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【発明の名称】 乳化油脂配合ソーセージおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】増岡 隆

【氏名】彌榮 俊雄

【要約】 【課題】

【解決手段】ソーセージ重量の1〜20重量%の量の乳化油脂、特に、粉末乳化油脂を含有してなる乳化油脂含有ソーセージ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 乳化油脂を含むソーセージ。
【請求項2】 前記乳化油脂が、ソーセージに白色を付与ならしめる水溶性の粉末乳化油脂である請求項1に記載のソーセージ。
【請求項3】 前記乳化油脂の量が、前記ソーセージの重量の1〜20重量%である請求項1または2に記載のソーセージ。
【請求項4】 前記乳化油脂の量が、前記ソーセージの重量の5〜10重量%である請求項1または2に記載のソーセージ。
【請求項5】 乳化油脂をソーセージ原料に混合する、工程を含むことを特徴とする乳化油脂配合ソーセージの製造方法。
【請求項6】 前記乳化油脂が、粉末乳化油脂である請求項5に記載のソーセージの製造方法。
【請求項7】 前記乳化油脂の量が、前記ソーセージの重量の1〜20重量%である請求項5または6に記載のソーセージの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規のソーセージ、すなわち、乳化油脂、特に粉末乳化油脂を配合してなるソーセージとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】近年のわが国の食事内容の欧風化と消費者の嗜好の変化が進む中で、今や、ソーセージは最も普及した畜肉加工食品の一つになっている。 そして、ソーセージなどの畜肉加工食品を、日本人の味覚や嗜好に適合せしめる目的で、また、それらの食味、食感、美観などを改善する目的で、これまでにも、様々な品質改良や商品開発が続けられている。
【0003】ソーセージとは、「腸詰め」とも称されるものであり、一般に、ウシやブタなどから得た畜肉や内臓を塩漬けおよび挽き潰したものを、調味および混練し、ケーシングに充填し、そして、これらを乾燥、燻煙、湯煮および蒸煮して得られる肉製品であり、加熱や乾燥することで結着する挽肉の性質を利用して製造される肉製品である。 現在では、原料肉の種類、使用する肉の部位、製造工程やケーシングなどの違いによって、多種多様なソーセージが作られ、市場に流通している。
【0004】目下のところ、これらソーセージでも、燻煙処理したソーセージ(スモークソーセージ)が主流となっているが、スモークソーセージ独特の燻煙臭を受け付けない人や、燻煙処理によって硬化した腸ケーシングを好まない人にとっては、燻煙処理していないソーセージ(ノンスモークソーセージ)を嗜好する傾向にあるため、これらノンスモークソーセージにも根強い需要がある。 一般に、ソーセージの色(色調)として、ソーセージ内容物の色とソーセージ表面の色とがあるが、消費者の購買意欲を引き出す観点からすれば、ソーセージ内容物の色を純白色に近づけることが重要となってくる。
【0005】ところで、ノンスモークソーセージは、燻煙処理を行わずに製造されるため、その表面の色調は、一般に、くすんだ淡赤黄色である。 このくすんだ色調は、乾燥工程を省略することで、ある程度の解消が図れるが、純白色には至らず、依然として淡赤黄色が残る。
【0006】さらに、燻煙と乾燥の双方を削除した上で、豚脂肪の使用量を増量することも提案されているが、この方法によれば、ソーセージをある程度白くすることができるが、脂肪分離が発生したり、脂っこい食味が残る。 特に、細挽ソーセージの場合、淡赤黄色みがかかった白さが付与されるに過ぎない。 ましてや、荒挽ソーセージの場合、白色には至らず、淡赤黄色が残る場合がほとんどであった。
【0007】また、発色剤(亜硝酸ナトリウム)を用いずに、脂肪量を増量してなるバイスヴルストのようなソーセージもあるが、このソーセージではくすんだ黄白色が付与されてしまう。
