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【発明の名称】 野菜の保管方法及びそれを用いた保管システム
【発明者】 【氏名】脇田 克也
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】鈴木 正明
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】服部 章良
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【要約】 【課題】野菜等の青果物が保管されている時間が長くなるに連れて、代謝のみならず温湿度の変動による負荷が野菜にかかり、鮮度の低下と共に野菜固有の栄養成分が減少し、食材としての価値が低下していくといった課題が存在した。

【解決手段】野菜の食材としての価値の低下を抑制するために、野菜固有の栄養成分や人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を微粒子の状態にて噴霧し、野菜内部にまで浸透させると共に、保管容器内の湿度を高めて鮮度の経時的な低下を抑制し、野菜の食材としての価値を高めることができた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を容器内に収納された野菜に直接噴霧することを特徴とする野菜の保管方法。
【請求項2】 野菜が時間と共に失っていく栄養成分を含んだ水溶液を容器内に収納された野菜に直接噴霧することを特徴とする野菜の保管方法。
【請求項3】 野菜の栄養成分がビタミンC(アスコルビン酸ナトリウム)を含む少なくとも1種類以上のビタミン類化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の野菜の保管方法。
【請求項4】 人間の健康維持に必要な栄養成分が無機物であることを特徴とする請求項1に記載の野菜の保管方法。
【請求項5】 野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を野菜が収納された容器内に噴霧することにより容器内の湿度調整を行うことを特徴とする野菜の保管方法。
【請求項6】 野菜を保管する容器、野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を前記野菜を保管する容器内に噴霧する装置から構成されることを特徴とする野菜の保管システム。
【請求項7】 野菜を保管する容器、前記容器内に存在する特定の気体成分に応答する検知手段、野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を前記野菜を保管する容器内に噴霧する装置から構成され、前記特定の気体成分に応答する検知手段によって前記野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を噴霧する装置が制御されていることを特徴とする野菜の保管システム。
【請求項8】 特定の気体成分が、保管されている野菜の成長に伴って発生してくるものであることを特徴とする請求項7に記載の野菜の保管システム。
【請求項9】 野菜を保管する容器、前記容器内の湿度に応答する検知手段、野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を前記野菜を保管する容器内に噴霧する装置から構成され、前記容器内の湿度に応答する検知手段によって前記野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を噴霧する装置が制御されていることを特徴とする野菜の保管システム。
【請求項10】 野菜の栄養成分を含んだ水溶液を噴霧する装置において、前記野菜の栄養成分を含んだ水溶液が取り外し可能で交換可能な容器に蓄えられて供給されることを特徴とする請求項6、7又は9に記載の野菜の保管システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、野菜の食品としての価値を維持するための保管方法と前記保管方法を実現するためのシステムに関するものであり、さらに詳しくは野菜が保有する水分や栄養素の減少を抑制しながら保管する方法及びそのためのシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来野菜を中心とした生鮮食品は冷蔵庫や専用容器に保管され、必要に応じて加工、食材として利用されてきた。