| 【発明の名称】 |
植物病害を防除するための複合微生物資材およびその使用法 |
| 【発明者】 |
【氏名】奥谷 巌根 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】土壌病害の原因微生物に拮抗する微生物の植物根圏への定着性を高めることにより、該拮抗性微生物の効果を高める。
【解決手段】土壌病害の原因微生物に対して拮抗性を有する放線菌および粘性物質を生産する微生物を併用することにより、該放線菌およびその生産物である抗生物質の植物根圏への定着性が高まり、植物病害、特に土壌病害の安定防除が可能になった。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物病害を防除するための複合微生物資材であって、土壌病害の原因微生物に対して拮抗性を有する放線菌および粘性物質を生産する微生物を併用することを特徴とする複合微生物資材。 【請求項2】 土壌病害の原因微生物に対して拮抗性を有する放線菌が、ストレプトミセス属、スポリキタヤ属およびストレプトバーティシリウム属に属する微生物からなる群より選ばれる少なくとも1つの微生物である請求項1に記載の複合微生物資材。 【請求項3】 粘性物質を生産する微生物が、デゥガネリア属、ラクトバチルス属、バチルス属、キサントモナス属、アゾトバクター属、ズモモナス属、ロドコッカス属、アルカリゼネス属、シュードモナス属およびアセトバクター属に属する微生物からなる群より選ばれる少なくとも1つの微生物である請求項1または2に記載の複合微生物資材。 【請求項4】 請求項2に記載の土壌病害の原因微生物に対して拮抗性を有する放線菌および請求項3に記載の粘性物質を生産する微生物、またはそれらの培養物を、担体に含有させた複合微生物資材。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の複合微生物資材を、植物の種子に被覆もしくはそれと混合した後に播種するか、または、播種用培土、育苗用培土、挿し木用培土もしくは圃場全体に混合して植物を栽培することからなる植物病害防除法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、植物病害、特に土壌病害を防除するための複合微生物資材であって、土壌病害の原因微生物に対して拮抗性を有する放線菌および粘性物質を生産する微生物、またはそれらの培養物を含有することを特徴とする複合微生物資材を提供するものである。また、本発明は、該資材を用いた植物病害防除法を提供するものである。 【0002】 【従来の技術】植物病害、特に土壌病害を防除することは、農業生産や緑化活動にとって不可欠な事柄である。しかし、土壌病害を防除することは非常に困難である。土壌病害の主なものには、フザリウム属、バーティシリウム属、ピチウム属、リゾクトニア属、アルタナリア属、フィトフトラ属、コロテシリウム属、ロセリニア属、ヘリコバシディウム属、ペロノスポーラ属の糸状菌や、シュードモナス属、リゾプス属、キサントモナス属の細菌などの微生物による病害などが挙げられる。一般に、これらの病害を防除する方法としては、臭化メチルなどの殺菌剤で土壌燻蒸する方法が採られている。しかし、殺菌剤の土壌への散布は、周辺の土壌や水質を汚染するなど環境への負荷が大きく、問題となっている。 【0003】そこで、環境負荷の少ない植物病害防除法の1つとして、土壌病害の原因微生物に拮抗する微生物を選抜し、それを土壌に施用することにより土壌病害を防除しようという試みがなされている。例えば、バーティシリウム病害については、Marois [Plant Disease Vol.66, p.1166-1168, 1982]らによって試みられている。さらに、ストレプトミセス属の放線菌を用いてバーティシリウム病害を防除することが、草刈ら[関西病虫研報、第32巻、p.17-20、1990]によって行われている。また、特許公報H5-26462には、Streptomyces gomishimensis CD-3株が、バーティシリウム属微生物に有効な菌株として記載されている。 【0004】しかし、これらの菌の大部分は、プレート上では抗生物質を生産し、拮抗性を示すが、土壌中では抗生物質を生産できず拮抗性を示せなかったり、植物の根圏に定着できず生産した抗生物質が根圏に存在しないため、植物病害の防除効果が現れないなど問題点があった。 