| 【発明の名称】 |
乾燥ヤーコン及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】渡辺 博敏
【氏名】福永 敏宏
【氏名】橋本 兵二
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| 【要約】 |
【課題】ヤーコンの変質がなく、長期の保存性に優れ、しかも、自然の風味を保持し、食感が良好な乾燥ヤーコン及び該乾燥ヤーコンを簡易に製造することが可能な方法を提供する。
【解決手段】少なくとも表層に脂肪族カルボン酸類を含有し、且つ、水分含有率が3〜13重量%であるヤーコン塊根部のスライス片よりなることを特徴とする乾燥ヤーコンであり、ヤーコンの塊根部のスライス片を脂肪族カルボン酸類溶液と接触させた後、加熱乾燥することにより簡易に製造することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも表層に脂肪族カルボン酸類を含有し、且つ、水分含有率が3〜13重量%であるヤーコン塊根部のスライス片よりなることを特徴とする乾燥ヤーコン。 【請求項2】 ヤーコンの塊根部のスライス片を脂肪族カルボン酸類溶液と接触させた後、加熱乾燥することを特徴とする乾燥ヤーコンの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【発明の属する技術分野】本発明はヤーコンの塊根部よりなる新規な乾燥ヤーコン及びその製造方法に関する。詳しくは、ヤーコンの変質がなく、長期の保存性に優れ、しかも、自然の風味を保持し、食感が良い乾燥ヤーコン及び該乾燥ヤーコンを簡易に製造することが可能な方法を提供するものである。 【従来の技術】中南米原産のキク科の根菜であるヤーコンは、その塊根にフラクトオリゴ糖を多く含み、特に他の調味料を添加すること無く十分に賞味できる素材として注目されている。即ち、フラクトオリゴ糖は砂糖の1/3程度の甘味を有し、天然甘味料としてヤーコンの自然な甘みを与えている。ところが、ヤーコンは、水分が85〜87%と多い根菜であるが故に腐敗し易く保存し難く、生の状態での流通は難しい。そこで、健康食品であるヤーコンはできるだけ自然の状態を保持したまま流通状態でのヤーコン製品が強く要望されている。このような自然の風味や食感を維持しながら野菜を乾燥する方法として、工業的には熱風乾燥などの加熱乾燥が有利である。ところが、ヤーコンはアクが強く、褐変し易いという問題を有する。即ち、スライスすると酸化を受けて緑色から褐色を経て黒くなる傾向があり、特に、加熱乾燥したものは、上記傾向が強く、商品価値を損なうという問題を有していた。尚、ヤーコンをスライスして減圧或いは真空フライする乾燥法を採用することにより上記褐変をある程度防止することはできるが、自然の食感や風味を犠牲にせざるを得ないばかりでなく、油を使用することによる製品の高カロリー化を余儀なくされる。また、油を使用しないで褐変していない乾燥ヤーコンは未だ提案されてなく、健康食品として注目されているヤーコンの、より自然な状態の乾燥品が望まれるところであった。 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、フライ乾燥を行わなくとも褐変せず、自然の状態に近い風味と良好な食感とを兼ね備えた乾燥ヤーコンを提供することにある。また、本発明は、かかる乾燥ヤーコンを加熱乾燥により簡易に製造することが可能な製造方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた。その結果、ヤーコンの表面に特定の酸を含有せしめ、特定の水分に調整することにより、ヤーコンの変質がなく、長期の保存性に優れ、しかも、自然の風味を保持し、良好な食感を有する乾燥ヤーコンとなり、また、かかる乾燥ヤーコンは、ヤーコンのスライス片に上記特定の酸を含浸せしめた後、特定の水分量となるまで加熱乾燥せしめるという、極めて簡易な方法によって得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、少なくとも表層に脂肪族カルボン酸類を含有し、且つ、水分含有率が3〜13重量%であるヤーコン塊根部のスライス片よりなることを特徴とする乾燥ヤーコンである。また、本発明は、ヤーコンの塊根部のスライス片を脂肪族カルボン酸類溶液と接触させた後、加熱乾燥することを特徴とする乾燥ヤーコンの製造方法をも提供するものである。 【発明の実施の形態】本発明において、乾燥ヤーコンは、ヤーコン塊根部のスライス片よりなる。かかるスライス片は、皮付きでもよいし、脱皮したものであってもよい。また、スライスの仕方は特に重要ではないが、輪切りにスライスするのは、ヤーコンの強い繊維を直接切断し、乾燥後、菊花模様を呈して繊維部が目立ちすぎて美観を損ねる場合があるので、ヤーコンのスライス片は繊維に沿って縦長細に切って繊維を切らないようにした方が好ましい。