| 【発明の名称】 |
種子用処理剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】土田 真也 【住所又は居所】東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6号 大日精化工業株式会社内
【氏名】関 光孝 【住所又は居所】東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6号 大日精化工業株式会社内
【氏名】山南 隆徳 【住所又は居所】東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6号 大日精化工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】キトサン含有処理剤で種子を処理した場合、乾燥に際し、種子を1粒1粒離して配置する必要がなく、限られた乾燥面積の中で種子同士が接触した状態で種子を乾燥した場合でも、団粒化が起こらないか、起こった場合も、極めて僅かの力でバラバラにほぐれ、処理剤コート面がはがれてしまったり、種子を傷付けることのないキトサン含有種子処理剤を提供すること。
【解決手段】水性媒体、平均粒経が1〜1,000μmの水不溶性粒子および水溶性バインダーからなり、該バインダーがキトサンの有機酸塩からなることを特徴とする種子用処理剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水性媒体、平均粒経が1〜1,000μmの水不溶性粒子および水溶性バインダーからなり、該バインダーがキトサンの有機酸塩からなることを特徴とする種子用処理剤。 【請求項2】 水不溶性粒子の含有量が、キトサンに対して、10〜500重量%である請求項1に記載の種子用処理剤。 【請求項3】 有機酸が、天然に存在する有機酸である請求項1に記載の種子用処理剤。 【請求項4】 水不溶性粒子が、有機物及び/又は無機物を主成分とするものである請求項1に記載の種子用処理剤。 【請求項5】 水不溶性粒子の表面が、親水性である請求項1に記載の種子用処理剤。 【請求項6】 籾殻、木材、動物の皮、キチンおよび岩石から選ばれる天然物の粉砕品である請求項4に記載の種子用処理剤。 【請求項7】 紙及び/又はプラスチック加工品の粉砕品である請求項4に記載の種子用処理剤。 【請求項8】 有機物が、天然高分子又は生分解性高分子である請求項4に記載の種子用処理剤。 【請求項9】 天然高分子が、セルロース及び/又は澱粉である請求項8に記載の種子用処理剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、種子の発芽率や成長に対して良好な影響を与える種子用処理剤に関し、詳しくは、種子への固着性が良好でかつ種子をそれで処理および乾燥する際、種子同士の接着が少なく、結果として、乾燥時に種子が団粒化することの極めて少ない種子用処理剤に関する。 【0002】 【従来の技術】天然に存在する多糖であるキトサンが種子の発芽促進、発根促進に有効であることはよく知られている。この機能を利用して、種子をキトサン溶液に浸漬、あるいは種子にキトサンをコートすることが行われている。また、播種用の種子は種々の消毒やその他の薬剤処理が施されているが、この際、バインダーとしてキトサンを利用することも知られている。これらの種子をキトサンで処理を行う場合、通常はキトサンを希酸水溶液に溶解して使用することが多い。具体的にはキトサンの希酸水溶液に種子を浸漬し、あるいはキトサンの希酸水溶液を種子に吹き付けコートした後、乾燥することで処理が行われている。 【0003】従来の種子処理用キトサンの希酸水溶液を使用し、これを均一に種子にコートすると、乾燥時に種子同士が互いに接着してしまい、結果として団粒化が起こることは避けられず、ひどい場合は一塊になってしまうこともある。一旦、団粒化してしまった種子は、細心の注意を払って、1粒1粒をバラすことになるが、その際、せっかくのコート面がはがれてしまったり、ひどい場合は、種子に傷をつけることもある。 【0004】乾燥に際し、1粒1粒離して配置した後に乾燥することも、乾燥時の団粒化を避ける一つの方法であるが、この方法は未乾燥の取り扱いにくい種子を1粒1粒離して配置する手間と共に、大きな乾燥面積を必要とする問題がある。