| 【発明の名称】 |
農薬組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】井上 大輔 【住所又は居所】滋賀県野洲郡野洲町野洲1041 三共株式会社内
【氏名】大河内 武夫 【住所又は居所】滋賀県野洲郡野洲町野洲1041 三共株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】環境に有害な芳香族有機溶剤や脂肪族有機溶剤を含有せず、乳化安定性に優れた水性懸濁農薬組成物を提供する。
【解決手段】N−(ホスホノメチル)グリシンのイソプロピルアミン塩などのN−(ホスホノメチル)グリシン及びその塩からなる群から選ばれる第一農薬活性成分と、例えばγ−(2−メチル−4−クロロフェノキシ)酪酸エチルエステルなどの水難溶性の第二農薬活性成分とを含む水性懸濁形態の農薬組成物であって、アニオン及びノニオン界面活性剤などの乳化剤、ポバール変性アクリル酸エステル共重合体などの高分子乳化安定化剤、及びキサンタンガムなどの増粘剤を含む農薬組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 N−(ホスホノメチル)グリシン及びその塩からなる群から選ばれる第一農薬活性成分と水難溶性の第二農薬活性成分とを含む水性懸濁形態の農薬組成物であって、乳化剤、高分子乳化安定化剤、及び増粘剤を含む農薬組成物。 【請求項2】 第一農薬成分がN−(ホスホノメチル)グリシン、又はそのアンモニウム塩、イソプロピルアミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩若しくはトリメチルスルホニウム塩である請求項1に記載の農薬組成物。 【請求項3】 第一農薬成分がN−(ホスホノメチル)グリシンのイソプロピルアミン塩である請求項1に記載の農薬組成物。 【請求項4】 第二農薬成分がオイル状物質である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の農薬組成物。 【請求項5】 第二農薬成分がフェノキシアルキル酸エステル類である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の農薬組成物。 【請求項6】 第二農薬成分がγ−(2−メチル−4−クロロフェノキシ)酪酸エチルエステルである請求項5に記載の農薬組成物。 【請求項7】 実質的に有機溶剤を含有しない請求項1ないし6のいずれか1項に記載の農薬組成物。 【請求項8】 乳化剤がノニオン界面活性剤、又はアニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤との混合物である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の農薬組成物。 【請求項9】 アニオン界面活性剤がドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムであり、ノニオン界面活性剤がカスターオイルエチレンオキサイド付加物である請求項8に記載の農薬組成物。 【請求項10】 高分子乳化安定化剤がポバール変性アクリル酸エステル共重合体である請求項1ないし9のいずれか1項に記載の農薬組成物。 【請求項11】 増粘剤がキサンタンガムである請求項1ないし10のいずれか1項に記載の農薬組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は農薬組成物に関するものである。より具体的には、本発明は環境に有害な芳香族有機溶剤や脂肪族有機溶剤を含有せず、乳化安定性に優れた水性懸濁農薬組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】農薬組成物中に少なくとも2種類以上の活性成分を含有する組成物が知られている。このような組成物では、活性成分を組み合わせることによって活性成分の作用を改良することができ、あるいは除草用の活性成分の植物毒性を軽減できるほか、農薬組成物の適用性質を改良することができるなど有利な点が多い。このような観点から種々の活性成分の組み合わせを含む農薬組成物が提案されている。例えば、除草剤として用いられるN−(ホスホノメチル)グリシン(以下、本明細書において「グリホサート」と呼ぶ場合がある。)については、イソプロピルアン塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、又はトリメチルホスホニウム塩等と他の農薬成分とを含む水性配合懸濁製剤が提案されている。 