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【発明の名称】 工業用抗菌組成物
【発明者】 【氏名】加 藤 義 晃
【住所又は居所】大阪市東淀川区小松2丁目15番52号 シントーファイン株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチルと、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミドの3種を有効成分として含有することを特徴とする工業用抗菌組成物。
【請求項2】対象物がポリ塩化ビニルであることを特徴とする請求項1に記載の工業用抗菌組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリ塩化ビニルなどのプラスチック、エマルション塗料、油性塗料、接着剤、シーリング剤、インキ、木材、皮革、繊維などの各種工業用原材料および製品などが、細菌、酵母、糸状菌、藻類などの微生物により腐敗および劣化するのを防止するための新規な工業用抗菌組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】これまで、各種の工業用抗菌剤が開発され、使用されてきた。その例として、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等のピリジン系化合物、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾリン系化合物、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル等のベンズイミダゾール系化合物、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、ジヨードメチル−パラトリルスルフォン等のヨード系化合物、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル等のニトリル系化合物、オルトフェニルフェノール、パラクロロメタキシレノール等のフェノール系化合物、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド等のフタルイミド系化合物等が知られており、これら抗菌剤を複数組み合わせても使用されている。
【0003】複数の抗カビ剤を組み合わせて使用されている例として、例えば2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールの混合物が特開昭56−113706に、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチルを含む2−ベンズイミダゾールカルバミン酸低級アルキルエステルと2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物が特告昭61−31081に、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートと2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチルの混合物が特告平5−42405に、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチルとN−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミドの混合物が特告昭61−17802に示されているが、抗菌効果が十分ではない場合があったり、人畜に対する毒性が強くて使用量が制限されたり、あるいは長期間にわたる残効性に乏しいものがあった。そのため、より使用量が少なく、より抗菌効果の高い抗菌組成物が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者はこのような課題を解決するため鋭意研究した結果、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチルと、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミドからなる抗菌組成物を添加することで、少ない薬量の使用で工業用原材料や製品を劣化させる各種微生物の生育を長期間にわたって防止可能であることを見出し本発明に至った。すなわち、本発明はポリ塩化ビニルなどのプラスチック、エマルション塗料、油性塗料、接着剤、シーリング剤、インキ、木材、皮革、繊維などの各種工業用原材料および製品などが、細菌、酵母、糸状菌、藻類などにより劣化するのを防止するための新規な工業用抗菌組成物に関するものである。本組成物を添加する対象物としては、成形時に熱がかかるため抗菌組成物に耐熱性が要求されるプラスチックが好ましく、そのうち可塑剤などが含まれることによってより微生物の攻撃を受けやすいポリ塩化ビニルがより好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】発明の抗菌組成物である2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチルと、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミドの比率は特には制限されない。これらの組成物の剤型は特には制限されず粉体でも液体でも差し支えない。本組成物はこれらの化合物を含む以外に、必要に応じて溶媒や分散剤、増量剤、増粘剤などを配合することも可能である。
【0006】溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロンなどのケトン系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、酢酸エチル、安息香酸メチル、フタル酸ジメチル、アジピン酸ジエチルなどのエステル系溶媒、トルエン、キシレン、メチルナフタレンなどの芳香族系溶媒、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族または脂環式炭化水素系溶媒、パラフィン類、灯油、軽油などの石油留分系溶媒、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒、水があげられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、また2種以上を併用しても差し支えない。
