| 【発明の名称】 |
木材及び木質材料用の防腐防虫剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】梶本 武志
【氏名】久保田 静男
【氏名】今村 祐嗣
【氏名】畑 俊充
【氏名】中井 祐
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| 【要約】 |
【課題】人体に無害で環境汚染を引き起こさない木材及び木質材料用の防腐防虫剤が求められている。
【解決手段】本発明の防腐防虫剤は木材及び木質材料の防腐・防虫のために用いられ、木材を木材分解剤で分解して得た木材分解生成物を有効成分として含んでいる。前記の木材分解剤としては、ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、または、アミノアルコールなどが挙げられる。この防腐防虫剤は、塗布されることで木材表面に皮膜を形成したり、木材内部に注入されることで菌類の浸食から木材を保護する。特に、木材腐朽菌である、オオウズラタケやカワラタケに対する防腐作用はきわめて高く、防虫効果も認められた。銅化合物、銀化合物、または、ホウ素化合物を加えると、より高い防虫効果が得られた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 木材を木材分解剤で分解して得た木材分解生成物を有効成分として含む木材及び木質材料用の防腐防虫剤。 【請求項2】 木材分解剤が、ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、及びアミノアルコールから成る群より選ばれたいずれか一種の化合物である請求項1に記載の木材及び木質材料用の防腐防虫剤。 【請求項3】 銅化合物、銀化合物、及びホウ素化合物から成る群より選ばれたいずれか一種の化合物を加えて成る請求項1または請求項2に記載の木材及び木質材料用の防腐防虫剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、木材及び木質材料用の防腐防虫剤に係り、特に、木材を化学的に処理することによって得られる防腐防虫剤に関する。 【0002】 【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】従来、木材の防腐防虫剤は、銅、クロム、ヒ素化合物などの混合物(以下CCAと称する)を加圧・減圧により木材中に注入して防腐防虫効果を発現させる方法があった。この方法では木材中に薬剤を含浸させるための装置が大掛りとなり、薬剤注入後も使用前に木材を乾燥させる必要があった。また、CCAで処理した木材は廃棄の際に焼却すると、注入されていたヒ素が有毒なトリメチルアルシンあるいは、三酸化二ヒ素となって大気中に飛散するとともにクロムは六価クロムとなって木炭中に残り、廃棄後の環境汚染の原因となる。すなわち、廃棄物全体でたとえ1%でもCCA処理された木材が存在すると、その廃棄物は有害な金属を含んだ産業廃棄物となる。また、CCA木材は木材表面に発生した亀裂部分から腐朽もしくはアリ、キクイ虫、シバン虫などに食害されるという欠点があった。 【0003】銅アルキルアンモニウム化合物は銅とアンモニアとを含む保存処理用の薬剤であるが、高価であり、アンモニアの蒸気圧が高いために木材への定着性が悪く、薬剤の効果が短く2年程度で塗り替えを必要とする。他に、銅、ホウ素、フッ素などの化合物を単独もしくは混合して使用することにより効果を発現させる方法があるが、いずれの薬剤も、木材への定着性を向上させるためには大がかりな減圧加圧式の注入装置と水や有機溶媒を取り除く乾燥機が必要であり、廃棄処理後の薬剤による環境汚染が懸念されている。そして、有機窒素含有化合物を防腐剤として用いることも知られており、アミン塩ならびに第4級アンモニウム化合物がこの目的のために用いられている。しかし、これらの薬剤は、木材への定着性が悪く、耐久性がない。 【0004】また、ペンタクロルフェノール及びテトラクロロフェノールは無垢の木材を防腐処理する際に用いられる薬剤であるが、その構造式からポリ塩化ジベンゾダイオキシンを発生させることが容易に予想される。石炭乾留物であるクレオソートは枕木や住宅土台材に用いられており木材への浸透性が良いものの、定着性が悪く振動により溶脱し、20年間使用後のクレオソート残存量は10%以下である。また、クレオソートには代謝の過程でガンを誘発するベンツピレンなどが含まれている。一方、柿渋は天然塗料として用いられるものの耐候性がない。また、木炭を主剤とした塗料は、高価であり、炭化物の組成によっては残存する木材成分がシロアリやカビを誘引する可能性がある。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記した種々の問題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、天然材である木材成分を原料として人体に無害で環境汚染を引き起こさない防腐防虫剤を見いだしたのである。