トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 植物病害を防除するための微生物資材およびその使用法
【発明者】 【氏名】奥谷 巌根
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内

【要約】 【課題】種々の微生物による植物土壌病害を防除するための土壌用微生物資材および方法を提供する。

【解決手段】土壌中での増殖性、定着性、および種々の病原微生物に対する拮抗性に優れるストレプトミセス属OG-012株および/またはOG-013株を用いることによって上記課題が解決される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フザリウム属、ピチウム属、リゾクトニア属、アルタナリア属、フィトフトラ属、コロテシリウム属、ロセリニア属、ヘリコバシディウム属、ペロノスポーラ属、シュードモナス属、リゾプス属およびキサントモナス属に属する少なくとも1つの微生物による植物土壌病害を防除するための微生物資材であって、ストレプトミセス属OG-012株(FERM P-16493)およびOG-013株(FERM P-16494)から選ばれる少なくとも1つの微生物またはそれら微生物の培養物を担体に含有させた微生物資材。
【請求項2】 フザリウム属、ピチウム属、リゾクトニア属、アルタナリア属、フィトフトラ属、コロテシリウム属、ロセリニア属、ヘリコバシディウム属、ペロノスポーラ属、シュードモナス属、リゾプス属およびキサントモナス属に属する少なくとも1つの微生物による植物土壌病害の防除法であって、請求項1に記載の微生物資材を、植物の種子に被覆もしくは混合した後に播種するか、または、播種用培土、育苗用培土、挿し木用培土もしくは圃場全体に混合して植物を栽培することからなる防除法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物病害、特に土壌病害を防除するための微生物資材であって、ストレプトミセス属OG-012株(FERM P-16493)およびOG-013株(FERM P-16494)から選ばれる少なくとも1種の微生物またはそれら微生物の培養物を担体に含有させた微生物資材に関する。さらに、本発明は、該微生物資材を利用する植物土壌病害の防除法に関する。
【0002】
【従来の技術】植物病害、特に土壌病害を防除することは農業生産や緑化活動にとって不可欠な事柄である。しかし、土壌病害を防除することは非常に困難である。土壌病害の主なものには、バーティシリウム(Verticillium)属、フザリウム(Fusarium)属、ピチウム(Phytium)属、リゾクトニア(Rhizoctonia)属、アルタナリア(Alternaria)属、フィトフトラ(Phytophthora)属、コロテシリウム(Corticilium)属、ロセリニア(Rosellinia)属、ヘリコバシディウム(Helicobasidium)属、ペロノスポーラ(Peronospora)属の糸状菌や、シュードモナス(Pseudomonas)属、リゾプス(Rhizopus)属、キサントモナス(Xanthomonas)属の細菌などの微生物による病害が挙げられる。
【0003】土壌病害を防除する方法としては、一般に、臭化メチルなどの殺菌剤を用いて土壌燻蒸する方法が採られている。しかし、土壌への殺菌剤の散布は、周辺の土壌や水質を汚染するなど環境への負荷が大きく、問題となっている。そこで、環境負荷の少ない植物病害防除法の1つとして、土壌病害の病原菌に拮抗する微生物を選抜し、それを土壌に施用することにより、土壌病害を防除しようという試みが為されている。
【0004】例えば、「農業有用微生物」[(株)養賢社、1990年発行]には、土壌病害を防除するための拮抗微生物として、バーティシリウム属微生物やリゾクトニア属微生物に拮抗性を示すストレプトマイセス属微生物(Cook & Baker, 1983)あるいは栽培床全面処理によりオオムギ苗立ち枯れ病(フザリウム病害)を抑制するストレプトマイセス属微生物(Tahvonen, 1982)が紹介されている。
