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【発明の名称】 青果物の鮮度保持包装体
【発明者】 【氏名】溝添 孝陽
【住所又は居所】東京都品川区東品川2丁目5番8号 住友ベークライト株式会社内

【要約】 【課題】簡易的に青果物のカビを防止する包装体を提供する。

【解決手段】通気性を有する高分子フィルムに果実類、野菜類、果菜類、または菌茸類の青果物を入れて保存する包装体において、密封した包装体内のエタノール濃度が0.001〜3%であることを特徴とする青果物の鮮度保持包装体であり、高分子フィルムが開孔面積0.06mm2以下の微細孔及び/又はキズを設けられた高分子フィルムであり、包装体に1個以上の微細孔及び/又はキズを有することが好ましい。また、高分子フィルムで該青果物を密封したとき48時間後の包装体内の酸素濃度が0.5〜10%、かつ二酸化炭素濃度が10〜25%、かつエタノール濃度が0.001〜3%、好ましくは0.05〜0.5%であることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通気性を有する高分子フィルムに青果物を入れて保存する包装体において、密封した包装体内のエタノール濃度が0.001〜3%であることを特徴とする青果物の鮮度保持包装体。
【請求項2】 高分子フィルムが開孔面積0.06mm2以下の微細孔及び/又はキズを設けられた高分子フィルムであり、包装体に1個以上の微細孔及び/又はキズを有する請求項1記載の青果物の鮮度保持包装体。
【請求項3】 高分子フィルムで該青果物を密封したとき48時間後の包装体内の酸素濃度が0.5〜10%、かつ二酸化炭素濃度が10〜25%、かつエタノール濃度が0.001〜3%である請求項1又は2記載の青果物の鮮度保持包装体。
【請求項4】 エタノール濃度が0.05〜0.5%である請求項3記載の青果物の鮮度保持包装体。
【請求項5】 青果物が、果実類、果菜類、根菜類、または菌茸類である請求項1〜4のいずれか1項に記載の青果物の鮮度保持包装体。
【請求項6】 果実類が、イチゴ、サクランボ、ミカン、レモン、ビワ、メロン、ブドウまたはバナナである請求項5記載の青果物の鮮度保持包装体。
【請求項7】 果菜類が、ブロッコリー、アスパラガス、オクラ、キュウリ、エダマメ、トマト、ミョウガ、ナス、キヌサヤ、インゲン、ピーマン、ニンニク、栗、キャベツまたはレタスである請求項5記載の青果物の鮮度保持包装体。
【請求項8】 根菜類が、ゴボウ、蕪または山芋である請求項5記載の青果物の鮮度保持包装体。
【請求項9】 菌茸類が、シイタケ、エノキ、シメジ、マツタケ、マイタケまたはエリンギである請求項5記載の青果物の鮮度保持包装体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変色、異臭、カビの発生しない鮮度の良い青果物の包装体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年MA(Modified Atomosphere)効果を有する青果物鮮度保持資材が開発され、主に流通用に使用されている。青果物は収穫後も呼吸を続けており、大気(酸素約21%、二酸化炭素約0.04%)よりも酸素濃度が低く、二酸化炭素濃度が高い環境に置くと呼吸が抑制され鮮度保持が可能であることが知られている。しかし、包装体内が過度に低酸素、高二酸化炭素の環境になると、青果物が呼吸障害を起こして劣化を促進することになってしまい、逆に酸素濃度が高すぎたり、二酸化炭素濃度が低すぎると十分な鮮度保持効果が得られない。すなわち包装内を適切な酸素濃度、二酸化炭素濃度にコントロールすることがきわめて重要になる。
【0003】一方、青果物は通気性を有するフィルムで呼吸に必要な酸素を包装体内に取り入れたまま保存すると、カビが発生したり、褐変などの変色を引き起こしたり鮮度が低下することがある。そこで極端な低酸素条件にすると嫌気呼吸を引き起こし、嫌気臭を発生し鮮度が低下する。通気性を有するMA資材に関する特許としては、酸素、二酸化炭素濃度だけの調節を目的としており、本発明の様なエタノール濃度を規定する特許は今まで無かった。
【0004】「食品の保存方法と食品保存用具」(特開昭55−141182)は、エタノール発生剤を包むフィルムの条件としてエチルアルコールガス透過度を20g/m2/24hr/50RH/40℃以上とあり、また実施例を見てもバームクーヘンなどの食品を包装するフィルムとして延伸ポリプロピレンフィルムとポリエチレンフィルムをラミネートした複合フィルムを使用しているが、この複合フィルムは通気性を遮断したバリヤーフィルムである。本発明のフィルムとは、青果物を包む為のフィルムであるためエタノール発生剤を包むためのものでなく、また通気性をもつフィルムであるためバリヤーフィルムとも異なる。もし上記発明の様な条件で青果物を包装すると、呼吸により酸素が不足し包装体内の青果物は嫌気状態で異臭を発生してしまう。
