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【発明の名称】 植物病害防除剤組成物及び微生物
【発明者】 【氏名】前田 光紀
【住所又は居所】静岡県榛原郡榛原町坂部62−1 日本曹達株式会社小田原研究所榛原農業研究部内

【要約】 【課題】各種農園芸作物等の植物の病害、特に灰色かび病及び菌核病に対して、一定して優れた防除能を有し、各種化学殺菌剤に耐性を有しこれらの殺菌剤との混用もしくは体系防除が可能な新規な微生物を提供し、かかる微生物を含有することにより長期に亘り病害防除能を保持し、殺菌剤と併用してもその病害防除能維持可能な植物病害防除剤組成物及びこれを用いて植物及び/又は土壌を処理する植物病害の防除方法を提供する。

【解決手段】植物病害防除剤組成物が、植物病害防除能を有し、かつ殺菌剤に耐性を有するクラドスポリウム属(Cladosporium)に属する微生物、好ましくはクラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)に属する微生物、更に好ましくはクラドスポリウム・クラドスポリオイデスHAI−0110株を主成分とする植物病害防除剤組成物を調製する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 クラドスポリウム属(Cladosporium)に属する微生物を含有することを特徴とする植物病害防除剤組成物。
【請求項2】 クラドスポリウム属(Cladosporium)に属する微生物が、植物病害防除能を有し、かつ殺菌剤に耐性を有する微生物であることを特徴とする請求項1記載の植物病害防除剤組成物。
【請求項3】 クラドスポリウム属(Cladosporium)に属する微生物が、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(C.cladosporioides)に属する微生物であることを特徴とする請求項1記載の植物病害防除剤組成物。
【請求項4】 クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(C.cladosporioides)に属する微生物が、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(C.cladosporioides)HAI−0110株であることを特徴とする請求項3記載の植物病害防除剤組成物。
【請求項5】 植物病害防除剤が、灰色かび病防除剤及び/又は菌核病防除剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の植物病害防除剤組成物。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれか記載の植物病害防除剤組成物を用いて、植物及び/又は土壌を処理することを特徴とする植物病害の防除方法。
【請求項7】 植物病害防除能を有し、かつ殺菌剤に耐性を有することを特徴とするクラドスポリウム・クラドスポリオイデス(C.cladosporioides)。
【請求項8】 植物病害防除能が、灰色かび病防除能及び/又は菌核病防除能であることを特徴とする請求項7記載のクラドスポリウム・クラドスポリオイデス(C.cladosporioides)。
【請求項9】 クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(C.cladosporioides)HAI−0110株。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラドスポリウム属(Cladosporium)に属する新規な微生物、特に各種農園芸作物の灰色かび病や菌核病等の植物病害防除能を有し、かつ殺菌剤に耐性を有する新規な微生物や、かかる微生物を含有してなる植物病害防除剤組成物や、かかる植物病害防除剤組成物を用いた植物病害の防除方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、各種作物の灰色かび病及び菌核病に対しては、ベンズイミダゾール系殺菌剤及びチオファネート系殺菌剤(以下、ベンズイミダゾール・チオファネート殺菌剤と記す。)は農園芸作物に寄生する種々の病原菌に対して優れた防除効果を示し、1970年頃より農園芸用殺菌剤として広く一般に使用され、作物増産に大きく寄与してきた。