【0003】例えば、特開昭63−22002号公報には、有機溶剤、水、界面活性剤、及び2種以上の有効成分を含有する除草剤組成物において、グリホサートの水溶性塩、有機溶剤に可溶性のメトラクロル又はリニュロンなどの有効物質、及び4種の異なる界面活性剤の組み合わせからなる界面活性剤混合物を含む乳化状態の除草剤組成物が開示されている。この組成物は調製済みの調合物として提供され、安定性に優れるという特徴がある。 【0004】特開平2−17104号公報には、グリホサートの水溶性塩、それぞれ15μmより大きなサイズを有する粒子を実質的に含まない粒子状固体としてのシマジン及びジウロン、3種の異なる界面活性剤の混合物、及び水溶性/水分散性増粘剤を含む組成物が開示されている。この組成物は保存安定性に優れ、活性成分間での化学的相互作用が低減されているほか、任意の濃度で組成物を水中に容易に分散できるという特徴がある。 【0005】また、特開平3−24004号公報には、固形状分散されたリニュロン、水溶性のグリホサート塩、リグニンスルホネート及びアルキルナフタレンスルホン酸塩を含む界面活性剤混合物、湿潤剤などの補助剤、及び水を含む除草用組成物が開示されている。この組成物では組成物中におけるリニュロンの結晶化の成長が上記の界面活性剤の組み合わせにより抑制されている。 【0006】これらの組成物は乳化剤又は分散剤を用いて懸濁状態を安定化させたものであり、使用の際には水で希釈して一般的にはスプレー散布することにより用いられる。しかしながら、これらの組成物では保存中に懸濁物の凝集や粒子成長が生じる場合があり、あるいは二層に分離するなどの問題が生じる場合があった。また、組成物を水で希釈した場合にクリーム状態となって取り扱い性が低下するほか、乳化粒子の凝集や沈殿が生じ、そのような問題に起因するスプレーノズルの閉塞などの問題が生じる場合もあった。 【0007】また、農薬散布液は環境中に施用されることから低毒性であることが望まれるが、上記の公報に開示された組成物のいくつかにおいても用いられている有機溶剤、特に芳香族系有機溶剤は、臭気や毒性などの観点から使用を排除することが望ましい。グリホサートを含む水性懸濁状態の農薬組成物として、製剤中での乳化懸濁安定性を高め、散布液の施用箇所を容易に確認できるようにする目的で有機溶剤を添加した農薬組成物も提案されているが(特表平4-502618号公報、特開平5−112414号公報、特開平9−241111号公報)、これらの農薬組成物についても有機溶剤による臭気や環境悪化の問題が同様に懸念される。 【0008】もっとも、これらの組成物に含まれる有機溶剤を排除した場合には、グリホサートの水溶性塩に由来する水中の電解質の存在により、難溶性の活性成分が強い塩析効果を受けて沈殿を生成するなどの問題が生じる場合があり、安定な懸濁状態を維持することが困難になる。この問題は、有機溶剤の添加量が減らすにつれて深刻になる。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題はグリホサートを活性成分として含む農薬組成物を提供することにある。より具体的には、本発明の課題は、グリホサートを活性成分として含む農薬組成物であって、乳化安定性に優れており、かつ環境に有害な芳香族有機溶剤や脂肪族有機溶剤などの有機溶剤を含有しない水性懸濁の形態の農薬組成物を提供することにある。また、農薬組成物を水で希釈した場合に乳化粒子の凝集や沈殿を生じることがなく、取り扱い性に優れた水希釈液を容易に調製することができる農薬組成物を提供することも本発明の課題である。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、グリホサート及びその塩からなる群から選ばれる第一農薬成分とオイル状物質である第二農薬成分とを含む水性の農薬組成物において、乳化剤、ポバール変性アクリル酸エステル共重合体、及び増粘剤を添加することにより、保存安定性に優れ、かつ安定で取り扱い性に優れた水希釈液を容易に調製可能な農薬組成物を提供できることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。 【0011】すなわち、本発明は、N−(ホスホノメチル)グリシン及びその塩からなる群から選ばれる第一農薬活性成分と水難溶性の第二農薬活性成分とを含む水性懸濁形態の農薬組成物であって、乳化剤、高分子乳化安定化剤、及び増粘剤を含む農薬組成物を提供するものである。 