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【発明の名称】 抗菌防カビシート
【発明者】 【氏名】中西 真
【住所又は居所】福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1号 東陶機器株式会社内

【氏名】種生 正規
【住所又は居所】福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1号 東陶機器株式会社内

【氏名】則本 圭一郎
【住所又は居所】福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1号 東陶機器株式会社内

【氏名】大橋 英子
【住所又は居所】福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1号 東陶機器株式会社内

【要約】 【課題】安全・環境面に優れ、抗菌防黴効果を長期間持続し、施工性・保管性にも優れた抗菌防カビシートを提供すること。

【解決手段】可とう性を有する基材の表面に、ガラス転移温度が−30〜−50℃の有機物のエマルジョンと抗菌・防カビ剤を含む混合物の乾燥物が被覆されていることを特徴とする抗菌防カビシート。好ましくは、前記混合物の乾燥物の被覆層が300μm以上の膜厚を有するようにする。さらに好ましくは、前記有機物エマルジョンの混合物を基材表面に被覆するためのコーティング剤は、100重量部あたり20〜40重量部の水分を含み、4000〜5000mPasの粘度であるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 可とう性を有する基材の表面に、ガラス転移温度が−30〜−50℃の有機物のエマルジョンと抗菌・防カビ剤を含む混合物の乾燥物が被覆されていることを特徴とする抗菌防カビシート。
【請求項2】 前記混合物の乾燥物の被覆層が300μm以上の膜厚を有することを特徴とする請求項1に記載の抗菌防カビシート。
【請求項3】 前記有機物エマルジョンの混合物を基材表面に被覆するためのコーティング剤は、100重量部あたり20〜40重量部の水分を含み、4000〜5000mPasの粘度であることを特徴とする請求項1・2に記載の抗菌防カビシート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅、ホテル、オフィスビル、公共建築、商業施設など様々の建築物における内装用として、抗菌性・防カビ性機能を付与したシートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、住宅の高気密化、高断熱化が促進されているにも関わらず、防犯上・強風対策等により自然換気を行うことは容易ではなく、これに伴い殺菌機能・脱臭機能を有する新鮮なオゾンを含有する外気による浄化が困難となり、衛生的に悪環境となっている。また、O−157等の流行により衛生への関心が高まっている。こうした生活環境の変化や衛生に関する意識の変化から、最近は内装材としてのシートにも抗菌・防カビ機能を有する部材が取り扱われている。
【0003】抗菌・防カビ剤としては無機系・有機系のものが一般的に使われている。ところが有機系の抗菌・防カビ剤は昇華性の物質もあり、常温放置であっても1〜2年で有効成分が蒸発してしまい抗菌・防カビの効力を失う。一方無機系においても、抗菌性イオンにより抗菌・防カビ性を有するタイプでは経時により抗菌性イオンが溶出してしまい、抗菌・防カビの効力を失う。よって、有機系・無機系によらず、効果を長期にわたって持続させるためには抗菌・防カビ剤を支持体に大量に添加する必要があるが、ある一定の膜厚内に添加できる容量は、機械強度等他の機能を損なわないようにするため限界がある。よって蒸発・溶出・摩擦による基材の損失にもかかわらず大量に抗菌・防カビ剤を保持しようとするならば、膜厚を厚くする必要がある。