また、スライス片の形状は、薄切り、厚切り、細切りにした形状のもの、更には、サイコロ状のものなど、乾燥が容易な形状であれば、特に制限されない。本発明の乾燥ヤーコンの特徴の一つは、上記ヤーコンの塊根部のスライス片の少なくとも表層に脂肪族カルボン酸類を含有することにある。かかる脂肪族有機酸類を含有せしめることにより、ヤーコンは褐変すること無く、また、後で詳述する水分含量を維持しながら長期間の保存安定性を維持することができる。上記脂肪族カルボン酸は、ヤーコンのスライス片の表層部のみに存在していれば十分な効果を発揮することができる。また、あまり内部まで含有せしめると、効果は頭打ちとなり、経済的でないばかりでなく、ヤーコンの有する自然の風味を低下させる場合がある。従って、脂肪族カルボン酸は、該スライス片の表層部のみに含有せしめることが好ましい。本発明で使用する脂肪族カルボン酸類は特に限定されるものではないが、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、シュウ酸などの酸が好ましい。これらの酸は体にも良く比較的安価で容易に入手できる利点がある。また、脂肪族カルボン酸類としては、上記酸の塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などを使用することもできる。尚、ヤーコンの褐変現象は0−フェノールオキシダーゼなどの酵素によって引き起こされるといわれ、ヤーコンジュースの如き生ヤーコンの処理において、褐変を防止するためにアスコルビン酸などの抗酸化物質を用いることは公知である。しかしながら、乾燥ヤーコンに上記アスコルビン酸使用した場合、後記の好適な方法によりヤーコンにこれを含有せしめる過程、或いは乾燥するための加熱処理により乾燥を妨げる上に分解し、前記長期間にわたる褐変防止や保存安定性を維持することがむつかしい。本発明の乾燥ヤーコンは、水分含有率が3〜13重量%、好ましくは、5〜11重量%に調整されたものであることが、ヤーコン塊根部の自然の風味を保持し、良好な食感を与えるために極めて重要である。即ち、ヤーコンの塊根は元々水分の多い部分であり、上記含水率が3重量%未満である場合、乾燥ヤーコンはその自然の風味が著しく損なわれ、また、とても固くて食感が著しく低下する。一方、含水率が13重量%を超える場合、前記脂肪族カルボン酸との相互作用による長期保存性が低下し、場合によっては短期間でカビなどの発生が見受けられる。尚、本発明において乾燥ヤーコンの含水率(C重量%)は、乾燥ヤーコンの重量(A;g)を測定した後、100℃で乾燥し、重量が一定となったときの重量(B:g)を測定し、これらの測定値に基づいて次式より算出したものである。 C=(A−B)/A本発明の乾燥ヤーコンは、上記条件を満足するものであれば、特別の味付けをしなくても十分美味しく、そのままがもっとも自然であり、商品価値が高い。しかし、本発明の乾燥ヤーコンを更に加工することを求める場合には、種々の調味料や糖類などを用いて味付けすることも可能である。本発明の乾燥ヤーコンの製造方法は、特に制限されるものではないが、前記したように、目的とする乾燥ヤーコンを工業的に簡易に製造する方法として、ヤーコンの塊根部のスライス片を脂肪族カルボン酸類溶液と接触させた後、加熱乾燥する方法が好適である。先ず、ヤーコン塊根部を水洗し、皮付きのまま、または脱皮して前記形状にスライスする。次いで、得られるスライス片の少なくとも表層部に脂肪族カルボン酸類を含有せしめるため、該スライス片を脂肪族カルボン酸類溶液と接触させる。上記脂肪族カルボン酸類の溶液は、水を溶媒とするのが一般的であるが、接触による含浸を効率よく行うため、水と親和性があり、人体に対して害の無い溶剤、例えば、エタノールを併用した溶液として使用することもできる。また、脂肪族カルボン酸類の濃度は、1〜4重量%、好ましくは2〜3重量%が適当である。また、接触の態様は特に制限されないが、代表的な態様を例示すれば、上記脂肪族カルボン酸類溶液に浸漬する方法、上記脂肪族カルボン酸類溶液を散布する方法が一般的である。接触時間は、脂肪族カルボン酸類溶液の種類、濃度、処理温度等によって異なり一概に限定することはできないが、5〜30分、特に、7〜20分が適当である。また、接触時の温度は10〜35℃が適当である。上記の脂肪族カルボン酸類溶液と接触後のヤーコンのスライス片は水切りをした後、乾燥する。本発明の方法において、乾燥方法は、加熱乾燥が好適に採用されるが、乾燥温度をあまり高くすると、ヤーコンの成分を変質させる惧れがある。このような状況の中で特に好ましい乾燥方法は、遠赤外線を用いる方法である。この方法で乾燥するとスライス片を目的の水含有率まで安定して乾燥することができる。この場合、乾燥温度は、45〜70℃、好ましくは50〜60℃が適当である。