【0003】一方、合成殺菌剤による防除に代わるべき、あるいは併用すべき手段として、環境汚染が極めて少なく、生態系に調和し、かつ防除効果の優れたものとして生物農薬が知られている。このような農園芸作物の病害防除、特に灰色かび病に用いられてきた微生物として、トリコデルマ属、グリオクラディウム属、バチルス属に属する微生物が挙げられ、これまでにこれらの微生物を含有する農園芸用殺菌剤組成物も数多く研究開発されてきた。
【0004】例えばバチルス属に属する細菌については、特開昭63−273470号公報では、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)JB3株菌(NCIB12375)、バチルス・ズブチリスJB3.6株菌(NCIBB12376)、バチルス・ズブチルスR1株菌(NCIB12616)、あるいはこれらの変異株等から得られる抗菌物質が植物の病気、動物及びヒトの微生物感染等を抑制し、更に一般的な微生物汚染を抑制するとし、上記各菌株の培養物を用いて各種農園芸作物の病害を防除する試みがなされている。
【0005】また、特開平2−22299号公報には、上記バチルス・ズブチリスJB3株菌(NCIB12375)、バチルス・ズブチリスJB3.6株菌(NCIBB12376)、バチルス・ズブチルスR1株菌(NCIB12616)、あるいはこれらの変異株等から得られる抗菌物質を単離し、これを各種農園芸作物の病害防除に用いるという試みがなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなバチルス属に属する細菌を応用した農園芸作物の病害防除方法では何れも持続性、定着性、安定性等の点が必ずしも十分であるとは言えなかった。また、上記のような真菌類を使用した場合、体系的に処理される化学殺菌剤により、処理した微生物が死滅し、十分に効果が発揮できないなどの問題点があった。
【0007】本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、各種農園芸作物等の植物の病害、特に灰色かび病及び菌核病に対して、一定して優れた防除能を有し、ベンズイミダゾール・チオファネート殺菌剤等の各種化学殺菌剤に耐性を有し、これらの殺菌剤との混用もしくは体系防除が可能な新規な微生物や、かかる微生物を含有することにより長期に亘り病害防除能を保持し、化学殺菌剤と併用してもその病害防除能が維持可能な植物病害防除剤組成物や、これを用いて植物及び/又は土壌を処理する植物病害の防除方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、本発明者らは、各種農園芸作物の灰色かび病が花器から感染することに着目し、インゲン及びナスの花器に常在する微生物を分離し、それらの微生物について各種農園芸作物の灰色かび病防除活性を有する微生物の選抜を試みた。その結果、インゲン及びナスの花器から灰色かび病病原菌の生育を妨げる糸状菌を分離、選抜することができた。得られた糸状菌株の形態や菌学的性質は以下の通りであった。
【0009】菌糸は、隔壁を有し、暗緑色ないし黒褐色であり、分生子柄は、直立又は若干曲がりながら生じ、隔壁は少なく頂部がくびれて枝分かれせず、小柄を形成し、オリーブ褐色を呈し、表面は平滑である。分生胞子は出芽型で鎖状に枝分かれして求頂的に形成され、表面は平滑で淡褐色、3〜7×2〜4μmのレモン形ないし円筒形の単細胞で、円筒形の分生胞子に隔壁を希に認める。
【0010】かかる形態的特徴から上記糸状菌株をクラドスポリウム属に属するクラドスポリウム・クラドスポリオイデス(C.cladosporioides)と同定し、この菌株をクラドスポリウム・クラドスポリオイデスHAI−0110株と命名した。このHAI−0110株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託番号FERM P−18797として寄託されている。