【0007】分散剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルなどのノニオン型、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルホサクシネートなどのアニオン型、アルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどのカチオン型、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性型の各種界面活性剤があげられる。もちろんこれらに限定されるものではないし、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても差し支えない。
【0008】増量剤としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、クレー、カオリンなどの無機系鉱物があげられる。この増量剤も、これら例示のみに限定されるものではないし、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても差し支えない。
【0009】増粘剤としては、ザンサンガム、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコールなどの有機系高分子があげられる。この増粘剤もまた、これら例示のみに限定されるものではないし、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても差し支えない。
【0010】本発明を実施例、試験例により詳しく説明するが、本発明がこれらによって限定されるものではない。以下に示した配合比率はすべて重量部である。
【0011】
【実施例1】2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、OITと省略する) 5部を、カープレックスXR(沈降性二酸化ケイ素、塩野義製薬(株)製)5部に吸着させた後、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル(以下、BCMと省略する) 5部と、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド(以下、FCP)と省略する) 5部と軽質炭酸カルシウム 80部を混合したものを実施例1とした。
【0012】
【実施例2】OIT 2部とFCP 2部をKMC−113(ジイソプロピルナフタレン、呉羽化学工業(株)製) 20部に溶解させ、エマルゲンMS−110(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、花王(株)製)2部、ラウリル硫酸ナトリウム 2部を混合したものに水 40部を加えて乳化させたものに、BCM 2部とエマルゲンMS−110 2部とザンサンガム 0.2部と水 27.8部をボールミルであらかじめ8時間粉砕したものとを充分混合したものを実施例2とした。
【0013】
【比較例1】OIT 7.5部を、カープレックスXR 7.5部に吸着させた後、BCM7.5部と、軽質炭酸カルシウム 77.5部を混合したものを比較例1とした。
【0014】
【比較例2 】OIT 7.5部を、カープレックスXR 7.5部に吸着させた後、FCP7.5部と、軽質炭酸カルシウム 77.5部を混合したものを比較例2とした。
【0015】
【比較例3】BCM 7.5部とFCP 7.5部と、軽質炭酸カルシウム 85部を混合したものを比較例3とした。
【0016】
【比較例4】
【0017】
【比較例5】OIT 3部とFCP 3部をKMC−113 86部に溶解させ、エマルゲンMS−110 4部、ラウリル硫酸ナトリウム 4部を混合したものを比較例5とした。
【0018】
【比較例6】FCP 3部をKMC−113 20部に溶解させ、エマルゲンMS−1102部、ラウリル硫酸ナトリウム 2部を混合したものに水 40部を加え乳化させたものに、BCM 3部とエマルゲンMS−110 2部とザンサンガム0.2部と水 27.8部をボールミルであらかじめ8時間粉砕したものとを充分混合したものを比較例6とした。
【0019】試験例1(ポリ塩化ビニルシートの抗カビ試験)
ZEST−1000S(ポリ塩化ビニル、新第一塩ビ(株)製)100部、フタル酸ジイソノニル 50部、ニューカルゲン800(エポキシ化大豆油、竹本油脂(株)製)6部、KH−650W(ホスファイト系安定剤、共同薬品(株)製)0.1部、ステアリン酸亜鉛0.5部を十分混合して調製した塩ビゾルを、ロール成形機を用いて170℃で充分混錬した後、プレス成形機を用いて180℃で3分間加熱することによりポリ塩化ビニルシートを調製した。ロール成形機による混錬時に実施例1および比較例1〜3を表1に示す濃度で添加したポリ塩化ビニルシートを50mm×50mmの大きさに切り取り、無機塩寒天培地(組成:KH2PO4 0.7g、K2HPO4 0.7g、HN4NO3 1g、MgSO4・7H2O 0.7g、NaCl 0.005g、FeSO4・7H2O 0.002g、ZnSO4・7H2O 0.002g、MnSO4・7H2O 0.001g、寒天 15g、イオン交換水 1000ml)に載せ、5種類のカビの混合胞子懸濁液(Aspergillus niger IFO6341、Penicillium funiculosum IAM 7013、Paeci lomyces variotii IAM 5001、Gliocladium virens IFO 6355、Chaetomium globosum IFO 6347)を振りかけ26℃で培養し、経時的に試験片上のカビの生育状況を観察した。
【0020】この結果を表1に示す。判定基準は次の通りである。この結果からわかるように、実施例のOIT、FCP、BCMの3種を有効成分として含有する組成物は、ポリ塩化ビニルに対してより低濃度で良好な抗カビ活性を示した。
0:試験片上にカビの生育が認められない。
1:試験片上の1/3以下にカビの生育が認められる。
2:試験片上の1/3以上にカビの生育が認められる。
【0021】
【表1】

