トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 害虫駆除材
【発明者】 【氏名】寺前 朋浩

【氏名】水谷 理人

【氏名】安部 八洲男

【要約】 【課題】衛生上問題のあるもしくは不快な害虫の効率的な駆除【解決手段】ネオニコチノイド系化合物が処理された運搬が容易な容器を、害虫の生息場所や通り道に配置することにより効率よく害虫を駆除できることが可能となった。

【解決手段】ネオニコチノイド系化合物が処理された運搬が容易な容器を、害虫の生息場所や通り道に配置することにより効率よく害虫を駆除できることが可能となった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 害虫が生息する場所や害虫の通り道に配置できる程度の大きさであって、害虫が自由に出入りできる出入口を有する容器の内部にネオニコチノイド系化合物を処理することを特徴とする害虫駆除材。
【請求項2】 ネオニコチノイド系化合物を処理する部分が容器の底面に直接又は、容器の底面に設置できる部品であることを特徴とする請求項1に記載の害虫駆除材。
【請求項3】 ネオニコチノイド系化合物を処理する部分が、不織布、紙、布、樹脂板、ガラス板、アルミ板の1種または2種以上を用いることを特徴とする請求項1〜2に記載の害虫駆除材。
【請求項4】 ネオニコチノイド系化合物を処理する部分が、波状または蛇腹状であることを特徴とする請求項1〜3に記載の害虫駆除材。
【請求項5】 ネオニコチノイド系化合物を処理する部分が、網目状であることを特徴とする請求項1〜4に記載の害虫駆除材。
【請求項6】 ネオニコチノイド系化合物を糖類(糖蜜、蜂蜜)、グリセロール、植物油脂、動物性油脂、灯油、アルコール類、ピペロニルブトキサイド、MGK−264に懸濁又は溶解したものを処理することを特徴とする請求項1〜5に記載の害虫駆除材。
【請求項7】請求項6に記載の懸濁液又は溶液に珪藻土、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの鉱物性微細粉末を配合したものを処理する事を特徴とする請求項1〜6に記載の害虫駆除材。
【請求項8】ネオニコチノイド系化合物を珪藻土、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの鉱物性微細粉末と混合したものを処理することを特徴とする請求項1〜5に記載の害虫駆除材。
【請求項9】ネオニコチノイド系化合物を処理された請求項1〜8の害虫駆除材を、害虫が生息する場所や害虫の通り道に配置することによって害虫を防除する方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゴキブリ、チャタテムシ、アリ、イガ幼虫、コイガ幼虫、ノミ幼虫などの不衛生な害虫や不快な害虫の生息や侵入を防止したい場所における前記害虫を駆除する手段を提供するものであって、効率よい害虫の駆除を目的とするものである。
【0002】
【従来の技術】病原菌や黴の媒介者として衛生上問題を生ずるゴキブリなどの害虫を駆除する方法が種々開発され、残留塗布法などの方法が広く使用されている。また、薬剤を広範囲に撒き散らすことを避ける社会的要請により、その一つの方法として殺虫剤を含有する害虫の誘引毒餌を害虫の生息する場所や害虫の通り道に配置して害虫を駆除する方法が広く使用されている。さらに、薬剤に人が直接触れるのを避けるために各種の容器に毒餌を入れてこれを害虫の生息する場所や害虫の通り道に配置して害虫を駆除する方法も広く使用されている。しかしながら、毒餌を用いる防除法は初期効果が見られた場所でも、毒餌をゴキブリが食べなくなり(食べ飽き現象)、効果が低下する場合がみられるという問題点を有する。薬剤を広く撒き散らす処理法から点処理方法への流れの中で、毒餌を食べさせる以外の方法として、薬剤を処理してある場所を害虫に通り抜けさせることで薬剤を害虫に処理する方法が特表平10−502537号公報に記載されている。この方法では、天井部に有害生物防除剤を処理したトンネル状装置が示されている。しかし、この方法では、トンネルの上部に接しない小さな害虫には全く効果がなく、また、ゴキブリ等にたいしてはキチン層に覆われた背中部のみ接触するため効果を発現しにくく、そのため多量の薬剤を必要とするようになり、環境への負荷も高くなる。