これらの保管環境としては、例えば冷蔵庫においては野菜の乾燥を防ぐために湿度調節が行われたり、野菜の成長を抑制するために低温での保管が成されていた。また、成長を抑制するために野菜が保管されている環境を高CO2雰囲気とするCA貯蔵と呼ばれる手法が検討されてきた。さらにはカット野菜の保存法としてカット野菜をエチルアルコール、トレハロース及びビタミンC類を含有する水溶液に浸漬あるいは噴霧により接触させるといった提案が特開平9−224565号公報に提示されている。この中では、エチルアルコールがカット野菜からの離水及び軟化を抑制し、トレハロースがカット野菜の細胞膜や膜タンパク質を保護し組織の劣化を抑制すること、さらにはビタミンC類によって変色や褐変を防止するとの提案がなされていた。
【0003】また、冷蔵庫内に収納されている保存食品の鮮度を保持するために揮発性の抗菌剤や防カビ剤を食材別に保存する専用保管庫に配置するといった技術が特開平10−132447号公報に示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記従来技術においては、例えば冷蔵庫のような環境を考えてみた場合に温度の制御は、冷蔵庫内を流れる冷媒量を調整する、あるいは冷媒を循環させる役割を有する圧縮機のON/OFF制御によって行ってきたことから、冷媒量調整時あるいは圧縮機のON/OFF切り替え時に温度の変動が発生し、一定値に保つ事は非常に困難であった。また湿度調整の場合には、野菜から発生する水分を利用したり、熱交換器部位に捕捉された水を必要な庫内に導く手法を採っていたことにより、湿度変動を防ぐ事が非常に困難であった。そのため、野菜等の青果物が保管されている時間が長くなるに連れて、代謝のみならず温湿度の変動による負荷がかかり、野菜固有の栄養成分が減少していくといった課題が存在した。さらにCA貯蔵についてはCO2を発生させる装置を必要とするために設備が大規模になるといった課題が存在した。
【0005】また、エチルアルコールやトレハロース等本来食材が持っていない成分を保鮮のために効果的に利用しようとする際にはその濃度調製が難しく、同一水溶液を長期間使用した場合には保鮮効果が変化したり、野菜の味が変わる等の課題が存在した。
【0006】さらに揮発性の抗菌剤や防カビを配置する場合においては、菌やカビによる青果物の劣化を抑制することは可能であるものの、長期保管時における食材固有の栄養成分の消失を防ぐ事ができないといった課題が存在した。
【0007】これらのことから、本発明の目的は、かかる従来の問題点を解消する事にあり、野菜が有する栄養成分の消失を補助・抑制し、食材が持っている価値を維持させながら簡便に野菜を保管する保管方法及び保管システムを提供する事を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明は以下の技術的手段から構成される。
【0009】すなわち本発明は、野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を容器内に収納された野菜に直接噴霧する野菜の保管方法とした。これにより、収穫時期に依存するような野菜固有の栄養成分や野菜には含まれないあるいは非常に少量であるが人間の健康維持に必要な栄養成分を外部から水と共に補給して、保管されている野菜の最表面だけではなく、野菜の内部にまで浸透させ、野菜を食する際に野菜と共に体内に採りこむことが可能となり、食材としての価値を高めることができる。
【0010】また本発明は、野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を野菜が収納された容器内に噴霧することにより容器内の湿度調整を行う野菜の保管方法とした。
【0011】これにより、野菜固有の栄養成分だけではなく人間の健康維持に必要な栄養成分を野菜内部に採り込むことが可能となり、食材としての価値を高めるだけではなく,あわせて野菜を保管している容器内の湿度も高めることから保管されている野菜の保鮮性も向上させることが可能となる。
【0012】また本発明は、野菜を保管する容器、野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を前記野菜を保管する容器内に噴霧する装置から構成される野菜の保管システムとした。
【0013】これにより、前記野菜の栄養成分及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を微細な状態で、保管されている野菜表面に被覆させ、さらには野菜内部にまで浸透させることが可能となり、噴霧する量及び時間も任意に調節することが可能となる。
