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【発明の名称】 昆虫忌避性塗工液及びそれからなる層を有する昆虫忌避性積層体
【発明者】 【氏名】藤田 真夫
【住所又は居所】大阪市福島区大開4丁目1番186号 レンゴー株式会社中央研究所内

【氏名】▲高▼野 和哉
【住所又は居所】大阪市福島区大開4丁目1番186号 レンゴー株式会社中央研究所内

【氏名】田中 章雄
【住所又は居所】大阪市福島区大開4丁目1番186号 レンゴー株式会社中央研究所内

【氏名】稲葉 尚
【住所又は居所】大阪市福島区大開4丁目1番186号 レンゴー株式会社中央研究所内

【氏名】坂本 梢
【住所又は居所】大阪市福島区大開4丁目1番186号 レンゴー株式会社中央研究所内

【氏名】久保 充
【住所又は居所】大阪市福島区大開4丁目1番186号 レンゴー株式会社中央研究所内

【要約】 【課題】臭いの少ない昆虫忌避成分含有層を有する板紙、段ボール、紙器及びフィルムを提供することを目的とする。

【解決手段】昆虫忌避性塗工液として、ヒバ油又はヒバ油抽出成分を含む昆虫忌避成分を0.6〜30重量%含有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヒバ油又はヒバ油抽出成分を含む昆虫忌避成分を0.6〜30重量%含有する昆虫忌避性塗工液。
【請求項2】 上記昆虫忌避成分として、上記のヒバ油又はヒバ油抽出成分以外に、松抽出油有効成分、コパイバ抽出物又はコパイバ抽出物の有効成分、レモングラス油、シトロネラ油、ケイ皮油、ユーカリ油、タイム油、丁子油及びアニス油のうちから選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の昆虫忌避性塗工液。
【請求項3】 上記昆虫忌避成分、ニス又はインクを含有する請求項1又は2に記載の昆虫忌避性塗工液。
【請求項4】 上記昆虫が貯穀害虫である請求項1乃至3のいずれかに記載の昆虫忌避性塗工液。
【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の昆虫忌避性塗工液を基材表面に塗工して昆虫忌避成分含有層を形成し、この昆虫忌避成分含有層中の昆虫忌避成分が2〜50重量%である昆虫忌避性積層体。
【請求項6】 上記基材が、段ボール、板紙、紙器及びフィルムから選ばれる請求項5に記載の昆虫忌避性積層体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ヒバ油又はヒバ油抽出成分を含む、昆虫忌避成分を含有する昆虫忌避性塗工液、及びこれからなる層を有する昆虫忌避性積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、加工食品は、工場で製造された後、段ボール等に包装され、輸送手段を介して店舗等に送られる。そして、最終的に家庭等の消費地で消費される。
【0003】この工場、輸送手段や店舗等において、各種の昆虫類が存在し、そのいくつかの種は、食品に影響を与える場合がある。このような昆虫類の存在は、品質管理上、問題となる場合が多い。
【0004】このため、これらの昆虫が食品に接近するのを防止する方法が種々検討されている。この方法の一種として、昆虫忌避剤を段ボール等の包装材に塗工等する方法が知られている。これは、工場での製造から店舗、あるいは最終的には消費者までの間、忌避剤によって昆虫が食品に近寄るのを防止する方法である。殺虫剤を用いずに忌避剤を用いるのは、上記昆虫が近寄るのを防止すれば十分なので、殺虫剤によって昆虫を殺す必要性はないからであり、また、殺虫剤を使用すると、人体への影響を考慮する必要があるからである。