そして、上記クラドスポリウム・クラドスポリオイデスHAI−0110株は、灰色かび病の他、菌核病に対しても優れた防除活性を有するばかりか、ベンズイミダゾール・チオファネート殺菌剤等の各種化学殺菌剤に対して耐性を有することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、クラドスポリウム属(Cladosporium)に属する微生物を含有することを特徴とする植物病害防除剤組成物(請求項1)や、クラドスポリウム属(Cladosporium)に属する微生物が、植物病害防除能を有し、かつ殺菌剤に耐性を有する微生物であることを特徴とする請求項1記載の植物病害防除剤組成物(請求項2)や、クラドスポリウム属(Cladosporium)に属する微生物が、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(C.cladosporioides)に属する微生物であることを特徴とする請求項1記載の植物病害防除剤組成物(請求項3)や、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(C.cladosporioides)に属する微生物が、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(C.cladosporioides)HAI−0110株であることを特徴とする請求項3記載の植物病害防除剤組成物(請求項4)や、植物病害防除剤が、灰色かび病防除剤及び/又は菌核病防除剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の植物病害防除剤組成物(請求項5)や、請求項1〜5のいずれか記載の植物病害防除剤組成物を用いて、植物及び/又は土壌を処理することを特徴とする植物病害の防除方法(請求項6)や、植物病害防除能を有し、かつ殺菌剤に耐性を有することを特徴とするクラドスポリウム・クラドスポリオイデス(C.cladosporioides)(請求項7)や、植物病害防除能が、灰色かび病防除能及び/又は菌核病防除能であることを特徴とする請求項7記載のクラドスポリウム・クラドスポリオイデス(C.cladosporioides)(請求項8)や、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(C.cladosporioides)HAI−0110株(請求項9)に関する。
【0012】
【実施の形態】本発明の植物病害防除剤組成物としては、クラドスポリウム属に属する微生物を含有する組成物であれば、特に限定されるものではないが、上記クラドスポリウム属に属する微生物が、植物病害防除能を有し、かつ殺菌剤に耐性を有する微生物であることが好ましい。かかるクラドスポリウム属に属する微生物として、クラドスポリウム・クラドスポリオイデスを例示することができ、より具体的にはクラドスポリウム・クラドスポリオイデスHAI−0110株を挙げることができる。また、本発明の植物病害防除剤組成物は、灰色かび病や菌核病に対して特に有利に用いることができる。
【0013】本発明の植物病害防除剤組成物の製造には、クラドスポリウム属に属する微生物を固体培養あるいは液体培養等の公知の手段で増殖させた菌体を用いることができる。クラドスポリウム属に属する微生物は、例えばインゲンの花器に常在する微生物からスクリーニングにより得ることができ、かかる微生物の増殖方法としては、菌体が増殖する方法であれば、特に培地の種類や培養条件等を問わず、いずれの方法でもよいが、例えば、固体培養の場合、ポテトデキストロース寒天培地、Czapek Dox寒天培地、麦芽寒天培地、標準寒天培地等における25℃での静置培養を、液体培養の場合、ポテトデキストロース液体培地、Czapek Dox液体培地、麦芽液体培地、標準液体培地等における25℃での振盪培養を挙げることができる。また、菌体の使用形態としては、菌体自体のほか、その懸濁液ないし培養液又はこれらの濃縮物、ペースト状物、乾燥物、希釈物等のいずれの形態であっても適用することができる。
【0014】本発明の病害防除剤組成物におけるクラドスポリウム属に属する菌の濃度は、特に制限されるものではないが、1000〜2000倍に希釈した際に、分生胞子菌濃度に換算して、1×1010〜1×103cfu/ml、好ましくは1×108〜1×104cfu/mlの範囲である。また、本発明の病害防除剤組成物には通常使用される担体、界面活性剤、分散剤、補助剤等を配合させることができ、その形態としては通常の農薬のとり得る形態、例えば、粉剤、水和剤、乳剤、フロアブル剤、粒剤等の形態を採用することができる。