【0014】また本発明は、野菜を保管する容器、前記容器内に存在する特定の気体成分に応答する検知手段、野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を前記野菜を保管する容器内に噴霧する装置から構成され、前記特定の気体成分に応答する検知手段によって前記野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を噴霧する装置が制御されている野菜の保管システムとした。
【0015】これにより、保管されている野菜が成長する過程に於いて発生するガスに応答し、野菜の栄養成分が低下してきた時期に合わせながら栄養成分を含んだ水溶液を噴霧することが可能となり、必要な栄養成分を保管されている野菜に供給する事が可能となる。
【0016】また本発明は、野菜を保管する容器、前記容器内の湿度に応答する検知手段、野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を前記野菜を保管する容器内に噴霧する装置から構成され、前記容器内の湿度に応答する検知手段によって前記野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を噴霧する装置が制御されている野菜の保管システムとした。
【0017】これにより、冷凍サイクル等で制御していた野菜の保管庫内の湿度を細めに調整し、湿度変動幅の少ない湿度管理が可能となると同時に、野菜の栄養成分が供給されることで、保鮮効果だけでなく栄養素の減少量の少ない食材を提供する事が可能となる。
【0018】また本発明は、前記野菜の栄養成分及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を噴霧する装置において、前記水溶液が取り外しが可能で交換可能な容器に蓄えられて供給される野菜の保管システムとした。これにより、野菜に添加したい栄養成分を任意に選択・交換することが可能となり、また水溶液の濃度調製や水の補給等のメンテナンスを行う必要がなくなり、非常に簡便な保管システムとすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を容器内に収納された野菜に直接噴霧する野菜の保管方法であり、代謝作用と共に減少していく野菜の栄養成分を水溶液の状態で外部から補うことによって野菜が持つ栄養成分量を増加させ、食材としての価値を高める作用を有している。また,野菜が持つ栄養成分だけではなく野菜には含まれていないあるいは非常に少量しか含まれていないが人間の健康維持には不可欠な栄養成分を水溶液の状態にて加えることで、食材として新たな価値を野菜に付与する作用を有している。ここで、特に野菜が時間と共に失っていく栄養成分を噴霧することによって野菜固有の栄養成分を長期に渡って保持することができ、野菜の食材としての価値を保つ作用を有している。またここで、野菜の栄養成分とはL−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル等のビタミンC類化合物、クロロフィル、グルコース、シュクロース、フラクト‐ス等の糖類、クエン酸、アミノ酸等の有機酸類、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パンテトン酸等のビタミンB2群化合物、カルシウム、マグネシウム、カリウム等のミネラル及び各種ミネラル塩化合物が挙げられ、これらが複数種共存していても構わない。また上記の化合物の中でも特にビタミンC類化合物が好ましく、食材の価値向上のみならず、ビタミンC自身に抗酸化剤としての機能があるために野菜の保鮮効果に対しても向上させる作用を有している。さらに、人間の健康維持に必要な栄養成分としては、イオン成分としての鉄や亜鉛、生体の維持に必要な各種微量元素類の塩化合物、野菜中にも微量に含まれるカルシウムやマグネシウム等のミネラル成分及び無機物が挙げられが、水溶性であるならば特に限定されるものではない。
【0020】本発明の請求項5に記載の発明は、野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を野菜が収納された容器内に噴霧することにより容器内の湿度調整を行う野菜の保管方法であり、野菜から蒸散される水分を栄養成分と共に野菜に補いつつ、野菜を保管している容器内の湿度の変動を抑制することで、保管されている野菜に環境変動によるストレスをかけることなく、乾燥・萎びれを防ぎ、保鮮効果を向上させる作用を有している。