更には、製剤によっては天井部の防除剤が落下する恐れもある。また、特開2001−61397号公報に、各種殺虫剤を使用して、進入した害虫が内壁上を通過し殺虫成分に触れるだけで効果を示す殺虫容器が示されているが、この発明の技術では、十分に害虫を駆除することができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、衛生上問題となる害虫駆除方法において誘引毒餌を害虫の生息する場所や害虫の通り道に配置して害虫を駆除する方法にみられるような「食べ飽き現象」が見られず、また、薬剤に直接触れることなく処理することができ、なおかつゴキブリなどの害虫を効率よく駆除する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決しようとする手段】本発明者らは、ゴキブリなどの害虫を簡便にかつ効率よく駆除する方法を鋭意検討した結果、ネオニコチノイド系化合物を容器内に処理した持ち運びが容易な容器を害虫の生息場所や通り道に置くだけという方法により、ゴキブリなどの害虫を効率よく駆除することができ、また近年問題となっている薬剤耐性の害虫をも効率よく駆除することができることを発見し、本発明を完成した。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は、害虫が生息する場所や害虫の通り道に配置できる程度の大きさであって害虫が自由に出入りできる出入口を有する容器の内部に、ネオニコチノイド系化合物を処理し、前記容器を前記害虫の生息場所や通り道に置くことにより害虫を駆除する方法である。
【0006】本発明は、ネオニコチノイド系化合物を処理された容器内に侵入が可能な害虫全てに適用できるが、匍匐害虫、とりわけゴキブリが主な対象である。
【0007】ネオニコチノイド系化合物を処理された容器は、害虫の生息場所や通り道に置ける程度の大きさであって害虫の侵入が容易で薬剤処理部分に自由に接触、退出ができる出入口を有するものである。形状は例えば直方体、ドーム状、三角錐、四角錐、などが挙げられ、底面の大きさは直方体であれば、縦1〜20cm、横1〜30cm、高さ0.5〜5cmであり、好ましくは縦3〜10cm、横3〜20cm、高さ0.5〜3cmである。出入口の大きさ、数は対象害虫により異なるが、対象害虫がゴキブリで容器が直方体の場合、容器の長手方向の2ヶ所が完全にまたは一部開放系とすることがより好ましい。容器の材質は特に限定されないが、経済性かつ廃棄など環境面を考慮し、紙や生分解性樹脂がより好ましい。
【0008】本発明に係るネオニコチノイド系化合物は、害虫が前記ネオニコチノイド系化合物の処理された部分を通過または接触するものであれば特に限定されない。具体例として、アセタミプリド、ニテンピラムなどのネオニコチノイド系化合物などが挙げられる。前記ネオニコチノイド系化合物はそのまま容器に処理することもできるが、例えばマイクロカプセルのように一旦製剤化した後容器に処理することもできる。また、前記ネオニコチノイド系化合物に他の殺虫剤を混合して使用することもできる。混合できる殺虫剤としては、たとえばヒドラメチルノン、ホウ酸の他、ジクロルボス、フェンチオン、フェニトロチオンなどの有機リン系化合物、プロポキスル、フェノブカルブ等のカーバメート系化合物、トラロメトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、エトフェンプロクス、シラフルオフェン、ジフルベンズロン、ルフェヌロン等のピレスロイド系化合物、フェニルピラゾール系化合物、フェニルピロール系化合物、メトプレン、ピリプロキシフェンなどの昆虫成長制御剤等が挙げられる。
【0009】また混合剤としてピレスロイド系化合物を加える場合には、ピペロニルブトキサイド、N−(2−エチルヘキシル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等のピレスロイド系化合物の効力共力剤を混合して用いることもできる。