【0005】しかし、これまでに利用されている拮抗性を示す微生物の大部分は、プレート上では抗生物質を産生し、拮抗性を示すが、土壌中では抗生物質を産生できないため、あるいは、植物の根圏に定着できないためなどにより、抗生物質が根圏に十分に存在せず、従って、拮抗性を示せず、植物病害の防除効果が現れないなどの問題点があった。
【0006】さらに、これら微生物の一般的な施用法は、微生物を含む資材を、土壌改良材として、圃場全体に10a(アール)あたり数百kg程度で投入することからなり、トラクターや耕耘機などの機械を用いて投入するなどの多大な労力が必要であり、その省力化が求められていた。
【0007】本発明者らは、以前に、植物の根面に定着および根圏で増殖し、植物の根圏を守ることによってバーティシリウム属微生物による土壌病害を防除する微生物として、ストレプトミセス属OG-012株(FERM P-16493)およびOG-013株(FERM P-16494)を選抜した。これら微生物は、土壌中での増殖性、根面への定着性に優れており、土壌中においてバーティシリウム属微生物に対して優れた拮抗性を示すことを見い出した。さらに、これら微生物を利用したバーティシリウム病害防除資材とその使用法を開発した。また、これら微生物は、プレート試験において、フザリウム属、ピチウム属およびリゾクトニア属の微生物に対しても拮抗性を有していることを見い出した(特願平9−323686号として特許出願)。
【0008】これらストレプトミセス属OG-012株(FERM P-16493)およびOG-013株(FERM P-16494)は、その優れた定着性および増殖性のゆえに、これら微生物を含む微生物資材を植物の種子に被覆もしくは混合する、または、播種用培土、育苗用培土もしくは挿し木用培土に混合する、などの施用法が可能であり、資材処理法の省力化が可能である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、バーティシリウム属微生物以外の微生物による植物土壌病害の防除を目的として、さらに研究を進めた。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明者は、以前に選抜したストレプトミセス属OG-012株(FERM P-16493)およびOG-013株(FERM P-16494)が、土壌中で、バーティシリウム属微生物以外の微生物に対して拮抗性を有しているか否かを調べた。さらに、これら微生物を利用したバーティシリウム属微生物以外の微生物による病害の防除に有効な資材とその使用法について検討した。
【0011】その結果、本発明者は、ストレプトミセス属OG-012株(FERM P-16493)およびOG-013株(FERM P-16494)が、土壌中で、バーティシリウム属の微生物だけでなく、植物土壌病害の病原微生物であるフザリウム属、ピチウム属、リゾクトニア属、アルタナリア属、フィトフトラ属、コロテシリウム属、ロセリニア属、ヘリコバシディウム属、ペロノスポーラ属、シュードモナス属、リゾプス属およびキサントモナス属の微生物に対しても拮抗性に優れていることを見い出した。
【0012】即ち、本発明は、フザリウム属、ピチウム属、リゾクトニア属、アルタナリア属、フィトフトラ属、コロテシリウム属、ロセリニア属、ヘリコバシディウム属、ペロノスポーラ属、シュードモナス属、リゾプス属およびキサントモナス属に属する少なくとも1つの微生物による植物土壌病害を防除するための微生物資材であって、ストレプトミセス属OG-012株(FERM P-16493)およびOG-013株(FERM P-16494)から選ばれる少なくとも1つの微生物またはそれら微生物の培養物を担体に含有させた微生物資材を提供するものである。
【0013】さらに、本発明は、フザリウム属、ピチウム属、リゾクトニア属、アルタナリア属、フィトフトラ属、コロテシリウム属、ロセリニア属、ヘリコバシディウム属、ペロノスポーラ属、シュードモナス属、リゾプス属およびキサントモナス属に属する少なくとも1つの微生物による植物土壌病害の防除法であって、上記の微生物資材を、植物の種子に被覆もしくは混合した後に播種するか、または、播種用培土、育苗用培土、挿し木用培土もしくは圃場全体に混合して植物を栽培することからなる防除法を提供するものである。