【0021】本発明の請求項6に記載の発明は、野菜を保管する容器、野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を前記野菜を保管する容器内に噴霧する装置から構成される野菜の保管システムであり、保管されている野菜に野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を噴霧することで、野菜表面だけでなく、水の浸透と共に野菜内部へも上記栄養成分を供給し、野菜の食材としての価値を高める作用を有している。ここで、野菜を保管する容器内に上記栄養成分を含んだ水溶液を噴霧する装置としては、霧吹きや超音波振動子あるいは熱による気化噴霧装置が挙げられ、特に限定されるものではないが、μmオーダーの水微粒子を生成できる超音波振動子タイプの気化噴霧装置が好ましい。
【0022】本発明の請求項7に記載の発明は、野菜を保管する容器、前記容器内に存在する特定の気体成分に応答する検知手段、野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を前記野菜を保管する容器内に噴霧する装置から構成され、前記特定の気体成分に応答する検知手段によって前記野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を噴霧する装置が制御されている野菜の保管システムであり、容器内に存在する特定の気体成分を検知し、その発生濃度レベルによって前記栄養成分を含んだ水溶液を保管している野菜に噴霧することで、経時的に減少していると考えられる栄養成分が補給され、食材としての商品価値を維持、高める作用を有している。またここでの特定の気体成分とは、野菜の成長に伴って発生してくる気体成分であり、エタノールやメタノール等のアルコール類化合物、アセトアルデヒド、アンモニア、及び硫化メチル、硫化ジメチル、二硫化ジメチル等の硫黄系化合物が挙げられるがこれら単独のガスであっても複数の混合ガスであっても構わない。
【0023】さらに、ここで特定の気体成分に応答する検知手段としては酸化スズ、酸化チタン、酸化インジウム、酸化タングステン等酸化物を主成分とした酸化物半導体型のガスセンサーあるいはポリチオフェン誘導体等の導電性高分子材料を主成分とした有機物半導体によるガスセンサーが挙げられるが、この中でも酸化スズを主成分としたものが好ましい。
【0024】本発明の請求項9に記載の発明は、野菜を保管する容器、前記容器内の湿度に応答する検知手段、野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を前記野菜を保管する容器内に噴霧する装置から構成され、前記容器内の湿度に応答する検知手段によって前記野菜の栄養成分を含んだ水溶液及び/又は人間の健康維持に必要な栄養成分を含んだ水溶液を噴霧する装置が制御されている野菜の保管システムであり、野菜を保管している容器内の湿度が一定レベルより低くなった場合に前記噴霧装置にて水粒子を噴霧して容器内湿度を高く調整する作用を有し、常に保管環境を監視しながら容器内を高湿に保つことにより、野菜からの蒸散を抑制し保鮮効果を高める作用を有している。また湿度の調整と併せて、保管している野菜に栄養成分を補給することで食材としての価値を高める作用も有している。
【0025】本発明の請求項10に記載の発明は、前記野菜の栄養成分を含んだ水溶液を噴霧する装置において、前記野菜の栄養成分を含んだ水溶液が取り外し可能で交換可能な容器に蓄えられて供給される野菜の保管システムであり、野菜に添加したい栄養成分を利用者が任意に選択・交換することができ、かつ前記栄養成分が溶解している水溶液の濃度調整や水の補給等のメンテナンスを行う必要がなくなり、非常に簡便な野菜の保管システムとする作用を有している。
【0026】以下、本発明による野菜の保管方法及びそれを用いた野菜の保管システムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0027】《実施の形態1》図1は本発明の第一の実施の形態として示す野菜の保管方法の概念図を表している。図中1は保管容器、2は保管されている野菜、3は栄養成分を含んだ水溶液噴霧装置、4は容器中に存在する水分子、5は栄養成分を含んだ水粒子、6は野菜から放出される水分子の流れ、7は栄養成分を含んだ水粒子及び容器内に存在する水分子が野菜中に浸透していく流れを示している。この図のように保管されている野菜は、呼吸あるいは蒸散によって容器中に含まれている水分との間で水分子のやり取りを行っている。そのため、容器中に栄養成分を含んだ水粒子が存在した場合にも野菜表面に付着した後、野菜内部への浸透現象によって水と共に水溶性の栄養成分が浸透していく。