【0005】本発明者らは、植物の根面に定着および根圏で増殖し、植物の根圏を守ることによって植物の土壌病害、特にバーティシリウム属の微生物による土壌病害を防除する微生物として、ストレプトミセス属OG-012株(FERM P-16493)およびOG-013株(FERM P-16494)を選抜し、特許出願した(特願平9−323686号)。これらのOG-012株およびOG-013株のように、植物の根面での定着性および根圏での増殖性、さらには土壌病害の原因微生物に対する拮抗性に優れた放線菌はきわめて珍しい。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、土壌病害の原因微生物に拮抗する微生物の効果を高めるためには、該拮抗性微生物の植物根圏への定着性をさらに高めることが必要である。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために種々検討を行った。その結果、本発明者らは、土壌病害の原因微生物に対して拮抗性を有する放線菌および粘性物質を生産する微生物を併用することにより、該放線菌およびその生産物である抗生物質の植物根圏への定着性が高まり、植物病害、特に土壌病害の安定防除が可能になることを見い出した。 【0008】即ち、本発明は、植物病害を防除するための複合微生物資材であって、土壌病害の原因微生物に対して拮抗性を有する放線菌および粘性物質を生産する微生物を併用することを特徴とする複合微生物資材を提供するものである。 【0009】本発明の好ましい態様においては、土壌病害の原因微生物に対して拮抗性を有する放線菌は、ストレプトミセス属、スポリキタヤ属およびストレプトバーティシリウム属に属する微生物からなる群より選ばれる少なくとも1つの微生物である。 【0010】本発明の別の好ましい態様においては、粘性物質を生産する微生物は、デゥガネリア属、ラクトバチルス属、バチルス属、キサントモナス属、アゾトバクター属、ズモモナス属、ロドコッカス属、アルカリゼネス属、シュードモナス属およびアセトバクター属に属する微生物からなる群より選ばれる少なくとも1つの微生物である。 【0011】本発明の他の好ましい態様においては、複合微生物資材は、上記の土壌病害の原因微生物に対して拮抗性を有する放線菌および上記の粘性物質を生産する微生物またはそれらの培養物を、担体に含有させることによって得られる。 【0012】また、本発明は、本発明の複合微生物資材を、植物の種子に被覆もしくはそれと混合した後に播種するか、または、播種用培土、育苗用培土、挿し木用培土もしくは圃場全体に混合して植物を栽培することからなる植物病害防除法を提供するものである。 【0013】 【発明の実施の形態】本発明において用いる土壌病害の原因微生物に対して拮抗性を有する放線菌は、植物土壌病害の原因微生物であるフザリウム(Fusarium)属、バーティシリウム(Verticillium)属、ピチウム(Phytium)属、リゾクトニア(Rhizoctonia)属、アルタナリア(Alternaria)属、フィトフトラ(Phytophthora)属、コロテシリウム(Corticilium)属、ロセリニア(Rosellinia)属、ヘリコバシディウム(Helicobasidium)属、ペロノスポーラ(Peronospora)属の糸状菌や、シュードモナス(Pseudomonas)属、リゾプス(Rhizopus)属、キサントモナス(Xanthomonas)属の細菌などの微生物の少なくとも1つに対し、その増殖を抑制する抗生物質を生産する微生物であれば、その種を問わない。 【0014】好ましくは、これら放線菌は、ストレプトミセス(Streptomyces)属、スポリキタヤ(Sporrichthya)属およびストレプトバーティシリウム(Streptoverticillium)属に属する微生物からなる群より選ばれる。より好ましくは、ストレプトミセス属に属するStreptomyces albogriseolus、Streptomyces albulus、Streptomyces antibioticus、Streptomyces antifibrinolyticus、Streptomyces aureofaciens、Streptomyces avermitili、Streptomyces cellulosae、Streptomyces chartreusisi、Streptomyces coeruleorubidus、Streptomyces diastatochromogenes、Streptomyces flocculus、Streptomyces fradiae、Streptomyces