【0005】この昆虫忌避剤としては、種々のものが知られている。例えば、特開平11−71216号公報に冬緑油やその有効成分であるサリチル酸メチルが開示され、特開平6−38678号公報にアリシン成分やカプサイシン成分等を含む香辛料成分が開示され、また、特開平5−279212号公報には、アリルイソチオシアネート等が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらの昆虫忌避剤は、いずれも忌避効果が不十分であるわりに、臭いがきついため、そのまま段ボール等の包装材に塗工等すると、その臭いが消費者の嗜好に影響を与える場合がある。
【0007】そこで、この発明は、臭いの少ない昆虫忌避化合物を含有する、すなわち、昆虫忌避成分含有層を有する板紙、段ボール、紙器及びフィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、ヒバ油又はヒバ油抽出成分を含む昆虫忌避成分を0.6〜30重量%含有する昆虫忌避性塗工液を用いることにより、上記の課題を解決したのである。
【0009】また、上記昆虫忌避成分として、上記のヒバ油又はヒバ油抽出成分以外に、松抽出油有効成分、コパイバ抽出物又はコパイバ抽出物の有効成分、レモングラス油、シトロネラ油、ケイ皮油、ユーカリ油、タイム油、丁子油及びアニス油のうちから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0010】ヒバ油又はヒバ油抽出成分、その他の昆虫忌避成分である、松抽出油有効成分、コパイバ抽出物又はコパイバ抽出物の有効成分、レモングラス油、シトロネラ油、ケイ皮油、ユーカリ油、タイム油、丁子油及びアニス油は、比較的臭いが少ないため、これを段ボール等の基材に塗工等しても、発生する臭いを抑えることができる。このため、消費者の嗜好に影響を与えることなく、昆虫の忌避効果を発揮させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下において、この発明について詳細に説明する。この発明にかかる昆虫忌避性塗工液は、昆虫忌避成分を含有する塗工液である。
【0012】上記昆虫忌避成分は、昆虫忌避能を有する成分をいい、ヒバ油又はヒバ油抽出成分を主成分とする。
【0013】上記ヒバ油とは、青森ヒバ廃材から水蒸気蒸留により採取される油状成分をいい、上記ヒバ油抽出成分とは、ヒバ油に含まれる成分のうち、昆虫忌避能を有する成分を抽出したものをいう。このヒバ油抽出成分としては、ツヨプセン、(α,β,γ)ツヤプリシン、セドロール、ドラブリン、カルバクロール、シトロネラ酸等があげられる。
【0014】また、上記昆虫忌避成分には、上記のヒバ油又はヒバ油抽出成分以外に、他の忌避成分を加えてもよい。このような他の成分としては、松抽出油有効成分、コパイバ抽出物又はコパイバ抽出物の有効成分、レモングラス油(シトラール)、シトロネラ油(シトロネラール)、ケイ皮油(シンナムアルデヒド)、ユーカリ油(シネオール)、タイム油、丁子油(オイゲノール)及びアニス油(アネトール)のうちから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0015】上記松抽出油有効成分とは、松からとることのできる油状成分をいい、上記松抽出成分のうち、昆虫忌避能を有する成分を抽出したものをいう。この松抽出油有効成分としては、ターピネオール、ボルネオール、フェンチルアルコール、ピネン、リモネン、ジペンテン等があげられる。
【0016】上記の昆虫忌避成分の上記昆虫忌避性塗工液中の含有割合は、0.6〜30重量%がよく、2〜20重量%が好ましい。0.6重量%より少ないと、忌避効力が不十分となる。一方、30重量%より多いと、匂いが強くなり、また、コスト的にも高くなるという問題を生じる。
【0017】上記昆虫忌避性塗工液には、上記昆虫忌避成分以外に、ニスやインク等を含有させてもよい。上記ニスとしては、アクリル系、スチレン−ブタジエン系、ウレタン系の水性ニス、ウレタン系、ニトロセルロース−ポリアミド系、アクリル系等があげられる。また、上記インクとしては、顔料入りアクリルエマルジョン、ウレタンエマルジョン等の水性インク、ウレタン系、ニトロセルロース−ポリアミド系の油性インク等があげられる。