【0004】一方、壁紙には■凹凸部へ貼り付けられる施工性や■ねかしにおいてロール状に巻いて保管スペースを小さく出来る、また出荷梱包形態において低曲率に巻き取ることが出来ると言った保管性が望まれるため、部材自体に可とう性が要求される。しかし壁紙に用いられる材質として意匠性、加工性、防汚性、難燃性などといった理由から様々な樹脂類が選ばれるが、前述したような樹脂を厚く製膜しようとした場合、ガラス転移点が高いため耐折り曲げ性にかけるといった問題があった。最近では人体への安全性・地球環境への配慮等から溶剤をほとんど含有しない水系エマルジョン樹脂が注目されている。特許第3085108号に見られるような水性エマルジョンも現れているがやはり厚くしようとすると耐ひび割れ性に欠けるといった問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、安全・環境面に優れ、抗菌防黴効果を長期間持続し、施工性・保管性にも優れた抗菌防カビシートを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明では、可とう性を有する基材の表面に、ガラス転移温度が−30〜−50℃の有機物のエマルジョンと抗菌・防カビ剤を含む混合物の乾燥物が被覆されていることを特徴とする抗菌防カビシートを提供する。これにより、乾燥硬化後においてもシートとして求められる塗膜強度を維持しつつ、低温時においても耐折り曲げ性(シートを折り曲げたときに表面が割れない性質。低温時の耐折り曲げ性が要求されるので耐寒性とも言う)を有する。また、エマルションを形成するモノマー成分のTgによりMFT(最低造膜温度)は決まるが、Tgが低い、つまりMFTが低いので上記混合物を製膜する際に高熱をかけなくてすみ、熱による抗菌・防カビ剤の劣化(有機系の場合は分解、蒸発、無機系の場合は還元・変色)を防ぐことが可能となる。また、エマルジョンを用いるため加工時の引火の危険、溶剤の臭気等が避けられる。
【0007】本発明の好ましい態様においては、前記混合物の乾燥物の被覆層が300μm以上であるようにする。抗菌・防カビ剤を前記混合物に添加できる量は、混合物を製膜して得られるシート材の機械的強度・外観等に与える影響から限界がある。しかし、シート材を上記の厚さにすることで、単位面積当たりの添加量を多くすることが可能になり、シート材に内在する抗菌・防カビ剤がブリードアウトすることにより効果を長期にわたって持続することが出来る。また、シート材自体の厚さがあるため、摩耗等による表面層の損失にも関わらず、長期にわたって製品としての機能を有することが可能となる。
【0008】本発明の好ましい態様においては、前記有機物エマルジョンの混合物を基材表面に被覆するためのコーティング剤は、100重量部あたり20〜40重量部の水分を含み、4000〜5000mPasの粘度であるようにする。そうすることで、機械的強度に優れた高均質の成形体が得られる。ここで、粘度は、B型回転粘度計(東京計器株式会社製,BL型)を用い、BLアダプタ■,回転速度;12rpmの測定条件により計測する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について、詳述する。本発明において、有機物のエマルジョンは、例えば、アクリルエマルジョン、アクリルスチレンエマルジョン、アクリルシリコーンエマルジョン、エチレン酢酸ビニルエマルジョン、シリコーンエマルジョン、酢酸ビニルアクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、酢酸ビニルベオバエマルジョン、ウレタンアクリル複合エマルジョン、シリカ変性アクリル共重合エマルジョン、スチレンアクリルウレタン複合エマルジョン、エチレン酢酸ビニルアクリル複合エマルジョン、酢酸ビニルマレート共重合エマルジョン、エチレン−ビニルエステル系共重合体水性エマルジョンなどが挙げられ、このうちガラス転移温度が−30〜−50℃であるものから選ばれた少なくとも一種が利用できる。これら有機物のエマルジョンは、特に優れたバインダー機能に加え、可塑剤などを配合しなくても柔軟性があるシートが得られるという特徴を有する。なお、ガラス転移温度が−30℃より高い場合、抗菌防カビ機能を満たす為に必要な膜厚にしようとすると耐折り曲げ性に劣り、また、成形に加熱が必要になるため、抗菌・防カビ剤の機能劣化を起こす恐れがある。一方、ガラス転移温度が−50℃より低い場合は、塗膜強度、耐ブロッキング性が劣る。ここで、有機物のエマルジョンのガラス転移温度は、各種ホモポリマーのガラス転移温度を用い、次の計算式により算出する。

