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【発明の名称】 工業用防カビ防腐組成物
【発明者】 【氏名】藤本 和秀
【住所又は居所】大阪市東淀川区小松2丁目15番52号 シントーファイン株式会社内

【要約】 【課題】各種防カビ剤を組み合わせ、防カビスペクトルの安定化や効力増強などが試みられているが、防カビスペクトル外のカビが出現してきたため、更なる効果をもった薬剤が望まれていた。

【解決手段】有効成分として3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、メチレンビスチオシアネート及び2-ベンズイミダゾールカルバミン酸メチルの3種を組み合わせ場合、それぞれ単独あるいは2種合剤で用いた場合と比較して飛躍的に防カビ防腐効力が増大することを見出した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、メチレンビスチオシアネート及び2-ベンズイミダゾールカルバミン酸メチルを含有することを特徴とする工業用防カビ防腐組成物。
【請求項2】 請求項1において3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメートとメチレンビスチオシアネートの配合比率が重量比で10:1〜1:10、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメートとメチレンビスチオシアネートの合計量と、2-ベンズイミダゾールカルバミン酸メチルの配合比率が重量比で10:1〜1:10として含有することを特徴とする工業用防カビ防腐組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木材、パルプ、紙、繊維、接着剤、塗料、塩ビやプラスチック等樹脂製品などの工業用原料及び製品の防カビ防腐組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、工業用防カビ剤としてハロゲン化フェノール化合物や有機錫化合物が多く利用されてきた。しかしながらこれらの化合物は急性及び慢性毒性が強く、また比較的難分解性であることから蓄積による二次公害の懸念があり、これらの工業用防カビ防腐剤としては使用に適さなくなってきた。このため、より安全性の高い工業用防カビ防腐剤の開発が盛んに行われるようになり3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート(以下IPBCと略す)などの化合物が提供されており、木材、パルプ、紙、繊維、接着剤、及び塗料等の諸工業分野においてカビの発生及び腐敗を防止するために添加されることが多い。しかしながらIPBCのみの単一成分の使用では、効力を有する微生物の種が限られるなどの理由で十分な効力が得られず、しばしば薬剤の使用量が増え、コストも高くなることが多い。また、メチレンビスチオシアネート(以下MBTCと略す)は工業用の防カビ防腐剤として知られているが、単独に適用した場合には微生物の抵抗性がしばしば生じ、且、適用濃度もかなり高くしなければ充分な効力を得られることができない。また、MBTCは安定性に関して充分でなく、防カビ防腐剤としては著しく適性を欠いていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このため各種防カビ防腐剤を組み合わせ、防カビ防腐スペクトルの安定化や防カビ効力の増強などが試みられているが、通常はいずれか一方の効果の発現に留まるか、相加的な効果しか得られないのが実情である。例えば特開昭63−41405号には上記IPBCに1,4-ビス-(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムを安定剤として使用する方法、さらに特開平2−164803号には、上記IPBCとベンズイミダゾール系化合物を合剤にする方法が提案されているが、これらの方法では防カビ効力が著しく向上することはなく防除効果は十分ではなかった。また、特開平3−251508号にはベンズイミダゾール系化合物とイソチアゾリン系化合物を合剤にする方法が提案されているが、それらの混合剤では防除できない真菌が出現してきたため、更なる効果をもった薬剤が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記効力不足を補う工業用防カビ防腐組成物に関し、鋭意研究を重ねた結果、有効成分としてIPBCとMBTCと2-ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル(以下BCMと略す)の3種を組み合わせた場合、それぞれ単独あるいは2種合剤で用いた場合と比較して飛躍的に防カビ効力が増大することを見出し本発明を完成した。すなわち、本発明はIPBCとMBTCとBCMの3種を有効成分として含有することを特徴とする工業用防カビ防腐組成物である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の工業用防カビ防腐組成物は使用目的に応じて直接適用することもできるが、一般的には油剤、乳剤、ペースト剤、懸濁剤などの剤型として使用する。製剤化する場合に用いる極性溶媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール系溶剤、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤、イソプロピルアルコール、エタノールなどのアルコール系溶剤、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトンまたは水などの溶媒が使用できる。これらは、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせても良い。
【0006】非極性溶媒としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニルなどの可塑剤、キシロール、トルエン、イソホロン、フェニルキシリルエタン、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレンカーボネート、流動パラフィン、灯油、椰子油、菜種油、綿実油、ヒマシ油または、大豆油などの溶媒が使用できる。これらは、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせても良い。また、極性溶媒と非極性溶媒を2種以上組み合わせてもよい。界面活性剤は使用しても使用しなくてもよく、使用する場合は、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両イオン界面活性剤のいずれを用いてもかまわない。非イオン系界面活性剤として例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられ、陰イオン系界面活性剤としてアルキルベンゼン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩などが挙げられ、陽イオン系界面活性剤では脂肪族アミン塩およびその4級アンモニウム塩などが挙げられ、両イオン系界面活性剤ではベタイン型界面活性剤、アミノカルボン酸塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0007】また、これらの非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤および両イオン系界面活性剤は1種を単独に用いても2種以上を併用してもよい。本発明組成物中における有効成分の含有割合は特に限定するものではないが、IPBCとMBTCの配合比率は重量比で10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5であり、IPBCとMBTCの合計量と、BCMとの配合比率は重量比で10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5である。本発明の防カビ防腐組成物は各種の工業用材料、製品に適用できる。例えば、木材、木竹製品および木質材料、パルプ、繊維、塗料、接着剤、皮革、紙および紙加工品、壁紙材、樹脂成形物などがあげられる。また他の防カビ剤、殺菌剤、殺虫剤、防錆剤、劣化防止剤などを配合して使用することも可能である。
【0008】
【実施例】次に本発明の実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下に示した配合比率はすべて重量%である。
【0009】実施例1〜3、比較例1〜6の工業用防カビ組成物を表1に示す。比較例1、2、4は、表1に示す配合比率で常温において通常の攪拌によって防カビ剤組成物を得た。また、実施例1〜3、比較例3、5、6は、表1に示す配合で混合し、直径1mmのガラスビーズと混合し、約15分間粉砕し金網でろ別することによって防カビ剤分散組成物を得た。
【0010】
【表1】