【0010】ネオニコチノイド系化合物はそのまま本発明害虫駆除材に処理してもよく、溶液または懸濁液の状態で処理してもよい。その溶媒としては、ネオニコチノイド系化合物を懸濁又は溶解できるものであり、なおかつ目的の害虫を忌避しないものであれば特に限定されないが、糖類(糖蜜、蜂蜜)、グリセロール、植物油脂、動物性油脂、灯油、アルコール類、ピペロニルブトキサイド、MGK−264等が挙げられる。またこの懸濁液又は溶液に珪藻土、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの鉱物性微細粉末を配合したものを用いることもできる。また、ネオニコチノイド系化合物を珪藻土、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの鉱物性微細粉末に混合して本発明害虫駆除材に処理してもよい。
【0011】本発明に係るネオニコチノイド系化合物、その溶液、懸濁液または粉末を処理する部分の素材としては、ネオニコチノイド系化合物、その溶液、懸濁液または粉末が保持されるものであれば特に限定されないが、不織布、紙、布、樹脂、ガラス、アルミ等が考えられる。また、たとえば不織布等にネオニコチノイド系化合物の溶液を保持させ、アルミ板等により防除容器への染みだしを防ぐ等、2種以上を同時に用いることによって、より使用しやすい害虫駆除材とすることもできる。また、ネオニコチノイド系化合物を処理する部分の形状は、ネオニコチノイド系化合物、その溶液、懸濁液または粉末が保持されるものであれば特に限定されないが、平板状の他に波状、蛇腹状であってもよく、また網目状であってもよい。
【0012】害虫の前記殺虫部分への接触を容易にするため、害虫の性フェロモンや集合フェロモンなどの誘引物質、ごま油などの香味成分を前記容器に処理することもできる。
【0013】また、前記ネオニコチノイド系化合物が処理される容器に、異なる殺虫剤を同時に分散配置することもできる。このように複数種の殺虫剤を処理すれば、害虫の個体差による接触忌避行動や、薬剤抵抗性にも対応することができる。
【0014】本発明の害虫駆除材は、害虫の生息場所や通り道に設置される。
【0015】次に実施例で本発明を更に詳しく説明するが、本発明が実施例に限定されるのもではない。
【0016】
【実施例】
【製剤例1】アセタミプリド0.5mgをアセトン200μLに溶解し、ガラス板(6cm×12.5cm)に滴下処理した。風乾後、このガラス板を底面6.5cm×13cm、高さ2cmの直方体の筒(6.5cm×2cmの面が開口部)の底面に設置した。これを「本発明物1」とした。
【製剤例2】アセタミプリド0.5mgをゴマ油200mgに懸濁し、不織布(6cm×12.5cm)に滴下処理した。この不織布を底面6.5cm×13cm、高さ2cmの直方体の筒(6.5cm×2cmの面が開口部)の底面に設置した。これを「本発明物2」とした。
【製剤例3】アセタミプリド0.5mgをグリセロール200mgに懸濁し、樹脂板(6cm×12.5cm)に滴下処理した。この樹脂板を底面6.5cm×13cm、高さ2cmの直方体の筒(6.5cm×2cmの面が開口部)の底面に設置した。これを「本発明物3」とした。
【製剤例4】アセタミプリド0.5mgを糖蜜200mgに懸濁し、不織布(6cm×12.5cm)に滴下処理した。この不織布を底面6.5cm×13cm、高さ2cmの直方体の筒(6.5cm×2cmの面が開口部)の底面に設置した。これを「本発明物4」とした。
【製剤例5】底面6.5cm×13cm、高さ2cmの直方体の筒(6.5cm×2cmの面が開口部)の底面に蛇腹状に折り曲げた紙を設置し、この紙に、アセタミプリド0.5mgをゴマ油200mgに懸濁した液を滴下処理した。これを「本発明物5」とした。
【製剤例6】アセタミプリド0.5mgをゴマ油200mgに懸濁し、網目状の不織布(6cm×12.5cm)に滴下処理した。この不織布を底面6.5cm×13cm、高さ2cmの直方体の筒(6.5cm×2cmの面が開口部)の底面に設置した。これを「本発明物6」とした。
【製剤例7】アセタミプリド0.5mgと酸化ケイ素の粉末1mgを混合し、グリセロール200mgに懸濁させた。この懸濁液を樹脂板(6cm×12.5cm)面に塗布した。この樹脂板を底面6.5cm×13cm、高さ2cmの直方体の筒(6.5cm×2cmの面が開口部)の底面に設置した。これを「本発明物7」とした。
【製剤例8】アセタミプリド0.5mgと酸化ケイ素の粉末200mgを混合し、不織布(6cm×12.5cm)面に塗布した。この不織布を底面6.5cm×13cm、高さ2cmの直方体の筒(6.5cm×2cmの面が開口部)の底面に設置した。これを「本発明物8」とした。