【0028】《実施の形態2》図2は本発明の第二の実施の形態として示す野菜の保管方法の概念図を表している。
【0029】図中の記号は図1と同様で、容器中の水分子が減少し湿度が下がってきた場合(図2(a))に栄養成分を含んだ水溶液を噴霧する装置3から栄養成分を含んだ水溶液を噴霧することで容器内の湿度は回復し(図2(b))、保管されている野菜からの蒸発量も少なくなり保鮮効果が発現されることになる。
【0030】《実施の形態3》図3(a)は本発明の第一の実施の形態として示す野菜の保管システムの構成図を示している。図中の番号は図1において説明したものと同一であるために説明は省略する。この図中において、栄養成分を含む水溶液噴霧装置について図3(b)を用いて説明する。図中8は栄養成分を含んだ水溶液の貯水部、9は圧電素子、10は振動板、11は細孔、12はキャビティ、13は噴霧される液滴を示している。振動板10は多数の小孔を有する金属板で円環状PZTセラミックス等からなる圧電素子9と接着されている。圧電素子9による屈曲運動によって振動板10がキャビティ12方向に変位すると、キャビティ12内の内圧が上昇し、液体を小孔11から押し出そうとする。液体の表面張力を破ることができる内圧になった時、液体が小孔11から突出する事となる。さらに時間の経過と共に内圧が減少し、突出した液体の速度よりキャビティ12内の液体の速度が遅くなると液滴13が分離されて飛び出していく。また、ここで振動変位が逆になると表面張力の負圧のため周りから液体が流入して液が補充されることになる。栄養成分を含んだ水溶液を噴霧する装置としては、この他にも霧吹きの様な簡便な構造を有するものでも構わないが、超音波振動方式の噴霧装置においては噴霧装置自身がポンプの働きを持ち、水溶液を自動に補充してくれることや均一な粒径の液滴が得られることで本発明においては特に好ましい。さらには圧電素子にかける超音波の振動数を変化させることにより噴霧される液滴の粒径を制御することができるので好ましいものとなっている。
【0031】《実施の形態4》図4は本発明の第二の実施の形態として示す野菜の保管システムの構成図を示している。図中1は保管容器、2は保管されている野菜、3は栄養成分を含んだ水溶液噴霧装置、14はガス検知手段を表している。野菜の成長と共に発生してくる単独あるいは複数種のガス成分を検知することにより保管されている野菜の新鮮度を把握し、野菜内部において減少してくる栄養成分を水溶液噴霧装置3から噴霧される水粒子と共に吸収し、前記栄養成分の補充をすることができる。
【0032】《実施の形態5》図5は本発明の第三の実施の形態として示す野菜の保管システムの構成図を示している。図中1は保管容器、2は保管されている野菜、3は栄養成分を含んだ水溶液噴霧装置、15は湿度検知手段を表している。野菜が保管されている容器1内の湿度を湿度検知手段15にて監視し、保管容器1内の湿度が一定の値以下になった際に栄養成分を含んだ水溶液噴霧装置3を稼動させることにより、保管容器1内への栄養成分及び水粒子の噴霧を行い、栄養成分の補充を行いながら野菜の保管に適した湿度雰囲気に保つことができる。
【0033】《実施の形態6》図6は本発明における噴霧装置の第二の実施の形態としての断面図を示している。図中9は圧電素子、10は振動板、11は細孔、12はキャビティ、13は液滴、16は栄養成分を含んだ水溶液貯水部、17はジョイントを表している。液滴13を噴霧する機構については《実施の形態3》において記述したので省略する。栄養成分を含んだ水溶液貯水部16はジョイント17を通じて噴霧装置3と接続することができるようになっており、単一あるいは複数種の栄養成分が溶解している水溶液貯水部を任意に選択することによって保管している野菜を食する人が好ましいと考える栄養成分を保管している野菜に噴霧することができる。
【0034】
【実施例】以下に本発明の具体的な実施例について述べる。
【0035】(実施例1)冷凍用圧縮機、蒸発器、膨張機構、凝縮器ならびにそれらを接合し冷媒循環用の配管からなる冷凍サイクルを備えた70Lの容積からなる野菜専用の保管庫にほうれん草等の葉菜類を収納した。蓋天面には栄養成分としてアスコルビン酸ナトリウム(ビタミンC)を0.02wt.%溶解させた水溶液を保管庫内に噴霧する超音波振動子式の噴霧装置を設置した。冷凍サイクルの効果によって保管庫内の温度は5℃に調整され、湿度は70%RHから95%RHまでの範囲で調整されている。一日に1回の割合で噴霧装置から前記水溶液を噴霧したところ、一週間後にほうれん草のビタミンC含有量を測定すると、その含有量は初期状態に比べて95%の含有量になっていた。