【0015】上記担体としては、例えば、珪藻土、クレー、タルク、ベントナイト、ホワイトカーボン、カオリン、バーミキュライト、消石灰、珪砂、硫安、尿素等の固体担体を挙げることができる。界面活性剤及び分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンが付加したアルキルエーテル、ポリオキシエチレンが付加した高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したトリスチリルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物、イソブチレン−無水マレイン酸の共重合体等のイオン性界面活性剤や、分散剤を挙げることができる。また、補助剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、アラビアゴム、澱粉、乳糖等を挙げることができる。
【0016】本発明の病害防除剤組成物を乳剤として製造するには、採取・乾燥したクラドスポリウム属の分生胞子を、界面活性剤を含有する有機溶剤中に混入させた懸濁液を調製することにより行うことができる。かかる界面活性剤としては、菌胞子の発芽・生長を阻害しない性状のものであればいずれのものも適用することができ、具体的には、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等を挙げることができ、これらを1種単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。また、有機溶剤としては、例えば、大豆油、ナタネ油、ひまし油、綿実油、パーム油、サフラワー油等の植物油、スピンドル油、ヘビーホワイトオイル、ライトホワイトオイル、ミネラルスピリット、ミネラルターペン、ナフテン油、パラフィン油、農薬用マシン油等の鉱物油、シリコーンオイル等を挙げることができ、これらは1種単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0017】本発明の植物病害の防除方法は、上記本発明の植物病害防除剤組成物を用いて植物病害を防除する方法であれば、特に制限されるものではなく、本発明の植物病害防除剤組成物を通常の化学農薬と同様、各種農園芸作物等の植物体や土壌に散布処理等する方法を挙げることができる。散布処理に当たっては、本発明の植物病害防除剤組成物を適当量の水等で希釈して使用することができ、散布量としては、クラドスポリウム属に属する菌の分生胞子濃度に換算して、通常1×1010〜1×103cfu/ml、好ましくは1×108〜1×104cfu/mlの範囲である。
【0018】本発明はまた、植物病害防除能を有し、かつ殺菌剤に耐性を有するクラドスポリウム・クラドスポリオイデス、特に灰色かび病防除能及び/又は菌核病防除能を有し、かつベンズイミダゾール・チオファネート殺菌剤等の各種殺菌剤に耐性を有するクラドスポリウム・クラドスポリオイデス、より具体的には、クラドスポリウム・クラドスポリオイデスHAI−0110株(FERM P−18797)を対象としている。これら微生物自体は、上述の植物病害防除剤組成物の製造に有利に用いることができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の植物病害防除剤組成物や、これを用いた植物病害防除方法を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、クラドスポリウム属の菌の種類、製剤の組成割合、剤型等を自由に変更することができる。また、以下の実施例では、クラドスポリウム属菌としてクラドスポリウム・クラドスポリオイデスHAI−0110株(FERM P−18797)を用いた。
【0020】実施例1:クラドスポリウム属菌分生胞子懸濁液の調製300ml容三角フラスコに胞子形成用培地(0.4w/v%ポテトエキス,1%グルコース,pH6.0)150mlを入れ、加熱滅菌後、クラドスポリウム・クラドスポリオイデスHAI−0110株の前培養物10mlを接種し、回転振盪器中25℃、250rpmで72時間培養した。培養液を蒸留水あるいは緩衝液で洗浄する操作を3回繰り返し、最終的に1×109cfu/mlとなるようにクラドスポリウム属菌分生胞子懸濁液を調製した。
【0021】実施例2:植物病害防除剤組成物(粉剤)の製造実施例1で調製したクラドスポリウム属菌分生胞子懸濁液(1×109cfu/ml)2重量部の胞子ペレット、珪藻土1重量部及びクレー1重量部を均一に混合し乾燥した後、粉砕して粉剤Aを得た。
【0022】実施例3:植物病害防除剤組成物(水和剤)の製造実施例1で調製したクラドスポリウム属菌分生胞子懸濁液(1×109cfu/ml)1重量部の胞子ペレットと、スキムミルク10重量%及びグルタミン酸ナトリウム1重量%を含む水溶液1重量部とを均一に混合し、凍結後、乾燥して水和剤Bを得た。