fungicidicus、Streptomyces galilaeus、Streptomyces griseus、Streptomyces hygroscopicus、Streptomyces kanamyceticus、Streptomyces lavendulae、Streptomyces lividans、Streptomyces olivaceus、Streptomyces olivochromogenus、Streptomyces peusetius、Streptomyces phaeochromogenes、Streptomyces purpurascens、Streptomyces rimosus、Streptomyces tendae、Streptomyces venezuelae、Streptomyces verticillatus、Streptomyces verticillium、Streptomyces violaceoruber、Streptomyces viridosporus、あるいは、ストレプトバーティシリウム属に属するStreptoverticillium abikoense、Streptoverticillium baldaccii、Streptoverticillium cinnamoneum、Streptoverticillium griseocarneumからなる群より選ばれる。 【0015】さらに好ましくは、これら放線菌は、ストレプトミセス属に属する微生物からなる群より選ばれ、最も好ましくはストレプトミセス属OG-012株(FERMP-16493)およびOG-013株(FERM P-16494)からなる群より選ばれる。なお、ストレプトミセス属OG-012株およびOG-013株は、独立行政法人産業技術総合研究所に平成9年10月28日に寄託されている。上記の微生物は単独で用いてもよく、また、同じ属もしくは異なる属に属する微生物を複数組み合わせて用いてもよい。 【0016】本発明において用いる粘性物質を生産する微生物は、粘性物質として、単糖類(ガラクトース、グルコース、ラムノース、マンノース、グルクロン酸など)、多糖類(ペンダラン、グロメレラン、ゲラン、レバンなど)などの糖類、ポリグルタミン酸などのポリアミノ酸などを生産する微生物であれば、その種を問わない。好ましくは、粘性物質を生産する微生物は、デゥガネリア(Duganelia)属、ラクトバチルス(Lactbaccillus)属、バチルス(Bacillus)属、キサントモナス(Xanthomonas)属、アゾトバクター(Azotobacter)属、ズモモナス(Zmomonas)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、アルカリゼネス(Alcaligenes)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、アセトバクター(Acetobacter)属に属する微生物からなる群より選ばれる。具体的には、粘性物質を生産する微生物として、Duganelia zooloeoides、Lactbaccillus lactis、Bacillus circulans、Xanthomonas campestris、Azotobacter vinelndi、Zmomonas mobilis、Rhodococcus erythropolis、Alcaligenes latus、Pseudomonas aeruginosa、Acetobacter xyliuなどが挙げられる。これらの微生物は単独で用いてもよく、また、同じ属もしくは異なる属に属する微生物を複数組み合わせて用いてもよい。 【0017】本発明の複合微生物資材は、微生物を担体に担持させることによって製造するのが普通である。このような目的に用いる担体としては、炭、活性炭、軽石、ひる石、貝化石、米糠、コーヒーかす、石膏、ピートモス、(焼成)ケイソウ土、ゼオライト、パーライト、ベントナイト、大谷石、石灰石、バーミキュライトなどが挙げられる。これらのうち、炭、軽石、ひる石、貝化石、ピートモス、(焼成)ケイソウ土、ゼオライト、パーライト、ベントナイト、バーミキュライトなどの多孔性物質が好ましく、炭、活性炭および(焼成)ケイソウ土が特に好ましい。炭としては、木材を炭化させたもの、あるいは、樹皮、オガクズ、ヤシ殻、バーク、モミ殻などを炭化させたものであってよく、粉末状のものが好ましい。 