【0012】本発明の好ましい態様によれば、第一農薬成分がN−(ホスホノメチル)グリシン、又はそのアンモニウム塩、イソプロピルアミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩若しくはトリメチルスルホニウム塩である上記の農薬組成物;第一農薬成分がN−(ホスホノメチル)グリシンのイソプロピルアミン塩である上記の農薬組成物;第二農薬成分がオイル状物質である上記の農薬組成物;第二農薬成分がフェノキシアルキル酸エステル類である上記の農薬組成物;第二農薬成分がγ−(2−メチル−4−クロロフェノキシ)酪酸エチルエステル(MCPBエチルエステル)である上記の農薬組成物;実質的に有機溶剤を含有しない上記の農薬組成物;実質的に芳香族系有機溶剤、脂肪族系有機溶剤、及びグリコール化合物からなる群から選ばれる有機溶剤を含有しない上記の農薬組成物が提供される。 【0013】本発明のさらに好ましい態様によれば、乳化剤がノニオン界面活性剤、又はアニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤との混合物である上記の農薬組成物;アニオン界面活性剤がドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムであり、ノニオン界面活性剤がカスターオイルエチレンオキサイド付加物である上記の農薬組成物;高分子乳化安定化剤がポバール変性アクリル酸エステル共重合体である上記の農薬組成物;増粘剤がキサンタンガムである上記の農薬組成物;さらに乳化安定剤、湿潤剤、及びpH調整剤からなる群から選ばれる1又は2以上の補助剤を含む上記の農薬組成物;組成物の粘度が300mPa・s以上である上記の農薬組成物;該農薬組成物を水で希釈することにより調製することができるスプレー用の水希釈液;及び該組成物を水で希釈した場合に平均粒子径が20.0μm以下の乳化粒子を含む水希釈液を調製可能な上記の農薬組成物が提供される。 【0014】本発明の特に好ましい態様として、a)N−(ホスホノメチル)グリシンのイソプロピルアミン塩、b)γ−(2−メチル−4−クロロフェノキシ)酪酸エチルエステル、c)ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、d)カスターオイルエチレンオキサイド付加物、e)ポバール変性アクリル酸エステル共重合体、f)キサンタンガム、及びg)水を含む水性懸濁形態の農薬組成物が提供される。 【0015】別の観点からは、除草方法であって、N−(ホスホノメチル)グリシン及びその塩からなる群から選ばれる第一農薬活性成分と水難溶性の第二農薬活性成分とを含む水性懸濁形態の農薬組成物であって、乳化剤、高分子乳化安定化剤、及び増粘剤を含む農薬組成物を水で希釈して得られる水希釈液の有効量を除草すべき土壌に適用する工程を含む方法;雑草の生育抑制方法であって、N−(ホスホノメチル)グリシン及びその塩からなる群から選ばれる第一農薬活性成分と水難溶性の第二農薬活性成分とを含む水性懸濁形態の農薬組成物であって、乳化剤、高分子乳化安定化剤、及び増粘剤を含む農薬組成物を水で希釈して得られる水希釈液の有効量を除草すべき土壌に適用する工程を含む方法が本発明により提供される。この方法の好ましい態様によれば、スプレーにより適用する工程を含む上記方法が提供される。 【0016】 【発明の実施の形態】本発明の農薬組成物は、グリホサート及びその塩からなる群から選ばれる第一農薬活性成分と水難溶性の第二農薬活性成分とを含む水性懸濁形態の農薬組成物であって、乳化剤、高分子乳化安定化剤、及び増粘剤を含むことを特徴としている。 【0017】第一農薬成分であるグリホサートは公知の除草剤であり、市販品を容易に入手可能である。グリホサートの塩としては農薬として使用可能なものであればその種類は特に限定されない。例えば、有機又は無機のいずれの塩であってよいが、好ましくは水溶性の塩を用いることができる。例えば、無機塩基塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩のようなアルカリ土類金属、アンモニウム塩等を挙げることができ、有機塩基塩としては、例えば、ジメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、イソプロピルアミン塩、ジイソプロピルアミン塩、ピペラジン塩、ピロリジン塩、ピペリジン塩、2−フェニルエチルベンジルアミン塩、ベンジルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩のようなアミン塩、トリエチルスルホニウム塩のようなスルホニウム塩等を挙げることができる。