| 【発明の名称】 |
高品質梅干しの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】細川 清
|
| 【要約】 |
【課題】タンクや桶の大きさや外気温度の変化、漬け込み作業者の習熟度に左右されることなく、高品質でバラツキがなく、果肉及び果皮の組織が保持されたままで、適度な硬度の果皮及び果肉を保持した梅漬けを製造する方法を提供する。更には、梅漬けに要する時間を短縮する。これを用いた高品質の梅干を提供する。
【解決手段】梅干製造に当たって、生梅を食塩で包み込むように、生梅と食塩をタンクや桶の底面から順次交互に積み上げていく際に、食塩の結晶よりも小さい目を有するテグスを敷きこむ。梅漬けに要する時間が短縮され、高品質でバラツキがなく、果肉及び果皮の組織が保持された高品質の梅干が好収率で得られる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 梅干の製造方法において、生梅を食塩で包み込むように、生梅と食塩をタンク又は桶の底面から順次交互に層状に積み上げていく際に、生梅層の下に食塩の結晶よりも小さい目を有するテグスを敷き込み、以下常法通り蓋をして重石を掛けて梅漬けを行い、得られた生梅の塩漬けを脱塩、乾燥することを特徴とする梅干の製造方法。 【請求項2】 生梅の層数3〜10層に1枚のテグスを敷き込むことを特徴とする請求項1に記載の梅干の製造方法。 【請求項3】 生梅の層数3〜5層に1枚のテグスを敷き込むことを特徴とする請求項1に記載の梅干の製造方法。 【請求項4】 最下層を除く各生梅の層の下に1枚のテグスを敷き込むことを特徴とする請求項1に記載の梅干の製造方法。 【請求項5】 タンク又は桶の底に溜まった梅酢をポンプを用いて循環することを特徴とする請求項1〜4に記載の梅干の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】この発明は、高品質な梅干しの新規な製造方法に関する。さらに詳しくは、生梅の新規な塩漬けを行うことにより品質にばらつきが無く且つ高品質の梅干を製造する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、梅干の製造において、生梅を塩漬けするに当たっては、タンク又は桶の中に生梅を食塩で挟むように、生梅と食塩を交互に積み重ねていき、最上段に蓋をして重石を掛け、負い塩をして漬け上げ、さらに、タンク又は桶の底に溜まった梅酢をポンプで循環させてタンク内の塩分の均一化を図ってきている。 【0003】しかしながら、この従来の方法によるときは、タンクの大きさや漬け込み時の外気温度の変化、漬け込みを行う作業者の習熟度等により、品質にバラツキが多く、低品質の梅干を含む梅干が生産されることが多かった。即ち、この低品質の梅干とは、軟化が進んで果肉が柔らかすぎるもの、中には軟化が進みすぎて果肉のない梅干が生起するなどである。又、従来の方法においては、大容量のタンクを用いた場合、タンク内の生梅の全てが漬け込みを終了するには非常に長時間を要しており、このため、ときには果肉の崩壊が進みすぎて、異常発酵が起こることさえある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】タンクや桶の大きさや外気温度の変化、漬け込み作業者の習熟度に左右されることなく、高品質でバラツキがなく、果肉及び果皮の組織が保持されたままで、適度な硬度の果皮及び果肉を保持した梅漬けを製造する方法を提供する。更には、梅漬けに要する時間を短縮する。これを用いた高品質の梅干を提供する。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者は、梅干製造に当たって、生梅を食塩で包み込むように、生梅と食塩をタンクや桶の底面から順次交互に積み上げていく際に、食塩の結晶よりも小さい目を有するテグスを敷きこむことにより、タンク又は桶の大きさや外気温度の変化、漬け込み作業者の習熟度に左右されることなく、高品質でバラツキがなく、タンクや桶中の全部の梅について、果肉及び果皮の組織が適度に保持されたままの梅の塩漬けが得られ、しかも短時間で漬け込みが完了することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。 【0006】本発明に於いて使用されるテグス(布乃至織物)は、天然の絹、綿製のものでも良く、ナイロンやポリエステル等の合成繊維製、これらの混紡でも良い。