【0018】本発明の複合微生物資材は、土壌病害の原因微生物に対して拮抗性を有する放線菌と粘性物質を生産する微生物を、個々に培養および製剤化し、その後に混合および複合化してよい。また、土壌病害の原因微生物に対して拮抗性を有する放線菌と粘性物質を生産する微生物を、同時に培養および製剤化してもよい。 【0019】本発明の複合微生物資材に用いる放線菌および粘性物質を生産する微生物は、しょ糖・硝酸塩培地(しょ糖 30g、NaNO3 2g、K2PO4 1g、MgSO4・7H2O 0.5g、KCl 0.5g、FeSO4・7H2O 0.01gを水1000mlに溶解したもの)、ブドウ糖・アスパラギン培地(ブドウ糖 10g、アスパラギン 0.5g、K2HPO4 0.5gを水1000mlに溶解したもの)、グリセリン・アスパラギン培地(グリセリン 10g、アスパラギン1g、K2HPO41gを水1000mlに溶解したもの)などの液体培地を用いて培養することができる。 【0020】液体培地のpH、培養日数、培養温度、回転培養の回転速度などは、培養する菌株に最適なものに調整する。放線菌と粘性物質を生産する微生物を同時に培養する場合には、用いる放線菌の最適条件に合わせるとよい。たとえば、ストレプトミセス属OG-012株を用いる場合、培地のpHは6.0〜6.8、培養日数は3〜7日、培養温度は37〜39℃、回転培養の回転速度は150〜450rpmに調整する。 【0021】本発明の複合微生物資材は、上記の担体、特に炭、活性炭または(焼成)ケイソウ土を滅菌し、これに上記のように液体培養した放線菌および/または粘性物質を生産する微生物を培地成分と共に加え、混合することによって製造することができる。担体1Lに対して培養培地100〜500mlを加えるのが好ましい。この混合物を、培養する菌株の最適条件下に静置し、1日に1〜5回撹拌を行って、嫌気培養になるのを避けながら固体培養する。なお、放線菌と粘性物質を生産する微生物を同時に培養する場合には、用いる放線菌の最適条件に合わせるとよい。たとえば、ストレプトミセス属OG-012株を用いる場合、培養日数は3〜10日、培養温度は37〜39℃に調整する。固体培養終了後に、通風乾燥などによって乾燥し、本発明の複合微生物資材を得る。 【0022】本発明の複合微生物資材は、担体1gあたりに放線菌を103〜1015cfu(コロニー形成単位)含有しているのが好ましく、さらに、担体1gあたりに放線菌を104〜1010cfu含有しているのが好ましい。また、粘性物質を生産する微生物の量は、微生物の種類によりその量が異なるため一概に定義できないが、担体1gあたりに微生物を102〜1020cfu含有しているのが好ましく、さらに、担体1gあたりに微生物を105〜1010cfu含有しているのが好ましい。 【0023】本発明の複合微生物資材は、植物の種子に被覆もしくはそれと混合した後に播種するか、または、播種用培土、育苗用培土、挿し木用培土もしくは圃場全体に混合して使用することができる。本発明の複合微生物資材の使用量は、資材に含まれる微生物の濃度や、その施用法により大きく異なるが、植物の種子に被覆もしくは混合する場合には、1種子あたりの資材の使用量として、1×10-8g〜10g、好ましくは1×10-6g〜1g、さらに好ましくは1×10-3g〜0.1gを使用すればよい。播種用培土、育苗用培土もしくは挿し木用培土に混合して使用する場合には、培土1Lあたりの資材の使用量として、1×10-3g〜1kg、好ましくは0.1g〜500g、さらに好ましくは10g〜100gを使用すればよい。さらに、圃場全体に混合して使用する場合には、圃場面積10a(アール)あたりの資材の使用量として、1kg〜10t(トン)、好ましくは10kg〜5t、さらに好ましくは100kg〜1tを使用すればよい。 【0024】本発明の複合微生物資材に含まれる放線菌および粘性物質を生産する微生物を確実に根圏に定着させ、土壌病害から植物を守るためには、植物の生育早期に、例えばプラグなどの播種時や育苗時に、または挿し木(挿し芽)時に、本発明の複合微生物資材を適用するのが望ましい。これにより、処理量が少なくなり、経済的に有利になる。 【0025】 【発明の効果】本発明の複合微生物資材は、フザリウム属、バーティシリウム属、ピチウム属、リゾクトニア属、アルタナリア属、フィトフトラ属、コロテシリウム属、ロセリニア属、ヘリコバシディウム属、ペロノスポーラ属の糸状菌や、シュードモナス属、リゾプス属、キサントモナス属の細菌などの増殖を抑制する放線菌およびそれが生産する抗生物質を、併用する微生物が生産する粘性物質の作用により、植物の根圏に定着させることを特徴としている。