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【発明の名称】 植物の病害防除方法
【発明者】 【氏名】斉藤 洋介
【住所又は居所】愛知県豊明市栄町南館3番の16 ホシザキ電機株式会社内

【要約】 【課題】電解生成酸性水を用いる生育途中の植物の病害防除方法において、電解生成酸性水の散布による植物に及ぼす影響を防止する。

【解決手段】生育途中の植物の病害を防除する病害防除方法であって、病害防除液として電解生成酸性水を採用し同電解生成酸性水を生育途中の植物に散布し、電解生成酸性水の散布には噴霧ノズルを用いて、生育途中の植物に対して電解生成酸性水を、古葉に近い位置から新葉側の方向に向かって噴霧する。これにより、抵抗力の低い新芽や新葉の電解生成酸性水による影響が抑制できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】生育途中の植物の病害を防除する病害防除方法であり、病害防除液として電解生成酸性水を採用して同電解生成酸性水を生育途中の植物に散布し、前記電解生成酸性水の散布には噴霧ノズルを用いて、生育途中の植物に対して前記電解生成酸性水を、古葉に近い位置から新葉側の方向に向かって噴霧することを特徴とする植物の病害防除方法。
【請求項2】生育途中の植物の病害を防除する病害防除方法であり、病害防除液として電解生成酸性水を採用し同電解生成酸性水を生育途中の植物に散布し、前記電解生成酸性水の散布には噴霧ノズルを用いて、生育途中の植物に対して前記電解生成酸性水を、根元側から古葉を経由して先端側の方向に向かって噴霧することを特徴とする植物の病害防除方法。
【請求項3】請求項1または2に記載の植物の病害防除方法において、前記病害防除液として採用する電解生成酸性水は、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムの希薄水溶液を被電解水として有隔膜電解により生成される強酸性水であって、有効塩素濃度が0〜60mg/Lの範囲、pHが2〜4の範囲、酸化還元電位が800〜1400mVの範囲のものであることを特徴とする植物の病害防除方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生育途中の植物の病害を防除する病害防除方法に関する。
【0002】
【従来の技術】植物の病害を防除する一方法として、生育途中の植物に殺菌能を有する農薬を散布する方法があり、このような農薬散布方法は、現在一般に行われている病害防除の方法である。しかしながら、農薬を散布する病害防除方法では、農薬が植物に残留し、また、土壌汚染の発生源になるおそれがあることから、農薬に替えて、殺菌能を有する電解生成酸性水を使用することが注目されている。例えば、特開2000−159618号公報には、殺菌能を有する農薬に替えて、有効塩素濃度が50ppm以上の電解生成酸性水を使用する方法が提案されており、当該方法は植物の病害防除を意図している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した公報にて提案されている植物の病害を防除する方法には、種子消毒、土壌消毒、土壌への散布消毒等が例示されてはいる。しかしながら、当該公報には、病害防除の具体的な方法としては、種籾を消毒する種子消毒の方法が開示されているにすぎず、生育途中の植物に対する病害防除についての方法の開示はなく、生育途中の植物に対する病害防除についての方法は確立されていない。
【0004】従って、本発明の目的は、植物の生育途中の病害防除の方法を確立することにあり、特に、病害防除液として農薬に替えて電解生成酸性水を採用した場合における、植物の生育途中の病害防除の方法を確立することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、生育途中の植物の病害を防除する病害防除方法に関するもので、当該病害防除方法は、病害防除液として電解生成酸性水を採用して同電解生成酸性水を生育途中の植物に散布する方法であって、前記電解生成酸性水の散布には噴霧ノズルを用いて、生育途中の植物に対して前記電解生成酸性水を、生育途中の植物の古葉に近い位置から新葉側の方向に向かって噴霧することを特徴とするものである。この場合、前記電解水生成酸性水を、生育途中の植物に対して、根元側から古葉を経由して先端側へ噴霧するようにすることができる。
【0006】本発明に係る植物の病害防除方法においては、前記病害防除液として採用する電解生成酸性水は、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムの希薄水溶液を被電解水として有隔膜電解により生成される強酸性水であって、有効塩素濃度が0〜60mg/Lの範囲、pHが2〜4の範囲、酸化還元電位が800〜1400mVの範囲のものであることが好ましい。
【0007】
【発明の作用・効果】植物に対する病害防除の目的で、生育途中の植物に電解生成酸性水を散布する場合、新芽や新しい葉(新葉)には、変色や脱色等の異変が発生すること、しかしながら、古い葉(古葉)にはこのような異変は発生しないことが判明した。