*1:ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル*2:プロピレングリコール【0011】試験例1 木材の防カビ水で規定濃度となるように希釈した実施例及び比較例の工業用防カビ防腐組成物の溶液中にブナ辺材(2cm×5cm×0.3cm)を30秒浸漬した後風乾する。この試験片をポテトデキストロース寒天培地上に載せ、カビの混合胞子懸濁液1mlをふりかけて温度26℃、湿度95%で28日間培養した。供試菌としては、Aspergillus niger、Penicillium funiculosum、Aureobasidium pullulans、Gliocladium virens、Cladosporium cladosporioides及びNeurospora sp.を用いた結果を表2に示す。ただし、カビ生育の程度の表示は次の判定基準によった。
【0012】
−:試験片にカビの生育を全く認めない。
+:試験片の側面にカビの発育が認められる。
++:試験片上のカビの発育部分の面積が全面積の1/3未満である。
+++:試験片上のカビの発育部分の面積が全面積の1/3以上である。
【0013】試験例2 糊付綿布の防カビ小麦デンプン5部、PVA2.5部、水92部を混合加熱し、糊液とした。糊液に規定量の薬剤を添加した後、40番ブロード綿布に綿布と等重量の糊液を含浸させ、乾燥後、JIS Z 2911「カビ抵抗性試験方法」記載の繊維製品試験法(湿式法)に基づき、28℃で14日間培養して防カビ効力を評価した。供試菌はAspergillus niger, Penicillium citrinum, Chaetomium globosum 及びMyrothecium verrucariaを用いた。結果を表2に示す。ただし、カビ生育の程度の表示は次の判定基準によった。
【0014】
0:試料又は試験片の接種した部分に菌糸の生育が認められない。
1:試料又は試験片の接種した部分に認められる菌糸の発育部分の面積は、全面積の1/3を超えない。
2:試料又は試験片の接種した部分に認められる菌糸の発育部分の面積は、全面積の1/3を超える。
【0015】試験例3 木材の防腐水で規定濃度となるように希釈した実施例及び比較例の工業用防カビ防腐組成物の溶液中にオウシュウアカマツ辺材(2cm×5cm×0.3cm)を30秒浸漬した後風乾する。シャーレにポテトデキストロース寒天培地を固化させた上に腐朽菌を接種し、26℃で培養した。シャーレ一面に腐朽菌が成長した後、この上に、試験片を載せ、26℃で28日間培養した。供試菌はFomitopsis palustris及びTrametes versicolorを用いた。結果を表2に示す。ただし、カビ生育の程度の表示は次の判定基準によった。
【0016】
−:試験片に腐朽菌の生育を全く認めない。
+:試験片の側面に腐朽菌の発育が認められる。
++:試験片上の腐朽菌の発育部分の面積が全面積の1/3未満である。
+++:試験片上の腐朽菌の発育部分の面積が全面積の1/3以上である。
【0017】
【表2】

表2の結果から明らかなように、本発明組成物は比較例に比べ、著しい防カビ防腐効力が認められた。
【0018】
【発明の効果】本発明組成物は単独あるいは2種合剤で用いた場合に比べ著しい効力の向上があり、工業用防カビ防腐剤として好適である。
【出願人】 【識別番号】397070417
【氏名又は名称】シントーファイン株式会社
【住所又は居所】大阪市東淀川区小松2丁目15番52号
【出願日】 平成14年3月26日(2002.3.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−277208(P2003−277208A)
【公開日】 平成15年10月2日(2003.10.2)
【出願番号】 特願2002−84652(P2002−84652)