好適には、アンモニウム塩、イソプロピルアミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩、又はトリメチルスルホニウム塩を用いることができ、さらに好適にはイソプロピルアミン塩を用いることができる。グリホサート及びその塩からなる群から選ばれる第一農薬活性成分の含有量は特に限定されないが、例えば組成物100質量部に対して0.1〜20質量部程度である。 【0018】第二農薬成分である水難溶性の農薬成分の種類は特に限定されず、水難溶性の農薬成分であればいかなるものを用いてもよい。本明細書において「水難溶性」の語は水に溶けにくい、水に極めて溶けにくい、あるいは水にほとんど溶けないなどの性状を意味しているが、この語はいかなる意味においても限定的に解釈してはならない。第二農薬成分の作用も特に限定されず、殺虫剤、殺菌剤、除草剤などのいずれであってもよいが、除草剤であることが好ましい。第二農薬成分としては、好適には常温及び常圧においてオイル状を呈する物質を好適に用いることができる。「オイル状」とは水難溶性の物質について固体又は気体の状態以外の性状を意味しているが、結晶あるいは非結晶状態の固体物質を少量含んでいてもよく、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。第二農薬成分として2種以上の農薬成分を組み合わせて用いてもよい。 【0019】より具体的には、第二農薬成分として除草剤として用いられているフェノキシアルキル酸エステル類を好ましく用いることができる。フェノキシアルキル酸エステル類としては、フェノチオール、2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸(MCPA)又はそのナトリウム塩若しくはカリウム塩、2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸エチルエステル、2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸アリルエステル、2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸ブチルエステル、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)又はそのナトリウム塩若しくはジメチルアミン塩、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸エチルエステル、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸イソブチルエステル、γ−(2−メチル−4−クロロフェノキシ)酪酸(MCPB)又はそのナトリウム塩、γ−(2−メチル−4−クロロフェノキシ)酪酸エチルエステルなどを挙げることができる。これらのうち、好ましくは常温及び常圧でオイル状を呈する物質が好ましく、特に好ましくはγ−(2−メチル−4−クロロフェノキシ)酪酸エチルエステルを用いることができる。第二農薬活性成分の含有量は特に限定されないが、例えば組成物100質量部に対して0.1〜10質量部程度である。 【0020】乳化剤としては、農薬組成物の製造に通常用いられるものであればその種類は特に限定されないが、水難溶性の第二農薬成分を水中に細かな粒子として、好ましくは20ミクロン以下の粒子として安定に乳化させる性能を有するものを選択することが望ましい。好適には、低度硫酸化油、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム、石油スルホネート、セッケン(ナトリウムおよび有機アミン塩)、高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸モノグリセライド、スパン型非イオン乳化剤、高級アルコールエチレンオキサイド3〜6モル付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド3〜6モル付加物、低番手ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ツイーン型非イオン乳化剤、高級アルコールエチレンオキサイド8〜20モル付加物、又は高番手ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、あるいはそれらに準じた性能を有する乳化剤を用いることができる。これらの乳化剤は単独で用いてもよいが、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。 