【0005】「野菜類、果実類の鮮度保持剤」(特開平2−222645)では、褐変防止のためエタノール等の鮮度保持剤の特許であるが、実施例では合成樹脂製袋に入れているが、合成樹脂フィルムの通気性や臭気に関する記述が無い為鮮度については不十分である。この様に、青果物の呼吸をコントロールしつつ、変色やカビも防止する発明は従来なかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来得られなかった、変色、異臭、カビの発生しない鮮度の良い青果物の包装体を供給する【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、(1)通気性を有する高分子フィルムに青果物を入れて保存する包装体において、密封した包装体内のエタノール濃度が0.001〜3%であることを特徴とする青果物の鮮度保持包装体、(2) 高分子フィルムが開孔面積0.06mm2以下の微細孔及び/又はキズを設けられた高分子フィルムであり、包装体に1個以上の微細孔及び/又はキズを有する(1)記載の青果物の鮮度保持包装体、(3) 高分子フィルムで該青果物を密封したとき48時間後の包装体内の酸素濃度が0.5〜10%、かつ二酸化炭素濃度が10〜25%、かつエタノール濃度が0.001〜3%である(1)又は(2)記載の青果物の鮮度保持包装体、(4) エタノール濃度が0.05〜0.5%である(3)3記載の青果物の鮮度保持包装体、(5) 青果物が、果実類、果菜類、根菜類、または菌茸類である(1)〜(4)のいずれか1項に記載の青果物の鮮度保持包装体、(6) 果実類が、イチゴ、サクランボ、ミカン、レモン、ビワ、メロン、ブドウまたはバナナである(5)記載の青果物の鮮度保持包装体、(7) 果菜類が、ブロッコリー、アスパラガス、オクラ、キュウリ、エダマメ、トマト、ミョウガ、ナス、キヌサヤ、インゲン、ピーマン、ニンニク、栗、キャベツまたはレタスである(5)記載の青果物の鮮度保持包装体、(8) 根菜類が、ゴボウ、蕪または山芋である(5)記載の青果物の鮮度保持包装体、(9) 菌茸類が、シイタケ、エノキ、シメジ、マツタケ、マイタケまたはエリンギである(5)記載の青果物の鮮度保持包装体である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いる高分子フィルムの素材としては特に限定するものではなく、あらゆる種類の高分子フィルムを用いることができる。本発明に用いる高分子フィルムの厚みは、10〜40μmが好ましい。厚みが40μmを超えると酸素透過量、二酸化炭素透過量、水蒸気透過量など通気性が極端に低くなるため実用性が無い。また、10μm未満では強度が弱く包装材として使用に耐えない。本発明に使用する高分子フィルムには防曇処理することが好ましい。防曇処理の方法としては、予め防曇剤をフィルムに練りこんでおいても良いし、フィルムの表面に塗布しても良い。前者は防曇性の持続に優れているのに対し後者は包装直後より速やかに優れた防曇性が得られる。また防曇剤を練りこんだ場合、フィルム表面をコロナ処理しすみやかに防曇効果を出させたり、防曇剤を塗布した場合フィルムがブロッキングするのであれば、すべらし粉を表面に施しても良い。
【0009】本発明において、エタノールを包装体中に導入する方法としては、包装直前に青果物に噴霧しても良いし、青果物とともにエタノール発生剤を同封しても良いし、包装後に包装体内のガスを置換しても良く、本発明の濃度条件に当てはまる手段であれば何ら差し支えない。エタノール濃度は、0.001〜3%が良い。0.001%未満では青果物のカビや菌類の気中菌糸、野菜の酵素的変色を防止できない。3%以上ではエタノールのニオイが強すぎ開封時の異臭や、さらには青果物そのものにもニオイが移り実用的でない。包装して48時間後のエタノール濃度は0.01〜0.5%であることがより好ましい。本発明において、包装して48時間後の包装体中の酸素濃度は0.5〜10%、二酸化炭素濃度は10〜25%が好ましい。酸素濃度0.5%未満では、青果物が無酸素呼吸を起こし、アセトアルデヒドなどの刺激臭を発生し、10%以上では褐変、変色など青果物の老化現象を抑えられないため好ましくない。また、包装体中の二酸化炭素が10%未満では、褐変、変色などの老化現象を抑えられないし、25%を超えると二酸化炭素障害による異臭を引き起こすため好ましくない。ガス状態を48時間後で規定しているのは、包装直後では袋内のガス状態の変動が激しく安定した状態は48時間後が適当であるためである。
【0010】包装体内のエタノール濃度を適切にコントロールするためには、包装体を構成する高分子フィルムに設けられる微細孔又はキズの開孔面積が0.06mm2以下であることが好ましい。0.06mm2より大きいと通気性の調節が難しい。また高分子フィルムに設けられた微細孔又はキズは包装体に1個以上有することが好ましい。本発明における包装体の形態は、密封してあればどんな形態でもよく、袋、トレー容器にフィルムをシールするなどしても良い。