【0014】本発明の植物土壌病害を防除するための微生物資材ならびに植物土壌病害の防除法は、特に、アルタナリア属、フィトフトラ属、コロテシリウム属、ロセリニア属、ヘリコバシディウム属、ペロノスポーラ属、シュードモナス属、リゾプス属およびキサントモナス属に属する少なくとも1つの微生物に対して適用する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明において用いるストレプトミセス属OG-012株(FERM P-16493)およびOG-013株(FERM P-16494)は、独立行政法人産業技術総合研究所に平成9年10月28日に寄託されている。
【0016】本発明の微生物資材に用いる担体としては、炭、活性炭、軽石、ひる石、貝化石、米糠、コーヒーかす、石膏、ピートモス、(焼成)ケイソウ土、ゼオライト、パーライト、ベントナイト、大谷石、石灰石、バーミキュライトなどが挙げられる。これらのうち、炭、軽石、ひる石、貝化石、ピートモス、(焼成)ケイソウ土、ゼオライト、パーライト、ベントナイト、バーミキュライトなどの多孔性物質が好ましく、炭、活性炭および(焼成)ケイソウ土が特に好ましい。炭としては、木材を炭化させたもの、あるいは、樹皮、オガクズ、ヤシ殻、バーク、モミ殻などを炭化させたものであってよく、粉末状のものが好ましい。
【0017】本発明の微生物資材に用いる微生物は、しょ糖・硝酸塩培地(しょ糖 30g、NaNO3 2g、K2PO4 1g、MgSO4・7H2O 0.5g、KCl 0.5g、FeSO4・7H2O 0.01gを水1000mlに溶解したもの)、ブドウ糖・アスパラギン培地(ブドウ糖 10g、アスパラギン 0.5g、K2HPO4 0.5gを水1000mlに溶解したもの)、グリセリン・アスパラギン培地(グリセリン10g、アスパラギン 1g、K2HPO4 1gを水1000mlに溶解したもの)などの液体培地を用いて培養することができる。
【0018】液体培地のpH、培養日数、培養温度、回転培養の回転速度などは、培養する微生物に最適なものに調整する。例えば、ストレプトミセス属OG-012株を用いる場合、培地のpHは6.0〜6.8、培養日数は3〜7日、培養温度は37〜39℃、回転培養の回転速度は150〜450rpmに調整する。
【0019】本発明の微生物資材は、上記の担体、特に炭、活性炭または(焼成)ケイソウ土を滅菌し、これに上記のように液体培養した微生物を培地成分と共に加え、混合することによって製造することができる。担体1Lに対して培養培地100〜500mlを加えるのが好ましい。この混合物を、培養する微生物の最適条件下に静置し、1日に1〜5回撹拌を行って、嫌気培養になるのを避けながら固体培養する。例えば、ストレプトミセス属OG-012株を用いる場合、培養日数は3〜10日、培養温度は37〜39℃に調整する。固体培養終了後に、通風乾燥などによって乾燥し、本発明の微生物資材を得る。
【0020】本発明の微生物資材は、担体1gあたりにストレプトミセス属OG-012株(FERM P-16493)および/またはOG-013株(FERM P-16494)を103〜1015cfu(コロニー形成単位)含有しているのが好ましく、さらに、担体1gあたりに104〜1010cfu含有しているのが好ましい。
【0021】本発明の微生物資材は、植物の種子に被覆もしくはそれと混合した後に播種するか、または、播種用培土、育苗用培土、挿し木用培土もしくは圃場全体に混合して使用することができる。本発明の微生物資材の使用量は、資材に含まれる微生物の濃度や、その施用法により大きく異なるが、植物の種子に被覆もしくは混合する場合には、1種子あたりの資材の使用量として、1×10-8g〜10g、好ましくは1×10-6g〜1g、さらに好ましくは1×10-3g〜0.1gを使用すればよい。播種用培土、育苗用培土もしくは挿し木用培土に混合して使用する場合には、培土1Lあたりの資材の使用量として、1×10-3g〜1kg、好ましくは0.1g〜500g、さらに好ましくは10g〜100gを使用すればよい。さらに、圃場全体に混合して使用する場合には、圃場面積10a(アール)あたりの資材の使用量として、1kg〜10t(トン)、好ましくは10kg〜5t、さらに好ましくは100kg〜1tを使用すればよい。