【0021】第二農薬成分を水中に20ミクロン以下の粒子として安定に乳化させる性能を有する乳化剤として、HLBの比較的低いアニオン界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムとHLBの比較的高いノニオン界面活性剤であるカスターオイルエチレンオキサイド付加物とを組み合わせて用いることが好ましい。本発明の組成物における乳化剤の使用量は特に限定されず、例えば組成物の100質量部に対して0.1〜10質量部程度の範囲から適宜選択可能である。乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムとカスターオイルエチレンオキサイド付加物とを組み合わせて用いる場合には、組成物100質量部に対してドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムを0.3〜0.6質量部、カスターオイルエチレンオキサイド付加物を1.0〜3.0質量部の割合で用いることが好ましい。 【0022】高分子乳化安定化剤としては、組成物中の乳化粒子に対して安定化作用を有する高分子化合物であればその種類は特に限定されないが、水に対して溶解又は分散するものであり、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/アクリル酸共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、又はポバール変性アクリル酸エステル共重合体などを挙げることができる。さらに好ましくは、ポリビニルアルコール又はポバール変性アクリル酸エステル共重合体を用いることができ、特に好ましくはポバール変性アクリル酸エステル共重合体を用いることができる。本発明の組成物における高分子乳化安定化剤の分子量は、例えば500〜10000である。本発明の組成物では1種類の高分子乳化安定化剤を用いてもよいが、2種以上の高分子乳化安定化剤を用いてもよい。本発明の組成物における高分子乳化安定化剤の使用量は特に限定されず、例えば組成物の100質量部に対して0.1〜10質量部程度の範囲から適宜選択可能である。例えば、組成物100重量部に対して高分子乳化安定化剤を0.1〜5.0質量部の割合で用いることができる。 【0023】増粘剤の種類は特に限定されず、例えば農薬の分野において通常用いられる増粘剤のほか、一般的にケーキング防止剤又は乳化物の沈降防止剤として用いられる増粘作用を有する物質や、例えば食品又は医薬品などの他の分野において増粘剤として用いられる物質はいずれも使用可能である。例えば、ホワイトカーボン、アラビアガム、トラガントガム、キサンタンガム、グアーガム、ローストビーンガム、カゼイン、アルギン酸、セルロース系ポリッサッカライド、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルミノ珪酸塩、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト等が挙げられる。これらの増粘剤を単独で用いてもよいが、2種以上の増粘剤を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、有機系増粘剤を用いることが好ましく、特に好ましいのはキサンタンガムである。本発明の組成物の粘度は特に限定されないが、調製直後の粘度が300mPa・s以上であることが好ましい。粘度測定は常法により行うことができるが、例えば本明細書の実施例に具体的に示した方法により測定を行うことができる。 【0024】本発明の農薬組成物には、必要により湿潤剤を添加することができる。湿潤剤としては界面活性剤を用いることができるが、その種類は特に限定されず、農薬の分野において通常用いられる湿潤剤はいずれも利用可能である。湿潤剤は、組成物を水で希釈して得られる水希釈液を標的の土壌や植物に噴霧する場合に、該希釈液の標的への付着性を向上させる作用を有する。湿潤剤として用いられる界面活性剤としては、例えばアニオン性、カチオン性、ノニオン性、又は両性界面活性剤等のいずれであってもよい。湿潤剤として2種以上の界面活性剤を組み合わせて用いてもよい。 