| 【発明の名称】 |
殺菌剤組成液及び殺菌方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】吉川 和俊 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目5番2号 三菱瓦斯化学株式会社内
【氏名】飯野 正 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目5番2号 三菱瓦斯化学株式会社内
【氏名】田原 寅一 【住所又は居所】新潟県新潟市太夫浜新割182番地 三菱瓦斯化学株式会社新潟研究所内
【氏名】浦上 貞治 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目5番2号 三菱瓦斯化学株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】ヨウ素分子20〜200ppmと過酢酸50〜500ppmをともに含んだ殺菌剤組成液。予め調製しておいた、ヨウ化物を含む水溶液と、過酢酸を含む水溶液とを、使用前に混合することによってヨウ素分子を生成させ、得られた、ヨウ素分子と過酢酸をともに含む殺菌剤組成液を、物品に接触させる殺菌方法。ヨウ化物濃度が1〜5%、過酢酸濃度が2〜6%の各水溶液を、希釈水とともに混合し、得られた上記濃度の殺菌剤組成液を、物品に接触させる殺菌方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】ヨウ素分子及び過酢酸を含む水溶液からなり、ヨウ素分子濃度が20〜200ppm、過酢酸濃度が50〜500ppmである殺菌剤組成液。 【請求項2】ヨウ化物を含む水溶液A液と、過酢酸を含む水溶液B液とを混合してヨウ素分子を生成し、ヨウ素分子及び過酢酸を含む殺菌剤組成液を得、当該組成液を物品に接触させることを特徴とする、物品の殺菌方法。 【請求項3】ヨウ化物濃度が1〜5%であるA液と、過酢酸濃度が2〜6%であるB液とを、希釈水とともに混合して、請求項1の殺菌剤組成液を得、当該組成液を物品に接触させることを特徴とする、物品の殺菌方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は病院、食品工場、畜舎等の環境殺菌、及び医療機器、食品加工機器、調理器具、食器、手指等の殺菌に関するものである。【0002】 【従来の技術】病院、食品工場、畜舎等の環境殺菌剤、医療機器、食品加工機器、調理器具、食器、手指等の殺菌剤としてこれまで種々の殺菌剤が開発されており、アルコール系、アルデヒド系、塩素系、カチオン系、両性界面活性剤系、ビグアナイド系、過酸化物系の殺菌剤を例示することができるが、以下の問題点がある。【0003】すなわち、アルコール系殺菌剤は細菌芽胞に効果がない、揮発しやすいため残効性に乏しい等の欠点を有する。アルデヒド系の殺菌剤には毒性が高い、細菌芽胞、カビに対する効果が弱い等の問題がある。塩素系殺菌剤は結核菌、細菌芽胞に対する効果が弱い、有機物の存在下で速やかに分解し効力を失う、金属、木、ゴム、布等に対する腐食性が強い、臭気が強い、環境中でトリハロメタンを生成する等の問題を有している。カチオン系殺菌剤は、結核菌、細菌芽胞に効果がない、カビ及びウィルスに対する効果が弱い、有機物の存在下で効力が低下する等の問題点がある。両性界面活性剤系殺菌剤は、結核菌、細菌芽胞、ウィルス、カビに対する効果が弱い。ビグアナイド系殺菌剤は、結核菌、細菌芽胞、ウィルスに効果が弱い、耐性菌が生じる、菌株により効力に違いがある等の問題がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、人体や環境に対する安全性に優れ、環境に優しく、しかも、細菌は勿論、細菌芽胞、酵母、カビ、ウィルス、原虫等を含む広範囲の微生物に対し強い殺菌効果を示す殺菌剤を提供することにある。【0005】 【課題を解決するための手段】近年、本発明者らは上記諸問題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、過酢酸とヨウ素分子(I2)を、特定の濃度範囲で共存させると、過酢酸とヨウ素分子の相乗作用により、顕著な殺菌力が発現することを見出し、この知見をもとに本発明を完成させた。