キトサンが種子処理剤として極めて有用であることは多くの認めるところであるが、上記のことが、キトサンを種子処理剤として実用化する場合の大きな問題となっている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、キトサン含有処理剤で種子を処理した場合、乾燥に際して、種子を1粒1粒離して配置する必要がなく、限られた乾燥面積の中で種子同士が接触した状態で種子を乾燥した場合でも、団粒化が起こらないか、起こった場合も、極めて僅かの力でバラバラにほぐれ、処理剤コート面がはがれてしまったり、種子に傷を付けることのないキトサン含有種子処理剤を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、キトサンの希酸水溶液に従来加えられることのなかった、粒経が1〜1,000μmの水不溶性粒子を加えることにより目的が達せられることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明は、水性媒体、平均粒経が1〜1,000μmの水不溶性粒子および水溶性バインダーからなり、該バインダーがキトサンの有機酸塩からなることを特徴とする種子用処理剤である。 【0007】 【発明の実施の形態】次に本発明を好ましい実施態様を挙げてさらに詳しく説明する。本発明の種子用処理剤に使用する水性媒体は、主として水からなるが、この中には少量の水溶性有機溶剤、例えば、アルコールやグリコールなどが存在していてもよい。 【0008】本発明において使用する水不溶性粒子は、粒経が1〜1,000μmで、水不溶性であれば有機物、無機物、あるいはその混合物でも良い。本発明の目的が種子処理剤であることから、種子に悪影響を与える粒子を避けることは当然であるが、環境適合性のある物質であることが望ましい。この意味で天然物が好ましいが、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の合成高分子の微粒子も使用することができる。合成高分子の中でも、例えば、ポリ乳酸、ポリカプトラクトン、ポリブチレンサクシネートの如き生分解性高分子は好適である。水不溶性粒子は、本発明の媒体が基本的に水であることから、少なくとも粒子の表面は親水性であることが望ましい。 【0009】これら要件を全て満たす粒子として、セルロースパウダー、澱粉粒子が特に好ましい。セルロースパウダー等は特に純粋である必要はなく、古紙、廃木材等の粉砕品等もリサイクルの意味から有効に利用できる。さらにリサイクルの点からは、籾殻、わら、キチン(甲殻類の甲羅)、魚のうろこ、骨、豚、牛等の家畜等の皮の粉砕物も使用できる。さらに場合によっては、農業用ビニール等のプラスチックの加工品(成形品)の粉砕粒子も使用し得る。また、各種岩石の砕石、セラミックパウダー、カオリン、クレー、タルク等の無機化合物も使用できる。本発明の種子処理剤中のこれらの水不溶性粒子の含有量は、キトサンに対し、10〜500重量%が好適である。10%未満では、種子同士の接着防止効果が不充分となり、500重量%を超えるとキトサンのバインダーとしての効果を阻害する恐れがある。 【0010】本発明において使用するキトサンの有機酸塩は、キトサンと有機酸との水溶性塩である。キトサンは、カニやエビの甲殻類の外皮中に存在するキチンを脱アセチル化して得られるものであり、それ自体としては周知の材料であり、種々の脱アセチル化度、種々の分子量のものが市場から容易に入手できるし、また容易に製造し得るものである。本発明においてはこれらの公知のキトサンがいずれも使用できる。 【0011】キトサンの有機酸塩化に使用する有機酸としては、水性媒体中にある程度の溶解性を有する有機酸であればいずれでもよく、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、タウリン、ピロリドンカルボン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ヒドロキシマロン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、安息香酸、サリチル酸、アミノ安息香酸、フタル酸、ビタミンC等の有機酸が挙げられる。特に好ましいものは乳酸、リンゴ酸、クエン酸等の天然に存在する有機酸である。 【0012】このような有機酸の使用量は、キトサンの脱アセチル化度(すなわち、キトサンのアミノ基当量)および酸の当量によって変化するので一概には規定することができないが、生成したキトサン有機酸塩が水溶性を保持できる量であればよく、特に限定されない。一般的にはキトサン中のアミノ基1個あたり約0.8〜2モルの範囲である。キトサンの有機酸塩は、例えば、キトサンを希有機酸水溶液に撹拌・溶解すること等によって得ることができる。 【0013】キトサンの有機酸塩は、本発明の種子用処理剤中において約0.1〜20重量%程度の濃度で使用するのが好ましく、使用量が少すぎると形成されるキトサン有機酸塩被膜の強度が不充分となり、多すぎると処理剤自体の粘度が高くなりすぎるので好ましくない。そのため、使用量が多い範囲においては比較的低分子量のキトサンを使用するのが好ましい。 【0014】本発明の種子用処理剤は、前記の水性媒体、粒経が1〜1,000μmの水不溶性粒子およびキトサンの有機酸塩を必須成分とするが、本発明の目的を妨げない範囲において、他の水溶性ポリマー、界面活性剤、消毒剤、発芽促進剤、成長ホルモン等も含み得るものである。