従って、本発明の複合微生物資材を利用することにより、多くの植物土壌病害を安定的かつ効果的に防除することができる。 【0026】具体的に、本発明の複合微生物資材により防除可能な植物土壌病害としては、例えば次のものが挙げられる。即ち、フザリウム病害としては、キュウリつる割れ病、メロンつる割れ病、ダイコン萎黄病、ピーマン実腐病、イチゴ萎黄病、ホウレンソウ立ち枯れ病、ネギ乾腐病、ナス半枯病、レタス根腐病、トマト萎ちょう病、ユリ茎腐病、サクラソウ萎ちょう病、カーネーション萎ちょう病などが挙げられ、バーティシリウム病害としては、ナス半身萎ちょう病、トマト半身萎ちょう病、ピーマン半身萎ちょう病、キュウリ半身萎ちょう病、ダイコン黒点病、ハクサイ黄化病、イチゴ半身萎ちょう病、ホウレンソウ萎ちょう病、フキ半身萎ちょう病、ウド半身萎ちょう病、オクラ半身萎ちょう病、キク半身萎ちょう病などが挙げられ、ピチウム病害としては、ホウレンソウ立ち枯れ病、メロン苗立ち枯れ病、キンギョソウ苗立ち枯れ病などが挙げられ、リゾクトニア病害としては、ホウレンソウ株腐病、トマト苗立ち枯れ病、カーネーション茎腐病、カラー株腐れ病、ニチニチソウ苗立ち枯れ病などが挙げられ、アルタナリア病害としては、ネギ黒紋病、ダイコン黒斑病、ハクサイ黒斑病、ナス褐斑病、ホウレンソウ灰色斑点病、カーネーション斑点病、トルコギキョウ花らい腐敗病などが挙げられ、フィトフトラ病害としては、ダイス茎疫病、ソラマメ疫病、サトイモ疫病、キュウリ疫病、キュウリ灰色疫病、メロン疫病、スイカ褐色腐敗病、トマト褐色腐敗病、ナス褐色腐敗病、ピーマン疫病、イチゴ根腐れ病、タマネギ白色疫病などが挙げられ、コロテシリウム病害としては、エダマメ白絹病、ソラマメ白絹病、サツマイモ白絹病、ジャガイモ白絹病、キュウリ白絹病、スイカ白絹病、トマト白絹病、ナス白絹病、ピーマン白絹病、タマネギ白絹病、ネギ白絹病などが挙げられ、ロセリニア病害としては、サツマイモ白紋羽病、ジャガイモ白紋羽病、カンキツ白紋羽病、リンゴ白紋羽病などが挙げられ、ヘリコバシディウム病害としては、エダマメ紫紋羽病、サツマイモ紫紋羽病、ネギ紫紋羽病、アスパラガス紫紋羽病、カンキツ紫紋羽病、リンゴ紫紋羽病などが挙げられ、ペロノスポーラ病害としては、ダイコンべと病、ハクサイべと病、キャベツべと病、イチゴべと病、ネギべと病、ホウレンソウべと病などが挙げられ、シュードモナス病害としては、ソラマメ青枯病、インゲン青枯病、ジャガイモ青枯病、レタス腐敗病、トマト青枯病、ナス青枯病、ピーマン青枯病などが挙げられ、リゾプス病害としては、ジャガイモ腐敗病、ユリ腐敗病、イチゴ腐敗病などが挙げられ、キサントモナス病害としてはアルファルファ黒腐病、ダイコン黒腐病、エダマメ黒腐病、メロン褐斑細菌病、ニンジン斑点細菌病、カンキツかいよう病、ストック黒腐病、グラジオラス角斑病などが挙げられる。 【0027】 【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。 実施例1 ホウレンソウ立ち枯れ病(ピチウム病害)に対する防除効果放線菌として、ピチウム属微生物に対して拮抗性を有するStreptomyces sp.WS182株[特許公報H6-56616に記載された放線菌株;株式会社グリーンテック(前身は株式会社環境緑化資源開発センター)より入手]を用い、粘性物質を生産する微生物としてPseudomonas aeruginosa(ATCC No.10145として入手可能)を用いて、ケイソウ土(「セライト」:昭和化学社製)を担体とする複合微生物資材を作成した。ケイソウ土1gあたりのStreptomyces sp. WS182株のcfuが108に、Pseudomonas aeruginosaのcfuが105になるように、これら微生物を担体に定着させた。比較例1として、Streptomyces sp. WS182株のみを用いて、ケイソウ土を担体とする微生物資材を作成した。ケイソウ土1gあたりのStreptomyces sp.WS182株のcfuは、実施例1と同様に108になるように定着させた。 【0028】実施例1および比較例1の資材による病害防除効果の確認試験は、次のように行った。播種用培土としてメトロミックス(グレース社製)を用い、培土1Lあたりに20gの実施例1の複合微生物資材もしくは比較例1の微生物資材を添加して充分に混合した。次いで、この混合培土をプラグトレー(容積25ml)に詰め、ホウレンソウ(「おかめ」:サカタ種苗)を播種し、3週間栽培を行った。