【0008】また、動植物性油脂とカゼインナトリウムなどの乳タンパクや牛乳、水などをカードにしたものをソーセージ原料に練り込む方法も提案されている。 この方法によれば、脂肪分離の現象が回避され、また食味も改良されるが、淡赤黄色の色調は完全には解消されず、満足のゆく白色の色調を獲得するに至らないのが実情である。 また、この方法の場合、カードの製造工程に相応の人手を要することになり、作業効率の低下を招くことになる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上掲の従来技術での問題点、そして、消費者の嗜好の多様化を満足せしめるべく発明されたものであって、その要旨とするところは、乳化油脂を含むソーセージと、ソーセージ原料に乳化油脂を混合する工程を含む乳化油脂配合ソーセージの製造方法にある。
【0010】すなわち、本発明によれば、ソーセージの構成材料に乳化油脂、特に、粉末乳化油脂を取り入れたことで、ソーセージ本来の食味を損なわず、また、脂肪分離を招かずに、くすみの無い美白のノンスモークソーセージを実現されるのである。
【0011】
【発明の実施の態様】本明細書で使用する「ソーセージ」の語は、畜肉を原料肉として調製されたソーセージ類を包含し、例えば、ウィンナーソーセージ、フランクフルトソーセージ、ボロニアソーセージ、リオナソーセージ、レバーソーセージ、ドライソーセージ、セミドライソーセージ、混合ソーセージ、魚肉ソーセージなどがある。
【0012】また、これらソーセージの調製のために使用できる原料肉として、豚肉、牛肉、馬肉、羊肉、山羊肉、家兎肉、家きん肉、魚肉、鯨肉、臓器およびこれらの混合肉などがあるが、これらに限定されない。 また、ソーセージの調製のために使用できる肉の種類(部位)として、バラ肉、ロース肉、肩肉、モモ肉およびこれらの混合肉などのいずれでも使用できる。
【0013】本発明の乳化油脂配合ウィンナーソーセージは、従来のソーセージと実質的に同様の方法によって製造される。 すなわち、まず、原料肉となる豚肉、牛肉、馬肉、羊肉などの原料肉塊を所定の大きさに切断(肉切り)および肉挽きし、次いで、これに食塩や亜硝酸ナトリウムなどを添加して塩漬けし、そして、塩漬けしたこれら原料肉を熟成させて塩漬肉を得る。
【0014】そして、塩漬けにした原料肉(塩漬肉)が調製できたところで、これらを高速カッターもしくはミキサーに投入して、原料肉をよく練り合わせて、粘り気が出てきた頃に、調味料や香辛料を混ぜる。 塩漬肉を使用しない場合は、切断肉もしくは挽き肉を高速カッターもしくはミキサーに投入して、食塩や亜硝酸ナトリウムなどと共に混練する(なお、通常は、最終製品の味を整える目的で、豚脂肪などの脂肪も投入する)。 このようにして得た原料肉に、乳化油脂を加える。
【0015】なお、最終製品たるソーセージに保水力・結着性を付与する場合には、重合リン酸塩を添加することができる。
【0016】本発明の乳化油脂配合ソーセージには、ソーセージの製造に通常用いられる調味料や香辛料が使用される。 具体的には、調味料としては、食塩、砂糖、水あめ、脱脂粉乳、グルタミン酸ナトリウムなどが、また、香辛料としては、胡椒、オニオン、メース、カルダモン、ジンジャーなどが、本発明において使用できる。
【0017】一方、本明細書で使用する「乳化油脂」の語は、一般に、白色を呈する乳化油脂、とりわけ、ソーセージに白色を付与する乳化油脂を指す。 当該技術分野において、乳化油脂は、水に溶解したものを原料肉塊に注入して、ハムやトンカツなどの食感の改良や調味目的で使用されている。 乳化油脂として粉末乳化油脂を利用すれば、粉末乳化油脂が水溶性であるため、練肉内部にも容易に分散し、肉粒の表面を粉末乳化油脂が覆って、美麗な白色を呈する練肉に仕上がる。 加えて、粉末乳化油脂は、カゼインナトリウム、グリセリン脂肪酸エステルで乳化されているため、加熱処理後に脂肪の分離が生じないことからしても好都合である。 このような粉末乳化油脂としては、水溶性でかつ、ソーセージに白色を付与するものであればいずれでも使用可能であり、例えば、ラードとカゼインナトリウム、グリセリン脂肪酸エステルなどの混合製剤である、市販のPF-70(商品名:太陽化学株式会社製)やネオパウダーモモ(商品名:日本油脂株式会社製)などが、本発明において好適に使用できる。