ここで、Tg:共重合体のTg(K)、Tgi:共重合モノマーのホモポリマーのTg(K)、Wi:共重合モノマーの重量分率を示す。なお、ホモポリマーのTgは、エマルジョン工業会基準を用いる。
【0010】抗菌・防カビ剤としては主に有機系・無機系のものが利用できる。有機系としてはアルコール系、フェノール系、アルデヒド系、カルボン酸系、エステル系、エーテル系、ニトリル系、過酸化物・エポキシ系、ハロゲン系、ピリジン・キノリン系、トリアジン系、イソチアゾロン系、イミダゾール・チアゾール系、アニリド系、ビグアナイド系、ジスルフィド系、チオカーバメート系、界面活性剤系、有機金属系が挙げられる。無機系としてはオゾン系、塩素化合物系、ヨウ素化合物系、過酸化物系、ホウ酸系、イオウ系、カルシウム系、シリコフルオロトナトリウム系、金属イオン系が挙げられる。特に金属イオン系が好ましい。抗菌金属イオンは、次亜塩素酸、オゾン等と比較して、固形物内に保存固定しやすいからである。また、抗菌金属イオンは、該イオンを保存固定した固形物から、イオン溶出速度の制御により、必要な量だけ取り出せるので、より長期の使用に耐えやすいからである。抗菌性金属イオンには、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン等がある。抗菌性金属イオンを放出する物質には、乳酸銀、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、酢酸第一銅、酢酸第二銅、硝酸銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等の溶解性の抗菌性金属元素を含む化合物が挙げられる。このうち、銀イオンは他と比較して細菌類に対する効果に優れており、また、銅イオンは他と比較して真菌に対する効果が優れているので、両イオンを適宜選択するか、双方併存させて使用するのが望ましい。また、抗菌成分の放出速度や抗菌効果の発現方法、妨害要因への対処方法、樹脂への成形特性などといった特徴づけを行うため、無機酸化物等の担体の孔や結晶格子中に抗菌成分である銀銅亜鉛等のイオンやそれらの化合物あるいは金属単体コロイドなどを担持する方法がとれる。担体としてはアパタイト、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、リン酸アルミニウム、チタニア、層状ケイ酸塩、層状アルミノケイ酸塩、ゼオライト等が挙げられる。また、抗菌処理製品は生活関連環境中で用いられることが多いため高い耐塩素性が要求される。そこで、塩素に対し反応性に富む銀イオンをアニオン化したチオスルファト銀錯体により塩素性を確保する方法も挙げられる。このほかにも動物・植物などの天然物由来系が挙げられる。一例として、キチン・キトサン、アミノ配糖体化合物、ヒノキチオール、ヨモギエキス、アロエエキス、シソの葉エキス、ドクダミ、甘草、ツバキ科植物抽出物、天然イオウ、カラシ・ワサビ抽出物、竹抽出物が挙げられる。また、光触媒系も使用できる。一例としてアナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、三酸化タングステン、三酸化ビスマス、三酸化鉄、チタン酸ストロンチウム、酸化錫、酸化亜鉛等が挙げられる。それらは球状、鱗片状、繊維状の粉末又はゾル状でも良い。また光触媒の構成としては例えば特開平4−45853号公報などが提案されている。ここでは、還元性の触媒活性成分を担持した触媒と、酸化性の触媒活性成分を担持した光触媒とを互いに接触させ、しかも撥水性物質をいずれかに接触させることにより、高活性な光触媒を構成している。具体例としては、銅,水銀等の炭酸ガスの還元反応に対して触媒活性を持つ成分を、カーボンブラック等の導電性担体に担持させる。また、銀、白金等の水の酸化酸化反応に対して触媒活性を持つ成分を、二酸化チタン等の半導体に担持させる。そして両者を互いに接触させるが、活性点が離れているので、電荷の再結合を妨げる。また、撥水性物質をいずれかに接触させるので、触媒は浮上して水溶液表面層に存在し高活性な光触媒を得る。
【0011】抗菌・防カビ剤の前記混合物に添加する量は、用いる抗菌・防カビ剤の種類、使用環境、対象とする菌・カビの種類・量、製品に要求される外観・効果持続期間・塗膜強度等によるが、以下に一例を挙げる。有機系抗菌・防カビ剤を添加する場合、前記混合物の乾燥重量100重量部あたり、0.01〜10重量部が好ましい。一般的には1.0重量部以下でもほとんど効果が期待できる。抗菌・防カビ剤は対象とする菌・カビに直接接触する機会がある表面において機能するため、添加量が少ないと表面に突出する抗菌・防カビ剤の量が足りず、また、樹脂内部に埋没した抗菌・防カビ剤が表面層へブリードアウトすることによる効果も期待できず、長期にわたる効果の持続性にも欠ける。一方添加量が多すぎる場合、塗膜の外観・強度に悪影響を及ぼし、必要以上の添加はコストも高くなり、溶出・揮発した抗菌・防カビ成分による人体への影響も懸念される。無機系抗菌・防カビ剤を添加する場合、前記混合物の乾燥重量100重量部あたり、0.1〜10重量部が好ましい。添加量が少ないと表面に突出する抗菌・防カビ剤の量が少なく、また、金属イオンが溶出するタイプではブリードアウトすることによる効果が期待できず、長期にわたる効果の持続性にも欠ける。一方添加量が多すぎる場合、塗膜の外観・強度に悪影響を及ぼし、特に銀イオンなどの場合は変色をきたす。また必要以上の添加はコストも高くなり、溶出・揮発した抗菌・防カビ成分による人体への影響も懸念される。