すなわち、本発明により、木材を木材分解剤で分解して得た木材分解生成物を有効成分として含む木材及び木質材料用の防腐防虫剤が提供される。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態により詳しく説明する。本発明においては、木材端材を原料木材としてそのまま使用できるが、原料木材は粉砕し(必要ならばポリ塩化ビニルなどを分別し)、この粉砕物をふるいに掛ける前処理を行うのが好ましい。前記の粉砕は、例えば、衝撃式破砕機(ハンマー式、チェーン式)、せん断式破砕機、切断式破砕機、圧縮式破砕機(ロール式、コンベア式、スクリュ式)、スタンプミル、ボールミル、ロッドミル粉砕機などにより行うことができる。粉砕物は小さい方が反応に関わる表面積が大きくなるので望ましいが、目の開き10mmのふるいを通過する程度のものが良い。好ましくは目の開き3mm、更に好ましくは目の開き1mmのふるいを通過する粉砕物が良い。 【0007】そして、本発明の原料木材となる樹種としては、特に限定されないが、例えばクス、マツ、モミ、トウヒ、カラマツ、トガサワラ、ツガ、ヒノキ、ヒバ、ネズコ、スギ等の針葉樹や、ツゲ、カエデ、ブナ、ハンノキ、サクラ、カキ、トチノキ、シラカンバ、マカンバ、アカガシ、オニグルミ、クリ、シイ類、ナラ類、カシワ、クヌギ、キハダ、ハルニレ、ケヤキ、ホオノキ、クスノキ、タブノキ、イスノキ、カツラ、アサダ、ドロノキ、シナノキ、ミズキ、ハリギリ、キリ、タモ類、イヌエンジュ、ヤマグワなどの広葉樹が挙げられる。木質材料としては、例えばパーティクルボード、ファイバーボード、OSB、WB、ストランドボード、針葉樹合板、広葉樹合板などが挙げられる。また、リグニンやヘミセルロースなども本発明の木質材料に含まれる。 【0008】本発明に用いられる木材分解剤のひとつであるヒドロキシカルボン酸は、飽和ヒドロキシカルボン酸と不飽和ヒドロキシカルボン酸を含んでいる。前記の飽和ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸、2−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸、2−エチル−2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、3,3,3−トリクロロ−2−ヒドロキシプロピオン酸、2−(ラクトイルオキシ)プロピオン酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、5−クロロサリチル酸、3,5−ジクロロサリチル酸、3−ニトロサリチル酸、3,5−ジニトロサリチル酸、メチルサリチル酸、チモチン酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ヒドロキシフェニル酢酸、3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、マンデル酸、フェニル乳酸、3−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニルエタン酸などが挙げられる。また、前記の不飽和ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ヒドロキシけい皮酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシけい皮酸、3−ヒドロキシ−4−メトキシけい皮酸、2−ヒドロキシ−4−フェニル−3−ブテン酸、4−アリル−2−ヒドロキシ−6−メトキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−(8,11−ペンタデカジエニル)安息香酸、12−ヒドロキシ−9−オクタデセン酸などが挙げられる。 【0009】別の木材分解剤であるジカルボン酸は、飽和ジカルボン酸と不飽和ジカルボン酸を含んでいる。前記の飽和ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クロロコハク酸、ブロモコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、フタル酸、クロロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、テトラブロムフタル酸、クロレンド酸、フェニルコハク酸、o−カルボキシフェニル酢酸、o−フェニレン二酢酸などが挙げられる。また、前記の不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、クロロマレイン酸、フマル酸、クロロフマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アリルマロン酸、イソプロピリデンコハク酸、ムコン酸などが挙げられる。 【0010】他の木材分解剤であるアミノアルコールとしては、例えば、2−アミノエタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラエタノールアミン、2−(エチルアミノ)エタノールなどが挙げられる。 