【0018】なお、乳化油脂として、乳化油脂カードまたは乳化油脂溶液も本発明において利用可能であるが、これらは水を含有しているため、白色発現性に乏しく、また原料肉に分散させても、やや赤みのかかった白色が発現されるので、使用しにくい側面がある。
【0019】そして、本発明の特徴に従えば、ソーセージの製造工程において、これら乳化油脂がソーセージ原料に添加される。 乳化油脂の添加方法は、特に限定されるものではなく、それ単独でソーセージ原料に添加してもよく、あるいは調味料や香辛料などと予め混合して得た混合物としてソーセージ原料に添加することもできる。 乳化油脂は、ソーセージの製造工程のいずれかの工程で添加すればよく、添加の方法、順序、時期などは特に限定されるものではない。 しかしながら、乳化油脂による白色の発現を十分に引き出す点からすれば、原料混練の最終工程で、乳化油脂を加えるのが望ましい。
【0020】なお、乳化油脂の添加量としては、ソーセージ重量の約1〜約20重量%、好ましくは、約5〜約10重量%の量とする。 これはすなわち、乳化油脂の添加量が1重量%より少なくなると乳化油脂による白色の発現が不十分となり、逆に、乳化油脂の添加量が20重量%を超えると乳化油脂の味が強くなりすぎてソーセージの食味が薄くなり、また、ソーセージの食感も弱くなることによる。
【0021】このように、原料肉、脂肪、調味料、香辛料および乳化油脂を含む材料を、カッターに投入して、よく混練した後に、充填機を用いてソーセージ用のケーシングに混練物を充填(肉詰め)する。 充填を終えたソーセージ原料(半製品)は、70〜75℃で1〜2時間等の条件で湯煮もしくは蒸煮し、あるいは、常温流通する場合には、120℃で4分間等の条件でさらに熱処理(加熱殺菌)する。
【0022】そして、湯煮や熱処理を終えたソーセージを、冷水中で放冷または冷蔵庫中で冷却することで、本発明の乳化油脂配合ソーセージが得られる。
【0023】
【実施例】以下に、本発明をその実施例に沿って説明するが、この実施例の開示に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきでないことは勿論である。 なお、本実施例にあっては、特に断りの無い限り、1重量部=1kgとして材料の計量を行った。
【0024】実施例1:乳化油脂配合ソーセージ本発明の乳化油脂配合ソーセージを、以下の手順に従って製造した。
【0025】約3mm角に細断した新鮮な豚モモ肉(ミンチ肉)55重量部、氷水10重量部、食塩1.5重量部、重合リン酸塩0.3重量部、亜硝酸ナトリウム0.02重量部およびアスコルビン酸ナトリウム0.2重量部を、この順に高速カッター(3000〜5000rpm)に添加し、5分間混合した。 続いて、豚脂肪25重量部および粉末乳化油脂(PF-70(商品名:太陽化学株式会社製))10重量部を同高速カッターに添加し、さらに5分間混合した。 そして、高速カッターを駆動させながら、砂糖1.0重量部、グルタミン酸ナトリウム0.5重量部、香辛料0.03重量部(胡椒、ナッツメグ)、ソルビン酸0.1重量部およびフマル酸0.1重量部を、この順に高速カッターに添加し、さらに、5分間混合した。
【0026】これら一連の混合作業を通じて得られた混合物を、充填機を用いて羊腸ケーシングに充填した。 そして、これら羊腸ケーシングを、75℃の温度で60分間蒸煮して、細挽ウィンナーを得た。
【0027】また、豚モモ肉として、約5mm角に細断した新鮮な豚モモ肉(ミンチ肉)を用い、また高速カッターに代えてミキサーを用いた以外は、細挽ウィンナーの製造方法と同様にして、荒挽ウィンナーも得た。
【0028】このようにして得られた細挽ウィンナーと荒挽ウィンナーの双方は、いずれもが美麗な白色を呈しており、またこれらを食したところ、ソーセージ本来の食味が維持されており、美味であった。
【0029】実施例2:乳化油脂の検討乳化油脂として、粉末乳化油脂(PF-70)と乳化油脂液(カゼインナトリウムとデキストリンの混合物)を準備した。
【0030】そして、乳化油脂の組成と使用量およびソーセージの熱処理条件を、以下の表1に記載のように変化させた以外は、実施例1に記載のソーセージの製造方法に従って8点のウィンナーソーセージ■〜■を得た。
【0031】
【表1】