【0036】(比較例1)実施例1と同様の装置内に同量のほうれん草等の葉菜類を収納し、一週間保管した。一週間後に測定したところ、ほうれん草に含まれていたビタミンC量は、初期状態に比べて50%まで減少していた。
【0037】(実施例2)冷蔵庫の野菜室の天面に栄養成分としてカルシウムを溶解させた水溶液を野菜室内に噴霧する超音波振動子式の噴霧装置を設置した。野菜室内にはレタスを保管した。一日に2回の割合で噴霧装置から前記水溶液を噴霧したところ野菜室内の湿度は95±2%RHの状態で保たれていた。また、一週間後に保管していたレタスのカルシウム含有量を測定したところ、初期に比べて150%の含有量となっていた。
【0038】(比較例2)実施例2と同様の野菜室に同量のレタスを保管し、一週間後に保管していたレタスのカルシウム含有量を測定したところ初期に比べて95%の含有量となっていた。また野菜室内は湿度が70%RHから95%RHまでの範囲で調整されていたがレタスの一部の葉で萎びれが観測された。
【0039】(実施例3)実施例1と同様の保管庫にほうれん草、きゅうり、白菜等の野菜を保管した。保管庫の天面には栄養成分としてアスコルビン酸ナトリウムとビタミンB1をそれぞれ0.05wt.%づつ溶解させた水溶液を野菜室内に噴霧する超音波振動子式の噴霧装置及び酸化スズを主成分とした酸化物半導体型のガスセンサーを設置した。保管後6日後に設置していたガスセンサーの設定電圧値以上の電圧値が観測されたことから前記水溶液を噴霧する装置が作動し、一定量の噴霧を行った。さらに2日後にも設定電圧値を超える電圧値が観測され噴霧装置が作動した。一週間後に保管されていた白菜に含まれるビタミンC含有量を測定したところ、初期の含有量に比べて85%となっていた。
【0040】(比較例3)実施例3と同様の保管庫に同量、同種の野菜を保管した。1週間後に保管されていた白菜に含まれるビタミンC含有量を測定したところ、初期の含有量に比べて40%となっていた。
【0041】(実施例4)実施例2と同様の冷蔵庫の野菜室にしいたけ、ほうれん草、キャベツを保管した。野菜室の天面には栄養成分としてアスコルビン酸ナトリウムとカリウムを溶解させた水溶液を野菜室内に噴霧する超音波振動子式の噴霧装置及び湿度センサーを設置した。湿度センサーの設定を90%とし保管を行った。湿度設定値を下回る度に噴霧装置から前記水溶液が噴霧され、湿度は常に90%を超えて保たれるようになっていた。一週間後にしいたけ中のビタミンC量を測定したところ、初期の含有量に比べてほとんど変化は無かった。またカリウム量については初期の含有量に比べて110%と増加していた。
【0042】(比較例4)実施例4と同様の保管評価を行った。一週間後に保管されていたしいたけに含まれるビタミンC含有量を測定したところ、初期の含有量に比べて約50%となっていた。また、カリウム量についても減少が観測され一部萎びれも発生していた。
【0043】(実施例5)実施例1と同様の保管庫にほうれん草、きゅうり、白菜等の野菜を保管した。保管庫の天面には、栄養成分としてアスコルビン酸ナトリウムを0.01wt.%溶解させた水溶液を噴霧する、図6に示されるような超音波振動子式噴霧装置を設置した。保管を始めてから3日後に栄養成分としてカルシウムを溶解させた水溶液が充填されているカートリッジ式の貯水容器に取り替えて保管を続けた。一週間後に、保管していたほうれん草中のビタミンC量を測定したところ、初期の含有量に比べて90%となっており、カルシウム量は105%に増加していた。
【0044】(比較例5)実施例5と同様の保管評価を行った。一週間後に保管されていたほうれん草に含まれるビタミンC含有量を測定したところ、初期の含有量に比べて約50%となっていた。また、カルシウム量についても90%となっていた。
【0045】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、野菜が有する栄養成分の消失を補助・抑制し、さらには保管されている野菜に、人間の健康維持に必要な栄養成分を添加することができ、野菜が持っている食材としての価値を維持あるいは高めながら簡便に野菜を保管する保管方法及び保管システムを提供する事ができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
【出願日】 平成14年2月5日(2002.2.5)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2003−225051(P2003−225051A)
【公開日】 平成15年8月12日(2003.8.12)
【出願番号】 特願2002−27839(P2002−27839)