【0011】原料木材と、木材分解剤として用いる化合物との重量比は1:0.2〜35、好ましくは1:0.5〜5とするのが望ましい。この比を変えることにより、得られる木材分解生成物の分子量を調整できる。因みに、木材分解剤が少ないと木材分解生成物の分子量が大きくなり、木材分解剤が多いと木材分解生成物の分子量が小さくなる。処理コストの面からは、加える物質が少ないほうがよい。しかしながら、ぬれ性などの観点から一定よりも少なくできないことがある。また、木材粉砕物は嵩高いので、木材分解剤中に十分浸からず、木材粉砕物の表面がぬれないことがある。但し、十分にぬれない場合は、分解に用いたものと同種の新たな木材分解剤に、分解により生じた液(木材分解生成物)を加えることによって、木材粉砕物をぬらして分解させることができる。また、木材分解生成物から過剰の木材分解剤を分離することにより、木材粉砕物を効率良く有効利用することも可能である。 【0012】本発明において木材を分解するにあたりセルロース膨潤剤を用いても構わない。かかるセルロース膨潤剤としては、例えば、硝酸ナトリウム−水系(硝酸ナトリウム水溶液)、エチレンカーボネート、ラクチトール−水系(ラクチトール水溶液)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルモルホリン−N−オキシド、N,N−ジメチルアセトアミド−塩化リチウム系(N,N−ジメチルアセトアミドと塩化リチウムの混合物)、アニソール、尿素、水などが挙げられる。これらのセルロース膨潤剤は、木材成分である、リグニン、ヘミセルロース、セルロースの溶解剤、膨潤剤として働き、木材成分の分解を早める。例えば、アニソールは高温でのリグニンの縮合による不溶化を防止すると考えられる。 【0013】一方、本発明において、木材成分の分解を速める反応触媒として、ルイス酸を使用しても構わない。かかるルイス酸としては、例えば、硫酸アルミニウム、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、四塩化チタン、三塩化スズ(微量の水などが共触媒として必要)、ジエチルエーテラートなどが挙げられる。 【0014】本発明における木材の分解温度は、比較的低温の100℃から300℃程度でよい。好ましくは、150℃〜250℃の分解温度とするのが、分解速度が速くなって望ましい。因みに、分解温度は200℃〜280℃の範囲では、220℃が最も分解率が高かった。220℃よりも分解温度を高くした場合は、分解率が減少した。分解時間は1〜5時間の範囲では、1〜2時間における分解率が高く、2時間以後は分解率が減少した。木材チップ:乳酸の浴比は、1:20,1:10,1:5,1:3,1:2で実験したが、1:5までは分解率が高く、それ以下(1:3や1:2)では分解率が低くなった。これは浴比が小さいと原料木材(チップ)が木材分解剤に浸らないためである。また、硫酸アルミニウムの添加量は、1〜0.15%では、1%が最も分解率が高く、硫酸アルミニウムの量が減少するにつれて分解率も減少した。 【0015】そして、窒素雰囲気下で分解反応させることは、酸化反応による着色などが防げるために望ましい。更には、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどの酸化防止剤を添加して分解させると、よりいっそう着色を防ぐことができる。また、大気圧下あるいは加圧下で分解を行うことも可能である。因みに、低沸点ヒドロキシカルボン酸などを用いる場合、その沸点以上の温度では加圧下で分解を行う。 【0016】こうして得られた木材分解生成物は木材及び木質材料用の防腐防虫剤として使用される。木材及び木質材料への使用態様としては特に限定されないが、例えば、木材及び木質材料表面へ刷毛塗りする塗布法、塗料シャワー中を通過させて塗布するフローコーター法や、真空含浸装置を用いた加圧減圧による注入法などが挙げられる。 【0017】前記のように木材表面に防腐防虫剤を塗布することで木材表面に皮膜を形成したり、木材内部に防腐防虫剤を注入することで菌類の浸食から木材を保護することができる。特に、木材腐朽菌である、オオウズラタケやカワラタケに対する抗菌作用すなわち防腐作用はきわめて高いものであった。また、防虫効果も認められた。 【0018】一方、本発明の防腐防虫剤は、天然の木材成分で主に構成されているから、塗布加工時などに人体への毒性がなく、使用中も揮発しにくく定着性が良い。また、使用を終えて廃棄物となった時も環境汚染を引き起こさない。因みに、木材分解剤のひとつであるL−乳酸はLD50が3.72g/kgであり、人体への害はほとんどない。そして、L−乳酸による木材分解生成物は、上述のように木材の構成成分である、セルロース、ヘミセルロース、リグニン及びL−乳酸で構成されているので、分解生成物自体が毒性を持たない。 【0019】本発明の防腐防虫剤は単独で使用できるし、他の化合物を加えても構わない。かかる他の化合物として銅化合物、銀化合物、またはホウ素化合物を加えれば、極めて高い防虫効果が得られる。これらの化合物の形態としては、酸、塩その他の形態が考えられる。 