【0025】湿潤剤として用いられるアニオン性界面活性剤としては、アルキル燐酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルアリール燐酸エステル塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル燐酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、アルキルフェノール燐酸塩、アルキルフェノール燐酸エステル塩、アルキルフェノール硫酸塩、アルキルフェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール燐酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール燐酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール硫酸エステル塩、スチリルフェノール燐酸塩、スチリルフェノール燐酸エステル塩、スチリルフェノール硫酸塩、スチリルフェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンスチリルフェノール燐酸塩、ポリオキシアルキレンスチリルフェノール燐酸エステル塩、ポリオキシアルキレンスチリルフェノール硫酸塩、ポリオキシアルキレンスチリルフェノール硫酸エステル塩、ジスチリルフェノール燐酸塩、ジスチリルフェノール燐酸エステル塩、ジスチリルフェノール硫酸塩、ジスチリルフェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンジスチリルフェノール燐酸塩、ポリオキシアルキレンジスチリルフェノール燐酸エステル塩、ポリオキシアルキレンジスチリルフェノール硫酸塩、ポリオキシアルキレンジスチリルフェノール硫酸エステル塩、トリスチリルフェノール燐酸塩、トリスチリルフェノール燐酸エステル塩、トリスチリルフェノール硫酸塩、トリスチリルフェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレントリスチリルフェノール燐酸塩、ポリオキシアルキレントリスチリルフェノール燐酸エステル塩、ポリオキシアルキレントリスチリルフェノール硫酸塩、ポリオキシアルキレントリスチリルフェノール硫酸エステル塩、アルキルサクシネートスルホン酸塩、ジアルキルサクシネートスルホン酸塩又はポリオオキシアルキレンジアルキルサクシネートスルホン酸塩などを挙げることができる。湿潤剤として用いられるカチオン性界面活性剤としては脂肪族第三級アミン若しくはその塩、脂肪族第三級アミン脂肪族アミンアルキレンオキサイド付加物若しくはその塩、又は脂肪族第四級アミン塩などを挙げることができる。 【0026】湿潤剤として用いられるノニオン性界面活性剤としては、脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレンオキシ脂肪酸エステル、ソルビタン系界面活性剤若しくはそのアルキレンオキサイド付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルポリサッカライド系界面活性剤、シュクログリセライド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェノールエーテル、ポリオキシアルキレンジスチリルフェノールエーテル、又はポリオキシアルキレントリスチリルフェノールエーテルなどを挙げることができる。 【0027】本発明の農薬組成物には、必要に応じてpH調節剤、凍結防止剤、防微生物剤などの農薬の製造に通常用いられる補助剤の1種又は2種以上を添加することができる。これらの成分は農薬組成物の性状や使用の形態、製造工程などの種々の条件に応じて当業者が適宜選択可能である。このような補助剤の添加量も特に限定されず、上記に例示した種々の条件に応じて当業者が適宜選択可能であるが、組成物の乳化安定性に影響を与えない範囲で使用することが望ましい。 【0028】本発明の農薬組成物の製造方法は特に限定されず、任意の方法で製造可能である。本発明の農薬組成物は、例えば、以下の方法に従って好適に製造可能であるが、本発明の農薬組成物の製造方法は下記のものに限定されず、また本発明の農薬組成物は下記の方法により製造されたものに限定されることはない。 【0029】オイル状の第二農薬成分に乳化剤を添加して乳剤プレミックスを調製し、その後、攪拌しながら該混合物に水を徐々に加えて転層乳化させる。次いで、アクリル酸エステル、ポリビニルアルコール、又はポバール変性アクリル酸エステル共重合体などの高分子乳化安定化剤を添加し、第二農薬成分のO/W型懸濁液を調製する。ついで増粘剤を添加して懸濁液を均一化し、その後にグリホサートの水溶性塩を含む水溶液(例えばイソプロピルアミン塩の62%水溶液)を加えて混合することにより本発明の農薬組成物を調製することができる。 【0030】上記の工程における乳化工程を行うための手段は特に限定されないが、コロイドミル、スターティックミキサー、ターボ攪拌機、ポリトロン、ディスパーミル、ホモミキサー、マイクロフルイダイザー、又はそれらに準じた装置を用いて混合物に剪断力を与えることができる。