【0012】また、本発明の抗菌防カビシートには、抗菌・防カビ機能を損なわない範囲にて充填材を含有させることが可能である。その具体例としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化第1鉄、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛、珪砂、クレー、タルク、シリカ類、二酸化チタン、ケイ酸マグネシウムなどをあげることができる。充填材を添加する場合、前記混合物の有機エマルジョン100重量部あたり、50〜100重量部が好ましい。添加量が過少な場合は増膜性、耐摩耗性に劣り、一方過多な場合は膜の平滑性、耐ひび割れ性に劣る。また、必要に応じて分散剤、消泡剤、湿潤剤、乳化剤、沈降防止剤、増粘剤、等の各種添加剤を配合する事が出来る。
【0013】前記混合物を壁紙として用いるには、たとえば、前記混合物をダイレクト、リバース等のロールコーター、コンマコーター、ナイフコーター、ダイコーター、ドクターコーター等のコーティング方式やスクリーン印刷、グラビア印刷、彫刻ロール印刷、フレキソ印刷等の凹凸印刷方式を用いて基材に塗布または印刷を施こせばよい。これらの中でもコンマコーターによれば300μm以上の厚膜には望ましい。
【0014】本発明の好ましい態様においては、前記混合物の硬化物の被覆層が300μm以上の膜厚を有するようにする。抗菌・防カビ剤と有機物のエマルジョンとの混合物の被膜層は300μm以上が好ましく、さらに好ましくは500μm以上1mm以下である。上記膜の厚さにすることで、抗菌・防カビ性、可とう性、耐折り曲げ性、耐摩耗性性が良好となる。300μm以下では経時による摩耗劣化や、ブリードアウトによる抗菌・防カビ成分の蒸発により、長期にわたって効果を持続させることが出来ない。また、1mmを越えると、成形に高温の加熱が必要になり、抗菌・防カビ機能を損失する恐れがあり、また、施工時の耐折り曲げ性にも劣る。
【0015】本発明の好ましい態様においては、前記抗菌・防カビ剤と有機物のエマルジョンの混合物を基材表面に被覆するためのコーティング剤は、100重量部あたり20〜40重量部の水分を含み、4000〜5000mPasの粘度であるようにする。
【0016】可とう性を有する基材としては、紙、合成樹脂シート、織布、不織布、ガラス繊維シート、金属繊維・ガラス繊維複合シート、難燃裏打紙などが利用できる。必要のある時には基材の表面(吸放湿性樹脂層側)、裏面、あるいは表裏両面に防湿・防水層を形成しておくことも可能である。防湿・防水材としてはポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、シリカ蒸着テレフタレートなどがある。この防湿・防水層は、吸放湿シートまたはそれを吸放湿層を塗布した基材に接着剤で張り合わせたり、溶融押し出し法などで塗工することによって形成する。
【0017】必要に応じて、抗菌防カビシートに装飾を設けても良い。装飾としては、エンボス加工、グラビア印刷、スクリーン印刷等が挙げられる。印刷を行う場合は外気と遮断するような連続的、あるいは厚さの通気性が悪い意匠層を避ける。インクとしては、本発明の混合物に一般の顔料を添加しても良いし、一般のグラビア印刷用、スクリーン印刷用のものを用いても良い。一般のグラビア印刷用、スクリーン印刷用のものを用いる場合は、意匠層により外気と抗菌・防カビ剤の接触する機会を阻害しないように、全面ではなく、部分的に印刷を施すか、あるいは発泡させることが望ましい。
【0018】本発明の抗菌防カビシートは、その用途として、壁、床、天井などの建築物内装材が代表的であるが、その他、自動車、電車、船舶、航空機などの乗り物の内装材、扉、襖、窓枠、手すりなどの建具、箪笥、キッチンなどの家具、間仕切り、容器などにも利用される。
【0019】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1[抗菌防カビシートサンプルの作製]基材として、坪量65gの壁紙原紙を用いた。有機エマルジョンとしてアクリルエマルジョン[大日本インキ化学工業(株)製の商品名ボンコート3625,ガラス転移温度が−43℃,エマルジョンの粒径;0.25μm,有効成分59.5wt%]を用いた。抗菌・防カビ剤には有機系(ジンクピリチオン系)「三愛石油(株)製の商品名サンアイゾール200」を用いた。
【0020】
【表1】