【0020】本発明の防腐防虫剤は、得られた木材分解生成物そのままの原液で使用できるのは無論のこと、水あるいはアルコール、アセトンなどの有機溶媒などに希釈させたり分散させたものでも構わない。かかる希釈液または分散液における木材分解生成物の濃度は、木材及び木質材料に対する防腐防虫効果を有する範囲であればよく、特に限定されない。また、木材分解生成物を真空乾燥などにより粉体とした防腐防虫剤であったり、あるいは使用条件に応じて選別した適当な充填剤、保形剤などを加えて粒剤ないしは錠剤とした防腐防虫剤であっても、市場に提供できる。 【0021】 【実施例】ここで、分解例などの実施例を挙げて本発明をいっそう具体的に説明する。以下の分解例では、耐圧硝子工業(株)製ポータブルリアクターTVS−N2型(キャップボルト方式、200mL)中に、原料木材、木材分解剤などを仕込み、所定温度で所定時間かけて分解させ木材分解生成物を得た。グラスフィルターを通過した液状の木材分解生成物の分子量はゲル浸透クロマトグラフ(GPC)によりテトラヒドロフラン溶媒を用いて40℃で測定した。前記のように分解後濾過した木材分解生成物は防腐防虫剤として後述の実施例で用いた。 【0022】分解例1〜6,9,10,13は、原料木材として、和歌山県産スギ(Cryptomeria japonica D.Don)の間伐材粉砕物(森下機械(株)製の商品名「ウグラン」、ふるいの目の開き0.25〜2mm、かさ比重0.17)を用いた例を示している。また、分解例1〜5,7,8,11〜15は「L−乳酸」により分解する例を示している。L−乳酸は和光純薬株式会社製試薬(純度90%)を用いた。 【0023】(分解例1)前記のスギ間伐材粉砕物5gにL−乳酸(ヒドロキシカルボン酸の例)50gを加え、220℃で2時間分解させて木材分解生成物を得た。この時の分解率は54.5%であった。分解率は、その時得られた固形分をろ別しグラスフィルター上の固形分をメタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、及び水で逐次洗浄し、グラスフィルター上に残った不溶分を減圧乾燥後に秤量し、この秤量値を粉砕木材重量で除して算出した。得られた分解生成物をGPCで分析した。GPCの分析結果より、木材分解生成物のピーク1は平均分子量=154、重量平均分子量=157、重量平均分子量/数平均分子量=1.02であった。木材分解生成物のピーク2は数平均分子量=239、重量平均分子量=240、重量平均分子量/数平均分子量=1.01であった。木材分解生成物のピーク3は数平均分子量=314、重量平均分子量=315、重量平均分子量/数平均分子量=1.00であった。木材分解生成物のピーク4は数平均分子量=674、重量平均分子量=923、重量平均分子量/数平均分子量=1.37であった。液状物のピークは数平均分子量=232、重量平均分子量=424、重量平均分子量/数平均分子量=1.83であった。また、木材分解生成物の赤外吸収スペクトル分析も行った。得られた赤外吸収スペクトルより、1746cm-1にエステル基の吸収があり、1604cm-1、1509cm-1、1459cm-1にフェニル基の吸収があり、エステル基の吸収以外はリグニンの吸収スペクトルと同じであった。すなわち、この例における木材分解生成物はL−乳酸により原料木材が加溶媒分解(エステル化)されて得られたものであることがわかる。 【0024】(分解例2)分解反応時間を1時間にしたこと以外は、分解例1と同じ条件で木材分解生成物を得た。 【0025】(分解例3)スギ間伐材粉砕物の量を1gとし、L−乳酸の量を20gとし、4−メチルモルホリン−4−オキシド(セルロース膨潤剤)2gを加えて分解させたこと以外は、分解例1と同じ条件で木材分解生成物を得た。 【0026】(分解例4)スギ間伐材粉砕物の量を1gとし、L−乳酸の量を20gとし、アニソール(セルロース膨潤剤)1gを加え、260℃で分解させたこと以外は、分解例1と同じ条件で木材分解生成物を得た。 【0027】(分解例5)スギ間伐材粉砕物の量を1gとし、L−乳酸の量を20gとし、エチレンカーボネート(セルロース膨潤剤)5gを加え、260℃で3時間分解させたこと以外は、分解例1と同じ条件で木材分解生成物を得た。 【0028】(分解例6)スギ間伐材粉砕物の量を1gとし、L−乳酸の替わりにモノエタノールアミン(アミノアルコールの例)20gを用い、ジメチルホルムアミド(セルロース膨潤剤)1gを加え、250℃で分解させたこと以外は、分解例1と同じ条件で木材分解生成物を得た。 【0029】(分解例7)スギ間伐材粉砕物の替わりに褐色粉末のリグニン5gを原料としたこと以外は、分解例2と同じ反応条件で木材分解生成物を得た。 【0030】(分解例8)スギ間伐材粉砕物の替わりにヒノキ粉砕物5gを原料としたこと以外は、分解例2と同じ反応条件で木材分解生成物を得た。 【0031】(分解例9)L−乳酸の替わりに、スギ間伐材粉砕物重量(5g)に対し60wt%のクエン酸(ヒドロキシカルボン酸の例)を用いて分解させたこと以外は、分解例2と同じ反応条件で木材分解生成物を得た。 