すなわち、本発明は、ヨウ素分子及び過酢酸を含む水溶液からなり、ヨウ素分子濃度が20〜200ppm、過酢酸濃度が50〜500ppmである殺菌剤組成液に関する。本発明の殺菌剤組成液は、物品を殺菌処理するために用いられる。以下、本発明を詳細に説明する。【0006】本発明の殺菌剤組成液は必須成分としてヨウ素分子及び過酢酸の両者を共に含む水溶液からなる。ヨウ素分子と過酢酸は、いずれも殺菌剤として知られているが、本発明においては、この両者が協同して殺菌作用を発揮し、相乗効果をもたらす。本発明の組成液は、酢酸及び過酸化水素を含んでもよい。また、これらの他に、pH調整剤、界面活性剤、着色剤、香料、他の殺菌成分等を含んでいてもよい。本発明の組成液において、ヨウ素分子及び過酢酸は、水に溶解している。殺菌剤組成液中のヨウ素分子濃度は20〜200ppm、過酢酸濃度は50〜500ppmであり、好ましい濃度は、ヨウ素分子50〜100ppm、過酢酸100〜300ppmである。ヨウ素分子及び過酢酸の少なくとも一方の濃度が、上記範囲を下回る場合には十分な相乗効果が得られず、同じく少なくとも一方の濃度が上記範囲を上回る場合には、ヨウ素分子もしくは過酢酸の臭気、又はヨウ素分子の着染性が強まり、品質的にも環境衛生的にも好ましくない。このように、ヨウ素分子及び過酢酸が、特定の濃度範囲で共存することにより、両成分の相乗作用が発現して、強い殺菌力を有しかつ人体や環境に対する安全性の面で優れた殺菌剤が得られる。 【0007】本発明の殺菌剤組成液は、ヨウ化物を含む水溶液A液と、過酢酸を含む水溶液B液とを、所望により希釈水とともに、混合することによって得られる。過酢酸溶液に所定量の固体のヨウ素を添加し、本発明の殺菌剤組成物を調製しようとした場合、ヨウ素の溶解度が低いため、ヨウ素を溶解するのに長時間を要し実用的ではない。これに対し、本発明の過酢酸とヨウ素イオン(I-)の反応を利用した方法では、両水溶液を、必要に応じ水とともに希釈混合することにより、短時間で安全かつ容易に、必要量の本発明殺菌組成液を調製することができる。 【0008】本発明に用いる水溶液A液に含まれるヨウ化物としては、水溶液中でヨウ素イオンを生成するものであれば良く、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムに例示される金属ヨウ化物を挙げることができる。水溶液B液は、過酢酸の他に、酢酸及び過酸化水素を含んでもよい。水溶液A液及び水溶液B液は、両者を混合しなければ長期間安定に保存できる。水溶液A液及び水溶液B液は、本発明殺菌剤組成物を必要とするまで、互いに接触又は混合しないような形で保存し、使用する時又は直前に混合される。反応に用いる水溶液A液中のヨウ化物濃度は1〜5%であり、好ましい濃度範囲は2〜4%である。水溶液B液における過酢酸は、2〜6%の濃度で、好ましくは3〜5%の濃度である。上記濃度範囲を下回る場合には、保存安定性の面で好ましくなく、逆に上記濃度範囲を上回る場合には、安全性の面で好ましくない。なお、水溶液B液に含まれる過酸化水素濃度を6%未満に保つことが、毒物及び劇物取締法上好ましい。 【0009】水溶液A液と水溶液B液は、殺菌処理時又は殺菌処理前に、所望により希釈水とともに混合される。混合直後からヨウ素イオンと過酢酸の反応が開始され、速やかに強い殺菌力を示すヨウ素分子濃度に到達し、未反応の過酢酸とヨウ素分子からなる本発明殺菌剤組成液となる。なお、この反応に酵素は必要としない。水溶液A液と水溶液B液の混合比率は、過酢酸のモル数が、ヨウ素イオンのモル数の0.5倍超、好ましくは1〜10倍の範囲内、より好ましくは2〜8倍の範囲内になるように希釈混合する。 ヨウ素イオンのモル数に対する過酢酸のモル数の比率が上記範囲を下回る場合、ヨウ素分子へ酸化されないヨウ素イオンが残存し、ヨウ素イオンが有効に利用されない。また、該モル比が上記範囲を上回る場合には、過酢酸が余剰となり安全上好ましくなく経済的にも不利となる。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明は、また、物品の殺菌方法に関する。