【0008】このため、本発明に係る病害防除方法においては、電解生成酸性水を生育途中の植物に散布する方法として、生育途中の植物に対して電解生成酸性水を、植物の古葉に近い位置から新葉側の方向に向かって噴霧する手段、例えば、生育途中の植物に対して前記電解生成酸性水を、根元側から古葉を経由して先端側の方向へ噴霧する手段を採っている。
【0009】これにより、電解生成酸性水を生育途中の植物に散布した場合、電解水生成酸性水は、噴霧ノズルの近くに位置している古葉に対しては、空気にさほど接触しない有効塩素が多い状態で散布され、また、噴霧ノズルから遠くに位置する新葉や新芽に対しては、空気に多く接触して有効塩素が低減した状態でしかも少量が散布されることになる。
【0010】このため、植物の主体を構成する古葉に対しての病害の防除効果は高く、また、植物の先端部で成長部位を構成する新葉や新芽に対しては病害の防除効果は相対的には低いが、成長部位である新芽や新葉に変色や脱色等の異変を発生させることがなく、植物の生育に及ぼす影響を大幅に抑制することができる。
【0011】本発明に係る植物の病害防除方法にて、前記病害防除液として採用する電解生成酸性水は、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムの水溶液を被電解水として有隔膜電解により生成される強酸性水であって、有効塩素濃度が0〜60mg/Lの範囲、pHが2〜4の範囲、酸化還元電位が800〜1400mVの範囲のものであることが好ましい。また、本発明が病害防除の対象とする植物としては、電解生成酸性水にて新芽や新葉に変色や脱色等の異変が発生し易い摘心栽培に適した植物、例えば、きゅうり、なす、トマト、いちご、メロン等を挙げることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者等は、生育途中の植物に対する病害防除の目的で、生育途中の植物への電解生成酸性水の散布を試みたところ、植物に対する病害防除の効果は十分に確認されたが、葉に変色、脱色等、薬害と思われる異変が発生すること、および、この異変は新芽や新葉に多く発生し、古葉にはほとんど発生しないことを確認した。
【0013】このため、本発明者は、電解生成酸性水による新芽や新葉に対する異変の発生を回避するため、電解生成酸性水を、植物の主体を構成する多数の古葉には近い位置から十分に散布し、植物の先端側で成長部位を構成する新芽や新葉等には遠くの位置から適当量を散布する試みを行ったところ、植物の古葉については勿論のこと、新芽や新葉にも変色や脱色等の異変が発生しないことを確認した。
【0014】この結果から、本発明に係る病害防除方法においては、病害防除液として電解生成酸性水を採用して、同電解生成酸性水を生育途中の植物に散布する場合、電解生成酸性水の散布には噴霧ノズルを用いて、生育途中の植物に対して電解生成酸性水を、古葉に近い位置から新葉側の方向に向かって噴霧する方法を採った。具体的には、電解生成酸性水を噴霧ノズルを用いて、生育途中の植物の根元側から同植物の古葉を経由して先端側の方向へ噴霧する方法を採っている。
【0015】電解生成酸性水が殺菌能を有すること、および、この殺菌能が電解生成酸性水が有する有効塩素に起因していることは知られているところであるが、電解生成酸性水中の有効塩素の量は、電解生成酸性水が空気に曝されると漸次低下するものである。本発明に係る病害防除方法によれば、電解生成酸性水の噴霧位置に近い古葉にあっては、電解生成酸性水は空気にさほど曝されない有効塩素の量が多い状態で散布される。これに対して、電解生成酸性水の噴霧位置から遠い新芽や新葉にあっては、電解生成酸性水は空気に相当曝されて有効塩素の量が相当低減した状態で散布される。
【0016】このため、植物の主体を構成する古葉に対しての病害の防除効果は高く、また、植物の先端部で成長部位を構成する新葉や新芽に対しては、病害の防除効果は古葉に比較して相対的には低いが、新芽や新葉に変色や脱色等の異変を発生させることがなく、病害防除による植物の生育に及ぼす影響を最小限に留めることができる。
【0017】これにより、本発明に係る病害防除方法を採用すれば、植物の生育途中での病害防除の方法において、病害防除液として農薬に替えて電解生成酸性水を採用した場合でも、生育途中の植物の生育に及ぼす影響を極力抑制して、植物の病害防除を行うことができるという大きな利点がある。
【0018】この場合の病害防除液として採用する電解生成酸性水は、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムの水溶液を被電解水として有隔膜電解により生成される強酸性水であって、有効塩素濃度が0〜60mg/Lの範囲、pHが2〜4の範囲、酸化還元電位が800〜1400mVの範囲のものであることが好ましく、また、摘心栽培に適した植物であるきゅうり、なす、トマト、いちご、メロン等に対する病害防除に対して、良好な結果が得られる。