【0011】
【実施例】《実施例1》厚さ30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムで240×400mmの袋を作成し、開孔面積0.01mm2の孔を10個設けた。イチゴ400gとエタノール発生剤(フロイント産業製 アンチモールドマイルド10)を袋に入れ、密封包装し、20℃で保存した。48時間後のエタノール濃度0.1%、酸素濃度4%、二酸化炭素濃度20%であった。4日目に開封すると臭気も良好で、カビも発生せずイチゴの鮮度を保っていた。
【0012】《比較例1》実施例1と同様の袋に、同様の孔を10個設けた。イチゴ400gとエタノール発生剤(フロイント産業製 アンチモールドマイルド60を2袋)を袋に入れ、密封包装し、20℃で保存した。48時間後のガス濃度は、エタノール4%、酸素3%、二酸化炭素22%であった。4日目に開封するとカビも発生せず色も良好であったがエタノールによる刺激臭が発生しており、イチゴも変な臭いがした。
【0013】《比較例2》実施例1と同様の袋に、同様の孔を10個設けた。イチゴ400gを袋に入れ、密封包装し、20℃で保存した。48時間後のガス濃度は、エタノール0%、酸素3%、二酸化炭素20%であった。4日目に開封するとイチゴにカビが発生していた。
【0014】《比較例3》実施例1と同様の袋に、開孔面積0.08mm2の孔を10個設けた。イチゴ400gとエタノール発生剤(フロイント産業製 アンチモールドマイルド30)を袋に入れ、 密封包装し、20℃で保存した。48時間後のガス濃度は、エタノール0.06%、酸素14%、二酸化炭素6%であった。4日目に開封するとイチゴにカビが発生し色は赤黒く変色していた。
【0015】《比較例4》実施例1と同様の袋に、孔を設けなかった。イチゴ400gとエタノール発生剤(フロイント産業製 アンチモールドマイルド20)を袋に入れ、密封包装し、20℃で保存した。48時間後のガス濃度は、エタノール0.8%、酸素0%、二酸化炭素45%であった。4日目に開封するとカビも発生せず色も良好であったが、嫌気による刺激臭が発生しており、イチゴも変な臭いがした。
【0016】《実施例2》厚さ25μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムで180×180mmの袋を作成し、開孔面積0.02mm2の孔を14個設けた。シイタケ100gとエタノール濃度10%水溶液を1cc噴霧し、密封包装し、20℃で保存した。48時間後のガス濃度は、エタノール0.08%、酸素濃度1%、二酸化炭素19%であった。4日目に開封すると、ヒダの変色もなく、傘に気中菌糸も、臭気も発生せずシイタケの鮮度を保っていた。
【0017】《比較例5》実施例2と同様の袋を作成し、開孔面積0.09mm2の孔を10個設けた。シイタケ100gとエタノール濃度10%水溶液を1cc噴霧し、密封包装し、20℃で保存した。48時間後のガス濃度は、エタノール0.01%、酸素濃度8%、二酸化炭素12%であった。4日目に開封すると、ヒダが褐色に変色し、傘に白い気中菌糸も発生していた。
【0018】《比較例6》実施例2と同様の袋を作成し、開孔面積0.01mm2の孔を3個設けた。シイタケ100gを密封包装し、エタノールは噴霧せず20℃で保存した。48時間後のガス濃度は、エタノール0.3%、酸素濃度0.01%、二酸化炭素29%であった。4日目に開封すると、ヒダの変色もなく、傘に気中菌糸も発生していなかったが、刺激臭が発生していた。
【0019】《比較例7》実施例2と同様の袋を作成し、開孔面積0.02mm2の孔を14個設けた。シイタケ100gを密封包装し、エタノールは噴霧せず20℃で保存した。48時間後のガス濃度は、エタノール0%、酸素濃度1.1%、二酸化炭素19%であった。4日目に開封すると、ヒダが褐色に変色し、傘に白い気中菌糸が発生していた。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、従来になかったカビも変色も発生せず、臭気も良好な鮮度の良い青果物を供給できる。
【出願人】 【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
【住所又は居所】東京都品川区東品川2丁目5番8号
【出願日】 平成14年3月5日(2002.3.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−250443(P2003−250443A)
【公開日】 平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願番号】 特願2002−58781(P2002−58781)