【0022】本発明の微生物資材に含まれる微生物を確実に根圏に定着させ、土壌病害から植物を守るためには、植物の生育早期に、例えばプラグなどの播種時や育苗時に、または挿し木(挿し芽)時に、本発明の微生物資材を適用するのが望ましい。これにより、処理量が少なくなり、経済的に有利になる。
【0023】
【発明の効果】本発明の微生物資材は、ストレプトミセス属OG-012株(FERM P-16493)およびOG-013株(FERM P-16494)が植物の根面に定着および根圏で増殖することにより、以前の出願(特願平9−323686号)において明らかにしたように、土壌中でバーティシリウム属微生物の増殖を抑制し、さらには、本願において明らかにしたように、土壌中でフザリウム属、ピチウム属、リゾクトニア属、アルタナリア属、フィトフトラ属、コロテシリウム属、ロセリニア属、ヘリコバシディウム属、ペロノスポーラ属の糸状菌や、シュードモナス属、リゾプス属、キサントモナス属の細菌などの増殖を抑制する。従って、本発明の微生物資材を利用することにより、多くの植物土壌病害を安定的かつ効果的に防除することができる。
【0024】具体的に、本発明の微生物資材により防除可能な植物土壌病害としては、例えば次のものが挙げられる。即ち、バーティシリウム病害としては、ナス半身萎ちょう病、トマト半身萎ちょう病、ピーマン半身萎ちょう病、キュウリ半身萎ちょう病、ダイコン黒点病、ハクサイ黄化病、イチゴ半身萎ちょう病、ホウレンソウ萎ちょう病、フキ半身萎ちょう病、ウド半身萎ちょう病、オクラ半身萎ちょう病、キク半身萎ちょう病などが挙げられ、フザリウム病害としては、キュウリつる割れ病、メロンつる割れ病、ダイコン萎黄病、ピーマン実腐病、イチゴ萎黄病、ホウレンソウ立ち枯れ病、ネギ乾腐病、ナス半枯病、レタス根腐病、トマト萎ちょう病、ユリ茎腐病、サクラソウ萎ちょう病、カーネーション萎ちょう病などが挙げられ、ピチウム病害としては、ホウレンソウ立ち枯れ病、メロン苗立ち枯れ病、キンギョソウ苗立ち枯れ病などが挙げられ、リゾクトニア病害としては、ホウレンソウ株腐病、トマト苗立ち枯れ病、カーネーション茎腐病、カラー株腐れ病、ニチニチソウ苗立ち枯れ病などが挙げられ、アルタナリア病害としては、ネギ黒紋病、ダイコン黒斑病、ハクサイ黒斑病、ナス褐斑病、ホウレンソウ灰色斑点病、カーネーション斑点病、トルコギキョウ花らい腐敗病などが挙げられ、フィトフトラ病害としては、ダイス茎疫病、ソラマメ疫病、サトイモ疫病、キュウリ疫病、キュウリ灰色疫病、メロン疫病、スイカ褐色腐敗病、トマト褐色腐敗病、ナス褐色腐敗病、ピーマン疫病、イチゴ根腐れ病、タマネギ白色疫病などが挙げられ、コロテシリウム病害としては、エダマメ白絹病、ソラマメ白絹病、サツマイモ白絹病、ジャガイモ白絹病、キュウリ白絹病、スイカ白絹病、トマト白絹病、ナス白絹病、ピーマン白絹病、タマネギ白絹病、ネギ白絹病などが挙げられ、ロセリニア病害としては、サツマイモ白紋羽病、ジャガイモ白紋羽病、カンキツ白紋羽病、リンゴ白紋羽病などが挙げられ、ヘリコバシディウム病害としては、エダマメ紫紋羽病、サツマイモ紫紋羽病、ネギ紫紋羽病、アスパラガス紫紋羽病、カンキツ紫紋羽病、リンゴ紫紋羽病などが挙げられ、ペロノスポーラ病害としては、ダイコンべと病、ハクサイべと病、キャベツべと病、イチゴべと病、ネギべと病、ホウレンソウべと病などが挙げられ、シュードモナス病害としては、ソラマメ青枯病、インゲン青枯病、ジャガイモ青枯病、レタス腐敗病、トマト青枯病、ナス青枯病、ピーマン青枯病などが挙げられ、リゾプス病害としては、ジャガイモ腐敗病、ユリ腐敗病、イチゴ腐敗病などが挙げられ、キサントモナス病害としてはアルファルファ黒腐病、ダイコン黒腐病、エダマメ黒腐病、メロン褐斑細菌病、ニンジン斑点細菌病、カンキツかいよう病、ストック黒腐病、グラジオラス角斑病などが挙げられる。