第二農薬成分を含むO/W型エマルジョンの調製後に行われる増粘剤及びグリホサート水溶液の添加及び混合は特に乳化機器を必要とせずに行うことが可能である。 【0031】いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、本発明の農薬組成物の好適な態様において、グリホサートの水溶性塩は水中に塩の状態で溶解して連続相である電解質溶液を形成しているが、電解質溶液を連続相とする懸濁液では粒子間の電気斥力が減少する傾向にあり、乳化粒子が凝集する傾向を示す。本発明の組成物に含まれる高分子乳化安定化剤は乳化粒子の表面に吸着層を形成して粒子の凝集を阻害する。また、本発明の組成物では、乳化粒子が十分に安定化されており、有機溶剤を添加する必要がない。本明細書において「水性懸濁形態の農薬組成物」とは乳化粒子の形成のために用いられる有機溶剤を実質的に含まない農薬組成物を意味している。本発明の有機溶媒は、例えば芳香族系有機溶剤、脂肪族系有機溶剤、及びグリコール化合物からなる群から選ばれる有機溶剤を実質的に含有しない組成物として調製可能である。もっとも、凍結防止剤として少量のエチレングリコールなどのグリコール化合物を配合する場合もあり、このような態様を排除するものではない。 【0032】本発明の農薬組成物の使用方法も特に限定されないが、一般的には、農薬組成物を上記のようにして調製した後、スプレーによる散布などに適した適宜の水希釈液を調製し、それを土壌や植物体に施用すればよい。水希釈液の調製方法は特に限定されず、希釈液として用いる適宜の量の水に対して農薬組成物を添加して適宜の手段で混合すればよい。希釈の程度も特に限定されず、施用すべき土壌や植物体の面積や除草などの農薬適用の目的などに応じて、農薬成分が散布後に適宜の濃度で土壌や植物体に接触するように水希釈液の濃度を決定することができる。なお、グリホサートの施用量は当業者に周知であることから、一般的には、グリホサートの施用量が適当な範囲となるように水希釈液の濃度を調節することができる。また、水希釈液において乳化粒子の平均粒子径が20.0μm以下となることが望ましいが、水希釈液において上記の乳化粒子を含む水希釈液を調製可能な農薬組成物は本発明の好ましい態様である。 【0033】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例により限定されることはない。なお、実施例中の成分割合は「質量部」で示した。 例1(1)γ−(2−メチル−4−クロロフェノキシ)酪酸エチルエステル(以下、実施例において「MCPBエチル」と略す:純度91.0%)70部にニューコール263H(登録商標、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩70%、日本乳化剤株式会社製)6部及びニューコール1515(登録商標、ひまし油エチレンオキサイド15mol付加物、日本乳化剤株式会社製)24部を加えた。この混合物を攪拌してMCPBエチル63.7%を含有する乳剤プレミックスを得た。 (2)上記工程(1)で得られた乳剤プレミックス7.38部(最終処方中にMCPBエチル4.7部)に水44.43部を徐々に加え攪拌した後、ディスロールAQ3(登録商標、ポバール変性アクリル酸エステル共重合体30%、日本乳化剤株式会社製)2.0部を添加し、しばらく攪拌した。その後、尿素1.0部、Rhodopol23(登録商標、キサンタンガム、ローディア日華社製)1.0%液を30部加えてしばらく攪拌した。ついで、予め調製されたグリホサートイソプロピルアミン塩水溶液(濃度:62.5W/W%)を13.19部(最終処方中、グリホサートイソプロピルアミン塩8.24部)添加して攪拌し、ついで、水酸化ナトリウム20%液を2.0部加えて攪拌することにより、農薬組成物100部を得た。以上の全工程操作は、スリーワンモーターにより行った。 【0034】例2ニューコール1515に替えてニューコール1533(登録商標、ひまし油エチレンオキサイド25mol付加物、日本乳化剤株式会社製)を用いた以外は例1と同様な方法で農薬組成物を得た。 例3ニューコール1515に替えてニューコール1545(登録商標、ひまし油エチレンオキサイド25mol付加物、日本乳化剤株式会社製)を用いた以外は例1と同様な方法で農薬組成物を得た。 【0035】例4ニューコール1515に替えてTP−639(ひまし油エチレンオキサイド9mol付加物、日本乳化剤株式会社製)を用いた以外は例1と同様な方法で農薬組成物を得た。 