【0032】(分解例10)L−乳酸の替わりにアジピン酸(ジカルボン酸の例)20gを用い、260℃でスギ間伐材粉砕物を分解させたこと以外は、分解例1と同じ条件で木材分解生成物を得た。 【0033】(分解例11)スギ間伐材粉砕物の替わりにクス粉砕物5gを原料としたこと以外は、分解例2と同じ反応条件で木材分解生成物を得た。 【0034】(分解例12)スギ間伐材粉砕物(5g)の替わりにヒバ粉砕物5gを原料としたこと以外は、分解例2と同じ反応条件で木材分解生成物を得た。 【0035】(分解例13)スギ間伐材粉砕物重量(5g)に対して20wt%の硫酸アルミニウム(ルイス酸)をL−乳酸に加えて分解させたこと以外は、分解例2と同じ反応条件で分解生成物を得た。 【0036】(分解例14)スギ間伐材粉砕物(5g)の替わりに試薬リグニン5gを原料としたこと以外は、分解例2と同じ反応条件で分解生成物を得た。 【0037】(分解例15)スギ間伐材粉砕物(5g)の替わりにスギ樹皮5gを原料としたこと以外は、分解例2と同じ反応条件で分解生成物を得た。 【0038】以下の実施例1〜40は上記の分解例1〜10で得た木材分解生成物による「防腐試験」について示したものである。この「防腐試験」ではバレイショ−ブドウ糖寒天培地を用いた。バレイショ−ブドウ糖寒天培地は、皮を剥いて角切りとしたバレイショ200gに対して水道水1000mLを入れ60℃で1時間加熱したものを布で濾した液に、グルコース20.0g、寒天15.0gを加えて120℃で30分オートクレーブしたものである。この培地を以下PDA培地と略記する。試験は、シャーレ中のPDA培地20mLに対し木材腐朽菌(オオウズラタケ、カワラタケ)を無菌のクリーンベンチ内で植菌し、28±2℃の室内で7日間放置した後の菌糸の最大長さを測定した。 【0039】(実施例1)分解例1で得た木材分解生成物を1体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例2)分解例1で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例3)分解例1で得た木材分解生成物を1体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例4)分解例1で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 【0040】(実施例5)分解例2で得た木材分解生成物を1体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例6)分解例2で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例7)分解例2で得た木材分解生成物を1体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例8)分解例2で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 【0041】(実施例9)分解例3で得た木材分解生成物を1.0体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例10)分解例3で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例11)分解例3で得た木材分解生成物を1.0体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例12)分解例3で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 【0042】(実施例13)分解例4で得た木材分解生成物を1.0体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例14)分解例4で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例15)分解例4で得た木材分解生成物を1.0体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例16)分解例4で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 【0043】(実施例17)分解例5で得た木材分解生成物を1.0体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例18)分解例5で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例19)分解例5で得た木材分解生成物を1.0体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例20)分解例5で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 