下がるにつれて外観の悪化度合い、臭いの悪化度合いが大きくなるものとした。 【0064】なお、表3、表4、表5に、予備水洗の前後における、一般生菌数及び大腸菌群数の調査結果、外観及び臭いの評価結果を3つの野菜ごとに示す。 【0065】 【表3】
【表4】
【0066】 【表5】
以下、上記評価試験の結果を表6〜表11に示す。 【0067】 【表6】
【表7】
【0068】 【表8】
【表9】
【0069】 【表10】
【表11】
【0070】そして、以上の結果からは次のようなことがわかった。 (1)初発菌数の低減度合いは浸漬時間に大きく影響を受けており、浸漬時間が長くなるほど低減度合いが大きくなる傾向が認められた。しかし、初発菌数の低減度合いは、処理濃度の違いや塩素酸化物溶液の種類の違いに、あまり影響を受けていないようであった。 (2)微生物の増殖具合に関しては、本実施例に属するD試験区及びH試験区の結果が最もよく、96時間後の時点においても初発の低い菌数が維持されることがわかった。D試験区及びH試験区についてのこのような良好な結果は、浸漬時間、処理液の濃度、野菜の種類の如何を問わず得られた。 (3)また、D試験区及びH試験区については、外観や臭いが殆ど悪化せず、最も好適な結果が得られた。即ち、微生物の介在による褐変化現象や臭気の発生が抑制されるとともに、食味の変化も小さかった。よって、その食品が本来有している素材の特徴を維持したままで、微生物類の増殖を抑制できた。 (4)微生物の増殖具合に関するC試験区及びG試験区の結果は、D試験区及びH試験区の次に良好であった。しかしながら、酸化速度の遅い処理液を先に用いるこれらの試験区では、日数経過に伴って外観、臭いの評価が明らかに下がっていった。よって、日持ち向上作用については、実施例であるC試験区及びG試験区のほうに優位性があることがわかった。 (5)次亜塩素酸ナトリウム溶液を単独で2回処理するA試験区及びE試験区、高度サラシ粉溶液を単独で2回処理するB試験区及びF試験区については、微生物の増殖抑制に関しあまり良好な結果が得られなかった。また、とりわけA試験区及びE試験区においては、褐変化現象が著しくて外観の悪化の度合いが大きく、日持ちが悪かった。なお、B試験区及びF試験区についての日持ちの結果も一応良好ではあったが、D試験区及びH試験区に勝るものではなかった。 【0071】なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において任意に変更することが可能である。例えば、酸化速度の異なる3種の塩素酸化物溶液を酸化速度の速いものから順次用いて、生鮮食品を3回殺菌処理してもよい。具体例を挙げると、第1処理液として次亜塩素酸ナトリウム溶液を用い、第2処理液として亜塩素酸またはその塩類の溶液を用い、第3処理液として塩素酸またはその塩類の溶液を用いること等が考えられる。 【0072】次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。 (1) 次亜塩素酸ナトリウム溶液を第1処理液として用いた浸漬処理により生鮮食品を殺菌した後、いったん前記生鮮食品の水洗を行い、さらに高度サラシ粉溶液を第2処理液として用いた浸漬処理により前記生鮮食品を殺菌する、生鮮食品の日持ち向上方法。 (2) 1ppm以上の次亜塩素酸ナトリウム溶液を第1処理液として用いた常温域での1分間以上の浸漬処理により生食用生鮮食品を殺菌した後、いったん前記生食用生鮮食品の水洗を行い、さらに1ppm以上の高度サラシ粉溶液を第2処理液として用いた常温域での1分間以上の浸漬処理により前記生食用生鮮食品を殺菌する、生鮮食品の日持ち向上方法。 【0073】 【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜3に記載の発明によれば、生鮮食品本来の好適な外観、臭い等を長期にわたって維持することができる生鮮食品の日持ち向上方法を提供することができる。また、低コストであるにもかかわらず高い日持ち効果を安定的に得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】502076246 【氏名又は名称】本部三慶株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年3月1日(2002.3.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100114605 【弁理士】 【氏名又は名称】渥美 久彦
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| 【公開番号】 |
特開2003−250444(P2003−250444A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月9日(2003.9.9) |
| 【出願番号】 |
特願2002−55127(P2002−55127) |
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