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【発明の名称】 害虫防除補助液
【発明者】 【氏名】江藤 紘一

【要約】 【課題】電解水を使用して植物片から昆虫の誘引効果のあるエキスを抽出し、そのエキスを農薬に混合して、効果的に害虫を駆除する害虫防除補助液を提供する。

【解決手段】一種または2種以上の植物片をアルカリ性電解水で洗浄し、そして酸性電解水で洗浄した後、アルカリ性電解水で中和し、中和した植物片をアルカリ性電解水に浸漬してアルカリ性電解水を浸透させ、その植物片を粉砕して流動状とし、それに酸性電解水及び糖類を混合して大気中で数週間発酵させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物片にアルカリ性電解水を浸透させ、その植物片を粉砕して流動状とし、発酵させたことを特徴とする害虫防除補助液。
【請求項2】 植物片にアルカリ性電解水を浸透させ、その植物片を粉砕して流動状とし、酸性電解水及び糖類を混合して発酵させたことを特徴とする害虫防除補助液。
【請求項3】 植物片をアルカリ性電解水で洗浄し、そして酸性電解水で洗浄した後、アルカリ性電解水で中和し、中和した植物片をアルカリ性電解水に浸漬してアルカリ性電解水を浸透させ、その植物片を粉砕して流動状とし、それに酸性電解水及び糖類を混合して大気中で数週間発酵させたことを特徴とする害虫防除補助液。
【請求項4】 前記植物片として2種以上の植物の混合を使用することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の害虫防除補助液。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は農薬に混合して使用する害虫防除補助液に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、作物を有害生物から保護するために農薬が散布されている。そしてそれらの農薬としては殺虫剤、殺菌剤、除草剤、生理活性剤等が使用され、現在ではフェロモン剤、天敵昆虫、微生物農薬等が使用されている。
【0003】一般的に、農薬散布においては、樹木・作物の表面には農薬が付着するが、葉の裏面、葉の内部、隙間、幹内に生息する害虫には農薬が行き届かず、害虫を有効に駆除するのが困難であった。また、フェロモン剤等の化学剤では、効果のある昆虫は限られ、また製造工程が複雑であり、原価が高いという問題があった。本発明はかかる従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、電解水を使用して植物片から昆虫の誘引効果のあるエキスを抽出し、そのエキスを農薬に混合して、効果的に害虫を駆除する害虫防除補助液を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するための手段として本発明請求項1記載の害虫防除補助液では、植物片にアルカリ性電解水を浸透させ、その植物片を粉砕して流動状とし、発酵させる構成とした。
【0005】請求項2記載の害虫防除補助液では、植物片にアルカリ性電解水を浸透させ、その植物片を粉砕して流動状とし、酸性電解水及び糖類を混合して発酵させる構成とした。
【0006】請求項3記載の害虫防除補助液では、植物片をアルカリ性電解水で洗浄し、そして酸性電解水で洗浄した後、アルカリ性電解水で中和し、中和した植物片をアルカリ性電解水に浸漬してアルカリ性電解水を浸透させ、その植物片を粉砕して流動状とし、それに酸性電解水及び糖類を混合して大気中で数週間発酵させる構成とした。
【0007】請求項4記載の害虫防除補助液では、請求項1〜3いずれか記載の害虫防除補助液において、前記植物片として2種以上の植物の混合を使用する構成とした。
【0008】
【発明の実施の形態】一般的に農薬には殺虫剤、殺菌剤、除草剤、生理活性剤等があり、殺虫剤としては次のようなものが使用されている。
○殺虫剤・食毒剤(昆虫が農薬を食べると死ぬ。)
農薬の付いた樹木の葉や枝、幹を虫が食べると、食中毒を起こし、死ぬという性質をもつ殺虫剤。BT剤(天敵微生物製)がこの作用で虫を殺す。また、多くの有機リン剤やカーバメイト剤は、他の作用と共にこの食毒作用をもっていて、蛾や蝶の幼虫(イモムシ、ケムシ)、コガネムシなどに有効に働く。
・接触剤(虫に農薬がかかると死ぬ。)
農薬が直接、間接的に虫の体につくと効果が現れる性質の農薬でBT剤とIGR剤(脱皮阻害剤)と除くほとんどの殺虫剤がこの作用をもっている。
・浸透移行性剤(虫が葉や茎から汁を吸うと死ぬ。)
薬剤が葉や枝・幹から樹木体内に吸収され、樹木全体に行き渡り、それを食べた虫が中毒死するという性質を持つ農薬、アブラムシ類や小型の潜葉性の害虫(ハモグリバエ、ハモグリガ等)に効果的な農薬が販売されている。本発明の害虫防除補助液は上記のような農薬に補助液として混合し、害虫の誘引効果を付与し、駆除効果を高めるものである。
【0009】
【実施例】本発明の害虫防除補助液は、電解整水器で生成されるアルカリ性電解水(アルカリイオン水)と、酸性電解水(酸性イオン水)を使用し、植物片に糖類(蜂蜜、砂糖、果糖、黒糖)などを加え、発酵させた生成物である。電解整水器は一般的に使用されているものであり、水道水等を電気分解して、陽極側に強酸性水を、陰極側に強アルカリ水をそれぞれ生成するものである。
【0010】以下に、害虫防除補助液の製造方法を説明する。