【0021】上記配合をそれぞれの配合比に沿って、混錬機に添加し、混錬し、コート剤Aを得た。コーティングはコンマコーターで、乾燥後の被覆層の厚みが300μmとなるように製膜し、抗菌防カビシートAを試作した。
【0022】実施例2[抗菌防カビシートサンプルの作製]基材として、坪量65gの壁紙原紙を用いた。有機エマルジョンとしてアクリルエマルジョン[大日本インキ化学工業(株)製の商品名ボンコート3625,ガラス転移温度が−43℃,エマルジョンの粒径;0.25μm,有効成分59.5wt%]を用いた。抗菌・防カビ剤には有機系(ピリチオン系)「三愛石油(株)製の商品名サンアイバックソジウムオマジン」を用いた。
【0023】
【表2】

【0024】上記配合をそれぞれの配合比に沿って、混錬機に添加し、混錬し、コート剤Bを得た。コーティングはコンマコーターで、乾燥後の被覆層の厚みが300μmとなるように製膜し、抗菌防カビシートBを試作した。
【0025】実施例3[抗菌防カビシートサンプルの作製]基材として、坪量65gの壁紙原紙を用いた。有機エマルジョンとしてアクリルエマルジョン[大日本インキ化学工業(株)製の商品名ボンコート3625,ガラス転移温度が−43℃,エマルジョンの粒径;0.25μm,有効成分59.5wt%]を用いた。抗菌・防カビ剤には無機系「多木化学(株)製の銅担持酸化チタンゾル」を用いた。
【0026】
【表3】