例5例1で得られた組成物に最終的に尿素1部を添加した農薬組成物を調製した。 【0036】例6ニューコール263Hを添加しない以外は例1と同様にして農薬組成物を得た。 例7ディスロールAQ3を添加しない以外は例1と同様にして農薬組成物を得た。 例8ニューコール1515に替えてニューコール1533を用い、Rhodopol23を用いなかった以外は例1と同様にして農薬組成物を得た。 【0037】例9ニューコール1515に替えてニューコール1545を用い、Rhodopol23を用いなかった以外は例1と同様にして農薬組成物を得た。 例10ニューコール1515に替えてTP−639を用い、Rhodopol23を用いなかった以外は実施例1と同様な方法で、水性懸濁農薬組成物を得た。 例11Rhodopol23 1.0%液を15部とした以外は例1と同様にして水性懸濁農薬組成物を得た。 【0038】試験例1上記の例1〜11で得られた農薬組成物をガラス瓶に封入して静置した後、サンプルの上澄み又はガラス瓶底部の様子(外観)を目視により観察した。 評価記号 外観A 分離なし。 B 白色懸濁成分のガラス瓶底部への沈降あり。 C 層分離が起こっている。 D ガラス瓶底部にMCBPエチル(オイルが大粒状になったもの)が形成されている。 E 沈降はないが懸濁部が凝集している。 【0039】試験例2上記の例1〜11で得られた農薬組成物(調製直後)又は50℃で14日間保存した該組成物2.5gを250ml×3°硬水/250mlメスシリンダーに滴下して30回振り、その後20℃で2時間放置した。サンプルの上澄み又は組成物底部の様子(外観)を目視により観察した。サンプルは試験前によく振って均一化させた。 評価記号 外観A 分離なし(均一に乳化分散している)。 B メスシリンダー底部に乳化物の沈降、あるいは固まりが見られる。 C 上澄みにクリーム状乳化物が浮遊している。 【0040】試験例3乳化粒子平均粒径(μm)を粒度測定機(LA-700、堀場製作所株式会社製)により測定した。サンプル0.5gを精製水100mlに分散させ、超音波を3分かけて均一に分散させた後、LA-700により透過率70〜80%にて3分インキュベートして粒度を測定した。得られた測定値は乳化粒子のメジアン径であり、単位はμmである。サンプルは試験前によく振って均一化させた。 【0041】試験例4得られた農薬組成物の粘度を粘度計(Blook Field、TOKIMEC INC製)を用いて測定した。測定条件は液温20℃、回転数30rpmとし、ローターNo.2を用いて測定した。測定結果の数値単位はmPa・sとした。サンプルは試験前によく振って均一化させた。 【0042】試験例5得られた農薬組成物を−5℃で3日間保存して凍結の有無を確認した。この試験では試験前にサンプルの均一化を行わなかった。 【0043】 【表1】
【0044】ディスロールAQ3(ポバール変性アクリル酸エステル共重合体)を添加しなかった例7の組成物では安定性が著しく低下していた。また、Rhodopol23(キサンタンガム)を添加しない組成物では虐待経時により外観上の安定性が損われており、二層分離を生じた組成物は、冷却試験において凍結が認められた。一方、乳化剤としてアニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤との混合物を含む組成物はいずれも極めて優れた安定性を有していた。 【0045】 【発明の効果】本発明の農薬組成物は安定性に優れており、かつ環境に有害な芳香族有機溶剤や脂肪族有機溶剤などの有機溶剤を含有しない水性懸濁の形態の農薬組成物として提供される。また、農薬組成物を水で希釈した場合に乳化粒子の凝集や沈殿を生じることがなく、取り扱い性に優れた水希釈液を容易に調製することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】303020956 【氏名又は名称】三共アグロ株式会社 【住所又は居所】東京都文京区本郷4−23−14
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| 【出願日】 |
平成14年5月31日(2002.5.31) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−342108(P2003−342108A) |
| 【公開日】 |
平成15年12月3日(2003.12.3) |
| 【出願番号】 |
特願2002−159055(P2002−159055) |
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