また、上記乾燥において、途中の水含有率まで、85℃〜100℃の比較的高温で乾燥しておき、最終段階で上記遠赤外線による乾燥により仕上げることも、乾燥時間を短縮でき、好ましい乾燥手段となる。 【実施例】以下に本発明を具体的に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例において、乾燥ヤーコンの外観(褐変)、長期の保存性、食感及び風味は下記の基準により評価した。 (1)乾燥ヤーコンの外観(褐変) 得られた乾燥ヤーコンを目視により観察し、下記の基準により評価した。 ○;黄色味を帯び全く褐変が無い△;やや濃い黄色味を帯びている×;全体にわたって褐変している(2)長期の保存性得られた乾燥ヤーコンを温度30℃の室内に放置し、1ヶ月後における黴の発生の有無を目視で観察して評価した。 ○;黴の発生が全く無い△;わずかに黴が発生している×;多量の黴が発生している(3)食感及び風味得られた乾燥ヤーコンを10人のパネラーに試食してもらい、食感と風味に満足すると答えた人数により下記の基準により評価した。 ○;7人以上△;4〜6人×;3人以下実施例1収穫直後の生鮮ヤーコンの塊根を水洗いし、ついで脱皮した。これをスライサーにて約5mmの厚さに縦方向(細長芋の長い方向を残して)にスライスした。これを2重量%のクエン酸水溶液に10分間浸漬した。浸漬したヤーコンは水切りした後、ミタケ電子工業(株)製のvivi−9ドライ乾燥機を使用し、50℃の遠赤外線乾燥機で18時間乾燥して、表層部にクエン酸を含有する、水分含有率8重量%の乾燥ヤーコンを得た。得られた乾燥ヤーコンについて、乾燥ヤーコンの外観(褐変)、長期の保存性、食感及び風味を評価した結果、全て○であった。 実施例2実施例1において、乾燥時間を25時間に代えた以外は同様にして、水分含有率4重量%の乾燥ヤーコンを得た。得られた乾燥ヤーコンについて、乾燥ヤーコンの外観(褐変)、長期の保存性、食感及び風味を評価した結果、全て○であった。 実施例3実施例1において、クエン酸をリンゴ酸に代えた以外は、同様にして水分含有率7重量%の乾燥ヤーコンを得た。得られた乾燥ヤーコンについて、乾燥ヤーコンの外観(褐変)、長期の保存性、食感及び風味を評価した結果、全て○であった。 比較例1実施例1において、クエン酸をアスコルビン酸に代えた以外は、同様にして水分含有率10重量%の乾燥ヤーコンを得た。得られた乾燥ヤーコンについて、乾燥ヤーコンの外観(褐変)、長期の保存性、食感及び風味を評価した結果、乾燥ヤーコンの外観(褐変)は△、長期の保存性は×、他は△であった。 比較例2実施例1において、乾燥温度85℃、乾燥時間を12時間に代えた以外は同様にして、水分含有率1重量%の乾燥ヤーコンを得た。得られた乾燥ヤーコンについて、乾燥ヤーコンの外観(褐変)、長期の保存性、食感及び風味を評価した結果、食感及び風味が×で、他は○であった。 比較例3実施例1において、乾燥時間を13時間に代えた以外は同様にして、水分含有率20重量%の乾燥ヤーコンを得た。得られた乾燥ヤーコンについて、乾燥ヤーコンの外観(褐変)、長期の保存性、食感及び風味を評価した結果、長期の保存性が×で、他は○であった。 【発明の効果】以上の説明より理解されるように、本発明の乾燥ヤーコンは、ヤーコンを脂肪酸カルボン酸類溶液と接触後、加熱乾燥せしめるという極めて簡易な工程で製造することが可能であり、しかも、かかる乾燥ヤーコンは、ヤーコンの変質がなく、長期の保存性に優れ、しかも、自然風味を保持し、しかも、食感が良好であり、極めて商品価値の高いものである。また、真空フライ乾燥法と異なり、あくまで自然に近く、また、油などを使用しないために低カロリーである。また、褐変を防ぐ目的で使用した脂肪族カルボン酸類、例えばクエン酸は美味しさに加えて健康にもよい効果をもたらす。これこそ、健康志向に適応した保存食品である。また、本発明の乾燥ヤーコンは、食品素材としての利用価値もあり味付け次第で更に美味しくもなり応用範囲も広い。更に、お湯にもどせば生ヤーコンのように復元させることもできる大変有用な乾燥野菜である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】595058532 【氏名又は名称】三井ヘルプ株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年2月1日(2002.2.1) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−225050(P2003−225050A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月12日(2003.8.12) |
| 【出願番号】 |
特願2002−64504(P2002−64504) |
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