そのテグスの網目の大きさは、梅漬けに用いられる食塩の結晶の大きさにもよるが、梅漬けにより生成する梅酢の上昇やポンプによる梅酢の循環によっても半分程度溶解しても、残りの食塩結晶が落下しない程度のもであれば良く、通常網目の大きさ0.3〜0.7mm、より好ましくは、0.4〜0.6mmのものが用いられる。 【0007】テグスの使用枚数は、使用する桶やタンクの大きさ、漬け込む生梅の量にもよるが、生梅の最下層を除く各生梅の層毎に敷いても良く、生梅層3〜10層に1枚の間隔、或いは3〜5層に1枚の間隔をおいても良い。通常上層に行くにしたがってテグスの使用枚数を増やすのも効果的である。かくして生梅と食塩をタンクや桶に詰めた後は、定法どおり、蓋をして重石を掛け、追い塩をして漬け込みを進行させる。この際、タンク又は桶の底に溜まった梅酢の循環を行なってもよい。 【0008】本発明の方法によって生梅を漬け込んだときは、桶やタンク内の梅全体について果肉及び果皮の組織が適度に保持されたままの梅漬けが得られ、しかも短時間に漬け込みが完了する。これを用いて定法どおり梅干を調製したときは、果肉及び果皮組織が適度な硬度に保持されており、果肉と種の分離もなく、極めて高品質の梅干が、品質にバラツキなく好収率で得られる。 【0009】 【実施例】以下本発明の梅干の製造方法について、実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。 実施例1平成13年6月20日、良く熟した南高生梅400kgと粉砕塩65kgを底辺直径80cm角、深さ80cmのFRP製タンクに交互に積み重ねて行き、生梅3層毎に、網目の大きさ0.5mmのナイロン製テグスを敷き、木枠製の蓋をして、15kgの重石をし、追い塩15kgをして4週間漬け込みを行った。対照として、テグスを使用せず、1ヵ月後から3日置きにタンクの底に溜まった梅酢をポンプで循環しながら、常法通り4週間漬け込みを行った。 【0010】得られた梅漬けを、天日で3日間乾燥して、梅干の製品を調製した。本実施例にて調製した梅干及び対照として常法通り調製した梅干を各100個宛無作為にサンプリングし、その果肉、果皮の状態を観察すると共に、不適切品の個数を数えた。結果を表1に示す。 【0011】 【表1】
【0012】実施例2平成13年6月25日、良く熟した南高生梅2500kgと粉砕塩425kgを底辺直径160cm、深さ150cmのFRP製丸タンクに交互に積み重ねて行き、この際生梅3層毎に網目の大きさ0.5mmのナイロン製テグス1枚を敷き、木枠製の蓋をして、75kgの重石をし、追い塩75kgをして4週間漬け込みを行った。対照として、テグスを使用せず、常法通り4週間漬け込みを行った。ともに、3日後から4回、2日置きにタンクの底に溜まった梅酢をポンプで循環した。得られた梅漬けを、天日で3日間乾燥して、梅干製品を調製した。全体的にふっくらとした果肉の多い梅干しが出来た。本実施例にて調製した梅干及び対照として常法通り調製した梅干の評価結果を表2に示す。 【0013】 【表2】
【0014】実施例3実施例2で得られた梅干しをそれぞれ100kgづつ、清水で洗浄し10日間調味液(どのようなものですか?)に漬け込んで調味梅干しを製造したところ、本発明の梅干しからは、106kgの調味梅干しが出来た。従来通りの方法で調製した対照の梅干しからは、94kgの調味梅干しが出来た。このように、調味梅干においても、本発明に於いては、歩止まり(優良製品の収率)向上の効果が明らかである。 【0015】 【発明の効果】本発明の方法によって、梅干製造に当たって、生梅を食塩で包み込むように、生梅と食塩をタンクや桶の底面から順次交互に積み上げていく際に、食塩の結晶よりも小さい目を有するテグスを敷きこむことにより、タンクや桶の大きさや外気温度の変化、漬け込み作業者の習熟度に左右されることなく、高品質でバラツキのない梅漬けが得られ、しかも短時間に漬け込みが完了する。この梅漬けを用いて梅干を製造したときは、果肉及び果皮組織がそのまま保持されており、果肉と種の分離もなく、極めて高品質の梅干が、好収率で得られる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】596033174 【氏名又は名称】株式会社紀州ほそ川
|
| 【出願日】 |
平成14年3月1日(2002.3.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091199 【弁理士】 【氏名又は名称】田淵 権
|
| 【公開番号】 |
特開2003−250441(P2003−250441A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月9日(2003.9.9) |
| 【出願番号】 |
特願2002−55854(P2002−55854) |
|