【0018】上記のニスやインクの上記昆虫忌避性塗工液中の含有割合は、8〜22重量%がよく、8〜20重量%が好ましい。8重量%より少ないと、十分な塗膜が得られない場合がある。一方、22重量%より多いと、粘度が上がりすぎ、機械での塗工が困難となる場合がある。
【0019】上記昆虫忌避成分による忌避対象となる昆虫は、食品工場、輸送手段や店舗等の流通過程、及び消費地において、食品に影響を与える昆虫をいい、貯穀害虫が特にあげられる。このような貯穀害虫としては、ノシメマダラメイガ、スジマダラメイガ等のメイガ科の昆虫、ホシチョウバエ、オオキモンノミバエ、エンチニクバエ、ケブカクロバエ、ヒロズキンバエ、キイロショウジョウバエ、イエバエ等のハエ類、ヨーロッパコナダニ、アメリカイエコナダニ等のダニ類、コクゾウムシ等のゾウムシ、パルス ビートル、スパイス ビートル等の鞘翅目の昆虫、ノコギリヒラタムシ、コクヌストモドキ、コクゾウムシ、チャバネゴキブリ、ハラジロカツオブシムシ、ムナビロヒメマキシム、チャタテムシ、トビムシ、シバンムシ、モールドマイト等があげられる。これらのなかでも、食品包装材に孔を開けて内部に侵入するノシメマダラメイガが、最大の忌避対象の昆虫となる。
【0020】上記昆虫忌避塗工液は、水やイソプロピルアルコール、トルエン等の媒体に、上記の昆虫忌避成分、必要に応じて、ニスやインク等を混合することにより得られる。また、この昆虫忌避塗工液には、必要に応じて、溶剤、柔軟剤、界面活性剤、染料等の添加剤を使用してもよい。
【0021】上記の昆虫忌避性塗工液を基材表面に塗工して昆虫忌避成分含有層を形成することにより、上記の基材及び昆虫忌避成分含有層を有する昆虫忌避性積層体が構成される。上記基材とは、昆虫忌避性を付与したいものであれば特に限定されないが、食品包装用の基材、例えば、段ボール、板紙、紙器、フィルム等に使用すると、その効果がより発揮することができる。その他の基材としては、織布、不織布、金属箔、プラスチックシート、木板等があげられる。
【0022】上記昆虫忌避成分含有層中の昆虫忌避成分の含有割合は、2〜50重量%がよく、5〜40重量%が好ましい。上記昆虫忌避性塗工液中の昆虫忌避成分の含有割合より、より濃い濃度の範囲を有するのは、上記の昆虫忌避性塗工液を昆虫忌避成分含有層とする際に、昆虫忌避性塗工液中の媒体が揮散するからである。
【0023】昆虫忌避成分の含有割合が2重量%より少ないと、忌避効力が不十分となる。一方、50重量%より多いと匂いが強くなり、また、コスト的にも高くなるという問題を生じる。
【0024】上記塗工方法としては、塗布、噴霧、浸漬等があげられる。上記塗布方法としては、スプレーノズル、ロッドコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、多重ロールトランスファー、制御及び非制御ドリップ、湿潤浴ディップ、カーテンコーターを用いた方法を例としてあげることができる。
【0025】また、上記噴霧は、昆虫忌避性組成物を上記の段ボールライナー、中芯、プラスチックフィルム等に噴霧することで行われる。さらに、上記浸漬は、昆虫忌避性組成物の溶液に上記の段ボールライナー、中芯、プラスチックフィルム等を浸漬することによって行われる。
【0026】この発明にかかる昆虫忌避性積層体を用いて包装や収納される食品としては、特に限定されるものではないが、うどん、そば、ラーメン等の麺類や、ピーナッツやカシュナッツ等のナッツ類を含有する菓子類に用いるのが好ましい。これらの食品は、貯穀害虫、特にノシメマダラメイガによる被害を受けやすい食品だからである。
【0027】
【実施例】以下に実施例及び比較例をあげてこの発明をさらに具体的に説明する。まず、使用した薬品類および試験方法について記載する。