【0025】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1 キュウリつる割れ病(フザリウム病害)に対する防除効果ヤシ殻燻炭(「キングコール」:キングコール社製)を担体とし、ストレプトミセス属OG-012株を、ヤシ殻燻炭1gあたりOG-012株のcfuが108になるように定着させて微生物資材を作成し、播種用培土処理による防除効果を調べた。
【0026】この資材による病害防除効果の確認試験は以下の通りとした。播種用培土としてメトロミックス(グレース社製)を用い、培土1Lあたりに10gの上記の微生物資材を添加して充分に混合した。これにより、播種用培土1gあたりの菌処理量は106になる。このように調製した混合培土をプラグトレー(容積25ml)に詰め、キュウリ(「北進」:タキイ種苗)を播種し、3週間栽培を行った。また、比較例1として、微生物資材を添加せず、ヤシ殻燻炭のみをメトロミックスに混合した培土を使用して、同様にキュウリの栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。
【0027】病原培土は、赤玉土に、予めPDB培地(ポテト・デキストロース・ブロス:DIFCO社製)で培養したキュウリつる割れ病の病原菌フザリウム・オキスポーラム(Fusarium oxyporum)を、培土1Lあたりのcfuが105となるように完全混合することにより調製した。この病害培土を、1/5000アールのマグネルポットに詰め、上記プラグトレーで栽培したキュウリの苗を、1株ずつ植え付けた。このようなポットを実施例1および比較例1の各区あたり25ポットずつ作成し、6週間栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。
【0028】栽培終了後、病徴を、0:発病せず、1:下葉に黄変が認められる、2:下葉に褐変が認められる、3:上位葉に褐変が認められる、4:枯死、の5段階の発病指数で評価した。各区25体の発病指数の平均値を発病度とし、発病指数3以上の病徴が現れた個体数の割合を発病率とした。
【0029】このように測定した各区の発病度および発病率を以下の表1に示す。
【表1】

これらの結果から、ストレプトミセス属OG-012株を利用した微生物資材を播種用培土に混合することにより、フザリウム病害を防除できることが確認できた。
【0030】実施例2 ホウレンソウ立ち枯れ病(ピチウム病害)に対する防除効果ケイソウ土(「セライト」:昭和化学社製)を担体とし、ストレプトミセス属OG-013株を、ケイソウ土1gあたりOG-013株のcfuが108になるように定着させて微生物資材を作成し、播種用培土処理による防除効果を調べた。
【0031】この資材による病害防除効果の確認試験は以下の通りとした。播種用培土としてメトロミックスを用い、培土1Lあたりに10gの上記の微生物資材を添加して充分に混合した。これにより、播種用培土1gあたりの菌処理量は106になる。このように調製した混合培土をプラグトレー(容積25ml)に詰め、ホウレンソウ(「おかめ」:サカタ種苗)を播種し、3週間栽培を行った。また、比較例2として、微生物資材を添加せず、メトロミックスのみを培土として、同様に栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。
【0032】病原培土は、赤玉土に、予めPDB培地で培養したホウレンソウ立ち枯れ病の病原菌ピチウム・デバルヤナム(Pythium debaryanam)を、培土1Lあたりのcfuが105となるように完全混合することにより調製した。この病害培土を、1/5000アールのマグネルポットに詰め、プラグトレーで栽培したホウレンソウの苗を、1株ずつ植え付けた。このようなポットを実施例2および比較例2の各区あたり25ポットずつ作成し、6週間栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。