【0023】実施例4:植物病害防除剤組成物(粉剤)の防除効果試験(ナス株)
実施例2で得られた粉剤Aを水道水で1000倍に希釈して処理液を調製した。その処理液をナス株に200L/10aの水量で散布した。散布は同じナス株に計2回行ない、1回目の散布4日後と2回目散布8日後にナス株の健全幼果数と発病幼果数を調査した。また、無撒布の場合(無処理)を対照とした。かかる防除効果試験を、フィールドを代えて計2回実施した。1回目の散布4日後の調査結果を表1に、2回目散布8日後の調査結果を表2に示す。表中、平均発病果率は2回の発病果率(全幼果数に対する灰色かび病が発症している発病幼果数の占める割合%)の平均を表し、防除価は、式[(無処理の平均発病果率−処理後の平均発病果率)/無処理の平均発病果率(%)]により求めた。表1及び表2から明らかなように、クラドスポリウム・クラドスポリオイデスはナス灰色かび病に対して防除効果を有することが認められた。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】実施例5:植物病害防除剤組成物(粉剤)の防除効果試験(イチゴ株)
実施例2で得られた粉剤Aを水道水で1000倍に希釈して処理液を調製した。その処理液をイチゴ株に200L/10aの水量で散布した。散布は同じイチゴ株に1週間間隔で計3回行ない、3回目の散布7日後にイチゴ株の健全幼果数と発病幼果数を調査した。また、無撒布の場合(無処理)を対照とした。かかる防除効果試験を、フィールドを代えて計2回実施した。調査結果を表3に示す。表中、平均発病果率は2回の発病果率(全幼果数に対する灰色かび病が発症している発病幼果数の占める割合%)の平均を表し、防除価は、式[(無処理の平均発病果率−処理後の平均発病果率)/無処理の平均発病果率(%)]により求めた。表3から明らかなように、クラドスポリウム・クラドスポリオイデスはイチゴ灰色かび病に対して防除効果を有することが認められた。
【0027】
【表3】

【0028】実施例6:各種殺菌剤に対する抗菌試験殺菌剤として広い病害防除スペクトルを有するベノミル(benomyl;デュポン社製)や、灰色かび病防除剤の特効薬であるプロシミドン(procymidone;住友化学工業社製)を、それぞれ0.1、1.0、100ppmとなるよう添加したポテトデキストロース寒天培地(日本水産社製)にクラドスポリウム・クラドスポリオイデス含菌寒天を置床した。これを25℃暗黒下5日間静置培養した後、菌糸伸長量(mm)を測定し菌糸伸長阻止率を求めた。比較例として、灰色かび病菌であるボトリティス・シネレ(Botrytis cinerea)を用いた。結果を表4に示す。表4から明らかなように、ベノミル及びプロシミドンは対照微生物であるボトリティス・シネレに対し、0.1及び1.0ppmで100%の抗菌活性を示した。しかし、クラドスポリウム・クラドスポリオイデスに対して、ベノミルは100ppmにおいても9.7%、プロシミドンは33.3%とほとんど抗菌活性を示さなかった。これらのことから、本発明の植物病害防除剤組成物は、ベノミルやプロシミドン等の殺菌剤との混用あるいは体系防除が可能であることが示された。
【0029】
【表4】

【0030】
【発明の効果】本発明の植物病害防除剤組成物は、各種農園芸作物等の植物の病害、特に灰色かび病や菌核病に対して、一定して優れた防除能を有し、各種化学殺菌剤に耐性を有し、これらの殺菌剤との混用もしくは体系防除が可能であり、かかる微生物を含有することにより長期に亘り病害防除能を保持し、ベンズイミダゾール・チオファネート殺菌剤等の各種化学殺菌剤と併用してもその病害防除能維持することができ、かかる植物病害防除剤組成物を用いた本発明の植物病害の防除方法によれば、植物病害防除剤組成物を各種農園芸作物等の植物や、土壌に散布する等の方法により、植物の病害、特に灰色かび病及び菌核病に対して効果的に防除することができる。
【出願人】 【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目2番1号
【出願日】 平成14年4月8日(2002.4.8)
【代理人】 【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀 (外2名)
【公開番号】 特開2003−300804(P2003−300804A)
【公開日】 平成15年10月21日(2003.10.21)
【出願番号】 特願2002−105774(P2002−105774)