【0028】<薬品類>[昆虫忌避成分]
・ヒバ油:大阪有機化学(株)製・ターピネオール:日本香料(株)製・サリチル酸メチル:東京化成(株)製【0029】[ニス又はインク]
・水性ニス:サカタインクス(株)製 FKACVG902(アクリル系)
・油性ニス:サカタインクス(株)製(ニトロセルロースポリアミド系)
・水性インク:サカタインクス(株)製(アクリル系)
【0030】[基材]
・ライナー:レンゴー(株)製・フィルム:東洋紡績(株)製OPPフィルム【0031】<試験方法>[香り強度]
実施例及び比較例で得られた昆虫忌避性積層体の臭いを10人で嗅ぎ、下記の評価で判断した。
○:10人中、2人以下が不快と感じた。
△:10人中、3〜5人が不快と感じた。
×:10人中、6人以上が不快と感じた。
【0032】[昆虫忌避試験]図1に示すように、中間区1、薬品処理区2及びコントロール区3を構成する上面が開放された3室を設け、中間区1と薬品処理区2、及び中間区1とコントロール区3との間に通路4を設け、通路4を介して中間区1、薬品処理区2及びコントロール区3を自由に行き来できるようにした。次いで、実施例及び比較例で得られた5cm×5cmの昆虫忌避性積層体6aの上にカップ麺粉5を0.25g載せ、薬品処理区2中に収納した。また、実施例及び比較例で使用した5cm×5cmの基材6bの上に上記のカップ麺粉5を0.25g載せ、コントロール区3中に収納した。そして、それぞれの上面に蓋をした。次いで、採卵から3週目のノシメマダラメイガ幼虫10匹を中間区1に入れ、その上面に蓋をした。1日経過後、中間区1、薬品処理区2及びコントロール区3のそれぞれにいる上記幼虫の数を数え、下記の紙器から昆虫忌避率を算出した。
昆虫忌避率(%)=[{(コントロール区3内の幼虫数)−(薬品処理区2内の幼虫数)}/(コントロール区3内の幼虫数)]×100【0033】(実施例1〜7、比較例1〜2)表1に示す昆虫忌避成分、ニス及びインクを表1に記載の割合になるように水に混合し、これに界面活性剤(三洋化成工業(株):イオネットMS−1000)を10重量%となるように加え、昆虫忌避性塗工液を調製した。次いで、得られた昆虫忌避性塗工液30mgを表1に示す基材(5×5cm)にメイヤーバー塗工し、室温で1時間乾燥して昆虫忌避性積層体を得た。得られた昆虫忌避性塗工液を用いて香り強度を判定し、また、得られた昆虫忌避性積層体を用いて昆虫忌避率を算出した。その結果を表1に示す。
【0034】(実施例8)媒体として水の代わりにトルエンを用い、昆虫忌避性塗工液30mgを表1に示す基材(5×5cm)にメイヤーバー塗工し、60℃で30秒間乾燥した以外は、実施例1と同様にして昆虫忌避性塗工液を調製し、昆虫忌避性積層体を得た。得られた昆虫忌避性塗工液を用いて香り強度を判定し、また、得られた昆虫忌避性積層体を用いて昆虫忌避率を算出した。その結果を表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
【発明の効果】この発明にかかる昆虫忌避性塗工液及び昆虫忌避性積層体に用いられる、ヒバ油又はヒバ油抽出成分は、忌避効果が極めて大きいのにもかかわらず、臭いが少ないため、これを段ボール等の基材に塗工等しても、発生する臭いを抑えることができる。このため、消費者の嗜好に影響を与えることなく、昆虫の忌避効果を発揮させることができる。
【出願人】 【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市福島区大開4丁目1番186号
【出願日】 平成14年5月9日(2002.5.9)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開2003−327503(P2003−327503A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2002−134025(P2002−134025)