【0032】また、これらウィンナーソーセージ■〜■の各々を、色差計(MODEL1001DP:日本電色工業株式会社製)に適用して、各ウィンナーソーセージ表面の色調(明度および色相)を数値化した。 同時に、これら8点のウィンナーソーセージ■〜■に関して、熟練したパネラー10名による官能評価を行った。 それらの結果を、以下の表2に記した。 なお、官能評価の欄には、最多数の意見を掲載した。
【0033】
【表2】

【0034】表1と表2に記載の結果から明らかなように、本発明に従って粉末乳化油脂を使用したソーセージにおいて美麗な白色が発現されており、また、細挽ウィンナーよりも荒挽ウィンナーの方が鮮明な白色を呈することが明らかとなった。
【0035】実施例3:乳化油脂添加量の検討乳化油脂の添加量が最終製品の品質に与える影響を、以下の手順に従って検討した。 すなわち、表3に記載したように、原料肉での乳化油脂の添加量をソーセージ原料の0.5〜25.0重量%の範囲で変化させた以外は、実施例1に記載の荒挽ソーセージの製造手順に従って、8点の本発明の乳化油脂配合ソーセージA〜Hを製造した。
【0036】
【表3】

【0037】このようにして得られた8点のソーセージの表面色調、破断応力および官能評価を、以下の手順で実施して、各評価結果を、以下の表4および5に記した。
【0038】表面色調 −− ソーセージを、色差計(MODEL1001DP:日本電色工業株式会社製)に適用して、各ソーセージ表面の色調(明度および色相)を数値化した。
【0039】破断応力 −− ソーセージを1cm厚の輪切りにして、切断面の破断応力を、レオメーター(不動工業株式会社製、3mmプランジャー使用、10測定点平均値)を得た。
【0040】官能評価 −− 熟練したパネラー10名に、ソーセージA〜Hのそれぞれを試食してもらい、ソーセージの色、食感、味の3項目について評価してもらった。
【0041】なお、官能評価の各欄には、最多数の意見を掲載した。
【0042】
【表4】

【0043】
【表5】

【0044】表4および5に記載の結果から明らかなように、ソーセージ原料の約1〜約20重量%の量の乳化油脂を利用することで、美麗な白色を呈するソーセージの実現に至り、また、乳化油脂の添加量をソーセージ原料の約5〜約10重量%に加減することで特に良好な食感と食味をさらに獲得できていることが明らかとなった。
【0045】
【発明の効果】このように、本発明によると、所期の目的であった、ソーセージ本来の食味を損なわず、また、脂肪分離を招かずに、くすみの無い美白のノンスモークソーセージを実現できるのである。
【出願人】 【識別番号】000118497
【氏名又は名称】伊藤ハム株式会社
【出願日】 平成14年1月15日(2002.1.15)
【代理人】 【識別番号】100065868
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 嘉宏 (外2名)
【公開番号】 特開2003−204752(P2003−204752A)
【公開日】 平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願番号】 特願2002−5759(P2002−5759)