本発明の種子用処理剤は、以上の如き必須成分および任意成分を任意の順序で水と混合することで容易に得ることができる。 【0015】 【実施例】次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中、部または%とあるのは特に断わりのない限り重量基準である。 【0016】<実施例1>キトサン(脱アセチル化度82%、分子量10万)30gを水930gに分散させ、撹拌下、室温で乳酸40gを添加する。そのまま4時間撹拌を続けてキトサンを溶解させ、キトサン乳酸塩水溶液(粘度5cps(mPa・sec)、(25℃))を調製した。この溶液を分割して、それぞれに表1に記載の平均粒径および量のセルロースパウダー、籾殻粉砕物、牛皮粉砕物を加え、本発明の種子用処理剤を得た。 【0017】得られた種子用処理剤を、かいわれ大根の種子100gに対してそれぞれ4gをスプレーして十分に混合した後、これをペットフィルムの上に置いた15cm×15cmのボール紙製の正方形の枠の中に入れ、上部を平らに整えた後、静かに枠をはずし、風乾し、乾燥物の団粒化状態を調べた。キトサン乳酸塩水溶液に水不溶性粒子を加えていない処理剤を使用した場合は全体が一塊になり、かなりの力を加えないとほぐれなかった。ほぐれた種子の一部には、処理剤被膜のはがれが見られた。これに比べ、本発明の処理剤を使用した場合はほとんど団粒化しないか、団粒化した場合も僅かな力で簡単に団粒物がほぐれ、1粒1粒バラバラになった。また、ほぐれた種子の中には目立つような処理剤被膜のはがれは見られなかった。結果を表1に示す。 【0018】さらに、得られたキトサン処理種子をポリ袋に入れて5分間上下に強力に振動させたが、いずれの場合も処理剤被膜の脱落は殆ど生じなかった。また、それぞれの処理種子について発芽試験を行ったところ、水不溶性粒子を加えていない処理剤で処理した種子に比して、本発明の処理剤で処理した種子の発芽および成育は劣ることなく、むしろ若干向上していた。 【0019】<実施例2>有機酸としてクエン酸を使用する他は実施例1と同様にしてキトサンのクエン酸塩および水不溶性樹脂を含む処理剤を得、評価したところ実施例1と同様な良好な結果が得られた。 【0020】<実施例3>有機酸としてリンゴ酸を使用し、種子を大豆に変えた以外は実施例1と同様にして処理剤を得、評価したところ、ほとんど団粒化現象が見られず、全体として実施例1より良好な結果が得られた。 【0021】<実施例4>実施例1のキトサン乳酸水溶液に平均粒経1,000μmのセルロースパウダーを1%となるよう加えた処理液を調製し、これをソラマメに対し4%添加し、実施例1と同様に処理し乾燥したところ、団粒化は起こらなかった。 【0022】
【0023】 【発明の効果】以上の如き本発明によれば、水溶性バインダーとしてキトサンの有機酸塩を使用した種子用処理剤に、粒経が1〜1,000μmの水不溶性粒子を加えることによって、次の如き作用効果が奏される。 (1)本発明の種子処理剤を種子にコートすると、水不溶性粒子の存在により、種子を乾燥前に1粒1粒離して配置する必要がなく、乾燥による種子の団粒化が起こりにくくなり、一部団粒化した場合も極めて僅かの力で種子はバラバラにほぐれ、コート面がはがれてしまったり、種子を傷付けることもない。 (2)本発明の種子処理剤は種子に対して悪影響することもなく、むしろ発芽促進効果を示す。 (3)形成された処理剤被膜は、その主成分が天然物のキトサンであるので、同じ天然物である種子表面に強力に接着し、さらに水不溶性粒子の存在は、処理種子の輸送時等における種子同士の衝突による摩擦、衝撃に対して衝撃緩衝効果を与える。 (4)形成される処理剤被膜の主成分がキトサンであり、水不溶性粒子としてセルロース、澱粉等の天然物を使用した場合には、これらは良好な生物学的分解性を示し、種子の発芽や成長に対して悪影響を及ぼさず、むしろ促進する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002820 【氏名又は名称】大日精化工業株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6号
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| 【出願日】 |
平成14年5月1日(2002.5.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077698 【弁理士】 【氏名又は名称】吉田 勝広 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−321304(P2003−321304A) |
| 【公開日】 |
平成15年11月11日(2003.11.11) |
| 【出願番号】 |
特願2002−129740(P2002−129740) |
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