【比較例1】トラロメスリン0.5mgをアセトン200μLに溶解し、ガラス板(6cm×12.5cm)に滴下処理した。風乾後、このガラス板を底面6.5cm×13cm、高さ2cmの直方体の筒(6.5cm×2cmの面が開口部)の底面に設置した。これを「比較例1」とした。
【比較例2】トラロメトリンの代わりにシフェノトリンを用いる以外は比較例1と同じ方法で比較例2を作製した。
【比較例3】トラロメトリンの代わりにペルメトリンを用いる以外は比較例1と同じ方法で比較例3を作製した。
【比較例4】トラロメトリンの代わりにイミプロトリンを用いる以外は比較例1と同じ方法で比較例4を作製した。
【比較例5】トラロメトリンの代わりにフェンプロパトリンを用いる以外は比較例1と同じ方法で比較例5を作製した。
【比較例6】トラロメトリンの代わりにジョチュウギクエキス(総ピレトリン50%含有;総ピレトリン量として0.5mg)を用いる以外は比較例1と同じ方法で比較例6を作製した。
【比較例7】トラロメトリンの代わりにメトキサジアゾンを用いる以外は比較例1と同じ方法で比較例7を作製した。
【比較例8】トラロメトリンの代わりにフェニトロチオンを用いる以外は比較例1と同じ方法で比較例5を作製した。
【0017】
【試験例1】予め感受性チャバネゴキブリ成虫60頭(雄30頭、雌30頭)を定着させておいた三角シェルターを準備した(以下「巣」と呼ぶ)。これを底面200cm×60cmの側壁のある金属製容器の60cmの側壁に接して設置し、反対側の側壁近くに「本発明物1、2、3、4、5、6、7、8」および「比較例1、2、3、4、5、6、7、8」を設置した。また200cmの側壁(両側)の中央付近に接して空の三角シェルターを設置し、上記巣の近くおよび、金属製容器の中央に餌および水を湿らせた脱脂綿を置いた。25℃、暗黒下に放置し、16時間後のチャバネゴキブリの状態を観察した。本試験区の観察結果を以下に示す。試験区、対照区、無処理区とも実験は2回行い、結果を平均値で表記した。
【0018】
【試験結果】
1)本発明物1 苦死虫率 75%2)本発明物2 苦死虫率 91%3)本発明物3 苦死虫率 93%4)本発明物4 苦死虫率 92%5)本発明物5 苦死虫率 95%6)本発明物6 苦死虫率 96%7)本発明物7 苦死虫率 93%8)本発明物8 苦死虫率 92%9)比較例1 苦死虫率 3%10)比較例2 苦死虫率 41%11)比較例3 苦死虫率 35%12)比較例4 苦死虫率 4%13)比較例5 苦死虫率 6%14)比較例6 苦死虫率 4%15)比較例7 苦死虫率 3%16)比較例8 苦死虫率 12%17)無処理区 苦死虫率 0%(注)苦死虫率 = 死亡およびノックダウンしたチャバネゴキブリの数を試験に供試した虫数で除したもの【0019】
【試験例2】供試虫を薬剤抵抗性のチャバネゴキブリとした以外は、試験例1と同じ方法で、試験を行った。観察結果を以下に示す。試験区、対照区、無処理区とも実験は2回行い、結果を平均値で表記した。
【0020】
【試験結果】
1)本発明物1 苦死虫率 70%2)本発明物2 苦死虫率 89%3)本発明物3 苦死虫率 85%4)本発明物4 苦死虫率 87%5)本発明物5 苦死虫率 91%6)本発明物6 苦死虫率 93%7)本発明物7 苦死虫率 91%8)本発明物8 苦死虫率 85%9)比較例1 苦死虫率 0%10)比較例2 苦死虫率 7%11)比較例3 苦死虫率 5%12)比較例4 苦死虫率 0%13)比較例5 苦死虫率 6%14)比較例6 苦死虫率 0%15)比較例7 苦死虫率 4%16)比較例8 苦死虫率 9%17)無処理区 苦死虫率 0%(注)苦死虫率 = 死亡およびノックダウンしたチャバネゴキブリの数を試験に供試した虫数で除したもの本発明物は、比較例に比較し、感受性チャバネゴキブリに対しても、抵抗性チャバネゴキブリに対しても顕著な駆除効果を示した。
【0021】
【発明の効果】ネオニコチノイド系化合物を内部に処理した容器を配置することにより、簡便かつ効率よく害虫を駆除できることが可能となった。
【出願人】 【識別番号】390000527
【氏名又は名称】住化ライフテク株式会社
【出願日】 平成14年5月8日(2002.5.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−321307(P2003−321307A)
【公開日】 平成15年11月11日(2003.11.11)
【出願番号】 特願2002−132278(P2002−132278)