【0033】栽培終了後、病徴を、0:発病せず、1:下葉に黄変が認められる、2:下葉に褐変が認められる、3:上位葉に褐変が認められる、4:枯死、の5段階の発病指数で評価した。各区25体の発病指数の平均値を発病度とし、発病指数3以上の病徴が現れた個体数の割合を発病率とした。
【0034】このように測定した各区の発病度および発病率を以下の表2に示す。
【表2】

これらの結果から、ストレプトミセス属OG-013株を利用した微生物資材を播種用培土に混合することにより、ピチウム病害を防除できることが確認できた。
【0035】実施例3 カーネーション茎腐病(リゾクトニア病害)に対する防除効果焼成ケイソウ土(「イソライト」:イソライト工業製)を担体とし、ストレプトミセス属OG-013株を、焼成ケイソウ土1gあたりOG-013株のcfuが106になるように定着させて微生物資材を作成し、挿し木用培土処理による防除効果を調べた。
【0036】この資材による病害防除効果の確認試験は以下の通りとした。挿し木用培土としてタキイ育苗用培土(タキイ種苗製)を用い、培土1Lあたりに1gの上記の微生物資材を添加して充分に混合した。これにより、挿し木用培土1gあたりの菌処理量は104になる。このように調製した混合培土を育苗ポット(容積300ml)に詰め、カーネーション(「アンファンドニース」:タキイ種苗)の切り枝を挿し木し、6週間栽培を行った。また、比較例3として、微生物資材を添加せず、タキイ育苗用培土のみを培土として、同様に栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。
【0037】病原培土は、赤玉土およびメトロミックスを体積比で等量混合したものに、予めPDB培地で培養したカーネーション茎腐病の病原菌リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)を、培土1Lあたりのcfuが105となるように完全混合することにより調製した。この病害培土を、容積18Lのプラスチックプランター(縦18cm、横55cm、深さ20cm)に詰め、ポットで栽培したカーネーションの苗を、1株ずつ植え付けた。このようなポットを実施例3および比較例3の各区あたり20ポットずつ作成し、8週間栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。
【0038】栽培終了後、病徴を、0:発病せず、1:下葉に黄変が認められる、2:下葉に褐変が認められる、3:上位葉に褐変が認められる、4:枯死、の5段階の発病指数で評価した。各区20体の発病指数の平均値を発病度とし、発病指数3以上の病徴が現れた個体数の割合を発病率とした。
【0039】このように測定した各区の発病度および発病率を以下の表3に示す。
【表3】

これらの結果から、ストレプトミセス属OG-013株を利用した微生物資材を挿し木用培土に混合することにより、リゾクトニア病害を防除できることが確認できた。
【0040】実施例4 ハクサイ黒斑病(アルタナリア病害)に対する防除効果ケイソウ土(「セライト」)を担体とし、ストレプトミセス属OG-012株を、ケイソウ土1gあたりOG-012株のcfuが106になるように定着させて微生物資材を作成し、種子被覆処理による防除効果を調べた。
【0041】この資材による病害防除効果の確認試験は以下の通りとした。ハクサイ種子(「優黄」:タキイ種苗)を用い、種子100粒あたりに10gの上記の微生物資材を被覆した。これにより、種子1粒あたりの菌処理量は105になる。また、比較例4として、ストレプトミセス属OG-012株を定着させていないケイソウ土(「セライト」)を、種子100粒あたりに10gの割合で、同様にハクサイ種子に被覆した。これらの被覆種子を以下の病原培土に播種し、その発芽および苗の生育を調べた。