【0022】試験例2(ポリ塩化ビニルシートの抗菌力試験)
試験例1で用いたポリ塩化ビニルシートを50mm×50mmの大きさに切り取り、あらかじめ前培養したStaphylococcus aureus IFO 12732の懸濁液0.4mlをポリ塩化ビニルシートに接種し、40mm×40mmの大きさに切ったポリエチレンフィルムにより被覆し、37℃で保存した。24時間後に、SCDLP培地(組成:カゼイン製ペプトン 17.0g、大豆製ペプトン 3.0g、NaCl 5.0g、KH2PO4 2.5g、グルコース 2.5g、レシチン 1.0g、ポリソルベート80 7.0g、イオン交換水 1000ml)により塩ビシートとポリエチレンフィルムの間の試験菌を洗い出し、洗い出し液中の生菌数を段階希釈法によって測定した。
【0023】この結果を表2に示す。この結果からわかるように、実施例のOIT、FCP、BCMの3種を有効成分として含有する組成物は、ポリ塩化ビニルに対してより低濃度で良好な抗菌活性を示した。
【0024】
【表2】

【0025】試験例3(ポリ塩化ビニル壁紙の抗カビ試験)
PQB83(ポリ塩化ビニル、新第一塩ビ(株)製) 100部、フタル酸ジイソノニル 50部、ホワイトンH(炭酸カルシウム、白石工業(株)製) 100部、NVS914W(二酸化チタンスラリー、日本ピグメント(株)製) 19部、アデカスタブFL100(バリウム/亜鉛系安定剤、旭電化工業(株)製) 3部、AZH−25(アゾジカルボンアミド系発泡剤、大塚化学(株))4.5部を十分混合して調製した塩ビゾルに、実施例1および比較例1〜3を表3に示す濃度で混合したものを紙に150μmの厚みで塗布した後、150℃で25秒間加熱し、その後220℃で50秒間加熱することによりポリ塩化ビニル壁紙を調製した。これを50mm×50mmの大きさに切り取り、無機塩寒天培地(組成:KH2PO4 0.7g、K2HPO4 0.7g、HN4NO31g、MgSO4・7H2O 0.7g、NaCl 0.005g、FeSO4・7H2O 0.002g、ZnSO4・7H2O 0.002g、MnSO4・7H2O 0.001g、寒天 15g、イオン交換水 1000ml)に載せ、5種類のカビの混合胞子懸濁液(Aspergillus niger IFO 6342、 Penicillium funiculosum IFO 6345、Chaetomium globosum IFO 6347、Aureobasidium pullulans IFO 6353、Gliocladium virens IFO 6355)を振りかけ26℃で培養し、経時的に試験片上のカビの生育状況を観察した。このとき試験面オモテはポリ塩化ビニル面が上になるように寒天培地上に載せたもの、試験面ウラは樹脂面が下になるように寒天培地に載せたものである。
【0026】この結果を表3に示す。判定基準は試験例1と同様の通りである。この結果からわかるように、実施例のOIT、FCP、BCMの3種を有効成分として含有する組成物は、ポリ塩化ビニル壁紙に対してより低濃度で良好な抗カビ活性を示した。
【0027】
【表3】

【0028】試験例4(塗料の抗カビ試験)
実施例2および比較例4〜6を表3に示す濃度で含有するアクリル系エマルション塗料(ページ70、神東塗料(株)製)をJIS Z2911に準じてろ紙に処理し風乾させた後、直径30mmに切り取ったものをグルコース−ペプトン培地(組成:グルコース 40g、ペプトン 10g、寒天 25g、蒸留水1000ml)上に載せ、5種類のカビの混合胞子懸濁液(Aspergillus niger IFO 6342、Penicillium funiculosum IFO 6345、Cladosporium cladosporioides IFO 6348、Aureobasidium pullulans IFO 6353、Gliocladium virens IFO6355)をふりかけて26℃で培養し、経時的に試験片上のカビの生育状況を観察した。
【0029】この結果を表4に示す。判定基準は試験例1と同様の通りである。この結果からわかるように、実施例のOIT、FCP、BCMの3種を有効成分として含有する組成物は、塗料に対してより低濃度で良好な抗カビ活性を示した。
【0030】
【表4】

【0031】試験例5(デンプン糊の抗カビ試験)
溶性デンプン(試薬、和光純薬(株)製) 20部と水 80部からなるデンプンスラリーに、表4に示す濃度で実施例2および比較例4〜6を添加して、撹拌しながら70℃に加温し、次いで徐々に冷却しながらデンプン糊を調製した。これら30gを50ml容量のポリビンに入れ、この中に4種類のカビの混合胞子懸濁液(Aspergillus niger IFO 6341、Penicillium citrinum IFO 6352、Cladosporium cladosporioides IFO 6348、Chaetomium globosum IFO 6347)をふりかけて26℃で培養し、経時的に試験片上のカビの生育状況を観察した。
【0032】この結果を表5に示す。判定基準は試験例1と同様の通りである。この結果からわかるように、実施例のOIT、FCP、BCMの3種を有効成分として含有する組成物は、デンプン糊に対してより低濃度で良好な抗カビ活性を示した。
【0033】
【表5】

【0034】
【発明の効果】以上述べたように本発明の2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチルと、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミドの3種を有効成分として含有する抗菌組成物は、ポリ塩化ビニルをはじめとする各種の工業用材料や製品に対して、より少ない薬量で優れた抗菌性を付与することが可能である。
【出願人】 【識別番号】397070417
【氏名又は名称】シントーファイン株式会社
【住所又は居所】大阪市東淀川区小松2丁目15番52号
【出願日】 平成14年5月30日(2002.5.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−342107(P2003−342107A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−156566(P2002−156566)