すなわち、本発明は、ヨウ化物を含む水溶液A液と、過酢酸を含む水溶液B液とを希釈水とともに混合して、ヨウ素分子及び過酢酸を含む水溶液からなる殺菌剤組成液を得、当該組成液を物品に接触させることを特徴とする、物品の殺菌方法に関する。 【0011】ヨウ化物を含む水溶液A液と過酢酸を含む水溶液B液は、殺菌処理前に混合して本発明の殺菌剤組成液とし、殺菌対象物品に接触せしめる。 【0012】殺菌対象物品に制限はなく、病院、食品工場、畜舎、医療機器、食品加工機器、調理器具、食器、手指等が挙げられる。本発明の殺菌剤組成液を対象物品に接触させる手段に制限はなく、散布、清拭、浸漬等が挙げられる。 【0013】 【実施例】本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例14.5%過酢酸水溶液、2%ヨウ化カリウム水溶液それぞれ0.5mlを、水200mlに添加混合し、1分間、15℃に保った。その結果、過酢酸100ppm及びヨウ素分子35ppmを含む殺菌剤組成液が調製された。10mlの普通ブイヨン培地またはポテト・デキストロース培地を入れた試験管に、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、サルモネラ菌(Salmonella enteritidis)または酵母菌(Saccharomyces cerevisiae)を1白金耳植菌し、30℃でOD610が約1.0になるまで振とう培養した。それを同量の50mMリン酸バッファー(pH6.0)で洗浄、懸濁し、試験菌液とした。前記殺菌剤組成液に1/100容の試験菌液を加えて処理液とし、30℃で静置し、0.25分、0.5分、1分、2分、5分、15分、30分及び60分後に経時的に該処理液をサンプリングし、50mMリン酸バッファー(pH6.0)で希釈後、生菌数を測定した。生菌数が検出限界(5/ml)以下になるのに要した時間を殺菌時間として求めた。その結果を表1に示す。本発明の殺菌剤組成液は、供試した3種の細菌及び1種の酵母菌に対し、後記した比較例で使用した殺菌液と比べ強い殺菌力を示した。【0014】比較例1〜3過酢酸とヨウ素分子を含む液に替えて、過酢酸100ppm液(比較例1)、 ヨウ素分子35ppm液(比較例2)、又は、次亜塩素酸ナトリウム液(有効塩素濃度100ppm、比較例3)を使用した他は、実施例1と同様にして殺菌時間を求めた。その結果を表1に示す。 【0015】実施例24.5%過酢酸水溶液、2%ヨウ化カリウム水溶液それぞれ0.5mlを水100mlに添加混合し、1分間、15℃に保った。その結果、過酢酸200ppm及びヨウ素分子75ppmを含む殺菌剤組成液が調製された。ポテト・デキストロース寒天斜面培地にクロカビ(Aspergillus niger)またはアオカビ(Penicillium chrysogenum)を接種し、25℃、1週間培養した。これに50mMリン酸バッファー(pH6.0)を入れ、攪拌することにより胞子の懸濁液を調整した。これをガーゼでろ過し菌糸の断片を除き、試験胞子液とした。前記殺菌剤組成液に1/100容の試験胞子液を加え、30℃で静置し、0.25分、0.5分、1分、5分、15分、30分及び60分後に処理液をサンプリングし、50mMリン酸バッファー(pH6.0)で希釈後、ポテト・デキストロース寒天平板培地に塗末し生存胞子数を測定した。生存胞子数が検出限界(5/ml)以下になるのに要した時間を殺菌時間として求めた。その結果を表2に示す。本発明の殺菌剤組成液は、後記した比較剤で使用した殺菌液に比べ、クロカビ及びアオカビに対し、強い効力を示した。【0016】比較例4〜6過酢酸とヨウ素分子を含む液に替えて、過酢酸200ppm液(比較例4)、ヨウ素分子75ppm液(比較例5)、又は、次亜塩素酸ナトリウム液(有効塩素濃度150ppm、比較例6)を使用した他は、実施例2と同様にして、殺菌時間を求めた。その結果を表2に示す。 【0017】実施例3普通ブイヨン寒天斜面培地にセレウス菌(Bacillus cereus)または枯草菌(Bacillus subtilis)を植菌し、30℃で7日間培養して芽胞を形成させた。それを50mMリン酸バッファー(pH6.0)中に懸濁し、熱処理により栄養細胞を殺滅したものを試験菌液とした。