また、対照として微生物資材を添加せず、メトロミックスのみを培土として、同様に栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。 【0029】病原培土は、赤玉土に予めPDB培地(ポテト・デキストロース・ブロス;DIFCO社製)で培養したホウレンソウ立ち枯れ病の病原菌ピチウム・デバルヤナム(Pythium debaryanam)を、培土1Lあたりのcfuが105となるように完全混合することにより調製した。 【0030】この病害培土を1/5000アールのマグネルポットに詰め、プラグトレーで栽培したホウレンソウの苗を1株ずつ植え付けた。このようなポットを、実施例1、比較例1および対照の各区あたり25ポットずつ作成し、6週間栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。 【0031】栽培終了後、病徴を、0:発病せず、1:下葉に黄変が認められる、2:下葉に褐変が認められる、3:上位葉に褐変が認められる、4:枯死、の5段階の発病指数で評価した。各区25体の発病指数の平均値を発病度とし、発病指数3以上の病徴が現れた個体数の割合を発病率とした。 【0032】このように測定した各区の発病度および発病率を以下の表1に示す。 【表1】
これらの結果から、放線菌としてStreptomyces sp. WS182株、ならびに、粘性物質を生産する微生物としてPseudomonas aeruginosaを併用することにより、ホウレンソウ立ち枯れ病の発生が防除され、その効果は、Streptomyces sp.WS182株を単独で用いる場合より優れていることが明らかになった。 【0033】実施例2 キュウリつる割れ病(フザリウム病害)に対する防除効果放線菌としてストレプトミセス属OG-012株を用い、粘性物質を生産する微生物としてDuganelia zooloeoides(ATCC No.33892として入手可能)を用いて、ヤシ殻燻炭を担体とする複合微生物資材を作成した。ヤシ殻燻炭1gあたりのOG-012株のcfuが108に、Duganelia zooloeoidesのcfuが109になるように、これら微生物を担体に定着させた。比較例2として、ストレプトミセス属OG-012株のみを用いて、ヤシ殻燻炭を担体とする微生物資材を作成した。ヤシ殻燻炭1gあたりのOG-012株のcfuは、実施例2と同様に108になるように定着させた。 【0034】実施例2および比較例2の資材による病害防除効果の確認試験は、次のように行った。播種用培土としてメトロミックス(グレース社製)を用い、培土1Lあたりに10gの実施例2の複合微生物資材もしくは比較例2の微生物資材を添加して充分に混合した。次いで、この混合培土をプラグトレー(容積25ml)に詰め、キュウリ(「北進」:タキイ種苗)を播種し、3週間栽培を行った。また、対照として微生物資材を添加せず、メトロミックスのみを培土として、同様に栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。 【0035】病原培土は、赤玉土に予めPDB培地(ポテト・デキストロース・ブロス;DIFCO社製)で培養したキュウリつる割れ病の病原菌フザリウム・オキスポーラム(Fusarium oxyporum)を、培土1Lあたりのcfuが105となるように完全混合することにより調製した。 【0036】この病害培土を1/5000アールのマグネルポットに詰め、プラグトレーで栽培したキュウリの苗を1株ずつ植え付けた。このようなポットを、実施例2、比較例2および対照の各区あたり25ポットずつ作成し、6週間栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。 【0037】栽培終了後、病徴を、0:発病せず、1:下葉に黄変が認められる、2:下葉に褐変が認められる、3:上位葉に褐変が認められる、4:枯死、の5段階の発病指数で評価した。各区25体の発病指数の平均値を発病度とし、発病指数3以上の病徴が現れた個体数の割合を発病率とした。 【0038】このように測定した各区の発病度および発病率を以下の表2に示す。 【表2】