【0044】(実施例21)分解例6で得た木材分解生成物を1.0体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例22)分解例6で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例23)分解例6で得た木材分解生成物を1.0体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例24)分解例6で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 【0045】(実施例25)分解例7で得た木材分解生成物を1体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例26)分解例7で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例27)分解例7で得た木材分解生成物を1体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例28)分解例7で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 【0046】(実施例29)分解例8で得た木材分解生成物を1.0体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例30)分解例8で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例31)分解例8で得た木材分解生成物を1.0体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例32)分解例8で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 【0047】(実施例33)分解例9で得た木材分解生成物を1.0体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例34)分解例9で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例35)分解例9で得た木材分解生成物を1.0体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例36)分解例9で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 【0048】(実施例37)分解例10で得た木材分解生成物を1.0体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例38)分解例10で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例39)分解例10で得た木材分解生成物を1.0体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (実施例40)分解例10で得た木材分解生成物を0.5体積%含むPDA培地にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 【0049】(比較例1)木材分解生成物を含まないPDA培地(ブランク)にオオウズラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 (比較例2)木材分解生成物を含まないPDA培地(ブランク)にカワラタケを植え、広がった菌糸の最大長さを測定した。 【0050】上記した実施例1〜40と比較例1,2により得られた防腐試験の結果を以下の表1〜3に示す。 【0051】 【表1】
【0052】 【表2】
【0053】 【表3】
【0054】尚、表1,2,3中において、4−MM−4−OXは4−メチルモルホリン−4−オキシド、ECはエチレンカーボネート、MEAはモノエタノールアミン、DMFはジメチルホルムアミド、OUはオオウズラタケ、KWはカワラタケの略号であることをそれぞれ示している。また、表中に記した乳酸はいずれもL−乳酸を指している。以後の表においても同じ。 【0055】表1,2,3より明らかなように、比較例1,2(いずれもブランク)と比べ、実施例1〜40はいずれもオオウズラタケ、カワラタケに対し、菌糸の生育を抑制する効果を呈した。また、木材分解生成物の添加量を増やすと、前記の生育抑制効果が大きくなる傾向も観察された。そして、乳酸を用いた分解(実施例1〜8)、乳酸とアニソールを用いた分解(実施例13〜16)、モノエタノールアミンとジメチルホルムアミドを用いた分解(実施例21〜24)、及び、アジピン酸を用いた分解(実施例37〜40)により得た木材分解生成物は、いずれも菌糸の生育を阻止しており、高い防腐効果が認められた。 【0056】「防虫試験」は、木材分解生成物に24時間浸漬させたろ紙(直径7cm、厚さ0.02mm)を、イエシロアリの職蟻20頭、兵蟻2頭を入れた容器内に8日間置き、職蟻、兵蟻の生存頭数、ろ紙に対する食害の有無を測定した。かかる防虫試験の例を、以下の実施例41〜51に示す。 【0057】(実施例41)ろ紙重量(乾燥重量、以下同じ)100部に対し分解例2で得た木材分解生成物130重量部を付着させたろ紙を試験に用いた。 (実施例42)ろ紙重量100部に対し分解例11で得た木材分解生成物180重量部を付着させたろ紙を試験に用いた。 (実施例43)ろ紙重量100部に対し分解例8で得た木材分解生成物130重量部を付着させたろ紙を試験に用いた。 (実施例44)ろ紙重量100部に対し分解例12で得た木材分解生成物100重量部を付着させたろ紙を試験に用いた。 (実施例45)ろ紙重量100部に対し分解例13で得た木材分解生成物130重量部を付着させたろ紙を試験に用いた。 (実施例46)ろ紙重量100部に対し分解例15で得た木材分解生成物137重量部を付着させたろ紙を試験に用いた。 (実施例47)ろ紙重量100部に対し分解例14で得た木材分解生成物137重量部を付着させたろ紙を試験に用いた。 【0058】(実施例48)塩化銅10重量部と分解例11で得た木材分解生成物90重量部の混合物をろ紙重量100部に対し131重量部付着させたろ紙を、試験に用いた。 (実施例49)硫酸銅10重量部と分解例2で得た木材分解生成物90重量部の混合物をろ紙重量100部に対し131重量部付着させたろ紙を、試験に用いた。 (実施例50)硫酸銀10重量部と分解例2で得た木材分解生成物90重量部の混合物をろ紙重量100部に対し131重量部付着させたろ紙を、試験に用いた。 (実施例51)ホウ酸10重量部と分解例2で得た木材分解生成物90重量部の混合物をろ紙重量100部に対し131重量部付着させたろ紙を、試験に用いた。 【0059】(比較例3)ろ紙重量100部に対し樟脳131重量部を付着させたろ紙を試験に用いた。 (比較例4)無処理のろ紙をブランクとして試験に用いた。 【0060】上記した実施例41〜51と比較例3,4により得られた防虫試験の結果を次の表4に示す。 【0061】 【表4】
【0062】表4から明らかなように、無処理のろ紙(比較例4)と比べ、実施例41〜51のいずれにおいても防虫効果が認められた。そのうち、木材分解生成物と銅化合物、銀化合物、またはホウ素化合物を併用した場合(実施例48〜51)は極めて防虫効果が大きく、一般的な防虫剤である樟脳(比較例3)よりも優れていた。 【0063】以下の実施例52から実施例57は木材分解生成物の「木材への浸透性」を示したものである。 (実施例52)分解例2で得た木材分解生成物100mLを500mL容ビーカに入れ、スギ辺材(寸法:縦20mm×横20mm×高さ10mm)をその全体が浸るように木材分解生成物中に浸漬し、室温(20℃)で30分間減圧(1気圧)することによりスギ辺材内部に木材分解生成物を注入した。注入後にスギ辺材を取り出し、注入前のスギ辺材の重量に対する重量増加率(%)を算出した。 (実施例53)分解例3で得た木材分解生成物100mLを用いたこと以外は、実施例52と同様にして重量増加率を得た。 (実施例54)分解例2で得た木材分解生成物100mLを500mL 容ビーカに入れ、スギ辺材(寸法:縦20mm×横20mm×高さ10mm)を全体が浸るように浸漬し、浸漬したまま室温(20℃)で24時間放置した。24時間後に取り出し、浸漬前後におけるスギ辺材の重量増加率を算出した。 (実施例55)分解例3で得た木材分解生成物100mLを用いたこと以外は、実施例54と同様にして重量増加率を得た。 (実施例56)分解例2で得た木材分解生成物100mLをスギ辺材(寸法:縦20mm×横20mm×高さ45mm)の表面に刷毛で均一に塗布した。そして、塗布前後におけるスギ辺材の重量増加率を算出した。 (実施例57)分解例3で得た木材分解生成物100mLを用いたこと以外は、実施例56と同様にして重量増加率を得た。 【0064】上記した実施例52〜57により得られた浸透性試験の結果を次の表5に示す。 【0065】 【表5】
【0066】表5から明らかなように、浸漬後減圧注入、浸漬後放置、刷毛塗りのいずれの方法によっても木材分解生成物を木材中に浸透させることができている。すなわち、浸漬後減圧注入によることなく、浸漬後放置であっても十分な量の木材分解生成物を木材に浸透させることができた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591023594 【氏名又は名称】和歌山県
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| 【出願日】 |
平成14年3月22日(2002.3.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076406 【弁理士】 【氏名又は名称】杉本 勝徳
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| 【公開番号】 |
特開2003−277215(P2003−277215A) |
| 【公開日】 |
平成15年10月2日(2003.10.2) |
| 【出願番号】 |
特願2002−81071(P2002−81071) |
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