【0042】病原培土は、赤玉土およびメトロミックスを体積比で等量混合したものに、予めPDB培地で培養したハクサイ黒斑病の病原菌アルタナリア・ジャポニア(Alternaria japonica)を、培土1Lあたりのcfuが106となるように完全混合することにより調製した。この病害培土を、容積100mlのビニルポットに詰め、上記の被覆種子を1粒ずつ植え付けた。このようなポットを実施例4および比較例4の各区あたり50ポットずつ作成し、4週間栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。
【0043】栽培終了後、病徴を、0:発病せず、1:生育遅延、2:発芽したものの下葉に褐変が認められる、3:発芽したものの生育障害有り、4:発芽せず、の5段階の発病指数で評価した。各区50体の発病指数の平均値を発病度とし、発病指数2以上の病徴が現れた個体数の割合を発病率とした。
【0044】このように測定した各区の発病度および発病率を以下の表4に示す。
【表4】

これらの結果から、ストレプトミセス属OG-012株を利用した微生物資材を種子に被覆することにより、アルタナリア病害を防除できることが確認できた。
【0045】実施例5 カンキツ白紋羽病(ロセリニア病害)に対する防除効果ヤシガラ活性炭(「ハイプロ」:キングコール社製)を担体とし、ストレプトミセス属OG-012株を、ヤシガラ活性炭1gあたりOG-012株のcfuが106になるように定着させて微生物資材を作成し、挿し木用培土処理による防除効果を調べた。
【0046】この資材による病害防除効果の確認試験は以下の通りとした。挿し木用培土としてタキイ育苗用培土を用い、培土1Lあたりに1gの上記の微生物資材を添加して充分に混合した。これにより、挿し木用培土1gあたりの菌処理量は104になる。また、比較例5として、ストレプトミセス属OG-012株を定着させていないヤシガラ活性炭のみをタキイ育苗用培土に同様に混合して、挿し木用培土を調製した。このように調製した混合培土を育苗ポット(容積300ml)に詰め、カンキツ(「明和キンカン」:タキイ種苗)の切り枝を挿し木し、8週間栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。
【0047】病原培土は、赤玉土およびメトロミックスを体積比で等量混合したものに、予めPDB培地で培養したカンキツ白紋羽病の病原菌ロセリニア・ネカトリックス(Rosellinia necatrix)を、培土1Lあたりのcfuが105となるように完全混合することにより調製した。この病害培土を、容積30Lの大型プラスチックポット(直径30cm、深さ50cm)に詰め、ポットで栽培したカンキツの苗を、1株ずつ植え付けた。このようなポットを実施例5および比較例5の各区あたり15ポットずつ作成し、12週間栽培を行った。栽培は、温室で行った。
【0048】栽培終了後、病徴を、0:発病せず、1:下葉に黄変が認められる、2:下葉に褐変が認められる、3:上位葉に褐変が認められる、4:枯死の5段階の発病指数で評価した。各区15体の発病指数の平均値を発病度とし、発病指数2以上の病徴が現れた個体数の割合を発病率とした。
【0049】このように測定した各区の発病度および発病率を以下の表5に示す。
【表5】

これらの結果から、ストレプトミセス属OG-012株を利用した微生物資材を挿し木用培土に混合することにより、ロセリニア病害を防除できることが確認できた。
【0050】実施例6 ナス青枯れ病(シュードモナス病害)に対する防除効果焼成ケイソウ土(「イソライト」)を担体とし、ストレプトミセス属OG-013株を、焼成ケイソウ土1gあたりOG-013株のcfuが108になるように定着させて微生物資材を作成し、播種用培土処理による防除効果を調べた。
【0051】この資材による病害防除効果の確認試験は以下の通りとした。播種用培土としてメトロミックスを用い、培土1Lあたりに10gの上記の微生物資材を添加して充分に混合した。これにより、播種用培土1gあたりの菌処理量は106になる。このように調製した混合培土をプラグトレー(容積25ml)に詰め、ナス(「千両」:タキイ種苗)を播種し、4週間栽培を行った。また、比較例6として、微生物資材を添加せず、メトロミックスのみを培土として、同様に栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。