■ 植物片(葉)をアルカリ性電解水(pH10〜13)で洗浄する。洗浄はアルカリ性電解水をシャワー散布しながら、あるいは植物片をアルカリ性電解水に浸漬して1分程度洗浄する。植物片は防除対象とする農作物片であり、キュウリ、茄子、トマト、イチゴ、メロン、にら、ネギ、みかんその他農作物の葉、果実、根、茎等を使用する。本実施の形態では単一の種類の植物を使用するが、2種以上の植物を混ぜ合せても良い。植物の種類が相違しても効果は認められる。そして、防除対象の植物の科または属が同一であれば、互換的に効果が認められる。
【0011】■ 洗浄した植物片を酸性電解水で中和(洗浄)すると共に、酸性電解水(pH1〜3)に5分程度浸漬して殺菌処理をする。
■ 次にアルカリ性電解水(pH11)に2分程度浸漬して中和する。
【0012】■ 中和した植物をアルカリ性電解水(pH10〜pH13)に1時間〜3時間浸漬する。これにより、植物の内部組織が柔軟となり、植物エキスが抽出しやすくなる。
【0013】■ アルカリ性電解水に浸漬して強アルカリ水が植物片に浸透した後に、ミキサーによりミキシングし各植物の粉砕溶液(流動状)を作る。
【0014】■ この流動状溶液に酸性電解水(pH1〜3)及び糖類(蜂蜜、砂糖、黒糖、果糖)を混合して糖類の溶解液をつくる。酸性電解水の添加量としては前記粉砕溶液の容積1に対して1〜5程度、糖類の添加量としては混合溶液全体重量の数パーセント程度である。しかし、これら酸性電解水、糖類の混合量は気候、散布条件等によって変更可能である。酸性電解水を加えることにより糖類の溶解が促進される。これらの溶解液を容器に入れ、表面が大気に接触する状態で放置し、雑菌の作用により2週間〜1.5カ月発酵させる。この発酵は、大気中の雑菌の作用によって発酵させるのであるが、この方法の他、土壌菌を混入して発酵させる方法、あるいは有用微生物群(EM菌)を混合して発酵させる方法等によることができる。これらの有用微生物群等を混合することにより、発酵期間を短縮することができる。発酵後は、濾過して不純物を取り除き、本発明の害虫防除補助液を製造する。
【0015】この害虫防除補助液(原液)の使用方法は、殺虫剤に混合して使用するのであるが、使用時には希釈して散布する。この希釈割合は圃場10アールに対して原液1リットルの割合で散布するように希釈する。10アールに500リットルの殺虫剤を散布する場合であれば、その500リットル中に害虫防除補助液の原液1リットルを混合して殺虫剤と共に動力噴霧器で散布する。これによって、害虫の誘引効果のある害虫防除補助液と共に、殺虫剤が作物に付着し、効果的に害虫を駆除する。本発明の害虫防除補助液は防除対象とする植物片を原料とするので、それを混合した殺虫剤を散布すると、誘引効果が発揮され、害虫が出てきて殺虫剤に触れて死滅する。
【0016】次に、害虫防除補助液の適用例を説明する。
[適用例1]いちごの葉または果肉を原料として前記害虫防除補助液を製造し、その害虫防除補助液をスリップス防除剤に混合して葉面散布用の動力噴霧器でいちご菜園に散布した。葉裏のスリップスが葉表まで出てきて死んでいることが確認された。防除剤に添加した害虫防除補助液が誘引効果を発揮したためであり、これにより作業性が向上し農薬散布量を減少させることができる。
【0017】[適用例2]キュウリの葉または果肉を原料として前記害虫防除補助液を製造し、その害虫防除補助液をアブラ虫防除に補助液を入れキュウリ菜園に散布したところ、アブラ虫は1日で完全にいなくなり、又、日中よとう虫、青虫が現れ、よとう虫、青虫は葉裏でひからびて死んでいた。
【0018】[適用例3]キュウリの葉または果肉を原料として前記害虫防除補助液を製造し、その害虫防除補助液をかたつむり、なめくじ防除液に混合して散布すると、多数のなめくじが出てきて、効果的に捕殺することができた。
【0019】以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の具体的な構成は本実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲での設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、前記実施の形態では植物の流動状溶液に酸性電解水と糖類を加えて発酵させる構成としたが、これらを混合せず植物の流動状溶液のみを発酵させる場合であっても昆虫の誘引効果は得ることができる。また、流動状溶液に混合する酸性電解水の代わりとして通常の水を使用することも可能である。さらに、前記実施の形態で害虫防除補助液を殺虫剤に混合する構成としたが、殺菌剤等その他の農薬に混合して使用することも可能である。また、本発明の害虫防除補助液を粉状、粒状に加工して散布することも可能である。
【0020】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明の害虫防除補助液においては、植物片にアルカリ性電解水を浸透させるので、植物組織が柔軟となり植物エキスを効果的に抽出することができる。また、糖類を混合することによって発酵が促進され、発酵によって誘引効果のすぐれた補助液が製造される。また、糖類と共に酸性電解水を混合するので、糖類の溶解が促進される。そして、電解水を使用するので製造原価が安価であり、残留毒性のおそれも無い。これらの害虫防除補助液を殺虫剤に混合することによって、葉の裏、間に生息する虫を誘引して効果的に駆除することができる。
【出願人】 【識別番号】502138555
【氏名又は名称】篠崎 裕子
【出願日】 平成14年4月17日(2002.4.17)
【代理人】 【識別番号】100119644
【弁理士】
【氏名又は名称】綾田 正道 (外3名)
【公開番号】 特開2003−306401(P2003−306401A)
【公開日】 平成15年10月28日(2003.10.28)
【出願番号】 特願2002−115431(P2002−115431)