実施例2で調製した過酢酸200ppm及びヨウ素分子75ppmを含む殺菌剤組成液に1/100容の試験菌液を加え、30℃で静置し、0.5分、1分、5分、10分、15分、30分及び60分後に処理液をサンプリングし、適宜希釈後、普通寒天培地に塗末し生菌数を測定した。生菌数が検出限界(5/ml)以下になった時間を殺菌時間として求めた。その結果を表3に示す。本発明の殺菌剤組成液は後記した比較例で使用した殺菌液と比べセレウス菌芽胞及び枯草菌芽胞に対し強い殺菌効力を示した。【0018】比較例7〜9過酢酸とヨウ素分子を含む液に替えて、過酢酸200ppm液(比較例7)、ヨウ素分子75ppm液(比較例8)、又は、次亜塩素酸ナトリウム液(有効塩素濃度150ppm、比較例9)を使用した他は、実施例3と同様にして殺菌時間を求めた。その結果を表3に示す。 【0019】実施例4実施例2で調製した過酢酸200ppm及びヨウ素分子75ppmを含む殺菌剤組成液20mlと、エコーウィルス液またはポリオウィルス液(約4000TCD50/ml)5mlと混合後、30℃で静置し、0.5分、1分、5分、15分、30分及び60分後に0.1Nチオ硫酸ナトリウムにより活性成分を不活性化した。該処理液0.1mlをサンプリングし、HeLa細胞を培養した試験管5本に添加した。6日間観察を続け、CPE(細胞変性作用)の阻止の有無を検定した。すべての試験管でCPE阻止が観察された場合をウィルス不活化作用が認められたものと判断して殺菌時間として求めた。その結果を表4に示す。本発明の殺菌剤組成液は、後記した比較例で使用した殺菌剤に比べ供試したウィルスに対し強い不活化作用を示した。【0020】比較例10〜12過酢酸とヨウ素分子を含む液に替えて、過酢酸200ppm液(比較例10)、ヨウ素分子75ppm液(比較例11)、又は、次亜塩素酸ナトリウム液(有効塩素濃度150ppm、比較例12)を使用した他は、実施例4と同様にして殺菌時間を求めた。その結果を表4に示す。 【0021】実施例5実施例2で調製した過酢酸200ppm及びヨウ素分子75ppmを含む殺菌剤組成液を醗酵食品工場の床に1m2あたり1.5リットル散布した。散布5分後に水洗し、滅菌綿棒を用いたふきとり法(10cm×10cm)により生菌数を測定した。その結果を表5に示す。本発明の殺菌剤組成液は、実際使用場面においても後記した比較例で使用した殺菌剤に比べ強い殺菌効果を示した。 【0022】比較例13〜15過酢酸とヨウ素分子を含む液に替えて、過酢酸200ppm液(比較例13)、ヨウ素分子75ppm液(比較例14)、又は、次亜塩素酸ナトリウム液(有効塩素濃度150ppm、比較例15)を使用した他は、実施例5と同様にして生菌数を求めた。その結果を表5に示す。 【0023】 【発明の効果】本発明の殺菌剤組成物は、人体や環境に対する安全性に優れ、しかも、細菌は勿論、細菌芽胞、酵母、カビ、ウィルス、原虫等を含む広範囲の微生物に対し強い殺菌効果を示す。また、本発明の殺菌方法は、効果的かつ簡便な物品の殺菌方法である。 【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004466 【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内2丁目5番2号
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| 【出願日】 |
平成14年3月15日(2002.3.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100117891 【弁理士】 【氏名又は名称】永井 隆
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| 【公開番号】 |
特開2003−267813(P2003−267813A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月25日(2003.9.25) |
| 【出願番号】 |
特願2002−72492(P2002−72492) |
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