これらの結果から、放線菌としてストレプトミセス属OG-012株、ならびに、粘性物質を生産する微生物としてDuganelia zooloeoidesを併用することにより、キュウリつる割れ病の発生が防除され、その効果は、ストレプトミセス属OG-012株を単独で用いる場合より優れていることが明らかになった。 【0039】実施例3 ハクサイ黄化病(バーティシリウム病害)に対する防除効果実施例3Aとして、放線菌ストレプトミセス属OG-013株、ならびに、粘性物質を生産する微生物Bacillus circulans(ATCC No.4513として入手可能)を用いて、焼成ケイソウ土(「イソライト」:イソライト工業社製)を担体とする複合微生物資材を作成した。焼成ケイソウ土1gあたりのOG-013株のcfuが103に、Bacillus circulansのcfuが106になるように、これら微生物を担体に定着させた。実施例3Bとして、放線菌ストレプトミセス属OG-013株、ならびに、粘性物質を生産する微生物Bacillus circulansを用いて、焼成ケイソウ土を担体とする複合微生物資材を作成した。焼成ケイソウ土1gあたりのOG-013株のcfuが108に、Bacillus circulansのcfuが106になるように、これら微生物を担体に定着させた。比較例3Aとして、ストレプトミセス属OG-013株のみを用いて、焼成ケイソウ土を担体とする微生物資材を作成した。焼成ケイソウ土1gあたりのOG-013株のcfuが103になるように定着させた。比較例3Bとして、ストレプトミセス属OG-013株のみを用いて、焼成ケイソウ土を担体とする微生物資材を作成した。焼成ケイソウ土1gあたりのOG-013株のcfuが108になるように定着させた。 【0040】実施例3Aおよび3Bならびに比較例3Aおよび3Bの資材による病害防除効果の確認試験は、次のように行った。播種用培土としてメトロミックス(グレース社製)を用い、培土1Lあたりに10gの実施例3Aもしくは3Bの複合微生物資材または比較例3Aもしくは3Bの微生物資材を添加して充分に混合した。次いで、この混合培土をプラグトレー(容積25ml)に詰め、ハクサイ(「優黄」:タキイ種苗)を播種し、4週間栽培を行った。また、対照として微生物資材を添加せず、メトロミックスのみを培土として、同様に栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。 【0041】病原培土は、赤玉土に予めPDB培地(ポテト・デキストロース・ブロス;DIFCO社製)で培養したハクサイ黄化病の病原菌バーティシリウム・ダーリエ(Verticillium dahliae)を、培土1Lあたりのcfuが105となるように完全混合することにより調製した。 【0042】この病害培土を1/5000アールのマグネルポットに詰め、プラグトレーで栽培したハクサイの苗を1株ずつ植え付けた。このようなポットを実施例3A、3B、比較例3A、3B、および対照の各区あたり25ポットずつ作成し、6週間栽培を行った。栽培条件は、明期16時間25℃、暗期8時間20℃であり、湿度は70%とした。 【0043】栽培終了後、地際部で栽培個体を収穫し、その横断面の維管束の褐変を、0:褐変せず、1:1/3未満の褐変が認められる、2:1/3以上2/3未満の褐変が認められる、3:2/3以上の褐変が認められる、4:枯死、の5段階の発病指数で評価した。各区25体の発病指数の平均値を発病度とし、発病指数3以上の褐変が現れた個体数の割合を発病率とした。 【0044】このように測定した各区の発病度および発病率を以下の表3に示す。 【表3】
これらの結果から、放線菌としてストレプトミセス属OG-013株、ならびに、粘性物質を生産する微生物としてBacillus circulansを併用することにより、ハクサイ黄化病の発生が防除され、その効果は、ストレプトミセス属OG-013株を単独で用いる場合より優れていることが明らかになった。さらに、その防除効果は、ストレプトミセス属OG-013株のcfuが高いほど安定していることが明らかになった。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000284 【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号
|
| 【出願日】 |
平成14年3月22日(2002.3.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062144 【弁理士】 【氏名又は名称】青山 葆 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−277212(P2003−277212A) |
| 【公開日】 |
平成15年10月2日(2003.10.2) |
| 【出願番号】 |
特願2002−80727(P2002−80727) |
|