【0052】病原培土は、赤玉土に、予めPDB培地で培養したナス青枯れ病の病原菌シュードモナス・ソラナセアラム(Pseudomonas solanacearum)を、培土1Lあたりのcfuが104となるように完全混合することにより調製した。この病害培土を、1/5000アールのマグネルポットに詰め、プラグトレーで栽培したナスの苗を、1株ずつ植え付けた。このようなポットを実施例6および比較例6の各区あたり25ポットずつ作成し、6週間栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。
【0053】栽培終了後、病徴を、0:発病せず、1:下葉に黄変が認められる、2:下葉に褐変が認められる、3:上位葉に褐変が認められる、4:枯死、の5段階の発病指数で評価した。各区25体の発病指数の平均値を発病度とし、発病指数3以上の病徴が現れた個体数の割合を発病率とした。
【0054】このように測定した各区の発病度および発病率を以下の表6に示す。
【表6】

これらの結果から、ストレプトミセス属OG-013株を利用した微生物資材を播種用培土に混合することにより、シュードモナス病害を防除できることが確認できた。
【0055】実施例7 ハクサイ黄化病(バーティシリウム病害)に対する防除効果焼成ケイソウ土(「イソライト」)を担体とし、ストレプトミセス属OG-012株およびストレプトミセス属OG-013株を、焼成ケイソウ土1gあたり各菌株のcfuがともに107になるように定着させて微生物資材を作成し、播種用培土処理による防除効果を調べた。
【0056】この資材による病害防除効果の確認試験は以下の通りとした。播種用培土としてメトロミックスを用い、培土1Lあたりに10gの上記の微生物資材を添加して充分に混合した。これにより、播種用培土1gあたりの菌処理量は2×105になる。このように調製した混合培土をプラグトレー(容積25ml)に詰め、ハクサイ(「優黄」)を播種し、3週間栽培を行った。また、比較例7として、微生物資材を添加せず、メトロミックスのみを培土として、同様に栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。
【0057】病原培土は、赤玉土に、予めPDB培地で培養したハクサイ黄化病の病原菌バーティシリウム・ダーリエ(Verticillium dahaliae)を、培土1Lあたりのcfuが105となるように完全混合することにより調製した。この病害培土を、1/5000アールのマグネルポットに詰め、プラグトレーで栽培したハクサイの苗を、1株ずつ植え付けた。このようなポットを実施例7および比較例7の各区あたり25ポットずつ作成し、4週間栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。
【0058】栽培終了後、病徴を、0:発病せず、1:下葉に黄変が認められる、2:下葉に褐変が認められる、3:上位葉に褐変が認められる、4:枯死、の5段階の発病指数で評価した。各区25体の発病指数の平均値を発病度とし、発病指数3以上の病徴が現れた個体数の割合を発病率とした。
【0059】このように測定した各区の発病度および発病率を以下の表7に示す。
【表7】

これらの結果から、ストレプトミセス属OG-012株とOG-013株を併用した微生物資材を播種用培土に混合することにより、バーティシリウム病害を防除できることが確認できた。
【出願人】 【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号
【出願日】 平成14年3月22日(2002.3.22)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外2名)
【公開番号】 特開2003−277213(P2003−277213A)
【公開日】 平成15年10月2日(2003.10.2)
【出願番号】 特願2002−80730(P2002−80730)