【0019】図1には、摘心栽培に適した植物の代表例であるきゅうりの栽培での病害防除の状態を模式的に示しており、この栽培状態においては、きゅうりは、摘心に適した状態にまで十分に生育している。栽培者は、電解生成酸性水を病害防除の目的できゅうりに散布するに当たっては、噴霧ノズル11,12を使用して、きゅうりの根元側から茎の先端側の方向に向けて斜め上方へ噴霧する。当該きゅうりにおいては、下端部位および中間部位の葉13a、13bが古く、先端部位の葉13cおよび新芽13dが新しい。噴霧ノズル11,12から噴霧された電解生成酸性水は、距離的に、古葉13a,13b、新葉13cおよび新芽13dの順に、時間差をもって噴霧される。
【0020】従って、当該噴霧方法を採れば、噴霧ノズル11,12から噴霧された電解生成酸性水は、古葉13a、13b、新葉13cおよび新芽13dの順に時間差をもって噴霧されることになり、このため、植物の主体を構成する古葉13a,13b等に対しての病害の防除効果は高く、また、植物の先端部で成長部位を構成する新葉13cや新芽13dに対しては病害の防除効果は古葉13a,13bほど高くはないが、新芽13dや新葉13cに変色や脱色等の異変を発生させることがなく、植物の生育に及ぼす影響を最小限に留めることができるのである。
【0021】
【実施例】本実施例では、摘心栽培に適した植物のうちの代表例としてきゅうりを採り上げて、きゅうりの生育途中のうどんこ病に対する防除の実験を行った。本実験では、下記に示す条件下できゅうりの栽培を行い、この間の、摘心に適した時点までに生育したきゅうりに対して、各方向から電解生成酸性水を直接噴霧して、電解生成酸性水による殺菌効果(病害防除効果)を確認するとともに、各部位における葉の変色状態を観察した。
【0022】(栽培):本実験のきゅうりの栽培では、播種から4週間をかけて育苗したきゅうりの苗を、同一土壌で形成した2つの圃場に10本ずつ移植して、きゅうりの収穫し得る期間(播種から18週間)まで生育を継続した。この間、第1圃場で栽培している生育途中のきゅうりに対しは、下記に示す電解生成酸性水を散布してうどんこ病に対する病害防除を行った。また、比較のため、第2圃場で栽培している生育途中のきゅうりに対しは、水道水を散布した。
【0023】(電解生成酸性水):電解生成酸性水は、有隔膜式の電解水生成装置(ホシザキ電機株式会社製ROX−15SA)を使用し、被電解水として塩化カリウムの0.2重量%の希薄水溶液を採用して電解することにより、電解槽が有する陽極室側にて生成されたものである。当該電解生成酸性水は、有効塩素濃度)が43mg/L、pHが2.53、酸化還元電位が1120mV、電気伝導度)が2690μs/cmの特性を有している。
【0024】(散布方法):第1圃場のきゅうりに対しては、電解生成酸性水を噴霧ノズルにて、先端から根元まで均等に散布した。第2の場のきゅうりに対しては、水道水を同一量だけ、噴霧ノズルにて、先端から根元まで均等に散布した。
【0025】(病害防除およびその影響):病害防除の効果については、各部位の古葉13a,13b、新葉13cおよび新芽13dにおける発病面積率(%)の測定により確認し、また、電解生成酸性水の散布による影響については、各部位の古葉13a,13b、新葉13cおよび新芽13dの変色の程度を、発生面積(%)で評価した。得られた結果を表1に示す。なお、これらの測定および観察は、電解生成酸性水、水道水を散布してから6日後に行っている。
【0026】
【表1】

【0027】(考察):表1を参照すると、きゅうりの栽培では、電解生成酸性水の散布による病害の防除効果は十分に認められる。また、電解生成酸性水のきゅうりに及ぼす影響については、第1圃場で栽培しているきゅうりが大きいことが認められ、その影響については新芽が大きく、次いで新葉が大きく、古葉が最も小さいことが認められる。
【0028】この結果から、生育途中のきゅうりの病害を防除する目的で、病害防除液として電解生成酸性水を採用して、同電解生成酸性水を生育途中のきゅうりに散布する場合、電解生成酸性水を散布する方法が重要であることが判明した。電解生成酸性水の散布には噴霧ノズルを用いること、生育途中のきゅうりにおいては、新芽や新葉が電解生成酸性水の有効塩素に対して弱くて変色し易いため、新芽や新葉に対しては、噴霧ノズルを十分に離した状態で、電解生成酸性水を噴霧して空気に十分に接触させる必要がある。すなわち、電解生成酸性水を古葉に近い位置から新葉側の方向に向かって噴霧すること、具体的には、生育途中のきゅうりに対してその根元側から古葉を経由して先端側の方向へ噴霧することが肝要であることが確認された。
【0029】本実験の病害防除、および、電解生成酸性水の散布の影響は、きゅうりだけではなく、摘心栽培に適するなす、トマト、メロン等でも確認されているところである。
【出願人】 【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ電機株式会社
【住所又は居所】愛知県豊明市栄町南館3番の16
【出願日】 平成14年5月7日(2002.5.7)
【代理人】 【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一 (外1名)
【公開番号】 特開2003−321312(P2003−321312A)
【公開日】 平成15年11月11日(2003.11.11)
【出願番号】 特願2002−131609(P2002−131609)