【0027】上記配合をそれぞれの配合比に沿って、混錬機に添加し、混錬し、コート剤Cを得た。コーティングはコンマコーターで、乾燥後の被覆層の厚みが300μmとなるように製膜し、抗菌防カビシートCを試作した。
【0028】比較例1[抗菌防カビシートサンプルの作製]基材として、坪量65gの壁紙原紙を用いた。有機エマルジョンとしてエチレン/酢ビエマルジョン[住友化学化学工業(株)製の商品名スミカフレックス960,ガラス転移温度が−5℃,有効成分55wt%]を用いた。抗菌・防カビ剤には有機系(ジンクピリチオン系)「三愛石油(株)製の商品名サンアイゾール200」を用いた。
【0029】
【表4】

【0030】上記配合をそれぞれの配合比に沿って、混錬機に添加し、混錬し、コート剤Dを得た。コーティングはコンマコーターで、乾燥後の被覆層の厚みが300μmとなるように製膜し、抗菌防カビシートDを試作した。
【0031】比較例2[市販塩ビクロス]市販されている抗菌・防カビ機能を謳った塩ビクロス(膜厚150μm)をシートEとした。
【0032】抗菌性の評価は、以下のように行った。抗菌性試験滅菌生理食塩水で50倍に希釈したブロ−ス液で、菌数を約1×10 個/mlに調製した黄色ブドウ球菌液(以下この菌液を菌原液と呼ぶ)を調製した。この菌原液の濃度は、次のように測定した。菌原液を10 倍に希釈した後、100μlを普通寒天板に巻き、24時間後に形成されたコロニ−数を計測した。このコロニ−数をN個とすると、菌原液の濃度Cは下記式(1)で表される。 C=10 ×N/0.1=10 ×N〔個/ml〕 ・・・(1)
この菌原液10μlを、予め5cm×5cmに裁断してエチレンオキサイドガス滅菌して、滅菌シャ−レ上に置いたシート上に滴下し、同じ大きさの滅菌済み市販食品包装用ラップを密着させて覆って、37℃で24時間培養した。培養後、被覆ラップを剥離して、シートと被覆ラップからSCDLP培地10mlを用いて菌を洗い出し、10倍に希釈して普通寒天培地にまいた。24時間後、普通寒天培地上に形成された黄色ブドウ球菌のコロニ−数を計測した。このコロニ−数をN’個とすると、面積25cm2のシートとの接触後の菌数Naは、下記式(2)で与えられる。Na=10 ×N’・・・(2)
シートと接触する前の菌原液の濃度は前記Cの通りであり、使用した原液は10μlであるから、シート接触前の菌数Nbは、Nb=10×Nとなる。25cm2の大きさのシート上での菌数の変化(Nb →Na)を表に示した。接触によって菌数が減少するということは、シートの抗菌性が発揮されていることを示すものである。表中、溶出前の抗菌性におけるNDは、100個/25cm2未満であることを意味する。
【0033】耐折り曲げ性はシートを180度だけ曲げ、曲げ部分の外観を観察し、○(異常なし)、△(一部ひび割れあり)及び×(全面的ひび割れあり)の基準にて評価した。
【0034】耐摩擦性はJIS A6921「壁紙−5.4.2摩擦試験」に準じ、摩擦試験機(JIS L0849)にて乾燥摩擦を往復500回/年として、5000回繰り返し、外観を観察し、○(違和感無し)、△(一部損傷)及び×(下地露出)の基準にて評価した。また、摩擦試験後の抗菌性を再評価した。
【0035】溶出試験はシートを10cm□にカットし、恒温恒湿槽(30℃、90%RH)に入れ、連続して6ヶ月試験を行った後、20℃にて1日養生したのちに抗菌性を再評価した。
【0036】評価結果を表5に記す。
【表5】

【0037】
【発明の効果】本発明によれば、安全・環境面に優れ、抗菌防黴効果を長期間持続し、施工性・保管性にも優れた抗菌防カビシートを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000010087
【氏名又は名称】東陶機器株式会社
【住所又は居所】福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1号
【出願日】 平成14年3月25日(2002.3.25)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−277202(P2003−277202A)
【公開日】 平成15年10月2日(2003.10.2)
【出願番号】 特願2002−84372(P2002−84372)